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【レポート】第41回全国高等学校柔道選手権大会・男子個人戦5階級マッチレポート

(2019年4月23日)

※ eJudoメルマガ版4月23日掲載記事より転載・編集しています。
第41回全国高等学校柔道選手権大会・男子個人戦5階級マッチレポート
(60kg級、66kg級、73kg級、81kg級、無差別)
撮影:乾晋也、辺見真也
取材・文:小林大悟/eJudo編集部

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→男子個人戦プレビュー

■ 60kg級・第2シードの福田大晟が順当に優勝、近藤隼斗不在のトーナメントを制す
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準々決勝、福田大晟が樽岡葉太から左背負投「技有」

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準決勝、濵田大樹が田中祥を袖釣込腰で攻める

【決勝まで】

優勝候補の筆頭と目されていた前年の王者、第1シードの近藤隼斗(佐賀・佐賀工高)が大会前日に欠場を発表。決勝にはこの近藤の消えた左上のブロックを勝ち上がった濵田大樹(千葉・木更津総合高)と、第2シードの福田大晟(滋賀・比叡山高)が勝ち上がった。

濵田は初戦(2回戦)で鈴木将太(富山・小杉高)を「技有」の優勢勝ちで下して大会を開始。以降は3回戦で大沼勢(宮城・古川工高)に「技有」の優勢勝ち、準々決勝で大田原優斗(岡山・関西高)に小内刈「技有」の優勢勝ち、準決勝で田中祥(長崎・長崎南山高)にGS延長戦での僅差勝利(GS1:27)という内容で勝ち上がった。一本勝ちはないものの、競った試合をしぶとく戦い抜いての決勝進出。

一方の福田も、初戦(2回戦)で加藤遼馬(静岡・静岡学園高)に「技有」の優勢、3回戦で平山舞人(愛媛・新田高)に僅差による優勢、準々決勝で樽岡葉太(広島・近大広島高福山校)に「技有」優勢と接戦を連続で制してのベスト4入り。しかし、準決勝では福田虎輝(大阪・東海大仰星高)を背負投と縦四方固の合技「一本」(2:39)で破り、少しずつ調子を上げて決勝の畳へと辿り着いた。

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決勝、濵田大樹が福田大晟を右大内刈で攻める

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福田が濵田の内股を透かして「技有」

【決勝】

福田大晟(滋賀・比叡山高)〇GS技有・内股透(GS2:27)△濵田大樹(千葉・木更津総合高)

福田が左、濵田が右組みのケンカ四つ。お互いに釣り手側の肩を突き合わせての圧の掛け合い。開始直後に濵田が右大内刈で先制攻撃、福田を畳に這わせ、横から引き込んでの寝技を狙う。しかし、これは福田凌ぎ切って「待て」。この攻防による福田の出血のために試合が一時中断する。

再開後の攻防、濵田が引き手争いから右一本背負投。「待て」が掛けられての1分41秒、福田に消極的の「指導」が与えられる。先に展開を掴んだのは濵田。しかし、ここから福田が徹底して下から釣り手を持つしぶとい組み手で盛り返し、左背負投で度々相手を崩して猛追する。残り30秒には釣り手の肘を上から入れ直しての左小内刈で相手を大きく崩し、そこから横に転がして縦四方固で抑え込む。一度は主審の「抑え込み」のコールが掛かるが、これは4秒で濵田が逃れて「解けた」。ここで濵田にも消極的の「指導」が与えられ、「指導1」を取り合っての同点で勝負はGS延長戦へ。

延長戦でも、お互いに肩を突き合っての釣り手の陣地の奪い合い。本戦後半に流れを掴んだ福田がそれを維持する形で、左背負投に相手の伏せ際を狙っての「ボーアンドアローチョーク」と攻め続ける。濵田も左内股に右一本背負投と技を出して応じるが、いずれも福田の圧に負けて掛け切れず不発。GS2分12秒、やや手の詰まった濵田が作用足を差し入れてからの左内股を仕掛けると、福田は下から持った釣り手をテコの様に用いて相手の上を乗り越え、捲り返す。濵田辛うじて体を残し一度は試合が流されるが、「待て」の掛かったGS2分27秒、濵田の左肩が内に入っていたとしてこれが内股透「技有」となる。福田がしぶとい組み手と寝技を軸に粘り勝ち、見事トーナメントの頂点に立った。

