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【レポート】注目対決は日本体育大が日本大から4点奪取の完勝、早稲田大は中央大に競り勝って51年ぶりのベスト8入り・第68回全日本学生柔道優勝大会レポート①1回戦~3回戦

(2019年7月6日)

※ eJudoメルマガ版7月6日掲載記事より転載・編集しています。
注目対決は日本体育大が日本大から4点奪取の完勝、早稲田大は中央大に競り勝って51年ぶりのベスト8入り
第68回全日本学生柔道優勝大会レポート①1回戦~3回戦
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選手宣誓は東海大の主将・太田彪雅が務めた

大会日時:2019年6月23日
会場:日本武道館
文責:古田英毅/取材:eJudo編集部
撮影:乾晋也、辺見真也
→[記録]男子全試合対戦詳細(eJudoLITE)

七人制無差別で大学柔道日本一を争う学生柔道界の最高権威大会、全日本学生柔道優勝大会(男子68回)が6月22日と23日の両日、今年も聖地・日本武道館に全国の予選を勝ち抜いた精鋭62校が集って開催された。

優勝候補筆頭は4連覇を狙う東海大だが、筑波大、国士舘大、日本大、天理大、日本体育大らこれぞというチームの戦力は例年以上に拮抗。どのチームも頂点を伺うに足るポイントゲッター級を有しながら、あるいは周辺戦力に緻密さが足りず総合力に難あり、あるいは全体的な体格に欠け、あるいは戦略の核とすべき絶対の重量エース1枚が不足と完璧なチームはひとつもない。本命の東海大を含め、全チームがダムの決壊に繋がりかねない「蟻の一穴」をその身中に抱えながら、それでもチームの長所を引っ張り出して勝ち抜かんという難しいかじ取りに挑む大会だ。

まずはトーナメントを仮に4つのブロックに割り、ベスト8決定までの戦いを簡単に紹介してみたい。4ブロックのうち最激戦区は天理大、日本体育大、日本大の強豪3校が詰め込まれたBブロック、注目は早稲田大と中央大が栄光のベスト8入りを争うDブロックだ。

■ Aブロック
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4連覇を狙う東海大は2回戦から登場

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2回戦、東海大の五将後藤龍真が関西大・千葉信介から内股「一本」

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2回戦、東海大の三将太田彪雅が関西大・野原悠司から内股「一本」

→[記録]男子全試合対戦詳細(eJudoLITE)

シード校:東海大(東京)、山梨学院大(関東)

上側の山では4連覇を狙う東海大が2回戦から登場。スターティングは先鋒から深山将剛(3年)、伊藤好信(4年)、後藤龍真(3年)、村尾三四郎(1年)、太田彪雅(4年)、杢康次郎(4年)、清水拓実(4年)。太田と後藤のエース級2枚を軸に、以降は1年生の村尾や東京学生で働き切れなかった100kg級学生王者伊藤、体重150キロの重量選手清水など属性異なる、当落線上の選手たちが混在。上位対戦に向けて誰がどう戦えるのか、あらためてその適性とコンディションをこの本番の畳で見極めようというオーダーに思われる。東海大は太田、後藤、そして松村颯祐と戦闘力が高いだけでなく「取り切る」方法論にも秀でた隙のない選手を揃えているが、このエース級3枚以降は一長一短あり。誰が無差別団体というレギュレーションに適し、かつ4連覇というプレッシャーに耐え、かつ引き分けありという特殊な背景下で自分のなすべき仕事を見極めてこの日この場で力を発揮できるのか。彼我の戦力に差がある準々決勝までは勝つこと自体よりも、この自軍の駒の「見極め」が東海大の最大のテーマと見受けられる。

関西大を相手にしたこの試合は先鋒深山が「指導3」の反則で勝利、しかし次鋒伊藤好信が好選手奥野友輝を攻め切れず、動き冴えぬまま引き分け。少々スロースタートの感ありであったが、五将後藤は千葉信介を相手にここぞと見極めると瞬間段違いの加速、飛び込みの左内股で鮮やか「一本」。続く1年生村尾が鈴木隆聖から内股からの左小内刈「一本」で勝利すると、三将太田は格の違いを見せつけ僅か27秒、野原悠司から内股「一本」。この時点でスコアは4-0となって東海大の勝利が確定した。続いて畳に上がった副将杢康次郎は開始14秒の小内刈「一本」、大将清水は腹を出したまま相手を引き付けて空間を与えないという隙の少ない方法論で体格を生かし切り、嶋田将人からあっという間に3つの「指導」を奪取。最終スコアは6-0であった。

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3回戦、東海大の中堅松村颯祐が順天堂大・多田昌人から裏投「一本」

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東海大の三将太田が籾山勇大から内股「一本」

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清水拓実が岡安智弘を振り回し浮落「技有」

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3回戦、山梨学院大の中堅西田将樹が利根琢也から小外刈「一本」

続く3回戦、ここまで星槎道都大を5-0、熊本学園大を6-0と完璧なスコアで勝ち上がって来た順天堂大を畳に迎えた東海大のオーダーは先鋒から後藤龍真、村尾三四郎、石川智啓(2年)、松村颯祐(2年)、太田彪雅、星野太駆(3年)、清水拓実。

斬り込み役を任された後藤は影井光我から2分42秒左一本背負投「一本」で快勝、続く次鋒村尾も石渡雅大から1分47秒内股「一本」を奪ってあっという間に2点リード。五将戦は石川が池田直輝と引き分けも、中堅松村は好選手多田昌人にまったく柔道をさせず、僅か22秒打点高い裏投「一本」で圧勝。

