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【レポート】2019年度全日本学生柔道体重別選手権大会・女子7階級マッチレポート

(2019年10月6日)

※ eJudoメルマガ版10月4日掲載記事より転載・編集しています。
【レポート】2019年度全日本学生柔道体重別選手権大会・女子7階級マッチレポート
日時:2019(R1)年10月19日~20日
会場:秋田県立武道館
取材:古田英毅/eJudo編集部 撮影:eJudo編集部

■ 48kg級 小倉葵が連覇達成
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48kg級準決勝、小倉葵が馬場彩子から大外刈「技有」

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準決勝、有野涼が田﨑ほのかを攻める

(エントリー26名)

決勝に進んだのは連覇を狙う小倉葵(環太平洋大4年)と、有野涼(龍谷大4年)。第1シード選手と第2シード選手による対決となった。

小倉は2回戦で江藤花奈(仙台大)から背負投と横四方固の合技「一本」、僅か34秒でこの試合を終わらせると以降も快調。準々決勝は伴百梨奈(帝京大)から1分30秒内股「技有」、1分53秒背負投「技有」と立て続けに得て快勝、準決勝は馬場彩子(桐蔭横浜大)に粘られ「指導2」を先行されたが冷静に盛り返し、GS1分4秒に大外刈を押し込んで貫録の「技有」確保。しっかり決勝まで勝ち残った。

有野は2回戦で川村双葉(山梨学院大)から体落「技有」優勢で勝利、準々決勝は仲田奈央(帝京大)から「指導2」をリードした末にGS3分7秒背負投を押し込んで「技有」を得て勝利決定。準決勝は田﨑ほのか(環太平洋大)に一方的に「指導」2つをリードされる苦しい展開だったが、GS3分30秒の一本背負投「技有」で一気の逆転。みごと決勝の畳に辿り着いた。

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決勝、最終盤に小倉が右小内刈で「技有」獲得。

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小倉そのまま抑え込みに繋ぐ。これは「解けた」となるが既に試合時間4分が終了。

【決勝】
小倉葵〇優勢[技有・小内刈]△有野涼

右相四つ。小倉奥襟を掴むと有野は前傾。小倉は前へ引っ張り出して右小内刈と大内刈で足元を崩し、思い切った右大外刈で先制攻撃。力関係は小倉が上の印象。有野引き手で襟をついておいて右一本背負投を繰り出すが小倉はしっかり止め、有野が襟を掴んだ左手を外すと奥襟を叩いて右大内刈に右大外刈と激しく攻める。有野は片襟の小内刈から右背負投に繋ぐが散発で大枠の不利は覆せず、小倉の奥襟圧に屈して左背負投に潰れた直後の2分0秒には偽装攻撃の「指導」。以後も小倉の激しい攻めを有野が担ぎ技に潰れて凌ぐという展開が続く。有野の左背負投を小倉が潰して右内股で捲り、「腰絞め」を狙って「待て」。続く展開は小倉が一方的に引き手を持って片襟の右小内刈を放ち、有野が打開を期して仕掛けた右背負投は両手が離れて潰れてしまう。主審は戦況を的確に見極め、2分35秒偽装攻撃の咎で有野に「指導2」。有野は後がなくなってしまう。

残り30秒を過ぎ、小倉は引き手で袖、釣り手で奥襟を得ると右大内刈と右小内刈で激しく攻め、このさなかに有野の釣り手を剥がして引き手で袖を一方的に持つ完璧な組み手を作り出す。引き手を低く、釣り手を高く落差をつけたまま上下に煽り続けると軸を失った有野の体は安定を失う。小倉このチャンスを逃さず大内刈から右小内刈に繋ぎ鮮やか「技有」確保。そのまま袈裟固、後袈裟固と繋いだ抑込技は「解けた」となったがこの時既に試合時間4分が終了。「それまで」が宣せられて小倉の勝利が決まった。小倉は2連覇達成。

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48kg級入賞者。左から2位の有野涼、優勝の小倉葵、第3位の馬場彩子と田崎ほのか。

【成績上位者】
優 勝:小倉葵(環太平洋大)
準優勝:有野涼(龍谷大)
第三位:馬場彩子(桐蔭横浜大)、田崎ほのか(環太平洋大)
第五位:伴由梨奈(帝京大)、渡邉愛子(東海大)、仲田奈央(帝京大)、山口かなえ(仙台大)

