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※eJudo携帯版「e柔道」5月2日掲載記事より転載・編集しています。

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全日本柔道選手権マッチレポート
1回戦~準々決勝 4/4


鈴木桂治○優勢[僅差2-1]△羽賀龍之介

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写真:開始早々、
羽賀は左内股を放ってやる気十分
世界王者のベテラン、昨年度王者の鈴木に若手のホープ羽賀が挑む。時代の主役同士が戦うまさにこれぞ全日本という胸躍る顔合わせ。

開始早々に羽賀は両襟からの左内股、大内刈、さらに左内股を放ってやる気十分。羽賀に距離を出し入れさせては面倒と思ったか鈴木は前に出、羽賀が場外を背にした試合場ギリギリの位置で両者の圧力は拮抗、切りあい、差し合い、落としあいと数十秒に渡る組み手争いが行われる。
互いにここは譲らず、羽賀が左小内刈の形で内から外に鈴木の足を払い上げたところで両者場外へ。経過時間は1分9秒。

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写真:鈴木の圧力の前に
羽賀は場外を背負う展開が続く
鈴木引き手で左襟をつかむと、釣り手を争いながら羽賀の右手を下から巻き返して左小外刈。さらに前に出て場外近くで羽賀の左内股を空振りさせると、再び釣り手を巻き返して攻撃に出る。しかし羽賀はこれを許さず左内股。互いに投げを狙った技が良く出る好試合。

鈴木、背中を捕まえて相手を引き寄せながらの左小外刈、これで羽賀の動きを止めるとほとんど同時に奥襟を掴んで羽賀の頭を下げさせる。この展開が二度続きしばし鈴木有利の時間帯が続くが、羽賀は押し込まれながらも左内股を仕掛けるなど不利を簡単には受け入れず、技を出し続けて展開をキープ。

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写真:鈴木は釣り手を
巻き返しながら得意の
膝裏に引っ掛ける小外刈
続くシークエンスは圧の掛け合い。羽賀が一瞬大外刈のフェイントを入れた左内股で展開をブレイクするが鈴木は股中でこれを受け止めて動ぜず。

再開後鈴木は再び背中を叩きながらの左小外刈。羽賀ひるまず組み手を正すが、鈴木は圧をかけて前に出て、羽賀は巴投に逃れる。主導権は鈴木ながら試合は依然拮抗。残り時間は2分23秒。

鈴木ここで組み立てを変え、両襟を握った羽賀に釣り手を巻き返しながらの左大外巻込。これは深く入りあわやと思わせたが羽賀は一瞬の拮抗の後、なんとか体をずらして逃れ、鈴木は斜めに巻込み潰れて「待て」。

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写真:鈴木再三の大外巻込。
羽賀は思い切って返しを狙う
ここで受けに回っては展開を失うと見た羽賀、大内刈から大外刈、さらに左内股を2連発、連携して左小内刈と技を5回繋げて山場を作る。鈴木は滑り出るように場外へ。羽賀の物怖じせぬ試合ぶりに場内はどよめく。

しかしここでも展開を譲らぬ鈴木、左釣り手で羽賀の奥襟を深く叩く。
苦しい体勢の羽賀、頭を下げ切らずに引き手をいったん離し、釣り手ワンハンドで奥襟を叩き返したまま首抜きの方向に体をずらし、距離が出来たところを見計らって鈴木の腹を突いて背筋を伸ばし、さらに引き手を袖に持ち替えて完全に体勢を立て直して見せる。羽賀は一息つきたい間だがしかし鈴木はこれを落ち着かせる前にまたもや左大外巻込、羽賀の真裏にこれを追うと羽賀はなんとか伏せて逃れる。攻めも攻めたり、守りも守ったり。残り時間は1分4秒。

再開後、数合の手合わせを経て鈴木再び左大外巻込。今度は先ほどとは逆に前に引き寄せながらまず斜めに入って羽賀を止め、ついで真裏に方向転換。しかし羽賀はこの方向転換に怖じずにタイミングを合わせて真裏に鈴木を返しにかかり、双方の手が離れて羽賀が伏せ、「待て」。攻防のすさまじさに場内さらに沸く。残り時間は41秒。

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写真:場外際の攻防、
最後は羽賀(紅)の左小外掛に鈴木が
つんのめって倒れ伏せる
双方相当な消耗が見られるがまったく引かず。両襟の組み手争いから鈴木が左大外巻込のジャブ、さらに動きを止めずに足を入れ替えて左送足払に繋ぐがこれが空振り、その瞬間に羽賀は掬投の形で鈴木の空いた左腰に食いつく。懐に侵入された鈴木の腰が浮いたところに羽賀は右小外掛に体を捨て、鈴木はこれを透かしてかぶろうとして一瞬完璧な位置関係を作りかかる。しかし透かされかけた羽賀も既に技を決めに掛かっておりいち早く胸を畳にに向けて身体制御。羽賀のコントロールが強く、鈴木は左足を羽賀の右足に絡められたまま前方につんのめって伏せ落ちる。羽賀が食いついてからここまで僅か1秒強の中身の濃い攻防。場内大歓声。間違いなくこの試合一番の大きなインシデントで、これは羽賀にとって大きな印象点。

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写真:終了間際、
羽賀が大外刈で攻める
残り時間は僅か。双方前に出たところから鈴木が左内股、左小内刈と続けて放つが羽賀はこれを利して逆に両襟を得、左小内刈でけん制、そして一瞬左大内刈に触っておいての左大外刈という連続技。ひざを屈した鈴木が立ち上がったところにさらに左内股、戻りながら今度は左膝車で鈴木の体を外に展開し、これは大きな山場となる。ここで終了ブザー。

