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平成31年全日本カデ柔道体重別選手権大会・男子7階級マッチレポート

(2019年4月19日)

※ eJudoメルマガ版4月19日掲載記事より転載・編集しています。
平成31年全日本カデ柔道体重別選手権大会・男子7階級マッチレポート
日時:2019年4月14日
会場:東和薬品RACTABドームサブアリーナ(大阪府門真市)

文責:古田英毅
撮影:坂口美貴/eJudo編集部

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■ 55kg級 力強い担ぎ技を連発、佐藤優磨が全試合一本勝ちで優勝飾る
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ここまで全試合一本勝ちの佐藤優磨

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決勝に臨む五十嵐雅人

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決勝、佐藤が左袖釣込腰で「技有」先制

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佐藤は右小内刈「技有」も追加、合技「一本」で快勝。

決勝に進んだのは佐藤優磨(広陵高3年)と五十嵐雅人(埼玉栄高1年)の2人。

カデカテゴリでは最年長学年となる佐藤はパワフルな担ぎ技を次々決めて初戦から目立っていた。1回戦は北園隆道(新田高1年)から開始早々の9秒に背負投「技有」、2分24秒に一本背負投「技有」と立て続けに奪って合技「一本」の快勝。準決勝は山城暁仁(修徳高2年)から1分53秒、2分7秒と2度小内刈で「技有」を奪い、これも合技「一本」で勝ち抜けた。

一方の五十嵐は1回戦で村上毅気(京都文教高3年)から小内刈「技有」で勝利、準決勝は樋口晃生(足立学園高1年)から開始早々に大内刈「技有」を奪うと、3分12秒送襟絞「一本」に仕留める快勝で、みごと決勝の畳へと駒を進めることとなった。

【決勝】

佐藤優磨○合技[袖釣込腰・小内刈](1:51)△五十嵐雅人

決勝はともに右組みの相四つ。短駆の佐藤はパワフル、右小内刈をぶつけていきなり五十嵐を伏せさせる。五十嵐は引込返を見せるが取り切れず「待て」。
41秒、佐藤が組み際に左袖釣込腰。体を深く折り曲げ、投げ終わりには自らの片脚が高く上がる強烈な一撃に五十嵐肩から畳に落ちて「技有」。
以後は佐藤が右小内刈に右の内巻込で積極的に攻め、五十嵐がその攻め終わりを狙って引込返で寝技に持ち込まんとする展開。1分過ぎに五十嵐が抱きつきの大内刈を狙うと佐藤体捌き良くかわし、伏せた五十嵐の背について脚を腕に絡め「ホイジンハロール」の形を作り掛けるが「待て」。

佐藤は巴投に左袖釣込腰と組み際の技を連発、五十嵐はやはりかけ終わりを崩して今度は「秋本返し」を狙うが「待て」。
1分51秒、佐藤が組み際に片襟の右小内刈。やや虚を突かれた五十嵐佐藤の力をまともに受けて転がり「一本」。佐藤の優勝が決まった。

佐藤は短駆の体に筋肉をギッシリ詰め込み、パワフルな技で全試合一本勝ち。3試合で6つの「技有」を奪うという圧勝だった。決勝は絡みついての寝勝負を期す五十嵐に対し、駆け引き無用と組み際に技を集めた作戦が功を奏した。

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55kg級上位入賞者。左から準優勝の五十嵐雅人、優勝の佐藤優磨

【入賞者】
優 勝:佐藤優磨(広陵高3年)
準優勝:五十嵐雅人(埼玉栄高1年)

佐藤優磨選手のコメント
「(-力強い柔道ですね?)トレーニングを毎日やるように心がけています。今日は、まさか優勝出来ると思っていませんでした。日々まじめに練習してきてよかったです。得意技は小内巻込。山場は準決勝、自分は左組みが苦手でなかなか難しい試合でしたが、決め切ることが出来て良かったです。」

【1回戦】
佐藤優磨(広陵高3年)○合技[背負投・一本背負投](1:24)△北園隆道(新田高1年)
山城暁仁(修徳高2年)○不戦△顕徳海利(望海中3年)
五十嵐雅人(埼玉栄高1年)○優勢[技有・小外刈]△村上毅気(京都文教高3年)
樋口晃生(足立学園高1年)○合技[内股・払腰](1:43)△伊藤大輔(東海大山形高2年)