小倉葵選手のコメント
「去年は相手が棄権しての優勝決定でしたが、今年は技で決められた。決勝の相手は中学から何度も対戦している相手で、強いことはよくわかっていました。初戦からいつもより冷静に戦うことが出来ていて、最後の試合までそれがしっかり出来たと思います。次はまず尼崎の団体戦、そして講道館杯の優勝を狙います。」

【準々決勝】
小倉葵〇合技[内股・背負投](1:53)△伴由梨奈
馬場彩子〇GS技有・背負投(GS0:32)△渡邉愛子
有野涼〇GS技有・背負投(GS3:03)△仲田奈央
田崎ほのか〇優勢[技有・背負投]△山口かなえ

【準決勝】
小倉葵〇GS技有・大外刈(GS1:04)△馬場彩子
有野涼〇GS技有・一本背負投(GS3:30)△田崎ほのか

【決勝】
小倉葵〇優勢[技有・小内刈]△有野涼

■ 52kg級 武田亮子が悲願の優勝、決勝は同門の先輩亀川真代を下す
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準決勝、武田亮子が對馬みなみから大内刈「技有」

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亀川真代は郡司風花と大激戦、「技有」を取り合い、一時は「抑え込み」の宣告まで辿り着く。

(エントリー33名)

決勝は同門対決。武田亮子(龍谷大3年)と亀川真代(龍谷大4年)によって争われることとなった。

昨年度大会2位の武田は第1シード。1回戦は井上友梨香(平成国際大)から開始20秒に袖釣込腰「技有」を奪ってそのまま優勢勝ち、2回戦は坪根菜々子(福岡大)から2分7秒までに「指導2」を得たがここから粘られ、総試合時間9分57秒(GS5:57)を費やして「指導3」の勝利。準々決勝は石井星(帝京大)を42秒に奪った背負投「技有」で退け、勝負どころの準決勝は對馬みなみ(仙台大)に2分39秒大内刈をねじ込んで「技有」確保。このまま手堅く4分間を戦い切って決勝進出を決めた。

一方の亀川は1回戦で石嶋青空(仙台大)から2分0秒横四方固「一本」で勝利、2回戦も児玉風香(山梨学院大)を1分31秒横四方固「一本」で下し、準々決勝は萩野乃花(国士舘大)から残り40秒谷落「技有」を得て優勢勝ち。郡司風花(帝京大)との準決勝は大激戦、1分33秒に隅返「技有」でリード、続いて2分23秒には2つ目の「指導」を得て快調だったが3分12秒に横落「技有」を失って追いつかれてしまう。しかし冷静に攻め続け、残り8秒で3つ目の「指導」を得て勝利決定。後輩武田の待つ決勝へと駒を進めることとなった。

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決勝、武田の右一本背負投「一本」

【決勝】
武田亮子〇一本背負投(1:08)△亀川真代

同門対決は武田が左、亀川が右組みのケンカ四つ。互いに釣り手で袖を絞り合う両袖、前屈しあっての駆け引きを武田が左袖釣込腰で切る。亀川が立ったまま捌いて「待て」。続いて亀川が抱いて距離を詰めると武田立ったまま潰すが、続く段の寄せは亀川に場外際での釣腰で押し出されてしまい、1分0秒武田に消極的との咎で「指導」。

再開直後、亀川が右釣り手で奥襟を叩くと武田迎え入れて打点の高い右一本背負投。緩やかに、しかし大きく亀川の体が持ち上がり、どよめきの中武田が体を捨てると横回転でもろとも畳に落ちる。1分8秒文句なしの「一本」。武田が悲願の全日本学生体重別初優勝を決めた。

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52kg級入賞者。左から2位の亀川真代、優勝の武田亮子、第3位の對馬みなみと郡司風花。

【成績上位者】
優 勝:武田亮子(龍谷大)
準優勝:亀川真代(龍谷大)
第三位:對馬みなみ(仙台大)、郡司風花(帝京大)
第五位:石井星(帝京大)、大森生純(帝京大)、萩野乃花(国士舘大)、中内柚里(龍谷大)

武田亮子選手のコメント
「去年決勝で悔しい思いをしたので、今日は絶対に優勝しようと決めていました。毎日稽古している先輩が上がってきて嬉しい気持ちと絶対勝ちたい気持ち、両方ある試合でした。これからも一緒に頑張りたいです。正直、これという作戦はなかったし、GS延長戦までもつれると思っていたので『気持ちで勝とう』という試合でした。このあとは、まずはまだ勝っていない講道館杯で優勝して、グランドスラムに繋げたいです。」

