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【プレビュー】絶対王者リネール1年半ぶりに復帰、原沢久喜との再戦に注目集まる・グランプリモントリオール2019最終日男子プレビュー

(2019年7月7日)

※ eJudoメルマガ版7月7日掲載記事より転載・編集しています。
絶対王者リネール1年半ぶりに復帰、原沢久喜との再戦に注目集まる
グランプリ・モントリオール2019最終日男子プレビュー(90kg級、100kg級、100kg超級)
文責:小林大悟/eJudo編集部

■ 90kg級・ベイカー茉秋が出場、2回戦で強敵クラメルトと対戦
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トーナメントの主役はベイカー茉秋

(エントリー18名)

豪華メンバーでの大会が続いていたが、今回は上位に座る強豪たちが揃って出場を回避。激戦続く90kg級としては比較的陣容の薄いトーナメントが組まれた。

トーナメントの主役はリオデジャネイロ五輪金メダリスト・ベイカー茉秋(日本中央競馬会)。ベイカーは五輪以前から右肩の故障に苦しんでおり、2017年には手術のためにシーズンを丸々療養に充てることとなった。昨年2月のグランドスラム・デュッセルドルフに準優勝して形上は復帰したものの、優勝した10月の講道館杯を含めてまだ一度も本来のパフォーマンスを見せることは出来ていない。この間国内の序列も後退しており、東京五輪の代表争いは非常に厳しい状況だ。とはいえ他の選手も決定的な成果は残せておらず、ベイカーにも僅かながら可能性が残されている。今大会は逆転選出への第一歩。対戦相手の顔ぶれ的には優勝の可能性は十分、しっかり結果を残して復調をアピールしたい。

組み合わせでは2回戦で第3シードのダヴィド・クラメルト(チェコ)と対戦する予定で、ここが最大の山場。クラメルトは接近戦を得意とするパワーファイター、同じく密着勝負が身上のベイカーの現時点の力を測る恰好の物差しとなるはずだ。

【プールA】
第1シード:エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)
第8シード:ミラン・ランドル(スロバキア)

【プールB】
第4シード:ザッカリー・バート(カナダ)
第5シード:コルトン・ブラウン(アメリカ)
有力選手:エドゥアルド・ベットーニ(ブラジル)

【プールC】
第2シード:ラファエル・マセド(ブラジル)
第7シード:フレイザー・チェンバーレイン(イギリス)

【プールD】
第3シード:ダヴィド・クラメルト(チェコ)
第6シード:ペテル・ジルカ(スロバキア)
日本代表選手:ベイカー茉秋(日本中央競馬会)

■ 100kg級・羽賀龍之介が登場、準々決勝で注目の若手エルナハスと対戦
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選抜体重別を制して復調気配の羽賀龍之介

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注目は地元カナダの新星、シャディ・エルナハス

(エントリー18名)

2015年アスタナ世界選手権王者の羽賀龍之介(旭化成)を筆頭に、ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)、カール=リヒャード・フレイ(ドイツ)、シャディー・エルナハス(カナダ)ら内股、あるいは腰技を得意とする本格派が顔を揃えた。

羽賀は2017年のグランプリ・フフホト以来国際大会でのタイトルがないため、今大会はノーシード配置。2回戦でイワン・レマレンコ(UAE)、準々決勝でエルナハスとの対戦が組まれている。エルナハスは昨年11月のグランドスラム大阪で飯田健太郎(国士舘大3年)を破った地元カナダの若手注目株。優勝こそ今年のパンナム選手権のみだがツアーでは既にトップ選手を何名も食っている「要注意人物」であり、素材の良さと最高到達点の高さは相当なもの。羽賀にとってはこのエルナハス戦が最大の山場、そしてこの試合が本階級の最注目カードだ。

国内100g級の五輪代表争いはウルフアロン(了徳寺大職)が大きくリードしている状況にあり、羽賀の位置は飯田に次ぐ3番手。厳しい状況だが、羽賀は4月の全日本選抜体重別選手権でウルフと飯田をともに破って優勝を飾っており、首の皮一枚のところで可能性を残している。逆転選出を狙うなら今大会の優勝は必須。全日本選抜体重別選手権では新兵器の巴投を投入するなど新境地を開いた羽賀が、今大会ではどのような柔道を見せてくれるのか。結果だけでなく、その戦いぶりに注目したい。

