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【レポート】大野将平完勝で世界選手権代表権獲得、66kg級の大熱戦は丸山城志郎がふたたび阿部一二三を破る・平成31年全日本選抜柔道体重別選手権最終日男子レポート

(2019年5月1日)

※ eJudoメルマガ版5月1日掲載記事より転載・編集しています。
大野将平完勝で世界選手権代表権獲得、66kg級は丸山城志郎がふたたび阿部一二三を破る
平成31年全日本選抜柔道体重別選手権最終日男子レポート(60kg級、66kg級、73kg級、81kg級)
本文・総評:古田英毅
決勝戦評:小林大悟/eJudo編集部
撮影:乾晋也

→最終日男子全試合結果
→最終日男子速報
→男女14階級プレビュー

■ 60kg級 永山竜樹が圧勝V、3度目の世界選手権代表勝ち取る
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60kg級準決勝、永山竜樹が大島優磨から肩車「技有」

(エントリー8名)

【決勝まで】

バクー世界選手権金メダリストの髙藤直寿(パーク24)と、同大会準決勝で髙藤に敗れた銅メダリスト永山竜樹(了徳寺学園職)による頂上対決が期待されていたが、大会直前に髙藤が負傷のため欠場を表明。永山に、リベンジの機会は与えられなかった。

3度目の世界選手権代表権獲得に向け、永山に出来ることは今大会の勝利のみ。1回戦は青木大(パーク24)とマッチアップ。この試合は大物食い属性のある青木のほうがむしろ永山の一発を徹底警戒、意外なほど慎重な試合運び。1分45秒に偽装攻撃で「指導1」を失い、直後も巻き込み潰れて2分4秒またもや偽装攻撃で「指導2」失陥。奮起した青木2分47秒に払巻込一撃、永山が膝をついて受けて映像確認が行われる場面があったが、結局ポイントは与えられず。直後の3分3秒、永山得意とする組み際の左背負投に飛び込み、鮮やか「一本」。

永山、準決勝は2連覇を狙う大島優磨(旭化成)とマッチアップ。間違いなくこれが今大会最大の山場である。この試合は永山が右、大島が左組みのケンカ四つ。永山左背負投で攻めるも引き手争いに陥り、1分66秒双方に片手の「指導」。大島は永山の右へ横落を放って得意の寝勝負の機会を作らんとするが永山動ぜず、1分33秒には左への肩車を決めて着実に「技有」。以後も引き手で手首を握っての左内股で大島を舞わせ、さらに左一本背負投の一撃で崩してと攻めの手を緩めず、残り11秒には大島に2つ目の「指導」。このまま時間となり、永山は快勝。ぶじ決勝進出決定。

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準決勝、志々目徹が市川龍之介から左内股「一本」

髙藤が欠場した山からは昨年のアジア大会銀メダリスト志々目徹(了徳寺学園職)が勝ち上がった。1回戦は竪山将(パーク24)をGS1分37秒の大外刈「技有」で下し、準決勝では髙藤の代役として補充された市川龍之介(東海大2年)を残り0秒、左内股「一本」に屠り去る。一度透かされたところから腰を捩じいれて強引に投げ切っての「一本」、業師としての自信と常に一線で戦い続けて来たベテランのプライドが感じられる一撃だった。志々目はこれで決勝進出、永山の「最後の壁」として立ちはだかる。

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志々目と永山による決勝。

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志々目が片袖を両手で掴んでの左背負投

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体に巻き付けるようにして投げ切り「一本」。

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【決勝】

永山竜樹(了徳寺学園職)○背負投(2:47)△志々目徹(了徳寺学園職)

迎えた決勝は永山が右、志々目が左組みのケンカ四つ。序盤は永山が攻勢。引き手争いから左一本背負投、右内股、さらに再度の右内股と技を重ねる。志々目いずれも耐えるものの、防戦一方で攻めの糸口が掴めない。しかしここから永山も少々相手の出方を見てしまい、引き手争いに陥って展開やや減速。1分25秒には両者に消極的の咎で「指導」が与えられる。この反則を受け、直後の1分38秒、志々目が両襟で仕掛けた左内股の戻り際に永山が左一本背負投。懐深くまで潜り込んだが、これは志々目が抱き止めて耐え切り「待て」。

ここから戦況は再び膠着。永山が左一本背負投に巴投と散発ながら思い切った投げを打つがいずれも不発に終わり、志々目は片手の左内股を仕掛けることで最低限の手数をクリア、「指導」失陥を避けながらチャンスを伺う。

しかし志々目が左内股で伏せて展開が切れた直後の2分47秒、永山が引き手の攻防から瞬時に組み手を左にスイッチ。一気に加速して釣り手を袖口付近に送り込み、両手で相手の袖口を持っての左背負投に飛び込む。体ごと回旋を加えると、志々目はその体に巻き付けられるようにして背中から落ちて一回転。主審は迷わず「一本」を宣言する。永山、盤石の試合運びで見事優勝を勝ち取った。

徹底マークされながら、それでも全試合で投げを決めて優勝に辿り着いた永山は見事。序列3番手としてヨーロッパ遠征(グランドスラム・エカテリンブルク)に派遣されていた大島、そして昨年アジア大会に派遣された志々目というセカンドグループのトップ2を、それも「投げる」という明確な形で退けたことで「髙藤・永山」という一番手グループの地位は揺るぎないものとなった。しぶとく寝技の強い大島、投げ一発の威力で同階級選手に常に一目置かれ続けて来た志々目とタイプの違う強者をいずれも、それも投げて仕留めた永山の強さはやはり出色。

大会後の強化委員会で、永山は髙藤とともに東京世界選手権日本代表に選出。グランドスラム大阪、グランドスラム・デュッセルドルフ、そして今大会と課された予選を全て優勝でクリアした永山に対して、強化サイドが正当な評価を以て報いた形だ。

これで3度目の世界選手権挑戦となる永山、五輪出場に向けて残る課題は金メダルのタイトルと、髙藤との直接対決における勝利のみ。現状「手が付けられない」と評して然るべき、明らかにキャリアの中の最上昇期が東京五輪に重なる永山なのか、それともオールラウンダーとして他選手とは一段位相の違う域に突入しつつあるベテラン髙藤か。この先も見逃せない戦いが続く。

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60kg級上位入賞者。左から優勝の永山竜樹、2位の志々目徹

【入賞者】
優 勝:永山竜樹(了德寺学園職)
準優勝:志々目徹(了德寺学園職)

永山竜樹選手のコメント
「今まで練習してきたことをしっかり出して、普段通りの自分の柔道をすれば必ず勝てるという自信はありました。いつも通りの自分の動きが出来て良かったです。自分の柔道は『指導』狙いではなく、しっかり投げて『一本』を取る柔道。そこは絶対貫き通したいと思っていますので、きょうも投げにいく柔道に徹しました。(東京世界選手権の)代表に選ばれたら、自分らしい『一本』を取る柔道をして、優勝します。」

【1回戦】
市川龍之介(東海大2年)○GS縦四方固(GS1:54)△米村克麻(センコー)
志々目徹(了德寺学園職)○GS技有・大外刈(GS1:37)△竪山将(パーク24)
永山竜樹(了德寺学園職)○背負投(3:03)△青木大(パーク24)
大島優磨(旭化成)○GS反則[指導3](GS1:12)△森田将矢(鹿屋体育大4年)

