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【即日レポート】埼玉栄中が初優勝、全国中学校大会と併せて今季二冠達成なる・2019年度マルちゃん杯全日本少年柔道大会中学生男子の部

(2019年9月23日)

※ eJudoメルマガ版9月22日掲載記事より転載・編集しています。
【即日レポート】埼玉栄中が初優勝、全国中学校大会と併せて今季二冠達成なる・2019年度マルちゃん杯全日本少年柔道大会中学生男子の部
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初優勝の埼玉栄中学校

団体戦で少年柔道日本一を争う2019年度マルちゃん杯全日本少年柔道大会が22日、東京武道館(東京都足立区)で行われ、48チームが出場を許された中学生男子の部は埼玉栄中学校(埼玉)が初優勝した。同校は8月の全国中学校柔道大会を制しており、今年度中学二冠達成。決勝は連覇を狙った大成中学校(愛知)を2-0で破った。

決勝の戦評と、埼玉栄中・大野勝浩監督と新井道大選手のコメント、入賞者および準々決勝以降の対戦詳細は下記。

取材:eJudo編集部 文責:古田英毅
撮影:辺見真也

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準決勝、大成中の中堅三並壮太が東海大相模高中等部・田中詩音から内股「技有」

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準決勝、埼玉栄中の中堅新井道大が望海中・永澤慎悟から隅落「一本」

【決勝戦評】

決勝は連覇を狙う大成中学校(愛知)と、8月の全国中学校大会を2連覇して意気揚がる埼玉栄中学校(埼玉)がマッチアップ。

大成中は第1シード配置。2回戦で厚先中学校(栃木)を5-0、3回戦で土浦市体育協会柔道部(茨城)を5-0、準々決勝で東海大浦安高中等部(千葉)を5-0と無失点でベスト4まで進み、準決勝では全国中学校大会準々決勝で苦杯を喫した東海大相模高中等部(神奈川)にリベンジ。前半粘って中盤でリードする理想の戦いを繰り広げ、0-0から中堅三並壮太と副将佐々木勇飛翔が連続得点。大将戦は落としたが、これしかないという勝ち方のスコア2-1で決勝進出決定。

一方の埼玉栄中は第2シード。2回戦で松江第二中学校(島根)を5-0、3回戦は夙川中学校(兵庫)を相手に3-2で勝ち抜け、準々決勝は新井道場(埼玉)を3-0で退ける。迎えた望海中学校(兵庫)との準決勝は次鋒粂田和樹と中堅新井道大がしっかり得点、副将戦は相手方のエース中村乾渡に1点を献上したが、大将坂口稜がしっかり引き分け。手堅く2-1で勝ち抜けて決勝へと辿り着いた。

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連覇に挑む大成中

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全国中学校大会に続く2冠に挑む埼玉栄中

大成中学校 - 埼玉栄中学校
(先)鈴木恵介 - 杉野瑛星
(次)山科啓容 - 粂田和樹
(中)三並壮太 - 新井道大
(副)佐々木勇翔 - 峰優月
(大)鈴木魁人 - 坂口稜

オーダーを眺めて最初に目を引くのが中堅戦。大成中最大の得点源で全国中学校柔道大会90kg級王者の三並壮太に、副将格として埼玉栄中の団体戦連覇に貢献した同階級ベスト8の新井道大がマッチアップしている。新井はこの日好調、全中大会時とは一段違う取り味の高さを発揮しており、いかな三並といえども結果は予断を許さず。このポイントゲッター対決の帰趨が勝敗に与える影響は甚大、というよりもし勝ち負けがつくのであればこれは決定的と言っていいだろう。大将戦は個人戦90kg超級王者の埼玉栄・坂口稜の勝利が濃厚であるが、この2戦以外はいずれのチームも強豪座れど対面との力関係を考えれば自ら試合を壊して取りにいけるようなまでの差がある対戦はなく、事前に得点を織り込んで考えるのは難しい。他ポジションはあくまで足し算、中堅戦と大将戦の2ポジションの結果が直接勝敗を左右するとまでは考えておいて間違いない。大成は中堅戦を取って大将戦を抑え、他ポジションで積み上げを図る。一方の埼玉栄は中堅戦を最低でも引き分け、大将戦で勝負を決める。