スコア的にも雰囲気的にもこの「一本」で完全に勝負あり、以降東海大は三将太田が籾山勇大から1分7秒内股「一本」、副将星野が志村大珠から1分37秒内股「一本」、大将清水が岡安智弘から2分50秒浮落と袈裟固の合技「一本」と一気に駆け抜けてこの試合もスコアは6-0まで伸びた。東海大は14戦して無失点、12の一本勝ちという圧倒的な出来でベスト8入り決定。

下側の山からはシード校山梨学院大がベスト8へ。1回戦は仙台大を相手に先制を許したが、中堅戦からは岩田歩夢(2年)、濱畑龍也(3年)、加藤慎之助(4年)、西田将樹(3年)と4連続一本勝ちで捲り返してスコア4-1で勝利。2回戦は初戦で帝京大に2-1と競り勝った皇學館大と対戦、次鋒西田将樹が西本翔と引き分けるなどスコアレスのまま4戦を消化する緊迫の展開だったが、ここから三将畠山竜弥(2年)の裏投「一本」、副将加藤慎之助の合技「一本」、大将岩田歩夢の「技有」優勢と3連勝、スコア3-0でベスト16入り。

3回戦はここまで金沢学院大を3-2、国際武道大を4-1で下して来た近畿大とマッチアップ。先鋒から畠山竜弥、桑原宏典(3年)、山科良悟(2年)、西田将樹、上林山勇斗(2年)、加藤慎之助、岩田歩夢という本命オーダーを組んだこの試合はスコア6-0の圧勝。勢いに乗って準々決勝での東海大戦に挑むこととなった。

【Aブロック1回戦】
関西大 4-1 広島大
順天堂大 5-0 星槎道都大
熊本学園大 5-0 上武大
山梨学院大 4-1 仙台大
皇學館大 2-1 帝京大
国際武道大 ③代-3 専修大
近畿大 3-2 金沢学院大

【Aブロック2回戦】
東海大 6-0 関西大
順天堂大 6-0 熊本学園大
山梨学院大 3-0 皇學館大
近畿大 4-1 国際武道大

【Aブロック3回戦】
東海大 6-0 順天堂大
山梨学院大 6-0 近畿大

■ Bブロック
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1回戦、天理大の大将田中太基が順天堂大・北潟大地から一本背負投「技有」

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2回戦、天理大の五将中野寛太が福岡大・斎藤広樹から小内刈でまず「技有」

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3回戦、天理大の三将半田晋助が桐蔭横浜大・菅雄太から小外刈「技有」。これで天理大は4点確保。

→[記録]男子全試合対戦詳細(eJudoLITE)

シード校:天理大(関西)、日本体育大(東京)

上側の山のシード校は天理大。スターティングは先鋒から山口陸人(3年)、植岡虎太郎(1年)、中野寛太(1年)、河田闘志(3年)、半田晋助(4年)、笠原大雅(3年)、田中太基(4年)。インターハイ優勝メンバーの植岡と中野の1年生2人が早くもレギュラー入りを果たしている。大東文化大を畳に迎えたこの1回戦は山口の大内刈「一本」、植岡の合技「一本」といずれも早い時間の一本勝ちであっという間に2点をリード。以降中野、河田、半田と手堅く「指導3」の勝利を3つ重ね、副将笠原の引き分けを挟むと最後は大将田中が一本背負投「技有」で勝利し、最終スコアは6-0まで伸びた。

2回戦の福岡大戦は配列をそのままに先鋒を山口から西原大史(4年)に入れ替え、この試合も無失点勝利。次鋒植岡の背負投「一本」、五将中野の内股」「一本」、中堅河田の払巻込「一本」と中盤の3連勝で大勢を決め、大将田中の背負投「一本」でフィニッシュ。最終スコアは4-0であった。

3回戦はここまで丁寧な戦いぶりで北陸大を4-1、中京大を3-0で下して来た桐蔭横浜大と対戦。ここから先鋒にツェツェンツェンゲルオドフー(2年)、大将に主将の石山潤平(4年)を入れて本命オーダー完成。先鋒戦はツェツェンツェンゲルオドフーが戸崎碧海から隅返「技有」、次鋒戦は植岡が寺田克己から背負投「技有」と2つ優勢勝ちを続けて早々に試合の流れを決める。中野は立開達也と引き分けたが、中堅河田が中川優斗から「指導3」、三将半田晋助が51秒の小外刈「一本」で勝利し、この時点でスコア4-0となって勝負あり。桐蔭横浜大は副将大里雅が笠原から移腰「技有」優勢、大将溝口琢海が石山から肩固「一本」と2連勝して意地を見せたが時すでに遅く、最終スコア4-2で試合は終了。しぶとく「技有」2つで2点を先行した天理大前衛の働きが効いた一番だった。

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1回戦、日本体育大の副将原田健士が東日本国際大・井上大和から背負投「一本」

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2回戦、次鋒松井海斗が秋田滴から払巻込「技有」

下側の山はシード校日本体育大と日本大が同居する最激戦区。その対決が組まれるのは3回戦、間違いなく今年度大会序盤最大の山場である。

昨秋の全日本学生体重別団体を制して意気揚がる日本体育大は、5月の東京学生優勝大会でも非常に元気の良い試合を見せていた。8月の世界選手権で代表を務める藤原崇太郎は登録から外しているが、この日もその勢いは衰えず。

1回戦のオーダーは先鋒から百々雄弥(3年)、岡田涼太郎(4年)、東部雄大(4年)、オドバートルハンガル(3年)、弓削凜月(2年)、原田健士(3年)、長井晃志(3年)。東日本国際大を畳に迎えたこの試合は岡田が岡原大成を相手に引き分けたが、他6戦はすべて一本勝ちの6-0という圧倒的な出来でフィニッシュ。原田は井上大和から内股「技有」を先行されたが、この段階で失点するわけにはいかないと背負投「一本」で逆転勝ち。順調な立ち上がりである。

