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【レポート】東海大圧巻の5-0勝ち抜け、筑波大は田嶋剛希が飯田健太郎から豪快「一本」奪って決勝へ・第68回全日本学生柔道優勝大会レポート③準決勝

(2019年7月18日)

※ eJudoメルマガ版7月18日掲載記事より転載・編集しています。
東海大圧巻の5-0勝ち抜け、筑波大は田嶋剛希が飯田健太郎から豪快「一本」奪って決勝へ
第68回全日本学生柔道優勝大会レポート③準決勝
大会日時:2019年6月23日
会場:日本武道館
文責:古田英毅(第1試合)、小林大悟/eJudo編集部(第2試合)
撮影:乾晋也、辺見真也
→[記録]男子全試合対戦詳細(eJudoLITE)
→レポート①1回戦~3回戦
→レポート②準々決勝

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準決勝に臨む東海大メンバー。

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日本体育大。この試合も後衛に原田健士と大吉賢をまとめた。

[第1試合]
東海大 - 日本体育大
(先)後藤龍真 - 長井晃志
(次)星野太駆 - 塚本綾
(五)松村颯祐 - 松井海斗
(中)村尾三四郎 - オドバートルハンガル
(三)立川新 - 古賀颯人
(副)清水拓実 - 原田健士
(大)太田彪雅 - 大吉賢

劇的展開を制し続けて勢いに乗る日本体育大に対し、その力関係を覆す「跳ね」が起こらないよう東海大が的確に蓋をした格好の盤面となった。日本体育大躍進の立役者である大吉賢にはエースの太田彪雅を、中核として試合を作って来た古賀颯人には同階級のライバル立川新を手当てされた形。ライバルとはいえ立川はこれまで古賀の持ち味を殺して「指導」差で勝ち抜くことを続けており、センス溢れる古賀が一種つまらない試合を強いられることが頻発している。古賀の減速は日本体育大チーム全体の減速。「勢いを削ぐ」という観点からすればこれほどの嵌り役はないだろう。

立川、清水、太田と東海大の後衛3枚は体格こそバラバラだが、この勢いを削ぐ、「重石」をどこにどう置くかという観点から捉えると東海大のオーダー意図が見えてくる。後藤と村尾という加速装置を前衛と中盤に派遣してリード、勢いを得た上で、これまで終盤捲ることを続けて来た日本体育大の「跳ねどころ」をこの重石3枚で押さえてしまう。かつ星野、松村の重量2枚を後藤と村尾の間に置いて、万が一にも試合を誤らないようバランサーとしてシナリオを調整させる。盤石の布陣である。

となると日本体育大としては、前衛の、東海大が動きを作ってくるポジションでまず勝負を掛けるしか戦いようがない。具体的には攻撃型だが「際」も多い後藤龍真に対して体格が近く打点の高い担ぎという飛び道具を持つ長井晃志がマッチアップする先鋒戦、軽量ながら対大型戦に適性のあるセンス派塚本綾が星野太駆の懐に飛び込む展開が透かし見える次鋒戦、オドバータルハンガルが1年生村尾三四郎をパワーで包みにいける中堅戦である。この、試合が揺れる可能性のある3ポジションで、例えば2得点するというような極端な展開以外に日本体育大勝利は難しいのではないだろうか。後衛に「跳ね」のある駒を3枚配した日本体育大だが、相手が焦って、かつ前に出てくる展開以外ではその個性を発揮するのは難しい。前で取って場を荒らし、焦りを誘ってこれまで起こして来た「後半の確変」を再現するしかない。

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先鋒戦。長井晃志はまず肘を突っ込んで間を詰め、肘抜きの背負投を狙う。

先鋒戦は後藤龍真が左、長井晃志が右組みのケンカ四つ。後藤釣り手の手首を立てながらハッシと襟を握り、出足払に左内股。そのまま前に出て引き手を争うと長井が潰れて「待て」。一方持ちどころを探る長井、30秒過ぎからは後藤に背を抱かせたまま、釣り手の肘を入れて手首を返しながら寄っていくというおそらく一番欲しい形を作り出す。ここから間合いをゼロ距離まで詰めて、腰を突っ込んで打点高く右の背負投を狙うのが長井の得意パターン。後藤は引き手で袖先の内側を僅かに握ることで状況を制御、主審はこれを見て的確に後藤に袖口の「指導」を宣告。試合時間は1分9秒。