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優勝の福田大晟

【入賞者】
優 勝:福田大晟(滋賀・比叡山高)
準優勝:濵田大樹(千葉・木更津総合高)
第三位:田中祥(長崎・長崎南山高)、福田虎輝(大阪・東海大仰星高)
第五位:大田原優斗(岡山・関西高)、辻岡慶次(愛知・大成高)、樽岡葉太(広島・近大広島高福山校)、高田顕矢(東京・足立学園高)

福田大晟選手のコメント
「最高の気持ちです。兄が2年前、この大会の決勝で負けていて、どうしても日本一になりたくてずっとやってきました。自分は技も切れないし決して強い選手ではないけれど、家族や回りの仲間が支えてくれた日本一だと思います。」

【準々決勝】
濵田大樹○優勢[技有・小内刈]△大田原優斗
田中祥○優勢[僅差]△辻岡慶次
福田大晟○優勢[技有]△樽岡葉太
福田虎輝○GS技有(GS2:25)△高田顕矢

【準決勝】
濵田大樹○GS僅差(GS1:27)△田中祥
福田大晟○合技[背負投・縦四方固](2:39)△福田虎輝

【決勝】
福田大晟○GS技有・内股透(GS2:27)△濵田大樹

■ 66kg級・唯野己哲が王座獲得、快進撃の岸武蔵を決勝で破る
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1回戦、唯野己哲が浅野元輝から片手絞「一本」

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準決勝、岸武蔵が光岡岳人から組み際の払釣込足「技有」

(エントリー47名)

【決勝まで】

第1シード配置の2018年全日本カデ体重別選手権王者・田中龍馬(佐賀・佐賀商高)は、2回戦で中村太樹(東京・国士舘高)にGS延長戦での僅差負け(GS2:00)を喫し、初戦で姿を消した。

決勝に勝ち上がったのはダークホースの岸武蔵(兵庫・報徳学園高)と、決勝進出が有力視されていた昨年3位の実力者、唯野己哲(千葉・木更津総合高)。両者ともにノーシードからの決勝進出となった。

1年生の岸は1回戦で舟戸唯人(富山・小杉高)に合技「一本」(2:18)、2回戦で田中大介(静岡・飛龍高)に大内刈「一本」(0:45)と、序盤戦は一本勝ちを2試合続ける快調な滑り出し。3回戦からは松下篤生(和歌山・初芝橋本高)にGS延長戦での僅差勝利(GS0:39)、準々決勝で吉岡正晃(熊本・鎮西高)にGS延長戦での「指導3」反則勝ちと競った試合が続いたが、準決勝では光岡岳人(福岡・大牟田高)を持ち味である緩急の効いた攻めに嵌めてGS延長戦での払釣込足「技有」(GS0:10)で撃破。ノーマークから見事決勝進出を果たす。

一方の唯野は前評判の高さに恥じない盤石の勝ち上がり。1回戦で浅野元輝(新潟・開志国際高)を僅か14秒の片手絞「一本」に仕留めると、以降も2回戦で有馬雄風(福島・田村高)に肩固「一本」(1:28)、3回戦で三並大将(愛知・大成高)に「技有」優勢、準々決勝で岡田悠之介(埼玉・埼玉栄高)にGS延長戦での背負投「一本」(GS0:56)、準決勝で池﨑晴登(長崎・長崎日大高)に肩固「一本」(1:28)という素晴らしい勝ち上がり。地力の高さを生かし、危なげなく決勝の畳へと辿り着いた。

