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男子2階級は大野将平と藤原崇太郎が揃って優勝、女子63kg級は田代未来が制す・グランドスラムデュッセルドルフ2019第2日レポート

(2019年4月2日)

※ eJudoメルマガ版4月2日掲載記事より転載・編集しています。
男子2階級は大野将平と藤原崇太郎が揃って優勝、女子63kg級は田代未来が制す
グランドスラムデュッセルドルフ2019第2日レポート(男子73kg級、81kg級、女子63kg級、70kg級)
文責:小林大悟/古田英毅/eJudo編集部

→第2日男子全試合結果
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■ 73kg級・大野将平がグランドスラム2連勝、再び決勝で海老沼匡を破る
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73kg級メダリスト。左から海老沼匡、大野将平、ラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ、ルスタン・オルジョフ。

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73kg級準々決勝、大野将平がルスタン・オルジョフから右内股「一本」

(エントリー58名)

【入賞者】
1.ONO, Shohei (JPN)
2.EBINUMA, Masashi (JPN)
3.SHAVDATUASHVILI, Lasha (GEO)
3.ORUJOV, Rustam (AZE)
5.MAKHMADBEKOV, Somon (TJK)
5.MOGUSHKOV, Musa (RUS)
7.ZINGG, Anthony (GER)
7.MROWCZYNSKI, Wiktor (POL)

大野将平(旭化成)と海老沼匡(パーク24)が揃って決勝に進出。昨年4月の全日本選抜体重別選手権、11月のグランドスラム大阪に続き、講道学舎の先輩後輩対決が実現することとなった。これまでの両者の戦績は、1勝1敗。選抜体重別では海老沼が内股で2度投げての合技「一本」で、グランドスラム大阪では大野が隅落「技有」による優勢勝ちでそれぞれ勝利している。

大野は1回戦でフリドン・ギガニ(ジョージア)に巴投「技有」(GS0:28)、2回戦でトハル・ブトブル(イスラエル)に小外掛「技有」(GS5:12)とスローな立ち上がり。しかし、これ以降は徐々に調子が上がり、3回戦でヴィクトル・スクヴォトフ(UAE)を内股と出足払の合技「一本」(1:41)、準々決勝でルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)を内股「一本」(1:38)と、強豪をいずれも早い時間の「一本」で切り伏せてベスト4進出を果たす。続く準決勝ではこの日の台風の目、ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)を鋭い送足払「一本」(3:45)に仕留めて決勝へと辿り着いた。

対する海老沼はいつもどおり最初からエンジン全開。1回戦でベクスルタン・スルタノフ(キルギスタン)を内股と上四方固の合技「一本」(2:14)で下すと、対戦相手のレベルが一気に上がった以降の戦いでも2回戦でマルセロ・コンティーニ(ブラジル)に小外刈「一本」(1:21)、3回戦でガンバータル・オドバヤル(モンゴル)に一本背負投「一本」(GS0:20)、準々決勝でアンソニー・ツィング(ドイツ)に小内刈と一本背負投の合技「一本」(2:13)、準決勝でムサ・モグシコフ(ロシア)に片羽絞「一本」(1:53)と、全く勢いを落とすことなく全試合一本勝ち。抜群の内容で決勝へと勝ち上がる。

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決勝を争う大野将平と海老沼匡

決勝は大野が右、海老沼が左組みのケンカ四つ。今回も両者一歩も譲らぬ好試合となったが、大野が2分10秒に場外際の浮技で「技有」を奪って優勢勝ち。前回の対戦に続いて直接対決2連勝を果たすこととなった。これで大野は大阪大会、デュッセルドルフ大会と代表選考上の重要大会に2連勝、結果はもちろん内容の良さを鑑みればこれで実質的に代表レースのトップに立ったと考えて良いだろう。4月の選抜体重別で、グランドスラム・パリを制して調子を取り戻しつつある過去2年の世界選手権ファイナリスト、ライバルの橋本壮市(パーク24)との直接対決に臨む。

一方、2位に終わった海老沼は十分世界の頂点に届きうるポテンシャルを見せながら、またしても国内の代表争いで蓋をされた格好。大会を終えての立ち位置は変わらず3番手、今年の世界選手権の代表はほぼなくなってしまったが、夏以降の序列逆転を目指して選抜体重別を戦うこととなる。