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後藤が左小外刈で振り回し「技有」確保。

続く展開も手ごたえを得た長井が釣り手一本の肘を入れ、手首を返しながら体を寄せていく。後藤の釣り手は背中を握っており長井にとっては比較的好ましい形のはずだが、後藤は引き手で襟を得ると腰を沈めて左小外刈。当てられた長井が崩れるとみるや小外掛の形で踏ん張って、時計回りにブンと振る。袖を握った袖、そして背中を握った釣り手の下側への拘束が良く効き、組み手の良さゆえ意識が自らの前技攻撃に傾いていた長井は耐え切れず。当てられた足を中心に円を描く形で体が落下、「技有」。経過時間は1分42秒。

後藤続く展開は引き手から持つなど引き出しをいったん変えて攪乱、左小外刈と内股、大内刈で攻めて意気軒高。2分6秒には長井に片手の「指導」。しかしここから長井が釣り手の肘を入れて寄せ、一発の予感を撒き散らすと後藤が腰を引く場面が多くなる。低く、安定した後藤の構えはいったん防御に気持ちが傾くとこの形に堕ち易い。完全防御のまま潰れた3分6秒、後藤に極端な防御姿勢の「指導2」。ここから主導権は長井に移り、肘を突っ込んで後藤をコーナーに詰めると背負投で浮かせ、相手を下げて内股を入れ、あるいはあと1つの「指導」奪取がありえるのではという状況。しかし時間はもはやなく、組み勝った長井が引込返に飛び込んだところで終了ブザー。大事な先鋒戦は東海大が勝利。

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次鋒戦。星野太駆の鮮やかな出足払が決まり「一本」

次鋒戦は星野太駆が右、塚本綾が左組みのケンカ四つ。大型の星野が釣り手を下から持って肘を入れんと探り、塚本が上から持っての引き手争い。星野が内股の形で腰を切って展開を1度壊し、直後の43秒双方に片手の「指導」。

続く展開、塚本は釣り手を下から高く持つ良い形。上から応じた星野が引き手で襟を得んと手を伸ばすとこの袖を捕まえ、体をゆすって切り、ほぼ一方的に引き手を持つ良い形を作り出す。一方の星野は敢えてこの引き手を持たせたまま進退。塚本の体の揺すりに合わせて手先で僅かに襟を捕まえると、前技フェイントを入れながら思い切り右出足払。

あるいは万全の形を得ていた塚本が左技に飛び込もうと歩を進めたタイミングにかち合ったか。作りの引き出しが良く、吸い込まれるように歩かされた塚本の奥足まで払い足が届く素晴らしい一撃。重量級の質量をまともに食った塚本は両足を浮かせて吹っ飛び、鮮やか「一本」。試合時間1分13秒、これで東海大が2点連取。盤面を考えれば、既に東海大の勝利ほぼ確定と言っていい状況。

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五将戦。松村颯祐が小外刈で突進、松井海斗なんとか腹ばいで着地。

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「やぐら投げ」から内股に繋ぎ、松村が一本勝ち。

五将戦は松村颯祐が右、松井海斗が左組みのケンカ四つ。松村釣り手を下から、そして引き手で袖を折り込む一方的な形で前に出ると松井逆らえず下がり、畳を割りながら左内股に逃れる。松村あっさり跨いで「待て」。

場外に逃す余地を与えてはならないと見たか、松村「はじめ」が掛かると敢えて下がって松井を陣地に引き込んでから組み手を開始。引き寄せて左小外刈で捕まえ、投げ切らんんと力を籠めると松井吹き飛んで腹這い「待て」。

松村今度は敢えて奥襟を叩かせ、松井が背中に持ち換えると応じて抱き込み、近い間合いを保ったまま前へ。松井が左小外掛を見せるとそのまま右内股の形で抱いて突進、松井が側面から畳に落ちて「待て」。続いて松村股中に体落を落とすと松井あっという間に崩れて腹這い、松村が捲ろうと前進したところで「待て」。力は圧倒的に松村に分ありの印象、「掴まえれば勝つ」松村に対し松井が技術で対抗するしかないという形。