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決勝、岸武蔵が唯野己哲を右一本背負投で攻める

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唯野の巴投が「技有」

【決勝】

唯野己哲(千葉・木更津総合高)〇GS技有・巴投(GS8:11)△岸武蔵(兵庫・報徳学園高)

唯野、岸ともに右組みの相四つ。試合は前進圧力を掛けながら相手を固定しての足技、あるいは担ぎ技を狙う唯野に、これをゆらりと受け流し、緩急の利いた進退から一発を狙う岸という構図。序盤は唯野が一方的に攻め続けるが、49秒、相手の袖口を絞ってブロックしたとして「指導」を失う。しかし唯野はこれで怯むことなく圧力攻勢を継続。押し込んでの袖釣込腰を貪欲に打ち続け、2分15秒には岸にも消極的の「指導」が与えられる。以降、大きな動きはなく試合は「指導1」の同点でGS延長戦へ。

延長戦でも本戦と構図は変わらず唯野が前進圧力で優勢。しかし、岸の切れのある足技と脱力から突如加速する緩急自在の攻め、そしてときおり見せる強気の密着の前にあと一歩攻め切れない。こうして唯野が固定して押し込み、岸がトリッキーな逆襲で展開を呼び戻す形で試合は長期化。双方惜しい場面を作りつつもポイントの上積みないまま、試合時間は12分を超える。 GS8分過ぎ、唯野は下がりながら右一本背負投で岸の懐深くまで侵入すると、抱き止められると同時に返す刀で右大内刈。これは岸がかわすも、直後に生まれた試合のエアポケットに唯野が巴投を見舞う。右足を支点に左足で最後まで相手を回し切ると岸が体側から畳に落ち、GS8分11秒「技有」。延長戦の主導権を握っていたのは岸であったが、勝者は唯野。その王座に掛ける執念が、岸の変幻自在の柔道を凌駕したという一番だった。

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優勝の唯野己哲

【入賞者】
優 勝:唯野己哲(千葉・木更津総合高)
準優勝:岸武蔵(兵庫・報徳学園高)
第三位:光岡岳人(福岡・大牟田高)、池﨑晴登(長崎・長崎日大高)
第五位:吉岡正晃(熊本・鎮西高)、南龍太郎(鹿児島・鹿児島情報高)、古川要(山梨・東海大甲府高)、岡田悠之介(埼玉・埼玉栄高)

唯野己哲選手のコメント
「長い試合でしたが、絶対に自分が日本一になるんだという強い気持ちで戦い切りました。決勝は予想していなかった相手との対戦でしたが、スタミナもあって、強くてびっくりしました。まだインターハイもありますし、インターハイは講道館杯に繋がる大事な大会。まだまだ頑張ります」

【準々決勝】
岸武蔵○GS反則[指導3](GS0:54)△吉岡正晃
光岡岳人○反則[指導3](2:25)△南龍太郎
池﨑晴登○合技(2:46)△古川要
唯野己哲○GS背負投(GS0:56)△岡田悠之介

【準決勝】
岸武蔵○GS技有・払釣込足(GS0:10)△光岡岳人
唯野己哲○肩固(1:35)△池﨑晴登

【決勝】
唯野己哲○GS技有・巴投(GS8:11)△岸武蔵

■ 73kg級・田中裕大が完成度高い柔道でタイトル獲得、この日の台風の目・石原樹は決勝で散る
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準決勝、石原樹が島本真司郎から「韓国背負い」で「一本」

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準決勝、田中裕大が旭征哉を左内股で攻める

(エントリー47名)

【決勝まで】

決勝に勝ち上がったのは石原樹(群馬・前橋商高)と田中裕大(福岡・大牟田高)の2名。石原は強豪を相手に次々アップセットを演じての勝ち上がり。一方の田中は大会前から優勝候補との評判高く、順当に勝ち進んでの決勝進出となった。

