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田村、天理ら順当に勝利、注目対決の勝者は加藤学園、白鴎大足利、そして開星・第41回全国高等学校柔道選手権男子団体戦レポート①一回戦

(2019年3月29日)

※ eJudoメルマガ版3月29日掲載記事より転載・編集しています。
田村、天理ら順当に勝利、注目対決の勝者は加藤学園、白鴎大足利、そして開星
第41回全国高等学校柔道選手権男子団体戦レポート①一回戦
取材・文:古田英毅/eJudo編集部
撮影:乾晋也・辺見真也/eJudo編集部

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団体戦開始式。選手宣誓は鈴木郷生選手(国士舘高)が務めた。

高校生の春到来。高校「三冠」タイトル最初の大会である第41回全国高等学校柔道選手権大会が今年も聖地・日本武道館に全国47都道府県の予選を勝ち抜いた精鋭たちが集って開幕。最終日の21日には最注目カテゴリである男子団体戦の試合が行われた。

5人制抜き勝負(試合ごとの配列変更を認める)で行われるこの男子団体戦、優勝候補の筆頭はエース斉藤立を擁して連覇を狙う国士舘高(東京)。次いで今大会2強の一角として名の挙がる西の横綱・大牟田高(福岡)、さらに前日個人戦無差別を制した怪物・高橋翼を押し立てる作陽高(岡山)がこれを追うというのがトーナメントの大きな構図。戦力分析と今シーズンここまでの来歴は組み合わせ抽選前にアップしたシード校予想記事と大会直前の展望記事に譲り、さっそく大会の様子をレポートしてみたい。

まずはシード校への挑戦権を巡って激戦が繰り広げられた1回戦から。トーナメントをA(左上)、B(左下)、C(右上)、D(右下)の4つのブロックに分けて簡単にそれぞれの戦いを追いかけてみる。

→[参考]男子団体戦全試合対戦詳細

■ 一回戦
【Aブロック】
シード校:国士館高(東京)、桐蔭学園高(神奈川)

国士舘の1強ブロックで、他3ブロックに比べると強豪の密度もかなり薄い。この1回戦もアップセットは少なく、ほぼ順当に試合が進んだ。

2回戦での国士舘への挑戦権を争う延岡学園高(宮崎)と近江高(滋賀)の試合は、手堅く加点した延岡学園が勝利。先鋒久保田大樹が宇佐美倭から58秒送襟絞「一本」で勝利すると2戦目をしっかり引き分けて退場。続く次鋒小川剛生、中堅吉野天成が引き分け、副将中西隆翔の「技有」優勢でフィニッシュ。大将戸高淳之介を余らせたまま、スコア二人残しの快勝だった。

第2試合では四日市中央工高(三重)は盛岡中央高(岩手)を粉砕。先鋒原田浩之は1勝1敗で退場したが、ここから次鋒の90kg級の好選手・弓矢健輔が迫力の4人抜き。畳に残った鳥居裕成を大内刈「一本」、続いて中堅菊池進太郎も大内刈「一本」で抜くと、ここから斉藤翼、須藤駿と続いた超級選手2人の壁を合技「一本」、浮落「一本」で抜き去って4連続一本勝ち。四日市中央は四人残しの大差で勝利、勢いに乗って2回戦進出決定。

シード校桐蔭学園への挑戦権を争う阿波高(徳島)と鳥取東高(鳥取)の一番は大乱戦。阿波の先鋒大瀧隆介の「技有」優勢による勝利に始まり、鳥取東の次鋒塩谷丈が大内刈「一本」で抜き返すというファーストシークエンスから、互いに1人を抜いては1人が抜き返される展開が続き、ただ1つの引き分けもないまま第7試合で副将同士がマッチアップすることとなる。ここから阿波の副将堀田孝起が小林岳を内股「一本」、さらに大将南部耕佑を大腰「一本」とこの試合初めての2人抜きで無理やりフィニッシュ。引き分けなしの5勝3敗という激しい打ち合いの末、阿波が2回戦へと駒を進めることとなった。