続く展開、松村またもや敢えて相手に奥襟を与え、背中を抱き合う形を作り出す。まず「やぐら投げ」の形で腰を上げると、浮いた松井が瞬間上から左小外掛に打って出てくるのを見極め、委細構わず本命の「やぐら」一撃。松井は自ら相手の腰に跳び乗る形となっており、万事休す。松村右内股様に投げ切って1分54秒「一本」。東海大は3連勝。

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中堅戦、村尾三四郎の左体落にオドバートルハンガル大きく崩れる。

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村尾巧みにコントロール「技有」

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村尾が左大内刈で2つ目の「技有」。東海大はこの時点で勝ち抜け決定。

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古賀颯人と立川新の三将戦は相譲らず引き分け。

中堅戦は村尾三四郎が左、オドバートルハンガルが右組みのケンカ四つ。ハンガル露骨に背を抱かんとの構えだが、村尾はフットワークよくハンガルの周囲を旋回。前襟あるいは横襟、悪くても脇下と釣り手でこれをきちんと止められる状況以外は組み合わず、手堅く試合を作る。襟を握ったハンガルが巻き返して密着しようとするとこれも決して付き合わず、都度離れて粘り強く試合をやり直す。ハンガルが背中を持つと応じた村尾が「出し投げ崩し」から自ら膝を着く場面、引き手を得た村尾が思い切って左大外刈を出す場面とあったが大枠展開は動かず。主審は双方に片手の「指導」を付与。

似た展開が何合か続き、村尾が釣り手を高く、引き手で袖を得るほぼ万全の形を作り出す。ここから股中に左体落をドンと落とすと、ハンガル意外なほどに大きく崩れる。股中、というより近い足の太腿に太腿でインパクトを呉れた形のその威力ゆえか。村尾足元に崩れた相手を見るや崩袈裟固の形にコントロール、引き手を強く引いて回旋をフォローしながら体を預けて投げ切り1分39秒「技有」。

ビハインドを負ったハンガル闇雲に抱いては効なしと見てまず両襟で寄り、ここから持ちどころを変える作戦に変更。村尾が小外刈と小内刈で応じるが中途で双方の技が浅くなり、3分14秒両者に消極的との咎で「指導2」。

続く展開、ハンガル左組みで組んだまま突進すると圧を感じた村尾が内股に掛け潰れて「待て」。ハンガルはこれで再びパワー勝負に手ごたえを得たか、早い「はじめ」に乗じてまたもや左にスイッチ、左で肩越しに村尾の後帯を引っ掴む。頭を下げられた村尾だがしかしそのまま引き手を胴に回すと抱きつきの左大内刈一発。旧ルールなら「脚持ち大内刈」を試みたであろう、状況に適った技。体を預けるとハンガル崩れ、村尾は前襟を掴んだ釣り手を上げて頭を拘束。そのまま突っ込んで「技有」。3分33秒合技の「一本」で試合が終わった。東海大は先鋒から4連勝、まさに電車道で早くも決勝進出決定。スコアは実に4-0である。

三将戦は立川新が左、古賀颯人が右組みのケンカ四つ。立川の左大内刈と力強い左大腰、古賀の切れ味鋭い右内股と互いに取り味のある技を繰り出すものの、お互いを良く知るがゆえなかなか決定打にはなりえない。立川が古賀の右内股を乗り越えて左大腰を放つ見せ場もあったが、この試合は相譲らず引き分け。

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清水拓実が腹を出して寄せ、原田健士の仕掛けを封殺。

副将戦は清水拓実が左、原田健士が右組みのケンカ四つ。引き手争いから清水は両襟で寄せんとし、軽量の原田は切り離して一方的な袖の確保にこだわる。36秒双方に片手の「指導」。原田は体格差を意識し、釣り手で肘を入れ、あるいは高く顎を突き、あるいは襟を纏めるがのごとく中央に押し付けてと引き出しを繰り出しつつ引き手を求める。一方の清水は大きい体を十二分に生かし、腹を出して姿勢良く寄せては相手を場外際まで追い込む。追い込まれた原田が内股を見せると清水は腹を出して弾き飛ばし、振り返して「待て」。さらに左大外刈から左足車への連携を2連発。いずれも引き手を得るとまずいったん腹を出し、姿勢を直して間合いを詰めてからの技であるため、効は十分にあり。原田いずれも耐えるものの3分18秒には消極的の咎で「指導2」失陥。原田はスクランブル体勢、体をドンと当てて背中を得ては「出し投げ崩し」を見せ、最後は隅返で清水の膝を着かせたがここでタイムアップ。この試合も引き分けとなり、スコア4-0のまま試合は大将戦へ。