【準々決勝】
武田亮子〇優勢[技有・背負投]△石井星
對馬みなみ〇小内巻込(2:45)△大森生純
亀川真代〇優勢[技有・谷落]△萩野乃花
郡司風花〇優勢[技有・裏投]△中内柚里

【準決勝】
武田亮子〇優勢[技有・大内刈]△對馬みなみ
亀川真代〇反則[指導3](3:52)△郡司風花

【決勝】
武田亮子〇一本背負投(1:08)△亀川真代

■ 57kg級 竹内鈴が連覇達成、決勝も得意の裏投が炸裂
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決勝の呼び出しを待つ竹内鈴

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準決勝、栗田ひなのが香川瑞希から内股透「一本」

(エントリー37名)

決勝に進んだのは連覇を狙う竹内鈴(東海大4年)と、栗田ひなの(帝京大4年)の2人。

連覇を狙う竹内はもちろん第1シード配置。2回戦は吉田果布(金沢学院大)から袖釣込腰「技有」から横四方固に抑え込んで2分26秒合技の一本勝ち。3回戦は米屋愛羅(仙台大)を2分57秒裏投「一本」に仕留め、準々決勝は黒木七都美(龍谷大)を相手に「指導2」まで失ったが残り39秒の裏投で逆転の一本勝ち。準決勝は瀧川萌(筑波大)から1分31秒に大内刈「技有」を確保、最後は3分18秒両者に「指導」が与えられて「指導2」対「指導3」の反則累積差で勝利を収めた。

栗田は2回戦で山崎椎奈(金沢学院大)から開始10秒谷落「技有」、2分30秒には裏投で「一本」を追加する快勝スタート。3回戦は白石稚葉(環太平洋大)から54秒裏投「技有」、3分18秒内股「技有」と得て合技の一本勝ち、準々決勝は堂崎月華(東京学芸大)から1分34秒に得た小外掛「技有」で勝ち抜け、最大の勝負どころと目された準決勝は前年度2位の香川瑞希(東海大)から2分28秒内股透「一本」で快勝。みごと決勝まで駒を進めることとなった。

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決勝、竹内が前に出るが押し出しと判断されて2つの「指導」失陥。

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竹内が得意の裏投で逆転の「技有」

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【決勝】
竹内鈴〇合技[裏投・横四方固](3:30)△栗田ひなの

竹内が右、栗田が左組みのケンカ四つ。足を飛ばし合いながら、重心低く体の強い竹内が一貫して前へにじり出続ける。竹内が出足払も大振りとなって栗田が燕返を試み、竹内が崩れて「待て」。続く展開でも竹内がじわりと前に出ると止められない栗田たたらを踏んで場外に出でるが、主審はこれを竹内の押し出しと判断。50秒竹内に「指導」。

竹内敢えて相手に奥襟を与えて横から背中を抱くと、得意の相手の膝裏を小外掛様に引っ掛けた低い裏投。心得た栗田がなんとか膝を着いて耐えると後襟を引き寄せて横四方固へと連絡し、「抑え込み」の宣告を引き出すがこれは拘束が甘く解けて「待て」。勢いを得た竹内低く構えて前に出ると栗田またもや耐え切れず畳を割るが、一本足で踏みとどまっている形のアピールが効いたか、主審再び竹内に押し出しの咎による「指導」を宣告。試合時間2分29秒を残して竹内は「指導2」まで失い、後がなくなってしまう。試合をコントロールしているのは竹内だが、スコアは圧倒的な栗田のリード。

竹内は奮起、片手の左袖釣込腰に釣り手で背中を抱いての寄せと攻め続ける。ジワリと「面」の圧力で迫る竹内の前に栗田は背を抱かせたまま腰を切って場外に逃れ、2分4秒今度は栗田に場外の「指導」。形上追いかける側の竹内はどうやら展開を掌握、以後も後襟を得ては重心低く前に出、栗田が止まると背を抱いて前進圧力。そのまま場外に出れば相手の「指導」、戻って来れば裏投を打つという構えでプレッシャーを与え続ける。この形で展開が2度流れたのち、3分過ぎからの展開で竹内がまたもや背を抱いて前に出ると栗田は自ら下がって場外際の攻防に誘う。しかし竹内の前進の前に手が詰まり、釣り手で上から後帯を掴む勝負の形を作ったもののここで中途半端な待ちの間を作ってしまう。竹内待ってましたとばかりに得意の裏投、栗田の左足の膝裏に己の膝を引っ掛け、太腿に座らせるかのように捕まえると時計回りに低い軌道で落として3分20秒決定的な「技有」確保。そのまま横四方固に抑え込んで合技「一本」、これで竹内の連覇が決まった。