【準決勝】
志々目徹○内股(4:00)△市川龍之介
永山竜樹○優勢[技有・肩車]△大島優磨

【決勝】
永山竜樹○背負投(2:47)△志々目徹

■ 66kg級 ともに死力尽くした熱戦13分、丸山城志郎が再び阿部一二三を破る
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1回戦、阿部一二三は木戸清孝との試合が始まるなり右袖釣込腰

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引き手は切れたが、釣り手を離さず体ごと突っ込んで「技有」

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木戸が腕挫十字固。阿部はまたいで「待て」を貰うが、この際肋軟骨を負傷。

(エントリー8名)

世界選手権2連覇中の阿部一二三(日本体育大4年)、その阿部をグランドスラム大阪決勝で破り、以降ワールドマスターズ、グランドスラム・デュッセルドルフと全勝中の丸山城志郎(ミキハウス)。この2人の決戦に、これ以上ないほど熱い視線が注がれた。73kg級における五輪金メダリスト大野将平の登場もあいまって、この日の福岡国際センターは満員御礼。早朝から当日券を求めるファンが会場前に列をなし、少々異様な盛り上がりの中での開催となった。

阿部は第1シード。前述の通りグラドスラム大阪の決勝で丸山に敗れ、グランドスラム・パリでは初戦でマニュエル・ロンバルド(イタリア)に敗れてと連敗のさ中で迎える再起戦の相手は、昨年度の全日本実業個人の覇者・木戸清孝(天理大学クラブ)。かつて学生体重別団体で粘られた来歴もある強者であり、同じ天理大卒の丸山との対戦を決勝に控える阿部に対する、まさに「天理の刺客」である。

阿部の課題は大きく言えば2つ。組んでくれない左組み相手にいかに引き手を持ってどう攻めるか、そして殻に閉じこもった状態の右組みのパワー派をどうこじ開けて投げるか。

木戸は右組みの相四つ。その出方が気になるところであったが、阿部は有無を言わさず、木戸が何かを仕掛ける前の開始15秒に右袖釣込腰一撃。両袖で放った強烈な技、引き手は完全に外れたが残った釣り手をテコに頭を突っ込んで投げ直し、肩車様に回し切って先制の「技有」。観客席のファンは大歓声。しかし木戸は心折れず、むしろこの失点によって平常心を取り戻した印象。以降試合はやや停滞、袖の絞り合いによる膠着状態に陥る。阿部は片襟を差しての右背負投で幾度か状況の打開を試みるが、木戸はこれを十分心得ておりいずれも不発。1分過ぎにはこの技の伏せ際に阿部を腕挫十字固に捕まえる見せ場を作る。木戸はほぼ極まったか、という瞬間まで辿り着いて会場を沸かすが、ここは阿部が体をまたいで凌ぎ「待て」。試合はこのまま、双方にそれぞれ「指導1」が積みあがったのみで4分間が終了。阿部の「技有」優勢による勝利となった。

しかし畳を去る阿部の様子がおかしい。肋骨を抑えて、苦痛を顔に出すまいと必死の表情。退場せんと歩を進めるその足元がおぼつかない。木戸の腕挫十字固を耐えた際に肋軟骨と肘を負傷していたのだ。阿部の負傷を悟った観衆からはざわめき。きょうはただでは終わらない、そんな予感が会場を包む。

阿部、続く準決勝では藤阪泰恒(パーク24)とマッチアップ。密着戦法を取る藤阪に対して右小外刈を効果的に使って常に優位を確保。1分15秒双方に「指導」が与えられるが、続いて2分29秒には藤阪にのみ「指導2」が与えられて試合はGS延長戦へ。そしてGS2分58秒、粘り強く攻めた阿部の攻勢を評価する形で藤阪に「指導3」が与えられて試合は終了となる。阿部はぶじ、決勝進出決定。

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1回戦、磯田範仁が左小外刈で丸山城志郎を攻める

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丸山が左袖釣込腰、腰の載せると内股様に脚を揚げて投げ切り「一本」。

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準決勝、丸山が西山佑貴から巴投「一本」

一方、グランドスラム大阪とワールドマスターズ、そしてグランドスラム・デュッセルドルフに優勝してもっか破竹の勢いの丸山は第2シード、初戦は磯田範仁(国士舘大教)を畳に迎える。

この試合は左相四つ。丸山は投げ一発の威力が武器だが、磯田の必殺技である左小外刈には「わかっていても食ってしまう」そして、「一発で状況をまったく変えてしまう」怖さがある。しかも組み手の形が出来てからだけではなく、組み手争いのプロセス、あるいは組み際、あるいは相手の技の戻り際とどこに罠が仕掛けてあるかわからない。国際的な序列は丸山が上だが、まったく油断のならない試合である。

この試合は、双方やはり慎重、丸山が片襟を掴んで相手を寄せんとすると、磯田切り離して左小外刈で相手を遠ざける。がっちり組まれては不利と見て間合いを取りながら戦う磯田、一方組み手のプロセスに張られる小外刈の罠を警戒する丸山、という構図で戦線は膠着し、1分5秒、そして3分28秒と双方に「取り組まない」咎による「指導」ふたつが宣告される。ここから磯田が組み付きながらの左払腰、さらに相手の膝裏に爪先を入れる組み際の左小外刈で大きく丸山を崩すが、ポイントには至らず。試合はGS延長戦へ。

延長戦に入ると、待っていたかのように丸山が加速。思い切った右袖釣込腰に片手の左背負投、さらにこれまた思い切り足を振っての左内股、さらに組み付きながらの巴投と明らかにフィニッシュを意識した技を連発。磯田は組み際の左小外刈に内股透、巴投をかわしての寝勝負と対抗するが、丸山それでも勇を鼓して前へ。GS2分9秒、ついに組み際の左袖釣込腰で決定的な位置に入り込む。相手が腰に載ると見るや左脚を高く揚げて回旋をフォロー、磯田吹っ飛んで豪快「一本」。丸山は難敵磯田を投げて仕留めるという素晴らしい戦果を得て、ベスト4入り決定。

丸山、続く準決勝は西山佑貴(警視庁)とマッチアップ。ケンカ四つの相手を、股中に作用足を落とす形の左体落で崩し続け、1分1秒、2分44秒と「指導」ふたつを得てまずは手堅くリード。試合が煮詰まってくると左内股を晒して腰を引かせ、左「小内払い」に右出足払と相手の左足を両側から払って調子を整えるなり、出来上がった空間に体を滑り込ませて巴投。作り、掛けとまさに完璧な一撃決まって3分38秒「一本」。丸山は徹底マークを跳ねのけて2試合連続、いずれも投技での「一本」という素晴らしい内容で阿部の待つ決勝の畳へ。

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決勝、阿部は前進圧力で展開を塗りつぶしに掛かる。

【決勝】

丸山城志郎(ミキハウス)○GS技有・巴投(GS9:23)△阿部一二三(日本体育大4年)

