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原沢久喜と飯田健太郎が優勝、高校3年生村尾三四郎が驚きの2位入賞果たす・グランドスラムデュッセルドルフ2019最終日レポート

(2019年4月2日)

※ eJudoメルマガ版4月2日掲載記事より転載・編集しています。
原沢久喜と飯田健太郎が優勝、高校3年生村尾三四郎が驚きの2位入賞果たす
グランドスラムデュッセルドルフ2019最終日レポート(男子90kg級、100kg級、100kg超級、女子78kg級、78kg超級)
文責:小林大悟/eJudo編集部

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■ 90kg級・若武者村尾三四郎が躍動、世界王者ガクドンハンも「一本」で破って準優勝果たす
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90kg級メダリスト。左から村尾三四郎、ママダリ・メディエフ、ミハイル・イゴルニコフ、イェスパー・シュミンク

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90kg級2回戦、村尾三四郎がダヴィド・クラメルトから左大外刈「技有」

(エントリー62名)

【入賞者】
1.MEHDIYEV, Mammadali (AZE)
2.MURAO, Sanshiro (JPN)
3.IGOLNIKOV, Mikhail (RUS)
3.SMINK, Jesper (NED)
5.KUKOLJ, Aleksandar (SRB)
5.BOTTIEAU, Joachim (BEL)
7.SHERAZADISHVILI, Nikoloz (ESP)
7.SILVA MORALES, Ivan Felipe (CUB)

村尾三四郎(桐蔭学園高3年)が強豪を次々と破る快進撃、準優勝を果たした。決勝こそこの日好調のママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)に大内返「技有」で敗れたものの、残したインパクトは絶大。3位入賞を果たして周囲を驚かせたグランドスラム大阪から僅か3ヶ月、あらためてその驚異的な成長スピードを見せつけた。

村尾は1回戦でチアゴ・ロドリゲス(ポルトガル)を僅か20秒の大内刈「一本」(0:20)で下して大会をスタート。世界大会表彰台クラスの強豪との連戦となった以降の戦いでは、まず2回戦でダヴィド・クラメルト(チェコ)に大外刈「技有」、内股「一本」(3:30)と連取して勝利する。圧巻は3回戦、2週間前のグランドスラム・パリで優勝したばかりの今欧州シリーズの主役、2015年世界王者ガク・ドンハン(韓国)戦。格で言えばガクが遥かに上、本来ならばどこまで善戦できるかというステージの戦いだが、村尾は僅か42秒の大外刈「一本」でこの難敵を屠って周囲の度肝を抜く。

準々決勝の相手も強敵、階級随一の体幹と地力を持つ昨年のヨーロッパ王者ミハイル・イゴルニコフ(ロシア)。組み手が正面から圧を受けやすい相四つということもあり先に「指導2」を失うが、そこから攻め続けてGS延長戦で反対に「指導3」を奪取、相手の反則(GS1:21)で勝利してベスト4入りを果たす。相手のレベルが一段落ちた準決勝では、若手有望株のイェスパー・シュミンク(オランダ)を大外刈「一本」(2:06)で畳に沈めて決勝進出を決めた。

勝ち上がりの相手や内容を見る限り、現時点で村尾の実力は十分トップグループと戦えるレベルにある。対戦相手が村尾をまだマークしていない段階での勝利であることはもちろん考慮しなければならないが、それでも村尾が東京五輪に出場している姿を我々に想像させるには十分な活躍だった。国内の90kg級には安定して成績を残しているものがいないため、村尾含めかなりの数の選手にチャンスがある状況となっている。まずは4月の全日本選抜体重別選手権、そして周囲に徹底マークされるであろう次回以降の国際大会に注目したい。

入賞者と準々決勝以降の結果、決勝の戦評と日本代表選手の勝ち上がりは下記。

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90kg級決勝、ママダリ・メディエフが村尾三四郎から大内返「技有」