「指導2」ビハインドにも冷静さを失わず、きちんと裏投という出口を定めて進退した竹内の地力勝ち。一方の栗田は反則差2-0をリードする僥倖を得るも具体的な勝ちのルートが描けず、下がり過ぎて展開を失ってしまった。

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57kg級入賞者。左から2位の栗田ひなの、優勝の竹内鈴、第3位の瀧川萌と香川瑞希。

【成績上位者】
優 勝:竹内鈴(東海大)
準優勝:栗田ひなの(帝京大)
第三位:瀧川萌(筑波大)、香川瑞希(東海大)
第五位:黒木七都美(龍谷大)、藤井志穂(環太平洋大)、七野柚芽(日本体育大)、堂崎月華(東京学芸大)

竹内鈴選手のコメント
「決勝の相手は練習もたくさんやっていて、手の内がわかっている相手。勝てて良かったです。(-連覇達成ですね?)結果的には勝ちましたが、1つ1つが勝負の試合。ホッとしています。あまり思うようにいかない1日だったのですが、その状況にきちんと向き合えるように、応援の声に力を貸してもらったと思います。大学最後の団体戦、そして講道館杯が控えてますので、1つ1つ、しっかり勝っていきたいです。」

【準々決勝】
竹内鈴〇裏投(3:21)△黒木七都美
瀧川萌〇反則[指導3](3:32)△藤井志穂
香川瑞希〇優勢[技有・背負落]△七野柚芽
栗田ひなの〇優勢[技有・小外掛]△堂崎月華

【準決勝】
竹内鈴〇反則[指導3](3:18)△瀧川萌
栗田ひなの〇内股透(2:28)△香川瑞希

【決勝】
竹内鈴〇合技[裏投・横四方固](3:30)△栗田ひなの

■ 63kg級 1年生立川桃が優勝、地力生かす組み手の巧さ光る
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準決勝を戦う渡邉聖子

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準決勝、立川桃が工藤七海から大内刈「技有」

(エントリー34名)

決勝に進んだのは渡邉聖子(帝京大2年)と立川桃(東海大1年)の2名。

渡邊は2回戦で佐藤千芽(富士大)から「指導」2つを奪った末に1分43秒内股「一本」を決めるという会心の出だし。3回戦は廣澤未来(淑徳大)をGS延長戦25秒「指導3」の反則で退け、準々決勝は村井惟衣(龍谷大)とともに「指導2」ずつを奪い合う熱戦の末にGS延長戦1分8秒上四方固「一本」で勝利。準決勝は明石ひかる(筑波大)から早々に「指導2」を奪うも以後膠着、粘り合いとなった試合をGS3分11秒の小外刈「一本」で勝ち抜けて決勝へと駒を進めることとなった。

一方の立川は初戦から嘉重春樺(環太平洋大)との試合が組まれる厳しい配置。この1回戦はGS延長戦2分14秒「指導3」対「指導1」で勝ち抜け、2回戦は富菜月(至学館大)から1分36秒小外掛「一本」で快勝。3回戦は篠田明璃(国大武道大)から一方的に「指導2」まで奪った末にGS延長戦1分55秒小外掛「技有」で勝利、準々決勝は原口茜(福岡大)をGS延長戦58秒の大内刈「技有」で突破。準決勝は工藤七海(帝京大)から開始1分5秒に押し込んで得た大内刈「技有」を最後まで守り切り、みごと決勝の舞台に辿りついた。

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決勝、立川は巧みな組み手と地力の高さを利して前に出続ける。

【決勝】
立川桃〇反則[指導3](1:53)△渡邉聖子

決勝は左相四つ。渡邊は両襟組み手から思い切り左内股を放つ強気の出だし。立川はいったん「ケンカ四つクロス」の形で2本を使って腕を抱えて接近し、以降は双方絞り合いとなる。立川ここから釣り手をしっかり得るが主審は「待て」で試合を止め、31秒渡邊に袖口を絞り込んだ咎で「指導」を宣告。

渡邊しかし顔色を変えずに左大内刈に払腰で攻撃、立川を場外に弾き出す。このあと試合は立川の巧みな組み手に渡邊が付き合わされる体の引き手の取り合いで膠着、1分37秒には双方に消極的との咎で「指導」。渡邊はこれで「指導2」となり、形上後がなくなってしまう。