丸山が左、阿部が右組みのケンカ四つ。阿部は釣り手で相手の袖口付近を持ち、両袖を絞る形で試合をスタート。27秒、袖の絞り合いから阿部が相手の後ろ帯を持って引き落とし「待て」。先に流れを作ったのは阿部。しかし、丸山再開の声が掛かるなり釣り手のみの左内股で阿部を伏せさせ、すぐに展開を引き戻す。ここから阿部は徹底して前進作戦、釣り手を低く持って場外際に追い詰め、浅い右内股から右背負投に連絡して丸山を大きく崩す。さらに続く展開でも釣り手で袖を持って押し込むと、片手の右袖釣込腰を仕掛けながら場外へ。この攻防で両者がもろとも場外に出た2分5秒、丸山に消極的の咎で「指導」が与えられる。

ポイント上のリードを得た阿部は手応えを得たか、さらに前進圧力を加速。釣り手のみを持って突進するように押し込み、右小外刈を起点に丸山を場外に弾き出し、相手に全く自分の柔道をさせない。形上展開を握っているのは阿部。しかし丸山は焦ることなくあくまでも上から目線。あと1度阿部の技で終わる展開があれば「指導」が来かねないという絶妙なタイミングでことごとく最も怖い技である左内股を仕掛け、「指導」の失陥だけは避けつつ、勝負どころを探り続ける。本戦では決着がつかず、阿部の「指導1」リードのまま試合はGS延長戦へ。

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丸山が場外際で左内股の動作を起こす。阿部はこれも押し込み、前に出ることでもろとも場外に出て回避。

延長戦でも大枠の様相は変わらず。場外に追い込む前進行動で全てを塗りつぶそうという阿部に、要所で技を仕掛けることで凌ぐ丸山という構図。しかしGS1分32秒、阿部が浅い右内股で丸山を場外に追いやったところで、ついに丸山に消極的の咎で「指導2」。後がなくなった丸山さすがにここからはペースを上げ、手数を増やし始める。直後のGS2分1秒、激しい腰の差し合いから場外で丸山が左内股。阿部これを透かして丸山を激しく畳に落とすが、これは「待て」の後でポイントにはならず。しかしこれで勢いづいた阿部は、直後のGS2分25秒、片手の右背負投で丸山を大きく浮かせて畳に這わせ、続く展開では右小外刈からの右大内刈で再び相手を場外に押し出す。以降も阿部は前進圧力による攻勢を続け、この時間帯丸山は守勢を強いられる。

しかしGS3分を過ぎたあたりから阿部のスタミナが切れ始め、その攻めにどこか早く「指導」を相手に与えてくれとでもいうかのような焦りの色が濃くなる。GS3分32秒、阿部が切れのある右出足払。しかし、丸山これを透かして崩すと反対に腕挫十字固を狙う。これは阿部が持ち上げて「待て」。直後のGS3分40秒には阿部が相手の後ろ帯を持って強引に右釣腰を狙い、その伏せ際に丸山が相手の残った腕を取っての左浮落、さらに繋いで隅返を狙う。しかし、ここはともに伏せてポイントには至らない。両者拮抗の鍔迫り合い、早い展開の投げ合いに場内は大拍手。そして依然として阿部が「指導2」をリードしたまま、試合はGS4分に突入する。

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GS5分51秒、阿部の右小内刈で丸山が大きく崩れる。一時は「技有」が宣せられた一撃。

そしてここから攻め疲れた阿部がじわりと退潮、丸山の側に流れが傾く。両者もつれ合うような展開が目立ち始め、ことごとく後手を踏む阿部の疲労はどうやら明らか。GS4分55秒には丸山が強烈な左出足払、巴投に繋いで阿部を畳に這わせる。このまま一気に丸山が主導権を得るかと思われたが、極限まで疲労したことで余計な思考や力みが抜けたのか、この時間帯から阿部がここ最近見られなかったのびやかな柔道を展開し始める。まずはGS5分22秒、お互いにしっかりと組み合った状態から釣り手を相手の袖に持ち替えて右袖釣込腰。引き手が離れると同時に引き落として反対側に抜き落とす。丸山危うく体側を着きかけるが、腹這いで伏せて辛くも逃れる。直後の展開では丸山が阿部の右背負投を潰して引きずり、阿部は疲労もしくは脇腹の負傷のためか、しばし立ち上がれず。それでも直後のGS5分51秒、引き手争いから阿部が丸山の移動の際を狙って力強い右小内刈。丸山体を捩って腹這いで伏せるが、主審は「技有」を宣告する。しかしこれは映像による確認ですぐに取り消され、試合続行。合計時間はついに10分の大台を超える。

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丸山が左内股で阿部を放るも、「待て」の後でノーカウント

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阿部は何かを吹っ切ったかのように徹底前進。足技を繋いでカメラマン席まで丸山を追う。

GS6分15秒、丸山が左内股を仕掛けると、阿部これを抱きかかえて裏投。力比べの結果これは丸山が伏せる形で潰れて「待て」。阿部は当初の前進圧力に頼った柔道を完全に捨て、真っ向から投げて決着をつけようという構え。組み手からも恐れが消え、双方が組み合う時間帯が長くなる。一方の丸山もこの展開は望むところ、GS6分25秒には釣り手で腰を抱えに来た阿部を左内股で迎え撃ち、さらに場外に出ながら再度の左内股へと繋いで思い切り投げ飛ばす。これは「待て」の後でポイントにならず。さらにGS6分43秒には引き手争いからの右一本背負投の奇襲、これは阿部が余裕を持って凌ぎ切る。続く攻防では今度は阿部が右小外刈を起点に右大内刈、右小内刈と技を繋ぎ、ケンケンで凌ぐ丸山を追い込んでカメラマン席へと飛び込む。大枠の流れは丸山にあるが、満身創痍の阿部はそれでも貪欲に攻め続ける。GS7分38秒には右背負投、凌ごうと反対に体重を掛けた丸山を抜き落としてあわやポイントかという場面を作ってやる気十分。さらに続くGS7分50秒にはこれまで見せていなかった右「韓国背負い」を放ち、これは空転も、めげずに今度は丸山の左内股に右背負投を打ち返す。

しかしいよいよ阿部のスタミナも限界に近づいて来たか、GS8分23秒に脇を差してもたれ掛かるように丸山を場外に押し出した後、正座する形でなかなか立ち上がれない。一方の丸山はすぐに開始位置に戻り阿部を待ち受ける。続く展開のGS8分45秒、阿部が右小外掛を仕掛けると丸山これに左内股を返し一瞬阿部の両足が宙に浮く。しかし、阿部空中で立て直して着地、丸山が再び左内股を仕掛けると谷落を狙い、そのまま畳に伏せる。息つく暇もない投げ合いに、観客席からは「待て」の度に大拍手。試合はついにGS9分台へ、総試合時間は13分を超える。

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丸山が巴投。阿部の上体を引き込むと浮技様に相手の右足を掬って投げ切り「技有」。