入賞者と準々決勝以降の結果、決勝の戦評と日本代表選手の勝ち上がりは下記。

【準々決勝】
ムサ・モグシコフ(ロシア)○優勢[技有・裏投]△ラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)
海老沼匡○合技[小内刈・一本背負投](2:13)△アンソニー・ツィング(ドイツ)
大野将平○内股(1:38)△ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)
ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)○GS技有・内股(GS2:22)△ヴィクトル・ムロフチンスキ(ポーランド)

【敗者復活戦】
ラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)○GS技有・内股返(GS1:16)△アンソニー・ツィング(ドイツ)
ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)○引込返(1:49)△ヴィクトル・ムロフチンスキ(ポーランド)

【準決勝】
海老沼匡○片羽絞(1:53)△ムサ・モグシコフ(ロシア)
大野将平○送足払(3:45)△ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)

【3位決定戦】
ラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)○内巻込(2:04)△ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)
ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)○腕挫十字固(3:14)△ムサ・モグシコフ(ロシア)

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決勝、大野将平が海老沼匡から浮技「技有」

【決勝】
大野将平○優勢[技有・浮技]△海老沼匡

大野が右、海老沼が左組みのケンカ四つ。注目対決に、会場の盛り上がりは最高潮に達する。両者組み手争いをせずに一発で組み合い、やや腰を引いた姿勢で圧を掛け合う。海老沼が左大内刈を放つと大野もすぐに右内股で切り返し、双方攻撃意欲は極めて旺盛。1分20秒には海老沼が組み際に低い左小内刈に潜り込むが、大野がっしりと抱き止めて揺るがない。さらに直後の1分33秒にも海老沼が右一本背負投を仕掛けるが、今度も大野はこれを躱し、反対に隅落で捲り返しに掛かる。海老沼が様々な技を繰り出し刃の入れどころを探るも、大野がいずれも正面から弾き返すという印象。続く展開、大野は釣り手を大きく外から回して海老沼の背中を確保し、懐に抱き込んで上から圧を掛ける。海老沼がこの形を打開せんと押し返し、あるいは左大内刈を狙おうと一歩踏み出した瞬間、その出足を捉えて大野が右方向への浮技。側方倒立回転の要領で逃れようとする相手をハンドル操作で巧みにコントロールし、最後は被さるような形で決め切って2分10秒、「技有」を得る。以降、リードを得た大野は無理をせず、二本持って組み合うことで海老沼に反撃のきっかけを与えないまま、手堅く試合をクロージング。残り26秒に場外の「指導」を失ったものの、浮技「技有」による優勢勝ちで優勝を決めた。

【日本代表選手勝ち上がり】

大野将平(旭化成)
成績:優勝


[1回戦]
大野将平○GS技有・巴投(GS0:28)△フリドン・ギガニ(ジョージア)

[2回戦]
大野将平○GS技有・小外掛(GS5:12)△トハル・ブトブル(イスラエル)

[3回戦]
大野将平○合技[内股・出足払](1:41)△ヴィクトル・スクヴォトフ(UAE)

[準々決勝]
大野将平○内股(1:38)△ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)

[準決勝]
大野将平○送足払(3:45)△ソモン・マフマドベコフ(タジキスタン)

[決勝]
大野将平○優勢[技有・浮技]△海老沼匡

海老沼匡(パーク24)
成績:2位


[1回戦]
海老沼匡○合技[内股・上四方固](2:14)△ベクスルタン・スルタノフ(キルギスタン)

[2回戦]
海老沼匡○小外刈(1:21)△マルセロ・コンティーニ(ブラジル)

[3回戦]
海老沼匡○GS一本背負投(GS0:20)△ガンバータル・オドバヤル(モンゴル)

[準々決勝]
海老沼匡○合技[小内刈・一本背負投](2:13)△アンソニー・ツィング(ドイツ)

[準決勝]
海老沼匡○片羽絞(1:53)△ムサ・モグシコフ(ロシア)

[決勝]
海老沼匡△優勢[技有・浮技]○大野将平

■ 81kg級・藤原崇太郎が優勝、しぶとく戦って復活果たす
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1kg級メダリスト。左からアスラン・ラッピナゴフ、藤原崇太郎、マティアス・カッス、ドミニク・レッセル。

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81kg級準々決勝、藤原崇太郎がアンリ・エグティゼから谷落「一本」

(エントリー58名)

