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第41回全国高等学校柔道選手権大会・女子個人戦5階級マッチレポート

(2019年3月29日)

※ eJudoメルマガ版3月29日掲載記事より転載・編集しています。
第41回全国高等学校柔道選手権大会・女子個人戦5階級マッチレポート
48kg級、52kg級、57kg級、63kg級、無差別
取材・文:原輝地/eJudo編集部
撮影:乾晋也・辺見真也

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■ 48㎏級・本命不在のトーナメントを吉岡光が制す、決勝は中馬梨歩を絞め落とす劇的決着
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48kg級準決勝、吉岡光(八千代高)が吉本萌乃(佐賀工高)を袖釣込腰「一本」で下す

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優勝候補の中馬梨歩(国分中央高)が決勝の畳へと上がる

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決勝、吉岡光が中馬梨歩を「腰絞め」で絞め落とす。

優勝候補筆頭の古賀若菜が欠場となったトーナメントを勝ち上がったのは、全日本カデ44kg級2位の吉岡光(千葉・八千代高)とこの階級の全日本ジュニア3位中馬梨歩(鹿児島・国分中央高)の二名。

1年生の吉岡は初戦となった2回戦で野﨑偉万里(滋賀・比叡山高)をGS僅差(GS1:58)で下すと、3回戦では佐々木愛(奈良・天理高)に背負投「一本」(0:07)で快勝。準々決勝も千葉美月(宮城・東北高)を「技有」優勢で破り、迎えた準決勝では、古賀不在の山を勝ち上がった吉本萌乃(佐賀・佐賀工高)との担ぎ合いを袖釣込腰「一本」(1:08)で制して決勝へと駒を進めた。

一方、古賀の欠場により一気に優勝への機運が高まった中馬もシードで2回戦からのスタート。緒戦は吉永繭(静岡・藤枝順心高)を背負投「一本」(1:35)で下し好スタートを切ると、松本朱音(秋田・大曲農高)との3回戦は僅差による優勢で手堅く乗り切り、準々決勝では市原遥(岐阜・鶯谷高)を合技「一本」(1:14)で破り再加速。準決勝でも西村瑞穂(京都・立命館宇治高)を一方的に攻めて「指導」3つを奪って快勝(2:44)、見事決勝進出を決めた。

【決勝】

吉岡光○GS片手絞(GS2:23)△中馬梨歩

吉岡、中馬ともに左組みの相四つ。序盤から試合の主導権を握るのは中馬、絞り合いから先んじて鋭い左右の袖釣込腰、加えて組み際に片襟からの左大内刈と左右の背負投の連携も組み際に繰り出し、まさに電光石火の技出し。相手が伏せると「腹包み」から抑え込みを狙い、息もつかせぬ波状攻撃で吉岡を攻め込む。1分4秒には吉岡に消極的の咎で「指導1」。

中馬はさらに技出しのペースを上げるがやや急ぎ過ぎの感あり。1分40秒、吉岡の高く握った釣り手を両手で抑えながら繰り出した左体落は明らかに回転不足で防がれてしまい、この中馬の技に偽装攻撃による「指導1」が与えられる。これでスコアは「指導」の累積が1つずつのタイ。中馬はペースを落とさず攻撃、吉岡も時折左右の鋭い小内刈と左右の袖釣込腰で対抗するが、中馬の圧倒的手数に塗りつぶされてしまっている印象。中馬にとっては自らの波状攻撃でいつ相手の堤が決壊するか、一方の吉岡にとっては中馬の動きが鈍るまで決定機を与えずやり過ごせるか、双方我慢比べの様相である。

その後も大枠の展開変わらず本戦は終了、勝負はGS延長戦へと突入する。延長戦に入ると、中馬に消耗が色濃く見え始め、それに比例して吉岡が組み手二つを確保する時間が増える。中馬それでも粘り強く組み際に左右の担ぎ技を打ち込むが完全に吉岡に仕掛けを見切られて不発。どころか回転が中途半端になったところに左大内刈、あるいは片手絞を合わせられ、逆に反撃の起点を与えてしまう。そして迎えたGS2分、吉岡は左小内刈で中馬を伏せさせると、そのまま釣り手を中馬の首に掛けて「腰絞め」に移行。中馬は必死に耐えるが、主審が「待て」を掛けた時には既に意識はなく身体は完全に脱力状態。主審が「一本」を宣告して熱戦決着。試合時間は5分23秒、吉岡が我慢に我慢を重ねて得た決定機を過たず決め切り、見事高校選手権初優勝を果たした。

