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【レポート】シード8校が揃って準々決勝進出、立ち直った大牟田は大成に圧勝、東海大仰星は中村雄太の活躍で白鴎大足利を振り切る・第41回全国高等学校柔道選手権男子団体戦レポート③三回戦

(2019年4月4日)

※ eJudoメルマガ版4月4日掲載記事より転載・編集しています。
シード8校が揃って準々決勝進出、立ち直った大牟田は大成に圧勝、東海大仰星は中村雄太の活躍で白鴎大足利を振り切る
第41回全国高等学校柔道選手権男子団体戦レポート③三回戦
取材・文:古田英毅/eJudo編集部
撮影:乾晋也/辺見真也/eJudo編集部

→[記録]男子団体戦全試合対戦詳細
→二回戦レポート
→一回戦レポート

ベスト16が出揃った。強豪各校が「初戦」という共通の高いハードルに臨んだ二回戦に比べると勝敗自体は読みやすいカードが揃ったと言えるが、シード校同士の対戦が始まる四回戦(準々決勝)に向けてどう攻撃の俯角を取るかがまず第一のみどころ。この観点からの注目カードは前戦一時2人差ビハインドを負うというギリギリの試合を演じた大牟田に、天理との会場揺るがす大熱戦を制した大成が挑むCブロック第1試合、さらにシード校東海大仰星にここまで2戦連続の激戦を制し勢いに乗る白鴎大足利が挑むDブロック第2試合。力の拮抗した実力校同士の対決という文脈からは、なんと言っても崇徳と田村が激突するCブロック第2試合が注目である。

■ 三回戦
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タイスコアで迎えた第3試合、国士舘の中堅藤永龍太郎が四日市中央工・山口隆乃から内股「一本」

【Aブロック】

国士館高(東京)○一人残し△四日市中央工業高(三重)
(先)鈴木郷生×引分×原田浩之(先)
(次)道下新大×引分×柿市寛太(次)
(中)藤永龍太郎〇内股(2:23)△山口隆乃(中)
(中)藤永龍太郎〇体落(2:47)△弓矢健輔(副)
(中)藤永龍太郎△優勢[僅差]〇伊藤栄都(大)
(副)長谷川碧×引分×伊藤栄都(大)
(大)斉藤立

国士舘は前戦の殊勲者岡田陸をいったん下げ、主戦の道下新大を投入。斬り込み役には再び鈴木郷生を指名して東海地区の強豪四日市中央工を畳に迎える。

先鋒戦は鈴木郷生、原田浩之ともに右組みの相四つ。原田引き手で袖を折り込んで粘り強く対峙、一方の鈴木は組み手の形を作ると都度これをするりと壊す原田の前になかなか攻めきれず。1分55秒、鈴木がしっかり組んだところで原田が潰れ「指導1」が与えられるが、鈴木はいま一歩詰め切れない。最終盤、鈴木が組み際の右大外刈に打って出るが原田怖じずにここが踏ん張りどころと大外返で迎え撃ってブレイク。この試合は引き分けにおわった。

次鋒同士の第2試合は道下新大が左、柿市寛太が右組みのケンカ四つ。道下開始早々に膝車で柿市を潰し「待て」。続いて寝技に持ち込むなり抑え込んであっという間に終戦かと思われたが、柿市逃れて「解けた」。
道下圧力を掛けて取りに掛かるが、いったん抑え込まれた柿市これで肚が決まったか、打点の高い肘抜きの右背負投で思い切った攻めを見せる。さらに良いタイミングで大内刈、残り27秒には右背負投で道下の股中に潜り込みあわやという場面を作り出して激しく抵抗。道下淡々とチャンスを探し続けるが3分間は短く、柿市の気迫を押し返せぬままタイムアップ。この試合も引き分けに終わり、2戦を経ていまだ双方に得点は生まれず。

第3試合は国士舘の中堅藤永龍太郎が左、山口隆乃が右組みのケンカ四つ。山口は右背負投、藤永が左内股を繰り出しての攻め合いが続き、残り37秒で山口が右背負投を2連発。しかし藤永これをいったん受け止めて釣り手を腰に回し、背を抱く形で得意の左内股。山口低空で一回転「一本」。

藤永は続いて四日市中央工のエース弓矢健輔とマッチアップ。この試合もケンカ四つ、藤永は釣り手で横襟を掴んで、あるいは背中を掴んでの左内股で積極的に攻める。弓矢良いタイミングの右内股で獲りに掛かるが、藤永はこれも左内股に切り返し、双方がケンケンをする形で「待て」。試合はそのまま最終盤、藤永に分のある展開もどうやら引き分けが見え始めた印象だが、残り13秒で藤永が左体落。これまでの内股中心の攻撃から一転したこの技に弓矢不覚を取り、背中から畳に落ちて「一本」。藤永はこれで2人抜き達成、スコアは国士舘の2人差リードとなる。