つくば秀英高(茨城)と近大附高(大阪)の試合は、1勝1敗で迎えた第3試合で登場したつくば秀英の中堅・村岡英哉が出色の働き。ここまで2人抜きで畳に残っていた近大附の先鋒青井辰樹を合技「一本」で抜くと、そのまま次鋒渡邊凛太郎を「技有」優勢、中堅竹山銀次郎を膝車「一本」、副将岡崎騎士を「技有」優勢、そして大将寺田雄一朗を「技有」優勢で下してなんと4人を抜き去って試合を終わらせる。3人を残したつくば秀英が快勝で2回戦へと進んだ。

青森北高(青森)と柳ヶ浦高(大分)の一番は5戦連続の引き分け。迎えた代表戦もGS延長戦へと突入する接戦であったが、延長開始8秒に中村朝陽が山口健太郎から「技有」を得て勝利。値千金の一撃で、青森北が2回戦へと駒を進めた。

[Aブロック1回戦]

延岡学園高(宮崎)○二人残し△近江高(滋賀)
四日市中央工高(三重)○四人残し△盛岡中央高(岩手)
阿波高(徳島)○二人残し△鳥取東高(鳥取)
つくば秀英高(茨城)○三人残し△近大附高(大阪)
青森北高(青森)○代表戦△柳ヶ浦高(大分)

【Bブロック】
シード校:作陽高(岡山)、木更津総合高(千葉)

シード校作陽への挑戦権を巡る第1試合にいきなり好カード。1回戦全試合を通じての最注目試合の一、東海大高輪台高(東京)対加藤学園高(静岡)の一番である。

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先鋒戦、加古裕慈が石間勇斗から一本背負投「一本」。加藤学園が先制点を得る。

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加古が孫俊峰の肘を極める形で抱え込んで払腰。痛恨のダイレクト反則負けでスコアはタイに戻る。

加藤学園高(静岡)○代表戦△東海大高輪台高(東京)
(先)加古裕慈〇一本背負投(2:32)△石間勇斗(先)
(先)加古裕慈△反則[DH](2:24)〇孫俊峰(次)
※立ち姿勢から腕挫脇固の形で体を捨てたことによる
(次)宇佐美一誠×引分×孫俊峰(次)
(中)津村亮磨×引分×柴野明紀(中)
(副)小田春樹〇優勢[僅差]△的場光太朗(副)
(副)小田春樹△合技[隅落・縦四方固](1:10)〇石村健真(代)
(代)深井大雅×引分×石村健真(代)
(代)深井大雅〇GS技有・隅落(GS1:16)△柴野明紀(代)

加藤学園は身長181センチ体重125キロのエース深井大雅を軸に、同171センチ115キロの小田春樹、171センチ110キロの加古裕慈ら機動性高い短躯重量の選手を揃えた好陣容。この試合に投入したメンバーは深井以外が全て1年生という若さが売りのチームだ。先鋒戦ではその加古が石間勇斗から一本背負投「一本」を奪って先制するというこれ以上ないスタート、しかし続く第2試合では孫俊峰の脇を抱え込んだまま払腰に入り込んでしまい、まさかのダイレクト反則負けを喫してしまう。たとえ勝ったとしても斬り込み役の加古が以降の試合出場が出来なくなってしまったわけで、チームの士気ここでやや下がった印象。

しかし次鋒の宇佐美一誠が、畳に残った孫の打点の高い内股による猛攻をしのぎ切って値千金の引き分け。中堅同士の対決でも津村亮磨が東海大高輪台の2番手柴野明紀にチャンスらしいチャンスを与えぬまま、袖口を絞った咎による「指導」ひとつの失陥のみで4分間を終えて引き分け、どうやら試合を作り直すことに成功。

迎えた副将同士の対決は、小田春樹が良く攻め、東海大高輪台の的場光太朗には1分9秒消極的との咎による「指導」、1分49秒には片手の咎で「指導2」と反則ポイントが次々累積。しかし直後的場が膝車を放って小田を大きく崩すと、小田は明らかに膝を痛めて以後歩くことすらままならないピンチ。しかしなんとか残り時間を戦い切り、この試合は「指導2」差による僅差優勢で小田の手に落ちた。この最終盤に至って加藤学園が1人差をリード。東海大高輪台は大将に座るエース石村健真が出動することとなる。