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48kg級優勝の吉岡光

【入賞者】
優 勝:吉岡光(千葉・八千代高)
準優勝:中馬梨歩(鹿児島・市立国分中央高)
第三位:吉本萌乃(佐賀・佐賀工高)、西村瑞穂(京都・立命館宇治高)
第五位:関くるみ(栃木・作新学院高)、千葉美月(宮城・東北高)、市原遥(岐阜・鶯谷高)、髙野麻衣(熊本・熊本西高)

吉岡光選手のコメント
「毎回試合ではテンパってしまうので、今回はひとつひとつ確実に戦うことを心掛けました。きつくなっても、応援してくれる皆のことを考えて頑張れました。」

【準々決勝】
吉本萌乃○袖釣込腰(0:47)△関くるみ
吉岡光○優勢[技有]△千葉美月
中馬梨歩○合技(1:14)△市原遥
西村瑞穂○優勢[僅差]△髙野麻衣

【準決勝】
吉岡光○袖釣込腰(1:08)△吉本萌乃
中馬梨歩○反則[指導3](2:44)△西村瑞穂

【決勝】
吉岡光○GS片手絞(GS2:23)△中馬梨歩

■ 52㎏級・白石響が初優勝、藤城心との本命対決を制す
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52kg級準決勝、藤城心(富士学苑高)が川田歩実(修徳高)を後袈裟固で抑え込み一本勝ち。

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準々決勝、白石響(熊本西高)が吉田涼(沖縄尚学高)を寝技で攻める。

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決勝、GS延長戦の末、白石響が藤城心から一本背負投「技有」を奪い優勝を決める。

この階級は昨年度大会3位入賞の第1シード・藤城心(山梨・富士学苑高)とインターハイ48kg級2位の第2シード・白石響(熊本・熊本西高)の優勝候補二人が順当に決勝に勝ち進んだ。

藤城の勝ち上がりは安定感抜群。初戦となった2回戦で足立光(滋賀・比叡山高)を「技有」優勢、3回戦で野上莉来奈(宮城・東北高)に崩袈裟固「一本」(2:50)、準々決勝で新部梨花(群馬・高崎健康大高崎高)に縦四方固「一本」(1:07)、準決勝で川田歩実(東京・修徳高)に後袈裟固「一本」(1:26)と得意の寝技を駆使して危なげなく決勝進出決定。

対する白石は、初戦で宮里綾萌(鹿児島・鹿児島南高)に合技「一本」(1:04)で快勝も、続く3回戦では百田久佳(静岡・藤枝順心高)にGS僅差(GS2:04)、準々決勝では吉田涼(沖縄・沖縄尚学高)にGS反則(GS0:39)、準決勝は前川夏海(福井・福井工大福井高)にGS横四方固(GS1:05)と3試合連続で延長にもつれ込む接戦の連続を切り抜け、ぶじ決勝の畳へと辿り着いた。

【決勝】

白石響○GS技有・一本背負投(GS2:02)△藤城心

白石、藤城ともに右組みの相四つ。引き手で袖を絞り、釣り手で襟を握って右小内刈、右背負投を狙う典型的な背負投ファイターの白石に対して、藤城は引き手で袖さえ得てしまえば、釣り手を絞られても関係なく強引に左袖釣込腰を繰り出せる。この二人の柔道の違いが試合展開に直結、試合は一貫して、藤城が先に左袖釣込腰で強引に相手を引っこ抜かんとするのに対し、白石が凌ぎながら組み手を完成させるチャンスを伺うといった展開で進む。本戦3分は藤城がほぼ一方的に左袖釣込腰を繰り出し続け、1分25秒に白石に消極的との咎による「指導1」が与えられたのみであっという間にタイムアップ。試合はGS延長戦へ。

