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全日本女子チームが合宿を公開、乱取り中心に欧州シリーズで見えた課題に取り組む

(2019年4月16日)

※ eJudoメルマガ版4月16日掲載記事より転載・編集しています。
全日本女子チームが合宿を公開、乱取り中心に欧州シリーズで見えた課題に取り組む
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全体でのウォーミングアップに笑顔で取り組む選手たち

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立技から寝技への際の練習が念入りに行われた。

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今年度第1回となる全日本女子強化合宿が16日、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)で行われた。今回の合宿は世界選手権とユニバーシアードに向け、冬季欧州遠征で明らかになった課題への対策を行うことを目的としている。

この日の練習では実業団や大学を招いての乱取りを中心とした内容が行われ、代表選手たちは追い込んだ練習で汗を流した。なかでも立技から寝技への連絡や組み負けた状態での動作の練習は入念に行われ、それぞれが自らの得意パターンを何度も確認していた。

練習のメニューは下記。

ウォーミングアップ

寝技打ち込み
・相手が膝をついた状態から 30秒×3
・相手が担ぎ技を仕掛けた状態から 30秒×3

寝技乱取り
・相手が膝をついた状態から 1分30秒×4
・相手が担ぎ技を仕掛けた状態から 1分30秒×4

立技打ち込み×8分
組み際の技の練習 1分×2本
逆技の練習 1分×2本
奥襟を持たれてからの練習 1分×2本
受けの練習 1分×2本

立技乱取り(寝技あり) 5分×4本×2セット
立技乱取り(寝技あり) 一本取り×20分

整備体操

増地克之監督と練習に参加した世界選手権日本代表選手のコメント要旨は下記。

増地克之監督のコメント
「(-阿部詩選手について)怪我した肩を無理させないように不参加になりました。稽古中に捨身技を掛けられて手が引っ張られたと聞いています。肩の違和感。本人は至って冷静です。無理すれば出られるでしょうが、しっかり治すために休ませました。(-国際大会への選手派遣について)誰を派遣するかなどまだ決まっていません。世界選手権から逆算して、良い状態で本番を迎えられるように決めていきたいです。(-明日のボルダリング体験について)毎回この時期は他競技を体験させています。思考力など、ボルダリングを通して学んでほしい。私も3月に経験しましたが、思っていたよりも頭を使います。始めにどう登るかイメージするのですが、思っているとおりにはいかない。体を支えながらどこを掴むかなど、柔道にも通じるはずです。きつい場面でいかに自分を客観視するかなど、選手に感じてもらえればと考えています。(-皇后盃について)素根が朝比奈に直接対決4連勝。今回も自信を持って戦うはず。朝比奈の方はここで負けるわけにはいかないという気持ちで臨むでしょう。意地と意地のぶつかり合う素晴らしい戦いに期待したいです。(-今回の合宿の内容について)外国人選手との戦いで見えた課題の対策です。立ちから寝への連絡、引込返などですね。あとは欧州で苦戦した組み手です。奥襟や背中を持ってくる相手などを想定したものです。(-新井千鶴選手について)試合がなかったというところでは緊張感に不安はあります。とはいえ、これまでの経験もありますから良い形で本番を迎えてくれるはずです。(-やはり試合がないと不安なものでしょうか)試合をしたい選手もいれば、しっかり鍛えたいという選手もいます。試合が続くと十分に鍛錬を積むことが出来ない。その意味では新井や阿部は有利とも言えます。ただし、結果が全てですから、世界選手権が終わってみないと良いも悪いも判断できません。我々は与えられたところで精一杯力を発揮するだけです。まずは初日、良い形で選手を送り出せるようにサポートしていきたいです。」

濵田尚里選手のコメント
「やることはこれまでと変わりません。課題は寝技のレベルアップと、立技の悪い癖を直すことです。(-悪い癖とは?)組み負けた状態で技を掛けてしまうことです。組み手で負けることが多いので、組み負けないように、良い組み手から技を掛けるようにしたいです。立技では足技、内股や大内刈を練習しています。(-国内のライバルについて)今回は代表に選ばれましたが、実力はそんなに変わらないと思います。ひとつひとつ勝っていきたいです。(-昨年度を振り返ってください)世界選手権に優勝することが出来て良かったです。その後は負けてしまっていたのですが、自分的には柔道は良くなってきていると感じていました。悪いところで負けていましたが、良いところは伸びている。あとは悪いところを直します。気持ちとかは世界選手権で優勝してからあんまり変わっていません。でも、大会とかで声を掛けてもらうことは多くなりました。寝技には自信があります。(-相手が亀になったら必ず取れる?)取れるように頑張ります。亀は結構取りやすいです(笑)。(-結果はあまり意識しなかった?)次の大会頑張ろう。柔道は良かったと考えていました。(-ポジティブですね)良いのか悪いのかは分からないですが、昔からです。(-今の階級は?)2等陸尉です。(-昨年は3等でした。柔道での活躍による昇進ですか?)そうではなくて、時期が来たので昇進しました。柔道は少しずつ良くなってきています。体力的にもまだまだ行けると思います。(-長く戦ってきた緒方亜香里選手が引退しました)資格の勉強をして、ちゃんと出来ているのですごいと思います。」

