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【即日レポート】五條東中が初優勝、2人で戦った東松山北中は決勝で涙・第50回全国中学校柔道大会女子団体戦

(2019年8月17日)

※ eJudoメルマガ版8月17日掲載記事より転載・編集しています。
五條東中が初優勝、2人で戦った東松山北中は決勝で涙
第50回全国中学校柔道大会女子団体戦即日レポート
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開会式。選手宣誓は滝浪昭嘉(姫路市立灘中)と本田万結(明石市立二見中)の2選手が務めた。

日時:2019年8月17日
会場:兵庫県姫路市「ウインク武道館(兵庫県立武道館)」

取材・撮影:eJudo編集部

ことしの中学柔道日本一を決める第50回全国中学校柔道大会が17日、兵庫県姫路市「ウインク武道館(兵庫県立武道館)で開幕。初日は女子団体戦の競技が行われた。

12月のサニックス旗福岡国際中学生大会(3人制、体重無差別、試合ごとの配列変更可能)、3月の近代柔道杯(3人制、体重別)と中学生の巨大大会数あれど、掛ける熱量けた違い、かつ体重無差別の3人制、配列固定という1点が極めて重いレギュレーションで行われる今大会はまさしく年間最難関大会。サニックス旗では五條東中(奈良)、近代柔道杯では田島中(埼玉)がそれぞれ優勝して、かつ田島中が予選で敗れている今年の展望は「混戦」。果たして栄冠を掴むのはどのチームか。

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準々決勝、東松山北中の大将星野七虹が体格差を跳ね返し、箕島中・朝原寿天良の懐に飛び込んで大内刈「一本」

【準決勝まで】

3校による予選リーグ、そしてこれを勝ち抜いた強豪16校による決勝トーナメントを経て準決勝に進んだのは東松山北中(埼玉)、中広中(広島)、五條東中(奈良)、淑徳中(東京)の強豪4校。

東松山北中は1週間前の関東大会でレギュラー島野芽李が足を負傷。中堅新井心彩、大将星野七虹の2人だけで戦いに臨んだ。1点ビハインドでスタートする苦しい戦いだが、いずれの試合もここから2人が全勝。予選リーグは福江中(長崎)と岡?理?附属中(岡山)、決勝トーナメント1回戦は藤枝順心中とすべて後衛が2連勝しての2-1で勝利。準々決勝の箕島中(和歌山)との試合は、1点ビハインドで出動した中堅新井が溝口沙美を相手に試合序盤に「技有」を失う大ピンチ。しかし大内刈「技有」を取り返して窮地を脱すると得意の釣込腰で攻めまくり「指導3」を得て勝利。続く大将戦は63kg級の星野が体重110キロの朝原寿天良の連続攻撃に怖じず、懐に飛び込んで豪快大内刈「一本」。この試合も2-1で勝利を収め、みごと準決勝の畳へ。

中広中は予選リーグで長岡東中(新潟)を3-0、沖縄尚学中(沖縄)を2-0で下して決勝トーナメント進出。二見中(兵庫)との1回戦は先鋒今岡そらの「技有」優勢をテコに、大将戦のエース対決では本田万智が本田万結としっかり引き分けて1-0で勝利。しぶとい金目中(神奈川)との準々決勝も、今岡の「技有」優勢をテコに、以降をしっかり引き分けて1-0。みごとベスト4に辿り着いた。

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準々決勝、五條東中の大将大場桜萌が大成中・飯田星那から合技「一本」

サニックス旗優勝、近代柔道杯2位の五條東中は横綱相撲。予選リーグは仁淀中(高知)と足利第一中(栃木)をいずれも3-0、決勝トーナメント1回戦も松江第二中(島根)を3-0のパーフェクトスコアで下す。勝負どころとなった大成中(愛知)との準々決勝は、2戦引き分けを受けた大将戦で大場桜萌が飯田星那から開始24秒値千金の合技「一本」。スコア1-0で勝利してベスト4入りを決めた。

淑徳中は予選リーグで高川学園中(山口)に2-0、福井工大福井中(福井)に3-0で勝利。決トーナメント1回戦も守山中(滋賀)からしぶとく勝利を重ねてスコアを3-0まで伸ばした圧勝。敬愛中(福岡)を畳に迎えた準々決勝は先鋒森近颯の一本勝ちと、中堅徳田和華の「指導3」による勝利をテコに2-0で勝ち抜け。ベスト4で五條東中に挑むこととなった。

