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【レポート】東海大貫録の圧勝、日本体育大はまたもや大吉の一発で天理大を退ける・第68回全日本学生柔道優勝大会レポート②準々決勝

(2019年7月17日)

※ eJudoメルマガ版7月17日掲載記事より転載・編集しています。
【レポート】東海大貫録の圧勝、日本体育大はまたもや大吉の一発で天理大を退ける
第68回全日本学生柔道優勝大会レポート②準々決勝
大会日時:2019年6月23日
会場:日本武道館
文責:古田英毅/取材:eJudo編集部
撮影:乾晋也、辺見真也
→[記録]男子全試合対戦詳細(eJudoLITE)
→レポート①1回戦~3回戦

■ 準々決勝
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東海大の中堅後藤龍真が加藤慎之助を内股で大きく崩す。

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副将清水拓実が間合いを寄せ続ける。直後新垣翔二郎の背負投を返して「技有」確保。

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大将戦のエース対決、太田彪雅が西田将樹から左袖釣込腰「一本」

東海大 5-0 山梨学院大
(先)立川新〇優勢[技有・一本背負投]△畠山竜弥
(次)松村颯祐〇袖釣込腰(2:00)△山科良悟
(五)中島大貴×引分×桑原宏典
(中)後藤龍真〇優勢[技有・内股]△加藤慎之助
(三)星野太駆×引分×岩田歩夢
(副)清水拓実〇合技[谷落・横四方固](1:35)△新垣翔二郎
(大)太田彪雅〇袖釣込腰(1:20)△西田将樹

東海大は太田彪雅、後藤龍真、松村颯祐の軸を据えたまま、脇を固める選手をシャッフル。3戦目となる準々決勝は、初めて立川新(4年)と中島大貴(2年)を投入した。

試合自体は圧勝。先鋒戦は立川が3階級上の畠山竜弥を相手に奥襟をがっぷり取って頭を下げさせる上から目線の柔道。中途でブロッキングの「指導」を貰ったが、直後左一本背負投で「技有」を確保してしっかり優勢勝ち。

続く次鋒戦の2年生対決は松村颯祐、山科良悟ともに右組みの相四つ。山科得意の支釣込足に松村まったく揺るがず、引き手で奥襟、釣り手で横帯を引っ掴むと右大内刈。間合いを詰められた山科の重心が不安定になると見るやそのまま支釣込足一撃。山科吹っ飛び、しかしあまりにも回り過ぎてしまったためこれは「技有」。しかし完全に試合を支配した松村、続いて左袖釣込腰で軽々投げ上げ、2分0秒完璧な「一本」。

この時点で試合の流れは大枠確定。五将戦は中島大貴が桑原宏典の巴投に崩されるシーンが目立ち「指導」1つ失陥で引き分けも、中堅戦は後藤龍真がしっかり流れを引き戻す。左相四つの加藤慎之助を脚を高く揚げての内股で崩し、腹ばいに着地せんとした瞬間巧みに回して「技有」確保。この一撃で優勢勝ち。加藤は落ち際の粘りでなかなか得点を許さなかったが、最終的には後藤の攻めの厚みが勝った。続く三将星野太駆は引き分けたが、副将清水拓実はまたもや腹を出して距離を詰め続け、ケンカ四つの新垣翔二郎が肘を突っ込んでの右背負投を見せると待ち構えて谷落に捉えて「技有」。そのまま横四方固に抑え込んで合技の一本勝ち。

東海大の大幅リードで迎えた大将戦のエース対決は太田彪雅が1分20秒に左袖釣込腰、巨漢西田将樹一瞬耐えたが太田の身体ごとの回旋に崩落、「一本」。東海大は無失点継続。この準々決勝も5-0という大差で勝ち抜いてベスト4入りを決めた。

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1点を追う天理大は五将中野寛太が松井海斗からまず大内返「技有」

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中野は続いて支釣込足「一本」をマーク

日本体育大 2-1 天理大
(先)長井晃志×引分×ツェツェンツェンゲルオドフー
(次)古賀颯人〇合技[内股・一本背負投](3:28)△植岡虎太郎
(五)松井海斗△支釣込足(3:26)〇中野寛太
(中)塚本綾×引分×河田闘志
(三)原田健士×引分×半田晋助
(副)オドバートルハンガル×引分×笠原大雅
(大)大吉賢〇引込返(3:53)△田中太基