渡邊激しく前に出るが、立川いったん切り離すと左釣り手で渡邊の右袖を抑えて押し込む。渡邊が肘を立てて応じると動きを止めずにそのまま激しく前へ。渡邊残る左釣り手で襟を狙う格好のまままっすぐ下げられて場外に出てしまう。明確なテクニカルファウル、主審試合を止めて場外の「指導3」を宣告。準決勝で極端な長時間試合が続いた後ゆえ唐突な印象もあったがこの裁定は妥当。試合時間僅か1分53秒、「指導3」の反則で立川の優勝が決まった。短い試合時間であったが、地力の高さ、そして判断の良さの光る試合であった。

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63kg級入賞者。左から2位の渡邉聖子、優勝の立川桃、3位の明石ひかると工藤七海

【成績上位者】
優 勝:立川桃(東海大)
準優勝:渡邉聖子(帝京大)
第三位:明石ひかる(筑波大)、工藤七海(帝京大)
第五位:檀野芽紅(龍谷大)、村井惟衣(龍谷大)、小柳穂乃果(龍谷大)、原口茜(福岡大)

立川桃選手のコメント
「全国大会初タイトルなのでとてもうれしいです。しっかり自分の組み手が出来たと思います。(-全試合一本勝ち?)塚田(真希)先生に『我慢』と言われていて、その言葉を胸に戦った結果です。次は講道館杯優勝が目標。一戦一戦頑張りたい。」

【準々決勝】
明石ひかる〇GS技有・背負投(GS0:51)△檀野芽紅
渡邉聖子〇GS上四方固(GS1:08)△村井惟衣
工藤七海〇GS技有・崩袈裟(GS3:09)△小柳穂乃果
立川桃〇GS技有・大内刈(GS0:58)△原口茜

【準決勝】
渡邉聖子〇GS小外刈(GS3:11)△明石ひかる
立川桃〇優勢[技有・大内刈]△工藤七海

【決勝】
立川桃〇反則[指導3](1:53)△渡邉聖子

■ 70kg級 杉山歌嶺が初優勝、長時間試合の連続を執念で制す
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準決勝、杉山歌嶺が伊藤友希を攻める。試合時間10分を超える大消耗戦だった。

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準決勝、中江美裕が青柳麗美を抑え込む。

(エントリー34名)

決勝に進んだのは杉山歌嶺(桐蔭横浜大4年)と中江美裕(筑波大4年)の2名。ともに関東地区所属(地区予選は杉山が2位、中江が3位)の4年生同士が学生日本一をかけて相まみえることとなった。

昨年度大会3位の杉山は第1シード配置。2回戦は富岡実久(武庫川女子大)から1分25秒小内刈「技有」、2分36秒内股「技有」と連取して合技「一本」の快勝スタート。3回戦は長内茉緒(創価大)を57秒大外刈「一本」に仕留め、準々決勝は山室美咲(慶應義塾大)を1分0秒大外刈「一本」で退ける。準決勝は伊藤友希(鹿屋体育大)と試合時間10分8秒の大消耗戦、これを「指導2」対「指導3」で勝ち抜いて決勝に進む権利を得た。

一方の中江、2回戦は野村沙矢(中京大)から1分6秒上四方固「一本」で快勝。3回戦は内野やや(福岡大)から2分24秒に得た大内刈「技有」で勝ち抜け、準々決勝は小林幸奈(龍谷大)からGS延長戦47秒小内刈「一本」を奪って勝利。迎えた準決勝は、2回戦で関東王者の寺田宇多菜(桐蔭横浜大)を「指導3」で下している優勝候補、ここまで3年連続3位入賞の青柳麗美(環太平洋大)を2分45秒崩袈裟固「一本」に下す会心の一番。みごと決勝戦への勝ち上がりを決めた。

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決勝、中江の大外刈を杉山が返さんと狙う。

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最終盤、杉山が右大外刈から左小外掛に繋ぐ。

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延長、中江の一瞬の隙をついて杉山が横四方固に抑え込む。

【決勝】
杉山歌嶺〇GS横四方固(GS3:09)△中江美裕

右相四つ。近い間合いの組み手争いが続き、中江が袖を絞ると杉山が応じて両袖の攻防となる。51秒には双方に「指導」。杉山が払腰、中江が大外刈で一合攻め合うと横変形の組み合いとなり、圧を感じた中江が右一本背負投で試合を切って「待て」。このあたりから杉山が両襟を握って強気の組み合いを挑む。釣り手の肘を上げながら圧を掛け、3分30秒にはひときわ思い切った大外刈も見せる。これを中江が抱くと粘って投げ切らんとし、払巻込に連絡して「待て」。杉山、最終盤には横変形から引き手を抱き込んで右大外刈、さらに左小外掛に繋いで中江を転がすがこれは攻防の中途で終了ブザーが鳴っており、一連の技と認められずスルー。試合はGS延長戦へ。