迎えた第6試合は加藤学園の副将・小田が左、東海大高輪台の大将石村が右組みのケンカ四つ。状況をよく弁えた小田が釣り手を突いての引き手争いで時間を使い、これが初めての全国大会出場となる石村は追いかける立場としてはペースが遅い印象であったが、40秒を過ぎるあたりから調子を掴んで組み際に得意のケンケンの大内刈で攻め始める。試合は加速の気配、直後の57秒に石村が背中を叩くと小田は太い胴体を生かして抱きつきの裏投一発。しかし長身の石村柔らかく被り返し、体を浴びせて「技有」確保。そのまま縦四方固に抑え込んで1分10秒合技「一本」。ここでスコアはタイとなった。

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代表戦、深井大雅が大内刈で柴野明紀を追う

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深井が十分疲労したとみたか、柴野が左への背負投で勝負に出る。

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深井抱え込んで押し込み返し、「技有」

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激戦は加藤学園の勝利に終わった。

大将同士の対決は畳に残った石村、加藤学園の深井大雅ともに右組みの相四つ。支釣込足の蹴り合いから体を入れ替えられてしまった深井が自ら潰れて1分22秒偽装攻撃の「指導」失陥。石村に流れが渡るかと思われたが、攻め口が研究されている印象で作りの段階で攻撃が潰され、深井は揺るがず。逆に減速した石村に残り20秒「指導」ひとつが与えられて試合は終了。勝敗の行方は代表戦に委ねられることになった。

加藤学園は4分間を戦ったばかりの大将深井が居残り。一方の東海大高輪台は東京都予選と同じく一種淡々と石村を下げ、予定通りとばかりに休養させた2番手・柴野を送り込んだ。

この試合は柴野が左、深井が右組みのケンカ四つ。柴野は状況をよく心得て得意の出足払で深井の前進を止めると、左右に良く動かして深井の巨体から体力を奪う。序盤に受けに回った深井に「指導1」。しかし深井も機を見ては大内刈で猛進、追い足がついていかず投げ切るには至らないものの、柴野が上体を屈されて膝から落ちることが続き反則累積差に差はつかず。様相は柴野が深井の体力を奪い切って「指導」を得るか、深井の一発が全てをひっくり返すかという形で緊迫。終盤、担ぎ技を止められた柴野は1シークエンス停滞、その感に深井が必死に攻めて柴野に「指導1」。

しかし深井はもはやフラフラ。「待て」が掛かってもなかなか立ち上がることができない。柴野は浅く背負投崩れの体落を入れながら、深井から最後の力が失われるのはいつか、このまま「指導」狙いで行くべきか病める巨象に一撃を呉れて試合を終わらせるべきかと探り続けている印象。本戦終了間際には場外ながら柴野が背負投で深井を大きく転がす場面もあり、流れは徐々に東海大高輪台へ。
試合はGS延長戦となり、もはや深井は立っているのがやっとという体。しかし柴野がもはや頃合い良しと、浅く体落様の左背負投に飛び込むと、体を捌いて外側に逃れた深井はその背中をガッチリ捕まえて後方へ返し一発。仰け反った柴野の体に乗り込み、ジャンプしてもろとも1回転。回し切って隅落「技有」、GS1分16秒に飛び出したこの一撃で勝敗が決した。加藤学園が2回戦進出決定。

代表戦の中途までは、体力的なアドバンテージを優先して2番手選手を送り込んだ東海大高輪台のクレバーさがエースに固執した加藤学園のこだわりを上回ったかと思われたが、一撃で全てがひっくり返った。状況を作る体力を失い、しかし心折れずに投げ一発に賭けた深井の根性は見事であった。柴野は相手の残存体力を見誤ったか、それとも我慢が利かなかったか、もはや刃を入れば倒れること確実とでも言わんばかりに奔放に飛び込んだが、そこに罠あり。強気と移り気の両面を見せる柴野の癇の強い柔道が今回は裏目に出た形だが、これを責めるのは酷。深井の頑張りを讃えるべき試合であった。