盤面構成、そしてともに乗るか反るかの攻撃型であるという選手属性からも大きなポイントになるであろうと思われた先鋒戦は、ツェツェンツェンゲルオドフーが左釣り手で背中を抱き、長井が右釣り手の肘を入れてブロックしながらこの形をテコに右背負投を狙うという展開。終盤、長井が相手の釣り手をずらすなり打点高い右背負投で見事に放り投げて、主審即座に「一本」を宣告。しかし落ち際に両手が離れたゆえかこれは合議となり、結果これは取り消されてノーポイント。熱戦4分互いに譲らずこの試合は引き分けに終わった。
日本体育大が取り逃したのか、それとも惜しい場面を作って以後で流れを持って来ることになるのか、この段階では判断し難いところ。

次鋒戦は天理の1年生レギュラー植岡虎太郎が唸る勢いで片手の右背負投を連発するが、73kg級学生王者の古賀颯人は動じず。植岡の動作の際を狙って的確に技を打ち込み、内股「技有」、さらに右一本背負投「技有」と鮮やかな投げを2連発。合技「一本」で日本体育大に貴重な先制点をもたらした。

五将戦は前戦の殊勲者松井海斗に、1年生ながらエースを張る中野寛太がマッチアップ。中野は左相四つの松井を左大外刈で攻め続け、かわして潰れた松井に偽装攻撃の「指導」。直後打開を図った松井がガップリ持っての左大内刈に打って出るが、中野首を抱えて捩じり返し大内返「技有」。ほぼ「一本」級であったこの技でもはや勝負あった印象、続いて中野が得意の支釣込足を決めて、鮮やか「一本」。ここでスコアはタイに戻った。

塚本綾と河田闘志の対戦は、中盤河田が前技フェイントから放った小外刈を塚本がかわして巴投、塚本が激しく体を捨てたためこれに河田の「技有」が宣せられたがすぐに取り消され、結局この中堅戦は引き分け。続く原田健士と半田晋助の三将戦は原田が体格差に怖じずに奥襟を叩き、半田から消極的の「指導」1つをもぎ取るがこれも引き分け。オドバートルハンガルと笠原大雅の副将戦もハンガルに場外の「指導」1つが入ったのみで引き分けとなり、試合はタイスコアのまま大将戦へともつれ込む。

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タイスコアで迎えた大将戦で大吉賢がまたもや大仕事。田中太基から引込返「一本」

大将戦は前戦の殊勲者・大吉賢と田中太基がマッチアップ。双方片手による「指導」失陥を経た終盤、大吉が加速。田中の右背負投の掛け潰れに腕挫十字固を狙い、さらに回しこみの左内股から再度の腕挫十字固に繋いで猛攻。このままタイスコアで代表戦となれば中野寛太を擁する天理大優位と観測される、そのバックグランドをよく理解してあたかもこれが決勝戦のような切迫感ある攻撃。そして最終盤、ついに間合いを寄せ切って後帯を得ると引込返一発。頭を下げられた田中抗えず一回転「一本」。

大吉が前戦に続いて決定的な仕事を果たし、日本体育大はベスト4入り決定。

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先鋒戦、増山香補が千野根有我から大内刈「技有」

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五将戦、神鳥剛と田中英二朗が激しい攻防

筑波大 3-2 明治大
(先)千野根有我△優勢[技有・大内刈]〇増山香補
(次)石川竜多〇反則(3:37)△藤鷹裕大
(五)関根聖隆×引分×羽田野竜輝
(中)田中英二朗△優勢[技有・小内刈]〇神鳥剛
(三)田嶋剛希〇釣腰(1:46)△山本康生
(副)佐々木卓摩×引分×神垣和他
(大)横内晋介〇合技(2:04)△飯島敦也

