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※eJudo携帯版「e柔道」12月29日掲載記事より転載・編集しています。

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若潮杯争奪武道大会レポート 3/3

女子
重量3枚並べて敬愛高が圧勝
3位松商学園高は高校選手権に向け注目


昨年優勝の阿蘇高(熊本)は不参加。

高校女子柔道界は全体の実力的には西高東低の傾向にあるが、近畿以西のチームは敬愛(福岡)、東大阪大敬愛(大阪)、西京(山口)の3校のみ、さらに強豪校ひしめく東京からは帝京の1校のみが出場と、地区別の分散度合いはともかく、実力的な勢力分布図からするといささか不均衡な顔ぶれ。

52kg級、63kg級、無差別という体重制限がある高校選手権とは異なるレギュレーション(無差別)で行われる大会ということもあり、必ずしも高校選手権に登場するメンバーが出場するというわけではない。この点、男子ほどには結果が同大会に直結するわけではないが、それでも参加校、選手の顔ぶれは冬季の招待試合では間違いなく随一。大会自体が少なく、関東を中心とした全国の要所での強豪校の合同合宿が唯一の「品評会」であるこの時期、得られる戦力情報は貴重だ。簡単に大会の様子をレポートしてみたい。

出場高は、千葉商高(千葉)、西京高(山口)、富士市立高(静岡)、東海大第四高(北海道)、富山商高(富山)、埼玉栄高(埼玉)、土浦日大高(茨城)、敬愛高(福岡)、大網高(千葉)、松商学園高(長野)、大成高(愛知)、東北高(宮城)、作新学院高(栃木)、大垣日大(岐阜)、東大阪敬愛(大阪)、帝京(東京)の16チーム。男子同様、4チームずつに分かれての予選リーグを行い、上位2校が決勝トーナメント進出の権利を得る。

【予選リーグ】

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写真:予選リーグ、敬愛・畑村愛恵が
埼玉栄・小針由江を袈裟固に抑え込む
予選リーグ中最大の注目対決はBブロック、優勝候補筆頭の敬愛高(福岡)と対抗馬と目された埼玉栄高(埼玉)が激突した一戦だ。

[予選リーグBブロック]
敬愛高 2-0 埼玉栄高
(先)西田未来○優勢[指導2]△染野史栄里
(中)堀歩未×引分×安沙好
(大)畑村愛恵○袈裟固△小針由江

敬愛は78kg級の西田未来と堀歩未、大将に95kgの畑村愛恵と大型選手が目白押し。エース格の1年生、78kg超級の岡史生はビデオ撮影係に回して温存という偵察オーダー。
対する埼玉栄の重量選手は大将の98kg、小針由江のみ。57kg級埼玉県王者(23年関東大会予選)の染野史栄里、63kg級の安沙好を前2つに起用した軽量チームだ。

試合はこの体格差が露骨に現れる。先鋒戦は埼玉栄・染野が右一本背負投を仕掛け続けるが、西田の圧力の前に59秒、場外で「指導1」。さらに背中を取って内股、大腰を仕掛けてくる西田をなんとかいなし続けるが、あと少しで引き分けという残り14秒に再び場外で「指導2」を失ってしまう。西田の優勢勝ちでまず敬愛が1点を先制。

中堅戦は安沙好が果敢に得意の大内刈を仕掛けて引き分けに持ち込むが、大将戦は敬愛・畑村愛恵が、金鷲旗で天才・田代未来の膝を破壊した「両足をついて潰れてからの巻き込み」で小針由江を潰すと袈裟固に抑え込んで「一本」。敬愛が文句なしの圧勝、2-0でこの試合をモノにした。

[予選リーグCブロック]
松商学園高 1-0 大成高
(先)出口クリスタ○優勢[指導2]△濱田早萌
(中)津金恵×引分×月野珠里
(大)宮川史帆×引分×藤原恵美

52kg級インターハイ王者の出口クリスタ、63kg級インターハイ2位の津金恵に78kg級の宮川史帆と高校選手権のレギュレーション通りに強豪を並べた松商学園に対し、大成も44kg級世界ジュニア2連覇の濱田早萌、63kg級の強豪月野珠里、78kg超級インターハイ2位の藤原恵美と並べてこれは高校選手権に直結するガチンコ勝負。

この試合は出口が「指導2」を奪って松商学園が先制。続く2試合をしっかり引き分けて1-0で勝利した。出口、津金の動きの良さは会場でも際立ち、今シーズンに賭けるチームの意気込みの高さを感じさせた。