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大熱戦は丸山の勝利に終わった。

阿部が釣り手で袖を持って絞り合いを挑むと、丸山これに自らも両袖の形で応じる。直後、丸山一度左足を深く踏み込んで相手を牽制すると、その足を残したまま引き込むように巴投。阿部は両手で押し込んでこの技を潰したかと思われたが、体を伸ばされたまま一瞬浮いてしまう。右膝から畳に着地せんとするが、丸山は右足で相手の体を持ち上げたまま、残しておいた左脚でその阿部の右脚を払いあげる。巴投と浮技の複合技。着地に使うべき右脚を掬われた阿部にはもはや残す材料がなく、ついに側面から畳に落ちて「技有」。

GS9分23秒、総試合時間13分23秒で死闘ついに決着。丸山は立ち上がると勝利の雄叫びを上げ、一方の阿部は天を仰いでしばし動けず。両者の素晴らしい戦いを会場が万雷の拍手で讃えた。

以下、総評。大熱戦であった。丸山はこれでグランドスラム大阪から数えてハイレベル大会4大会連続優勝。しかもこの過程で世界選手権連覇者の阿部を2度投げて下すという、抜群の出来である。いずれも投げ一発の恐怖を押し立てて相手を下げ、そして実際に投げて決めてしまう格調の高い戦いぶり。単にゲームのスコアで相手を上回るのではなく、組んで、一撃で決める技がある、「持つもの」の強さをあらためて我々に知らしめた4大会であった。挑む立場で臨んだグランドスラム大阪時に比べると明らかに自信にあふれ、自分が強者であること、そしてこの柔道が正しいと確信し切っているように感じられた。天理大の先輩・大野将平のようなオーラを身にまとい始めている、と感じた人も多かったのではないだろうか。8月の世界選手権は優勝候補の筆頭と考えておいてよいだろう。

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阿部はこの日右小外刈を積極投入、全戦通じてこの技が効いていた。

一方の阿部。まずコラム「阿部一二三の技術的閉塞と『これから』の手立てを真面目に考える」で提示させて頂いた、技術的な上積みの有無という観点から。明確な答えは出せなかったが、右小外刈を効果的に使おうという意図が見られた(これは実際に利いていたし、これからも武器になり得るだろう)こと、不発に終わったが丸山戦の後半ではこれまで見せていなかった「韓国背負い」を放っていたことなど、この点の評価は「ポジティブ」である。及第かどうかは意見の分かれるところであろうが、変化の兆しは見えた。積み上げを図ろうというその意志自体が、買える。
しかしそれはさておき、もはやひとまずそんなことは些事としていったん脇に置いておきたくなるくらい、素晴らしい試合であった。あらためて阿部が凄い選手である、有利不利を越えて投げて勝負を決しようとする肚のある、稀有な「戦える」選手であると知らしめた試合であった。二度負けている、そして決して相性の良くない、そして凄まじい一発を持つ難敵丸山に対して一歩も引かず、投げればいいんだとばかりにもっとも危険で、しかしチャンスのある腰を差しての攻撃で押しまくった。競技力の高低を越えて、これが出来る選手はなかなかいない。昨年の世界選手権における、一番手の届きやすいやり方で「勝ってしまおう」というどこか要領の良い姿勢とはまったく印象が違った。消耗し切って、全ての夾雑物が削り取られた後に見せたいわば「芯」の行動が前に出ること、そして投げて決めようとすることであったことは、阿部の本質として記憶しておくべきだろう。勝った丸山、敗れた阿部ともに間違いなく一皮剥けた試合であった。

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66kg級上位入賞者。左から優勝の丸山城志郎、2位の阿部一二三

【入賞者】
優 勝:丸山城志郎(ミキハウス)
準優勝:阿部一二三(日本体育大4年)

丸山城志郎選手のコメント
「本当に最後は意地と意地のぶつかり合い。最後は気持ちの勝負になりました。僕の方が気持ちの面でもが上だと、皆さんに見て頂けたと思います。(-阿部選手に思いを伝えるとしたら?)相手ではなく、僕自身自分に伝えるということで。『これからだぞ』と。世界選手権に内定したら、そこでも自分が強いと皆さんに見せて、東京五輪に僕が出て、僕が一番強いということを見せたいと思います。」

阿部一二三選手のコメント
「本当に悔しいの一言です。自分も気持ちを出していったのですが、最後は押し切られたという感じです。(-脇腹の負傷の影響は?)全然大丈夫です。(-東京五輪に向けて?)ちょっと勝ててないんですけど…ここからまた、この負けを勝ちに変えていけるように、本当に、しっかり考えていきたい。そうでないと五輪に優勝出来ない。また一つひとつ、しっかり(柔道を)作っていきたいと思います。」

【1回戦】
阿部一二三(日本体育大4年)○優勢[技有・袖釣込腰]△木戸清孝(天理大学クラブ)
藤阪泰恒(パーク24)○GS反則[指導3](GS1:51)△田川兼三(了德寺学園職)
丸山城志郎(ミキハウス)○袖釣込腰(GS2:09)△磯田範仁(国士舘大職)
西山祐貴(警視庁)○袖釣込腰(3:41)△藤阪太郎(大阪府警察)

【準決勝】
阿部一二三○GS反則[指導3](GS2:58)△藤阪泰恒
丸山城志郎○巴投(3:37△西山祐貴

【決勝】
丸山城志郎○GS技有・巴投(GS9:23)△阿部一二三

■ 73kg級 大野将平がライバル2人に完勝、「投げ」と「受け」の凄み見せつける
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1回戦、橋本壮市が野上廉太郎を巧みな組み手で翻弄。

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1回戦、大野将平が石郷岡秀征に右内股。引き手が切れたが、それでも石郷岡は頭から畳に墜落する。

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大野が巴投で投げに掛かる。この後、石郷岡には3つ目の「指導」。

(エントリー8名)

第1シードの2017年ブダペスト世界選手権王者橋本壮市(パーク24)、第2シードのリオデジャネイロ五輪金メダリスト大野将平(旭化成)という2人の世界王者の存在がこの階級の軸。橋本にはかつて敗れた立川新(東海大4年)、大野には66kg級世界王者海老沼匡(パーク24)とそれぞれ準決勝ステージにこれぞの難敵が待ち受ける。

橋本は初戦で野上廉太郎(筑波大3年)とマッチアップ。襟を隠しておいての打点の高い左一本背負投などケレン味たっぷりの技出しで試合を進め、ともに「指導」2つを失ってからは、右から持っての左背負投、組み際の片襟右小内刈、片襟の左背負投に左一本背負投と一気に加速。思わず頭を下げたまま座り込んだ野上に「極端な防御姿勢」の咎で3つ目の「指導」が与えられて橋本の勝利決定。準決勝も「指導」奪取が身上の立川新に対し陣地を埋めることにこだわり続け、出足払に左体落、続いて左の大外刈フェイントで高く足を振り上げ、さらに今度は体を沈めて右体落と、立川のパワーに捕まる前に細かく技を入れ続ける。立川は1分20秒「取り組まない」、2分10秒「消極的試合姿勢」と立て続けに2つの「指導」を貰って少々打つ手がない印象。焦れた立川が出ると橋本ゆらりとその分下がり、つかみどころを与えない。追いかける展開が不得手の立川がこれを打開することは難しい。橋本は延長戦に入ると試合のスピードをいったん殺し、GS1分6秒双方に「指導」が与えられて試合は終了。「指導3」対「指導1」の反則累積差で橋本の勝利が決まった。橋本はテクニシャンらしい勝ち上がり、ここまでの2試合で「指導」6つを奪っての決勝進出である。