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第5試合、四日市中央工の大将伊藤栄都が藤永龍太郎を攻め、僅差の優勢勝ちで一矢を報いる。

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長谷川碧が伊藤と引き分け、国士舘がスコア一人残しで勝利決定。

第5試合は畳に残った藤永が左、四日市中央工の大将伊藤栄都が右組みの、これもケンカ四つ。伊藤は腰を寄せながら右内股に右大内刈と迫力の攻め。藤永その右大腰をかわしての巧みな送足払を見せるが、伊藤は巴投に一本背負投も見せてこれが3試合目の藤永の技巧を技と体力で塗りつぶす。終盤に差し掛かり藤永に「指導」。伊藤が一本背負投から体ごと抜けて藤永の腕を「後ろ手」に摑まえる絶好のチャンスを得るが抑え切れず、残り36秒で「待て」。どうやら引き分けが見え始めたが伊藤は攻めのペースを落とさず、残り10秒ついに藤永に2つ目の「指導」。伊藤、意地の僅差優勢勝ちで藤永を抜き返し、スコアは再び1人差となる

しかし国士舘は副将長谷川碧が出動し、大過なく伊藤と引き分け。ここで四日市中央工は戦力が尽き、スコア一人残しで国士館の勝利が決まった。

国士舘の出来は、まずまず。藤永の連勝をテコとして、傾けるリソースを最小限に、ほぼ順行運転でベスト8の権利を得た。ただし、決して良いというわけではなかった。鈴木が手堅く引き分けもチームの加速スイッチになるレベルまでは働き切れず、今大会初出場の主戦道下は「抑え込み」の宣告を聞きながら取り逃した上に引き分け、この試合ただ1人得点を挙げた藤永は2人を抜く活躍も殿戦を引き分けでまとめきれない不首尾、さらに長谷川が手堅く引き分けもこれまでの走り切れない展開の雲を払うような良い勝ちぶりまでは見られず、と不足を言い出せば多々あり。特に藤永の1敗は頂けなかった。ただいずれもチームの屋台骨を揺るがすような致命的なミスではなく、畳上の雰囲気もスコアに比すれば不思議と悪くない。ざっくり言って、まだチームが走り始めていないという印象。満点ではないが落第でもない、この先どちらの方向に振れてもおかしくないところと見受けられた。登録6人のうち斉藤以外の全員が畳に上がった、これ以降をどう戦っていくかが勝負である。

桐蔭学園高(神奈川)○三人残し△つくば秀英高(茨城)
(先)山本成寿×引分×小林煕海(先)
(次)中野智博〇腕挫十字固(1:19)△窪田魅空斗(次)
(次)中野智博〇合技[小外刈・内股](2:27)△小林朝海(中)
(次)中野智博△優勢[僅差]〇旭征哉(副)
(中)安藤健志〇優勢[技有・隅落]△旭征哉(副)
(中)安藤健志〇優勢[技有・隅落]△村岡英哉(大)
(副)町方昂暉
(大)持田龍己

桐蔭学園が快勝。この試合が勝負どころと見たか、エースの中野智博を次鋒に、ポイントゲッターの安藤健志を中堅にと得点が期待できる2人をまとめて前衛に派遣。これが、抜き役の旭征哉と村岡英哉を後衛2ポジションに鎮座させたつくば秀英の陣形に、結果的としては見事に噛み合った。

先鋒戦は引き分け。続く第2試合は複数枚抜き必須の使命を帯びた中野が良く自身の仕事を弁え、1分19秒という早業で窪田魅空斗から腕挫十字固「一本」。第3試合もケンカ四つの小林朝海を相手に36秒左小外刈「技有」を奪い、その後も攻めを緩めず1分6秒には消極的の「指導」を追加。残り33秒、トドメの左内股「技有」を得て合技の一本勝ちを決めて2人抜きを果たす。

第4試合は畳に残った中野に、つくば秀英のエース旭征哉がマッチアップ。中野は既にこれが3試合目、軽量ながら攻撃型の旭は試合を落ち着かせることを許さず左相四つの中野を攻め続け、1分33秒中野に消極的の咎による「指導1」。中野がこのまま引き分けで逃げ切れば桐蔭学園の勝利ほぼ確定という情勢だが、中野は残り20秒で痛恨の掛け潰れ。偽装攻撃で2つ目の「指導」が与えられ、この試合は旭の僅差による優勢勝ちとなる。