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東松山北中の中堅新井心彩が得意の左釣込腰で攻め続ける。

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中広中・城美月から「技有」、そのまま抑え込んで合技の一本勝ち。

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東松山北中の大将星野七虹が左、中広中・本田万智から大外刈「一本」

【準決勝】

[第1試合]
東松山北中(埼玉) 2-1 中広中(広島)
(先) △不戦〇今岡そら
(中)新井心彩〇合技(2:33)△城美月
(大)星野七虹〇大外刈((1:32)△本田万智

東松山北は1点ビハインドスタートも、中堅新井と大将星野の勝利で捲るというこれまでのパターンを準決勝も完遂。

中堅新井心彩は釣り手で横襟を得るなり最小限の作りで左釣込腰の大技に入り続け、1分1秒城美月に消極的との咎で「指導」。奮起した城は鋭い動きで左内股に身を躍らせるが投げ切れず、新井これを捌くと左内股に左釣込腰とさらに加速。残り37秒、釣り手を高く持つと左釣込腰に飛び込み、踏ん張った足を挙げて払腰の形で投げ切って「技有」。そのまま後袈裟固に抑え切って合技「一本」に辿り着く。これでスコアは1-1のタイ。

大将戦は東松山北・星野七虹が左、中広・本田万智が右組みのケンカ四つ。本田巧みな体捌きをベースに右内股と大内刈のコンビネーションで攻め、星野も左内股を連発して試合を作る。31秒、星野はこの構成に初めて外側の技を混ぜ込み、左大外刈。これで本田をひときわ大きく崩す。

星野は両襟の左内股と大内刈、それにこの左大外刈で外側を抑えてと大技3つのコンビネーションで奔放に攻め、再びの大外刈に本田が崩れた直後の58秒本田に「指導」。体格に劣る本田、星野のケンケン大内刈の掛け終わりを待ってひらりと右内股に飛び込むが星野は崩れ切らず。

1分32秒、星野がまたもや内側の技をさらして左大外刈に打って出ると、防御を外側から押さえられた本田そのまま転倒。星野しっかり体をかぶせて「一本」。本田の上手い柔道を、星野が内、外の大技のコンビネーションで狂わせ、力で突破したという一番だった。

これで東松山北は逆転。新井と星野はとうとうここまで全試合一本勝ち、選手2人のみでみごと決勝まで勝ち残ることとなった。

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荒川清楓が切れ味鋭い左払腰、徳田和華から「技有」

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近松朝耶が小外掛も、大場桜萌が釣り手を締めて潰す。

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そのまま大場の送襟絞「一本」で試合終了。五條東中が決勝へ。

[第2試合]
五條東中(奈良) 2-0 淑徳中(東京)
(先)上野明日香×引分×森近颯
(中)荒川清楓〇優勢[技有]△徳田和華
(大)大場桜萌〇送襟絞(2:29)△近松朝耶

先鋒戦の引き分けを受けた中堅対決が激戦。五條東・荒川清楓は左内股に左内巻込と仕掛け続け、徳田和華は相手を引き出す巧みな動きから出足払を入れて対抗。しかし相手との駆け引きを最小限に巻込技を続ける荒川が手数で主導権を握り、1分過ぎからは支釣込足で大きく振ることで徳田の体捌きを封じ、加速。この支釣込足が良く効いて1分34秒には徳田に「指導」。荒川さらに支釣込足で大きく回しておいて良いタイミングの左内股、これに手ごたえを得るとさらに支釣込足、一本背負投と技を繋いで残り30秒ついに徳田に「指導2」。

これでやや徳田の集中が切れたか。あくまで「一本」奪取に執念を燃やす荒川は残り5秒で左払腰を押し込み決定的な「技有」も追加。貴重な先制点を得たのは五條東。

大将戦は五條東・大場桜萌が右、淑徳・近松朝耶が左組みのケンカ四つ。1点ビハインドを背負った近松鋭い左内股を放つが、大場は透かして右体落に飛び込んで動ぜず。この技が効くと見て、ここから次々右体落に飛び込んで試合を引っ張る。残り時間が40秒を過ぎ、このままではチームの敗戦が決まる近松は乾坤一擲の右小外掛で勝負に出る。体を捨てたがしかし大場は崩れず、立ったまま釣り手の拘束を利かせて体を押し付ける。伏せ掛けた近松をそのままいわゆる「腰絞め」で絞め上げると、思い切りよく技を仕掛けた分初動で出遅れた近松の喉にがっちり襟が食い込む。体もしっかり使ったこの技は客観的に見ても回避不可、近松さすがに観念して「参った」。これで3戦全てが終了。五條東中は2-0で勝利、無失点のまま決勝に辿り着くこととなった。

