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決勝の九州対決は福岡県代表の勝利、初出場の筑前町スポーツ少年団夜須柔道部が優勝飾る・第39回全国少年柔道大会

(2019年5月5日)

※ eJudoメルマガ版5月5日掲載記事より転載・編集しています。
決勝の九州対決は福岡県代表の勝利、初出場の筑前町スポーツ少年団夜須柔道部が優勝飾る・第39回全国少年柔道大会
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決勝、筑前町スポーツ少年団夜須柔道部の次鋒村田智康が払腰で一本勝ち

学年別五人制(5年、5年、6年、6年、6年、同学年内体重順配列)の団体戦で今年の少年柔道日本一を争う第39回全国少年柔道大会が5日、講道館大道場に全国の予選を勝ち抜いた48チームが一堂に会して行われ、初出場の筑前町スポーツ少年団夜須柔道部(福岡)が優勝を飾った。

筑前町スポーツ少年団夜須柔道部は、予選リーグ初戦の松阪市武道館柔道教室(三重)を相手に2-1という辛勝スタートだったが、以後は「だんだん硬さが取れて来た」(古川秀志監督監督)とのことで、持ち前のスケール感ある柔道を存分に披露。次戦の暁柔道少年団(山口)戦を4-0で勝利すると、以降は攻撃力の高さを前面に押し出し、無失点試合はなしもハイスコアゲームを続けてベスト4入り。準決勝の常総市体育協会石下柔道部(茨城)戦を2-2の代表戦の末に制すると、決勝は桜木柔道クラブ(熊本)を4-1の大差で破った。

決勝戦評と、筑前町スポーツ少年団夜須柔道部・監督および選手のコメント、上位入賞者と試合結果(決勝トーナメント1回戦のスコア、準々決勝以降の対戦詳細)は下記。


文責:古田英毅
撮影:辺見真也/eJudo編集部

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準決勝、桜木柔道クラブの先鋒上津原悠斗が左大腰で2つ目の「技有」。上津原はここまで全勝。

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準決勝、代表戦で筑前町スポーツ少年団夜須柔道部の次鋒村田智康が小外刈「技有」。

【決勝】

決勝に勝ち残ったのは桜木柔道クラブ(熊本)と筑前町スポーツ少年団夜須柔道部(福岡)の九州勢2チーム。ともに攻撃型、投げることを前面に押し出し、打ち合いを制しての決勝進出。

出場8回目の桜木柔道クラブは予選リーグで幸心会正善館(奈良)を4-1、今回で出場20回となる久慈市立三船十段記念館(岩手)を4-1で制して決勝トーナメントへ。以降も圧勝続き、決勝トーナメント1回戦は善通寺柔道会(香川)を4-1、準々決勝は岐阜北柔道クラブ(岐阜)を4-1で下すと、準決勝は東海少年柔道教室(愛知)を相手に、1-2のビハインドで迎えた副将戦から高倉慎吾と鶴山海月が2連続一本勝ち。3-2の逆転勝ちで決勝進出を決めた。ここまで高倉と鶴山、先鋒の上津原悠斗は全勝。特に高倉の充実ぶりが目を引いた。

初出場の筑前町スポーツ少年団夜須柔道部は前述の通り予選リーグの松阪市武道館柔道教室(三重)戦を2-1、暁柔道少年団(山口)戦を4-1という滑り出し。決勝トーナメント1回戦はここまで圧勝続きの中山柔道会(千葉)を4-1、準々決勝は延岡少年柔道クラブ(宮崎)を3-1で下し、準決勝では常総市体育協会石下柔道部(茨城)と対戦。大将山口勇の合技「一本」で2-2のタイスコアに追いつくと、引き分けカードの再試合となった代表戦で次鋒の村田智康が稲葉陸斗から合技「一本」で勝利。見事決勝進出を決めた。こちらは主将の大将山口勇が中核だが、この日は次鋒の村田と中堅山城蒼雅が活躍。もっとも苦しかった初戦でともに勝利、村田は準決勝で難しい代表戦を勝利して勢いに乗っている。

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決勝、先鋒戦で上津原悠斗が野中詣斗から小外掛「技有」

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そのまま横四方固に抑え込んで一本勝ち。先制点は桜木柔道クラブ。

