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冨田若春がワールドツアー初優勝、朝比奈沙羅は5位に沈む・グランプリブダペスト2019最終日女子

(2019年7月15日)

※ eJudoメルマガ版7月15日掲載記事より転載・編集しています。
冨田若春がワールドツアー初優勝、朝比奈沙羅は5位に沈む
グランプリ・ブダペスト2019最終日女子(78kg級、78kg超級)
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ニヘル・シェイフ=ロウホウとの決勝を戦う冨田若春

グランプリ・ブダペスト大会は14日、最終日の男女合わせて5階級の競技が行われた。

世界選手権と見まがう豪華メンバーが揃った女子78kg超級は、冨田若春(コマツ)が戴冠。2016年のグランドスラム東京(5位)以来2度目の出場でワールドツアー初優勝を成し遂げた。この日は勝負どころと目された準々決勝で第1シードのイダリス・オルティス(キューバ)をGS延長戦の「指導3」で下し、決勝はニヘル・シェイフ=ロウホウ(チュニジア)も「指導3」で破った。2回戦ではクセニーア・チビソワ(ロシア)、準決勝ではベアトリス・ソウザ(ブラジル)をも退けており、対戦相手のグレードは十分以上。機動力があって、間合いを取る組み手の技術があり、担ぎの連続攻撃が利く。「国際の最重量級」への適性を存分にアピールした大会だった。

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3位決定戦、イダリス・オルティスが朝比奈沙羅から一本背負投「技有」

グランプリ・モントリオールに続く2週連続の優勝を狙った現役世界王者・朝比奈沙羅(パーク24)は5位。本戦でシェイフ=ロウホウに「指導3」で敗れ、3位決定戦ではオルティスに一本背負投「技有」を奪われて表彰台も逃した。シェイフ=ロウホウ戦は左構えから右にスイッチして間を詰めてくる相手に対応が遅れ、オルティス戦は組み手の継ぎ目に一本背負投をねじ込まれた。どちらの試合も、現在最大の武器である支釣込足が警戒されてほぼ効かず、かといって大外刈や払腰など順方向の技ではプレッシャーが与え切れないという非情に難しい展開。オルティス、シェイフ=ロウホウらベテランたちがきちんと毎年技や技術を増やしている中、そしてライバル全員にターゲットされる中で、自身は世界選手権での戴冠後なにを上積みしたのか。その来し方が厳しく問われた大会だった。

好調続いたオルティスであるが、立ち振る舞いを見る限り今大会は決してコンディション良からず。冨田との試合で失った反則ポイントは3つすべてが自身の担ぎ技の失敗による偽装攻撃の「指導」で、かつ試合通じて戦型をほとんど変えず。担ぎ技中心の戦い方にシフトを続ける中で、今回はこれで良しと割り切ったとも見て取れる戦い方だった。

78kg級はもと世界王者マイラ・アギアール(ブラジル)が優勝。日本の佐藤瑠香(コマツ)は2位だった。佐藤は決勝まで順調に勝ち上がったが、アギアールとの決勝は作戦定まらぬ中次々「指導」を失い、状況に応じた戦い方を採ることが出来なかった。最後は膠着を期したアギアールとの足技の打ち合いに付き合ってしまい、両者に「指導」。佐藤のみ累積反則が「3」となって勝敗が決した。

各階級の入賞者と決勝の戦評、日本代表選手全試合の結果は下記。

文責:古田英毅

■ 78kg級
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78kg級メダリスト。左から2位の佐藤、優勝のアギアール、3位のナタリー・パウエルとカリエマ・アントマルチ。

(エントリー24名)
【入賞者】
1.AGUIAR, Mayra (BRA)
2.ATO, Ruika (JPN)
3.ANTOMARCHI, Kaliema (CUB)
3.POWELL, Natalie (GBR)
5.MA, Zhenzhao (CHN)
5.SAMPAIO, Patricia (POR)
7.KUKA, Loriana (KOS)
7.STEVENSON, Karen (NED)

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決勝、アギアールが左体落に潰れ、脚を揚げて投げ切らんとする。

【決勝】

マイラ・アギアール(ブラジル)〇GS反則[指導3](GS0:51)△佐藤瑠香

アギアールが左、佐藤が右組みのケンカ四つ。アギアールは釣り手で箍を締めるように背中を深く後帯付近を握り、佐藤は前襟をベースに対抗して引き手を争う。この形で両者前傾したところにアギアールが左体落。出し投げ風に釣り手を伏せ、佐藤が前に崩れると内股様に脚を揚げて投げ切らんとする。佐藤一回転して体側から落ちたようにも見えたが、映像チェックの結果これはノーポイント。
以後も背中を「箍」で締めるアギアールは、前傾姿勢から左小外掛に左内股と続けて放つ。佐藤順に下がって捌き、透かして潰したが1分43秒には消極的との咎で「指導」失陥。以後も様相ほぼまったく変わらず、佐藤は2分過ぎに浅く釣り手を入れての大腰をみせたもののこれ以外はほとんど技が出ない。アギアールが払巻込に潰れた直後の2分52秒佐藤に2つ目の「指導」。
佐藤ここで僅かに加速、小内刈、大内刈、フェイントの小外刈と技を繋ぎ、アギアールの左内股に右体落を合わせる場面も作るが取り切れず。試合はGS延長戦へ。
アギアール手先を激しく動かしながら前へ。引き手で袖を抱き込んで足を出すと、佐藤応じて互いに腰を差し合いながら足技で牽制しあう形となる。主審しばし静観、膠着と見るや試合を止めて両者に消極的との咎で「指導」。これで「指導3」となった佐藤の負けが決まった。