【入賞者】
1.FUJIWARA, Sotaro (JPN)
2.LAPPINAGOV, Aslan (RUS)
3.CASSE, Matthias (BEL)
3.RESSEL, Dominic (GER)
5.EGUTIDZE, Anri (POR)
5.NYAMSUREN, Dagvasuren (MGL)
7.UNGVARI, Attila (HUN)
7.CAVELIUS, Timo (GER)

藤原崇太郎(日本体育大2年)が優勝。左肘脱臼の大怪我を負った昨年10月の全日本学生体重別団体優勝大会以来となる復帰戦を、見事勝利で飾った。

第4シードとして大会をスタートした藤原は、初戦(2回戦)のシャミル・ボルチャシヴィリ(オーストリア)戦、3回戦のハネス・コンラート(ドイツ)戦をいずれも「指導3」の反則(2回戦が3:35、3回戦がGS2:55)で制してベスト8入り。最大の山場となった準々決勝では、階級屈指のパワーファイター、アンリ・エグティゼ(ポルトガル)と対戦することとなる。この試合は1分に左方向への支釣込足「技有」を先行するも、1分17秒に相手の裏投で放られ「一本」失陥。しかし、これはすぐに「技有」に訂正されて命拾いし、最後は相手と抱き合ってのもつれ際に谷落「一本」(3:18)を得て勝利する。ピンチを切り抜けた藤原は、続く準決勝では2週間前にグランドスラム・パリを制した地元選手ドミニク・レッセル(ドイツ)をGS延長戦での帯取返「技有」(GS2:32)で下して決勝進出。アスラン・ラッピナゴフ(ロシア)との決勝では、藤原らしい丁寧な組み手で相手を封じ、GS延長戦で「指導3」の反則(GS0:33)を奪って優勝を決めた。

この日の藤原は5試合を戦って「指導3」反則での勝利が3つと、内容自体は決して抜群でではなかったが、組み手管理をベースとした藤原らしい堅実かつしぶとい戦いでトーナメントの頂点まで辿り着いてみせた。大会のレベルは激戦階級の81kg級としては低めではあったが、評価は間違いなくアップ。豪快な勝ちぶりの一方で思わぬ負けも多い佐々木健志(筑波大4年)とは対照的に、調子に関わらず結果を残す安定感を発揮しての勝利だった。佐々木はパリ大会で初戦敗退、藤原の不在時にグランドスラム大阪、ワールドマスターズを連勝して得た「冷静さ、安定感も備わった」という評価を大きく落としていることを考慮すると、代表レースにおける現時点の1番手は藤原と考えて間違いないだろう。最高の形で復帰戦を飾り、全日本選抜体重別選手権での直接対決に臨む。

入賞者と準々決勝以降の結果、決勝の戦評と日本代表選手の勝ち上がりは下記。

【準々決勝】
ドミニク・レッセル(ドイツ)○小内巻込(2:33)△アッティラ・ウングヴァリ(ハンガリー)
藤原崇太郎○谷落(3:18)△アンリ・エグティゼ(ポルトガル)
アスラン・ラッピナゴフ(ロシア)○GS合技[支釣込足・小外刈](GS1:13)△ニャムスレン・ダグヴァスレン(モンゴル)
マティアス・カッス(ベルギー)○GS反則[指導3](GS2:23)△ティモ・カフェリウス(ドイツ)

【敗者復活戦】
アンリ・エグティゼ(ポルトガル)○GS反則[指導3](GS3:35)△アッティラ・ウングヴァリ(ハンガリー)
ニャムスレン・ダグヴァスレン(モンゴル)○GS技有・横四方固(GS2:13)△ティモ・カフェリウス(ドイツ)

【準決勝】
藤原崇太郎○GS技有・帯取返(GS2:32)△ドミニク・レッセル(ドイツ)
アスラン・ラッピナゴフ(ロシア)○GS反則[指導3](GS3:41)△マティアス・カッス(ベルギー)

【3位決定戦】
マティアス・カッス(ベルギー)○GS棄権(GS1:07)△アンリ・エグティゼ(ポルトガル)
※試合中に右脇腹を負傷
ドミニク・レッセル(ドイツ)○GS技有・隅落(GS1:47)△ニャムスレン・ダグヴァスレン(モンゴル)

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決勝、藤原崇太郎がアスラン・ラッピナゴフを左方向への支釣込足で崩す