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太田彪雅が鮮やかなフィニッシュ、大吉賢から右内股「一本」

大将戦は太田彪雅が右、大吉賢が左組みのケンカ四つ。太田は釣り手の手首を立て、肘を相手の腕の上に載せて引き手を求める。下がりながらこれを嫌った大吉に32秒片手の「指導」。

大吉続く展開では巴投に打って出るが十分予期した太田は横移動して捌き、相手の脚を担いでパス。大吉反転して逃れ、太田がローリングを試みて捲ったところで「待て」。試合時間は1分2秒。

続く展開、太田は引き手で袖、釣り手で横襟を持って手首を立てる万全の形を作ると膝を揚げ、相手の膝裏に右小外刈を見舞う。嫌った大吉は巴投に飛び込み、「指導」失陥を嫌ったかそのまま立ち上がって攻防に戻る。太田場が動いたこの間合いを逃さず、必殺の右内股。まず小外刈のフェイントで脚を振り、大吉が一歩下がったところに飛び込みで放った一撃。一瞬剛体となった大吉は受けることが出来ず綺麗に一回転「一本」。動きの良い大吉をまず止め、次いで斬り落とした太田の完璧な一撃で全戦終了、スコアは実に5-0まで伸びた。

東海大 5-0 日本体育大
(先)後藤龍真○優勢[技有・大内返]△長井晃志
(次)星野太駆〇出足払(1:13)△塚本綾
(五)松村颯祐〇内股(1:54)△松井海斗
(中)村尾三四郎〇合技[体落・大内刈](3:33)△オドバートルハンガル
(三)立川新×引分×古賀颯人
(副)清水拓実×引分×原田健士
(大)太田彪雅〇内股(1:42)△大吉賢

起こりからまとめまで、東海大が獲るべき分岐点全てを奪った一番。局面それぞれでは拮抗もあったが、最終的には大差となった。勝負すべきポジションを取られ、耐えるべきところを砕かれた日本体育大は為す術なし。配列の噛み合わせの妙はあったが、これが優勝大会の準決勝とはにわかに信じられない大差の試合となった。

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横内晋介と仲佐怜優の先鋒戦

筑波大 1-0 国士舘大
(先)横内晋介×引分×仲佐怜優
(次)千野根有我×引分×清水雅義
(五)石川竜多×引分×加賀谷武弘
(中)佐々木卓摩×引分×安田夢飛
(三)上野翔平×引分×岩渕晃大
(副)関根聖隆×引分×山下魁輝
(大)田嶋剛希〇大外刈(1:23)△飯田健太郎

先鋒戦は横内晋介、仲佐怜優ともに左組みの相四つ。両者慎重に試合に入り、激しい組み手争いが続く。ともに横にずれて相手の釣り手を絞りにかかり、なかなか組み合うには至らない。40秒に仲佐が2段モーションの片襟左背負投で相手を大きく崩すが、これは横内が下半身を残して粘りポイントならず。以後は組み手に拘るあまり十分な形を作れず、互いに組み際の担ぎ技で攻め合う展開が続く。結果、ポイントが想起されるレベルの技は冒頭の仲佐の一撃のみで、そのまま試合が終了。先鋒戦は引き分けとなる。