【準決勝】
佐藤優磨○合技[小内刈・小内刈](2:07)△山城暁仁
五十嵐雅人○送襟絞(3:12)△樋口晃生

【決勝】
佐藤優磨○合技[袖釣込腰・小内刈](1:51)△五十嵐雅人

■ 60kg級 辻岡慶次が優勝、爆発力と安定感ともに見せつける
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階級を下げて今年も決勝まで勝ち残った高田顕矢

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1回戦、辻岡慶次が工藤泰輝から肩車「技有」

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1回戦、中島瑞貴が服部辰成から払巻込「技有」

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決勝、辻岡が左背負投を決め切って「技有」

(エントリー8名)

決勝に進んだのは第1シードの高田顕矢(足立学園高2年)と、第2シードの辻岡慶次(大成高2年)の優勝候補2名。

2017年全国中学校柔道大会66kg級2位、昨年度この大会でも66kg級で2位に入っている高田は階級を1つ下げての出場。1回戦は古賀雅都(佐賀商高1年)に残り32秒で奪った内股「技有」で勝利。準決勝は吉田泰生(南筑高2年)を「指導3」の反則で破り、3年連続で全国大会決勝の畳へと辿り着いた。

一方の辻岡は2年生世代の全国中学校柔道大会王者、3月の全国高校選手権ではベスト8まで勝ち進んでいるこの学年をリードする存在だ。1回戦は工藤泰輝(修徳高1年)から「指導2」を奪って迎えたGS延長戦26秒に肩車「技有」を得て勝利。全中決勝の再現カードとなった中島瑞貴(西日本短大附高2年)との準決勝は1分36秒に中島の右袖釣込腰を止め、制し返して隅落「技有」奪取、このポイントで優勢勝ち。徹底マークをかいくぐってしっかり決勝まで勝ち上がった。

この階級唯一の中学生、昨年度全国中学校柔道大会2位の服部辰成(東海大相模高中等部3年)は初戦で中島に敗れた。2学年上の中島の力と組み手に翻弄され、1分46秒に払巻込で「技有」を失うと、以後ほとんどチャンスを作れなかった。

【決勝】

辻岡慶次○合技[背負投・崩上四方固](2:25)△高田顕矢

決勝は辻岡が左、高田が右組みのケンカ四つ。引き手争いが続き、辻岡が小外刈を放ちながら寄せるが状況変わらず。41秒双方に片手の「指導」。

再び高田が上、辻岡が下から釣り手を持っての引き手争い。浅くながら袖を握るのは高田だが、辻岡は敢えて持たせている印象。小外刈を打ちながら腰の切り合いに誘う。双方崩れたところから高田が横三角を狙うが「待て」。

続く引き手争いも高田が浅くながら袖を握るが、1分7秒に辻岡が肘抜きの左背負投。耐えた高田の重心が右後隅方向に流れるとみるや体を「く」の字に折り曲げて追いかけ、高田が手を着いて逃れんとすると今度はその回避先である右前隅に走りこむ。脇下に頭を突っ込む形で固定、膝を伸ばしながら体をジャックナイフのように折って投げ切った執念の一撃は「技有」。辻岡そのまま横四方固、最後は崩上四方固で抑え切って「一本」。

辻岡は順当に、再びこの学年の覇権を手にした。実力はもちろんだが、何より意識の高さと使命感で他選手から頭ひとつ抜けていた印象であった。

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60kg級上位入賞者。左から準優勝の高田顕矢、優勝の辻岡慶次

【入賞者】
優 勝:辻岡慶次(大成高2年)
準優勝:高田顕矢(足立学園高2年)

辻岡慶次選手のコメント

「決勝で決めた技は左背負投、相手が横にずれたのでその方向に合わせて投げました。自分の柔道をしっかり見せたかった。最初は体が動かなかったのですが、最後は自分から掛けて一本を取れたので、ちょっとホッとしています。得意技は足技。自分はまだまだ高校2年生なので、どんどん向かっていく思い切りの良い柔道をして、シニアの舞台に上がりたいです。」

【1回戦】
高田顕矢(足立学園高2年)○優勢[技有・内股]△古賀雅都(佐賀商高1年)
吉田泰生(南筑高2年)○腕挫十字固(2:24)△稲垣一也(東大阪大柏原高1年)
辻岡慶次(大成高2年)○GS技有・肩車(GS0:26)△工藤泰輝(修徳高1年)
中島瑞貴(西日本短大附高2年)○優勢[技有・払腰]△服部辰成(東海大相模高中等部3年)