【決勝】
藤原崇太郎○GS反則[指導3](GS0:33)△アスラン・ラッピナゴフ(ロシア)
藤原、ラッピナゴフともに左組みの相四つ。組み手争いから試合が始まり、27秒、両者に取り組まないとして「指導」が与えられる。40秒には藤原が支釣込足で相手を反時計回りに蹴り崩し、下に潜り込んでの寝技を狙うが、これはラッピナゴフが凌ぎ切って「待て」となる。この攻防に手応えを得たか藤原は1分10秒にも同じ方向への支釣込足。相手を大きく崩すことに成功するが、今度も背中を着かせるには至らない。以降は再び試合が停滞し、組み手争いが続いた1分52秒、再び双方に取り組まない咎による「指導」が与えられる。これにより両者の累積「指導」は「2」。指導ポイントで後のなくなったわけだが、そこはともに組み手管理を柔道のベースとする試合巧者同士。急に状況が加速することはなく、これまで同様に互いに蹴り崩しながら様子を窺う形で試合が進行する。そのまま本戦の4分間が終わり、勝負はGS延長戦へ。延長戦に入るとまずは藤原が1段ギアを上げて展開に山場を作りに掛かる。GS18秒に左小内刈で相手を畳に這わせ、さらに30秒には低い左体落に掛け潰れる。藤原の技で終わる展開が2度続いた33秒、主審は藤原の攻勢を認めてラッピナゴフに消極的の「指導3」を宣告。試合の流れを的確に読んで勝負を仕掛けた藤原が、復帰戦を優勝で飾った。

【日本代表選手勝ち上がり】

藤原崇太郎(日本体育大2年)
成績:優勝


[2回戦]
藤原崇太郎○反則[指導3](3:35)△シャミル・ボルチャシヴィリ(オーストリア)

[3回戦]
藤原崇太郎○GS反則[指導3](GS2:55)△ハネス・コンラート(ドイツ)

[準々決勝]
藤原崇太郎○谷落(3:18)△アンリ・エグティゼ(ポルトガル)

[準決勝]
藤原崇太郎○GS技有・帯取返(GS2:32)△ドミニク・レッセル(ドイツ)

[決勝]
藤原崇太郎○GS反則[指導3](GS0:33)△アスラン・ラッピナゴフ(ロシア)

■ 63kg級・田代未来が優勝、土井雅子は準決勝で敗れるも3位入賞
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63kg級メダリスト。左からダリア・ダヴィドワ、田代未来、土井雅子、アンドレヤ・レスキ。

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63kg級決勝、田代未来がダリア・ダヴィドワから左大内刈「一本」

(エントリー40名)

【入賞者】
1.TASHIRO, Miku (JPN)
2.DAVYDOVA, Daria (RUS)
3.DOI, Masako (JPN)
3.LESKI, Andreja (SLO)
5.VERMEER, Sanne (NED)
5.PIOVESANA, Lubjana (GBR)
7.SIMEOLI, Nadia (ITA)
7.HAECKER, Katharina (AUS)

現在クラリス・アグベニュー(フランス)、ティナ・トスルテニャク(スロベニア)とともに階級の三強を形成する田代未来(コマツ)が、安定した強さで優勝。対抗馬と目されたトルステニャクが3回戦で「立ち姿勢から関節を極めて技を施したことによる」ダイレクト反則負け(GS1:15)でトーナメントから脱落したこともあり、特筆すべき苦戦がないまま順当に表彰台の真ん中へと辿り着いた。

鍋倉那美(三井住友海上)以外の国内のライバルがなかなか国際大会で結果を残せていないなか、あらためて1番手は自分と示した格好だ。この日の対戦相手のなかで階級の上位ランカーは3回戦のヤン・ジュインシア(中国)のみだったが、この試合も落ち着いた戦いぶりで内股透「技有」を奪って危なげなく勝利。決勝ではこの日絶好調のダリア・ダヴィドワ(ロシア)を全く相手にせず、大内刈「一本」(1:18)で一蹴した。現時点で東京世界選手権代表の権利があるのは、実質的には田代と鍋倉のみ。その鍋倉もグランドスラム・パリでは得意としていたトルステニャクに敗れて代表レースで後退しており、選抜体重別選手権の結果に関わらず田代が選ばれる可能性が大と考えざるを得ない。とはいえ、田代としては苦手としている国内の戦いで取りこぼすことなく、優勝して気持ち良く世界選手権に臨みたいところ。

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63kg級3位決定戦、土井雅子がサンネ・フェルメールから崩上四方固「一本」

一方、土井雅子(JR東日本)は準決勝でダヴィドワに谷落「一本」(1:40)を奪われ敗退。しかし、続く3位決定戦ではサンネ・フェルメール(オランダ)を崩上四方固「一本」(3:17)で下してメダルは確保した。

