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【レポート】78kg級の泉真生が国際大会4連勝、70kg級は田中志歩が制す・アジアパシフィック選手権大会2019女子7階級レポート

(2019年5月18日)

※ eJudoメルマガ版5月18日掲載記事より転載・編集しています。
【レポート】78kg級の泉真生が国際大会4連勝、70kg級は田中志歩が制す
アジア・パシフィック選手権大会2019女子7階級レポート
アジア・パシフィック選手権大会2019が、4月20日から23日までの4日間、アラブ首長国連邦のフジャイラで開催された。この大会はこれまで個別に行われていたアジア選手権大会とオセアニア選手権大会を統合して、今年から新設されたもの。女子個人戦には6名の日本代表選手が出場し、70kg級の田中志歩(環太平洋大3年)と泉真生(コマツ)が優勝を飾った。

各階級の概況と決勝の結果、日本選手全試合の勝ち上がりは下記。

文責:小林大悟/eJudo編集部

■ 48kg級・リーヤナンがガルバドラフ破り優勝、坂上綾は準々決勝で敗れ3位
(エントリー12名)

【入賞者】
1.LI, Yanan (CHN)
2.GALBADRAKH, Otgontsetseg (KAZ)
3.SAKAGAMI, Aya (JPN)
3.LEE, Hyekyeong (KOR)
5.NAUATBEK, Akmaral (KAZ)
5.LIN, Chen-Hao (TPE)
7.NAZAROVA, Aziza (TKM)
7.LIKMABAM, Shushila Devi (IND)

トップ選手の多くがこのアジア地域に属しているものの、出場したのは第1シードのガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)のみ。決勝にはそのガルバドラフとリー・ヤナン(中国)が勝ち上がった。決勝はリーが右、ガルバドラフが左組みのケンカ四つ。ガルバドラフにとっては得意の裏投を狙いやすいケンカ四つであったが、リーの意外なパワーとガチャガチャと動き続ける柔道に大苦戦。大内刈で度々畳に這わされた末、GS1分38秒に脇の差し合いからの谷落「一本」で敗れた。リーは現在25歳。実はガルバドラフには昨年10月のグランドスラム・今年2月のアブダビ、グランドスラム・デュッセルドルフと連勝しており、今回で3連勝。他にもメラニー・クレモン(フランス)やエヴァ・チェルノヴィツキ(ハンガリー)にも勝利している。下位選手相手の取りこぼしが目立つものの、今後は常に一定の注意を払うべきだろう。

日本代表の坂上綾(三井住友海上)は初戦(準々決勝)でイ・ヘキョン(韓国)に「指導3」を奪われ反則負け(2:21)。それでも敗者復活戦を勝ち上がり、3位決定戦でアクマラル・ナウアトベク(カザフスタン)に「指導3」の反則(GS2:38)で勝利して表彰台は確保した。

【決勝】
リー・ヤナン(中国)○GS谷落(GS1:38)△ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)

【日本代表選手勝ち上がり】

坂上綾(三井住友海上)
成績:3位


[準々決勝]
坂上綾△反則[指導3](2:21)○イ・ヘキョン(韓国)

[敗者復活戦]
坂上綾○上四方固(1:55)△アジザ・ナザロワ(トルクメニスタン)

[3位決定戦]
坂上綾○GS反則[指導3](GS2:38)△アクマラル・ナウアトベク(カザフスタン)

■ 52kg級・注目のルハグヴァスレンが2位、立川莉奈は準決勝で敗れるも3位を獲得
(エントリー16名)

【入賞者】
1.KELDIYOROVA, Diyora (UZB)
2.LKHAGVASUREN, Sosorbaram (MGL)
3.TATSUKAWA, Rina (JPN)
3.RIM, Song Sim (PRK)
5.PARK, Da Sol (KOR)
5.WARASIHA, Kachakorn (THA)
7.BABAMURATOVA, Gulbadam (TKM)
7.EASTON, Tinka (AUS)

ディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)とルハグヴァスレン・ソソルバラム(モンゴル)が決勝に進出。ルハグヴァスレンが先に「指導2」を奪うも、ケルディヨロワが2分2秒に両手で引き手の袖口を持った右背負投「一本」で逆転勝利。優勝を飾った。2位入賞のルハグヴァスレンはグランドスラム・デュッセルドルフでも2位を獲得するなど現在売り出し中の18歳。今大会でも準決勝で立川莉奈(福岡県警察)を破るなど、存在感を示した。

日本代表の立川は前述のとおり準決勝でルハグヴァスレンに苦杯。腰に食らいついて大内刈で追い込んだところを内股透様の浮落で捲られ「技有」を失点、そのまま袈裟固で抑え込まれた合技「一本」(2:51)で敗れた。3位決定戦ではパク・ダソル(韓国)をGS延長戦での内股「技有」(GS0:26)で下し、銅メダルを確保した。

【決勝】
ディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)○背負投(2:02)△ルハグヴァスレン・ソソルバラム(モンゴル)