一方の大野、初戦は石郷岡秀征(筑波大3年)を相手に一方的に3つの「指導」を奪って危なげない勝利。じっくり圧を掛けながら試合を展開、本戦終了間際には強烈な右内股、引き手が切れながらも石郷岡を一回転させて頭から叩きつける。「指導2」まで得て迎えたGS延長戦、巴投に背負投と立て続けに大技を放ち、「指導3」まで歩を進めた。じっくり状況を作り、形が出来るたびに思い切った投げで決めに掛かる、というルーティンを繰り返すうちに試合が終わったという印象だった。大野、準決勝では講道学舎の先輩・海老沼匡戦という大一番に臨むこととなる。

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海老沼匡と大野将平による準決勝。

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海老沼が左大内刈で追い、大野は捌きながら右内股に切り返す

この試合は大野が右、海老沼が左組みのケンカ四つ。お互い低く構えて組み手争いから試合をスタート。44秒に大野が右足で隅返を仕掛け、左前隅へと海老沼を大きく崩す。海老沼は危うく背中を着きかけるが、自ら回転することで腹這いで着地。ポイントの有無を巡って映像の確認が行われるも、得点は認められず試合続行となる。続いて1分6秒、大野が右内股で海老沼を伏せさせたところで海老沼に消極的の咎による「指導」。ここからは組み手争いから海老沼が担ぎ技で攻める展開が続き、残り35秒には大野にも消極的の「指導」。試合は双方「指導1」の同点でGS延長戦へ。

延長戦の序盤は大野が優位。GS1分2秒には力強い右内股で海老沼を頭から畳に突き刺して会場を沸かす。続いて再び右内股で大きく崩したGS1分53秒には、海老沼に消極的の「指導2」。海老沼はスコア上後がなくなる。しかしこれで却って肚が決まったか、以降は海老沼がペースアップ。大野もこれに応じるように攻めの姿勢を強め、試合は海老沼の担ぎ技と大野の内股による激しい技の応酬に展開。海老沼が左背負投、左大内刈と自らの技で終わる展開を2度続けたGS3分28秒には大野にも消極的の「指導2」。

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海老沼の左内股を大野が右内股に切り返し、落ち際に海老沼が隅落を狙って両者は縦回転で畳に落ちる。

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海老沼が吸い込まれるように右一本背負投。大野は抱き止めて左脚を流す。

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谷落「技有」で熱戦決着。

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「礼」を済ませた海老沼と大野が試合場外から戻り、中央で握手を交わす。

直後、海老沼の鋭い左内股に大野が力感溢れる右内股を合わせ、これに海老沼が内股返を狙って両者が縦回転で場外にひっくり返った攻防にこの試合の様相端的。両者ともにこれぞという惜しい投げを打ち合うもあと一歩決め切るには至らず、そしてその激しい攻防を讃える拍手が断続的に打ち続き、両者一歩も引かぬ攻め合いのまま試合時間はついに合計9分を越える。そして迎えたGS5分13秒、大野が釣り手と引き手をともに得て自身の左側に横移動。このスライドが止まった瞬間、誘いに乗った海老沼が吸い込まれるように右一本背負投。大野は待ってましたとばかりにこれを抱き止め、左脚を流しながら谷落で真裏に引き落とす。膝を着いていた海老沼は仰け反るような姿勢を強いられて、磔にされたまま後方に落下。熱戦ついに決着、「技有」。

力を使い果たして大の字に天井を見上げる海老沼、勝利を確認してゆらりと立ち上がる大野。観客席からはこの日一番の長く、そしてまさに割れんばかりの拍手が送られた。

66kg級決勝に勝るとも劣らぬ、大会ベストバウトであった。攻め合うたび、「待て」が掛かるたびに観客席から拍手とどよめきが沸きあがる様は、あたかも昭和の全日本柔道選手権のそれ。投げて勝負を決せんとふたつの肉体がぶつかり続けるその様は、まことに美しく、感動的であった。

ご存知の通り海老沼と大野は幾多の世界王者を輩出した、いまはなき伝説の柔道私塾・講道学舎の出身である。試合後、会場が大拍手に包まれる中、その講道学舎の指導者・持田治也氏が観客席の奥で満足げに頷く姿が多くの人に目撃されている。大きな声を出すこともなく、前に出ることもなく、終始穏やかな表情で試合を見守っていたという。「一本」取らんと妥協せずに最後まで攻め合った大野と海老沼を見、これぞ学舎の柔道、とその誇らしさいかばかりであったろうか。万雷の拍手の中、「礼」のあと、一瞬あとずさりを始めた海老沼匡と大野将平が目を合わせ、ついと道場の中央に戻って握手を交わし、それを穏やかに見つめる観客席の師匠・持田治也。全日本選抜体重別史上に残る名シーンだったのではないだろうか。

余談ながら。「コーチボックスではない(ルール上の制限がない)から」と昔の教え子、あるいはわが子に大声を出して指示、極端な場合は審判への不満などを「俺はここにいるぞ」とばかりにスタンドから声高に叫ぶものも多い中、選手は自立すべしと、一歩引いて見守る氏の態度は素晴らしかった。これぞ日本柔道という投げ合いを演じた2人、そしてそれを育てた指導者が、この誰もが自身を称賛するであろう場にあって、いかなる態度で試合を見守ったのか。多くの指導者がこれを考え、範とすべきではないだろうか。感じさせるものの多い試合であった。

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決勝。大野は引き手で前襟を掴み、釣り手の肘を立てる形をベースに橋本に接近。

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橋本は左右を交換しながらの徹底前進で主導権を獲りに掛かる。

【決勝】

大野将平(旭化成)○GS技有・隅落(GS5:30)△橋本壮市(パーク24)

大野、橋本ともに右組みの相四つ。大野は左構えでまず引き手で相手の前襟を持って試合をスタート。さらに釣り手の肘を前に突き出して相手に押し付けることで持ちどころを殺したまま、圧を掛けて接近。以降、試合終了までこの形を徹底する。一方の橋本は、大野のこの組み手のために得意としている相手の右内袖を外から持つ形を作ることが出来ず、攻めの手段を限定されてしまう。1分25秒には、橋本に袖口を握り込んだとして「指導」。橋本としては非常に嫌な流れ。しかし、組み手の攻防のプロフェッショナルである橋本は怯まず、左右の手を交互に出し入れしながら大野が力を緩めるタイミングで突き飛ばすように押し込み、圧を掛けながら前に出ることで試合の主導権を握りに掛かる。橋本が相手を場外際に押し込み、それに大野が技を合わせるという形で試合が進む。2分43秒、両者に「取り組まない」咎による「指導」。これで橋本は「指導2」となり後がなくなる。しかし橋本はあくまでも戦術を変えず、左右の出し入れをベースとした前進圧力柔道を継続する。本戦終盤には橋本が引き手で内袖を握りこむ、我々が呼ぶところの「橋本グリップ」を完成させるが、大野がすぐに切り離してリセット。得意の「橋本スペシャル」の完遂にはこの握り込みが必須なのだが、橋本そもそもこの形までなかなか辿り着くことができない。あっという間に本戦の4分間が終わり、試合はGS延長戦へ。