石原は初戦(2回戦)で倉橋恭平(滋賀・比叡山高)をGS延長戦での僅差勝ち(GS0:56)で破ると、3回戦では優勝候補筆頭格と目されていた北條嘉人(千葉・木更津総合高)とマッチアップ。この強敵を相手に合計時間6分に及ぶ消耗戦を戦い抜き、GS3分10秒に「技有」を得てベスト8へと勝ち上がる。以降も実力者との連戦となるが、準々決勝の伊藤栄都(三重・四日市中央工高)戦を「指導3」の反則(2:29)、準決勝の島本真司郎(東京・日体大荏原高)戦を「韓国背負い」による「一本」(2:58)でそれぞれ勝ち抜き、見事決勝進出を決めた。

対する田中は、初戦(2回戦)で吉池優樹(長野・東海大諏訪高)を「指導3」の反則勝ち(2:13)、3回戦で鳩間賢浩(北海・札幌山の手高)を背負投「一本」(0:56)、準々決勝で新井大翔(山梨・東海大甲府高)を内股と巴投の合技「一本」(2:06)でそれぞれ破りベスト8入り。最大の勝負どころとなった準決勝では、旭征哉(茨城・つくば秀英高)を組み手の巧さを生かして僅差の優勢勝ちで退け、決勝の畳へと駒を進めた。

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決勝、田中裕大が石原樹に「加藤返し」

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そのまま裏固で抑え込み「技有」

【決勝】

田中裕大(福岡・大牟田高)〇優勢[技有・裏固]△石原樹(群馬・前橋商高)

田中、石原ともに左組みの相四つ。奥襟を得て間合いを詰めての一発を狙う石原に、組み手巧みに相手の釣り手を絞って左袖釣込腰を狙う田中という構図で試合が進む。34秒に石原が片襟の左背負投で田中の懐深くまで侵入するが、田中は長い手足を生かして懐でこれを無効化。「横三角」を匂わせての「加藤返し」で立ち上がって逃れようとする相手を無理やり回し切り、49秒に裏固の形を完成させる。石原自由になっている右足を相手の体に掛けて逃れるが、この時点で既に12秒が経過しており、1分2秒「技有」宣告。

石原としては組み手の上手い田中にリードを奪われる非常に厳しい状況。さらに、すぐにでもスクランブルを掛けるべき直後の攻防をゆったりとした組み手争いから始めるミスも犯してしまう。田中はこれを見逃すことなく相手の釣り手を絞り落とすと、右袖釣込腰で股中まで侵入して相手を崩し、リードのまま試合の流れを固定することに成功。石原は続く攻防も組み手争いからスタートして危機感薄し。奇襲の左小内刈から奥襟を得て右大内刈で攻め込むも、まだ「指導」1つすら失っていない田中は余裕あり、すぐに伏せて展開を切る。

続く展開、田中は極端な左半身に構える変形の形から組み手をスタート。石原奥襟を得てこれを引き落とし、2分16秒、田中に消極的の「指導」が与えられる。石原、時間的にもはや一刻の猶予もない状況だが、警戒感が勝るのか飛び出すことが出来ない。再び組み手の攻防から試合が始まり、田中が引き手を相手の体に押し付けておいての左小内刈で攻勢を演出。石原これを組み止めて右方向への肩車を狙うが、これは田中が余裕を持って受け切り「待て」の時点で残り時間は僅か13秒。石原はなんとか組み合って勝負を掛けようと前に出るが、田中は落ち着いて相手の釣り手を切り落とし、相手の股中深くまで潜り込む右袖釣込腰。石原が頭から落ちるように畳に伏せた段階で残り時間は2秒のみ、主審の「始め」のコールとほぼ同時に試合が終了。田中の優勝が決まった。

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優勝の田中裕大

【入賞者】
優 勝:田中裕大(福岡・大牟田高)
準優勝:石原樹(群馬・前橋商高)
第三位:島本真司郎(東京・日体大荏原高)、旭征哉(茨城・つくば秀英高)
第五位:伊藤栄都(三重・四日市中央工高)、岡山岳人(岩手・盛岡大附高)、杉野光星(埼玉・埼玉栄高)、新井大翔(山梨・東海大甲府高)