【日本代表選手勝ち上がり】

立川莉奈(福岡県警察)
成績:3位


[1回戦]
立川莉奈○合技(0:31)△シングマ=プル・マルマ(バングラデシュ)

[準々決勝]
立川莉奈○大外刈(0:10)△ティンカ・イーストン(オーストラリア)

[準決勝]
立川莉奈△合技[浮落・袈裟固](2:51)○ルハグヴァスレン・ソソルバラム(モンゴル)

[3位決定戦]
立川莉奈○GS技有・内股(GS0:26)△パク・ダソル(韓国)

■ 57kg級・富沢佳奈がドルジスレン撃破も、決勝でキムジンアに敗れ2位
(エントリー19名)

【入賞者】
1.KIM, Jin A (PRK)
2.TOMIZAWA, Kana (JPN)
3.NISHANBAYEVA, Sevara (KAZ)
3.LKHAGVATOGOO, Enkhriilen (MGL)
5.LU, Tongjuan (CHN)
5.LIEN, Chen-Ling (TPE)
7.KIM, Jandi (KOR)
7.FURUKAWA, Rena (PHI)

富沢佳奈(東海大2年)が決勝に進出、2018年アジア大会準優勝者のキム・ジンア(北朝鮮)とマッチアップした。この試合は両者「指導2」を取り合ってGS延長戦に突入、キムが延長戦開始直後から連続攻撃で山場を作り、GS43秒に富沢から消極的の「指導3」を奪って優勝を飾った。

富沢は2回戦で2017年ブダペスト世界選手権王者のドルジスレン・スミヤ(モンゴル)と対戦し、合計時間10分を超える消耗戦の末に「指導3」の反則(GS6:01)で勝利している。以降も準々決勝でキム・ジャンディ(韓国)、準決勝でルハグヴァトゴー・エンフリーレン(モンゴル)を撃破するなど、ワールドツアー表彰台クラスの有力選手を相手に勝利を重ねた。それだけに決勝の敗戦が悔やまれる。大きく評価を上げた一方で、画竜点睛を欠いた大会だった。

【決勝】
キム・ジンア(北朝鮮)○GS反則[指導3](GS0:43)△富沢佳奈

【日本代表選手勝ち上がり】

富沢佳奈(東海大2年)
成績:2位


[1回戦]
富沢佳奈○横四方固(0:59)△ハナン・アルサルム(シリア)

[2回戦]
富沢佳奈○GS反則[指導3](GS6:01)△ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)

[準々決勝]
富沢佳奈○優勢[技有・小内刈]△キム・ジャンディ(韓国)

[準決勝]
富沢佳奈○GS反則[指導3](GS2:40)△ルハグヴァトゴー・エンフリーレン(モンゴル)

[決勝]
富沢佳奈△GS反則[指導3](GS0:43)○キム・ジンア(北朝鮮)

■ 63kg級 ヤン・ジュインシュアが順当に優勝
(エントリー17名)

【入賞者】
1.YANG, Junxia (CHN)
2.BOLD, Gankhaich (MGL)
3.TANG, Jing (CHN)
3.HAECKER, Katharina (AUS)
5.COUGHLAN, Maeve (AUS)
5.LIAO, Yu-Jung (TPE)
7.TURDAN, Akniyet (KAZ)
7.BERDYBEKOVA, Iolanta (KAZ)

ヤン・ジュインシア(中国)とボルド・ガンハイチ(モンゴル)が決勝に進出。ヤンが、得意としている「腹包み」から相手を乗り越えて捲る崩袈裟固(通称「舟久保固め」)で「一本」(3:18)を奪い、優勝を飾った。

この階級に出場予定だった土井雅子(JR東日本)は、左膝内側側副靭帯損傷のために欠場した。土井の欠場によりワールドツアーの一線級選手がほとんどいなくなり、トーナメントのレベルは高くなかった。

【決勝】
ヤン・ジュインシア(中国)○崩袈裟固(3:18)△ボルド・ガンハイチ(モンゴル)

※日本代表選手の出場はなし

■ 70kg級・田中志歩が順当勝ち、地力の高さテコに危なげない戦いぶり
(エントリー13名)

【入賞者】
1.TANAKA, Shiho (JPN)
2.MATNIYAZOVA, Gulnoza (UZB)
3.YOU, Jeyoung (KOR)
3.COUGHLAN, Aoife (AUS)
5.KWON, Sun Yong (PRK)
5.ALREBAI, Asma (BRN)
7.NARYNOVA, Moldir (KAZ)
7.ZHU, Ya (CHN)

田中志歩(環太平洋大3年)が優勝。決勝ではグルノザ・マトニヤゾワ(ウズベキスタン)を「指導3」の反則(GS0:58)で下した。参加者に田中を脅かすような選手はおらず、優勝という結果は妥当なもの。ベスト4以降の2試合はいずれも「指導3」の反則による勝利と内容は派手なものではなかったが、相手との地力の差をベースに危なげない戦いぶりでタイトルを獲得した。