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次鋒戦、村田智康が堀川喜生から左払腰「一本」

筑前町スポーツ少年団夜須柔道部(福岡) 4-1 桜木柔道クラブ(熊本)
(先)野中詣斗△合技[小外掛・横四方固](0:50)〇上津原悠斗
(次)村田智康〇払腰(1:08)△堀川喜生
(中)山城蒼雅〇横四方固(0:48)△堀太雅
(副)井上雅〇合技[払巻込・崩袈裟固](0:26)△高倉慎吾
(大)山口勇〇崩上四方固(0:50)△鶴山海月

先鋒戦は桜木柔道クラブの上津原悠斗が左、筑前町スポーツ少年団夜須柔道部・野中詣斗が右組みのケンカ四つ。上津原は引き手で先に袖を撮るなり左袖釣込腰、これは伏せた相手の横で自分1人が回る形になってしまい決まらなかったが、続いて釣り手で先を差しての左大外刈という大技。これも自らが膝を着いて決め切れなかったが、明らかな攻勢。この後の寝勝負が切れて「待て」となると、展開を取り返さんとした野中がやや焦れて思い切って前へ。しかし上津原これを呼び込んで左大内刈、野中にケンケンを強いるとその収束に合わせて左小外掛に飛び込む。野中右肩を固められて逃れられず落下「技有」。上津原はしっかり横四方固で抑え込んで万全の合技「一本」。先制点を得たのは桜木柔道クラブ。

しかし次鋒戦、僅か1分余で試合はタイに戻る。この試合は筑前町スポーツ少年団夜須柔道部の村田智康が左、桜木柔道クラブの堀川喜生が右組みのケンカ四つ。体格に劣堀川は左右の左一本背負投で積極的に攻めるが、村田は両襟で、あるいは脇を差した堀川の釣り手に応じてこれを閂に近い形で殺しながら寄せて左払腰で攻める。1分過ぎ、村田が遠間から左払腰。釣り手を上から持って少々間合いが遠いかと思われたが、手を伏せて肘を揚げる形で腰を回すと堀川の左半身が浮き、腹がその背に載る。村田ここで払い上げると支えを失った堀川吹っ飛んで一回転「一本」。

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中堅戦、山城蒼雅が横四方固で一本勝ち。筑前町スポーツ少年団夜須柔道部が勝ち越し。

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副将戦、井上雅が高倉慎吾を抑え込む。合技「一本」でチームの優勝を決めた。

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大将戦、山口勇が小外刈で崩して寝技に持ち込む。

中堅戦は桜木柔道クラブの堀太雅に、筑前町スポーツ少年団夜須柔道部の山城蒼雅がマッチアップ。山城は体重78キロ、一方の堀は41キロで体格差は明らか。堀は手先を交互に繰り出す組み手争いから両足を踏ん張っての左背負投に飛び込むが、体をしならせて粘ったところを山城着実に捉えて谷落。そのまま手堅く抱き寄せて横四方固へと繋ぎ48秒「一本」。これでスコアは2-1、筑前町スポーツ少年団夜須柔道部が勝ち越し。

副将戦は桜木柔道クラブのポイントゲッター高倉慎吾、筑前町スポーツ少年団夜須柔道部の井上雅ともに左組みの相四つ。これまでの試合ぶりから桜木柔道クラブの追撃が予想されたカードだが、井上は開始早々両襟を掴むなり気合十分の左払巻込。高倉一度は止めるが井上に降りる気配は一切なし、縦回転で無理やり回して「技有」。そのまま後袈裟固に抑え込むと高倉もはや動けず26秒「一本」。スコアは3-1、この時点で筑前町スポーツ少年団夜須柔道部の勝利が決まった。

大将戦は桜木柔道クラブ・鶴山海月が左、筑前町スポーツ少年団夜須柔道部・山口勇が右組みのケンカ四つ。鶴山は左大内刈で先制攻撃、しかし山口が膝を挙げるフェイントからの右小外刈を閃かせると鶴山大きく崩れ、山口はそのまま抑え込んで崩上四方固「一本」。最終スコアは4-1まで伸び、筑前町スポーツ少年団夜須柔道部が圧勝で初出場初優勝の偉業を成し遂げた。