入賞者と準々決勝以降の結果、決勝の戦評と日本代表選手の勝ち上がりは下記。

【準々決勝】
ルビアナ・ピオヴェサナ(イギリス)○優勢[技有・小内巻込]△サンネ・フェルメール(オランダ)
田代未来○片手絞(2:07)△ナディア・シメオリ(イタリア)
ダリア・ダヴィドワ(ロシア)○小外掛(1:18)△アンドレヤ・レスキ(スロベニア)
土井雅子○GS横四方固(GS1:05)△カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)

【敗者復活戦】
サンネ・フェルメール(オランダ)○片手絞(2:15)△ナディア・シメオリ(イタリア)
アンドレヤ・レスキ(スロベニア)○合技[裏投・袈裟固](4:00)△カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)

【準決勝】
田代未来○反則[指導3](2:32)△ルビアナ・ピオヴェサナ(イギリス)
ダリア・ダヴィドワ(ロシア)○谷落(1:40)△土井雅子

【3位決定戦】
土井雅子○崩上四方固(3:17)△サンネ・フェルメール(オランダ)
アンドレヤ・レスキ(スロベニア)○優勢[技有・釣込腰]△ルビアナ・ピオヴェサナ(イギリス)

【決勝】
田代未来○大内刈(1:18)△ダリア・ダヴィドワ(ロシア)
田代、ダヴィドワともに左組みの相四つ。試合が始まるなり田代は左小外刈で相手を崩し、伏せ際に食らいついて寝技を狙う。この攻防はダヴィドワが立ち上がり「待て」となったが流れは田代優位で確定、ここからは追う田代に凌ぎながら逃げるダヴィドワという構図で組み手争いが続き、59秒に田代が片襟の左大外刈を仕掛けたところで「待て」となる。直後、ダヴィドワに消極的の「指導」。両者の間には相当な実力差がある様子。続く展開の1分18秒、田代は逃げる相手を両襟で無理やり固定、間髪を入れずに電光石火の左大内刈に飛び込む。下がりながら受けてしまったダヴィドワは背中から勢い良く畳に落ち、文句なしの「一本」。田代が地力と集中力の高さで相手を圧倒、見事優勝を飾った。

【日本代表選手勝ち上がり】

田代未来(コマツ)
成績:優勝


[2回戦]
田代未来○合技[内股・後袈裟固](1:41)△ローレン・デスミット(アメリカ)

[3回戦]
田代未来○優勢[技有・内股透]△ヤン・ジュインシア(中国)

[準々決勝]
田代未来○片手絞(2:07)△ナディア・シメオリ(イタリア)

[準決勝]
田代未来○反則[指導3](2:32)△ルビアナ・ピオヴェサナ(イギリス)

[決勝]
田代未来○大内刈(1:18)△ダリア・ダヴィドワ(ロシア)

土井雅子(JR東日本)
成績:3位


[1回戦]
土井雅子○横四方固(1:26)△ハンナ・マーティン(アメリカ)

[2回戦]
土井雅子○反則[指導3](4:00)△アミナ・ベルカディ(アルジェリア)

[3回戦]
土井雅子○反則[指導3](3:24)△ユール・フランセン(オランダ)

[準々決勝]
土井雅子○GS横四方固(GS1:05)△カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)

[準決勝]
土井雅子△谷落(1:40)○ダリア・ダヴィドワ(ロシア)

[3位決定戦]
土井雅子○崩上四方固(3:17)△サンネ・フェルメール(オランダ)

■ 70kg級・寝業師コンウェイが全試合一本勝ちで優勝、技術の高さを見せつける
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70kg級メダリスト。左からミリアム・ブートケライト、サリー・コンウェイ、マリア・ベルナベウ、エレン・サンタナ。

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70kg級決勝、サリー・コンウェイがミリアム・ブートケライトから腕挫十字固「一本」

(エントリー34名)

【入賞者】
1.CONWAY, Sally (GBR)
2.BUTKEREIT, Miriam (GER)
3.BERNABEU, Maria (ESP)
3.SANTANA, Ellen (BRA)
5.JAGER, Hilde (NED)
5.KIM, Seongyeon (KOR)
7.YOU, Jeyoung (KOR)
7.SCOCCIMARRO, Giovanna (GER)