中江は右内巻込に飛び込むが杉山の圧に窮した技の印象あり、自ら首に袖を巻き付ける形で潰れてしまい、杉山が片手絞を狙って絞め上げ「待て」。以後も杉山は両襟で肘を上げて迫る。圧を感じた中江は杉山の一本背負投を待ち構えての隅落、さらに引き手を抱き込んでの背負落を2連発して手数で打開を図る。GS2分を過ぎ、中江が右大外刈を放つと杉山弾かれたように大外返。中江踏みとどまって杉山の背に回り、潰して横三角を試みる。しかし体を傾けた瞬間足の拘束を解かれ、抜け出した杉山は圧を掛けたまま相手の頭側に回って抑え込みを狙う。腰を切って中江の脚の抵抗を抜けると横四方固が完成、そのまま20秒を抑え切って「一本」。

スコアは拮抗、反則ポイントも同時宣告の1度のみであったがペースを握っていたのは杉山。両襟の圧がじわじわと効いていた。決着は形だけ見れば中江のミスとも取れるが、主導権の有無と試合姿勢から最終的な勝敗については妥当な結果であったと感じられた。

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70kg級入賞者。左から2位の中江美裕、優勝の杉山歌嶺、3位の伊藤友希と青柳麗美。

【成績上位者】
優 勝:杉山歌嶺(桐蔭横浜大)
準優勝:中江美裕(筑波大)
第三位:伊藤友希(鹿屋体育大)、青柳麗美(環太平洋大)
第五位:山室未咲(慶應義塾大)、大谷麻稀(平成国際大)、座波吉子(福岡大)、小林幸奈(龍谷大)

杉山歌嶺選手のコメント
「大学に入ってから怪我もたくさんあり、なかなか思うようにいかなかった。4年生、最後に勝てて本当にうれしいです。1回戦から優勝を意識して戦っていたので、準決勝、決勝と長い試合を最後まで頑張ることが出来ました。決勝の相手も関東地区所属で何回か戦っていて、負けたこともあります。最後に勝敗を分けるのは気持ちだと思って頑張りました。まだまだ遠いかもしれないけど、オリンピックで金メダルを獲るのが自分の最後の目標です。」

【準々決勝】
杉山歌嶺〇大外刈(1:00)△山室未咲
伊藤友希〇優勢[技有・大外刈]△大谷麻稀
青柳麗美〇GS反則[指導3](GS3:17)△座波吉子
中江美裕〇GS小内刈(GS0:39)△小林幸奈

【準決勝】
杉山歌嶺〇GS反則[指導3](GS6:08)△伊藤友希
中江美裕〇崩袈裟固(2:45)△青柳麗美

【決勝】
杉山歌嶺〇GS横四方固(GS3:09)△中江美裕

■ 78kg級 2年生佐々木ちえが初優勝
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鈴木伊織との準決勝を戦う佐々木ちえ

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準決勝、松田なみきが田中怜奈から左背負投「技有」

(エントリー26名)

決勝に進んだのは佐々木ちえ(東京学芸大2年)と松田なみき(金沢学院大4年)の2名。

佐々木の1回戦は冨田彩加(龍谷大)から2分47秒に大内刈「技有」、3分24秒に背負投「技有」を得て合技の一本勝ち。2回戦は吉田菜美(山梨学院大)から1分57秒小外刈「技有」を得ると直後の2分1秒払腰「一本」を上積む快勝。準々決勝は傍嶋美遥(高岡法科大)を開始30秒の大内刈「一本」に仕留め、準決勝は昨年度の準優勝者鈴木伊織(環太平洋大)と大消耗戦。この試合は両者同時の「指導」2つを経て迎えたGS4分36秒に3つ目の「指導」をもぎ取って粘り勝ち。みごと初の決勝への勝ち上がりを決めた。

昨年度大会3位の松田は第2シード、2回戦からの登場。初戦は畠石香花(山梨学院大)から袖釣込腰「技有」に「指導」2つを上積みして試合を終える快勝スタート。準々決勝は武内忍美(環太平洋大)から一方的に3つの「指導」を奪って3分15秒で勝利決定、準決勝は東京地区大会の覇者田中怜奈(東海大)からまず背負投「技有」、そのまま上四方固に抑え込んで1分37秒合技「一本」という会心の試合。みごと決勝へと駒を進めることになった。