【準々決勝】
イェスパー・シュミンク(オランダ)○GS優勢[技有・大外巻込](GS0:24)△ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)
村尾三四郎○GS反則[指導3](GS1:21)△ミハイル・イゴルニコフ(ロシア)
アレクサンダー・クコル(セルビア)○優勢[技有・隅落](2:58)△ヨアキム・ボットー(ベルギー)
ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)○小外刈(1:56)△イワン=フェリペ・シルバ=モラレス(キューバ)

【敗者復活戦】
ミハイル・イゴルニコフ(ロシア)○内股(1:07)△ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)
ヨアキム・ボットー(ベルギー)○合技[谷落・釣腰](3:56)△イワン=フェリペ・シルバ=モラレス(キューバ)

【準決勝】
村尾三四郎○大外刈(2:06)△イェスパー・シュミンク(オランダ)
ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)○GS優勢[技有・小外刈](GS2:55)△アレクサンダー・クコル(セルビア)

【3位決定戦】
ミハイル・イゴルニコフ(ロシア)○大外刈(1:20)△アレクサンダー・クコル(セルビア)
イェスパー・シュミンク(オランダ)○GS棄権(GS3:17)△ヨアキム・ボットー(ベルギー)
※試合中の負傷による

【決勝】
ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)○優勢[技有・大内返]△村尾三四郎
メディエフ、村尾ともに左組みの相四つ。メディエフは横変形で相手を抱き込む得意の形で試合を開始。しかし、村尾は左大内刈でこれを脱し、30秒には両襟の左大外刈で深くまで刈り込む。ポイントが想起される場面であったが、これは両襟ゆえに腕の拘束が甘く、メディエフ腹這いで逃れてポイントなし。先に村尾が見せ場を作った形。さらに続く展開、メディエフが再び横変形に構えると、村尾は両襟の左大内刈を仕掛ける。今度はケンケンで追い込み投げ切ろうとするが、メディエフが抱き込んだ引き手を効かせて大内返に体を捨てると堪らず飛んでしまい「技有」を失う。リードを得たメディエフはここから再び村尾を懐に抱き込み膠着状態を演出、村尾はこれに付き合ってしまいギアの上げどころを逃してしまう。1分52秒、両者に消極的の「指導」。なんとか攻めのきっかけを掴みたい村尾だが、メディエフは長い手足を突いて距離を取り、村尾を勝負のできる間合いまで踏み込ませない。2分44秒、メディエフに消極的の「指導2」。あと「指導」1つまで相手を追い詰めた村尾だが、以降は再びメディエフの長い手足に手を焼き、具体的な技を積むことができないまま時間を進めてしまう。残り20秒には釣り手を肩越しに相手の背中深くまで差して最後の勝負を挑むが、腰に食らいつかれて潰されてしまい万事休す。続いての寝技の攻防のままタイムアップを迎え、メディエフが「技有」優勢で優勝を決めた。

【日本代表選手勝ち上がり】

村尾三四郎(桐蔭学園高3年)
成績:2位


[1回戦]
村尾三四郎○大内刈(0:20)△チアゴ・ロドリゲス(ポルトガル)

[2回戦]
村尾三四郎○内股(3:30)△ダヴィド・クラメルト(チェコ)

[3回戦]
村尾三四郎○大外刈(0:46)△ガク・ドンハン(韓国)

[準々決勝]
村尾三四郎○GS反則[指導3](GS1:21)△ミハイル・イゴルニコフ(ロシア)

[準決勝]
村尾三四郎○大外刈(2:06)△イェスパー・シュミンク(オランダ)

[決勝]
村尾三四郎△優勢[技有・大内返]○ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)

■ 100kg級・飯田健太郎が優勝、決勝で世界王者チョグハンを再び撃破
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100kg級メダリスト。左からチョ・グハン、飯田健太郎、ラウリン・ボーラー、ゼリム・コツォイエフ。

(エントリー58名)

【入賞者】
1.IIDA, Kentaro (JPN)
2.CHO, Guham (KOR)
3.BOEHLER, Laurin (AUT)
3.KOTSOIEV, Zelym (AZE)
5.GONCALVES, Leonardo (BRA)
5.DOSEN, Bojan (SRB)
7.DARWISH, Ramadan (EGY)
7.BORODAVKO, Jevgenijs (LAT)