[予選リーグDブロック]
帝京高 2-0 東大阪敬愛高
(先)伊勢崎詩乃○優勢[技有]△安達沙緒里
(中)橋本舞香○優勢[有効]△富田杏菜
(大)森田智子×引分×中村彩花

帝京が西の強豪、東大阪敬愛を圧倒。
高校選手権を志向して44kg級の安達沙緒里を起用してきた東大阪敬愛に対し、帝京は63kg級2名、70kg級1名という中量構成。
帝京は先鋒伊勢崎詩乃の優勢勝ちを受けて登場した全日本カデ選手権2位の橋本舞香が「有効」を奪って勝利。この時点で勝利を決めると全日本カデ70kg級3位の森田智子がしっかりと引き分け、問題なく2-0で勝利した。

予選各リーグの順位とスコアは下記。

[予選リーグAブロック]
①千葉商高(千葉) 3勝0敗 (一本勝ち×3)
②西京高(山口) 2勝1敗(一本勝ち×2)
③富士市立高 1勝2敗(一本勝ち×1)
④東海大第四高 0勝3敗(一本勝ち×0)

西京高 ①-1 千葉商高
富士市立高 1-0 東海大第四高
千葉商高 ①-1 富士市立高
西京高 ①-1 東海大第四高
千葉商高 2-1 東海大第四高
富士市立高 ①-1 西京


[予選リーグBブロック]
①敬愛高(福岡) 3勝0敗 (一本勝ち×6)
②埼玉栄高(埼玉) 2勝1敗(一本勝ち×3)
③富山商高 1勝2敗(一本勝ち×2)
④土浦日大高 0勝3敗(一本勝ち×0)

埼玉栄高 3-0 富山商高
敬愛高 3-0 土浦日大高
富山商高 2-1 土浦日大高
敬愛高 2-0 埼玉栄高
敬愛高 3-0 富山商高
埼玉栄高 3-0 土浦日大高

[予選リーグCブロック]
①松商学園高(長野) 3勝0敗 (一本勝ち×4)
②大成高(愛知) 2勝1敗(一本勝ち×4)
③東北高 1勝2敗(一本勝ち×3)
④大網高 0勝3敗(一本勝ち×0)

松商学園高 3-0 大網高
大成高 2-1 東北高
大成高 3-0 大網高
松商学園高 1-0 東北高
東北高 2-1 大網高
松商学園高 1-0 大成高

[予選リーグDブロック]
①帝京高(東京) 2勝0敗1分 (一本勝ち×3)
②東大阪敬愛高(大阪) 1勝2敗(一本勝ち×3)
③大垣日大高 1勝1敗1分(一本勝ち×2)
④作新学院高 0勝3敗(一本勝ち×0)

大垣日大高 2-0 作新学院高
帝京高 2-0 東大阪敬愛高
東大阪敬愛高 2-0 作新学院高
帝京高 1-1 大垣日大高
帝京高 3-0 作新学院高
東大阪敬愛高 2-1 大垣日大高

【準々決勝】

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写真:敬愛高・畑村-大成高・藤原
による大将戦
敬愛高 1-0 大成高
(先)堀歩未○優勢[指導2]△濱田早萌
(中)岡史生×引分×月野珠里
(大)畑村愛恵×引分×藤原恵美

準々決勝中最大注目の一戦。敬愛はエースの岡史生を投入したが、結果は1-0の辛勝。高校選手権レギュレーションで戦った大成を相手に挙げた点は堀が44kg級の濱田から挙げた1点のみで、藤原-畑村の大将戦の結果次第ではどうなるかわからない試合だった。

敗れた大成、高校選手権の上位進出はまずまず堅い好チームだが、旧チーム同様、強豪を相手にした場合の具体的な得点力が課題。特に藤原が超級選手と泥試合に陥った場合の手立てのバリエーション、その選択の良し悪しが順位に直結するのではと思われた。

