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日本代表選手が少年柔道家に技術指導、一番人気は阿部詩・第39回全国少年柔道大会合同錬成

(2019年5月4日)

※ eJudoメルマガ版5月4日掲載記事より転載・編集しています。
日本代表選手が少年柔道家に技術指導、一番人気は阿部詩
第39回全国少年柔道大会合同錬成
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全国から予選を勝ち抜いた少年柔道家が講道館に集った

第39回全国少年柔道大会の合同錬成が4日、講道館(東京都文京区)で行われ、東京世界選手権(8月25日〜9月1日、日本武道館)の代表選手らが全国から集った少年柔道家に指導を行った。この日講師として招かれたのはウルフアロン(了徳寺大職)、原沢久喜(百五銀行)、阿部詩(日本体育大1年)、朝比奈沙羅(パーク24)の4名。

はじめに増地克之・全日本女子監督による、精力善用自他共栄をテーマとした講話が行われ、「柔道は強いだけではダメ。柔道だけでなく、勉強も生活も、皆の手本となるように頑張ってください」とのエールが少年たちに送られた。今回の合同錬成には増地監督のお子さんも茨城県代表として参加しており、増地監督曰く「たまには父親として良いところを見せようと思い、自分から講話を買って出ました」とのこと。

その後は全体でのウォーミングアップの後、4つのグループに分かれてメインイベントの代表選手による技術指導が行われた。指導した技はそれぞれ、ウルフが大内刈、原沢が内股、阿部が背負投、朝比奈が支釣込足。この日一番人気だった阿部には大量の少年たちが大挙して押し寄せ、技を実演するための空間を確保するのも困難なほど。流石の世界王者阿部も少年たちのパワーにたじたじといった様子だった。

最後に行われた乱取りでは、代表選手4名への挑戦権を賭けてまず向井幹博指導員とのじゃんけん勝負が行われた。幸運にも代表選手に胸を借りることの出来た少年たちは、笑顔、あるいは真剣な面持ちでと、思い思いにの姿勢でその幸福な時間を満喫していた。

増地克之監督の講話とコメント要旨、講師を務めた4選手のコメント要旨は下記。

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講話を行う増地克之監督

増地克之監督の講話
「柔道は約200カ国で行われています。柔道によって心と体を鍛えることが出来ると、世界に認められたからです。今日は嘉納師範が亡くなられて81回目の命日。皆さん嘉納師範は何をした人か知っていますか?柔道を作ったことは知っているかもしれません。でもそれだけでなく、アジアで初のIOC委員になったり、私が働いている筑波大学の前身、東京高等師範学校の校長を務めたりもしました。精力善用自他共栄。柔道で鍛えた心と力を、善いことに使いましょう。そして、自分だけでなく周りの人もともに栄えましょうという意味です。柔道は相手がいないと出来ない競技です。常に相手を敬う気持ちを持ちましょう。今日ここにいる4人の選手は世界選手権の日本代表として、覚悟と責任を持って戦います。皆さんも各都道府県の代表ですから、同じ様に覚悟と責任が必要です。柔道は強いだけではダメです。柔道だけでなく、勉強も生活も、皆の手本となるように頑張ってください。」

増地克之監督のコメント
「娘が茨城代表で出ています。たまには父親として良いところを見せようと思い、自分から講話を買って出ました。娘は代表選手に当たれなくて残念がっていました(笑)。今日は来ていませんが、芳田司の内股がお気に入りです。(-柔道は増地監督が始めさせたのですか?)違います。最初は絶対にやらないと言っていたのですが、友達に誘われて始めました。友達はすぐに辞めてしまったのですが、娘はどっぷり浸かっていますね。道場に連れて行くこともありましたから、環境的な素地はあったと思います。(-今回のイベントについて)子どもたちにとっては良い機会だと思います。世界トップレベルの選手と直に触れ合うことはなかなかありません。オリンピックの代表に近い選手を間近に感じることで、自分たちの夢や、こうなりたいという気持ちに繋げてほしいと思います。」

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具体的な質問にも丁寧に答えるウルフアロン

ウルフアロン選手のコメント
「心身ともに疲れたので、休みました。気持ちはもう世界選手権に向いていますが、体の大きさがまだ向いていません(笑)。全日本選手権の力が100kg級でも出せれば負けないと思います。これまでは普段の体重が重すぎたので、106kgくらいで練習をするようにしていきたいと思います。これまではオフに体重を戻したときに、一気に増えすぎていました。筋力トレーニングや筋肉量などを意識して、普段から大きい選手と練習することで体捌きなどを突き詰めていきます。試合続きだと疲れが溜まりますから、ある程度スケジュールを間引きしながら追い込んでいきます。東海大で学生相手の稽古が中心ですが、出稽古も週に1〜2回入れて、戦ったことのない超級の選手とも練習していきたいと思います。(-海外のライバルについて)注目しているのは、世界ランク1位のリパルテリアニ。チョ・グハンともまだ戦ったことがありません。本番ではガシモフも力を入れてくると思います。世界選手権で負けたイリアソフとルハグヴァスレンの対策も行います。今年の世界選手権で優勝できるかどうかが、東京五輪に大きく関わってきます。ですから、危機感もモチベーションも上がっています。何が足りないのかも明確です。(-今日はホームの講道館でした)怒られた記憶しかありません。向井先生には本当にお世話になりました(笑)。あの頃はあまり柔道を楽しいと思っていませんでした。ただ通っていた時期があった。楽しくなったのは中学の終わりくらいからで、練習やトレーニングでやったことが出せたときの喜びが分かってきてからですね。(-ベイカー選手、ウルフ選手、朝比奈選手が一緒に在籍していたんですよね)ベイカー先輩も高校から強くなったので、あの頃は想像していませんでした。やはり、東海大浦安高に入ったことが一番大きいと思います。あ、朝比奈は昔から強かったです(笑)。(-所属が了徳寺学園から了徳寺大学に変わります)ゼッケンを外したり付けたり大変です。全日本選手権の前に一度外したら、『全日本までは学園だよ』と言われて、自分で仕立て屋さんに持っていきました(笑)。」