飯田健太郎(国士舘大2年)が強敵との連戦を勝ち抜いて優勝を飾った。

飯田は1回戦からシリル・マレ(フランス)と対戦という厳しい組み合わせ。この試合を裏投「一本」(GS1:49)で勝ち抜くと、2回戦ではダニエル・ムケテ(ベラルーシ)を背負落「技有」(GS0:48)で下す。

3回戦では2週間前のグランドスラム・パリでウルフアロン(了徳寺学園職)を破って優勝を飾っているヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)とマッチアップ。過去2勝と相性的に戦いやすい相手ではあったが、勝負どころとなったこの試合を得意の内股「技有」で制してベスト8入り。準々決勝ではレオナルド・ゴンサルヴェス(ブラジル)を開始僅か11秒の一本背負投「一本」で斬り落とし、続く準決勝では一昨年のユニバーシアードで敗れているゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)を背負投と縦四方固の合技「一本」(3:02)で撃破して決勝進出を決めた。

決勝の相手は2018年バクー世界選手権王者のチョ・グハン(韓国)。担ぎ技の連続攻撃を得意とする厄介な相手だが、飯田は昨年8月のアジア大会決勝、12月のワールドマスターズと現在2連勝中。今回の戦いでも相手の担ぎ技の立ち上がり際に切れのある送足払を合わせて「技有」を獲得、このポイントにより優勢勝ちを果たした。飯田は今回の勝利で対チョ3連勝。戦いぶりにも「この選手には負けない」という自信が感じられた。

国内の100kg級は飯田とウルフが東京世界選手権、そして東京五輪の代表権を争っている状況。冬季欧州シリーズの開幕前まではウルフに若干のアドバンテージがあったものの、ウルフがパリ大会で優勝を逃し、飯田が今大会を制したことでその差はかなり詰まったと考えられる。勝負は4月の全日本選抜体重別選手権、ここでの直接対決の結果を以て、今年の世界選手権代表が決定すると見て良いだろう。飯田は世界選手権の経験がなく、五輪に複数候補を立てるという意味ではこの階級には「2枠目」行使の目がある。ただし飯田がこれを確実に勝ち取るにはやはり対ウルフ戦の勝利が欲しい。両者の気持ちがぶつかり合う熱戦に期待したい。

入賞者と準々決勝以降の結果、決勝の戦評と日本代表選手の勝ち上がりは下記。

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100kg級3回戦、飯田健太郎がヴァーラム・リパルテリアニから右内股「技有」

【準々決勝】
飯田健太郎○一本背負投(0:14)△レオナルド・ゴンサルヴェス(ブラジル)
ゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)○小外掛(3:18)△ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)
チョ・グハン(韓国)○優勢[技有・一本背負投]△ボヤン・ドセン(セルビア)
ラウリン・ボーラー(オーストリア)○背負投(1:06)△イェフゲニース・ボロダフコ(ラトビア)

【敗者復活戦】
レオナルド・ゴンサルヴェス(ブラジル)○優勢[技有・内股]△ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)
ボヤン・ドセン(セルビア)○内股透(0:12)△イェフゲニース・ボロダフコ(ラトビア)

【準決勝】
飯田健太郎○合技[背負投・縦四方固](3:02)△ゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)
チョ・グハン(韓国)○反則[指導3](2:34)△ラウリン・ボーラー(オーストリア)

【3位決定戦】
ラウリン・ボーラー(オーストリア)○GS内股(GS0:35)△レオナルド・ゴンサルヴェス(ブラジル)
ゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)○出足払(2:45)△ボヤン・ドセン(セルビア)

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100kg級決勝、飯田健太郎がチョ・グハンから左送足払「技有」