ここがこの試合もっともつくば秀英に勝機が振れた時間帯。桐蔭学園はここから3枚を残すがポイントゲッターの数で言えば次戦畳に上がる安藤健志1枚のみ、一方のつくば秀英は畳に残る旭に大将の村岡英哉と2枚がいまだ健在だ。もし安藤が敗れれば勝敗の展望極めて暗し、もし引き分けでも残る村岡を先手攻撃に難のある町方昂暉と1年生の持田龍己の2枚でなんとか止めねばならない綱渡りが待っている。

しかしここは安藤が踏ん張った。ケンカ四つの旭を相手に攻め続け2分2秒消極的との咎で「指導」、2分18秒に場外の「指導2」をもぎ取って足元を固めると、残り12秒一発逆転を狙った旭の一撃を待ち構え、隅落で「技有」追加。殊勲の優勢勝ちで再びスコアを2人差リードに戻す。

安藤は続く大将村岡に対しても冷静に試合を展開。ケンカ四つの相手をしっかり捌き、もはや一発仕掛けるしかない村岡の技をよく見極め1分18秒決定的な隅落「技有」確保。残り5秒で偽装攻撃の「指導1」を貰ったもののこのままタイムアップを迎え、2人抜きで一気に試合を終わらせてしまった。

先行逃げ切りが桐蔭学園のプラン。その要諦は中野が複数枚を抜いた上で副将旭までを消す、というところにあったはずだが、最後の詰めを欠いたその瑕疵を安藤が収拾。どころか2人抜きという最高の結果でチームを勝利に導いた。スコアは三人残しという大差であったが、安藤の活躍なくばスコアが詰まったどころかつくば秀英勝利という帰結すら十分あり得た試合。前代からレギュラーを務めた安藤が、今シーズンもっともチームに貢献した一番となった。

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第3試合、作陽の嵐大地が江藤蓮を攻める

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副将戦、作陽の丸鳩紹雲が払巻込も横山景一は揺るがず

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大将対決、高橋翼が背中を抱き込み、居村大輝が左背負投で圧力を逃がす

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高橋が居村の左背負投を捕まえ返し「一本」

【Bブロック】

作陽高(岡山)○一人残し△長崎南山高(長崎)
(先)半田壮△両者反則△西垣拓磨(先)
(次)榎本開斗×引分×山口音葉(次)
(中)嵐大地×引分×江藤蓮(中)
(副)丸鳩紹雲×引分×横山景一(副)
(大)高橋翼〇隅落(1:52)△居村大輝(大)

スコア上は接戦もエース髙橋翼の保有を以て作陽が手堅く勝ち抜け。半田壮が個人戦81kg級3位の西垣拓磨を相手に両者反則負けに持ち込んだ第1試合、次鋒榎本拓斗が体重105キロの山口音葉と引き分けた前衛2枚の潰し合いを経て、作陽は主力ブロック一の矢・嵐大地が登場。しかし右相四つで体格のある江藤蓮から残り26秒偽装攻撃の「指導1」を得たのみでこの第3試合も引き分け。第4試合は今大会初登場の巨漢・丸鳩紹雲の前に長崎県個人無差別代表横山景一が奮闘。細かく動いて丸鳩に手先を出させてはその袖を捕まえ、支釣込足で蹴り崩して機を伺う。やや焦った丸鳩明らかに待ち構えている横山に対し右内股巻込に潰れ、横山隅落を狙って「待て」。丸鳩は膝の負傷もあってか、動きに招待試合シリーズの冴えがない。横山自信を得て2分7秒には斜めから大内刈をねじ込んで丸鳩を伏せさせ、続いて襲った丸鳩の奥襟圧力もまっすぐ背筋を伸ばし、引き手で腋を突いて耐え切る。結局この試合も引き分けに終わり、試合は大将同士の対決へ持ち込まれることとなった。

大将対決は個人無差別王者の高橋翼が右、居村大輝が左組みのケンカ四つ。高橋は相手を体ごと呑み込むかのように釣り手で背中を抱き込む力勝負、居村は左背負投に潰れてこれを流す。高橋は引き手で襟、釣り手で背中を抱えて股中に落とす左体落、さらに左小外刈と攻めるが詰め切れず、主審は59秒双方に消極的との咎で「指導」。

高橋は表情を変えずに背中を掴み、右大外刈から左小外刈に繋いで居村を伏せさせると、背中について2度ローリング。3度目で首に手を掛けて上体に登ろうとするが居村が耐え切り「待て」。この時点で残り時間は1分28秒。

高橋以後も粛々抱き込みを続け、1分52秒に出足払。ここで悪い形に我慢できなくなった居村が左背負投に打って出ると待ってましたとばかりに抱き止め、裏側に落とし返して「一本」。試合時間1分52秒、ついに生まれたこの先制点と同時に試合は終了。