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長崎南山の中堅西垣拓磨が小杉高の副将大塚悠輝から小外刈「一本」

長崎南山高(長崎)と小杉高(富山)の好チーム対決はこれも激戦。2人差ビハインドで登場した小杉の大将森田和志が、長崎南山の中堅西垣拓磨を合技「一本」、副将横山景一を裏投「一本」と2人を抜き返し、大将対決で居村大輝と引き分けて勝負を代表決定戦にまで持ち込む。迎えた代表戦は、長崎南山・横山景一が本戦で先鋒を務めた深田智大から「技有」優勢で勝利して試合終了。2回戦には長崎南山が進むこととなった。

津幡高(石川)と東北高(宮城)の試合も引き分けゼロの大激戦。津幡が中堅尾古礼夢の2人抜きで勝ち越し、尾古は大将荒井健友には「技有」優勢で敗れたが、続いて畳に上がった津幡の副将寺島悠太が荒井を「技有」優勢で抜き返して終戦。5勝3敗0分けの二人残しで初戦を勝ち上がった。津幡は次戦でシード校木更津総合高(千葉)に挑む。

高松商高(香川)は代表戦で三谷雄大が初芝橋本高(和歌山)の巽貴大にGS大内刈「一本」で勝利。沖縄尚学高(沖縄)は大将同士の対決で山里健太が小村元紀を内股「一本」で退け、旭川龍谷高(北海道)を振り切って2回戦に進んでいる。

[Bブロック1回戦]

加藤学園高(静岡)○代表戦△東海大高輪台高(東京)
長崎南山高(長崎)○代表戦△小杉高(富山)
津幡高(石川)○二人残し△東北高 (宮城)
高松商高(香川)○代表戦△初芝橋本高(和歌山)
沖縄尚学高(沖縄)○一人残し△旭川龍谷高(北海道)

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次鋒対決、埼玉栄高の松本弾が高川学園高・中村青翔から裏投「一本」

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高川学園は副将副将菅本直志が松本を体落「技有」で破り、追いすがる。

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次鋒対決、天理の小原龍太郎が開志国際・花野良輝から一本背負投「技有」

【Cブロック】
シード校:大牟田高(福岡)、崇徳高(広島)

第2シード校大牟田への挑戦権を巡る第1試合に埼玉栄高(埼玉)が登場。スターティングは先鋒から杉野光星、田川聖、桝井秀翔、松本弾、山野井爽。高川学園高(山口)を相手にしたこの試合は先鋒戦を引き分けたが、次鋒田川が中村青翔を裏投「一本」、岩崎達也を合技「一本」と2人を抜く活躍を見せる。しかし手堅く試合を終えることが出来ず、続く第4試合は副将菅本直志に「技有」優勢で敗れて退場。続いて畳に上がった中堅桝井は菅本をあっという間の小外掛「一本」で抜くも、大将中村真極には逆に小外掛「一本」で抜き返される不首尾。副将松本が出動して引き分け、一人残しでぶじ試合を終えたものの多少バタバタ感のある立ち上がりであった。

昨年度大会2位の天理高(奈良)の初戦は、初出場の開志国際高(新潟)が相手。先鋒佐藤輝斗が引き分け、次鋒小原龍太郎が1人を抜いたが、中堅吉田秀道に合技「一本」で抜き返されてしまい4戦消化の時点でスコアはタイ。しかし中堅の1年生ポイントゲッター鈴木太陽が合技「一本」で芳田を畳から追い、続く2戦目は副将坂本祥吾と手堅く引き分けて退場。最後は副将池田凱翔が間春樹を合技「一本」で抜いて、最終スコアは2人残しだった。天理は大成高(愛知)がまつ2回戦の決戦へと進出。