埼玉栄高 3-0 千葉商
(先)犬井亜美○小内刈△山崎麻里
(中)安沙好○内股△清水雅子
(大)小針由江○大内刈△井桁朝子

埼玉栄は千葉商を問題にせず。この試合は57kg級の犬井亜美が先鋒に登場、同階級の山崎麻里から小内刈で一本勝ち。安、小針も2連勝で3-0のパーフェクトゲーム。

松商学園高 2-0 東大阪敬愛高
(先)出口クリスタ○優勢[技有・巴投]△安達沙緒里
(中)津金恵○内股△久堀恵奈
(大)宮川史帆×引分×中村彩花

出口、津金の動きの良さは相変わらず。大将宮川は78kg級で全日本ジュニア出場の中村彩花とも引き分け、どうやら全国の強豪とも戦っていける見込みが立ちつつある気配。
一方、東大阪敬愛の先鋒、44kg級の安達沙緒里はインターハイチャンピオンが相手で厳しい対戦ではあったが、高校選手権レギュレーションの52kg級ではやはり線の細さが目立つ。格好の先鋒を手に入れたかに見えた東大阪敬愛高だが、安達は3月までにもう一段力を上げる必要がありそうだ。

帝京高 1-0 西京高
(先)伊勢崎詩乃○支釣込足△萩野愛子
(中)森田智子×引分×山西咲衣
(大)商瑠羽×引分×山本楓

帝京はインターハイ予選でチームでレギュラーを務めた商瑠羽を投入。先鋒伊勢崎詩乃が挙げた1点をテコに2試合をしっかり戦い、1-0でベスト4進出を決めた。

【準決勝】

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写真:埼玉栄高・大将の小針由江が
支釣込足「有効」を奪う
埼玉栄高 2-1 松商学園高
(先)染野史栄里△大外刈○出口クリスタ
(中)安沙好○優勢[有効・大内刈]△津金恵
(大)小針由江○優勢[有効・支釣込足]△宮川史帆

松商学園は選手を変えず52kg級、63kg級、無差別の高校選手権レギュレーションで臨み、埼玉栄は先鋒に57kg級の染野史栄を起用。
中堅戦では松商学園・津金恵に、10年全国中学大会63kg級王者で夏のインターハイでもレギュラーとして団体戦3位に貢献した埼玉栄・安沙好がマッチアップするという同階級の強豪同士の対決が実現。

松商学園・出口の一本勝ちを受けて始まったこの対戦は安が29秒に得意の大内刈で「有効」を奪ってリード。以後津金は猛攻、安は大内刈を打ち返しながらこれをしのぐが、終了間際に津金が飛びだして前に押し込むと、安はまっすぐ下がってバランスを崩し、ここでブザー。安はそのまま背中から倒れ、津金はそれにかぶって形自体は完全な「一本」。会場ざわめく中、審判団が合議したがこれは時間外という判断になりノーカウント。安が優勢勝ちで埼玉栄が貴重な1点を挙げた。

勢いに乗る埼玉栄は小針由江が得意技の支釣込足で加点。2-1の逆転勝ちで決勝進出を決めた。大将戦は順当な結果で、勝敗のポイントは明らかに中堅戦、厳しい対戦を勝利した安は殊勲だった。

惜しくも敗れはしたが、松商学園高はレギュレーションに選手構成がピタリと嵌り、高校選手権では上位進出の有力候補。代表戦は任意の選手で行われるルールのため、ポイントゲッターが小兵である同校は2点先取が勝利の絶対条件ではあるが、大将宮川の今後の仕上がり次第では頂点に絡む可能性もある。

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写真:敬愛高・西田と帝京高・伊勢崎の
先鋒戦
敬愛高 2-0 帝京高
(先)西田未来×引分×伊勢崎詩乃
(中)堀歩未○払腰△森田智子
(大)畑村愛恵○袈裟固△商瑠羽

敬愛が帝京を地力で圧倒。堀、畑村の連続一本勝ちで帝京を問題にせず。
この結果、決勝は予選リーグの再現、敬愛と埼玉栄の対決となった。

【決勝】

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写真:敬愛高-埼玉栄高は予選リーグ
に続きこの日2度目の対決
敬愛高 - 埼玉栄高
(先)堀歩未 - 犬井亜美
(中)岡史生 - 安沙好
(大)畑村愛恵 - 小針由江

敬愛は予選リーグの西田に換えて岡を投入。
一方の埼玉栄も先鋒を予選リーグと入れ替え、これまで併用して使ってきた57kg級の犬井亜美を起用した。

どこからでも得点を狙える敬愛の最大の得点ポイントは体格に勝る先鋒戦。予選リーグと同カード、一本勝ちを収めている大将戦がそれに続く。単純戦力比較では敬愛が上。

埼玉栄は体格、力関係の上下に関わらず得点の可能性を秘める安沙好を中堅に据えるが、いかんせん岡が相手ではこれは「意外性」の範疇。大将の小針は力関係を覆すというタイプではなく、唯一トップレベルから一発を狙える支釣込足の破壊力はすでに周囲に知れ渡って警戒されてしまっておりここでの得点は難しい。具体的な取りどころが見つからない以上、先鋒戦を引き分け、出来得ればリードで終わり、中堅安の意外性を引き出すための下準備、相手が焦って試合をせざるを得ないような状況を作っていくしか手立てがない。