ともに攻撃型の好チームゆえ、決勝は5試合いずれも早い時間の決着となった。「攻め合い」を制して頂点に立った筑前町スポーツ少年団夜須柔道部は、見事であった。

総評として。大会全体を通じて、ひところの少年柔道最加熱期に比べて、投げ合い、点を取り合う展開が増えたという印象。まだまだ、あまりにも勝敗にこだわり過ぎる早熟な柔道、あるいは小学生時代しか通用しないような偏狭な技術は散見されるものの、団体戦でこの場に辿り着くレベルのチームには共通して「しっかり持って投げる」意識が強く染みていると感じられた。もちろん地域差は見受けられるが、この点では指導者も変わりつつあるのではないかと概ねポジティブな印象を受けた。

もう一つ。競技者人口の減少もあってか、極端な体格差のある、見ている側が危うさを感じるようなカードが増えた印象もまた受けた。正確なデータを比較してのものではないのであくまで印象の域を出ないのだが、もっとも競技力が高い層が集まるこの大会で「危うさ」が感じられてしまうのであれば、地方大会ではより危険に感じられる絵があるのではないか。ルールの整備なり、指導者と保護者の「危ないときには対戦自体をやめさせる」共通認識の蓄積なり、そもそもの大会自体のレギュレーションなり、先んじてなんらか対策を考えるべきなのかもしれない。この先も、体格のある児童は増える一方、稽古や技術、体力の錬成に割ける時間は全体として減っていくはず。大きい側も小さい側もかつてに比べて経験値が減っている中で、「体格差のある対戦」の危険性については業界あげてもう少し過敏であっても良いのではないかと感じられた。

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優勝の筑前町スポーツ少年団夜須柔道部(福岡)

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準優勝の桜木柔道クラブ(熊本)

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第三位の東海少年柔道教室(愛知)

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第三位の常総市体育協会石下柔道部(茨城)

【成績上位者】
優 勝:筑前町スポーツ少年団夜須柔道部(福岡)
準優勝:桜木柔道クラブ(熊本)
第三位:東海少年柔道教室(愛知)、常総市体育協会石下柔道部(茨城)
ベスト8:寒川柔友会(神奈川)、岐阜北柔道クラブ(岐阜)、山下道場(北海道)、延岡少年柔道クラブ(宮崎)

技術優秀賞:山口勇、山城蒼雅、村田智康(福岡・筑前町スポーツ少年団夜須柔道部)、鶴山海月、髙倉慎吾、上津原悠斗(熊本・桜木柔道クラブ)、諸橋琥太郎、下地琉仁(愛知・東海少年柔道教室)、青木玲奈、秋田蔵之介(茨城・常総市体育協会石下柔道部)

筑前町スポーツ少年団夜須柔道部・古川秀志監督のコメント
「最高に嬉しいです(笑)。子どもたちが本当に良く頑張ってくれました。予選から厳しい試合が続きましたが、決勝トーナメントに入ってから硬さが取れて、だんだん良いところが出るようになってきました。(-取るか取られるかという試合が多かったように思いますが、このあたりは?)いつもこういう感じなんです。日ごろの柔道をやれば大丈夫だよと声を掛けて、思い切り試合をさせることを考えました。(-どんな子たちですか?)体は大きいけれど、気持ちが優しい子たちばかりなので試合となると不安はあるんですが、ここ一番でキャプテンの山口を中心に良く団結してくれました。幼稚園から小学6年生まで、だいたい40人くらいで活動しています。モットーは相手に対して思いやり、感謝の気持ちを持てること。技術的には、細かいことはまだできないんですが、しっかり持って『一本』獲りにいこう、とやってきました。(子どもたちにはなんと声を掛けましたか?)おめでとう、日本一だよ、胸を張って福岡に帰ろう、と(笑)。福岡代表で色々な人に声を掛けて頂き、プレッシャーもありましたので、その点では私がホッとしています(笑)」

筑前町スポーツ少年団夜須柔道部・井上雅選手のコメント
「(-優勝を決める一本勝ちでしたね?)今日はほとんど勝てていなくて調子も上がらなかったけど、最後は絶対勝とうと思っていました。技を掛けるときも、投げ切ろうと思って、止めることは考えませんでした。将来は、素根輝さんのような強い選手になりたいです。」