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原沢久喜の話に熱心に聞き入る少年たち

原沢久喜選手のコメント
「ちょっと落ち込みましたが、すぐに切り替えることが出来ました。休んでいたのでまだ何もやっていませんが(笑)。序盤は自分のペースで『指導2』を先制出来たのですが、途中から組み手が雑になり、気持ち的にも前に出られていませんでした。調子は良かったです。太田(彪雅)選手を簡単に投げられるとは思っていませんでした。長期戦で我慢の戦い。組み手が雑になってしまい、絶対勝つという気持ちも今ひとつ足りませんでした。体の疲労というより、連戦による気持ちの部分の疲労が大きかったです。いつも全日本選手権は特別という感じがあって良い緊張感で臨めるのですが、試合に慣れてしまっていたというか、いつもと比べて緩くなってしまっていました。気持ちは引き締めようと思ってもなかなかコントロール出来るものではありません。普段の練習で作り上げたものが出ますから、普段の練習、生活が大事です。(-欧州では好成績でした)去年なかなか成績が出せないなかで、投げられない、技が出せない時期がありました。それが改善されたことと、メンタルの面で勝ちたいという気持ちを前に出せるようになったことが理由だと思います。以前は負けてはいけないという気持ちでしたが、それが守りに入ることに繋がっていました。(-リネール選手について)体を見る限り仕上がり的にはあまり良くないと思います。もし世界選手権に出てきたら逆にチャンスですね。そこで勝っておけば東京五輪に向けてプラスになります。今は出てきていないので他の選手に目が行きがちですが、やはり最後に戦うのはリネール選手になると思います。彼のインスタグラムもたまに見ています。まだ絞れていないですね(笑)。今年は1人代表ですから、気合を入れなければと思います。柔道的にはリオデジャネイロ五輪のときよりも強くなっていると思います。あとは、気持ちの面とコンディションの合わせ方。これが出来れば、リオ以上のパフォーマンスを出せると思います。(-オーバートレーニング症候群の影響について)もう特にありません。制限もなく、自分の疲労度によって練習をコントロールしています。朝起きて脈拍と血圧を測ったり、疲労感などを考えたりですね。試合前の追い込み時期には脈拍が高くなりますが、試合前にそれを戻して臨むなど、調整にも役立っています。最近はスムージーに嵌っています。朝に野菜と果物を入れて作っています。ブロッコリーはまずかったので入れないですね(笑)。小松菜やりんごを入れて、毎朝飲んでいます。大体何を入れても美味しいので、色々味を変えて試しています(笑)。」

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憧れの阿部詩の技を受けて満面の笑みの少年

阿部詩選手のコメント
「緊張しました。でも、皆しっかり聞いてくれたので良かったです。本当は袖釣込腰が一番わかり易いかなと思ったのですが、両袖の袖釣込腰は小学生はダメなので、背負投にしました。自分は結構感覚でやっているので、言葉にするのは難しかったです。引き手の部分だとか、基礎をしっかりやってもらうようにしました。(-印象に残った質問は?)自分より身長の低い相手にどうやって担ぎ技を掛けますかと聞かれて、自分でもどうやってるんだろうと思いました(笑)。次の練習から意識してみようと思っています。(-柔道人口を増やすにはどうすれば良いと思いますか?)小学生との柔道教室だったり、トップ選手と触れ合う機会がもっとあると良いと思います。私も中学生のときに大野将平選手が練習に来てくれて、すごい、自分もこういう立場になりたいと強く思いました。」

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身振りを交えて指導する朝比奈沙羅

朝比奈沙羅選手のコメント
「私は講道館で柔道を始めたので、帰ってきたなという感じです。これに出るのは、今回で2回目です。講道館には結構頻繁に来ているので、春日の子たちは私に見向きもしませんでしたね(笑)。遠方から来た子たちが、来てよかったと思ってくれれば良いなと思います。支釣込足は、重量級の子が多いので足技が良いなと思い決めました。大外刈、払腰と同じ入りをすること、釣り手を前に引くのではなく下方向に引き落として、ハンドルのようなイメージをすることがポイントです。今年は自主的に聞きに来てくれる子が多かったので、実際に試してもらって、回りながら指導することができました。実際に使ってくれれば良いなと思います。子どもたちがキラキラした目で挑んできたり質問してきたりしてくれると、やる気が出ますし、教えることでの気付きもあります。素敵な機会だなと思います。今年は世界選手権、来年は五輪が東京であります。これは柔道を人口を増やすための良い要因になると思います。メディアから情報を得るのも良いのですが、生で見て、こんな音がするんだとか、臨場感を感じてほしいですね。」

取材・文:小林大悟
撮影:eJudo編集部

※ eJudoメルマガ版5月4日掲載記事より転載・編集しています。

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