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了徳寺大学職員が優勝、出色の出来見せた渡邉勇人が優秀選手賞得る・第69回全日本実業柔道団体対抗大会男子第2部

(2019年6月9日)

※ eJudoメルマガ版6月9日掲載記事より転載・編集しています。
了徳寺大学職員が優勝、出色の出来見せた渡邉勇人が優秀選手賞得る
第69回全日本実業柔道団体対抗大会男子第2部
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優勝の了徳寺大学職員チーム

→男子2部結果(eJudoLITE)

高崎アリーナ(高崎市)で行われている第69回全日本実業柔道団体対抗大会は9日、最終日を迎え、男子第2部は了徳寺大学職員が優勝した。昨年3部で優勝している同チームの2部制覇は12年ぶり3度目(※)。

了徳寺大学職員は2回戦から登場、セントラル警備保障を4-0、九電工を5-0で下すと、勝負どころの準決勝は旭化成を先鋒渡邉勇人と次鋒ダニエルディッチェフの一本勝ちをテコに2-1で下して決勝進出。決勝はここまで圧勝続きの自衛隊体育学校をこれも渡邉とダニエルの挙げた勝利で先行し、2-2の内容差で下した。

決勝の戦評と全試合のスコア、準決勝の対戦詳細は下記。

※昨年までのチーム名は「了徳寺学園」

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了徳寺大学職員は前衛2枚の着実な仕事ぶりで決勝に進出

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後衛3枚に4月の全日本柔道選手権出場者を並べた自衛隊体育学校

【決勝戦評】

了徳寺大学職員 - 自衛隊体育学校
(先)渡邉勇人 - 渡邊一貴
(次)ダニエルディッチェフ - 石黒亮太
(中)込山龍哉 - 春山友紀
(副)阪本健介 - 前田宗哉
(大)尾方寿應 - 佐藤正大

了徳寺大学職員はここまで先鋒渡邉勇人と次鋒ダニエルディッチェフの前衛2枚を得点源として勝ち上がって来ており、一方の自衛隊体育学校は全日本選手権に出場した中堅春山友紀、前田宗哉、佐藤正大と後衛の3枚が非常に強力。前衛2枚はメンバーからも了徳寺大学職員チームの得点が十分織り込まれるところで、となると勝負のポイントは、自衛隊体育学校が最低でも2点以上を得ねばならなくなるはずの後半戦にある。最重要は中堅戦、了徳寺サイドから見れば73kg級の新卒選手込山龍哉が春山を抑え切れるか、自衛隊体育学校からすれば対大型選手戦が得意な春山が軽い込山をしっかり仕留められるのかどうか。春山は団体戦があまり得意ではない印象があるが、この日は準決勝で七戸龍と引き分けるなどしっかり為すべき仕事を果たしてきており、様相は予断を許さず。そして続く副将戦、前田宗哉が100kg級のパワーファイター阪本健介を攻略し得るかどうか。普通に考えればいずれかの得点を事前に計算しておくことは難しいはずだが、前田は4月の全日本選手権を見る限り今季絶好調。了徳寺が後衛に据えた「重石」の強者阪本をも投げてしまうのではないかという期待感は十分である。大将戦における佐藤正大の1点確保は全日本選抜体重別選手権と全日本選手権の素晴らしい戦いぶりからして、十分織り込んでよいところ。やはり勝負のポイントは中堅戦と副将戦の2試合だ。

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先鋒戦、渡邉勇人が渡邊一貴から背負投「一本」

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ダニエルディッチェフは石黒亮太の巴投に崩れず、引っ張り上げて「指導」を引き出す

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中堅戦、込山龍哉が春山友紀に袖釣込腰で先制攻撃

先鋒戦は渡邉勇人が左、渡邊一貴が右組みのケンカ四つ。コーチを務める37歳の渡邊一貴、機先を制していきなり背中を抱く奇襲。さすがの経験値の高さを見せるが渡邉勇人はそのまま思い切り左内股に切り返して投げ掛かり、まったく動ぜず。渡邊一貴は右払腰に両襟の出足払と威力ある技を打ち込んで強敵相手にペースを掴まんとするが、渡邉勇人は組み際の左払巻込で横転させかけて流れを取り返すと、試合時間2分半にならんとするところで左内股。この技で一回耐えさせるなり間を置かずに左背負投に連絡する。この極めて強気の組み立てに、既に前段の内股で間合いを詰められ切っていた渡邊一貴たまらずふわりと浮き上がり、渡邉勇人立ったまま投げ切って鮮やか「一本」。

次鋒戦はダニエルディッチェフが身長で25センチ、体重で33キロ勝る体格差をテコに前進。石黒亮太巧みに接近と離脱を繰り返して凌ぐが、50秒には双方に取り組まない咎による「指導」。石黒巴投に組み際の背負投を繰り出して粘るが、背筋を伸ばして前に出続けるダニエルは崩れず、丁寧に潰しては寝技で攻めることを繰り返す。石黒には2分41秒場外の「指導2」、巴投でぶらさがったまま潰された2分59秒には3つ目の「指導」が与えられて試合は終戦。了徳寺大学職員はプラン通りに2点を先制。