【決勝】
飯田健太郎○優勢[技有・送足払]△チョ・グハン(韓国)
飯田、チョともに右組みの相四つ。組み手争いからまずはチョが左一本背負投で先制攻撃を仕掛けるが、飯田落ち着いてこれを懐の内で処理する。ここからは飯田が引き手、チョが釣り手を持ってお互いに組み際の技を警戒しながらの、組み手の攻防。1分7秒に飯田が片手の右袖釣込腰を仕掛けるが、これは相手を崩すに留まる。1分39秒、双方に組み合わないとして「指導」が与えられる。ここからはチョの時間帯。右払巻込、右背負投、右背負投と自身の技で終わる展開を重ね、2分39秒に飯田から消極的の「指導2」を引き出す。飯田としては、手数タイプのチョに「指導」を先行される非常に嫌な展開。しかし、飯田はあくまで焦らず、続く展開で相手の左一本背負投の掛け潰れ際に奥襟を確保、チョが立ち上がって距離を取ろうと回り込んだ動きに合わせて切れ味鋭い左送足払を放つ。移動の際を完全に捉えられたチョは横に吹っ飛び体側から畳に落下、飯田相手の上に被さるようにして決め切り、2分53秒「技有」。これ以降、リードを許したチョはあと1つの「指導」を得ようと組み合うなり技の効果を無視した担ぎ技を連発、激しい追い上げを見せる。チョの猛攻に飯田自らの技を出せない展開が続くが、明らかに投げる意志のないチョの技に審判3度続けて「指導」をスルー。チョは度々飯田の「指導」をアピールするが、そのまま試合終了。飯田が優勢勝ちで優勝を決めた。

【日本代表選手勝ち上がり】

飯田健太郎(国士舘大2年)
成績:優勝


[1回戦]
飯田健太郎○GS裏投(GS1:49)△シリル・マレ(フランス)

[2回戦]
飯田健太郎○GS技有・背負落(GS0:48)△ダニエル・ムケテ(ベラルーシ)

[3回戦]
飯田健太郎○優勢[技有・内股]△ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)

[準々決勝]
飯田健太郎○一本背負投(0:14)△レオナルド・ゴンサルヴェス(ブラジル)

[準決勝]
飯田健太郎○合技[背負投・縦四方固](3:02)△ゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)

[決勝]
飯田健太郎○優勢[技有・送足払]△チョ・グハン(韓国)

■ 100kg超級・復調の原沢久喜が優勝、小川雄勢は5位に沈む
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100kg超級メダリスト。左からイナル・タソエフ、原沢久喜、ウルジバヤル・デューレンバヤル、ステファン・ヘギー。

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100kg超級決勝、原沢久喜がイナル・タソエフから右内股「一本」

(エントリー37名)

【入賞者】
1.HARASAWA, Hisayoshi (JPN)
2.TASOEV, Inal (RUS)
3.ULZIIBAYAR, Duurenbayar (MGL)
3.HEGYI, Stephan (AUT)
5.OGAWA, Yusei (JPN)
5.GROL, Henk (NED)
7.FREY, Johannes (GER)
7.OLTIBOEV, Bekmurod (UZB)

原沢久喜が素晴らしい内容で見事優勝を飾った。原沢の国際大会での優勝は意外にも2016年2月のグランドスラム・パリ以来3年ぶり。

原沢は初戦(2回戦)でオニセ・ブガゼ(ジョージア)を大内刈「一本」(3:09)で下すと、2回戦でも大内刈「技有」(GS0:20)でロイ・メイヤー(オランダ)に勝利。3回戦ではバクー世界選手権で敗れた因縁の相手、ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)を内股「技有」を先行しての内股「一本」(3:13)で圧倒してベスト4へと勝ち上がる。続く準決勝でもヘンク・フロル(オランダ)を大内刈「一本」(1:45)で一蹴、盤石の勝ち上がりで決勝の畳へと辿り着いた。

決勝の相手は準決勝で小川雄勢(明治大4年)を下して勝ち上がってきた、ロシア期待の若手イナル・タソエフ(ロシア)。現在のロシア1番手と目されるこの強敵を、原沢は相手が脇に抱きついたタイミングの豪快な内股「一本」(1:31)で一蹴、真っ向から斬り伏せて優勝を決めた。