【準決勝】
高田顕矢○GS反則[指導3](GS2:33)△吉田泰生
辻岡慶次○優勢[技有・小内刈]△中島瑞貴

【決勝】
辻岡慶次○合技[背負投・上四方固](2:25)△高田顕矢

■ 66kg級 福田大和が圧勝V、全試合一本勝ちで素材の良さ見せつける
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滝本大翔は一学年上の強者・津嘉山稔を破って決勝進出

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準決勝、福田大和が猪瀬真司から送襟絞「一本」

(エントリー8名)

決勝に進んだのは滝本大翔(東海大相模高1年)と福田大和(平田高1年)、この春から高校生になったばかりの2名。

滝本は1回戦で秋田伯(比叡山高1年)からGS延長戦「指導3」を得て勝利。山場と目された準決勝は2017年全国中学校大会73kg級優勝の津嘉山稔(国士舘高2年)を1分33秒内股「一本」に仕留め、勢いに乗っての決勝進出。

一方、昨年の全国中学校大会王者・福田の勝ち上がりは素晴らしい。1回戦は生井沢悠斗(福井工大福井高1年)を3分37秒肩車「一本」。準決勝では中学3年生ながら3月の川村杯を制した猪瀬真司(埼玉栄高1年)と対戦。昨年の全中決勝で激戦を演じた相手だが、福田の前進圧力の前に猪瀬が右一本背負投で掛け潰れたチャンスを見逃さず、掴んだ襟を離さぬまま片脚で素早く背を乗り越え「ボーアンドアローチョーク」。耐える猪瀬をそのまま絞め落とし3分11秒送襟絞「一本」。2試合連続の一本勝ちでしっかり決勝まで上り詰めた。

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決勝、開始早々福田が自らも浮き上がる豪快な内股で会場を沸かせる

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福田が右一本背負投で投げ切って「一本」

【決勝】

福田大和○一本背負投(1:23)△滝本大翔

福田が右、滝本が左組みのケンカ四つ。試合が始まるなり福田が左内股、組み合ったかと見えるなりヒラリと身を翻し、高々揚げた脚で相手を舞わす。どころか自分も軸足ごともろとも空中に舞い上がる強烈な一撃、おそらく決めのために跳びあがったこの動作ゆえ引き手が切れてしまったが、その豪快さに観客席からどよめきが起こる。

福田動き良く、滝本の周囲を旋回して巴投。相手が伏せるとそのままの勢いで背について攻撃継続。続く展開も動きの中で巴投に飛び込み、直後の57秒には滝本に消極の「指導」。福田は以後も右袖釣込腰に、両袖を纏める形の右内股と迫力の攻め。

1分23秒には腰を引いた相手の腋に腕を突っ込んで右一本背負投。間合いやや遠く右横方向への技となったが腕の抱き込みが深く、危機を感じた滝本は慌てて左手を畳に着いて耐える。しかし股中に潜り込んだ福田は肩をさらに一段深く抱き込むと両膝を思い切り伸ばしてフィニッシュ。「爆発力」という言葉を用いるのがふさわしいこの動作に滝本たまらず吹っ飛び「一本」。福田、圧勝で全国中学大会に続くビッグタイトルを手にすることとなった。

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66kg級上位入賞者。左から準優勝の滝本大翔、優勝の福田大和

【入賞者】
優 勝:福田大和(平田高1年)
準優勝:滝本大翔(東海大相模高1年)

福田大和選手のコメント
「(-凄い技の切れ味ですね?)自分自身では技の切れ味があるという意識はなくて、色々な技が出来るのが特徴だと思っています。どの試合も大変でした。準決勝で一本勝ち出来たことが大きかったです。(-先輩の佐々木健志選手が国際大会で活躍していますね?)常に健志先輩を目指して、日々練習をしています。今の目標は、世界カデとインターハイで優勝することです。」

【1回戦】
津嘉山稔(国士舘高2年)○優勢[技有・袖釣込腰]△樋口大翔(香長中3年)
滝本大翔(東海大相模高1年)○GS反則[指導3](GS1:56)△秋田伯(比叡山高1年)
福田大和(平田高1年)○肩車(3:37)△生井沢悠斗(福井工大福井高1年)
猪瀬真司(埼玉栄高1年)○GS背負投(GS0:51)△花岡晴琉(延岡学園高1年)