延長戦に入ると、藤城はやや手詰まり感あり。何度左袖釣込腰に入っても決め切れず、とはいえ左袖釣込腰以外に頼るべき技も見当たらず、技を仕掛けたはいいがどうやって投げればいいのか分からないといった様子である。GS24秒、白石は藤城のその迷いを見逃さず、相手が左袖釣込腰の回転を中途半端に止めたところに右大腰を合わせポイント寸前の場面を作り出す。さらにそのここから、片襟の左背負投、右小内刈、左一本背負投と山場を作り、GS1分47秒に藤城に消極的の咎で「指導1」が与えられスコアはタイとなる。そして直後のGS1分50秒、藤城が引き手一本の左袖釣込腰で強引に腰を入れると落とし所を探すように身体を回転させ、丁度白石と正対したところで回転を止める。白石はここだとばかりに右一本背負投の形で上半身を固めて右大外落に飛び込み、最後は右前隅めがけて一本背負投の形で転がるように決め切り「技有」奪取。試合時間は5分2秒、2強対決は白石が一本背負投「技有」のポイントを以て優勢勝ち。白石は5戦中4試合がGS延長戦決着というタフな勝ち上がりで遂に高校選手権王座へ登り詰めることとなった。

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52kg級優勝の白石響

【入賞者】
優 勝:白石響(熊本・熊本西高)
準優勝:藤城心(山梨・富士学苑高)
第三位:川田歩実(東京・修徳高)、前川夏海(福井・福井工大福井高)
第五位:新部梨花(群馬・高崎健康大高崎高)、永井風歌(千葉・木更津総合高)、吉田涼(沖縄・沖縄尚学高)、白土涼乃(茨城・土浦日大高)

白石響選手のコメント
「ずっと日本一になりたかった。ようやく勝てて、本当にうれしいです。自分の形になれず苦しい場面もありましたが、とにかく日本一になるんだと、頑張りました。」

【準々決勝】
藤城心○縦四方固(1:07)△新部梨花
川田歩実○優勢[技有]△永井風歌
白石響○GS反則[指導3](GS0:39)△吉田涼
前川夏海○GS僅差(GS0:25)△白土涼乃

【準決勝】
藤城心○後袈裟固(1:26)△川田歩実
白石響○GS横四方固(GS1:05)△前川夏海

【決勝】
白石響○GS技有・一本背負投(GS2:02)△藤城心

■ 57㎏級・鮮烈デビューの中水流りりが優勝、決勝は技の切れ味で谷朱音を翻弄
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準々決勝、中水流りり(渋谷教育学園渋谷高)が岡田恵里佳(立命館宇治高)を大内刈で攻める。

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準決勝、谷朱音(富士学苑高)が込山未菜(相洋高)を内股で攻める。

決勝に勝ち残ったのは中水流りり(東京・渋谷教育学園渋谷高)と谷朱音(山梨・富士学苑高)の二人。互いに優勝候補と目された強豪を破っての決勝進出。

中水流は得意の右大外刈を軸に迫力ある柔道を展開。1回戦で坂口千桜(福井・敦賀高)に「技有」優勢、2回戦で砂田遥(大阪・東大阪大敬愛高)に僅差の優勢勝ち、3回戦で大森朱莉(福岡・敬愛高)に「技有」優勢と順調に勝ち上がる。そして準々決勝でトーナメント最大の山場、インターハイ覇者で講道館杯でも3位入賞を果たしている岡田恵里佳(京都・立命館宇治高)との対戦を迎える。中水流はこの試合、脇を差して左大腰を狙う岡田に対し切れ味鋭い右大外刈、右内股で攻め続けGS延長戦の末に「指導2」対「指導1」の僅差で勝利。大金星を挙げた勢いそのままに準決勝では西川みはる(広島・広島皆実高)を支釣込足「一本」(1:19)で下して見事決勝進出を決めた。

一方の谷も初戦となった2回戦で新夕希海(埼玉・埼玉栄高)を「指導3」反則(2:32)で破ると、3回戦で昨年度大会3位の強豪袴田佳名瑚(静岡・藤枝順心高)と対戦しGS延長1分20秒に小外掛「一本」で勝ち抜ける。続く準々決勝では渡邉彩香(千葉・木更津総合高)を「指導3」の反則(2:00)で下し、迎えた準決勝では、全日本カデ2位の新名彩乃(兵庫・夙川学院高)を3回戦で下した強豪込山未菜(神奈川・相洋高)をGS延長戦の末「指導2」を奪って優勢勝ち(GS0:26)。強豪揃いのトーナメントをみごと決勝まで勝ち抜いた。

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決勝、GS延長戦で中水流りりが谷朱音から大内返「技有」を奪い勝利。