接戦が売りの作陽らしい試合。エース髙橋の力を信じて前半4試合を耐え抜き、高橋が期待に応えて試合を決めた。スコアは一人残し、作陽が強豪長崎南山を下してベスト8入り。

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次鋒同士の対決、沖縄尚学の屋田継心が飯田空翔から払巻込「技有」。

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北條嘉人が山里健太に左内股、山里体側から畳に落ちるが審判団は「技有」を取らず

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木更津総合の大将金澤聡瑠が沖縄尚学の大将三浦大樹から支釣込足「技有」

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大将対決、金澤が比嘉大翔から小外掛「一本」。

木更津総合高(千葉)○一人残し△沖縄尚学高(沖縄)
(先)唯野己哲×引分×金城嘉生(先)
(次)飯田空翔△優勢[技有・払巻込]〇屋田継心(次)
(中)稲邉嵩斗×引分×屋田継心(次)
(副)北條嘉人×引分×山里健太(中)
(大)金澤聡瑠〇合技[支釣込足・小外掛](1:50)△三浦大樹(副)
(大)金澤聡瑠〇小外掛(0:40)△比嘉大翔(大)

先鋒戦は唯野己哲、金城嘉生ともに右組みの相四つ。唯野が担ぎ技から寝技に繋ぐ得意のパターンで積極的に攻めるも、金城も要所で技を出して譲らず。中盤、唯野が相手の左一本背負投の伏せ際に「ボーアンドアローチョーク」を狙い惜しい場面を作るが、首の掛かりが甘く決め切るには至らず。結局この試合は引き分けに終わる。

次鋒同士の対決は飯田空翔と屋田継心ともに左組みの相四つ。序盤は飯田が組み勝って優位、しかし左大内刈で場外際まで追った際に軸足が付いて来ず、膝をついたところに屋田が左払巻込を合わせて「技有」獲得。以降は一転試合は屋田のペース。大外刈の打ち合いからあるいはポイントかと思われる良い投げを放って、さらに後袈裟固に飯田を捉えて一度は「抑え込み」の声も聞く。しかし飯田気持ちを立て直して「一本」だけは譲らず、しぶとく畳に居残ってタイムアップを迎える。この試合は屋田の優勢勝ち、先制点は沖縄尚学の手に落ちる。

続く第3試合、木更津総合は中堅稲邉嵩斗が出動するが、前戦の疲れが残る屋田継心を攻めきれず引き分け。沖縄尚学の1人差リードは継続。

続いて木更津総合の中核・副将北條嘉人が畳に登場。北條は左、山里健太は右組みのケンカ四つ。となれば脇を差しての一発勝負に手が届きやすいはずだが、北條はこの試合でもほとんど脇を差さず、体格差のある相手に対し内側に入れた釣り手でしっかり突く丁寧な柔道を展開。足技、担ぎ技で相手を崩しては寝技で攻めて主導権を獲る。中盤に左内股で相手を体側から落としてあるいは「技有」かという場面があったものの、審判団これはスルー。山里は上体、下半身いずれも側面から着地し、北條はアフターで腹ばいにならんとした山里を体を乗り込ませて捲り返してしっかりフォロー。「技有」が妥当な一撃であった。以降チャンスは訪れず、北條としては悔しい結末でこの試合は引き分け。木更津総合は1人差のビハインドで大将の金澤聡瑠が登場することとなる。

迎えた第5試合はその金澤が沖縄尚学の副将三浦大樹に一方的な内容で勝利。まず時計回りの支釣込足で「技有」を先行、さらに右小外掛「技有」を追加して、1分50秒合技の一本勝ち。これまでの接戦が嘘のよう、あっという間に盤面はタイに戻る。

金澤は自信満々、続く大将対決も比嘉大翔に柔道をさせず、表情を変えぬまま自信満々の進退。40秒には場外際で右小外刈を押し込み完璧な「一本」。木更津総合、金澤のまさしく大黒柱というべき活躍でベスト8へと名乗りをあげた。

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中堅同士の対決、服部大喜が佐々木健翔の内股を透かし、時計回りに腰を切って投げつけ「一本」。

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服部は竹村虎之を得意の縦四方固「一本」に仕留めて2人抜き。

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大将対決は服部が大竹龍之介を裏投「一本」、服部の3人抜きで大牟田の勝利が決まった。

【Cブロック】

大牟田高(福岡)○三人残し△大成高(愛知)
(先)久保田皓晴×引分×三浦啓瑚(先)
(次)石本慎太郎×引分×小林大輝(次)
(中)服部大喜〇内股透(1:35)△佐々木健翔(中)
(中)服部大喜〇縦四方固(0:48)△竹村虎之(副)
(中)服部大喜〇裏投(2:54)△大竹龍之助(大)
(副)森健心
(大)竹市大祐