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ついに得意の形で袖を握り込んだ橋本が「橋本スペシャル」に飛び込むも、予期した大野は動ぜず、弾き返す。

延長戦に入るとまず橋本が優位を作りに掛かり、組み手争いに混ぜ込みながら大野を場外に押し出す。ここで橋本コンタクトレンズが外れたか審判にアピールして試合を止める。再開されると引き手で再び「橋本グリップ」を作るが、今度も大野すぐにこれを切る。大野は変わらず徹底的に引き手で襟から持つことで攻撃の橋頭保を確保、これに封じられてしまった橋本は持ち味である左右へのトリッキーな動きや変則技まで柔道を繋ぐことが出来ない。しかし、ここから橋本が左「一本大外」、左一本背負投と技を連発。大野はいずれも崩れずに受け切るが、GS59秒に橋本の攻勢が評価される形で大野に消極的の「指導2」。これでスコアはタイ。さらに続く攻防、橋本は「橋本グリップ」を作り出して相手を押し込み、満を持して「橋本スペシャル」一撃。しかし、大野これを完全に読んでおり、強靭な体幹を生かして崩れることなく弾き返す。勝負はここからふたたび、組み手争いを中心とした膠着状態へ。

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橋本は両手を広げて審判と観客に、相手への「指導」をアピール。

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大野は加速、釣り手の肘を当てながらの大内刈で追いかける。

そしてGS2分を超えたあたりから、橋本はあと1つの「指導」を得て試合を決めんとひときわがむしゃらな前進を開始。押し込まれた大野が場外際で右払腰を仕掛けて伏せると、両手を大きく広げて相手の偽装攻撃をアピール。以降も橋本は大野を場外に押し出した場面で、大野が前技で伏せた場面でと、幾度も相手の「指導」をアピール。ここでも橋本らしさを存分に発揮する。

橋本が大野を場外に押し出したGS3分58秒には映像による確認が行われるが、これは双方どちらにも「指導」が与えられることなく流される。ともすれば橋本に展開が揺れてしまいかねないはずの状況だが、橋本が手数を稼ごうと仕掛ける技はいずれも大野の異常な受けの強さの前に弾き返されてしまい、自身の仕掛けは最低限も勝負の流れは依然大野の側にあり続ける。この一種不思議な構図のまま試合時間は、実に9分を超える。

橋本、片襟の支釣込足をきっかけに大野を場外に押し出すと、「なぜ『指導』を出さないんだ」とばかりに主審をみやる。「はじめ」が宣せられる直前まで主審に顔を向け、相当不満がある様子。

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橋本の不用意な右小内刈を大野は見逃さず。潰れ際に体を当てて押し込み「技有」。

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注目の一番は大野の勝利に終わった。

この組み際に、橋本がもたれ掛かるように右小内刈。スピードなく、体は伸び、これまで丁寧に自分の戦い方を貫いてきた橋本らしからぬ雑な攻め。大野これを一歩引いてかわすと、崩れた橋本の顔に右肩を強く当てて押し込み、伸びた上体の上にそのまま一気に乗り上げる。橋本耐えようなく畳に埋まってGS5分30秒、「技有」。

試合決着、大野の我慢勝ちである。徹底した左構えで相手の柔道を封じ続け、堪えきれなくなった相手が犯したミスを逃さず一撃で試合を終わらせた。

以下、総評。大野は強かった。とかく技一撃の強さがクローズアップされがちな大野だが、もう1つのストロングポイントはその異常なまでの受けの強さ。絶対に投げられない自信があるから我慢も出来るし、相手の攻めも呼び込める。採れる作戦の幅が広いのだ。準決勝で戦った海老沼匡は、11月のグランドスラム東京では内股を返されての隅落「技有」、つまりは後の先の技で大野に屈したばかり。グランドスラム・デュッセルドルフにおいても、攻勢を取りかけていま一段の攻めを積まんと踏み出したところを浮技「技有」に沈められている。地力が上の大野に対しての「攻め過ぎ」は危険と重々わかっているはずのその海老沼が、極めて慎重に試合に入りながらいつの間にか吸い込まれるように攻撃に没頭し、然るのちにやはり後の先の一撃に沈んだこの試合の結末は一種衝撃的であった。「二本持って、一撃で試合を決められる」王道の技の保有が展開を呼び込み、採りうる作戦の幅を広げることは誰もが理解しているかと思うが、「受け」の強さがここまで競技力の高さに直結するとは、まさに盲を開かれた思いである。「組み合う」IJFのルールポリシーが継続する限り、この先指導者はこれまで量産してきた「相手に持たせないまま自分だけが持つこと、掛けさせないことで、取られない」(こういう選手は吐いて捨てるほどいる。この二十数年日本柔道が量産して来たのはこの型の選手だ)のではなく、「持って掛け、持ったまま相手の技をしっかり受けられる」選手の育成に舵を切らざるを得ないのでないか。思わずそこまで論を進めたくなる、大野の抜群の「投げ」と、なにより「受け」の強さであった。

一方の橋本の試合ぶりは少々残念であった。世界王者同士の直接対決、熱戦の予感に沸いた福岡国際センターであったが、橋本が演じたのは、ひたすら相手の間合いを外し、タイで組み合うことを嫌い、相手の投げの可能性を消し続けるだけの消極的な9分間。この先の組み手のプロセスに自身の不利が待っていると予感すれば躊躇なく切り、やり直し、「指導」狙いの殻にこもったまま、肚を括って攻めに出る場面はほとんどなかった。挙句、主審と観客に向かって「指導」をアピールするという王者にふさわしからぬ振る舞いでみずから集中を切り、直後雑な技を返されて沈んだ。大野の徹底して引き手で襟を掴む姿勢により、常のように組み手の左右交換が攻撃のトリガーになり得なかったという戦術的な事情はあろうが、この試合姿勢はやはりいただけない。徹底して結果を得んと割り切った、ゲームに徹して結果を得ることのみで全てのネガティブ要素をリセットせんという試合であったと思うが、負けてしまったのだから言い訳は難しい。いかに戦うかというそもそもの志向、試合態度、ともに志が低いと評価せざるを得ない。我々ファンが「世界王者同士の直接対決」に期待したのは、ひたすら左右を交換する組み手争いや、両手を広げての「指導」アピールの連発ではない。大野-海老沼の準決勝、阿部-丸山の66kg級決勝と素晴らしい投げの打ち合いが続いた後だっただけに、出来上がった絵の差は際立った。残念な試合だった。

強化は、圧の掛かる状況で選手がどのような振る舞いをするかを子細に観察している。例えば66kg級の阿部一二三と丸山城志郎は、互いにこれに勝たねば五輪がなくなりかねないという頂上対決において、消耗し切った中、投げて勝たんとリミッターを振り切り、凄まじい攻め合いを演じてみせた。井上康生監督が「両者とも得るものがある試合だった」と総括した通り、高い評価を受けて当然の戦いぶりだったと思う。
しかるに、橋本が「五輪前年の最終予選の決勝における、世界王者同士の直接対決」というこの場において取った行動いかに。筆者はこれを精神的な圧に負けたのではないか、と評させて頂くのだが、強化はこれをどう総括したのだろうか。