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終盤鈴木恵介が肘抜きの背負投も、取り切れず先鋒戦は引き分け

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次鋒戦、山科啓容が粂田和樹の左内股を透かすも、自身の技には変換し切れず

先鋒戦は大成・鈴木恵介が右、埼玉栄・杉野瑛星が右組みのケンカ四つ。杉野釣り手を絞って低く構え、鈴木はなかなかしっかり二本を持てない。39秒杉野に絞り込んで防御した咎で「指導」が与えられて以降は、鈴木が「両襟奥」で寄せて右大外刈を放つ良い形を作り始めるが、杉野は横にずれて釣り手を肘下に入れ、さらに右背負投で潰れてと、組み合う時間を縮めてまったくチャンスを与えない。1分52秒に鈴木が右袖釣込腰フェイントの大内刈で大きく崩し、最終盤には両襟の大内刈から肘抜きの左背負投と激しく攻め立てるが杉野なんとか膝を着いて耐え切る。結局この試合は引き分けに終わった、

次鋒戦は大成・山科啓容が右、埼玉栄・粂田和樹が左組みのケンカ四つ。山科組み手不十分ながらも柔らかく右内股、さらに大内刈と攻め立て、技を仕掛ける過程で引き手もしっかり得るというよい組み立て。粂田なんとか内股巻込で一回展開を切るも、以後も主導権は小外刈で攻め続ける山科にある印象。1分30秒過ぎに山科が右小外刈、これに反応した粂田が左内股を放つと山科が大きく脚を広げて跨ぐ。山科得意の内股透決まるかと思われたが、着地で重心をコントロールし切れず、そのまま相手を潰して展開を切って「待て」。以後は2分10秒に山科に片手の「指導」が与えられたのみで山場は訪れず。次鋒戦も引き分けに終わり、スコアはいまだ0-0のまま。

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中堅戦、新井道大が三並壮太の裏投を押し込み潰して「技有」

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新井は払巻込「技有」も追加して快勝、先制点は埼玉栄が得る。

注目の中堅戦は三並壮太、新井道大ともに左組みの相四つ。三並試合が始まるなり引き手で背中を抱いての左大内刈、そのまま相手の背中側に抜けて食いつく。新井が左大内刈で応じると三並そのまま裏投で投げ切ろうとするが、新井は腰を切ったまま状態にのし掛かって潰し、17秒「技有」。意外なほどあっさり、新井が先行。
三並の表情はしかし冷静。続く展開も釣り手を振り立て、左大外刈から背中側に抜けて背を抱える大胆な攻撃。これは新井が潰れて展開を切り「待て」。
50秒を超えたところで、三並が左釣り手を持つと新井が右引き手で低く絞り落とし、ほぼ一方的に持つ形が出来上がる。そのまま思い切って左大外刈を引っ掛けると三並はまたもや相手の裏に抜け出す形で耐え、背中に食いついて抱き止める。裏投、あるいは相手の挙動次第では隅落に捉えんとするこの構えのまま一瞬両者の動きが止まる。しかし新井が軸足を回して左払巻込に連絡するとその引き手の抱き込みの深さゆえか三並は我慢が利かず、もろともゴロリと転がり主審は「技有」を宣告。

ここまで僅か57秒。「技有」2つの合技「一本」であっさり試合が終わった。三並は新井の強さを見誤っていたかのような試合ぶり。過程を飛ばし、最短距離で相手に力を伝える行動を採ったところがいずれもあっさり切り返されて失点2回。新井の、まさに完勝であった。

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副将戦は双方低い位置での組み合いが続き、引き分け。

スコア1-0、埼玉栄中リードで迎える副将戦は大成・佐々木勇翔、埼玉栄・峰優月ともに右組みの相四つ。佐々木が引き手で袖を絞り、釣り手を得てはステップを切っての支釣込足で細かく攻めるが峰は揺るがず。50秒、双方に消極的との咎で「指導」。佐々木は袖を絞っての右大外落、峰は右一本背負投で攻め合うがいずれも作りが足りず、技の効果は展開を切るにとどまる。残り時間1分が近づくところでお互い低く前傾しながら組み合う形が続き、2分4秒主審は試合を止めて佐々木に片襟の「指導2」を宣告。形上佐々木は後がなくなったわけだが、しかし以後も双方試合を壊すような大きな動きはみられない。この試合はそのまま引き分けとなった。