【決勝】

中水流りり○GS技有・大内返(GS0:17)△谷朱音

ともに長身で手足が長いタイプ。しかし圧力志向の谷に対し、技の切れ味で勝負する中水流、と志向する柔道は正反対の二人の対戦。

両者右組みの相四つ。試合が始まると、双方ほとんど組み手を争わず引き手で袖、釣り手で奥襟を握り合う。谷は自らの顎で中水流の釣り手を殺して相四つ横変形に持ち込むとセオリー通り圧力を与えに掛かる。しかし、一方の中水流は引き手で小刻みに谷の釣り手を落としながらふわふわと動いて右小外刈、右「小内払い」で間合いを調整すると、いきなり鋭い右大外刈。明らかに投げることしか考えていないタイミングと軌道、刈り足が畳を擦る音が場内に響き渡るようなこの一撃は惜しくも空振りに終わったが、ファーストコンタクトとしては十分すぎるほどの迫力ある一太刀。場内にざわめきが起こる。さらに直後の展開、組み際に今度は中水流が右大外刈から左小外掛の強烈な連絡技を叩きこむと、56秒、早くも谷に消極的の咎で「指導1」が与えられる。

その後も、谷は両襟からの右内股で楔を打ってから引き手を袖に移して相四つ横変形に変化する、などと手順を変えてなんとか中水流を自分の圧力圏内に押し込めようと試みる。しかし中水流は相変わらず捉えどころなく動き回り、一瞬でも自分の間合いになれば右大外刈、右内股と鋭く鎌を振るい続ける。

そして本戦3分で決着がつかないまま迎えたGS12秒、谷が自分の圧力の効きを確信して右大内刈に飛び込むと、しかし中水流はするりと数歩後退しながら反時計回りに捻りを呉れ、あっさりと谷の背中を畳に押し付け「技有」奪取。試合時間3分17秒、大内返「技有」のポイントを以て中水流の勝利が決まった。中水流がその計り知れないポテンシャルを存分に発揮、富士学苑らしい組み手の型にはめ込む柔道に徹した谷をまさしく翻弄、スケールの大きさを見せつけての初優勝となった。

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57kg級優勝の中水流りり

【入賞者】
優 勝:中水流りり(東京・渋谷教育学園渋谷高)
準優勝:谷朱音(山梨・富士学苑高)
第三位:西川みはる(広島・広島皆実高)、込山未菜(神奈川・相洋高)
第五位:岡田恵里佳(京都・立命館宇治高)、俊百々香(三重・名張高)、渡邉彩香(千葉・木更津総合高)、藤原遥果(島根・平田高)

中水流りり選手のコメント
「最近調子が上がっていなかったんですけど、だからこそ、楽しんでやろうという吹っ切れた気持ちで戦えました。(大内返は)何度か稽古で戦っていたのでイメージがありました。回りの方々に感謝しかないです。」

【準々決勝】
中水流りり○GS僅差(GS1:09)△岡田恵里佳
西川みはる○合技(2:52)△俊百々香
谷朱音○反則[指導3](2:00)△渡邉彩香
込山未菜○袖釣込腰(2:00)△藤原遥果

【準決勝】
中水流りり○支釣込足(1:19)△西川みはる
谷朱音○GS僅差(GS0:26)△込山未菜

【決勝】
中水流りり○GS技有・大内返(GS0:17)△谷朱音

■ 63㎏級・混戦階級を制したのは畑田暁菜、決勝は小齊穂奈美に完勝
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準決勝、畑田暁菜(夙川学院高)が山口葵良梨(大牟田高)から大内刈「技有」

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準決勝、小齊穂奈美(富士学苑高)が鈴野杏優(横須賀学院高)から小外掛「技有」

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決勝、畑田暁菜が小齊穂奈美を上四方固でがっちり抑え込み一本勝ち、優勝を決める。

本命なき混戦トーナメントを決勝まで勝ち上がったのは、畑田暁菜(兵庫・夙川学院高)と小齊穂奈美(山梨・富士学苑高)の二人。

畑田は1回戦で庄野文香(佐賀・佐賀工高)に合技「一本」(2:56)、2回戦で岡野未来(群馬・常磐高)に縦四方固「一本」(0:51)と順調な滑り出し。さらに3回戦で昨年度大会5位の古城菜南美(鹿児島・国分中央高)を僅差による優勢勝ちで下し、続く準々決勝では中学時代実績を残している小山遥佳(愛知・大成高)を「指導3」反則(2:56)で退けてと実力者を立て続けに破って準決勝進出。迎えた準決勝では第1シードの山口葵良梨(福岡・大牟田高)をGS延長戦の末、大内刈「技有」(GS0:34)で破り、見事決勝進出を果たした。