田中裕大選手のコメント
「なかなか全国大会で勝てず、やっと優勝出来ました。良かったです。決勝、相四つは得意なのでしっかり自分の組み手を作りながら試合が進められたと思います。まだ大会はたくさんあるので気を緩めず、まずはインターハイで優勝を目指します。」

【準々決勝】
石原樹○反則[指導3](2:29)△伊藤栄都
島本真司郎○横四方固(2:50)△岡山岳人
旭征哉○GS内股(GS2:55)△杉野光星
田中裕大○合技[内股・巴投](2:06)△新井大翔

【準決勝】
石原樹○背負投(2:58)△島本真司郎
田中裕大○優勢[僅差]△旭征哉

【決勝】
田中裕大○優勢[技有・裏固]△石原樹

■ 81kg級・竹市大祐が抜群の内容で2連覇達成、決勝で激戦区勝ち上がった小畑大樹を破る
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準決勝、竹市大祐が西垣拓磨から右一本背負投「一本」

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準々決勝、小畑大樹が菅原幸大を右背負投で攻める

(エントリー47名)

【決勝まで】

2連覇を狙う第1シードの竹市大祐(福岡・大牟田高)と、強豪密集の混戦ブロックを勝ち上がった小畑大樹(佐賀・佐賀商高)が決勝に進出。

竹市はシード順どおり組み合わせにも恵まれ、準決勝までを全試合一本勝ち、それも初戦以外は全て30秒以内の「秒殺」という抜群の内容で決勝へと勝ち上がる。内容は初戦(2回戦)で柴田蓮音(静岡・東海大翔洋高)に背負投「技有」2つによる合技「一本」(1:45)、3回戦で世尾隆太郎(山口・高川学園高)に袖釣込腰「一本」(0:19)、準々決勝で井上太陽(愛媛・新田高)に送襟絞「一本」(0:29)、準決勝で西垣拓磨(長崎・長崎南山高)に背負投「一本」(0:10)。

一方の小畑は大会全体を通じた最激戦区、トーナメント右上のブロックを勝ち上がっての決勝進出。1回戦で小林晴(鳥取・鳥取東高)を背負投「一本」(0:20)、2回戦で澤口健(岩手・盛岡大附高)を払腰「一本」(0:49)でそれぞれ下して危なげなく勝ち上がると、3回戦からは息もつかせぬ強敵との連戦。まず杉本将一朗(北海・北海高)をGS延長戦での「技有」(GS0:25)で下してベスト8入り。準々決勝では、2回戦で澤口宗志(栃木・白鴎大足利高)を小外掛「一本」(GS1:38)で破っている、2018年全日本カデ体重別選手権王者の菅原幸大(宮城・柴田高)を畳に迎える。ともに投げ一発が売りの本格派同士の対決となったこの試合を僅差による優勢勝ちで制すと、準決勝では前戦で大竹龍之助(愛知・大成高)を豪快な足車「一本」(0:59)で下している宮本和志(熊本・九州学院高)を、これも僅差の優勢勝ちで下して決勝へと勝ち上がる。

ほか、注目選手の結果に簡単に触れておく。本原颯人(大阪・東海大仰星高)は1回戦で藤野雄大(千葉・東海大浦安高)にGS延長戦での上四方固「一本」(GS8:46)で敗れ、その藤野も2回戦で菅原幸大に「技有」の優勢で敗れた。また、五十嵐勁太(山形・羽黒高)と増地遼汰朗(東京・安田学園高)はともに大竹龍之助に敗北。2回戦で戦った五十嵐は「技有」優勢、増地は競り合いの末にGS延長戦での隅落「技有」で敗れた。

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決勝、竹市が左背負投「技有」

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小畑は右内股で追撃も一歩及ばず

【決勝】

竹市大祐(福岡・大牟田高)〇優勢[技有・背負投]△小畑大樹(佐賀・佐賀商高)