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埼玉栄の大将坂口稜が鈴木魁人から内股巻込「技有

迎えた大将戦は大成・鈴木魁人と埼玉栄・坂口稜ともに左組みの相四つ。坂口引き手を抱き込んで前に誘導、左内股で先制攻撃。鈴木は引き手で襟を持っての左大外刈を度々放つがいずれも腰を切ってしっかり受ける坂口の膝まで刈り足が届き切らない。坂口は奥襟を叩くと引き手を得、これを徐々に深く抱き込みながらじわりと接近を続ける。この形から左内股、さらに左払巻込と仕掛けた2度の前技はいずれも潰れてしまったが、2分23秒に同じ形を作ると一段大きく前に引き出し、ひときわ思い切りよく、打点を低く取った左内股巻込。これまでとインパクトをずらされた鈴木の上体が伸び、崩れて膝を着くと見るや軸足を開いて押し込んで回旋をフォロー。この技は「技有」。坂口そのまま腕一本を抱えた崩袈裟固で抑え切り、2分35秒合技「一本」。これで全5戦が終了した。

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埼玉栄中の面々

埼玉栄中学校 2-0 大成中学校
(先)杉野瑛星×引分×鈴木恵介
(次)粂田和樹×引分×山科啓容
(中)新井道大〇合技[大内刈・払巻込](0:53)△三並壮太
(副)峰優月×引分×佐々木勇翔
(大)坂口稜〇合技[内股巻込・崩袈裟固](2:35)△鈴木魁人

取るべきところを取り、抑えるべきところを抑えた埼玉栄のまさしく完勝。全国中学大会から一段明らかに強くなった新井道大が同階級の王者・三並壮太を一蹴した中堅戦終了時点で、スコア的にも士気の面でも試合が終わったという印象だった。大成、終わってから振り返れば先鋒戦と次鋒戦で遮二無二ラッシュを掛けるべきだったという考え方もあるが、三並の1点を折り込んで考えるべき盤面構図の中ではこれは無理からぬところ。新井は8月の時点では力をどう得点に繋げるのかまだ手探りしながら上位戦を戦っているという印象であったが、この日の動きは自信に溢れ、まったく迷いがなかった。この選手の成長が全てを決めたと言ってもいい一番だった。

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最優秀選手賞の新井道大

【入賞者】
優 勝:埼玉栄中学校(埼玉)
準優勝:大成中学校(愛知)
第三位:東海大相模高中等部(神奈川)、望海中学校(兵庫)

最優秀選手賞:新井道大(埼玉栄中)
優秀選手賞:佐々木勇翔(大成中)、服部辰成(東海大相模中)、顕徳海利(望海中)

埼玉栄中・大野勝浩監督のコメント
「今日は嬉しさよりホッとした気持ちです。全国中学校大会をメインにやって来たので、子どもたちも私も気持ちがなかなか上がってこない。私もそれを悟られないように一生懸命空元気でやってきました。(-「ノリ」のトレーニングは?)やりましたよ!体力というよりは、まさに気持ちを作るためですね(笑)。(-新井選手の成長に驚きました)はい。個人戦の悔しさ、また全国中学校大会で三並選手と戦えなかった悔しさを今回ぶつけてくれました。チームとしてはディフェンディングチャンピオンの形ですが、彼は挑戦者の立場だったわけです。決勝はまさに、新井の中堅戦がカギで、だいたいここで決まるだろうというオーダー。坂口は計算が立ちますので、あの試合が鍵でした。(-新井選手について?)入って来たときは同学年9人の中で9番手で、県大会にも出られない選手でした。本当に良く頑張る子で、驚くほど成長してくれました。(-今年を振り返って?) チームがスタートした時点では、まさかここまでの結果が残せるとは思いませんでした。昨年の強い代に育てられたチームですが、彼らが出来なかった全中とマルちゃん杯の2冠を達成したわけですから。正直驚いていますし、自信にもなりました。(-その代が高校進学するにあたって?)一つ上の代と競って高校でも日本一を取って欲しいですし、中高だけでなくその先も活躍して欲しい。いまも先のことを考えて奇襲技などは一切禁止で、しっかり地力を練る稽古をさせています。本人たちも、中高だけでなくその「先」を見て頑張って欲しいです。」