2回戦の大阪体育大戦はオーダーのグレードを一段上げて、先鋒から古賀颯人(4年)、松井海斗(4年)、百々雄弥、オドバートルハンガル、原田健士、東部雄大、長井晃志という布陣。この試合は古賀の内股、松井と百々の合技、ハンガルの大外刈、原田の裏投、東部の合技、そして長井の袖釣込腰とすべて一本勝ち。最長試合が古賀の2分23秒というまさに圧勝のスコア7-0で駆け抜けて、日本大の待つ3回戦へと駒を進める。

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1回戦、日本大の先鋒賀持喜道が福岡教育大・藤井拓弥から内股「一本」

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2回戦、五将織方景太が中村拓夢から払腰「一本」

一方の日本大はこちらも戦力充実。福岡教育大を畳に迎えた1回戦のオーダーは賀持喜道(1年)、山口貴也(2年)、東部直希(2年)、長濱快飛(3年)、髙橋佑人(3年)、神成太壽(3年)、安田拓洋(3年)。主力の枚数を絞った暖機運転仕様の布陣だが、それでも賀持の内股「一本」を皮切りに一本勝ちを7つ並べての圧勝。山口が内股、東部が小外刈、長濱が「指導3」、高橋が小外刈、神成が横四方固、安田が隅落といずれも早い時間に試合を決めており、出だしは順調である。

法政大とマッチアップした2回戦の配列は先鋒から東部直希、山口貴也、織方景太(3年)、木元拓人(4年)、奥田將人(2年)、青柳大虎(2年)、髙橋佑人。次戦をにらんで本命オーダーでの布陣である。斬り込み役を務める東部に昨年度全日本選手権ベスト8の山口という世代の主役級2人で組む前衛から緒方・木元という大型2枚に繋ぐ中盤の構成は圧巻。

しかしこの試合は決して順調にあらず。東部は46秒の払腰「一本」で快勝したが、次鋒山口は横山敏士を相手にあと一歩の詰めを欠いて引き分けを許す。緒方と木元の2枚はそれぞれ払腰と大外刈で豪快に一本勝ちも、三将戦は東京学生優勝大会で素晴らしい出来を見せていた奥田がこれも最後の詰めを欠いて星野一貫を相手に意外な引き分け。大将高橋が「指導3」で勝利してスコア自体は4-0の快勝も、上位対戦における加速装置として期待された山口と奥田が取り切れておらず、全体としては「スタートダッシュ」とはまで言い難いという印象。

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オドバートルハンガルが寄せ、奥田將人が内股で応じる先鋒戦

[Bブロック3回戦]
日本体育大 - 日本大
(先)オドバートルハンガル - 奥田將人
(次)東部雄大 - 織方景太
(五)長井晃志 - 木元拓人
(中)古賀颯人 - 東部直希
(三)松井海斗 - 青柳大虎
(副)大吉賢 - 山口貴也
(大)原田健士 - 髙橋佑人

迎えた大山場、3回戦のオーダーは上記。日本体育大はオドバートルハンガル、日本大は奥田將人とともに東京学生優勝大会で印象的な活躍を見せた、爆発力ある駒を先鋒に投入。ここで勢いに乗れるかどうかがまず大きな分岐点だ。

緒方景太と木元拓人の大型2枚がまとめて突っ込まれた次鋒戦と五将戦は日本大が優位、順当なら前衛での日本大リードが見込めるはず。さりとて日本体育大の側が「前で我慢して後衛で捲る」ことを前提に戦える布陣かというと決してさにあらず、この試合から投入された一発屋大吉賢(3年)には体格で勝りかつ本格派の山口貴也が配されており、しかも組み手は相四つ。得意の抱き勝負一発を仕掛けることはなかなか難しいはずで、山口優位の力関係がまっすぐ試合に反映される可能性が高い。松井海斗はここ一番の取り味にどうしても課題が残り、僅差優勢なしの団体戦レギュレーションで、担ぎの利く青柳大虎を相手に体格差がしっかり生かせるかというとこれも決して低いハードルとは思えない。大将原田健士は79キロまで増量して戦闘力が大幅に増しているが本職は73kg級であり、180センチ100キロの高橋佑人を相手に追いかける展開はさすがに難しいと踏んで置くのが妥当。この3戦いずれも、事前に得点を織り込んで考えるのは厳しいはずだ。日本体育大のアドバンテージは日本大の攻撃の中核となり得る東部直希を、高校の先輩であり73kg級学生王者の巧者・古賀颯人で潰し得ることくらい。力関係を覆す、あるいはハードル高いミッションを遂行する「順当ではない結果」の積み重ねが2つ、3つと必要な状況だ。仕事の難易度の高さを比べれば、緒方と木元の得点2つをテコに粛々試合を進めればよい日本大のほうが優位と観察できる。

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ハンガルがついに奥田を捕まえ、裏投「一本」

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しかし実際の試合はこの観測とはかなり異なる経過をたどった。