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次鋒戦、清水雅義が担ぎ技で攻める

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千野根有我がギアを上げ、ペースを取り返す。

次鋒戦は千野根有我、清水雅義ともに右組みの相四つ。この試合は一貫して釣り手で高い位置を持って寄せたい千野根と、相手の釣り手を絞りたい清水という構図で進む。両者ともに妥協せず、持っては切っての激しい組み手争い。35秒に引き手で袖を確保した清水が左一本背負投を仕掛けるが、千野根は立ったまま動ぜずこれを受け切って再び組み手争い。1分13秒には両者に取り組まないとして「指導」が与えられる。力関係的には千野根優位も、清水は左右の手を出し入れする巧みな進退で相手に形を作らせない。2分11秒には清水が右背負投で相手を伏せさせ、いわゆる「国士舘返し」から寝技を展開してどちらかというと流れは清水。しかし、残り時間が2分を切ったあたりから千野根がペースを上げ、引き手を突き出しながらの前進を開始。以降は一転して千野根が試合の主導権を握ることとなる。2分44秒には千野根の圧を嫌った清水が中途半端な右小内刈で伏せ、これを千野根が「腰絞め」の形から捲りかける場面も生まれる。さらに3分12秒には清水のみに取り組まないとして「指導2」。千野根はさらにギアを上げ、残る「指導」ひとつを得んと圧を掛けながら前進。しかし、試合巧者の清水は組み手の出し入れと担ぎ技の連発によりこれを許さず、押し込まれつつも決定的なミスは決して犯さない。試合終了間際には焦って前に出た千野根を右一本背負投で抜き落として投げ掛ける場面も作り、ぶじに試合を終える。この試合は引き分け、スコアは依然0-0のまま。

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石川竜多の鷹揚な組み手に付け込み、加賀谷武弘が巻き込みで手数を積む

五将戦は石川竜多が左、加賀谷武弘が右組みのケンカ四つ。彼我の戦力差を考えるならば、筑波はここで確実に得点したいところ。石川は試合が始まるなり釣り手で相手の背中深くを持ち、懐に抱き込む得意の形を作る。ここから相手を引き出しての足技を狙うが、加賀谷もこの形は当然十分警戒、、すぐに引き手を切ると釣り手を突いて距離をとる。石川は意外にもあっさりとこの形を受け入れ、引き手争いが続いた53秒、両者に片手の「指導1」。以降の攻防はこの形の繰り返し。石川の鷹揚な試合運びにリスクを嫌う加賀谷が乗じる形で淡々と時間が進み、3分1秒に両者に取り組まない咎による「指導」が1つずつ追加されたのみで、この試合も引き分けとなる。

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佐々木卓摩が安田夢飛に隅返。これがこの試合最大の見せ場だった。

中堅戦は佐々木卓摩が左、安田夢飛が右組みのケンカ四つ。佐々木が上から、安田が下から釣り手を持っての圧の掛け合い。大枠体格に勝る佐々木が押し勝つも、安田も足を飛ばしてこれに対抗して試合は拮抗。両者これといった技が出ないまま、引き手争いで試合は中盤まで進む。2分7秒、佐々木は引き手を得ると相手を場外際に押し込みながら釣り手の位置を徐々に深め、思い切り良く左方向への隅返に潜り込む。安田は前のめりに大きく崩れるも自由な右手を突いて側方倒立回転。腹側から着地して失点を逃れる。終わってみればこれが最大の見せ場、以降は再び圧を掛け合っての組み手争い。残り10秒過ぎに佐々木が再び隅返を狙うも安田がこれを読み切って捌き、そのまま試合終了を迎える。4戦連続の引き分け、スコアレスのまま試合は三将戦へ。

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岩渕晃大が右一本背負投、上野翔平が抱えて返しを試みる

三将戦は上野翔平、岩渕晃大ともに右組みの相四つ。岩渕は左構えで試合を始め、13秒に相手を引き出しつつ思い切りの良い左一本背負投に飛び込む。上野抜け落ちるようにして伏せ、「待て」。岩淵は最初からエンジン全開といった様子。続く展開では上野が奥襟を得て組み勝つが、岩渕はそのまま下から突き上げるように押し込み、場外際で左一本背負投を仕掛けて展開をリセット。直後の52秒、上野に消極的の「指導」が与えられる。試合の主導権は岩渕であるが、展開を取り返したい上野しかし組み合っては事故が起こりかねないと判断したか、体格差を利した巻き込み攻勢に打って出る。岩渕優位という大枠は変わらぬものの、これによって上野がやや流れを取り戻し、以降は上野が右払巻込、岩渕が左右の一本背負投を仕掛け合う形で試合は拮抗。3分13秒には岩渕に取り組まない咎による「指導」が与えられ、ここからポイントの変動はないまま試合が終わる。結果は引き分け。岩渕は思い切りの良い担ぎ技で度々相手の懐まで侵入して場内を沸かせるも、体格差の前にあと一歩取り切れなかった。

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山下魁輝が関根聖隆に大内返。関根は次戦の大将対決を意識したかやや慎重なまま試合を終える。