なぜ技を出さず相手の攻撃を座視したのか。なぜ0-2のビハインドにあって、あたかも今試合が始まったばかりであるかのようにじっくり牽制合戦に付き合うのか。どう試合をプランして、状況の変化に応じて何をどう変えようとしたのか、理解の難しい試合だった。外から見た限りでは、戦略ないまま反射的なリアクションを続けることで、結果的にアギアールのプランに嵌った一番と評しておくしかない。考えた側のプランに、そうでない側が乗り続けた試合と見受けられた。

【日本代表選手勝ち上がり】

佐藤瑠香(コマツ)
成績:2位


[2回戦]
佐藤瑠香〇反則[指導3](2:04)△キャウサー・オーアラル(アルジェリア)
[3回戦]
佐藤瑠香〇反則[指導3](3:32)△マー・ジェンジャオ(中国)
[準決勝]
佐藤瑠香〇合技(0:36)△ナタリー・パウエル(イギリス)
[決勝]
佐藤瑠香△GS反則[指導3](GS0:51)〇マイラ・アギアール(ブラジル)

■ 78kg超級
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78kg超級メダリスト。左から2位のシェイフ=ロウホウ、優勝の冨田、3位のオルティスとワン・ヤン。

(エントリー21名)
【入賞者】
1.TOMITA, Wakaba (JPN)
2.CHEIKH ROUHOU, Nihel (TUN)
3.ORTIZ, Idalys (CUB)
3.WANG, Yan (CHN)
5.ASAHINA, Sarah (JPN)
5.SOUZA, Beatriz (BRA)
7.ALTHEMAN, Maria Suelen (BRA)
7.NUNES, Rochele (POR)

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決勝、冨田が思い切った右大外刈を見せる

【決勝】

冨田若春〇反則[指導3](3:51)△ニヘル・シェイフ=ロウホウ(チュニジア)

右相四つ。シェイフ=ロウホウは左構え、左で冨田の右前襟を突き、ここから右腕を大きく揚げて巻き返して右の払巻込を放つ。冨田釣り手を立てて前に出、引き手で袖を得て思い切った攻撃。斜めからの右大外刈で大きく崩した直後の42秒、シェイフ=ロウホウに消極的との咎で「指導」。冨田右釣り手一本で前襟を持ち、激しく肘を振って挑発。シェイフ=ロウホウはこれまで同様左構えから巻き返しての右払巻込を度々見せるが冨田は背筋を伸ばして立ったまままったく動じない。左、右とスイッチを繰り返すシェイフ=ロウホウ徐々に手が詰まり、1分42秒には2つ目の「指導」。シェイフ=ロウホウ左構えを続け、巻き返して右に戻した3分46秒には右釣り手で上から後帯を掴むチャンスを得るが、得意の浮技一発は相手の正面に落ちてしまい、手が切れて「待て」。終盤、完全にケンカ四つの形で引き手争いが続く形となり、冨田状況を心得て激しく袖を求める。シェイフ=ロウホウが嫌うと、残り9秒で主審が試合を止めて双方に消極的との咎で「指導」。これでシェイフ=ロウホウは「指導3」となり試合が終わった。冨田はワールドツアー初優勝。

【日本代表選手勝ち上がり】

冨田若春(コマツ)
成績:優勝


[1回戦]
冨田若春〇合技[背負投・支釣込足](2:52)△ジアン・ヤナン(中国)
[2回戦]
冨田若春〇足車(2:49)△クセニーア・チビソワ(ロシア)
[準々決勝]
冨田若春〇GS反則[指導3](GS3:12)△イダリス・オルティス(キューバ)
[準決勝]
冨田若春〇袈裟固(2:57)△ベアトリス・ソウザ(ブラジル)
[決勝]
冨田若春〇反則[指導3](3:51)△ニヘル・シェイフ=ロウホウ(チュニジア)

【日本代表選手勝ち上がり】

朝比奈沙羅(パーク24)
成績:5位


[2回戦]
朝比奈沙羅〇支釣込足(1:38)△エメシェ・カルパティ(ハンガリー)
[3回戦]
朝比奈沙羅〇反則[指導3](3:26)△ワン・ヤン(中国)
[準決勝]
朝比奈沙羅△反則[指導3](3:55)〇ニヘル・シェイフ=ロウホウ(チュニジア)
[3位決定戦]
朝比奈沙羅△優勢[技有・一本背負投]〇イダリス・オルティス(キューバ)

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