竹市はしぶとい組み手をベースに担ぎ技と抱き勝負という両極端の武器を併せ持つ技巧派、一方の小畑は技一発の攻撃力が売りの本格派。魅力的なカードである。

竹市が左、小畑が右組みのケンカ四つ。竹市が下、小畑が上から釣り手を持って試合を始め、小畑が右内股、竹市はその戻り際に左方向への肩車を狙うがいずれの技も不十分、両者組み合ったまま攻防を継続。竹市が引き手争いに混ぜ込む形で竹市が釣り手を振って巧みに肘を内側に送り込む。しかし、小畑それを許してはならぬと竹市の釣り手の完成と同時に片手の右内股。そのまま右方向への肩車に伏せて展開を切る。竹市、立ち上がろうとする相手に足を掛けて登るようにして無理やり「ボーアンドアローチョーク」を狙うも、ここは「待て」。ここまで32秒。

続く展開、竹市、今度は釣り手で相手の釣り手上腕を抑え、それを橋頭堡に釣り手で内側を確保。引き手を得て相手を押し込み、左背負投に潜り込む。小畑これを剛体で受けてしまい、竹市が投げ切らんと左前隅に走るとごろりと一回転、57秒「技有」。先取点を得たのは竹市。

直後の攻防、小畑が先に引き手を得て釣り手を背中深くに叩き入れると、これを嫌った竹市は巴投で展開を切りに掛かる。これに対して小畑は相手の足を反時計回りに躱して頭側に回り込み腕挫十字固。一度は形が完成し掛けるが、竹市正しく相手側に潜り込むようにして腕を引き抜いて事なきを得る。1分21秒、前段の竹市の巴投に対して偽装攻撃の「指導」。

直後の1分30秒、竹市は組み際に右一本背負投を放って悪い流れをリセット。続く展開では組み手争いに持ち込んで時間を使いながら攻撃の機を窺う。小畑これを簡単には受け入れず、1分47秒、引き手で襟を得て両襟の右内股に飛び込む。この技に竹市一瞬両足が浮いて大きく崩れるが、自由な右手を畳に突いてバランスを取り内股透。作用足が外れた小畑、大きく空転して腹ばいで着地。竹市が絞技を狙ったところで「待て」、派手な攻防に場内が大きく沸く。

ここからは竹市が低く構えて圧を掛けながら前進、小畑が両襟で上から組み止めながら右内股を狙う、という形で試合が膠着。小畑の右内股に竹市が内股透を狙ったところで「待て」となり、この時点で試合時間は残り39秒。以降は逃げ切りを図る竹市が組み手争いと担ぎ技で試合を流し、小畑が右内股を仕掛けたところで試合終了を迎える。竹市が巧みな組み手で本格派小畑を封殺、見事2連覇を達成した。

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2連覇の竹市大祐

【入賞者】
優 勝:竹市大祐(福岡・大牟田高)
準優勝:小畑大樹(佐賀・佐賀商高)
第三位:西垣拓磨(長崎・長崎南山高)、宮本和志(熊本・九州学院高)
第五位:井上太陽(愛媛・新田高)、濱田聖良(鹿児島・鹿児島情報高)、菅原幸大(宮城・柴田高)、大竹龍之助(愛知・大成高)

竹市大祐選手のコメント
「去年は1年生で優勝しましたが、自分でも勢いに助けられた部分があったと思っているので、今回しっかり勝てたことは良かった。大牟田高校の目標は団体戦の日本一。大きい相手と戦うことを考えているので、同階級の相手に負けるわけにはいかないと思っていました。次は、まず何より明日の団体戦を頑張ります。」

【準々決勝】
竹市大祐○送襟絞(0:29)△井上太陽
西垣拓磨○優勢[技有・背負投]△濱田聖良
小畑大樹○優勢[僅差]△菅原幸大
宮本和志○足車(0:59)△大竹龍之助