シナリオ分岐上の最重要試合と目される中堅戦は込山龍哉が春山友紀に対してまず片手の左袖釣込腰で先制攻撃。春山の体を横にして背中に載せたまま、振り向いて右後隅の方向に落としに掛かる。これは投げ切れなかったが、込山のこの思い切った、かつ癖のある一撃が効いたか春山はやや慎重な進退。一方の込山は表情を変えず、接近と離脱を繰り返しながら良いタイミングで片襟の右大内刈を繰り出し、落ち着いた試合ぶり。春山は巴投に袖釣込腰と繰り出すが込山の間合いの出し入れに付き合い過ぎて組み合っての接近戦が減り、どうしても技は散発。春山独特の色気のある作りが出来ないまま時間がどんどん過ぎ去っていく。このまま試合は引き分けに終わり、3戦消化してスコアは2-0。了徳寺学園に勝運大きく傾く。

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副将戦、前田宗哉が得意の右大外刈に乗り込む

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あくまで投げ切って「技有」

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佐藤正大が尾方寿應を絞め落とす

副将戦は東海大の先輩後輩対決、阪本健介が左、前田宗哉が右組みのケンカ四つ。前田は投げる気満々の右内股で先制攻撃。以降も階級が上の阪本に奥襟の叩き合いを挑んでまことに意気軒高。阪本上からの圧力と股中への左体落で抗するが、前田は「入りさえれば投げ切れる」とばかりに1分過ぎに右内股、続いて代名詞の右大外刈、2分15秒にも思い切った右大外刈で阪本を場外に弾き出してと大技を連発。まさに技自体の迫力でペースを掴む。阪本呼び込んでの左大内刈で腹ばいに崩すが、前田の勢いはまったく衰えず。2分42秒には組み際に上から乗り込んでの右大外刈。阪本押しとどめるが前田は勝機はここと感じたかあくまで乗り込みをやめず、時計回りに追い続けてついに投げ切り「技有」。

前田「一本」と勘違いしたか思わず拳を握りしめるが、まだミッション完遂には足りずと以後も攻めの矛を収めず。阪本も圧を掛けておいての左大腰で思いきり決めに掛かり、様相は投げ合い。残り13秒、前田横落に入り込むが阪本の太い体幹と重さにそのままストップ。これは「待て」となり、前田の「技有」優勢勝ちが決まった。自衛隊体育学校1点を返すも「一本」獲得はならず、この時点で了徳寺大学職員の優勝が決定。

大将戦はこれも今春絶好調の自衛隊体育学校・佐藤正大が勢いの差を見せつける。尾方寿應を相手に試合が始まるなりの大内刈で寝技に持ち込むと、右で襟を握り、左で右肘を捕まえて絞め上げる。このまま立って逃れようとした尾方を正面から「ネクタイチョーク」に近い形で絞め落として片手絞「一本」。これでスコアは2-2となったが、一本勝ちは了徳寺大学職員が2つ、自衛隊体育学校が1つ。前衛と後衛に分かれた得点ブロックの仕事の差が出た形で、了徳寺大学が優勝を決めた。

【入賞者】
(エントリー22チーム)
優 勝:了徳寺大学職員
準優勝:自衛隊体育学校
第三位:旭化成、九州電力

優秀選手:渡邉勇人、ダニエルディチェフ(了徳寺大学職員)、佐藤正大(自衛隊体育学校)、土屋潤(旭化成)、七戸龍(九州電力)

【1回戦】

岐阜刑務所 2-1 日本製鉄大分
東芝 4-1 三菱ケミカル物流
セントラル警備保障 4-0 トヨタ自動車
東レ氏が 4-0 豊田自動織機
日本エースサポート 5-0 三菱重工名古屋
日本通運 5-0 ダイコロ

【2回戦】

旭化成 4-0 まるや接骨院
戸髙鉱業社 4-0 岐阜刑務所
東芝 4-1 九電工
了徳寺大学職員 4-0 セントラル警備保障
アドヴィックス 5-0 東洋水産
自衛隊体育学校 5-0 東レ滋賀
九州電力 2-1 日本エースサポート
日本通運 3-0 JR九州

【準々決勝】

旭化成 4-1 戸髙鉱業社
了徳寺大学職員 5-0 東芝
自衛隊体育学校 2-1 アドヴィックス
九州電力 ①-1 日本通運

【準決勝】

了徳寺大学職員 2-1 旭化成
(先)渡邉勇人〇大外刈(2:03)△正木聖悟
(次)ダニエルディッチェフ〇裏投(2:09)△青木雅道
(中)込山龍哉×引分×二見省吾
(副)阪本健介△支釣込足(0:35)〇土屋潤
(大)尾方寿應×引分×山本悠司

自衛隊体育学校 3-0 九州電力
(先)渡邊一貴〇優勢[僅差]△浦川大生
(次)石黒亮太×引分×七戸虎
(中)春山友紀×引分×七戸龍
(副)前田宗哉〇大外刈(0:29)△帆高純平
(大)佐藤正大〇背負投(1:06)△宮本康平

【決勝】
了徳寺大学職員 ②-2 自衛隊体育学校
(先)渡邉勇人〇背負投(2:26)△渡邊一貴
(次)ダニエルディッチェフ〇反則[指導3](2:59)△石黒亮太
(中)込山龍哉×引分×春山友紀
(副)阪本健介△優勢[技有・大外刈]〇前田宗哉
(大)尾方寿應△片手絞(0:29)〇佐藤正大


取材・撮影:eJudo編集部

※ eJudoメルマガ版6月9日掲載記事より転載・編集しています。

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