【準決勝】
滝本大翔○内股(1:33)△津嘉山稔
福田大和○送襟絞(3:11)△猪瀬真司

【決勝】
福田大和○一本背負投(1:23)△滝本大翔

■ 73kg級 小田桐美生が優勝、昨年敗れた決勝しっかり勝ち抜く
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1回戦、小田桐美生が藤井孝多から背負投で2つ目の「技有」

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選手宣誓も務めた朝田隼が決勝に勝ち残った

(エントリー8名)

決勝に進んだのは小田桐美生(国士舘高2年)と朝田隼(東海大仰星高2年)の2人。

昨年度大会2位、今大会は第1シードに配された小田桐は覚悟ある戦いぶり。1回戦は藤井孝多(東海大山形高1年)から1分11秒に肩車「技有」、2分27秒に背負投「技有」を追加して合技の一本勝ち。準決勝では一昨年は50kg級、昨年は60kg級で全国中学大会を制している後藤颯太(習志野高1年)とマッチアップ。技術的に癖のある難しい相手だが、総試合時間7分34秒の消耗戦を「指導3」対「指導1」で乗り切って決勝へと駒を進めることとなった。

一方、この日選手宣誓も務めた朝田は2年生世代の全国中学校大会66kg級王者。1回戦は宇津山英弥(浜松城北工高2年)から1分24秒小外刈「技有」、2分4秒には内股「一本」も追加して快勝。準決勝では第2シードに配された昨年度全国中学校大会の覇者・平野蒼空(桐蔭学園高1年)を大腰「技有」による優勢で蹴落とし、みごと決勝まで勝ち上がった。

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小田桐が左大内刈で突進

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切り返した朝田の右内股をヒラリと透かして「技有」獲得

【決勝】

小田桐美生○合技[内股透・上四方固](1:53)△朝田隼

小田桐が左、朝田は右組みのケンカ四つ。長身の朝田が奥襟を持っての右内股で攻め、短躯の小田桐は左背負投、さらに朝田の内股を潰しておいての「国士舘返し」で対抗。
引き手争いが続き、小田桐が肘抜きの片手左背負投を見せるが潰れて「待て」。膠着に業を煮やした朝田は釣り手で背中を抱き込むと、呼び込むような出足払一撃。非常に良い攻めと思われたが、直後主審はなぜか朝田の側に片襟の「指導」を宣告。

思わぬ反則失陥に奮起した朝田、支釣込足で崩して引き手で袖を掴む良い組み立てを見せる。朝田が仕掛けた試合の加速に応じた小田桐は肘抜きの左背負投に左小内刈、さらにいったん体勢を立て直すとケンケンの左大内刈で突進する。長身の朝田は場外際まで押し込まれるが、簡単には畳を割らず、その勢いを利して右内股に身を翻す。これも良い攻めと思われたが、小田桐体捌き良くその力の圏外に抜け出し、入れ替わるなり引き手の袖をグイと引っ張って畳に向かって落ちていく相手をコントロール。両足でしっかり立ったその懐内で相手を畳に押し付け内股透「技有」。

ここまで相手の体を制すれば、逃すわけにはいかない。小田桐相手を押し付けたまますかさず体を被せて崩上四方固。朝田の長い体を抑え切って1分53秒「一本」。小田桐、悲願の全日本カデ制覇なる。

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73kg級上位入賞者。左から準優勝の朝田隼、優勝の小田桐美生

【入賞者】
優 勝:小田桐美生(国士舘高2年)
準優勝:朝田隼(東海大仰星高2年)

小田桐美生選手のコメント
「去年決勝で負けて2位、悔しい1年間を過ごしました。やっと優勝出来て、本当に良かったです。今日のテーマは組み手と寝技。自分の強みでもあり、そこだけは負けたくなかったので我慢してずっとやり続けました。世界カデとインターハイがあるので、この2つでしっかり優勝したいです。」

【1回戦】
小田桐美生(国士舘高2年)○合技[肩車・背負投](2:27)△藤井孝多(東海大山形高1年)
後藤颯太(習志野高1年)○崩袈裟固(3:31)△伊藤栄都(四日市中央工高3年)
平野蒼空(桐蔭学園高1年)○反則[指導3](1:43)△嶌田有作(名張高1年)
朝田隼(東海大仰星高2年)○内股(2:04)△宇津山英弥(浜松城北工高2年)