ポイントゲッター同士がマッチアップした副将戦は関根聖隆が左、山下魁輝が右組みのケンカ四つ。組み止めたい本格派の山下に、担ぎ技を連発することで攻撃のリズムを作りたい巧者・関根という構図。まずは17秒に関根が仰け反るようにして強引な左背負投を試みるが、山下これを立ったまま受け切り「待て」。関根としてはこのまま自らの技を続けて橋頭堡となる「指導」を得たいところだが、続く攻防は山下が先に右内股を仕掛けて的確に流れを切る。続く攻防、組み合った状態から関根が左背負投を2連続で放つと、直後の1分15秒、山下に消極的の「指導」。常の関根であれば、ここから怒涛の連続攻撃で投げずとも「指導」を積み重ねるところだが、山下の足技を警戒するゆえかやや慎重。組み手にこだわりすぎ、1分40秒に取り組まない咎で反対に「指導」を失ってしまう。以降は関根が手数を積み、山下が大技一発でそれをリセットする展開の繰り返し。2分43秒には山下が関根の左大内刈を大内返で返しかける場面も見られたが、ポイントに繋がるような場面はこれ1つのみ。どちらも無理せず手堅く試合を進め、残り7秒に両袖を絞った山下にブロッキングの「指導2」が加えられたのみで試合は終了となった。これで6試合連続の引き分け。スコア0-0のまま勝負の行方は両校のエースが控える大将戦に委ねられることとなる。

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田嶋剛希と飯田健太郎が大将戦でマッチアップ。

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飯田が浅く右大外刈の探りを入れる

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その動きの起こりを捉え、先んじて田嶋が右大外刈。鮮やか「一本」

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筑波大の決勝進出が決まった。

国士舘高の先輩後輩対決は、田嶋剛希、飯田健太郎ともに右組みの相四つ。まずは飯田が両襟で奥襟を得て組み勝ち、引き手で袖を探りながら相手をじっくりと畳に引きずり落とす。しかし、続く攻防では田嶋が組み手争いから片襟の左小外刈を放って飯田を大きく崩し、あわやポイントかという場面を作る。飯田は相手が手の内を知られた高校の先輩とあって、相当戦いにくい様子。一方の田嶋は、1階級上で既に国際大会でも活躍する飯田を相手にしても、どこか余裕を感じさせる戦いぶり。続く攻防、前段の一撃で警戒を強めた飯田はやや腰を引いて組み手を開始するが、田嶋にとってはこれは願ってもない形。強引な左袖釣込腰からそのまま向き直っての右大外刈に連絡し、再び飯田を畳に這わせる。直後の44秒、飯田に消極的の「指導」。

飯田は続く展開でも先程と同様やや腰を引いた構えで組み手を始め、しかし今度は奥襟を得ることに成功する。さらに引き手で袖を得た万全の形を作り、相手を引き出しながら刃を入れるタイミングを探る。絶対的に有利な形である。しかし田嶋はやや横にずれながら引き手で相手の釣り手の袖口付近を持ち、あくまで正対したままじっくりと前に出続ける。田嶋が相手の引き手を切ると、飯田は引き手を脇に持ち替え牽制の右大外刈を浅く当てる。直後、飯田が引き手を袖に持ち替えようとしたタイミングで田嶋が右一本背負投。しかし、これは飯田の奥襟が効いており十分に回転が出来ず不発に終わる。

両者再び正対し、飯田は再度引き手で袖を得た万全の形を作る。田嶋は横変形にずれて飯田の釣り手に顎を乗せ、待ちの構え。すると飯田、次の一手をやや思案したか、探るように浅く不用意に大外刈の形で右足を伸ばす。この際、相手にぶら下がられている釣り手が伸びてしまい、これが命取り。田嶋はこの一瞬の好機を見逃さず、飯田の体が伸び切ったところで大外返に近い理合で横方向へ必殺の「一本大外」に飛び込む。釣り手を相手の後腰に添える形に変えて倒れ込むと、飯田たまらず吹っ飛び、1分23秒、豪快「一本」。田嶋から古巣・国士舘への強烈すぎる恩返し。エース対決の劇的な決着により、接戦を1-0で制した筑波大が決勝へと勝ち上がることとなった。

結果決まった第68回大会決勝カードは、

東海大(東京) - 筑波大(関東)

となった。

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