先鋒戦はオドバートルハンガルが体を寄せて抱き勝負を挑み、奥田將人が襟を掴んで、あるいは袖を抑えて距離を取りながら左内股と小外掛を狙うという展開。ハンガルは掴まれた袖を無理やり切って寄せ続けるが奥田落ち着いて抑え、中盤「手を握り合わせた」咎で双方に「指導」。展開は拮抗だが、この先鋒戦で取るしかないと肚を括ったかハンガルは以後も執念深くあくまで抱きまくり、奥田がこれを受け入れて内股一発を狙ったことでどちらがいつ倒れてもおかしくない大激戦となる。終盤奥田の左内股をハンガルが隅落で捲り返し、引き込む形で腹上で転がして背中を着かせる。これは腹ばいで動きがいったん完全に止まった後ゆえポイントにはならなかったが、一気に場は沸騰。続いて奥田の内股にハンガルがかち合わせた裏投、次いでハンガルの隅返で2度展開が切れて残り時間は1分。ここでハンガルが「手合わせ」を経て、右構えでひときわガップリ腰を抱く。その右手が掴むのは背中を越えてほとんど横帯という深さである。奥田はこれを迎え撃って左内股、敢えてスピードを殺して足を揚げる「高さ勝負」で投げ切らんとし、そして間合いの近さゆえこれは十分可能性があるかと思われたが、ハンガルは釣り手側に体を寄せて奥田の軸足を崩す。そして崩れた奥田が体勢を直そうとしたところに再度の食いつき。奥田左内股で剥がそうとするがハンガル腹を出していったん奥田の重心をドンと浮かすと、降りたところに本命の裏投一発。相手の身体をまたぐどころまで足が深く入ったこの一撃は見事に決まって豪快「一本」。先制点は日本体育大。

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織方景太が東部雄大から大外巻込「技有」

次鋒戦は織方景太が左相四つの東部雄大を相手に引き手、奥襟の順に貪欲に組み手の完成を狙うがリードを背にした東部は左右順番に手を出して膠着に持ち込み、双方に「取り組まない」咎による「指導」。しかしあくまで引き手で袖から持ち、釣り手で奥襟を狙う王道の手順で迫り続ける緒方の密度高い前進が次第に展開を浸食、東部は徐々に陣地を失う。中盤、引き手で袖を得た緒方は東部が嫌って体を開いた瞬間に奥襟を叩くと見せて左大外巻込。後手を踏んだ東部避けようなく転がって「技有」。緒方そのまま腕一本を抱えて変則の崩袈裟固で抑えるが「解けた」。
ビハインドを負った東部であるがむしろここから気持ちを立て直した印象、以降は組み手の片手交換も前に出ながら、攻撃を匂わせながら。勇を鼓して前に出ることで再び展開を拮抗に持ち込んでなんとか4分間を終える。この試合は緒方の「技有」優勢で終了となった。スコアは1-1、日本大が1点を返すも内容差で日本体育大のリードは継続。

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木元拓人が長井晃志から大外刈「一本」

五将戦は日本体育大の長井晃志が左、日本大の木元拓人が右組みのケンカ四つ。90kg級とはいえ組み手しぶとく、組み負けたところからでも強烈な担ぎ技のある長井は相当な難敵と思われたが、この試合は一貫して木元のペース。引き手で袖あるいは襟、釣り手で奥襟を掴んで寄せ続けて完全に主導権を掌握する。長井は必死に相手の釣り手の袖を殺すも、木元はすかさず切り離して再び奥襟を襲い続け、その際を狙った長井の左一本背負投も真裏に返しを狙ってまったく動ぜず。1分半を過ぎたところで完璧な組み手を作ると長井に頭を下げさせたまま間合いを図り、勝負技の右大外刈。足を振って引っ掛け、手ごたえを得るなり縦に刈り込む完璧な手順で鮮やか「一本」。木元がスケール感高い柔道を見せ、ここで日本大が勝ち越し。スコアは2-1となる。

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古賀颯人は自信満々、体重差をものともせず東部直希を攻めこむ

日本大としては続く東部直希で加点して一気に突き放してしまいたいところだったが、ここは73kg級学生王者古賀颯人がまさに完封。東部は高校の先輩古賀を相手に体格を生かした抱き勝負に出るが、古賀はむしろ望むところとばかりに内股で切り返し続け、間合いを詰めているはずの東部の側に消極的との咎で「指導」。古賀はさらに出足払から軸足を大きく回しこんでの右内股で取りに掛かって自信満々。ならばと東部が放った左内股は見切って透かし、東部の攻めは次第に減速。古賀がクロージングを意識した終盤になって双方に片手の咎で「指導」が与えられたものの大勢は変わらずそのままタイムアップ。この試合は引き分けとなった。2点連取して勝ち越した日本大の勢いを、いったん日本体育大が堰き止めた形。

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松井海斗が青柳大虎の片襟背負投を待ち構え、谷落「技有」

加点かなわなかった日本大だが、リードを得ている以上このまま引き分けを続ければ勝利にはたどり着ける。続く三将戦はここからの3戦で唯一日本体育大の側が体格的に勝る一番、日本体育大の松井海斗、日本大の青柳大虎ともに左組みの相四つ。松井は身長187センチ、一方の青柳は172センチの小兵だがこの上背の差に怖じず、袖を絞り込むと左背負投、さらに左大内刈に片手の右袖釣込腰とタイミング良く技を積む。しかし松井は動ぜず、丁寧な組み手から奥襟、時に片襟を交えながら払腰で攻めると、青柳に「取り組まない」咎で「指導」。直後青柳は強烈な左一本背負投で松井を腹ばいに落として抗するが、この手ごたえが裏目に出る。青柳が担ぎ技で攻め、松井が組み手と寝技で圧を掛ける展開が続いた3分20秒、青柳が思い切った片襟の左背負投。しかし松井狙い済まして後襟を引っ掴んで返し、決定的な谷落「技有」。色を失った青柳激しく攻め、残り5秒には袖を折り込まれてそのまま潰れた松井に偽装攻撃の「指導」が与えられるがもはや遅し。この試合は「技有」優勢で松井の勝利に終わった。松井は状況に比して攻めが遅い感もあったが、相手の攻めを良く見極めた瞬間芸1つでしっかり仕事を果たした。ここでスコアは2-2、双方「一本」と「技有」優勢が1つずつというまったくのタイである。