前戦大苦戦の第2シード校・大牟田に、2回戦で天理との大熱戦を制して意気揚がる大成が挑戦。大牟田はこの試合から期待の1年生石本慎太郎を投入して決戦メンバー確定。前日に5試合、前戦でも2試合を戦っている竹市大祐を大将にいったん下げ、森と竹市のエース2枚で後衛を固める形で布陣した。大成は佐々木健翔を中堅、大竹龍之介を大将と攻撃の核を中盤以降にセパレート配置して大牟田の戦力の分断を図る。

久保田皓晴と三浦啓瑚の先鋒戦、石本慎太郎と小林大輝による次鋒対決と前衛の2試合はいずれも引き分け。大成はここから得点ブロックが始まるわけだが、その眼前に前戦の殊勲者である大牟田の中堅服部大喜が立ちはだかる。服部は佐々木健翔を1分35秒の内股透「一本」、竹村虎之を僅か48秒得意の縦四方固「一本」と、2分強で2人を抜き去り勝敗の行方をほぼ確定させてしまう。大成は大将の大竹龍之介が一矢報いんと右袖釣込腰に左内股と気風の良い技を見せて激しく抵抗するが、服部はあくまで貪欲。残り6秒裏投「一本」を決め、オール一本勝ちで3人抜き確定。大牟田、この試合は隙を見せずに三人残しの圧勝。ぶじベスト8への勝ち上がりを決めた。

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田村は1人差ビハインドで登場した副将鈴木直登が飯田恒星から内股「技有」

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鈴木は小外掛「一本」も追加して勝利、ここで田村がタイスコアに追いつく。

崇徳高(広島)○一人残し△田村高(福島)
(先)毛利允弥〇優勢[僅差]△田邉夢叶(先)
(先)毛利允弥×引分×片山雄心(次)
(次)徳持英隼×引分×橋本健太(中)
(中)飯田恒星△小外掛(2:46)〇鈴木直登(副)
(副)福本佑樹〇横四方固(2:14)△鈴木直登(副)
(副)福本佑樹△裏投 (1:41)〇佐井川陽舜(大)
(大)福永夏生〇内股(0:20)△佐井川陽舜(大)

大会1ヶ月前に行われた魁春旗大会(七人制)では田村が3-1で勝利しているカード。競り合い必至、3回戦随一の注目カードだ。

先鋒戦は毛利允弥と田邉夢叶ともに左組みの相四つ。似たタイプの選手による対戦だが、この試合は毛利が担ぎ技を中心に良く攻めて「指導2」の僅差優勢で勝利を収める。前述の魁春旗でも先鋒戦でこの2人がかち合い、その際の結果は引き分けであった。崇徳には大きな1点、一方の田村は斬り込み役・田邊の失点は想定していなかったはずで、以後の展望いきなり苦しくなってしまう。1試合目にしてこの試合のもっとも大きなターニングポイントであった。

畳に残った毛利は田村の次鋒片山雄心と手堅く引き分け。続く第3試合は徳持英隼が橋本健太とこれもしっかり引き分け、3戦を消化して崇徳の1人差リードは継続。

第4試合は田村の副将に座るエース鈴木直登が崇徳の中堅・飯田恒星とマッチアップ。試合は終盤までノースコアで推移するが、鈴木が内腿を固定する形の右内股で飯田を引っこ抜いてついに「技有」確保。残り14秒には逆転を狙って間合いを詰めて来た飯田を呼び込み、小外掛「一本」も追加した。鈴木が1人を抜き返し、これでスコアはタイとなる。

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副将対決、崇徳の福本佑樹は鈴木の背負投を空転させて先回り

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福本がそのまま抑え込んで「一本」。崇徳が再びリード。

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田村は大将佐井川陽舜の裏投「一本」で食らいつき、スコアをタイに戻す

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崇徳の大将福永夏生があっという間の内股「一本」

副将同士による第5試合は畳に残った田村・鈴木、崇徳の福本佑樹ともに右組みの相四つ。田村としてはこの鈴木と、崇徳の大将に座る福永夏生の一騎打ちで雌雄を決したいはずで、この試合が先鋒戦に続く第2の勝負どころ。

開始早々、鈴木は相手の左脇に食らいついて裏投を狙う。必殺の間合いまであと一歩のところまで侵入するが、ここで拘束が弱まり右大内刈で凌がれて「待て」。鈴木は続く展開でも一気の決着を狙って強引に裏投を狙うが、今度は同体で倒れて不発。とはいえ、試合は大枠の鈴木優位で推移する。しかし残り1分、鈴木が低い背負投を仕掛けると福本がクルリと先回り。投げの動作を続けて伸びあがる鈴木の体は空転、福本は技の流れのまま捲り返して横四方固で抑え込む。まさかの展開、鈴木は動けず福本殊勲の「一本」。試合時間は2分14秒、これで再び崇徳がリード。