一方の小齊は第2シードに配され、2回戦から出動。初戦で新崎愛(沖縄・沖縄尚学高)を小内刈「一本」(1:44)、3回戦で谷岡成美(東京・渋谷教育学園渋谷高)をGS僅差(GS0:52)、準々決勝で田代美風(大阪・東大阪大敬愛高)を「技有」優勢で下し順当に勝ち上がる。準決勝では鈴野杏優(神奈川・横須賀学院高)をGS延長戦の末に小外掛「技有」(GS0:42)で下して、見事決勝の畳へと勝ち上がった。

【決勝】

畑田暁菜○上四方固(1:49)△小齊穂奈美

双方左組みの相四つ。試合が始まると、双方奥襟を叩き合いながら組み付いては離ることを繰り返すが、ここはなかなか呼吸が合わず。34秒に主審が「待て」を掛け、両者に取り組まない咎で「指導1」を与える。直後のシークエンス、今度は畑田が組み際に左袖釣込腰を試みると、小齊はその戻り際に体を浴びせて畑田を伏せさせ「待て」。試合時間1分が経過するも、未だ両者はまともに組み合っていない状態。そして続く展開、再び激しい組み手争い、瞬間的にガップリ四つが出来上がるなり畑田が強引に小齊を伏せさせ、すかさず「腹包み」で寝技に移行。渾身の力でいわゆる「秋本返し」で捲りに掛かると小齊も必死に耐える。畑田は相手が耐えると見るや即座に力のベクトルを変え「舟久保返し」、さらに再び「秋本返し」と素早く切り替えて小齊を捲り返し、上四方固でガッチリと抑え込む。小齊はブリッジで必死に脱出を試みるが、畑田がしっかり抑え切り20秒のブザーを聞く。試合時間は1分49秒、組み合う時間が極端に短く、激しい組み際の攻防が予想されたが、この「組み際の掛け合い」に陥る前に、畑田が力が確実に反映される寝技で試合を収めてしまった形。畑田、混戦トーナメントを制して見事高校初タイトル獲得。

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63kg級優勝の畑田暁菜

【入賞者】

優 勝:畑田暁菜(兵庫・夙川学院高)
準優勝:小齊穂奈美(山梨・富士学苑高)
第三位:山口葵良梨(福岡・大牟田高)、鈴野杏優(神奈川・横須賀学院高)
第五位:川上智加(福井・北陸高)、小山遥佳(愛知・大成高)、田代美風(大阪・東大阪大敬愛高)、渋谷萌々音(埼玉・埼玉栄高)

畑田暁菜選手のコメント
「やっと優勝出来たという気持ち。うれしくて、思わず笑ってしまいました。明日の団体戦もあるし、金鷲旗もインターハイもあります。この結果に満足せず、団体も個人も全て優勝を狙います」

【準々決勝】
山口葵良梨○GS技有(GS0:19)△川上智加
畑田暁菜○反則[指導3](2:56)△小山遥佳
小齊穂奈美○優勢[技有]△田代美風
鈴野杏優○大腰(2:18)△渋谷萌々音

【準決勝】
畑田暁菜○GS技有・大内刈(GS0:34)△山口葵良梨
小齊穂奈美○GS技有・小外掛(GS0:42)△鈴野杏優

【決勝】
畑田暁菜○上四方固(1:49)△小齊穂奈美

■ 無差別・朝飛真実が圧勝V、強烈な投げ次々決める
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準決勝、桑形萌花(夙川学院高)が米川明穂(藤枝順心高)から払腰「技有」

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準決勝、朝飛真実(桐蔭学園高)が黒田亜紀(富士学苑高)から内股「技有」を奪い、そのまま崩袈裟固「技有」で合技「一本」。

皇后盃全日本女子柔道選手権(4月21日、横浜文化体育館)進出者が3人という豪華陣容となったトーナメントを決勝まで勝ち上がったのは、朝飛真実(神奈川・桐蔭学園高)と桑形萌花(兵庫・夙川学院高)の2人。皇后盃出場を決めている2人は70kg級が本職であるが、揃って決勝の舞台へと勝ち上がった。