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大吉賢が左大外刈、ついに山口貴也の背後を取る

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大吉の裏投が炸裂「一本」

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大将戦、日本体育大は原田健士の一本背負投「一本」でフィニッシュ

副将戦は大吉賢、山口貴也ともに左組みの相四つ。山口が引き手で袖を絞り込み、大吉は右構えを交えながらまず引き手で襟を狙い、奥襟を持たれるとすかさず絞り落とし、得意の裏投を狙うべく背中にアプローチするチャンスを伺う。組み合いたいはずの山口が釣り手を落とされることを嫌って切り、やむなくやり直すことが増えたため、この試合は大吉の望む「切り合い」の様相に堕ちる。序盤大吉に首抜きの「指導」が与えられたが、攻防2シークエンスを経て今度は双方に「取り組まない」咎による「指導」。

形上「指導2」を失って後のなくなった大吉にあと1つの反則奪取で勝利となる山口が迫るが、大吉は両手を張って巧みに袖の取り合い、切り合いのステージに試合をダウングレード。「取り組まない」反則が取られそうな間合いとなる度に敢えて奥襟を叩く積極姿勢を見せ、審判に介入の隙を与えない。そして3分過ぎ、山口がこの「切り合い」に慣れて集中力を欠いた一瞬を見逃さず、相手の切り際に飛び込むなり片襟を差しての左大外刈。この技でついに相手の背中側に抜け出るとすかさず伝家の宝刀・裏投を見舞う。完全に裏を取られた山口は逆らう術無し。大吉が力を籠めると、山口の腰がその頭上を通過するという豪快極まりない一発に場内が沸き返る。大吉が両足を踏ん張ったまま投げ捨て、山口が受け身を取ったそのままの勢いで一回転して立ち上ったその後方で主審が高々右手を挙げて「一本」を宣告。

日本体育大ベンチは大騒ぎ、大吉拳を握りしめてその歓声に応える。大吉会心の一本勝ちでスコアは3-2、日本体育大が勝ち越しを果たす。

この一撃で試合はほぼ終わってしまった。大将戦は追いかけて来ざるを得ない高橋佑人に対し、原田健士がこの展開は得手とばかりに自信満々に進退。ケンカ四つの高橋佑人のラッシュをいったん押し返すと、右釣り手を張っておいての左一本背負投。加速の効いた一撃見事決まって僅か47秒「一本」。これで全試合が終了、スコア4-2で日本体育大がベスト8入りを決めた。

日本体育大 4-2 日本大
(先)オドバートルハンガル○裏投(3:15)△奥田將人
(次)東部雄大△優勢[技有・払腰]○織方景太
(五)長井晃志△大外刈(1:47)○木元拓人
(中)古賀颯人×引分×東部直希
(三)松井海斗○優勢[技有・谷落]△青柳大虎
(副)大吉賢○裏投(3:10)△山口貴也
(大)原田健士○一本背負投(0:47)△髙橋佑人

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沸き返る日本体育大ベンチ

あらためて盤面を見返してみても、日本大優位との事前観測は決して間違いとは言えない。日本体育大の戦いぶりは見事であった。互いに攻撃型の先鋒戦で一発取り、続く2戦は主力を相手に凌ぎ、中堅戦では加速装置になり得る重量選手東部を止め、残り3試合で捲り返す。全日本柔道選手権ベスト8の大駒・山口に対して「大吉の裏投ならば力関係を覆せる」という客観的には「かもしれない」レベルの希望的観測まで見事実現させ、やりたいことを全てやりきっての完勝であった。

日本大の作戦は緒方と木元を敢えてまとめることで先に点差を開き、この段階で相手の反撃意志を挫くことで後衛が自軍優位の力関係をしっかり反映できる素地を作っておくということであったと解釈する。そしておそらく昨年までの、選手個々の力はあるがチームの意思統一に難ありで点が線になり切れていなかった日本体育大であれば、この作戦は間違いなく嵌ったはず。日体大荏原高時代に優勝を経験した世代が中核となり、昨年の体重別団体で日本一を経験した日本体育大が明らかにチームとしてのステージを上げている、それがよくわかる一番であった。

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Bブロック3回戦、桐蔭横浜大の副将大里雅が天理大・笠原大雅から移腰「技有」

【Bブロック1回戦】
天理大 6-0 大東文化大
福岡大 6-0 北海学園大
桐蔭横浜大 4-1 北陸大
中京大 4-1 立教大
日本体育大 6-0 東日本国際大
大阪体育大 4-1 城西国際大
日本大 7-0 福岡教育大
法政大 5-1 岡山商科大

【Bブロック2回戦】
天理大 4-0 福岡大
桐蔭横浜大 3-0 中京大
日本体育大 7-0 大阪体育大
日本大 4-0 法政大

【Bブロック3回戦】
天理大 4-2 桐蔭横浜大
日本体育大 4-2 日本大

■ Cブロック
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2回戦、筑波大の先鋒千野根有我が東洋大・寺田亘志から支釣込足「一本」

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田嶋剛希が井口大樹から左大腰「一本」

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3回戦、筑波大の三将横内晋介が同志社大・森田駿から大内刈「一本」

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シード校:筑波大(関東)、明治大(東京)

昨年度大会決勝で王者・東海大と代表戦に縺れ込む激戦を演じたシード校・筑波大は2回戦からの登場。初戦から東洋大という歯ごたえのある相手を迎えることとなったこの試合のスターティングは先鋒から千野根有我(1年)、横内晋介(3年)、田中英二朗(4年)、関根聖隆(2年)、石川竜多(4年)、佐々木卓摩(3年)、上野翔平(4年)。ポイントゲッター田嶋剛希(4年)をベンチに残してはいるが、この段階からほぼ本命オーダー。厚い布陣である。