田村の大将佐井川陽舜が畳に上がった第6試合は福本が右、佐井川が左組みのケンカ四つ。佐井川は圧を掛けて場外際まで追い込み、苦しくなった福本が仕掛けた右内股の戻り際に横落を見舞う。福本背中から勢い良く吹き飛び「技有」。「一本」級の強烈な一撃であった。佐井川は以後も攻めの手を緩めず、脇を差して裏投を狙い続ける。一度は福本が右内股の掛け潰れで凌いだものの、1分41秒についにこれが決まって豪快「一本」。

鈴木の敗北で一度は勝負の趨勢見えたかに思われたが、佐井川が抜き返したことで試合はわからなくなった。田村としては次の試合で佐井川が崇徳の大将福永夏生を消耗させるだけ消耗させて、代表戦で2試合ぶんの休息を経た鈴木にもうひと勝負させたいところ。

しかし続く第7試合は福永が格の違いを見せつける。佐井川はケンカ四つの福永に対し脇を差した得意の形で技を誘うが、福永は敢えてこれに乗って真っ向から右内股。その威力にたまらず佐井川吹っ飛び、20秒「一本」。

リードを背に手堅く試合を進め、抜き返しで消耗した田村を最後は大将福永の個の力で突き放す。スコア上は揉めた試合であるが、勝負どころの試合を全て獲った崇徳の完勝であった。

田村はシード級の戦力を揃えながら、組み合わせに泣く形でベスト16敗退。地方の有力チームはここから夏までの間に中央の強豪に突き放されることが多いのだが、ぜひもうひと伸び、しっかり成長して夏に備えてもらいたい。

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北海の次鋒杉本将一朗が日体大荏原の先鋒島本真司郎から内股「一本」

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杉本は続く藤原秀奨からも「指導」2つをもぎ取る

【Dブロック】

日体荏原高(東京)○二人残し△北海高(北海道)
(先)島本真司郎〇優勢[技有・帯取返]△竹下徹(先)
(先)島本真司郎△内股(2:08)〇杉本将一朗(次)
(次)藤原秀奨△優勢[僅差]〇杉本将一朗(次)
(中)山城和也〇横四方固(1:23)△杉本将一朗(次)
(中)山城和也〇内股(3:00)△門脇来成(中)
(中)山城和也△合技[払巻込・背負投](2:12)〇高階裕斗(副)
(副)平山才稀〇釣込腰(1:54)△高階裕斗(副)
(副)平山才稀〇裏投(1:01)△丸山弘貴(大)
(大)グリーンカラニ海斗

日体大荏原は前戦で大活躍の1年生海堀陽弥をいったん下げ、先鋒に島本真司郎を投入して布陣。先鋒戦ではその島本が「指導1」リードの残り2秒、竹下徹から帯取返「技有」を得て執念の先制。しかし北海は次鋒を務める81kg級の好選手杉本将一朗がケンカ四つの島本を粛々追い詰め、1分3秒に片手の「指導」、1分32秒に消極的「指導」と次々反則ポイントを奪取。2分8秒には左内股で「一本」を奪う完勝で、スコアをタイに戻す。

杉本は続く藤原秀奨との第3試合も、1分38秒、2分18秒と立て続けに「指導」を奪って僅差優勢で2人抜き。日体大荏原としては島本の1勝1敗までは想定としてありえる範囲内であったかと思われるが、前戦に続く藤原秀奨の不調はおそらく計算外。3戦を消化してスコアは北海の1人差リード。北海はエース杉本で前半リードというプランが上手く嵌っている格好。

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中堅同士の対決は日体大荏原の山城和也が門脇来成から内股「一本」

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副将対決、平山才稀が高階裕斗から左への浮落でまず「技有」

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平山は釣込腰「一本」も追加、この試合で勝敗はほぼ決した

しかし続いて畳に上がった日体大荏原の中堅山城和也は巴投をきっかけにこれが3戦目となって疲労が出始めた杉本を横四方固に捉え、1分23秒「一本」。これでスコアをタイに戻し、続く中堅門脇来成からも52秒に場外の咎で、2分26秒には消極的との判断で2つの「指導」をもぎ取る。残り0秒、トドメの左内股一撃「一本」で2人抜き達成。日体大荏原は5戦消化のこの時点でようやく1人差のリードを取り戻す。