シード校崇徳への挑戦権を争う第3試合では鹿児島情報高(鹿児島)と東海大甲府高(山梨)が激突。2戦引き分けを受けた鹿児島情報の中堅小原健誠が2人抜き、3人目の大将米山正剛には払腰「一本」で敗れたが、続いて畳に上がった副将田中航大が米山と引き分けて試合終了。スコア一人残しで鹿児島情報が2回戦進出を決めた。

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前橋商の先鋒君田浩気が岡豊の次鋒小阪伊吹から小外刈で2つ目の「技有」

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田村の副将鈴木直登が京都学園の大将阿部侑太を攻める

第4試合は好チーム前橋商高(群馬)に岡豊高(高知)が食らいつく。2人差ビハインドで登場した岡豊の副将溝依郁人が大川直斗を小外刈と横四方固の合技「一本」、続いて中堅諸田大河を残り18秒に決めた隅返「技有」で下して2人抜き。ここまで6戦を消費して引き分けゼロ、副将同士が畳に上がってスコアはタイという激戦である。しかし岡豊の粘りもここまで、前橋商は前日の個人戦73kg級で2位入賞の石原樹が溝依を59秒、左の「韓国背負い」に仕留めて一本勝ち。続いて大将颪辺柔斗から44秒左足車「技有」、さらに1分18秒左大内刈「技有」と連取して2人抜きでフィニッシュ。岡豊は中量級の好選手溝依が頑張ったが、最後は前橋商の層の厚さと石原の攻撃力の前に屈した。

そして第5試合はシード校相当の力を持つと前評判の高い東北王者・田村高(福岡)が近畿ブロック3位の京都学園高(京都)と対戦。先鋒戦の引き分けを受けた第2試合で、片山雄心が櫻井秀虎から払腰「技有」で勝利すると以降の3試合をしっかり引き分け、取るべきところをしっかり取ったという体で手堅く終戦。スコア二人残しで勝ち抜けを決めた。

[Cブロック1回戦]

埼玉栄高(沖縄)○一人残し△高川学園高(山口)
天理高(奈良)○二人残し△開志国際高(新潟)
鹿児島情報高(鹿児島)○一人残し△東海大甲府高(山梨)
前橋商高(群馬)○二人残し△岡豊高(高知)
田村高(福島)○二人残し△京都学園高(京都)

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開星の中堅下田雄太が佐賀商の大将小畑大樹から出足払「一本」。これで試合終了、下田の3人抜きで開星が2回戦進出決定。

【Dブロック】

シード校:日体大荏原高(神奈川)、東海大仰星高(大阪)

開星高(島根)○三人残し△佐賀商高(佐賀)
(先)布野大介×引分×岩瀬勝斗(先)
(次)田窪成将×引分×寺戸将大(次)
(中)下田雄太○内股(1:09)△岩本敬太(中)
(中)下田雄太○優勢[技有]△田中龍馬(副)
(中)下田雄太○出足払(1:17)△小畑大樹(代)
(副)新井匠
(大)清水颯真

会場を驚かせたのがこの第1試合。招待試合シリーズで大活躍し、全日本カデ66kg級王者の田中龍馬と前日の個人戦81kg級準優勝者小畑大樹を擁する佐賀商を、開星高が打倒した。2引き分けを受けて中堅で登場した下田雄太が岩本敬太を内股「一本」、さらに田中龍馬を「技有」優勢で下すと、大将小畑をも1分17秒出足払「一本」で退けて会場の度肝を抜く3人抜き。開成は副将新井匠と前日の個人戦無差別で3回戦まで進んだ大将清水颯真を座らせたまま、三人残しの大差で佐賀商を下すこととなった。

おそらく1回戦全試合のうち、もっともインパクトがあったのがこのゲーム。8面同時進行、他のブロックの状況などなかなか把握できないこの巨大大会にあって、会場のそこここで「佐賀商が落ちたらしいぞ」「佐賀商負けたで」と口伝えで広がった、その情報伝播の様子に開星の成し遂げた仕事の大きさがよく表れていた。シードチーム2校(作陽、崇徳)輩出の中国ブロックからまたもや好チーム勃興。開星は次戦で、第3シード校日体大荏原に挑む。