【準決勝】
竹市大祐○背負投(0:10)△西垣拓磨
小畑大樹○優勢[僅差]△宮本和志

【決勝】
竹市大祐○優勢[技有・背負投]△小畑大樹

■ 無差別・怪力モンスター高橋翼が全試合一本勝ち、驚異的なパワーでライバルたちをねじ伏せる
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準決勝、グリーンカラニ海斗が金澤聡瑠から左小外刈「技有」

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3回戦、髙橋翼が鈴木直登から右大内刈「一本」

(エントリー47名)

【決勝まで】

決勝に勝ち上がったのは、グリーンカラニ海斗(東京・日体大荏原高)と、戦前からその異常な膂力で注目を集めていた「怪力モンスター」髙橋翼(岡山・作陽高)。

グリーンは強豪との連戦を勝ち抜いての決勝進出。1回戦で花野良輝(新潟・開志国際高)を合技「一本」(3:00)で下すと、2回戦では昨年の天理高インターハイ優勝時のレギュラー、井上直弥(奈良・天理高)をGS延長戦での隅落「技有」(GS1:06)で撃破する。3回戦では酒井晃輝(福井・福井工大福井高)を合技「一本」(3:07)で破り、続く準々決勝では中村雄太(大阪・東海大仰星高)との壮絶な投げ合いを、小内刈「技有」をリードされた状況から小外掛「一本」(1:48)による逆転で制してベスト4入り。準決勝では金澤聡瑠(千葉・木更津総合高)を小外刈「技有」による優勢で下して決勝への勝ち上がりを決めた。

一方の髙橋は1回戦でいきなりの大苦戦、田中航太(鹿児島・鹿児島情報高)に得意の小外掛を透かされて隅落「技有」をリードされるという厳しい滑り出し。高橋のやり口が全国の強豪にあまねく知れ渡っていること、ゆえにこの先も苦戦が続くであろうことを十分予感させる一撃であったが、しかし、この試合を裏投「一本」(1:45)で制すと、以降は2回戦で2018年全日本カデ体重別選手権90kg超級王者で第2シードの福永夏生(広島・崇徳高)を小外掛「一本」(2:31)、3回戦で鈴木直登(福島・田村高)を大内刈「一本」、準々決勝で遠藤絢斗(山形・山形工高)を小外掛「一本」(1:24)、準決勝で長谷川功斉(兵庫・育英高)を大外刈と袈裟固の合技「一本」(1:15)と快進撃。相手を「丸呑み」するような圧倒的な柔道を披露、この強豪ずらりと並んだ連戦を、全試合一本勝ちで決勝へと勝ち上がった。

第1シードの2018年全日本カデ体重別選手権90kg級王者・森健心(福岡・大牟田高)は、3回戦で金澤聡瑠にGS延長戦での「指導3」反則[GS0:55)で敗れた。

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決勝、グリーンカラニ海斗が髙橋翼の右小外掛に被り返して隅落「技有」

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高橋が右大内刈で「技有」奪回

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そのまま縦四方固で抑え込み合技「一本」

【決勝】

髙橋翼(岡山・作陽高)〇合技[大内刈・縦四方固](1:58)△グリーンカラニ海斗(東京・日体大荏原高)

髙橋いつもどおり激しく足を踏み鳴らし、気合の雄叫びを上げる迫力の入場。
組み手は髙橋が右、グリーンが左組みのケンカ四つ。グリーンは髙橋の柔道スタイルを良く理解しており、脇を差して腰を引き、相手の右小外掛による「自爆」を誘う。対する髙橋は釣り手で背中深くを得た万全の形。