【準決勝】
小田桐美生○GS反則[指導3](GS3:34)△後藤颯太
朝田隼○優勢[技有・大腰]△平野蒼空

【決勝】
小田桐美生○合技[内股透・上四方固](1:53)△朝田隼

■ 81kg級 大竹龍之介が貫録の優勝、持ち前の大胆さに加えて手堅さも披露
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1回戦、大竹龍之介が原凪人を開始19秒の裏投「一本」に仕留める

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決勝のコールを待つ鎌田直人

(エントリー8名)

決勝に進んだのは大竹龍之介(大成高3年)と鎌田直人(高知高2年)の2名。

第1シードの大竹は昨年度大会2位、最年長学年ということもあり今大会は優勝候補のまさしく筆頭である。1回戦は原凪人(埼玉栄高1年)を相手に僅か19秒、得意の裏投「一本」で勝ち抜け。得意の「抱き勝負」に打って出て抱きつきの大内刈、耐えられて返し合いとなったがあくまで戻らず、そのまま押し込んで小外掛式に足を持ち上げる裏投「一本」で勝負を決めた。密着ファイターならここまでやらねばダメ、というお手本のような肝の据わった試合だった。

準決勝では昨年度大会73kg級の覇者・中矢琉斗(新田高2年)から30秒豪快な「やぐら投げ」で「技有」、1分15秒には内股「技有」と立て続けに奪って快勝。2試合連続の一本勝ちでしっかり決勝の畳へと辿り着いた。

一方の鎌田は一昨年の全国中学校大会準優勝者。1回戦は昨年度全国中学大会2位の片山凪(報徳学園高1年)を、残り42秒に奪った内股透「技有」で突破。準決勝は昨年度全国中学大会の覇者・菊池駿星(大成高1年)から20秒大腰で「技有」を奪うと、最終盤に送襟絞に捉えて残り1秒で「一本」の快勝。2回戦敗退に終わった全国高校選手権の悔しさを晴らすべく、決勝の大舞台に挑む。

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決勝、鎌田が強烈な釣腰で先制攻撃

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拮抗から大竹が抜け出し、右払巻込「技有」。これが決勝点となった。

【決勝】

大竹龍之助○優勢[技有・払巻込]△鎌田直人

大竹、鎌田ともに右組みの相四つ。鎌田先制攻撃でペースを取るしかないと駆け引きなしに奥襟と袖を掴んで一方的に組み、大竹の頭が下がると釣り手を背中越しの後帯に握り替えて釣腰一撃、これは投げ切れなかったが素晴らしい攻め。一呼吸目のエアポケットを完全に突かれた形の大竹は続く展開も一方的に組まれるが、徐々に組み手を直して両袖、ここからの大内刈をきっかけに奥襟を掴む。しかし鎌田も体の強さを生かしてひたすら前へ。

大竹、横変形で噛み殺したところから「やぐら投げ」の奇襲を2連発するが効かず、抗した鎌田の右内股も空転して試合は拮抗。2分、大竹が組み際に再び良いタイミングで「やぐら投げ」を打つが、バランスよく降りた鎌田は再び奥襟から後帯を掴み、今度は右小内刈。大竹はたたらを踏んで崩れる。

拮抗が続く形だが、大竹ここで組み際に釣り手をいったん片襟に入れ、ここから流して払巻込。足首を捕まえられた鎌田耐え切れず、抱いて返そうとしたまま右前隅に転がって2分20秒「技有」。
大竹は自信を得て右大内刈に飛び込むが鎌田待ってましたとばかりに返し、「待て」。大竹今度は引き手で襟を掴んで右内股に出るも鎌田は受けが強く、立ったまま止めて大竹の方が潰れて「待て」。このあたりから残り時間を意識した大竹は矛を収め始め、残り15秒に鎌田の組み際の横落で激しく膝から落ちると、以後は完全に割り切って守備にシフト。珍しく横変形で引き手を抱き込んで手堅く相手を封殺。常の大竹のリミッター振り切りっぱなしの戦いぶりと「一本」にこだわったこの日のここまでからすると珍しい形であるが、しっかり時間を使ってタイムアップ。大竹が「技有」優勢で優勝を決めた。準決勝までは大胆な攻め、決勝のリード後は相手の強さを理解して手堅く、とタイトル奪取への強い覚悟が伺われる戦いぶりだった。

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81kg級上位入賞者。左から準優勝の鎌田直人、優勝の大竹龍之助

【入賞者】
優 勝:大竹龍之助(大成高3年)
準優勝:鎌田直人(高知高2年)