「完全復活」という表現の使用は世界選手権を待ちたいが、対戦相手のレベルの高さ、そして試合内容の良さを考えればこの日はリオデジャネイロ五輪前を思わせる完成度。どころか、得意技の内股を取り戻したことで、オーバートレーニング症候群の苦しい時期を経て身につけた試合の巧さや大内刈などの新たな武器もより有効に用いることが出来ており、戦いのレベルは一段上がったとすら言っていい。リオ五輪以降かつてのスケール感をなかなか取り戻せないでいた原沢であったが、この日の戦いぶりは大物感たっぷり。見るものに日本重量級のエース帰還を感じさせるに十分な内容だった。原沢はパリ大会でも2位を獲得しており、代表選考のライバルである影浦心(日本中央競馬会)と小川を大きく引き離している。実質的には代表確実と考えてもいいだろう。4月の全日本選抜体重別選手権と全日本選手権にも勝利して、名実ともに日本のナンバーワンとして東京世界選手権に臨みたい。

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3位決定戦、ウルジバヤル・デューレンバヤルが小川雄勢を右小外掛で攻める

一方、バクー世界選手権で原沢とともに日本代表を務めた小川は2度敗れて5位。全体的に覇気が感じられず、準決勝でタソエフに浮技「技有」の優勢、3位決定戦でウルジバヤルにGS延長戦での「指導3」反則(GS3:01)でそれぞれ敗れた。この日小川が敗れた相手はいずれも原沢が「一本」で仕留めている選手。これで小川は2017年のグランドスラム東京以来国際大会での表彰台がない状況となり、東京世界選手権の代表争いで大きく後退することとなった。

入賞者と準々決勝以降の結果、決勝の戦評と日本代表選手の勝ち上がりは下記。

【準々決勝】
原沢久喜○内股(3:13)△ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)
ヘンク・フロル(オランダ)○合技[隅落・横四方固](4:00)△ヨハネス・フレイ(ドイツ)
イナル・タソエフ(ロシア)○合技[浮落・横四方固](1:44)△ステファン・ヘギー(オーストリア)
小川雄勢○小外掛(2:01)△ベクムロド・オルティボエフ(ウズベキスタン)

【敗者復活戦】
ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)○合技[大外巻込・後袈裟固](2:46)△ヨハネス・フレイ(ドイツ)
ステファン・ヘギー(オーストリア)○体落(0:19)△ベクムロド・オルティボエフ(ウズベキスタン)

【準決勝】
原沢久喜○大内刈(1:45)△ヘンク・フロル(オランダ)
イナル・タソエフ(ロシア)○優勢[技有・浮技]△小川雄勢

【3位決定戦】
ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)○GS反則[指導3](GS3:01)△小川雄勢
ステファン・ヘギー(オーストリア)○GS技有・体落(GS0:12)△ヘンク・フロル(オランダ)

【決勝】
原沢久喜○内股(1:31)△イナル・タソエフ(ロシア)
原沢久喜○内股(1:31)△イナル・タソエフ(ロシア)
原沢、タソエフともに右組みの相四つ。原沢まずは引き手で相手の脇下を持ち、釣り手で奥襟を叩きながら右大内刈を仕掛ける。相手の懐深くまで踏み込んだこの技にタソエフは仰け反りながらも大内返を狙い、最終的に両者弾かれるようにして腹這いで着地する。開始早々からの激しい攻防に「一本」による決着の気配が漂う。しかしここからは意外にも両者組み合ったまま足を飛ばし合う膠着状態が始まり、この形のまま試合時間は1分過ぎまで進む。1分15秒、タソエフが組み際に片手の右袖釣込腰。これは不発も原沢腹這いで畳に叩きつけられ、1分20秒、原沢のみに消極的の「指導」。しかし直後の展開、原沢は引き手で袖、釣り手で奥襟を持った完璧な形を作り出す。焦ったタソエフは脇に食らいついて得意の捨身技を狙うが、原沢相手の動きに合わせて一度釣り手側に呼び込んでスペースを確保、そのまま間髪入れずに強烈な右内股に飛び込む。釣り手のコントロールで頭を下げられたタソエフは前転運動を強いられ、為す術なく一回転。1分27秒、原沢の「一本」が宣せられて試合決着。