桑形は2回戦で馬場琴珠(栃木・國學院大學栃木高)を内股「一本」(1:41)、3回戦で波多江楽良(東京・淑徳高)を僅差による優勢、準々決勝で佐藤星麗七(埼玉・埼玉栄高)をGS延長戦の末の「技有」(GS0:41)で下して順当に勝ち上がる。迎えた準決勝では、同じく皇后盃進出者で昨年度大会2位、さらにインターハイ78kg超級でも2位入賞を果たしている今大会の本命・米川明穂(静岡・藤枝順心高)と対戦。GS延長戦の末に払腰で「技有」(GS0:56)を奪ってこの試合を制し、見事決勝進出を決めた。

一方の朝飛は2回戦で古賀理帆(佐賀・佐賀商高)を内股(0:08)、3回戦で村井杏弥(香川・高松商高)を合技(1:28)、準々決勝で八巻衣音(広島・広陵高)を内股(1:47)、と3戦全て一本勝ちで準決勝進出。準決勝では第2シードの黒田亜紀(山梨・富士学苑高)を内股「技有」からそのまま崩袈裟固「技有」で合技「一本」(1:13)に仕留め、圧巻のオール一本勝ちで決勝の畳に辿り着いた。

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決勝、朝飛真実が桑形萌花から小外掛「技有」

【決勝】

朝飛真実○優勢[技有・小外掛]△桑形萌花

朝飛が左、桑形が右組みのケンカ四つ。開始直後、朝飛は釣り手で上から奥襟、引き手で襟を握る両襟の形で桑形の頭をロックし、左内股で先制攻撃。桑形が畳に手を着いて伏せることを拒むと、追い打ちで強烈なハンドル動作を加えながら桑形を畳に押し付ける。試合開始から22秒、いきなり朝飛が圧倒的なパワーの差を見せつけた格好。さらに続く展開、再び朝飛は両襟で桑形を組み留めると、下から釣り手を突いて何とか距離を取ろうとする桑形を無理矢理引き寄せる。それでも桑形が頭を下げて全力で両手を突っ張ること距離を取ると、朝飛は左内股で桑形を伏せさせて攻勢をキープ。試合時間は1分16秒、ここで桑形に「指導」が与えられる。朝飛はその後も主導権をガッチリ掌握、残り1分のところで場外の「指導1」を受けてしまうが、試合の流れには影響なし。そして残り35秒、桑形が相手の組み手の圧力に屈したまま中途半端に右内股を仕掛けると、朝飛はここぞと右小外掛を合わせて決定的な「技有」を獲得。リードを得た朝飛は残り時間を圧殺でやり過ごし、あっという間にタイムアップ。小外掛「技有」のポイントを以て朝飛の優勢勝ちが決定、70kg級ながら圧倒的なパワーで並みいる強敵達をねじ伏せまくり、朝飛が見事今年度の無差別王者に輝いた。

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女子無差別優勝の朝飛真実

【入賞者】
優 勝:朝飛真実(神奈川・桐蔭学園高)
準優勝:桑形萌花(兵庫・夙川学院高)
第三位:米川明穂(静岡・藤枝順心高)、黒田亜紀(山梨・富士学苑高)
第五位:平川真有(熊本・熊本西高)、佐藤星麗七(埼玉・埼玉栄高)、佐々木南(北海・北海高)、八巻衣音(広島・広陵高)

朝飛真実選手のコメント
「自分の階級がない大会で体重無差別でしたが、この大会で優勝したいという強い思いがありました。勝ったことは自信になります。皇后盃も、高校生として戦う試合もありますが、ひとつひとつ、すべて大切に戦っていきたいです。」

【準々決勝】
米川明穂○GS僅差(GS2:55)△平川真有
桑形萌花○GS技有(GS0:41)△佐藤星麗七
黒田亜紀○合技[内股・崩上四方固](1:28)△佐々木南
朝飛真実○内股(1:47)△八巻衣音

【準決勝】
桑形萌花○GS払腰(GS0:56)△米川明穂
朝飛真実○合技[内股・崩袈裟固](1:13)△黒田亜紀

【決勝】
朝飛真実○優勢[技有・小外掛]△桑形萌花

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