先鋒戦は体格に大きく勝る千野根有我が鋭い支釣込足で攻めるも、終盤増山香補が斜めから大内刈を捩じ入れてしっかり「技有」確保。ポイントゲッターを先鋒に突っ込んだ明治大、積極策実って先制に成功。

明治大はここから、ここまで2勝の1年生藤鷹雄大に大型の羽田野竜輝、続いて主将の神鳥剛という前重心布陣。以後の打撃力が副将神垣和他1枚にほぼ限られることを考えればこのブロックで少しでもリードを広げたいところだが、筑波大もここに石川竜多に関根聖隆と100kg級のトップクラスをまとめて配置。次鋒戦は左相四つの藤鷹と石川が厳しく組み手の優位を取り合い、結果「指導2」対「指導3」で石川が勝利。スコアは早くもタイとなり、内容差で筑波大がリード。

続く五将戦はどちらも得点が欲しい戦力の交点であるが、関根聖隆のラッシュを羽田野竜輝がサイズと大技で剥がし、決定的な場面を作らせぬまま引き分け。続く中堅戦は神鳥剛が田中英二朗を相手にしぶとく小内刈「技有」を奪って優勢勝ち、明治大は2-1と勝ち越し。

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筑波大は三将田嶋剛希が豪快な釣腰「一本」。あっという間に勝ち越し。

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筑波大の大将横内晋介が飯島敦也から背負投で2つ目の「技有」

明治の得点ブロックが終了したこの時点で、スコアは2-1、明治大の2点はいずれも「技有」優勢。この収支をどう見るかということになるが、以後の盤面を考えればスコア上はリードも流れは決して明治のものならず。

筑波大は続く三将戦で田嶋剛希が山本康生の後帯を引っ掴んで豪快な左釣腰「一本」。早くもこの時点で勝ち越しに成功。スコア2-2、内容差で筑波大リードである。明治大は前衛4枚でなんとか作り出したアドバンテージを早くも使い果たす。

副将戦は勝利必須の2年生ポイントゲッター神垣和他が必死に前に出るが、佐々木卓摩が上手く試合をまとめて引き分け。

そしてスコア2-2のまま迎えた大将戦は筑波大・横内晋介が飯島敦也を圧倒。投げを2度決めての合技「一本」で明治大を突き放し、この試合はスコア3-2で筑波大が勝利することとなった。

得点差は僅少、かつ後衛3枚での逆転劇という形上は接戦であったが、大きく言って筑波大の側にペースがあり続けた試合であった。田嶋の「一本」のインパクトは比類なし、しっかりエースの仕事を果たした。

敗れた明治大だが、戦力からすればむしろ健闘であったと言える。明治大がこの場刹那の勝負力で力の差を跳ね返そうとしたが、筑波大が戦力の厚さとエースの仕事の確かさでこれを押し返したという一番であった。

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飯田健太郎が瀬川勇気から背負投で2つ目の「技有」

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山下魁斗が高波剄佑から支釣込足「一本」

国士舘大 3-0 早稲田大
(先)大淵泰志郎×引分×清水祐希
(次)久野壱虎×引分×空辰乃輔
(五)安田夢飛〇小外掛(0:53)△佐藤虎太郎
(中)飯田健太郎〇合技(2:23)△瀬川勇気
(三)山下魁斗〇支釣込足(1:07)△高波剄佑
(副)竹村昂大×引分×百瀬敦也
(大)岩渕晃大×引分×佐藤竜

東京大会優勝の国士舘が、51年ぶりの入賞を果たした早稲田大に手堅く勝利。前衛2回の引き分けを受けた五将安田夢飛が佐藤虎太郎を小外掛「一本」で退け、中堅戦は飯田健太郎が瀬川勇気から内股と背負投の合技「一本」、続いて三将山下魁斗が高波剄佑を支釣込足「一本」と3連勝。中盤で一気に勝負を決めてしまった。

早稲田大は一矢を報いんと主将佐藤竜が岩渕晃大に迫るが、体格差を跳ね返すところまではいかず引き分け。この試合は3-0で国士館が制した。

かくて決まったベスト4カードは

東海大(東京) - 日本体育大(東京)
筑波大(関東) - 国士舘大(東京)

の2戦となった。

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