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決勝、佐々木が巧みな組み手から得意の大内刈を叩き込み「技有」

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【決勝】
佐々木ちえ〇優勢[技有・大内刈]△松田なみき

佐々木が右、松田が左組みのケンカ四つ。松田強気に両襟を掴み、佐々木が袖を掴んで切り離すと構わず距離を詰めて左袖釣込腰で先制攻撃。佐々木が崩れて「待て」。続く展開、佐々木先んじて引き手で袖を掴み、残る釣り手を襟を欲しがる松田の手先に絡ませて牽制。手を出しながら立ち位置をずらし、一瞬これを引っ込めて相手をおびき出すと右大内刈に飛び込む。釣り手は相手の引き手の内側を押し込み、頭を右に傾けて崩れた松田を最後は左後隅へと追い込んで投げ切って「技有」。松田の体が畳に大きく弾む、強烈な一撃だった。

ビハインドの松田は釣り手を下から持って肘を入れ、腰の入れ合いに誘う。重心低く体は安定、出足払に左大内刈と交えながら寄せ続ける様にはかなりの迫力があったが、佐々木は幾度か潰されながらも苦しい中盤戦を耐え切り、2分30秒には左一本背負投で展開を切って「待て」。どうやらゴールが見えるところまで辿り着く。しかしクロージングを意識したか明らかに手数が減り始め、続く展開で引き手一本を得ながら遠間で座視、松田に左一本背負投の先手攻撃を許す。続く展開も松田が両袖の左袖釣込腰を2連発し、3分1秒には佐々木に消極的の咎で「指導」。残り時間は59秒、次のシークエンスの振る舞い次第では試合はどう転ぶかわからないが、ここで松田はしっかり組みたがるあまり佐々木の揺さぶりに対応が遅れ、位置関係を誤る。佐々木の大内刈を受けて場外に踏み出した右足をそのまま置いて進退してしまい、3分23秒場外の「指導」。

残り時間はまだ37秒残されているが、この反則で勝敗の行方が見えた感あり。佐々木は引き手の袖を浅く、釣り手は前襟を掴んでしっかり間合いを取り、この状態から強引に放たれた松田の左袖釣込腰は効かぬまま潰れて「待て」。続く展開では松田抱き勝負に出るも佐々木は出し投げの形で一回前に揺すると引き手で首付近を掴んで右体落を放ち、松田を大きく崩して「待て」。この時点で残り時間は16秒、松田左袖釣込腰で最後の一撃を試みるが佐々木は袖先を浅く捕まえており、これも技が効く間合いまで近づけぬまま潰されて攻防収束。ここでタイムアップ、佐々木の優勝が決まった。

松田も勝利に値する力があったが、同じく体の力のある佐々木が戦い方の引き出しで1枚上回ったという印象。追いかける展開を強いられた松田は最後まで力を出させてもらえなかった。

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78kg級入賞者。左から2位の松田なみき、優勝の佐々木ちえ、3位の鈴木伊織と田中伶奈。

【成績上位者】
優 勝:佐々木ちえ(東京学芸大)
準優勝:松田なみき(金沢学院大)
第三位:鈴木伊織(環太平洋大)、田中伶奈(東海大)
第五位:坂口今日香(帝京大)、傍嶋美遥(高岡法科大)、武内忍美(環太平洋大)、土佐真紀子(仙台大)

佐々木ちえ選手のコメント
「決勝は徹底してやりたいことをやろう、と思って試合に臨みました。それが出来た試合だったと思います。自分の持っている技は大内刈だけ。思い切って掛けました。(-今後の目標は?)そうですね、楽しんで柔道をやっていきたいと思います。」

【準々決勝】
鈴木伊織〇合技[払腰・袖釣込腰](1:25)△坂口今日香
佐々木ちえ〇大内刈(0:30)△傍嶋美遥
松田なみき〇反則[指導3](3:15)△武内忍美
田中伶奈〇優勢[技有・払巻込]△土佐真紀子

【準決勝】
佐々木ちえ〇GS反則[指導3](GS4:36)△鈴木伊織
松田なみき〇合技[背負投・上四方固](1:37)△田中伶奈

【決勝】
佐々木ちえ〇優勢[技有・大内刈]△松田なみき

■ 78kg超級 児玉ひかる圧勝、講道館杯王者秋場麻優は連覇ならず
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準決勝、児玉ひかるが吉峰芙母絵から大外刈「一本」