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決勝が開始される。ともにここまでは素晴らしい強さを発揮。

【決勝】

東松山北中(埼玉) - 五條東中(奈良)
(先) △不戦〇上野明日香
(中)新井心彩 - 荒川清楓
(大)星野七虹 - 大場桜萌

東松山北はここまで中堅以降の2人がオール一本勝ち(「指導3」含む)、五條東中はここまで無失点というともに素晴らしい勝ち上がりで迎える決勝。

東松山北は先鋒がおらず、五條東は戦わずして1点リードが確定している。いかな東松山北といえども五條東を前にしてこの状況は厳しい。1試合も落とせない東松山北としてはまずは中堅戦でここまで全勝の新井の釣込腰の連続攻撃が、組み手がうまく力も強い荒川に通じるか、そもそも「させてもらえるか」というところがまずポイント。一方の五條東はスコア上2戦引き分けでも優勝に辿り着けるわけだが、攻撃型を揃えてかつ「全勝以外に道はなし」と腹を括ってくる相手を向こうに回しての引き分け志向は危険。特に乗せると止まらない新井を前のめりにさせてしまうと試合がどう転がるかわからなくなる。こちらもポイントゲッター荒川が勝敗のポイントを握る形になる。中堅戦が大きな勝負どころである。

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中堅戦、五條東中の荒川清楓が東松山北中・新井心彩から両襟の左大内刈「技有」

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荒川は巧みな足技で新井に追撃のきっかけを与えず

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大場桜萌も足技で星野七虹の足元を崩し続ける

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初優勝の五條東中。涙をにじませながら、誇らしげに最後の「礼」に臨む。

相手のいない試合場に現れた先鋒・上野明日香が一礼し、まず五條東が1点をリード。

中堅戦は東松山北・新井心彩、五條東・荒川清楓ともに左組みの相四つ。まず荒川が支釣込足で大きく崩して先制攻撃。続いて荒川グイと両襟で組んで優位、力関係が分かりやすい相四つであるが、どうやら総体の有利は荒川にあり。

こうなれば勝負は早い方が良し、と荒川25秒に両襟から左大内刈を叩き込んで決定的な「技有」確保。新井は横変形にずれて圧を逃がし、腰を入れての外巻込を狙うが荒川は動ぜず。釣り手の肘をこじあげる良い動きから出足払、支釣込足と放って主導権を獲り続ける。

残り41秒には新井の側に「指導」。荒川以降も地力の差をしっかり内容に反映、両襟から大内刈、支釣込足と繰り出し続け、新井にスクランブルのきっかけを与えないままタイムアップ。これでスコアは2-0、早くも五條東の優勝が決まった。

大将戦は東松山北・星野七虹が左、五條東・大場桜萌が右組みのケンカ四つ。星野横襟を深く掴んで前に出るが、体格に劣る大場きちんとゆすって間合いを取り、低く構えては右小外刈を当てて星野に仕掛けのチャンスを与えず。この右小外刈、もし相手の崩れが大きければ即座に走って二段目の刈り込みを入れようという意図がしっかり見えるもの。これに小内刈も混ぜ込んで足元を攻めてくる大場を前に星野容易に前に出られなくなり、これまでの思い切った試合ぶりは鳴りを潜める。内股、大外刈、大内刈と見せるものの都度流れを切られるため散発で、次の技への布石になり得ない。このまま大場が手堅く試合を締めて、大将戦は引き分け。これで全戦が終了、最終スコアは2-0となった。

五條東中(奈良) 2-0 東松山北中(埼玉)
(先)上野明日香〇不戦△
(中)荒川清楓〇優勢[技有]△新井心彩
(大)大場桜萌×引分×星野七虹

五條東は無失点、6戦18試合で14勝無敗という圧勝。かつて広陵中で数々のタイトルを獲得し、異動2年目で全国中学校大会制覇を成し遂げた中尾太保監督は「競り合いの中で、気力が良く出た。このチームらしい試合が出来たと思います」と選手を讃え、感涙にむせぶ生徒たちと握手を繰り返していた。