新井千鶴選手のコメント
「試合がなくて感覚が(鈍る)とか、そういったことはあまり感じていないです。体を作ったり、計画的に進めています。試合のスパンが長いのは初めてなので、気持ちの面ではモチベーション維持の難しさを感じています。2月には1人でドイツに行きました。試合に出ない分、外国人と組み合っておきたい、組み手の課題などを試したいという意図です。ドイツは長身で手足の長い選手が多いので、それで決めました。最初の1週間はドイツの選手と、次の1週間はグランドスラム・デュッセルドルフに出た人も加わりました。参加者も少なかったですし、レベルはそれほど高いものではないです。(-予定など決めていましたか?)一昨年がダメだった分、内定が出たら海外に1人で行ったり、それも含めて稽古を積んでいこうと決めて、監督に相談しました。所属が出稽古をあまりしないので、1人で練習に行くことは珍しい。1人な分結構話しかけてくれて、柔道以外の交流もありました。1人で海外に行ったのも初めてです。良い刺激になりました。一昨年からどこを持っても投げることと、左右の技をやっています。それを継続しつつ、組み手の部分など細かい技術もやっていきたいです。あとは、そつのない柔道を目指しています。投げたらすぐ抑え込むなど、意識しています。(-フィジカルの強化が結果に繋がったと言っていました)少しずつ地道にやって体力がついてきました。それがやっと技術に追いついてきた。研究されて苦しかったですが、工夫したり、新しいことを取り入れたり、積み重ねてきました。色々な経験、悔しい思いもして心のコントロールが出来るようになった。最近はそれらのバランスを取って、相手にぶつけられるようになりました。代表が決まってきて、これからは全日本でもそうですし、個々でも調整をしていく時期です。今回はその1番最初の合宿。気合も入るし、自分のやってきたことを実戦に近づけるように意識してやっています。(-東京五輪に向けて)まずは世界選手権で確実に金メダルを獲ること。そこだけに集中して残りの時間を過ごします。(-世界選手権前に国際大会に出場しますか?)考えはありますが、決めるのはこれからです。」

田代未来選手のコメント
「ほっとするということもなく、次に向けてやっています。アグベニュー選手が出る大会は、そこまでは確実に勝つと考えて戦っています。まずは戦える状況を確保して、勝負する。戦い方を常に考えて練習しています。(-ポイントはどこですか?)自分の持っている力、しつこさを出すことです。どれだけ我慢できるか。我慢の柔道です。自分の成長は感じています。去年はずっと勝てるかな?とかここで負けたら、とか考えていた。今年に入ってからは、勝たないと次はないと考えています。気持ちが全く変わりました。2018年は全て勝ち切れませんでした。世界選手権で成長したかなと感じたのですが、後の試合が上手くいかなかった。良い状態のことばかり考えてしまい、悪い状態を把握できていませんでした。今できることを一生懸命やるようにしたら、変わってきた。練習でも、そのときの一番良い状態をどれだけ出せるかを考えています。五輪まであと1年、覚悟は決まりました。強い気持ちを持てるようになった。まずは世界選手権をまだ獲れていないので、思い切った柔道をして優勝したいです。妥協しなければ次に繋がるはずです。(-リオデジャネイロ五輪での敗戦について)あのときの悔しさが自分が挫けそうになったときに背中を押してくれています。また同じで良いのかという気持ちにさせてくれる。きついときには映像を見ています。このままで辞めたら今まで頑張ってきた自分がかわいそう。今は4年前とは気持ちの部分が違います。(-大会の出場予定について)もし出るなら、世界選手権に繋がる試合をしたいです。」

芳田司選手のコメント
「(-妹の芳田真選手が練習パートナーですね)気になることが多くて、ついつい何か言ってしまいます(笑)。ただ、それで自分が思い出して勉強になることもあるので、相乗効果ですね(笑)。『分かってへん』と思っていても意外と良かったり、自分が決めつけてしまっている部分があったり、私とは違うんやなと勉強になります。私には基本はこうだと言われてやりこんだ時期があります。でも、妹は自分の経験を交えてやってしまう。そうではなくて、無になって一度やってみることが大切。最初にそれをやることで違う境地が見えてくる。そういうことを言ったりしています。所属が一緒になるのは初めてです。私は結構練習で投げられるのですが、『司ちゃんもあんな投げられるんやな』と驚いていたり、妹は私をすごいと思ってくれているみたい(笑)。気が引き締まります。最初は妹が来ると聞いても想像が出来なくて、関係性が崩れたらどうしようとも考えました。ずっと『可愛い、可愛い』と言っていたので、柔道が入って先輩後輩の関係になったらどうしようと。でも妹がずっとしっかりしていて、覚悟を持ってチームに入ってきた。私も元気をもらって、フレッシュさを感じて、そのお陰で頑張ろうと思えています。(-パートナーは自分で決めた?)上の先輩から決めていって、体型などもあって自然とそうなりました。(-昨年度を振り返ってください)世界選手権で優勝してすごいほっこりしてしまって、立て直しに時間が掛かりました。悩んで、ボロボロになって、精一杯という感じ。グランドスラム大阪には優勝しようと思って出たのですが、上手くいかずカッとなってしまい、結局反則負けでした。でも、そこで切り替えられました。試合をこなしていると新しいことに挑戦したくなりますが、やりすぎると整理がつかなくなってくる。一度基本に戻って、自分の柔道の強みや、相手が何を嫌がっているのかに注目して練習しました。今やりたい柔道が頭にあっても、体がついてこなかったりします。インナーマッスルや体幹を鍛えたりなどしながら、これまでやって良かったことを、メンタルと体のバランスを取りながらやっています。原点に戻ることで新しいものがみえたり、戻って進んでという感じです。(-東京五輪について)私が絶対に出ると思っています。選抜の前は、練習で勝てなかったり、日本人に負けたりと、本当に自分は強いのかと考えたりもしました。でも、絶対に勝つと選抜の前に吹っ切ることが出来た。『日本で一番強い人が出たほうが良い』と口で言えました。それが練習にも繋がっているかなと思います。」


取材・文:小林大悟/eJudo編集部
撮影:eJudo編集部

※ eJudoメルマガ版4月16日掲載記事より転載・編集しています。

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