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写真:堀が払巻込「技有」を奪う
先鋒戦は敬愛・堀、埼玉栄・犬井ともに左組みの相四つ。
犬井はなんとか堀の隙を見つけたいところだが、堀は、キッチリ反時計回りに歩を運んで、犬井の左側からまず引き手を抑えてくる。引き手を抑えると、釣り手をさらしながら奥襟を狙い、犬井の意識が襟に集まると見るや払巻込。犬井は左袖を切り離そうともがくが、堀は抑えたまま前に押し込んで前進、切るだけの空間を作らせない。

体格に大きく回る堀にここまで丁寧に組み手を構成されては犬井は為す術がない。堀は55秒に左払巻込「技有」、さらに1分12秒払巻込「技有」を奪って一本勝ち。

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写真:安は果敢に大内刈で攻め込む
中堅戦は敬愛・岡史生と埼玉栄・安沙好、ともに1年生同士の対戦。昨年の全国中学大会、岡は団体戦で、安は個人戦で優勝、ともに大会MVP級のインパクトを残しており、このカードは1年生世代のスター対決。

岡は左、安は右組みのケンカ四つ。
岡は上、安は下から釣り手を持ち、安が得意の大内刈で激しく追うと岡はまっすぐ下がって場外へ。敬愛サイドから「(安の技は)それだけだ!」と声が飛ぶが安はひるまず大内刈を仕掛け続け、右体落、腰を先に突っ込んでの右内股へと繋ぐ。
安の強気にやや気おされたか、岡の左内股は後の先、1分8秒にしかけた左内股も遠間から足先を突っ込んだのみで効かず。岡、1分半を過ぎて得意の出足払を仕掛け始めるが安は巧みに捌いて崩れず。

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写真:岡の左内股を安が股中で
透かしこらえる
2分26秒、安は腰をぶつけておいての右内股、さらにそこから大内刈で岡を伏せさせる強気な試合運び。このままでは終われない岡も大内刈、内股、出足払と仕掛け続けるがどうしても安の後手を踏んでしまい追い詰めるだけの技をまとめることが出来ない。この試合はこのまま引き分けに終わり、敬愛の1点リードは継続。安は難敵を相手に好試合を演じたが、もっとも得点の可能性が高かったこの中堅戦で取れず、埼玉栄の勝利の可能性は一気にしぼむ。

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写真:敬愛・畑村は組み勝ち、
また先手で払巻込を仕掛けて攻勢
大将戦は予選リーグと同カード。この試合も敬愛・畑村がケンカ四つの小針を相手に組み勝つと、潰れながらの巻き込み、腰を切っての圧力と攻勢。50秒に奥襟を叩くと小針頭を下げて防御し、極端な防御姿勢の判断で小針に「指導1」。1分20秒には畑村組み付くなり一旦腹を出して姿勢を直しての左体落。小針大きく崩れたところで「指導2」が与えられる。

2分44秒に小針が支釣込足で大きく畑村を崩す場面があったが、その後大勢は動かず。敬愛が再び2-0で危なげなく埼玉栄を降し、2年ぶりの優勝を決めた。

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写真:優勝の敬愛高
吉元幸洋・敬愛高監督のコメント
「九州の新人戦でも負けています(準々決勝で宮崎日大高に1-2)し、まだまだ完成していないチームです。少しずつ直して春は万全で迎えたいと思います。(1年生の芳田司選手など強い選手もいますね?)単純にまだ団体戦に出す力がないです。ただ、層が厚くなってきていますし来年も良い選手が入ってきますので、5人制の金鷲旗も含めて非常に楽しみにしています)。

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写真:2位の埼玉栄高
【入賞者】
優勝:敬愛高(福岡)
準優勝:埼玉栄高(埼玉)
第3位:帝京高(東京)、松商学園高(長野)

[準決勝]
埼玉栄高 2-1 松商学園高
敬愛高 2-0 帝京高

[決勝]
敬愛高 2-0 埼玉栄高

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