【日本代表選手勝ち上がり】

原沢久喜(フリー)
成績:優勝


[2回戦]
原沢久喜○大内刈(3:09)△オニセ・ブガゼ(ジョージア)

[3回戦]
原沢久喜○GS技有・大内刈(GS0:20)△ロイ・メイヤー(オランダ)

[準々決勝]
原沢久喜○内股(3:13)△ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)

[準決勝]
原沢久喜○大内刈(1:45)△ヘンク・フロル(オランダ)

[決勝]
原沢久喜○内股(1:31)△イナル・タソエフ(ロシア)

小川雄勢(明治大4年)
成績:5位


[2回戦]
小川雄勢○縦四方固(3:06)△ファイセル・ヤバラー(チュニジア)

[3回戦]
小川雄勢○GS反則[指導3](GS1:37)△ラファエル・シウバ(ブラジル)

[準々決勝]
小川雄勢○小外掛(2:01)△ベクムロド・オルティボエフ(ウズベキスタン)

[準決勝]
小川雄勢△優勢[技有・浮技]○イナル・タソエフ(ロシア)

[3位決定戦]
小川雄勢△GS反則[指導3](GS3:01)○ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)

■ 78kg級・もと世界王者アギアールついに復活、現役王者の濵田尚里は衝撃の初戦敗退
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78kg級メダリスト。左からアナ=マリア・ヴァグナー、マイラ・アギアール、ベルナデッテ・グラフ、クララ・アポテカー。

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78kg級1回戦、アントニーナ・シュメレワが濵田尚里から右大外刈「一本」

(エントリー32名)

【入賞者】
1.AGUIAR, Mayra (BRA)
2.WAGNER, Anna Maria (GER)
3.GRAF, Bernadette (AUT)
3.APOTEKAR, Klara (SLO)
5.TCHEUMEO, Audrey (FRA)
5.POWELL, Natalie (GBR)
7.FABER, Christina (GER)
7.SHMELEVA, Antonina (RUS)

現役世界王者の濵田尚里(自衛隊体育学校)がまさかの初戦敗退。1回戦の開始僅か11秒、アントニーナ・シュメレワ(ロシア)の大外刈を後ろに下がりながら正面から受けてしまい一本負けを喫した。これで濵田はバクー世界選手権優勝以降、3試合を戦っていまだ優勝なし。ライバルの梅木真美(ALSOK)がワールドマスターズ優勝、佐藤瑠香(コマツ)がグランドスラム大阪優勝と結果を出していることもあり、東京世界選手権の代表から大きく遠のくこととなってしまった。日本の78kg級はまたしても安定感のなさを露呈。抱える選手全員に世界選手権優勝クラスの力がありながら、1人代表として送り出すにはいずれも脆さがあるという、悩ましい状況が継続することとなった。

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78kg級決勝、マイラ・アギアールがアナ=マリア・ヴァグナーから右大外刈「技有」

濵田の消えたトーナメントは、マイラ・アギアール(ブラジル)が2017年ブダペスト世界選手権以来の優勝を飾った。内容は1回戦でテレザ・ツェンカー(ドイツ)に大内刈と内股の合技「一本」(1:02)、2回戦でパトリシア・サンパイオ(ポルトガル)に出足払「一本」(0:54)、準々決勝でベルナデッテ・グラフ(オーストリア)に一本背負投と横四方固の合技「一本」(3:09)、準決勝でクララ・アポテカー(スロベニア)に大内返「一本」(1:15)、決勝でアナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)に大外刈「技有」の優勢勝ち。準決勝までの試合に全て一本勝ちするなど内容も良く、得意の足技も非常に切れていた。来年に控える東京五輪に向けて調子を上げてきていることは間違いない。次回以降の戦いにも要注目だ。