組み合った様子を観察するに、地力は髙橋が数段上。あとは相手をじっくり追い詰め、例えば「指導」を2つ積んでから堪え切れなくなった相手の上体が上がって来るのを待てばいいはず。その高橋、まず浅い右小外刈を放って牽制、続いて相手を釣り手側に引き出して右釣込腰を仕掛け、定石通りの手堅い進退。しかし45秒、ついに我慢し切れなくなり強引な右小外掛一発。腰を引いて十分に距離を取っていたグリーン、待ってましたとばかりに被り返し、髙橋ほぼ真後ろに倒れる形で畳に落下。しかし主審の手は動かず、そしてここからが怪力モンスターの真骨頂。抑え込みを狙ったグリーンをあっさりと「鉄砲返し」で転がし、反対に袈裟固で抑え込む。あまりに豪快、そしてあまりにめまぐるしい攻防に、場内からは悲鳴とため息の入り混じった歓声が上がる。しかし、入りの形が強引であった分拘束が弱く、これはグリーンが6秒で逃れて「解けた」。ここでグリーンの投げの効果を巡って映像による確認が行われるが、明らかにポイントと思われたこの一撃はポイントなしでスルーされることとなる。ここまで1分10秒。

試合が再開されると髙橋は再び相手の背中を抱く得意の形を作り出し、グリーンも同じく脇を差して腰を引き、相手の自爆を狙う。先ほどとまったく同じ形だが、しかし髙橋は再び強引な右小外掛を仕掛けてしまう。グリーンが余裕を持って足を外して被り返すと、髙橋裏投を狙うように踏ん張りながら崩落。今度は主審迷うことなく「技有」を宣告、試合時間1分26秒、先制点はグリーン。髙橋は2度同じミスを重ねた形。ここでグリーンが足を負傷し、治療の為に試合が止まる。

試合が再開されると、両者はみたび脇を差し合い、髙橋が上から背中を抱く、これまでと同じ状態が生まれる。髙橋、今度は焦らずに右小外刈、右内股、右小外刈と浅い技を積み、これを嫌ったグリーンの上体が上がったところで釣り手側に呼び込んでの右大内刈に飛び込む。完全に密着されてしまったグリーンは抱き着いての大内返を狙うが、高橋の力はあまりに強い。ねじ伏せられ、磔にされたまま畳に落下し1分47秒「技有」。髙橋はそのまま相手の上にのしかかり、「シバロック」様の縦四方固で10秒抑え込み切って合技「一本」へと辿り着く。

髙橋は、いかにもこの人らしい豪快な試合内容での戴冠。全試合を通じて安定感は皆無、しかし得意の形を作ったときの強さは比類なし。

作陽高からの全国大会制覇者は1986年のインターハイ以来これが2人目、川野一道監督就任以降は初めて。高橋、試合後には川野監督と抱き合って勝利の喜びを分かち合っていた。

eJudo Photo
優勝の髙橋翼

【入賞者】
優 勝:髙橋翼(岡山・作陽高)
準優勝:グリーンカラニ海斗(東京・日体大荏原高)
第三位:金澤聡瑠(千葉・木更津総合高)、長谷川功斉(兵庫・育英高)
第五位:山野井爽(埼玉・埼玉栄高)、中村雄太(大阪・東海大仰星高)、遠藤絢斗(山形・山形工高)、瀧石靖弘(大分・国東高)

髙橋翼選手のコメント
「先にポイントを取られましたが、まだ1分半あったので取り返せる自信はありました。監督と目を合わせて、どういう風に行くかと自分の中で考えて、行きました。明日の団体戦でも優勝を狙います。」

【準々決勝】
金澤聡瑠○GS小外掛(GS2:17)△山野井爽
グリーンカラニ海斗○小外掛(1:48)△中村雄太
髙橋翼○小外掛(1:24)△遠藤絢斗
長谷川功斉○小外掛(1:13)△瀧石靖弘

【準決勝】
グリーンカラニ海斗○優勢[技有・小外刈]△金澤聡瑠
髙橋翼○合技[大外刈・袈裟固](1:15)△長谷川功斉

【決勝】
髙橋翼○合技[大内刈・縦四方固](1:58)△グリーンカラニ海斗

※ eJudoメルマガ版4月23日掲載記事より転載・編集しています。

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