【決勝】
田中志歩○GS反則[指導3](GS0:58)△グルノザ・マトニヤゾワ(ウズベキスタン)

【日本代表選手勝ち上がり】

田中志歩(環太平洋大3年)
成績:優勝


[1回戦]
田中志歩○横四方固(1:08)△マリアム・バルバト(イラン)

[準々決勝]
田中志歩○優勢[技有・大内返]△クォン・スンヨン(北朝鮮)

[準決勝]
田中志歩○GS反則[指導3](GS3:41)△イーファ・コーグラン(オーストラリア)

[決勝]
田中志歩○GS反則[指導3](GS0:58)△グルノザ・マトニヤゾワ(ウズベキスタン)

■ 78kg級・泉真生が優勝、国際大会4連勝を飾る
(エントリー11名)

【入賞者】
1.IZUMI, Mao (JPN)
2.MA, Zhenzhao (CHN)
3.YOON, Hyunji (KOR)
3.LEE, Jeongyun (KOR)
5.RAIFOVA, Zarina (KAZ)
5.HSU WANG, Shu Huei (TPE)
7.WALLIS, Melanie (AUS)
7.OTGON, Munkhtsetseg (MGL)

泉真生(コマツ)が優勝。決勝では2018年バクー世界選手権5位のマー・ジェンジャオ(中国)と対戦。長身の相手とのリーチ差に苦労しつつも「指導2」を先行し、残り20秒、相手が釣り手をクロスに叩き入れたタイミングに右大内刈を差し込んで「技有」確保。これで勝利を決めた。

泉はこれで国際大会4連勝。国内のライバルがいずれも成績安定しないことを考慮すると、現時点で十分に東京五輪代表の可能性を残していると考えるべきだろう。泉は皇后盃全日本女子柔道選手権の関東予選を制しているが、日程が被った本戦(4月21日・横浜文化体育館)を欠場して今大会に派遣されている。当然これは実績と世界ランクポイントを積ませるためであり、このことが泉が代表候補の一であるなによりの証拠だ。とはいえ本当に代表選出のシナリオがあるとすれば、大げさでなく無敗に近い成績が要求されるはず。徐々にマークが厳しくなる中、まずは国際大会の連勝がどこまで続くのかに注目したい。

【決勝】
泉真生○優勢[技有・大内刈]△マー・ジェンジャオ(中国)

【日本代表選手勝ち上がり】

泉真生(コマツ)
成績:優勝


[準々決勝]
泉真生○合技[大内刈・袈裟固](0:46)△オトゴン・ムンフツェツェグ(モンゴル)

[準決勝]
泉真生○合技[小外掛・小外刈](2:39)△ザリナ・ライフォワ(カザフスタン)

[決勝]
泉真生○優勢[技有・大内刈]△マー・ジェンジャオ(中国)

■ 78kg超級・キムミンジョンが優勝、井上あかりはワンヤンに敗れ3位
(エントリー11名)

【入賞者】
1.KIM, Minjeong (KOR)
2.HAN, Mi Jin (KOR)
3.WANG, Yan (CHN)
3.INOUE, Akari (JPN)
5.ISSANOVA, Gulzhan (KAZ)
5.JIANG, Yanan (CHN)
7.MAAN, Tulika (IND)
7.TSAI, Jia Wen (TPE)

2017年ブダペスト世界選手権3位、第1シードのキム・ミンジョン(韓国)が優勝。ハン・ミジン(韓国)との同国決勝では、機動力の高さと試合運びの巧さで相手を完封。危なげなく「指導」を3つ積み上げ、相手の反則(2:38)で勝利した。キムは国内の序列を改めて示すとともに、アジア地域における日本勢に次ぐ現状2番手の位置を守った格好だ。キムとともに日本勢の有力なライバルであるワン・ヤン(中国)は、準決勝でハンに「指導3」の反則(GS0:46)で敗れ、3位だった。

日本代表の井上あかり(JR東日本)は準々決勝でワンに苦杯。ケンカ四つの相手に対して牽制のために腰を切ったところを小外掛に捉えられ、「一本」(1:34)を失った。敗者復活戦と3位決定戦はともに「指導3」の反則で勝利し、表彰台は確保した。

【決勝】
キム・ミンジョン(韓国)○GS反則[指導3](GS1:04)△ハン・ミジン(韓国)

【日本代表選手勝ち上がり】

井上あかり(JR東日本)
成績:3位


[1回戦]
井上あかり○肩固(3:19)△エルデネビレグ・ガンディーマー(モンゴル)

[準々決勝]
井上あかり△小外掛(1:34)○ワン・ヤン(中国)

[敗者復活戦]
井上あかり○GS反則[指導3](GS1:46)△ツァイ・ジアウェン(台湾)

[3位決定戦]
井上あかり○GS反則[指導3](GS0:40)△ジアン・ヤナン(中国)

※ eJudoメルマガ版5月18日掲載記事より転載・編集しています。

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