場内はこの日一番の熱戦に拍手、どよめき、そして口笛が鳴り響き騒然。
鈴木の勝ちあがりか、はたまた羽賀の勝利で時代が変わるのか。潮騒のようなどよめきの中、主審の「判定!」の声が響き渡る。

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写真:判定は2-1で鈴木。
金星を逃した羽賀は
思わず肩を落とす
注目の判定は、大迫明信主審が紅・羽賀を、松本範昌副審と古川博史主審が白・鈴木を支持。僅差2-1で辛くも鈴木が勝ち上がりを決めた。

双方ともに展開が揺れる勝負どころ、攻撃すべき場面を弁えて妥協せずに戦い抜いたこの試合。勝負の評価は前半が鈴木、後半が羽賀というところだが、試合をコントロールしながら有効打を繰り出し続けた鈴木に対し、前半の羽賀の技は鈴木の圧力に窮してのものが多かった。その状況から逃げの技でなく具体的な投げを狙いにいける羽賀の技術と度胸はたいしたものだが、前半の鈴木の有効打、加えて試合の主導権を握り続けた圧力に軍配があがったと評すべき試合だろう。
終盤の羽賀の小外掛は「有効」に近いポイントであり、この点羽賀に旗があがってもまったくおかしくない試合ではあったが、羽賀が鈴木の「名前」をハッキリ覆すほどの攻めを見せられなかったと言っても良い。

光ったのは鈴木の戦術眼。前半に羽賀を苦しめたのは、組みながら相手を引き出しての左小外刈と左大外巻込。いずれも最初のジャブで手ごたえを得、しかも単純にこれを継続するのではなくディティールを変えながら2度、3度と繰り出し続けて展開を握った。試合の中で効く技を見極める目とそれを継続する戦術眼。不利の予感が漂いかけたここ一番で常に前に出続けた圧力とともに、百戦錬磨の鈴木の経験値と勝負勘を改めて見せ付けた試合だった。

羽賀もこの全日本という最高の舞台で久々その実力に見合った活躍を見せてくれた。度重なる負傷で高校時代の圧倒的な強さのイメージが薄れ掛けていたところであったが、所属の東海大の「ジックリ育てる」育成方針がいよいよ実を結びかけている印象だ。戦後は篠原信一監督も二度、三度と名前を挙げてその期待は露わ。いよいよブレイクは間近と見た。

両選手が畳を降りても拍手は鳴り止まずますます高まる。これぞ全日本。間違いなく今大会ベストバウトと呼べる一番だった。

石井竜太○大外刈(1:03)△高橋和彦

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写真:石井開始早々の右内股
伸び盛りの新鋭・石井とベテラン高橋による巨漢対決。
石井は右、高橋は左組みのケンカ四つ。
石井あっさりと引き手でまず高橋の右襟を得ると、ついで釣り手で高橋の奥襟をガッチリと掴む。なんと力自慢の高橋の背中が曲がって小さくなってしまい場内に軽いどよめき。どうやら地力は石井に軍配。

自信満々で前に出続ける攻める石井に対し高橋はほとんど下がる一方。石井、34秒には高橋を場外際に追い込み、腰の差しあいから右内股を放って高橋の体は中空へ。高橋からくも崩れ伏せる。

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写真:石井が125kgの高橋を
裏投で持ち上げる。見ごたえのある
パワーファイト
奮起した高橋、背中を叩いて腰を差すが石井はこれを裏投で完全に持ち上げる。高橋の体が中空にある一瞬、歓声と悲鳴が会場に交錯するが石井これは投げきれず高橋はそのまま着地。着地の勢いで体を浴びせにきた高橋の前に石井は伏せて一旦展開を切る。重量級らしい見ごたえのある攻防。そしてパワーファイトでの石井の優勢は明らか。

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写真:石井が大外刈で高橋を
叩き落として「一本」
石井、両襟を握って前へ。右大外刈を放ち、高橋が釣り手を離して腰を突いてディフェンスすると見るやすかさず釣り手を奥襟に持ち替える。圧力を感じた高橋はそのまま横滑りして場外際に逃れるが、石井これを逃さじとフェイントの右小外掛。慌てた高橋は左内股で反応して展開を切ろうとするが、石井は腰を抱いて高橋を場内に連れ戻すと、おもむろに動きの角度を変えてドンと力深く足を踏んで右大外刈。「ツインタワー」と言われた長身の高橋のさらに上、二階から振り下ろすように高橋の腰を乗り越えてその足を捕まえ刈り込むと、まともにそのパワーを食った高橋はのけぞるように畳にめり込んで「一本」。

石井が高橋のストロングポイントであるパワーで相手をねじ伏せた、その強さを見せ付けた試合だった。ケンカ四つの相手に敢えて引き手側から襟を持ち、寄せては釣り手で奥襟を叩く。自身の優勢を前提に構成したこの組み手も嵌り、パワーそしてそれをしっかり生かす試合の組み立てとこの試合は満点に近い出来。

試合後の高橋の感想は「100回やっても勝てない。そのくらいの実力差がある」。石井、自信に溢れた柔道で世界選手権代表の高橋を撃破、見事ベスト4に駒を進めた。

結果決まった準決勝のカードは

加藤博剛 - 百瀬優
石井竜太 - 鈴木桂治

となった。


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