【決勝トーナメント1回戦】

東海少年柔道教室(愛知) 3-2 高石市柔道スポーツ少年団(大阪)
寒川柔友会(神奈川) 4-0 川口市柔道連盟クラブ(埼玉)
岐阜北柔道クラブ(岐阜) 3-1 成道会(滋賀)
桜木柔道クラブ(熊本) 4-1 善通寺柔道会(香川)

山下道場(北海道) 3-2 雄武館山中道場(秋田)
常総市体育協会石下柔道部(茨城) ②-2 広畑柔道教室(兵庫)
筑前町スポーツ少年団夜須柔道部(福岡) 4-1 中山柔道会(千葉)
延岡少年柔道クラブ(宮崎) 3-1 宇治柔道会(京都)

【準々決勝】

東海少年柔道教室(愛知) 2-1 寒川柔友会(神奈川)
(先)冨田大和×引分×大石碧海
(次)下地琉仁〇上四方固(1:07)△唐木隼大
(中)諸橋琥太郎〇優勢[僅差]△菊地陽向
(副)山口実莉△払腰(0:22)〇稲垣優音
(大)黒野琢磨×引分×鎌田礼於

桜木柔道クラブ(熊本) 4-1 岐阜北柔道クラブ(岐阜)
(先)上津原悠斗〇内股(0:06)△藤村玲凰
(次)堀川喜生△優勢[技有・小外掛]〇杉下想明
(中)堀太雅〇優勢[技有・背負投]△林想愛
(副)高倉慎吾〇合技[1:29]△桑原幹弥
(大)鶴山海月〇合技[1:29]△後藤洸樹

常総市体育協会石下柔道部(茨城) 3-2 山下道場(北海道)
(先)増地悠月〇横四方固(0:58)△大宮果林
(次)稲葉陸斗〇合技(0:32)△南原青空
(中)古沢侑誠△優勢[技有・払腰]〇夏坂匠平
(副)秋田蔵之介〇合技(0:20)△鴨田颯人
(大)青木玲奈△合技(0:33)△木幡斗吾

筑前町スポーツ少年団夜須柔道部(福岡) 3-1 延岡少年柔道クラブ(宮崎)
(先)野中詣斗×引分×猪股光生
(次)村田智康〇払巻込(1:13)△小野旬
(中)山城蒼雅〇内股(0:23)△黒木あんず
(副)井上雅△合技[一本背負投・背負投](2:31)△鈴木叶太
(大)山口勇〇上四方固(0:45)△新藤聖也

【準決勝】

桜木柔道クラブ(熊本) 3-2 東海少年柔道教室(愛知)
(先)上津原悠斗〇合技[背負投・大腰]△冨田大和
(次)堀川喜生△横四方固(1:16)〇下地琉仁
(中)堀太雅△反則(2:49)〇諸橋琥太郎
(副)高倉慎吾〇合技[払腰・崩袈裟固](0:21)△山口実莉
(大)鶴山海月〇合技(0:19)△黒野琢磨

筑前町スポーツ少年団夜須柔道部(福岡) ②代-2 常総市体育協会石下柔道部(茨城)
(先)野中詣斗△大外刈(0:42)〇増地悠月
(次)村田智康×引分×稲葉陸斗
(中)山城蒼雅〇内股(0:52)△古沢侑誠
(副)井上雅△袖釣込腰(0:30)〇秋田蔵之介
(大)山口勇〇合技(0:50)△青木玲奈
(代)村田智康〇合技(3:08)△稲葉陸斗

【決勝】

筑前町スポーツ少年団夜須柔道部(福岡) 4-1 桜木柔道クラブ(熊本)
(先)野中詣斗△合技[小外掛・横四方固](0:50)〇上津原悠斗
(次)村田智康〇払腰(1:08)△堀川喜生
(中)山城蒼雅〇横四方固(0:48)△堀太雅
(副)井上雅〇合技[払巻込・崩袈裟固](0:26)△高倉慎吾
(大)山口勇〇崩上四方固(0:50)△鶴山海月

※記録は公式記録をもとに、確認出来た誤りを修正して作成しています。ご了承下さい。
※記事、記録の無断転載、転用を禁じます。

※ eJudoメルマガ版5月5日掲載記事より転載・編集しています。

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