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復帰のリネールが優勝、クルパレクと原沢立て続けに破る・グランプリモントリオール2019最終日男子

(2019年7月8日)

※ eJudoメルマガ版7月8日掲載記事より転載・編集しています。
復帰のリネールが優勝、クルパレクと原沢立て続けに破る
グランプリ・モントリオール2019最終日男子(90kg級、100kg級、100kg超級)
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100kg超級決勝、テディ・リネールが原沢久喜から大外刈「技有」

【eJudo’s EYE】テディ・リネール評(グランプリ・モントリオール)
→男子全試合結果(eJudoLITE)


カナダ初のワールドツアー大会、グランプリ・モントリオール2019は7日に最終日を迎え、男女合わせて5階級の競技が行われた。

男子100kg超級には今大会の目玉、約1年半ぶりの試合出場となるテディ・リネールが登場。2試合の一本勝ちを経て、準決勝ではリオ五輪100kg級金メダリストのルカシュ・クルパレク(チェコ)をGS延長戦の末の払腰「技有」、決勝では同100kg超級銀メダリストの原沢久喜(日本中央競馬会)をこれもGS延長戦での大外刈「技有」で下して優勝を決めた。体が絞り切れておらず動きも完調時の冴えを欠いたが、それでも大物2人を立て続けに投げて、格の違いを見せつけた。

原沢は敗れたものの、癖のある相手との連戦をしっかり制して決勝まで進み、リネールとも「指導2」のタイスコアで延長に縺れ込む接戦。国内一番手の立場をしっかり固めた大会となった。

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90kg級決勝、ベイカー茉秋がコルトン・ブラウンに密着。内股を誘って隅落を狙う

90kg級はベイカー茉秋(日本中央競馬会)が優勝、実に2016年5月のワールドマスターズ以来となるワールドツアータイトルを手に入れた。最初の勝負どころと目された2回戦のダヴィド・クラメルト(チェコ)戦は1分48秒の背負投「一本」であっさり突破。決勝はケンカ四つのパワー派コルトン・ブラウン(アメリカ)に手を焼いたが、敢えて密着勝負を挑んで中途半端な姿勢の内股を強い、隅落に嵌めて「技有」確保。いかにもベイカーらしい勝ち方で勝利を決めた。

100kg級決勝はラマダン・ダーウイッシュ(エジプト)と、エジプト出身のカナダの新星シャディ・エルナハス(カナダ)がマッチアップ。ダーウイッシュが僅か37秒の浮落「一本」で勝利して2017年グランプリ・タシケント以来となるツアー5度目のタイトルを獲得した。

日本代表の羽賀龍之介(旭化成)は7位。2試合連続の内股「一本」で勝ち上がったが、準々決勝でエルナハスにGS延長戦「指導3」で敗退。敗者復活戦は左相四つのズラトコ・クムリッチ(クロアチア)を相手に横変形にずれて頭を下げた瞬間に支釣込足を食い、「一本」で敗れた。日本中央競馬会所属のカヨル・レイズ(カナダ)は準々決勝でダーウィッシュに支釣込足を返されての「技有」優勢で敗れたが、3位決定戦でカールリヒャード・フレイ(ドイツ)に勝利して表彰台を確保した。

各階級の入賞者と決勝戦評、日本選手全試合の結果は下記。


文責:古田英毅

■ 90kg級
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90kg級メダリスト。左から2位のブラウン、優勝のベイカー、3位のミラン・ランドルとラファエル・マセド。

(エントリー18名)
【入賞者】
1.BAKER, Mashu (JPN)
2.BROWN, Colton (USA)
3.MACEDO, Rafael (BRA)
3.RANDL, Milan (SVK)
5.ELNAHAS, Mohab (CAN)
5.TRIPPEL, Eduard (GER)
7.BURT, Zachary (CAN)
7.KRIEBER GAGNON, Louis (CAN)

【決勝】

ベイカー茉秋〇優勢[技有・隅落]△コルトン・ブラウン(アメリカ)