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準決勝、高橋瑠璃は廣谷姫奈から一方的に3つの「指導」を確保

(エントリー21名)

決勝に進んだのは児玉ひかる(東海大1年)と高橋瑠璃(山梨学院大1年)の2名。

昨年の世界ジュニア王者、今春から東海大に所属を移した児玉の勝ち上がりは圧倒的。2回戦で薮内美咲(桐蔭横浜大)を34秒払巻込「一本」に仕留めると、準々決勝では昨年度の講道館杯王者秋場麻優(環太平洋大)を開始34秒に得た払巻込「技有」で破って会場を驚かす。準決勝は吉峰芙母絵(近畿大)を2分3秒強烈な大外刈で畳に埋めて一本勝ち。当たり前のように決勝まで勝ち上がった。

今季の全日本ジュニア王者高橋は序盤から厳しい組み合わせ。まず1回戦で斉藤芽生(国士舘大)をGS延長戦1分7秒横四方固「一本」に仕留めて大会をスタート、2回戦は浜未悠(環太平洋大)をGS延長戦1分4秒払巻込「一本」で突破。準々決勝は黒坂麻樹(金沢学院大)を足車「技有」から崩袈裟固に抑え込んで1分30秒合技「一本」の快勝、準決勝は廣谷姫奈(仙台大)から7分21秒かけて、しかし一方的に3つの「指導」を得て危なげなく勝ちぬけ、見事決勝の畳へと辿り着くこととなった。

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決勝、児玉が払巻込で早々に「技有」確保

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高橋の技はことごとく弾き返される

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3分15秒、児玉の大外刈「一本」で試合決着

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78kg超級入賞者。左から2位の高橋瑠璃、優勝の児玉ひかる、第3位の吉峰芙母絵と廣谷姫奈。

【決勝】
児玉ひかる〇大外刈(3:15)△高橋瑠璃

決勝は左相四つ。横変形での組み合いとなるが児玉徐々に釣り手をせり上げ、整うとみるや左大外刈一撃。そのまま払巻込に連絡して32秒「技有」。
児玉は続いて奥襟を得ての払腰、さらに支釣込足に繋いで高橋を潰す。高橋右袖釣込腰を見せるが児玉背筋を伸ばしたまま突き飛ばして仁王立ち、まったく動ぜず。

高橋組み付きながらの左大外刈で打開を図るが児玉突き返して潰す。高橋釣り手で突いて距離を取らんとするが、児玉は巻き込み動作で一旦剥がして再び持ち直す冷静な進退、高橋に安住できる状態を与えない。

児玉が引き手で袖をしっかり絞り、大内刈で高橋を潰した直後の1分9秒には高橋に「指導」。続く展開で児玉が釣り手で奥襟を確保。高橋思わず潜ってこれを抜くが児玉委細構わずそのまま左大外刈。抜き上げられた高橋はめり込む勢いで畳に落下、文句なしの「一本」。

児玉圧勝。見事初出場で全日本学生体重別を制した。自己評価の低さが弱点の児玉であるが、この日は自信に溢れた戦いぶり。優勝して当然と、自らの仕事をしっかり規定していたように思われる。久々その資質にふさわしいスケール感の大きな戦いを見せてくれた児玉、今後も大いに期待したい。

【成績上位者】
優 勝:児玉ひかる(東海大)
準優勝:高橋瑠璃(山梨学院大)
第三位:吉峰芙母絵(近畿大)、廣谷姫奈(仙台大)
第五位:秋場真優(環太平洋大)、岡田美咲(山梨学院大)、上田莉圭(明治国際医療大)、黒坂麻樹(金沢学院大)

児玉ひかる選手のコメント
「とりあえず勝ててホッとしています。練習でやって来たことをしっかり出そうとして、それが出来たということに尽きます。まずは今年の講道館杯優勝を目標に頑張ります。」

【準々決勝】
児玉ひかる〇優勢[技有・払巻込]△秋場真優
吉峰芙母絵〇GS反則[指導3](GS5:45)△岡田美咲
廣谷姫奈〇GS内股透(GS2:05)△上田莉圭
高橋瑠璃〇合技[足車・崩袈裟固]△黒坂麻樹

【準決勝】
児玉ひかる〇大外刈(2:03)△吉峰芙母絵
高橋瑠璃〇GS反則[指導3](GS3:21)△廣谷姫奈

【決勝】
児玉ひかる〇大外刈(3:15)△高橋瑠璃

※ eJudoメルマガ版10月4日掲載記事より転載・編集しています。

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