大竹龍之助選手のコメント
「去年決勝で負けたので、勝ってやろうという強い気持ちで戦いました。自分にとってポイントになったのは準決勝。『技有』を取ってからも気持ちを切らさず、強気の柔道が出来ました。逆に決勝では、リードしてから、取られないようにする戦いが出来たと思います。背中を持った時の接近戦には自信があります。そこからの裏投や大腰が得意です。高校選手権ではベスト8で負けてしまったので、インターハイでは1つでも上に行けるように頑張ります。」

【1回戦】
大竹龍之助(大成高3年)○裏投(0:19)△原凪人(埼玉栄高1年)
中矢琉斗(新田高2年)○大内刈(3:33)△川村虎白(大牟田高1年)
菊地駿星(大成高1年)○送襟絞(2:04)△東郷丈児(鹿児島情報高1年)
鎌田直人(高知高2年)○優勢[技有・内股透]△片山凪(報徳学園高1年)

【準決勝】
大竹龍之助○合技[釣込腰・内股](1:15)△中矢琉斗
鎌田直人○送襟絞(3:59)△菊地駿星

【決勝】
大竹龍之助○優勢[技有・大外刈]△鎌田直人

■ 90kg級 戸髙淳之介が優勝、足技の弾幕で強敵いずれも寄せ付けず
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1回戦、戸高淳之介が平見陸から送足払「一本」

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戸高は足技が冴え、準決勝の近藤那生樹戦も支釣込足「技有」で突破

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決勝には1年生世代の全中王者・中山康が勝ち上がった

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決勝、戸高は常に先に引き手で袖を得て手堅い試合ぶり

(エントリー8名)

決勝に進んだのは昨年度大会2位で2年生世代の全国中学大会の覇者・戸高淳之介(延岡学園高2年)と、昨年度の全中王者・中山康(大成高1年)。学年違いの中学王者2人が覇を争うこととなった。

戸高は1回戦で平見陸(天理高1年)を、1分26秒の送足払「一本」で一蹴。山場と目された準決勝では近藤那生樹(東海大相模高2年)とマッチアップ。熱戦が期待されたこの一番だが、戸高が足技の弾幕で崩し続けて、近藤は為す術なし。試合は近藤の「指導2」ビハインドでGS延長戦に縺れ込むが、ここまで我慢を続けていた近藤がもはや投げるしかないと突っ込むと、戸高はするりと体を入れ替えて支釣込足に捉えてGS2分4秒「技有」。戸高が完勝で決勝の畳へと勝ち上がることとなった。

一方の中山は1回戦で小澤陸斗(崇徳高1年)からGS延長戦51秒体落「一本」を奪って勝利。準決勝は不戦勝ちで、1戦を消化したのみで決勝に駒を進めることとなった。

【決勝】
戸髙淳之介○反則[指導3](3:21)△中山康

戸高、中山ともに左組みの相四つ。戸高先んじて引き手の袖を掴み、あくまで離さず。中山がなんとか切るが戸高すかさず再び袖を得るとこれを折り込み、釣り手でまず相手の肩に掌を当てて左釣込腰のアクション。これを餌に奥襟を得る面白い組み立てを見せる。この攻防は戸高が払巻込で潰れて終了、以後はやや膠着し、1分25秒双方に「指導」。

戸高は飛び込みながら小内刈の形で蹴り崩して中山を下げさせ、横変形に組み直して払腰。中山は大内刈を1度見せるが以後は組み手を直すことにリソースを消費するゆえか、ほとんど技が出ない。戸高が払腰から払巻込を見せた2分18秒には中山に2つ目の「指導」。

奮起した中山引き手で先んじて袖を得るが、戸高間を置かず左一本背負投を仕掛けてこれを剥がし、返す刀で奥襟を叩く。ここから飛び込むような小内刈の蹴り崩しを連続、中山は前に出ようとするが技が完全に止まり、3分21秒「指導3」が宣せられて試合が終わった。

戸高は要所で繰り出した足技が良く効き、中山に柔道をさせなかった。1回戦、準決勝とも足技で勝利しており、この部分の進境著しい。試合の組み立ても巧みで、良く考えて稽古をしていることが伺われた。

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90kg級上位入賞者。左から準優勝の中山康、優勝の戸髙淳之介

【入賞者】
優 勝:戸髙淳之介(延岡学園高2年)
準優勝:中山康(大成高1年)