しかし山城も無事に畳から戻れず。北海の副将高階裕斗は左相四つの山城から試合が始まるなり払巻込で「技有」奪取。以後も疲労の見える山城を攻め続け、1分20秒には消極的の「指導」追加、そして残り48秒に仕上げの左背負投「技有」を得て試合を決めた。合技の一本勝ちでスコアは再びタイである。

ここから日体大荏原は平山才稀とグリーンカラニ海斗という不動のエースブロック。平山は畳に残った高階から1分2秒に偽装攻撃の「指導」を得ると、続く展開の1分34秒に相手の左小外掛を透かして捩じり倒し浮落「技有」奪取。間を置かず1分54秒には右釣込腰で見事「一本」。

平山は落ち着き払った進退。続く大将丸山弘貴も早々に裏投「一本」で退けて2人抜き。ここで試合は終了となり、日体大荏原がスコア二人残しでベスト8入りを決めた。

北海は大人しい試合ぶりであった招待試合シリーズから一転、これぞ北海道代表という骨の太い戦いぶり。夏に大いに期待を持たせた。

日体大荏原、後衛2枚はやはり安定感あり。しかし、今シーズン斬り込み役として存分に働いてきた藤原が2戦を戦って1敗1分けと乗り切れないのは不安材料。海堀の成長で目途が立ったかに思われたが、藤原が働けないとなれば総体戦力は一気に減じる。順風満帆とはいかない、どちらかというと「結果オーライ」のここまでの2試合であった。

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次鋒対決、残り8秒で白鴎大足利の木村力也が柏野亮太から内股「技有」奪回。これで引き分けをもぎ取る

東海大仰星高(大阪)○一人残し△白鴎大足利高(栃木)
(先)朝田隼△背負投(0:58)○木村力也(先)
(次)柏野亮太○反則[指導3](2:22)△木村力也(先)
(次)柏野亮太×引分×津端洸(次)
(中)嘉村悦王×引分×岡崎竜丸(中)
(副)本原颯人△優勢[技有]○杉之内暁(副)
(大)中村雄太○反則[指導3](2:07)△杉之内暁(副)
(大)中村雄太○合技(2:29)△澤口宗志(大)

戦力的には東海大仰星が上と目されていた一番だが、白鴎大足利の面々には採るべき作戦が実によく染み通っており、理想的な試合運び。試合は揉めた。

先鋒戦は東海大仰星の朝田隼が右、木村力也が左組みのケンカ四つ。朝田は73kg級、木村が66kg級の軽量対決である。朝田が右内股を連発して試合を引っ張るが、2分2秒に木村が打点の高い左背負投一撃、これが見事決まって「一本」。まず先制点、出来得れば鮮烈な一撃を見舞って空気を変えてしまうのが格上相手の戦いの理想。白鴎大足利は最高の滑り出しである。

続く第2試合は東海大仰星の前衛の核である柏野亮太が畳に残った木村と対峙。33秒双方に「取り組まない」咎で「指導」が与えられるが、以後柏野は割り切って圧力勝負。体格差のある相四つということもあってこれは効き、しかし木村が粘るという構図で試合が進み、1分42秒木村に「指導2」、2分22秒「指導3」と反則が積み重なって試合終了。この柏野の勝利でスコアはタイに戻る。

第3試合は畳に残った柏野に、白鴎大足利の次鋒津端洸がマッチアップ。津端は思い切った内股で攻め、1分30秒には柏野の左大外刈を裏投に捉えて投げ掛け、試合展開を掌握。1分48秒には柏野に偽装攻撃の咎で「指導」が与えられる。しかし直後の2分7秒に情勢一変、勢いに乗る津幡の内股を柏野が返して値千金の「技有」獲得。しかしビハインドの津端はここを落としては試合全体の勝敗に関わるとばかりに覚悟の猛攻。場外際での右内股から送足払と繋いであわやという場面を作り出し、ついに残り8秒、右内股をねじ込んで「技有」奪回に成功する。津幡の執念の一撃でこの試合は引き分けとなり、タイスコア継続のまま試合は中堅同士の対戦へ。

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白鴎大足利の副将杉之内暁が東海大仰星の副将本原颯人を攻める

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東海大仰星の大将中村雄太が畳に残った杉之内を圧倒

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大将同士の大一番、中村雄太が澤口宗志から大内刈「技有」

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中村は大内返「技有」も追加して一本勝ち。東海大仰星がベスト8に名乗りをあげた。

第4試合は嘉村悦王と岡崎竜丸ともに右組みの相四つ。岡崎は袖釣込腰で先制攻撃、嘉村は片襟の右背負投に足技を絡めて迫るが、岡崎は都度右一本背負投に切り返して譲らず。嘉村片手技に活路を見出して終盤に展開を取り掛けるが、ならばと岡崎は残り18秒に肩車、あわやポイントという場面を作り出して拮抗を保ったまま終戦。双方譲らずこの試合は引き分けに終わった。