女子柔道随一の寝業師として売り出し中のサリー・コンウェイ(イギリス)が優勝。内容は2回戦でブリエラ・ヴィレムス(ベルギー)に腕挫膝固「一本」(4:00)、3回戦でスン・アンチー(中国)に小内刈と横四方固の合技「一本」(2:10)、準々決勝でマリア・ベルナベウ(スペイン)に片手絞「一本」(0:40)、準決勝でエレン・サンタナ(ブラジル)に腕挫十字固「一本」(3:10)、決勝でミリアム・ブートケライト(ドイツ)に腕挫十字固「一本」(1:10)。5試合を戦い、全試合が寝技による「一本」、かつ決まり技が4種類の多岐にわたるという素晴らしい内容での勝利だった。

コンウェイは海外選手にありがちな一芸に特化して勝利する型ではなく、その時々の状況に合わせて様々な技術を使い分ける本格派の寝技ファイター。立技からの際だけではなく、寝技対寝技の勝負も得意としており、この日はその強みが存分に発揮されていた。なかでも特筆すべきはヴィレムスを腕挫膝固で仕留めた2回戦。自身の得意技はこれとばかりに思考停止して腕挫十字固を狙って相手を逃してしまう選手が多いなか、淡々と腕挫腕固から技を繋いで「一本」に辿り着いてみせた。パワー柔道が階級の主役となりつつある70kg級において、寝技という異なる武器を持つこの選手は非常に面白い存在。昨年のグランドスラム・パリでは新井千鶴(三井住友海上)が場外でのもつれ際に横四方固で抑え込まれて敗れており、どちらかというと立技が主体の日本勢にとっては怖い相手だ。現在のところ総合力ではトップグループの1人という評価が妥当と思われるが、今後集団から抜け出す可能性もあり、当面は特に注意を払って観察すべき選手だろう。海外選手の寝技はロンドン五輪以降の「一発技特化で寝技に勝機を見出す」ステージから平均値が大きく上がっており、コンウェイはその代表格と規定して良いかと思われる。70kg級はパワー派の時代を新井千鶴が「力で力を制する」形で2連覇したばかりだが、このカウンターカルチャーとして新たな局面が生まれつつあるのかもしれない。

入賞者と準々決勝以降の結果、決勝の戦評は下記。

【準々決勝】
エレン・サンタナ(ブラジル)○大外刈(1:14)△ヨウ・ジェユン(韓国)
サリー・コンウェイ(イギリス)○片手絞(0:40)△マリア・ベルナベウ(スペイン)
ミリアム・ブートケライト(ドイツ)○GS技有・大内刈(GS0:15)△キム・センヨン(韓国)
ヒルデ・ヤヘル(オランダ)○合技[隅落・大内刈](2:03)△ジョヴァンナ・スコッチマッロ(ドイツ)

【敗者復活戦】
マリア・ベルナベウ(スペイン)○不戦△ヨウ・ジェユン(韓国)
キム・センヨン(韓国)○横落(3:08)△ジョヴァンナ・スコッチマッロ(ドイツ)

【準決勝】
サリー・コンウェイ(イギリス)○腕挫十字固(3:10)△エレン・サンタナ(ブラジル)
ミリアム・ブートケライト(ドイツ)○袈裟固(2:20)△ヒルデ・ヤヘル(オランダ)

【3位決定戦】
マリア・ベルナベウ(スペイン)○崩上四方固(3:39)△ヒルデ・ヤヘル(オランダ)
エレン・サンタナ(ブラジル)○GS崩上四方固(GS0:50)△キム・センヨン(韓国)

【決勝】
サリー・コンウェイ(イギリス)○腕挫十字固(1:10)△ミリアム・ブートケライト(ドイツ)
コンウェイ、ブートケライトともに右組みの相四つ。組み手争いから試合が始まり、27秒にコンウェイが右払巻込。この技を起点に寝姿勢に持ち込むと、すぐさま相手側に向き直って寝技を展開する。ここは形を作り切れず「待て」となったが、続く展開でも今度は右小外刈で相手を伏せさせ、「横三角」で引き込み寝技を展開する。相手が両手両足で足にしがみついて抑え込みを回避しようとすると、すぐさま腕挫十字固に移行して、1分10秒「一本」。コンウェイが寝業師ぶりを遺憾なく発揮、見事ビッグタイトルを獲得してみせた。

※日本代表選手の出場はなし

※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

※ eJudoメルマガ版4月2日掲載記事より転載・編集しています。

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