入賞者と準々決勝以降の結果、決勝の戦評と日本代表選手の勝ち上がりは下記。

【準々決勝】
クララ・アポテカー(スロベニア)○合技[内股返・縦四方固](2:13)△クリスティーナ・ファベル(ドイツ)
マイラ・アギアール(ブラジル)○合技[一本背負投・横四方固](3:09)△ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)
アナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)○GS技有・大内刈(GS0:51)△ナタリー・パウエル(イギリス)
オドレイ・チュメオ(フランス)○反則[指導3](3:13)△アントニーナ・シュメレワ(ロシア)

【敗者復活戦】
ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)○腕挫十字固(0:58)△クリスティーナ・ファベル(ドイツ)
ナタリー・パウエル(イギリス)○払腰(1:19)△アントニーナ・シュメレワ(ロシア)

【準決勝】
マイラ・アギアール(ブラジル)○大内返(1:15)△クララ・アポテカー(スロベニア)
アナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)○合技[大外落・袈裟固](3:15)△オドレイ・チュメオ(フランス)

【3位決定戦】
ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)○反則[指導3](3:10)△オドレイ・チュメオ(フランス)
クララ・アポテカー(スロベニア)○優勢[技有・引込返]△ナタリー・パウエル(イギリス)

【決勝】
マイラ・アギアール(ブラジル)○優勢[技有・大外刈]△アナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)
アギアールが左、ヴァグナーが両組み。ヴァグナーは右組みに構え、両者の組み手はケンカ四つ。ヴァグナーが上から釣り手を得て圧を掛けながら前進、アギアールが下から釣り手を突いて距離を取りながら足技で攻めるという構図。アギアールが左内股に低い左体落と得意の技で度々惜しい場面を作るが、ヴァグナーいずれも紙一重で体を残してポイント失陥を回避する。両者ポイントのないまま試合は終盤へ。GS延長戦が見え始めた残り15秒、アギアールが組み手の攻防から急加速。組み手を右にスイッチして右釣り手を片襟の位置に差し入れ、右大外刈に飛び込む。いきなりの反対方向の技にヴァグナーは反応が遅れ、アギアールが倒れ込みながら両手で引き落とすと体側から畳に落ちて「技有」。「待て」の時点で試合時間は僅か10秒しか残されておらず、続いてヴァグナーの右大外刈にアギアールが大外返を掛けながら伏せたところでタイムアップ。アギアールが優勢勝ちで優勝を果たした。

【日本代表選手勝ち上がり】

濵田尚里(自衛隊体育学校)
成績:1回戦敗退


[1回戦]
濵田尚里△大外刈(0:11)○アントニーナ・シュメレワ(ロシア)

■ 78kg超級・朝比奈沙羅は決勝で敗れて2位、オルティスの巧さに屈す
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78kg超級メダリスト。左から朝比奈沙羅、イダリス・オルティス、マリア=スエレン・アルセマン、イリーナ・キンゼルスカ。

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8kg超級決勝、イダリス・オルティスが左一本背負投で朝比奈沙羅を攻める

(エントリー27名)

【入賞者】
1.ORTIZ, Idalys (CUB)
2.ASAHINA, Sarah (JPN)
3.ALTHEMAN, Maria Suelen (BRA)
3.KINDZERSKA, Iryna (AZE)
5.CERIC, Larisa (BIH)
5.CHEIKH ROUHOU, Nihel (TUN)
7.TOLOFUA, Julia (FRA)
7.M BAIRO, Anne Fatoumata (FRA)

現役世界王者の朝比奈沙羅(パーク24)は決勝で敗れて2位。直前のグランドスラム・パリで素根輝(南筑高3年)が敗れて生まれた千載一遇のチャンスを生かすことができなかった。

朝比奈は初戦で(2回戦)ワン・ヤン(中国)に膝車「技有」の優勢勝ち、準々決勝でニヘル・シェイキ=ロウホウ(チュニジア)に横四方固「一本」(1:29)、準決勝でラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)に膝車「一本」(0:34)と強豪を次々撃破して順当に決勝に進出。しかし、決勝ではイダリス・オルティス(キューバ)を相手に試合の流れを見誤り、「指導3」の反則負け(3:42)で敗れた。