この試合は1年生先鋒の千野根が寺田亘志から開始15秒の支釣込足「一本」で勝利する好スタート。以後は次鋒横内が雨森俊成と引き分け、五将田嶋が井口大樹から1分52秒大腰「一本」で勝利して順調にスコアを2-0まで伸ばしたが、中堅戦では主戦の関根聖隆が友田皓太に開始54秒の内股「一本」で敗れる意外な展開。三将戦でも100kg級の強者石川が同階級の昨年度インターハイ王者皆川大記に引き分けてやや停滞したが、副将佐々木が「指導3」、大将上野が払巻込と後袈裟固の合技「一本」で勝利して関根の1敗をアクシデントの域に押し込めた。最終スコアは4-1であった。

続く同志社大との3回戦は佐々木と上野をいったん下げ、田中と阿部拓馬(2年)を入れて布陣。先鋒田中が村田圭祐から反則で勝利すると、以降は千野根の払腰、石川の内股、阿部の送足払、横内の大内刈、田嶋の合技、そして前戦不首尾の関根による大外巻込「一本」とあっという間の7点奪取。全試合一本勝ちのスコア7-0でベスト8へと駒を進めた。

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1回戦、明治大の三将神鳥剛が札幌大の沢田龍治から手堅く3つの「指導」を確保

下側の山はシード校明治大と、同校に東京学生優勝大会3回戦で惜敗した國學院大によるマッチレース。

明治大は1回戦からの登場。スターティングは清崎竜平(3年)、並木泰雅(4年)、藤鷹裕大(1年)、中村力也(2年)、神鳥剛(4年)、飯島敦也(4年)、立石勇太(3年)。主将の神鳥や並木泰雅を重石として畳に残しつつ、増山香補(3年)、羽田野竜輝(2年)、神垣和他(2年)らポイントゲッター級をひとまずベンチに取り置いた偵察オーダーだ。

札幌大を畳に迎えたこの試合は先鋒清崎が鎌田龍翔に大内刈「一本」で敗れるという波乱のスタート。しかし次鋒並木の合技「一本」、1年生五将藤鷹の小外掛「一本」と早い時間の一本勝ちを2つ並べて流れを取り戻すと、中堅中村の引き分けを挟んだ三将戦は神鳥剛が手堅く「指導3」で勝利。副将飯島の内股返「技有」、大将立石の大内刈「一本」と続き、最終スコアは5-1であった。

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2回戦、明治大は中堅神垣和他が鹿屋体育大・田上英也から大内刈「一本」。ここで先制点を得る。

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明治大は大将羽田野竜輝が萩原麻陽から小外掛「一本」。スコア2-0で3回戦進出決定。

続く2回戦の相手は、前戦で関西地区2位の大阪産業大と代表戦に縺れ込む大接戦を制した鹿屋体育大。明治大は清崎、藤鷹、中村をいったん下げ、神垣、増山、羽田野の3名を入れてこの難敵に対峙した。

しかし先鋒山本が吉野敦哉と引き分け、次鋒並木は境辰五郎と「両者反則負け」を演じて出だしは良からず。こういう事態を想定して前衛に投入しておいた五将のエース神鳥も永田賢斗と引き分けてしまい、3戦を消化していまだスコアは0-0。中堅戦は神垣が終了間際に決めた大内刈「一本」で田上英也に勝利も、三将飯島は吉野弘人を相手にこの試合2つ目の「両者反則負け」を演じる不首尾。副将増山もうるさい竹下将樹を前に意外に動き冴えぬまま引き分け、6戦を消化して1-0という接戦のまま試合は大将戦へと持ち込まれる。

さすがにこれ以上揉めるわけにはいかない明治大は大将羽田野が最終盤に決めた小外掛「一本」で1つ点を積み上げて勝利を確定、最終スコアは2-0。手堅く結果を手にした格好ではあったが、國學院大との再戦に向かって視界良好とは言い難い試合であった。一方の鹿屋体育大はさすがの奮闘、近年の充実をあらためて感じさせた意地のある一番。

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2回戦、國學院大の副将斉本研アレクサンドルが名城大・松永泰知から浮腰で2つ目の「技有」

明治へのリベンジに燃える國學院大は初戦で埼玉大に6-1で勝利。続く2回戦は前戦で失点した佐藤光(3年)を下げて先鋒から兼原潤(3年)、長澤大雅(3年)、山本瑛介(2年)、寺島綾都(4年)、斉本研アレクサンドル(1年)、島田隆志郎(4年)と本命オーダーを注ぎ込んで名城大を相手に5-1の快勝。中堅山本が西野孝祐に袈裟固「一本」で失点する場面があったが、先鋒兼原の送襟絞「一本」を皮切りに、五将足立の崩袈裟固、三将寺島の「指導3」、副将斉本の合技、大将島田の大外刈と一本勝ちを5つ並べて大枠危なげない試合だった。

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3回戦、明治大の先鋒藤鷹裕大が兼原潤から浮落「技有」。そのまま抑え込んで一本勝ち。

[Cブロック3回戦]
明治大 6-0 國學院大
(先)藤鷹裕大○合技(3:56)△兼原潤
(次)神鳥剛○優勢[技有・小内刈]△長澤大雅
(五)羽田野竜輝○合技(1:29)△寺島綾都
(中)神垣和他○優勢[技有・支釣込足]△斉本研アレクサンドル
(三)飯島敦也×引分×安達洋助
(副)増山香補○背負投(3:31)△酒井拓磨
(大)山本康生○移腰(1:05)△島田隆志郎