ブラウン左、ベイカーが右組みのケンカ四つ。ブラウン長い腕を利して上から背中を叩き、ベイカーが頭を下げるとそのまま後帯を狙う。対するベイカーは横襟を握った釣り手で顎を突いて間合いを確保しつつ、引き手を求める。48秒、嫌ったブラウンに片手の咎で「指導」。ブラウンは以後も背中、後帯と狙う。ベイカーは「出し投げ崩し」に四指を突っ込んでの拘束と投げに繋がる手立てをいくつか繰り出すが、後帯を掴ませるのは危険と判断。背中までは許すが後帯を掴まれるといったん突き放してリセットすることを続ける。1分36秒、ベイカー右大腰で投げに掛かるがブラウンたたらを踏んで下がりながらベイカーの体を伸ばして耐え、2分3秒の右小外掛もケンケンで耐え切る。相当足腰が強い模様。ブラウンここで後帯を掴み続けて攻防、ベイカー腰を引いて敢えてそのままの絵で時間を使う。「はじめ」ののちすぐ試合が止められて、ブラウンの後帯にペナルテイが与えられるかと思われたが、主審が宣告したのは意外にもベイカーに対する「極端な防御姿勢」の「指導」。
ベイカーは右小外掛、奥襟を得ておいての右払巻込と仕掛けるが体の強いブラウンには効かず、少々雲行き怪しい情勢。ブラウンは審判の傾向を見切ってかまたもや後帯を長く掴み続けるが、残り24秒の「待て」の際にも主審は反則裁定に動かず。
ベイカーはここで引き手を求めながら背中に釣り手を回し、間合いをグイと詰める。窮屈な姿勢となったブラウンそれでも相手が出て来たと見て反射的に左内股を仕掛けるがこれは完全にベイカーの術中。隅落に捉えて捲り返し「技有」。この時点で残り時間9秒、ベイカーがそのまま腕挫十字固を狙ったところでタイムアップとなった。
間合いを詰めて戦いたいはずのブラウンに対しそれ以上に距離を詰め、窮屈なまま内股を強いて、待ち構えて返す。いかにもベイカーらしい、巧い勝ち方であった。

【日本代表選手勝ち上がり】

ベイカー茉秋(日本中央競馬会)
成績:優勝


[1回戦]
ベイカー茉秋〇合技[小内刈・体落](1:53)△マシュー・コック(アメリカ)
[2回戦]
ベイカー茉秋〇背負投(1:48)△ダヴィド・クラメルト(チェコ)
[準々決勝]
ベイカー茉秋〇釣込腰(3:18)△ルイス・クリーバー=ギャニオン(カナダ)
[準決勝]
ベイカー茉秋〇優勢[技有・大内刈]△ラファエル・マセド(ブラジル)
[決勝]
ベイカー茉秋〇優勢[技有・隅落]△コルトン・ブラウン(アメリカ)

■ 100kg級
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100kg級メダリスト。左から2位のエルナハス、優勝のダーウイッシュ、3位のレイズとレオナルド・ゴンサルヴェス。

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100kg級決勝、ダーウイッシュの浮落「一本」。

(エントリー18名)
【入賞者】
1.DARWISH, Ramadan (EGY)
2.ELNAHAS, Shady (CAN)
3.GONCALVES, Leonardo (BRA)
3.REYES, Kyle (CAN)
5.FREY, Karl-Richard (GER)
5.KUMRIC, Zlatko (CRO)
7.BUZACARINI, Rafael (BRA)
7.HAGA, Ryunosuke (JPN)

【決勝】

ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)〇浮落(0:37)△シャディー・エルナハス(カナダ)

右相四つ。互いに奥襟を得てガップリの組み合い。エルナハスが腰を切ろうとした瞬間、ダーウィッシュが右足を相手の右足元に踏み込む形で時計回りの浮落。腿と脛を相手に当てて崩したというところでは支釣込足と言ってもいい一撃、そのまま捩じり倒し、胸を合わせて「一本」。