ここからは東海大仰星が本原颯人と中村雄太、白鴎大足利が杉之内暁と澤口宗志とともにエース級2枚が続けて座る得点ブロック。双方タイスコアのままこの決戦ステージまで辿り着いたということになる。中村が体格、そして実力的にこの4人の中ではもっとも絶対値が上の大駒。白鴎大足利としては出来得れば2枚を続けて中村に当て、大物食い属性のある二の矢の澤口で勝負を掛けたいところ。

副将対決は81kg級の本原颯人が右、体重95kgの杉之内暁が左組みのケンカ四つ。杉之内が35秒、場外際の左大内刈で本原を転がす。合議が招集され、映像チェックの結果これに「技有」が宣告されて杉之内が先制ポイント奪取。本原奮起して背負投を中心に攻め立て、崩せば素早く片手絞を狙って間断なくプレッシャーをかける。1分19秒引き手争いに陥った両者に片手の咎で「指導」。ここから本原が加速、組み勝っては右背負投を放ち、背中に乗った相手を逆側に抜け落とすことを続け1分51秒杉之内に2つ目の「指導」。以後も本原はこの技を3度、4度と打ち続けるが杉之内必死に粘り、このまま3分間が終了。この試合は杉之内の「技有」優勢による勝利に終わり、白鴎大足利が土壇場で1人差をリード。目論見通りリードを得たまま本丸・中村雄太を引きずり出す。

続く試合は身長184センチ体重125キロの中村が右、畳に残る杉之内が左組みのケンカ四つ。中村右大内刈で杉之内を場外に弾き出し、体落で腹ばいに落とす。直後の59秒のは杉之内に消極の「指導」。奮起した杉之内は右一本背負投を見せて攻め返すが、引き手争いが噛み合わず1分25秒には「取り組まない」咎で2つ目の「指導」も失う。それでも一太刀浴びせんと杉之内は迫力の攻め、脇を差しての突進を試みるが中村落ち着いて押しとどめると大きく煽っての右大内刈一撃。これはポイントにはならなかったが、主審中村の攻勢を認めて直後の2分29秒には杉之内に3つ目の「指導」を宣告。杉之内の反則負けで試合が終わり、これでスコアはタイ。いよいよ勝負は大将同士の対決に委ねられることとなる。

畳で対峙するは両軍のエース同士、中村雄太が右、81kg級の勝負師澤口宗志が左組みのケンカ四つ。引き手争いの意図噛み合わず、24秒両者に「取り組まない」咎による「指導」。これを受けた中村は巧者澤口に付き合い過ぎてはならじと両襟をガッチリ確保、53秒右大内刈を叩き入れて「技有」奪取。スコアだけで見れば決定的なリードだが、互いの防壁を壊しやすい「体格差のあるケンカ四つ」ということで以後も試合の推移には緊張感あり。澤口が左小外刈で攻め込み、中村が右大内刈で応じる展開が続くが、1分53秒中村に片手の咎で「指導2」が与えられて状況は一気に煮詰まる。理屈上はあと1つの「指導」、たとえ両者への「指導」であっても澤口の逆転勝利が決まる。

澤口勢いを得て左内股、さらに残り40秒で乾坤一擲の大勝負、組み際に一気に間合いを詰めての左大内刈に打って出る。しかし待ち構えた中村、これを大内返に切り返し劇的「技有」奪取。結果、合技「一本」で試合決着。スコア一人残しで東海大仰星がベスト8に名乗りをあげることとなった。

東海大仰星は、中村雄太の得点力をテコにシード校にふさわしい戦い。中村は自ら試合を作って獲れるタイプの重量級選手で、続く日体大荏原との対戦は非常に楽しみ。

前代インターハイで3位に食い込んだ白鴎大足利、今年は例年よりチームの仕上がりが早い印象。攻めるべきときに攻め、肚を括るべきときにしっかり勝負を掛けるその戦いは新人戦期としては出色の、練れたものだった。杉之内と澤口のエース2枚は「飛び道具」的な色気のある面白い選手でこれも期待が持てる。仕上げのノウハウが確立されつつある模様のこのチームがどこまで伸びるか、次に姿を見るときを楽しみに待ちたい。

結果決まった準々決勝カードはシード8校の争い。

国士館高(東京) - 桐蔭学園高(神奈川)
作陽高(岡山) - 木更津総合高(千葉)
大牟田高(福岡) - 崇徳高(広島)
日体大荏原高(東京) - 東海大仰星高

となった。

※ eJudoメルマガ版4月4日掲載記事より転載・編集しています。

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