ほか、注目選手として日本中央競馬会所属、地元カナダのカヨル・レイズ(カナダ)を挙げておきたい。レイズはリオデジャネイロ五輪にも同国代表で出場するなどこれまで1番手の座をキープしてきたが、エルナハスの台頭により東京五輪出場に黄信号が灯っている。今大会は比較的戦いやすい位置を引いており、準々決勝のダーウィッシュ戦にさえ勝利すれそのまま決勝進出が濃厚。ここはなんとしても結果を残して、地元で存在感を示したい。

【プールA】
第1シード:ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)
第8シード:トーマス・ブリセノ(チリ)
有力選手:カヨル・レイズ(カナダ)

【プールB】
第4シード:レオナルド・ゴンサルヴェス(ブラジル)
第5シード:ラファエル・ブザカリニ(ブラジル)

【プールC】
第2シード:カール=リヒャード・フレイ(ドイツ)
第7シード:ズラトコ・クムリッチ(クロアチア)

【プールD】
第3シード:シャディー・エルナハス(カナダ)
第6シード:イワン・レマレンコ(UAE)
日本代表選手:羽賀龍之介(旭化成)

■ 100kg超級・リネールが1年半ぶりに戦線復帰、原沢久喜は決勝で絶対王者超えに挑む
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1年半ぶりの試合出場となる王者テディ・リネール

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リオ五輪決勝のリベンジに挑む原沢久喜

(エントリー14名)

絶対王者テディ・リネール(フランス)が、約1年半ぶりに大会に出場。リネールは2017年11月の世界無差別選手権後に長期間の休養を発表、東京五輪に照準を合わせるため2018年と2019年の世界選手権には出場しないと宣言していた。しかし五輪に出るためには国際大会で得られるポイントが必要なため、どこかのタイミングで必ず試合をこなさねばならない。その場として、カナダで初めて開催されるワールドツアー、このグランプリ・モントリオールが選ばれたわけだ。

今大会には8月の世界選手権をにらんだ調整のため原沢久喜(百五銀行)がエントリー。ともに東京五輪での再戦を念頭に置いて戦うであろう、この2人の対決が大きなみどころである。

リオデジャネイロ五輪決勝の対戦ではリネールが終盤に守りに徹する形で「指導1」対「指導2」で勝利している。あの戦いから約3年、復帰戦となるリネールがどこまで調子を戻しているのか、そしてこれまで常に対リネールというテーマを持ち続けてきたであろう原沢がどのような戦いを見せるのか。興味は尽きない。

両者はトーナメントの上下に分かれて配置されており、対戦なるとすれば決勝。実現なればこの試合は今大会を越えて、2019年度IJFワールドツアー全戦を通じた最注目カードである。

リネールは第5シードに配置、準決勝でまずルカシュ・クルパレク(チェコ)の挑戦を受けることになる。両者の対戦は今回が初、これも原沢戦に劣らない注目カード。一方の原沢は準々決勝でヨハネス・フレイ(ドイツ)、準々決勝でダヴィド・モウラ(ブラジル)と対戦予定。いずれも機動力があって担ぎ技を得意とする厄介な相手、付き合いすぎずに一方的な柔道で仕留めてしまいたい。両者ともに勝ち上がりも見どころ十分。日曜深夜という観戦が難しい時間帯での試合だが、ファンとしては是非リアルタイムで両者の勝ち上がりを追いたいところ。決勝ラウンドは朝6時開始、こちらだけでもぜひ視聴をお勧めしたい。

【プールA】
第1シード:ルカシュ・クルパレク(チェコ)
第8シード:フランシスコ・ソリス(チリ)

【プールB】
第4シード:ヴラダト・シミオネスク(ルーマニア)
第5シード:テディ・リネール(フランス)

【プールC】
第2シード:ダヴィド・モウラ(ブラジル)
第7シード:フレディー・フィゲロア(エクアドル)

【プールD】
第3シード:原沢久喜(百五銀行)
第6シード:ヨハネス・フレイ(ドイツ)

※ eJudoメルマガ版7月7日掲載記事より転載・編集しています。

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