前述の通り東京学生優勝大会では1-1の代表戦決着という大接戦だったカードだが、この試合は意外な大差となった。明治大は1年生先鋒藤鷹裕大が兼原潤から合技「一本」で勝利すると、勝負どころと目された次鋒戦で神鳥剛が長澤大雅から粘り強い戦いで小内刈「技有」をもぎ取って連勝。これで勢いに乗り、続く羽田野竜輝の合技「一本」でほぼ試合を終わらせてしまった。

中堅戦は神垣和他が1年生の斉本研アレクサンドルから支釣込足「一本」で勝利し、早くもこの時点でチームの勝利が確定。前戦いまひとつの出来だった副将増山香補も得意の背負投を決めて「一本」、形勢厳しいと思われた大将戦まで山本康生が島田隆志郎から移腰「一本」。スコアは実に6-0まで伸びた。

前衛で試合が決まった一番であった。明治大は勢いにのって、準々決勝で待ち受けるシード校筑波大に挑む。

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Cブロック2回戦、東洋大の友田皓太が筑波大・関根聖隆から内股「一本」

【Cブロック1回戦】
東洋大 6-0 徳山大
同志社大 4-2 福井工大
拓殖大 ②代-2 弘前大
明治大 5-1 札幌大
鹿屋体育大 ②代表-2 大阪産業大
國學院大 6-1 埼玉大
名城大 5-0 帝京科学大

【Cブロック2回戦】
筑波大 4-1 東洋大
同志社大 ②-2 拓殖大
明治大 2-0 鹿屋体育大
國學院大 4-1 名城大

【Cブロック3回戦】
筑波大 7-0 同志社大
明治大 6-0 國學院大

■ Dブロック
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1回戦、国士舘大の先鋒仲佐怜優が甲南大・戸田将太から一本背負投「一本」

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2回戦、国士舘大の中堅将竹村昂大が流通経済大・タカヤワテビタから大腰「一本」

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3回戦、国士舘大の副将飯田健太郎が慶應義塾大・澁沢純から大内刈でまず「技有」

→[記録]男子全試合対戦詳細(eJudoLITE)

シード校:国士館大、中央大

東京学生優勝大会を制した国士舘大のスターティングは先鋒から仲佐怜優(4年)、中西一生(1年)、飯田健太郎(3年)、大淵泰志郎(2年)、久野壱虎(3年)、清水雅義(2年)、竹村昂大(4年)。1回戦はこのオーダーで甲南大に5-0で勝利を収めた。内容は先鋒仲佐の一本背負投「一本」、次鋒中西の背負投「技有」優勢、五将飯田が長谷川樹希から小内刈「技有」、中堅大淵が奥村弥百希と引き分け、三将久野が内股「一本」、副将清水が竹川勇次と引き分け、最後は竹村が小外刈「一本」。エース飯田はペースの上げどころを探ったまま4分間が終わってしまったという印象。粘ること自体を最大のミッションに置く相手に難しい試合であったが、しっかり勝利を得た一方でやや物足りない出だしであった。

日をまたいだ2回戦は前戦で金沢工業大を7-0と完封している流通経済大とマッチアップ。いったん飯田を下げて布陣、先鋒加賀谷武弘(3年)と次鋒大淵が引き分けたものの、ここから五将安田夢飛(3年)が一本背負投「技有」、中堅竹村が大腰「一本」、三将中西が出足払「技有」優勢、久野が内股「技有」優勢、そして山下魁輝の大内刈「一本」と順調に勝利を積み上げてこの試合はスコア5-0の快勝であった。

3回戦は慶應義塾大とマッチアップ。ほぼ本命オーダーを組んだこの試合は、先鋒仲佐怜優が中野怜王と引き分け、次鋒清水も織茂友多郎と引き分けという拮抗のスタート。しかし五将戦は山下魁輝が1年生レギュラーの杉村晃希から2分3秒小外刈「一本」を奪ってしっかり仕事を果たし、中堅の岩渕晃大(3年)も小田島重夫から手堅く縦四方固で一本勝ち。ここで試合の趨勢はほぼ見えた印象、三将戦は加賀谷武弘が藤井崚将を内股「技有」で退け、副将戦は飯田健太郎が澁沢純から合技で一本勝ちしてこれで通算4点を確保した。

しかし大将戦では4年生の竹村昂大が蓜島剛の内股をまともに食って一回転、まさかの一本負けを喫してしまう。チームの勝敗決した後とはいえ画竜点睛を欠き、以後に少々不安の残る勝ち上がりとなった。

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1回戦、中央大は中堅木崎光輝が清和大・福澤樹から肩車「一本」。試合を2-2のタイスコアに持ち込む。

下側の山はシード校中央大と、東京学生優勝大会で同校と代表戦に縺れ込む接戦を演じた早稲田大がベスト8入りを争う、最注目ブロックの一。

東京大会でベスト8入り、名門復活を印象付けた中央大であったが1回戦は清和大に大苦戦。1年生先鋒の小竹守が井上大地に袖釣込腰「一本」で敗れ、次鋒黒田拳伍(3年)も小野優太に引き分け。迎えた五将戦も川上冬一(3年)が相手方のエース菊地盛に合技「一本」で屈し、3戦消化の時点で実に2点のビハインド。続く中堅のエース後藤昌毅(4年)の小外刈「一本」、三将木崎光輝(3年)の肩車「一本」で追いついたが、副将酒井陸(1年)と大将岩崎恒紀(4年)は引き分けて2-2のタイスコアで7戦が終了。勝負は代表戦に持ち込まれる。

迎えた代表戦は後藤が菊地から支釣込足「一本」で勝利して事なきを得たが、まさに薄氷の勝利。配列の妙もあったが、昨年来復活基調で一貫して勢いに乗って来た同大が、知らず挑む立場から守る立場へとマインドセットを変えてしまっていたという印象はぬぐえない。それでも勝ち抜いたことにむしろ中央大の地力の高さが感じられた、危うい一番であった。