入賞者と中尾監督、大場桜萌主将のコメント、決勝トーナメントのスコアと準々決勝以降の対戦詳細は下記。

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初優勝の五條東中

【入賞者】
優 勝:五條東中(奈良)
準優勝:東松山北中(埼玉)
第三位:中広中(広島)、淑徳中(東京)
第五位:箕島中(和歌山)、金目中(神奈川)、大成中(愛知)、敬愛中(福岡)
敢闘賞:藤枝順心中(静岡)、有田中(佐賀)、二見中(兵庫)、三滝中(三重)、松江第二中(島根)、東海大浦安高中等部(千葉)、三間中(愛媛)、守山中(滋賀)

中尾太保監督のコメント
「うれしいです。(-優勝候補と言われていましたが?)体格がないので、やってみなければわからない。心配なこともたくさんありましたし。私の中で、稽古を見ていてそこまで飛び抜けた力はないと思っていました。サニックス旗を獲り、近代柔道杯では2位でしたが少なくとも今大会は相当な競り合いになるだろうと。厳しい戦いを覚悟していましたが、この4人は1年生のときから本当に率先して、良く稽古をする子たち。その一生懸命さに、柔道の神様が味方してくれたんじゃないか、そう思える大会でした。競り合いの中で気力が良く出た試合だったと思います。先鋒の上野の調子が良くて、勢いがつきましたね。(-決勝の前はどう声を掛けましたか?)チーム結成時から目標は日本一。今日もあと3つ、あと2つ、と声を掛けてきましたので、決勝で掛けた言葉は『あと1つ』ですね。やってきたことを全力で出し切ろう、とも話をしました。(-MVPは?)全員です。淑徳中学校や東松山北中学校とは大会で戦ったり、練習試合をしたりしていて、相手のこともわかっている。自分が何をすべきかを考えて、その通りにやってくれたと思います。(-体捌きと足技の良さが目立ちました。指導の方針をお聞かせください?)体が大きくないので、間合いを取って戦う柔道はひとつ心掛けています。あとはあくまでそれぞれ。その子の良いところを伸ばす姿勢を大事にしています。」

大場桜萌主将のコメント
「優勝は十分出来る、皆が力をひとつに合わせてやれれば大丈夫と思っていました。チームをまとめるのは大変で、私の力不足で情けないなと思うこともたくさんありました。勝ったのは本当に皆の力のおかげ。私の至らないところをカバーしてもらいました。決勝は『落ち着いてやれば大丈夫』と先生に声を掛けて頂き、いつも通りに戦えたと思います。ホッとして、そして、うれしいです。」

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2位の東松山北中

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3位の淑徳中

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3位の中広中

【決勝トーナメント1回戦】

東松山北中(埼玉) 2-1 藤枝順心中(静岡)
箕島中(和歌山) 3-0 有田中(佐賀)
中広中(広島) 1-0 二見中(兵庫)
金目中(神奈川) 1-0 三滝中(三重)
五條東中(奈良) 3-0 松江第二中(島根)
大成中(愛知) 3-0 東海大浦安中(千葉)
敬愛中(福岡) 2-1 三間中(愛知)
淑徳中(東京) 3-0 守山中(滋賀)

【準々決勝】

東松山北中(埼玉) 2-1 箕島中(和歌山)
(先) △不戦〇椿原里梨
(中)新井心彩〇反則[指導3](2:59)△溝口紗美
(大)星野七虹〇大内刈(2:30)△朝原寿天良

中広中(広島) 1-0 金目中(神奈川)
(先)今岡そら〇優勢[技有]△竹下綾香
(中)城美月×引分×酒井類
(大)本田万智×引分×佐藤蓮

五條東中(奈良) 1-0 大成中(愛知)
(先)上野明日香×引分×清水優陸
(中)荒川清楓×引分×里美奏来
(大)大場桜萌〇合技(0:24)△飯田星那

淑徳中(東京) 2-0 敬愛中
(先)森近颯〇合技(1:27)△大江田美紅
(中)徳田和華〇反則[指導3]△文本愛実
(大)近松朝耶×引分×川﨑愛乃

【準決勝】

東松山北中(埼玉) 2-1 中広中(広島)
(先) △不戦〇今岡そら
(中)新井心彩〇合技(2:33)△城美月
(大)星野七虹〇大外刈((1:32)△本田万智

五條東中(奈良) 2-0 淑徳中(東京)
(先)上野明日香×引分×森近颯
(中)荒川清楓〇優勢[技有]△徳田和華
(大)大場桜萌〇送襟絞(2:29)△近松朝耶

【決勝】

五條東中(奈良) 2-0 東松山北中(埼玉)
(先)上野明日香〇不戦△
(中)荒川清楓〇優勢[技有]△新井心彩
(大)大場桜萌×引分×星野七虹

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