大野と橋本の競技力は高い。世界選手権に優勝するだけのラインはともに超えている(世界王者なのだから当たり前だが)と断ずる。そのラインが「5」であるとすれば、橋本は「6」あるし、ひょっとすると大野は「7」か「8」あるかもしれない。理屈だけでいえばどちらを送り込んでも試合には勝てる。ただ、ここで、こういう形で圧力に屈してしまった選手をたった1人の代表として、それも地元開催のオリンピックという究極の場、勝利ラインが「8」にも「9」にも跳ね上がるであろう場に送り込むことは、少なくとも現時点では、躊躇するのではないか。橋本、以後は結果はもちろんのこと、圧の掛かる場でどういう戦いを繰り広げるかという、その内容も問われることとなる。おそらくあと一度は訪れるであろう大野との直接対決が最大のアピールの場となるであろうが、この2019年選抜体重別決勝が「伏線」となるような、あれがあったからこんなに凄い試合が出来たというような、ポジティブな着地に期待したい。

大野、完勝。世界選手権代表選出も、この階級への「2枠目」行使がなかったことも、試合結果と内容、他階級の状況に鑑みてまことに妥当である。東京五輪代表レースの行方をそのまま決定づけかねない、大きなターニングポイントとなった1日であった。

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73kg級上位入賞者。左から優勝の大野将平、2位の橋本壮市

【入賞者】
優 勝:大野将平(旭化成)
準優勝:橋本壮市(パーク24)

大野将平選手のコメント
「1日タフな戦いが続きましたけど、ものに出来て安心しています。昨年1年ぶりに畳の上に戻ってきて、もやもやする時間というのが、リオ五輪以前より圧倒的に増えました。そのなかで稽古も難しかったのですが、試合の中で我慢が出来て、結果を残せた。これが一番の成長かなと思います。へんに色気は出さずに、今日のように我慢強い戦いで良いのだと思います。世界選手権に選考されたら執念を持って、集中して、そして我慢強く戦うのみです。」

【1回戦】
橋本壮市(パーク24)○反則[指導3](3:30)△野上廉太郎(筑波大3年)
立川新(東海大4年)○GS反則[指導3](GS3:04)△竹内信康(立川拘置所)
大野将平(旭化成)○GS反則[指導3](GS0:46)△石郷岡秀征(筑波大3年)
海老沼匡(パーク24)○GS技有・肩車(GS1:59)△岩渕侑生(センコー)

【準決勝】
橋本壮市○GS反則[指導3](GS1:06)△立川新
大野将平○GS技有・谷落(GS5:13)△海老沼匡

【決勝】
大野将平○GS技有・隅落(GS5:30)△橋本壮市

■ 81kg級 永瀬貴規復活V、世界選手権代表権は藤原崇太郎が得る
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1回戦、藤原崇太郎が友清光から肩車「技有」

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1回戦、永瀬貴規が長島啓太から内股「技有」

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1回戦、佐々木健志の右背負投が空転、中園史寛に畳に押し付けられて「技有」を失う。

(エントリー8名)

【決勝まで】

バクー世界選手権で銀メダル獲得、2月のグランドスラム・デュッセルドルフでも優勝した藤原崇太郎(日本体育大3年)と、グランドスラム大阪とワールドマスターズを制している佐々木健志(ALSOK)の若手2人の対決がメイントピックであったはずこの81kg級だが、トーナメントはまったく異なる様相で展開した。主役はグランドスラム・エカテリンブルクに派遣されて代表レース3番手の地位に甘んじていた、永瀬貴規(旭化成)。

1回戦ステージは前述の3名ともに勝ち上がり。第1シードの藤原は友清光(国士舘大3年)をGS延長戦の肩車「技有」で破り、永瀬は長島啓太(日本中央競馬会)から残り40秒、右内股「技有」を決めて快勝。下から釣り手を突いてじっくり圧を掛け続け、場外際に追い込むと相手の頭を下げると同時に作用足を挙上。試合巧者長島も逆らえぬ、ウルフアロン風の巧みな一撃だった。

第2シードの佐々木は中園史寛(福岡県警察)を相手に52秒、思い切って仕掛けた右背負投が空回り、そのまま相手に畳に押し込まれて「技有」失陥という波乱のスタート。決定的なビハインドであり、昨年出世を妨げた「自爆」による失点ということもあって一気に以後の見通しが立たなくなる。アジア大会では「自爆」後に迎えた試合で再び無茶な仕掛けの末に再度の自滅で連敗、グランドスラム・パリでは自爆による「技有」失陥の後今度は思い切った攻めに出られず取り返すことが出来ぬまま優勢負けと、これまで取った失敗ルートは両極。いかなる行動を取るか注目されたが、佐々木は巴投に「韓国背負い」、さらにリスク厭わぬ裏投でそれこそ「自爆」寸前の場面を作りながらそれでも攻めの手を緩めない。1分56秒場外でまず「指導」をもぎとり、2分44秒にはこれまたリスク一杯の抱きつき内股一撃、これを透かされての「技有」失陥で万事休したかと思われたが、映像チェックに救われてこれは取り消し。残り27秒には2つ目の「指導」を獲得も、試合時間は僅か。もはや命運尽きたかに思われたが、残り11秒で抱きつきの右内股で中園を押しつぶして劇的「一本」。これでベスト4入り決定。

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準決勝、永瀬の懐の深さを持て余した藤原が強引な谷落。

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永瀬が右小外掛に切り返して抱き落とし「技有」

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佐々木は佐藤正大の背負投一撃に沈み、準決勝で脱落。

準決勝第1試合は藤原と永瀬がマッチアップ。

この試合はケンカ四つ。引き手争いが続くが、永瀬はリーチの長さを生かして藤原を封殺、遠間から圧を掛けながら後の先を狙う。藤原は釣り手の操作でこの距離を攻略しようと試みるが、永瀬は上から圧を掛けてこの意図を無力化。藤原は低い左体落に左大内刈と仕掛けるもいずれも懐の内で処理されてしまい、効かず。
そしてともに「指導2」を取り合って迎えた残り28秒、我慢の利かなくなった藤原が強引な谷落を仕掛けると、永瀬これを受け止め右小外掛で浴びせ倒して「技有」獲得。永瀬がそのまま被さって縦四方固を狙い、藤原が防ぐ攻防が続いたまま残りの試合時間が過ぎ去り、永瀬の「技有」優勢による勝利が決まった。第1シードの藤原はここで脱落。

そして準決勝第2試合では第2シードの佐々木に、佐藤正大(自衛隊体育学校)がマッチアップ。佐藤は佐々木同様逆転でのベスト4入り、初戦は小原拳哉(パーク24)に巴投「技有」を失いながら残り時間僅かの袈裟固「一本」で逆転し、講道館杯決勝のリベンジを果たして迎える準決勝の畳である。