戸髙淳之介選手のコメント
「内容を振り返ってみると、良い方だったのではないかと思います。(-足技が良く効いていましたね?)自分の得意技は、本当は内股。中学校時代は内股、内股とそればかりで柔道をしていたのですが、先生から『連絡技が大事だ』と言われて、実際に海外の選手を研究すると、大技よりも足技で決めているのが多いと感じました。これから上に行くためにはそれが必要だと思って、しっかり練習してきました。一番の山場は準決勝。去年も同じく準決勝で戦っていて、GSの大内返で勝った相手。いちど勝った相手には意地でも負けたくないと思って頑張りました。この学年では自分が一番だという気持ちを出せたと思います。まずインターハイで優勝すること、ひとつひとつの試合で優勝出来るようにこれからも練習を頑張っていきます」

【1回戦】
戸髙淳之介(延岡学園高2年)○送足払(1:26)△平見陸(天理高1年)
近藤那生樹(東海大相模高2年)○優勢[技有・大内刈]△田中愛斗(九州学院高1年)
中山康(大成高1年)○GS体落(GS0:51)△小澤陸斗(崇徳高1年)
田中航太(鹿児島情報高2年)○不戦△長濱佑飛(埼玉栄高1年)

【準決勝】
戸髙淳之介○GS技有・支釣込足(GS2:04)△近藤那生樹
中山康○不戦△田中航太

【決勝】
戸髙淳之介○反則[指導3](3:21)△中山康

■ 90kg超級 菅原光輝が覚醒、全試合一本勝ちで頂点極める
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2回戦、グリーンカラニ海斗が甲木碧から大外刈「一本」。

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準決勝、ビハインドを負ったグリーンが中村雄太の右背負投を振り返して「技有」。

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2回戦、菅原光輝が入来院大樹から大内刈でまず「技有」

(エントリー12名)

決勝に進んだのはグリーンカラニ海斗(日体大荏原高3年)と、菅原光輝(東海大相模高2年)の2名。

3月の全国高校選手権無差別で決勝まで進んだグリーンは第1シード。初戦(2回戦)は甲木碧(木更津総合高1年)を相手に投げ際で粘られ続けたが、1分56秒に大外刈で捕まえ、真裏に刈り倒して豪快「一本」。準決勝は上背、体重ともに上の中村雄太(東海大仰星高2年)を相手に「指導1」対「指導2」リードで順行運転も、残り1分4秒に右小外刈から体ごと押し込まれ「技有」を失う大ピンチ。このまま終戦かとも思われたが、中村が投げ合いに応じたことが幸い、直後中村が片襟から放った右背負投を裏に振り返して執念の「技有」奪回。GS延長戦1分6秒に3つ目の「指導」を得て、ぶじ決勝へと勝ち上がりを決めた。

菅原はノーシードからのスタート。初戦は笠原勇馬(作陽高1年)から 1分51秒に内股「技有」奪取、以後も攻め続けて残り58秒には3つ目の「指導」を得る完勝。2回戦は昨年の全国中学校柔道大会の覇者・入来院大樹(国士舘高1年)とマッチアップ。体重135キロの巨漢を相手に両襟から肘を上げての大外刈という強気の攻めで流れを掴むと、1分52秒に両襟の大内刈でねじ伏せて「技有」奪取。持ち前の柔らかさで粘り続けた入来院はこの失点で気持ちが切れた模様、菅原はこの隙を見逃さず直後の2分14秒に払巻込に捉えて「一本」。

完勝でベスト4に駒を進めた菅原は、ここで同県のライバル、一昨年全国中学大会決勝で敗れた中野智博(桐蔭学園高)とマッチアップ。2分59秒、斜めからの大内刈を捩じ入れて会心の「一本」。見事決勝へと駒を進めることとなった。

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決勝、菅原は両襟の右大外刈でまっこう勝負

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グリーンが裏投で返しに掛かるが、この際膝を負傷した模様。

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菅原がグリーンの右内股を透かし、畳に体を押し付け「一本」