新井道大選手のコメント
「自分は1回ポイントを取るとガンガン行ける。決勝も先に取れたので思い切り攻めることが出来ました。中学に入ったときは本当に弱かったのですが、努力して、追い込んで続けて来たことが良かったんだと思います。努力家だな、と自分でも思えます(笑)。決勝で戦った三並選手はいいライバルだと思っていますし、まず、こうやって思い切り戦える相手がいることになにより感謝したいです。将来の目標はオリンピック、パリ大会の次の出場を目指します。」

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準優勝の大成中学校

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第3位の東海大相模高中等部

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第3位の望海中学校

【準々決勝】

大成中学校(愛知) 5-0 東海大浦安高中等部(千葉)
(先)鈴木恵介〇優勢[技有・大腰]△三崎大和
(次)山科啓容〇内股返(1:42)△栗田嵩大
(中)三並壮太〇送襟絞(0:33)△東川伯
(副)佐々木勇翔〇合技(1:37)△大峯光生
(大)鈴木魁人〇大外刈(1:09)△井桁飛翔

東海大相模高中等部(神奈川) 2-0 国士舘中学校(東京)
(先)服部辰成〇合技(0:18)△川端奏来
(次)木原慧登〇肩固(1:29)△鈴木挙斗
(中)田中詩音×引分×横手和輝
(副)金杉元太×引分×唐木康大
(大)手塚春太朗×引分×畠山凱

埼玉栄中学校(埼玉) 3-0 新井道場(埼玉)
(先)杉野瑛星〇合技(2:14)△高橋光永
(次)粂田和樹×引分×坂東新
(中)新井道大〇内股(1:15)△千田隆雅
(副)峰優月×引分×高橋翔
(大)坂口稜〇払腰(1:50)△井田翔大

望海中学校(兵庫) 2-1 やるキッズ柔道クラブ(福岡)
(先)顕徳海利〇優勢[技有・大内刈]△竹本圭吾
(次)高森和△優勢[技有・大内刈]〇谷口斗唯
(中)永澤慎悟〇反則[指導3](2:15)△大石晋太郎
(副)中村乾渡×引分×佐藤晴輝
(大)村瀬浩樹×引分×川原力

【準決勝】

大成中学校 2-1 東海大相模高中等部
(先)鈴木恵介×引分×服部辰成
(次)山科啓容×引分×木原慧登
(中)三並壮太〇優勢[技有・内股]△田中詩音
(副)佐々木勇翔〇払腰(2:58)△金杉元太
(大)鈴木魁人△優勢[技有・払腰]〇手塚春太朗

埼玉栄中学校 2-1 望海中学校
(先)杉野瑛星×引分×顕徳海利
(次)粂田和樹〇優勢[技有・体落]△高森和
(中)新井道大〇隅落(2:40)△永澤慎悟
(副)峰優月△大内刈(0:57)〇中村乾渡
(大)坂口稜×引分×村瀬浩樹

【決勝】

埼玉栄中学校 2-0 大成中学校
(先)杉野瑛星×引分×鈴木恵介
(次)粂田和樹×引分×山科啓容
(中)新井道大〇合技[大内刈・払巻込](0:53)△三並壮太
(副)峰優月×引分×佐々木勇翔
(大)坂口稜〇合技[内股巻込・崩袈裟固](2:35)△鈴木魁人


※公式記録をもとに、視認出来た誤りを修正して作成しています
※無断転載、転用を禁じます

※ eJudoメルマガ版9月22日掲載記事より転載・編集しています。

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