【日本代表選手勝ち上がり】

羽賀龍之介(旭化成)
成績:7位


[1回戦]
羽賀龍之介〇内股(1:33)△エル=エー・スミス=サード(アメリカ)
[2回戦]
羽賀龍之介〇内股(2:13)△イワン・レマレンコ(UAE)
[準々決勝]
羽賀龍之介△GS反則[指導3](GS3:12)〇シャディー・エルナハス(カナダ)
[敗者復活戦]
羽賀龍之介△支釣込足(3:04)〇ズラトコ・クムリッチ(クロアチア)

■ 100kg超級
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100kg超級メダリスト。左から2位の原沢、優勝のリネール、3位のダヴィド・モウラとクルパレク。

(エントリー14名)
【入賞者】
1.RINER, Teddy (FRA)
2.HARASAWA, Hisayoshi (JPN)
3.KRPALEK, Lukas (CZE)
3.MOURA, David (BRA)
5.FREY, Johannes (GER)
5.SIMIONESCU, Vladut (ROU)
7.ANDRES, Joe Casey (CAN)
7.DESCHENES, Marc (CAN)

【決勝】

テディ・リネール(フランス)〇GS技有・大外刈(GS1:08)△原沢久喜

右相四つ。互いに引き手で腋を突いては釣り手で奥襟を狙い、相手に奥襟を許せば引き手を袖に持ち替えるという、息詰まる組み手の駆け引き。互いに釣り手から持つ手順も交えながら陣地の取り合いが続き、試合は拮抗。47秒には袖口を握り込んだ咎でリネールに「指導」。直後、原沢は引き手で袖を得るとリネールが切ろうとしたところに、右脚めがけて支釣込足様の蹴り崩しを見舞い、リネール腹這いに潰れて「待て」。以後も前に出、左から「ケンカ四つクロス」の形の内股を放つなど視界悪しからず。しかし試合時間2分過が近づくあたりからリネールが前に出始め、2分12秒には両者に消極的との咎で「指導」、そしてすぐにリネールへの「指導」が取り消され反則累積はともに「1」ずつのタイとなる。リネール引き手で襟を持ったまま前へ前へと体を運び、原沢たたらを踏んで場外に押し出されて1分32秒場外の「指導2」。以後もリネール引き手で襟を高く掴んで押し続けるが原沢が内股を仕掛けることで回避すると、直後リネールにも消極的との咎で「指導2」。再びスコアはタイ。
ここからリネールは組み手の手順に片襟を交え始め、30秒にはこの試合初めて頭を裏側から抱えての引込返も見せる。残り19秒、リネールの払腰を原沢が透かして素早く押し込み、腹ばいに畳に落として「待て」。リネールが再び首を抱えての引込返を見せたところで本戦終了、試合はGS延長戦へ。
リネール本戦終盤同様中途に片襟を挟みながら、今度はクロス組み手も交えて引込返を続ける。原沢揺るがずも奥襟に手が届かず手数で後手を踏み、これを意識して42秒ひとまず片手内股で展開を切る。
1分過ぎ、原沢が引き手で袖を絞るとリネール切って釣り手を肩越しのクロスに叩き入れ、右大外刈。まず大外落用に両足を畳について力を籠め、原沢の上体が仰け反ると本命の刈り込みに掛かる。原沢尻餅をついて反転したようにも思われたが勢いは相当なもの、主審は「技有」を宣告。映像チェックの結果この判定が支持され、熱戦ここに決着した。

【日本代表選手勝ち上がり】

原沢久喜(百五銀行)
成績:優勝


[2回戦]
原沢久喜〇反則[指導3](1:45)△へクトル・カンポス(アルゼンチン)
[準々決勝]
原沢久喜〇反則[指導3](2:53)△ヨハネス・フレイ(ドイツ)
[準決勝]
原沢久喜〇内股(1:02)△ダヴィド・モウラ(ブラジル)
[決勝]
原沢久喜△GS技有・大外刈(GS1:08)〇テディ・リネール(フランス)

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