【決勝】

菅原光輝○内股透(2:07)△グリーンカラニ海斗

グリーンが左、菅原が右組みのケンカ四つ。菅原釣り手を抑えると思い切った右内股、これは潰れたが以後も引き手を争いながら意欲満々前に出る。グリーンは左内股にケンケンの左大内刈で応戦。1分過ぎ、菅原が思い切った右大外刈。両襟を持ったまま引き手の肘を揚げ、ケンケンから真裏に刈り込まんとするこの日の菅原の勝負技である。グリーン受け止めるが菅原それこそ望むところとばかりに、軸足を踏み込んで必殺の刈り込み。掛けた位置からケンケンで360度回転する執念を見せる。この間に上体の拘束をずらしたグリーンも踏ん張って裏投一発。これで菅原を後方にねじ投げるが、前段の相手の踏み込みの深さゆえか背をつかせるには至らず、腹ばいに落ちて「待て」。

ところが踏ん張った際に膝を痛めたかグリーンが正座したまま立ち上がれない。ようやく立つと膝を気にする様子でおそるおそる屈伸を2度、3度。

試合が再開されると菅原すかさず出足払で足元を崩し、両襟の大外刈、大内刈、内股と迫力の攻め。これを受けて1分52秒にはグリーンに「指導」。

膝の負傷もあり、勝負を長引かせてはならぬと焦ったかグリーンは左内股。釣り手は上から背を抱いていたが、菅原の釣り手は内側に畳まれており十分その動きを効かせられる状態。菅原しっかり相手をコントロール、股中でクルリと相手の体を回すと両肩を押し付けるように畳に落とし、主審は「技有」を宣告。続いての菅原の抑え込みはすぐに「解けた」となったが、両者を畳に戻したところで映像チェックが入る。結果「一本」が宣せられ、菅原の勝利が決まった。

菅原は一皮剥けた印象。入来院、中野、グリーンと揃った強敵全てを、それも投げての「一本」で下した戦果の高さはもちろんだが、大外刈というリスクのある大技で攻めることで流れを掴むその内容には、中学3年時以来久々「大物」を感じさせるものがあった。菅原がこれだけ戦えるとなれば、インターハイに向けて所属の東海大相模高の評価も一段引き上げねばならないだろう。それほどインパクトある、大物・菅原の覚醒劇であった。

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90kg超級上位入賞者。左から準優勝のグリーンカラニ海斗、優勝の菅原光輝

【入賞者】
優 勝:菅原光輝(東海大相模高2年)
準優勝:グリーンカラニ海斗(日体大荏原高3年)

菅原光輝選手のコメント
「去年は1回戦負け。今年は負けられない、絶対優勝するという強い気持ちで戦いました。うれしいです。(-冬に比べて明らかに強くなったと思います。上積みは?)組み手や技を磨こうと、研究をしっかりしました。左の相四つに奥襟を持たれたときの対処や、組み際の技術を考えることに時間を割きました。(-かつてに比べて大外刈の頻度が増えましたね?組み立てが変わりましたか?)監督やコーチの方々に『お前の持ち味は大外刈だ、大外刈を中心に組み立てろ』とアドバイスを頂いて、思い切ってこの技で投げに行けています。自分のせいで団体戦で全国大会に出られず迷惑を掛けてしまったのですが、負けた以上にいままで以上に新味になって指導してくださる方々、励ましてくれる両親に結果で恩返し出来るように、きょうは頑張りました。次の目標はまず県予選を突破すること、そして団体と個人の両方でインターハイに優勝することです。」


【1回戦】
甲木碧(木更津総合高1年)○合技[谷落・出足払](2:09)△尼田光志朗(東海大相模高1年)
中村雄太(東海大仰星高2年)○GS反則[指導3](GS0:33)△岡田陸(国士舘高2年)
海堀陽弥(日体大荏原高2年)○内股(1:30)△高原大智(崇徳高1年)
菅原光輝(東海大相模高2年)○反則[指導3](3:02)△笠原勇馬(作陽高1年)

【準々決勝】
グリーンカラニ海斗(日体大荏原高3年)○大外刈(1:56)△甲木碧(木更津総合高1年)
中村雄太(東海大仰星高2年)○合技[小外刈・縦四方固](2:56)△野村陽光(埼玉栄高1年)
中野智博(桐蔭学園高2年)○GS技有・大外刈(GS2:13)△海堀陽弥(日体大荏原高2年)
菅原光輝(東海大相模高2年)○払巻込(2:14)△入来院大樹(国士舘高1年)

【準決勝】
グリーンカラニ海斗○GS反則[指導3](GS1:06)△中村雄太
菅原光輝○大内刈(2:59)△中野智博

【決勝】
菅原光輝○内股透(2:07)△グリーンカラニ海斗

※ eJudoメルマガ版4月19日掲載記事より転載・編集しています。

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