今回の負け方は2017年ブダペスト世界選手権決勝のユー・ソン(中国)戦と相似。掛け潰れで手数を稼ぐ相手を自分は崩れていないから大丈夫とばかりに放置、その結果オルティスの狙いどおりに消極的の「指導」を受けてしまった。「戦局の見極めに難あり」との厳しい評価を下されても仕方のない一番であった。

パリ大会で苦手とする左右の利く大型選手イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)に敗れた素根、そして今回敗れた朝比奈と、両者ともに今シリーズでは自身の弱点をあらためて露呈してしまった格好だ。加えて、朝比奈は今回敗れたことで「海外選手に負けない」という自身最大の強みにも傷が付くことになってしまった。

現役世界王者の朝比奈に、その朝比奈に直接対決3連勝中のワールドマスターズ王者素根と、両者の立場はほとんど五分。東京世界選手権の代表は、4月の全日本選抜体重別選手権、そして皇后盃全日本女子柔道選手権の結果によって決まることになるはずだ。熱戦に期待したい。

入賞者と準々決勝以降の結果、決勝の戦評と日本代表選手の勝ち上がりは下記。

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78kg超準決勝、朝比奈沙羅がラリサ・セリッチから右膝車「一本」

【準々決勝】
イダリス・オルティス(キューバ)○GS反則[指導3](GS1:07)△ジュリア・トロフア(フランス)
イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)○GS反則[指導3](GS0:41)△マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)
ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)○GS合技[隅落・隅落](GS1:48)△アン=ファトゥメタ・ムバイロ(フランス)
朝比奈沙羅○横四方固(1:29)△ニヘル・シェイキ=ロウホウ(チュニジア)

【敗者復活戦】
マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)○裏投(0:40)△ジュリア・トロフア(フランス)
ニヘル・シェイキ=ロウホウ(チュニジア)○反則[指導3](2:18)△アン=ファトゥメタ・ムバイロ(フランス)

【準決勝】
イダリス・オルティス(キューバ)○片手絞(0:43)△イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)
朝比奈沙羅○膝車(0:34)△ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)

【3位決定戦】
マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)○GS反則[指導3](GS1:14)△ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)○大外巻込(1:19)△ニヘル・シェイキ=ロウホウ(チュニジア)

【決勝】
イダリス・オルティス(キューバ)○反則[指導3](3:42)△朝比奈沙羅
オルティス、朝比奈ともに右組みの相四つ。開始早々にオルティスが組み手と反対方向の左一本背負投を仕掛け、朝比奈を大きく崩す。さらに続く展開でもオルティスは左一本背負投。しかし、今度は朝比奈立ったままこれを受け切る。ここからは組み合ったまま足を飛ばし合う膠着状態。動きのない両者に対して、1分18秒と2分24秒に消極的の「指導」が与えられる。試合中盤にして両者ともに「指導2」。これを受けて試合巧者オルティスは「指導」狙いの手数攻勢に打って出る。2分41秒、3分26秒と左袖釣込腰に掛け潰れて自身の技で終わる展開を続け、状況を積み上げる。いずれの技も朝比奈崩れず立ったまま受け切るが、この間に自身の技は出ず。そして迎えた3分42秒、オルティスが左一本背負投で朝比奈に膝を突かせると主審は試合を止め、朝比奈に3つ目の「指導」を宣告する。驚きを隠せない朝比奈に対してオルティスはしてやったりの表情。オルティスが巧みに試合をコントロール、相手の「指導3」反則により優勝を決めた。

【日本代表選手勝ち上がり】

朝比奈沙羅(パーク24)
成績:2位


[2回戦]
朝比奈沙羅○優勢[技有・膝車]△ワン・ヤン(中国)

[準々決勝]
朝比奈沙羅○横四方固(1:29)△ニヘル・シェイキ=ロウホウ(チュニジア)

[準決勝]
朝比奈沙羅○膝車(0:34)△ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)

[決勝]
朝比奈沙羅△反則[指導3](3:42)○イダリス・オルティス(キューバ)

※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

※ eJudoメルマガ版4月2日掲載記事より転載・編集しています。

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