その中央大、日をまたいだ2回戦は相当気合いを入れなおした様子。愛知大を相手に5-0と隙のない試合を見せ、ぶじ3回戦へと駒を進める。

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2回戦、早稲田大の中堅空辰乃輔が龍谷大・木村朋弥から隅落「技有」

一方の早稲田大は1回戦で秋田大とマッチアップ。先鋒から佐藤虎太郎(2年)、高波勁佑(4年)、清水祐希(3年)、高山康太(1年)、空辰乃輔(3年)、長嶋勇斗(1年)、百瀬敦也(2年)というメンバーで臨み、先鋒佐藤、五将清水、三将空、大将百瀬の一本勝ちをテコに4-0の快勝。続く2回戦の龍谷大戦はメンバーのグレードを一段上げ、先鋒から佐藤竜(4年)、清水、佐藤虎太郎、空、瀬川勇気(4年)、髙波、百瀬という陣容でスコア6-0の快勝であった。

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注目の3回戦、先鋒戦で岩崎恒紀が清水祐希から小外掛「技有」。先制点は中央大。

[Dブロック3回戦]
早稲田大 ②-2 中央大
(先)清水祐希△優勢[技有・小外掛]○岩崎恒紀
(次)佐藤虎太郎×引分×木崎光輝
(五)瀨川勇気△合技(3:58)○小竹守
(中)空辰乃輔○腕挫十字固(0:48)△後藤昌毅
(三)高波勁佑○大外刈(1:10)△和泉川武蔵
(副)百瀬敦也×引分×黒田拳伍
(大)佐藤竜×引分×黒田悠正

双方得点を期待された先鋒戦は中央大・岩崎恒紀が小外掛「技有」で清水祐希を下す。次鋒戦は引き分け、そして最重要試合の一と思われた五将戦では今大会ここまではいまひとつの出来であった中央大の核弾頭・1年生の小竹守が本来の力を発揮、瀨川勇気から合技「一本」で勝利。この時点でスコアは実に2-0、試合は完全な中央大ペース。早稲田大は2点のビハインド、しかも得点が期待された瀬川勇気で星を落としてしまうというまさに苦境である。

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ポイントゲッター対決の中堅戦は早稲田大・空辰乃輔が後藤昌毅から腕挫十字固「一本」

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続く三将戦も高波勁佑が和泉川武蔵から大外刈「一本」。内容差で早稲田大が勝ち越す。

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大将戦、佐藤竜が黒田悠正を相手に必死の粘り、引き分けをもぎとる。

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51年ぶりの入賞決定、沸き返る早稲田大ベンチ。

しかし中堅に座る空辰乃輔が暗雲を振り払う。東京学生優勝大会の代表戦で一本負けを喫している中央大のエース後藤昌毅からなんと開始僅か48秒、電光石火の腕挫十字固「一本」。その余韻収まらぬ間に続く三将高波勁佑が和泉川武蔵(2年)から1分10秒、大外刈を決めて一本勝ち。これでスコアは2-2、内容差で早稲田が勝ち越し。早稲田は3戦ほぼフルタイム掛けてジリジリ追い込まれたその悪い流れを、僅か2分余でひっくり返してしまった。

副将戦は引き分けに終わり、内容差リード継続の早稲田は51年ぶりの入賞を掛けて大将のキャプテン佐藤竜が畳に上がる。ポイントゲッター同士による大将戦は佐藤が身長172センチ体重81キロ、黒田が174センチ100キロで2階級の体格差。本格派の黒田は奥襟を叩き、腰を切って牽制しながらグイと迫るが佐藤は得意の担ぎ技に巴投、さらにアグレッシブな寝技を駆使して粘り続ける。序盤出遅れた黒田が中盤以降圧を強め、佐藤に「指導」2つまでが積み重なって場は緊迫。しかし佐藤は我慢強く前に出て担ぎ技を打ち続ける。あるいは偽装攻撃の「指導」かと思われる場面もあったが佐藤の気迫に気圧されたか三審ともに動かず息を呑んで試合を見守る。客観的にはいつ黒田の一発が出てもおかしくない、あるいはスコア上追い込まれた佐藤がメンタルパニックを起こして掛け潰れ3つ目の「指導」を失ってもおかしくない場面であるが、佐藤はあくまで立って仕掛け続け、担ぎ技や捨身技が効かずに潰れるとみれば弾かれたように振り向いて相手に食いつき、審判に介入の隙を与えない。いかにも佐藤らしい泥臭く、そして気迫に溢れた試合ぶりが奏功、ついに本戦4分間が過ぎ去ってこの試合は引き分けとなる。この瞬間、早稲田大のベスト8進出が決まった。同大の入賞は2位入賞を果たした昭和43年の第17回大会以来、実に51年ぶり。

結果決まった準々決勝カードは、

東海大(東京) - 山梨学院大(関東)
天理大(関西) - 日本体育大(東京)
筑波大(関東) - 明治大(東京)
国士舘大(東京) - 早稲田大(東京)

となった。

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Dブロック3回戦、慶應義塾大の大将蓜島剛が国士舘大・竹村昂大から内股「一本」

【Dブロック1回戦】
名城大 5-0 帝京科学大
国士舘大 5-0 甲南大
流通経済大 7-0 金沢工大
関東学園大 7-0 東海大札幌
慶應義塾大 5-1 日本文理大

【Dブロック2回戦】
国士舘大 5-0 流通経済大
慶應義塾大 5-1 関東学園大
中央大 5-0 愛知大
早稲田大 6-0 龍谷大

【Dブロック3回戦】
国士舘大 4-1 慶應義塾大
早稲田大 ②-2 中央大

※ eJudoメルマガ版7月6日掲載記事より転載・編集しています。

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