この試合は右相四つ。佐々木は引き手で襟、釣り手で奥襟を叩いて右内股を打つが、低く構えた佐藤は不敵な面構えでこれを受け切る。そして攻防収束、佐々木が次の攻めのために呼吸を整えた一瞬に鋭く反応、低く右背負投に飛び込んで投げ切り鮮やか「一本」。止める間などありようもない、仕掛けから決めまでまさに一息で投げ切った迫力の一撃であった。佐々木は無念の敗退、投げに気持ちを傾け過ぎたことはもちろんだが、前戦でビハインドを追いかける時間が長く、必要以上に精神的なリソースを消費してしまった感あり。世界選手権代表選出に残されていた僅かな可能性はここで完全に潰えた。

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決勝、永瀬が「横三角」で流れを掴む。

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永瀬の圧力を持て余した佐藤が相四つ横変形にずれて耐える。

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永瀬はずれた佐藤の重心を見極めて膝車一撃「技有」

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【決勝】

永瀬貴規(旭化成)○GS支釣込足(GS4:36)△佐藤正大(自衛隊体育学校)

迎えた決勝は永瀬、佐藤ともに右組みの相四つ。組み手争いから試合が始まり、お互い横にずれて相手の釣り手を絞り合う。43秒に永瀬が引き落として「横三角」からの抑え込みを狙うが、ここは佐藤が耐え切って「待て」。以降大枠としてはこの形の繰り返し。永瀬が長い手足を生かして大きく相手を抱き込み、佐藤が足技を飛ばしながらこれを凌ぎ続ける。2分2秒、片襟を差してアオリを呉れた際に長く持ちすぎた佐藤に、片襟の「指導」。直後、佐藤は展開を引き戻そうと片襟の右背負投。永瀬が膝を着くと「横三角」からの抑え込みを試みる。これは永瀬耐え切って「待て」。ここからは再び組み手争いによる膠着状態が続き、本戦の4分間はあっという間に終了。

延長戦に入るなり、永瀬が組み際の右大内刈で先制攻撃。しかし、佐藤は足を上げ、余裕を持ってケンケンで凌ぎ切ると、直後のGS27秒に片襟の右大外刈を仕掛ける。永瀬足を引いてこれを空転させるが、相手が伏せた勢いで崩れてしまい、佐藤が上から「横三角」の形で攻める。これは形が不十分であったためすぐに「待て」となるが、手ごたえを得た佐藤は主審の「はじめ」の声と同時に怪鳥音を発して気合いを入れ、組み合うなり力強い右の「小内払い」で永瀬を伏せさせる。佐藤が展開を取り掛けているわけだが、しかし永瀬はあくまで冷静。直後の展開で奥を叩いて相手を抱き込み、引き落として「横三角」。さらに続く攻防でも右大内刈を仕掛けて押し込み、掴まれかけた流れをあっという間に自分の側に引き戻してしまう。

ここからは再び組み手争いが続き、GS2分31秒、両者に取り組まない咎による「指導」。これで佐藤はスコア上後がなくなる。直後、佐藤が低い右背負投を仕掛けるも、永瀬は懐の深さを生かしてこれを防御。組み手の攻防から相手の背中について畳に伏せさせ「横三角」で攻める。今度も決め切れなかったが、佐藤は疲労のためかすぐには立ち上がれず、座ったままで服装を正す。スタミナの消耗隠せないというところだが、佐藤は開始線にもどるなり両手で激しく自らの頬を叩き、両手を上げて威嚇のポーズを取って気合い一発。これが効いたかギアが一段上がり、切れのある右小外刈を織り交ぜながら圧を掛けて永瀬を場外際まで追い込み、一瞬攻勢。しかし永瀬は焦ることなく釣り手で奥を持ち返し、右支釣込足で時計回りに大きく崩して相手を畳に這わせる。拮抗続くも永瀬優位に針が振れ始めた印象。

そして続く展開、永瀬は袖の絞り合いから左袖釣込腰を仕掛けて相手の引き手を切り、向き直るなり奥を叩いて引き手で袖、釣り手で奥襟を持った万全の形を作り上げる。嫌った佐藤は横変形に構えて距離を取り、これが厳しいと見るや右の「小内払い」から引き手で脇を差しに掛かること数度。しかし、永瀬はがっちり組み止めてこれを許さず、相手を押し込むようにして距離を詰めると、両手を時計回りに切って膝車一撃。右足で左膝をコンと蹴って力強く捻りを加えると、横変形で頭を相手の釣り手に乗せていた佐藤は為す術なく背中から転がり落ち、GS4分36秒「一本」。永瀬がこの日の「台風の目」佐藤を破ってみごと優勝を果たした。

世界選手権代表には、欧州シリーズの成績から藤原崇太郎が順当に選出された。ワールドマスターズ王者の佐々木健志は欧州シリーズの初戦負けで苦しい情勢であったが、この日の敗戦で完全脱落。「2枠目」が行使されることはなかった。

永瀬の復活は、日本の強化にとっては明るい材料。81kg級の国際戦線は相変わらず「優勝候補20人」の大混戦状態が続いているが、藤原、佐々木、加えて負傷前に81kg級ワールドの「軸」を務めていた2015年世界王者永瀬がいよいよ復活となれば、これにぶつける陣容としては相当な厚さだ。2017年8月の永瀬負傷の時点ではまさにこの人1人のみしか国際級がいない状態であったことを考えれば、結果的にあの「永瀬のいない」不安いっぱいの1年間が日本代表全体を強化したと言えなくもない。代表争いにおいてアドバンテージがあるのは世界選手権で「1人代表」を務める藤原だが、佐々木と永瀬も最高到達点の高さは十分。かつまだこの2人にもチャンスがまったくないわけではない。苦戦が続いた日本の81kg級、どうやら態勢整いつつあると見てよいだろう。

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81kg級上位入賞者。左から優勝の永瀬貴規、2位の佐藤正大

【入賞者】
優 勝:永瀬貴規(旭化成)
準優勝:佐藤正大(自衛隊体育学校)

永瀬貴規選手のコメント
「ちょうど2年前にこの大会で優勝してから、ずっと負けっぱなしでした。嫌になった時期もありました。きょうも内容はまだ全然だめなんですけれど、結果が出たので、少し自分に自信を持つことが出来ました。本当にもうなかなか上手くいかなくかったんですが、きょう勝ったことで、苦しい時に支えてくれた、応援してくれた皆さんに少しだけ恩返しが出来て、良かったです。まだまだ復活とは言えないですが、次に繋がったと思っています。リオでの悔しさは今でも忘れていませんし、五輪の借りは五輪でしか返せない。来年の東京で行われるオリンピックになんとしても出て、優勝できるように頑張りたいと思います。」

【1回戦】
藤原崇太郎(日本体育大3年)○GS技有・肩車(GS1:21)△友清光(国士舘大3年)
永瀬貴規(旭化成)○優勢[技有・内股]△長島啓太(日本中央競馬会)
佐々木健志(ALSOK)○内股(3:49)△中園史寛(福岡県警察)
佐藤正大(自衛隊体育学校)○袈裟固(3:52)△小原拳哉(パーク24)

【準決勝】
永瀬貴規○優勢[技有・隅落]△藤原崇太郎
佐藤正大○背負投(1:07)△佐々木健志

【決勝】
永瀬貴規○GS支釣込足(GS4:36)△佐藤正大

※ eJudoメルマガ版5月1日掲載記事より転載・編集しています。

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