タンザニア
(ザンジバル島という島を知っていますか。アフリカ中部のタンザニアという国の一部で・・・)
地方(都市名など):ザンジバル島
稽古場所(道場名、学校名など):【不明なるも島で柔道をやっているところは一箇所のみ】
滞在期間:1997年9月
ザンジバル島という島を知っていますか。アフリカ中部のタンザニアという国の一部で、インド洋に浮かんでいます。日本ではあまり知られていませんが、あえてザンジバル島について著名な点を上げると、最近、ミュージカル「We will rock you」で有名になっているクイーンのフレディー・マーキュリーの出生地ということがあります。また、アフリカの島にもかかわらず、昔アラビア人が征服したことがあるため、ザンジバルの街にはアラブの雰囲気が漂っています。
1997年にザンジバル島を訪れた際、柔道を行う機会がありました。同島には柔道三段の島岡さんという日本人の方が定住しており、その島岡さんが街の若い青年達を集めて柔道を教えていました。タンザニアの中でも特に貧しいザンジバル島では柔道着を調達するのすらままならないことから、島岡さんはボランティアで日本から古い柔道着を送ってもらい、島で柔道に関心を有する青年達の利用に供していたようです。ただ、さすがに畳マットは調達できず、また、屋根のついた大きな家屋というのも容易には見つからないことから、屋外でマットのようなものを敷いて柔道をやっていました。
ザンジバル島は赤道直下の地で年中日差しが強いので、屋外で柔道をやるためには夕刻を待たなくてはなりません。夕刻になると多くの若者がめいめいに古柔道着を持って集合してきます。古柔道着である上に、あまり真水が豊富でない地域なので洗濯をしていないことから、一部の人の柔道着は相当汚れています(おまけに臭います)。ただ、島岡さんの指導の成果もあり、皆、非常に礼儀正しく清々しいものを感じました。アフリカには一般的に「年長者や指導者を敬う」という文化が強いことから、欧米と比較して、柔道の基本である「礼」を受け入れる素地があるのだろうと思います。
道場(と呼ぶほどの設備はありませんでしたが)では一番強い人が初段レベルくらいでしたので、当時はまだまだ柔道としても発展途上だったと思います。しかしながら、いざ、柔道を始めてみると力が強くて辟易しました。私も比較的力の強いほうなのですが、私の腕よりも二周りくらい大きな腕でつかまれると「おっとっと...」となってしまいます。ただ、一般にアフリカの人達は筋骨隆々としており力が強いものの、単に「力持ち」なだけで、すり足とか、崩しから投げへの連携といったことをどうしても軽視してしまいます。私も短い時間を使って、「ドタドタ歩かない」、「動いて投げる」ということを教えてみました。頭では理解しようとしている一方、本心ではまだ「面倒くさい」と感じていたようでした。当時はまだ私のほうが圧倒していましたが、これから彼らに柔道の基礎ができてくると恐ろしいことになるなあと思ったものです。
屋外で柔道をやった経験は先にも後にもこれだけですが、可能な範囲で多くの人が柔道という日本の武道にいそしむ姿を見るのは嬉しいものです。聞いてみたところ、参加している多くの青年は月収4000円程度で日々の生活も汲々としたものです。そういう中でも、柔道はある程度の設備さえ揃えばあとはお金がかからないということで参加しやすいスポーツだということを実感しました(そういう意味ではサッカーなんかと似ているのかもしれません。多くの道具を要するスポーツはどうしても一定程度の収入を必要とします。)。
その後、風の便りで聞いたところでは、ザンジバル島の青年たちは更に研鑽を重ね、実際に段位を取るとともにタンザニアの国内大会でも活躍しているとのこと。単なる腕力柔道から巧みに技を駆使してやる柔道を身に着けているのだろうと思い出したりします。日本からはるか遠く離れたザンジバル島で楽しそうに柔道をする青年たちの姿がノスタルジアとして時々脳裏に甦ってきます。
投稿者
名前: Drakkar Noir
住所: 埼玉県