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副将対決、北海の杉本将一朗が神戸国際大附・騰川雄一朗を攻める

第2試合は近畿ブロック2位の神戸国際大附高(兵庫)に北海高(北海道)がマッチアップする好カード。引き分け打ち続く中、副将同士の対決で杉本将一朗が騰川雄一朗から挙げた僅差の優勢という虎の子、そして最小限の得点をテコに北海がスコア一人残しで勝ち抜けを決めた。

これも実力はシード級と前評判高かった福井工大福井高(福井)は第3試合で大垣日大高(岐阜)と対戦。先鋒五十嵐翔也の1勝1分け、次鋒井上翔汰朗の1人抜きと3試合消化時点で2人差を作り出して視界良好。ここで畳に残った井上が副将宮部広大に「技有」優勢で敗れていったん勢いが止まったが、中堅冨田赳司と副将古場幸能が続けて引き分け、スコア一人残しで2回戦進出決定。

九州学院高(熊本)と新田高(愛媛)の第4試合は1勝1敗3分けで、大将同士が対決。岩永洸輔が井上太陽の所謂「国士舘返し」を逆に押し込み返して横四方固に捉え「一本」。スコア一人残しで九州学院が勝利を決めている。

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白鴎大足利の先鋒杉之内暁が羽黒・臼井琢朗から小外掛「技有」

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羽黒の大将五十嵐勁太が矢野治凱に左袖釣込腰、担ぎ上げると足を高く挙げてフォローし、「技有」獲得。

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大将対決、澤口宗志が五十嵐から内股「技有」。

白鴎大足利高(栃木)○一人残し△羽黒高((山形)
(先)杉之内暁○合技(1:14)△臼井琢朗(先)
(先)杉之内暁×引分×佐藤佑治郎(次)
(次)木村力也△優勢[技有]○清和愛翔(中)
(中)津端洸×引分×清和愛翔(中)
(副)矢野治凱○反則[指導3](1:45)△土井信吾(副)
(副)矢野治凱△優勢[技有]○五十嵐勁太(大)
(大)澤口宗志○内股(2:32)△五十嵐勁太(大)

これも1回戦屈指の好カード。後衛に座る羽黒の五十嵐勁太と白鴎大足利・澤口宗志の好選手対決が、この試合に予期されるハイライトだ。

白鴎大足利は澤口と並ぶポイントゲッター杉之内暁を先鋒に置く分散配置。これが良く効き、杉之内の1人抜き1分けで白鴎大足利がまずリードを得る。羽黒が1人を抜き返し、副将同士の対決まで状況が煮えた第5試合で白鴎大足利・矢野治凱が土井信吾から30秒、51秒、1分45秒と立て続けに3つの「指導」を奪って貴重な1勝。白鴎大足利は1人差リードをもって、羽黒の大将五十嵐を引きずり出すことに成功する。

畳に上がった五十嵐は癖の強い柔道を披露、どこからでも担ぐと言わんばかりの両袖からの背負投に変則の袖釣込腰、さらに腕緘、縦四方固としぶとい寝技を繰り出して矢野を追い詰める。1分46秒には左袖釣込腰「技有」を得、以後も図太く攻めたまま4分間を終えて優勢勝ち。勝敗の行方は大将同士の対決へと持ち込まれる。

熱戦が期待された大将対決は、しかし澤口宗志が圧倒。ケンカ四つの五十嵐に対して終盤一気に加速し、2分1秒左内股を突っ込んで「技有」。2分32秒には後がなくなった五十嵐の「韓国背負い」を見極めて左内股を入れクルリと縦回転、盤石の「一本」。最終スコアは一人残し、結果としては、戦力の厚さに勝る白鴎大足利が順当に勝利を収めることとなった。

[Dブロック1回戦]
開星高(島根)○三人残し△佐賀商高(佐賀)
北海高(北海道)○一人残し△神戸国際大附高(兵庫)
福井工大福井高(福井)○一人残し△大垣日大高(岐阜)
九州学院高(熊本)○一人残し△新田高(愛媛)
白鴎大足利高(栃木)○一人残し△羽黒高((山形)

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