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「選手たちがちゃんと『日本一』を見ている、この春は本気で狙います」第41回全国高等学校柔道選手権男子有力校インタビュー④作陽高・川野一道監督

(2019年3月15日)

※ eJudoメルマガ版3月12日掲載記事より転載・編集しています。
「選手たちがちゃんと『日本一』を見ている、この春は本気で狙います」
第41回全国高等学校柔道選手権男子有力校インタビュー④作陽高・川野一道監督
第41回全国高等学校柔道選手権男子団体戦の男子有力校インタビュー、最終回は作陽高・川野一道監督に話を伺った。作陽は昨夏の金鷲旗大会において、急成長した巨漢の2年生高橋翼を擁してシード校桐蔭学園を打倒。この際高橋が既に全日本柔道選手権を経験している村尾三四郎に勝利したことで一気に注目を浴びることになった。今大会は堂々の「四つ角」シード選出だ。
川野監督はその熱い育成と指揮ぶりで各種合同稽古と大会の場で注目を浚う、高校柔道の名物男でもある。久々「狙える」チームを作り上げて来た川野監督の、意気込みやいかに。

聞き手:古田英毅

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作陽高・川野一道監督

―久々、この企画でお話を聞くことが出来て大変うれしいです。冬の関東遠征後、ここまではいかがですか?

怪我などないわけではないですが、おおむね順当に来ていると思います。全体としては4番手以降の戦力の突き上げがあったことが大きいですね。

―前評判も高く、選手の士気も高いのでは?

久々に日本一を「ちゃんと見ている」なと感じます。毎年それは「日本一を狙うぞ」「本気で狙うぞ」と言って戦っているわけですが、率直に言って「お前ら、それ言ってるだけだろ」「本気で狙ってないだろ」という年もあるわけです。稽古は真剣にやっていても、そこを具体的に意識出来るかどうかはまったく違う。今年のチームにはそれがある。去年の決して強くない代が金鷲旗で桐蔭学園に勝ってから、どうやら彼ら、見えてきましたね。

―その金鷲旗以降大活躍の高橋翼選手という軸の存在は大きいと思います。高橋選手は最近いかがですか?また主戦の嵐大地選手と丸鳩紹雲選手についてもひとことお願いします。

高橋、昨日はベンチプレスを200kg挙げていました。スクワットも200kg担ぎ、体重も130kgになってパワーはますます増していますね。技術的にも伸び盛りだなと感じます。ただ、強い選手相手、たとえば大学生の強い選手と泥沼の攻め合いをするようなステージだと本当に力が出せるのですが、決して巧い子ではないので。高校生が引き分けを狙って来たときに、3分間という短い時間でしっかり取れるかというとなかなかしんどい。そこが今回の課題ですね。チーム全体に言っているのは、高橋に頼るな、自分が仕事をしろということ。回りが仕事をして、相手が高橋と勝負をしなければならない場面に持ち込めば、これは自信を持てます。

嵐は対応力がある選手。ここは引き分ける場面、ここは取りにいく場面としっかり見極めて必要な戦い方が出来ます。逆に言えば爆発力に欠けるともいえますが、かなり力がついてきてパワー負けがなくなって来たので、出来る仕事のレベルが上がっていると感じます。

丸鳩はなんと言っても一発の爆発力が売り。そして実はなにより受けが強いので、投げられる、転がるということが極端に少ない。もし負けるとしたら「指導」を先に取られる展開ですが、逆にそれ以外には悪いシナリオが想像し難いです。ポテンシャルが高いですね。悪い状況で試合が回ってきても、そのポテンシャルで解決出来てしまう。

―冬に課題に挙げていた4番手、5番手の育成という点ではいかがですか?

むしろ今季最大の収穫はここです。榎本(開斗)と半田(壮)が非常に良くなった。2月の関東遠征では東海大相模高校の胸を借りたんですが、その練習試合でチームが無失点でした。挙げた得点よりも、勝ったことよりも、点を取られなかったことが大きい。また、入学してすぐに怪我をしてしまった1年生の佐藤(良平)が復帰してきて1ヶ月、思った以上に回復も成長も早く、十分目途が立つところまで来ています。4月の時点では4番手は彼だったくらいに力がありますので、この選手と合わせた3人で上手く脇を固めて戦いたいですね。

―チーム全体の仕上がり、今年はどう見ていますか?また、今の稽古の状態は?

しっかり練習が積めています。量という意味ではなくて、技術的な面も含めてこの時点までにこれをやっておきたい、とイメージしていたことがカッチリ出来ているなと感じています。うちは毎年11月、12月、1月が鍛練期で時間的にもかなり長い稽古をしていますが、高校選手権までのいまの期間は仕上げと調整の時期。乱取りも試合の中の具体的な状況を想定して、細かいメニューをこなしています

―例年、夏に勝負するチームというイメージがありますが、ちょっと雰囲気が違いますね?

そうですね。あくまで勝負は夏なんですが、今年に関しては選手権である程度結果を出させてあげたい。目標を決めて、勝ちに行く中で、結果が出ても出なくても夏に生きるような、一番いいバランスを考えながら稽古しています。キャリアがない子たちなので、そこはきちんと、目の前に起こっていることと1年間を見据えて、細かく調整してやっています。

―シード順通りに試合が進めば、準々決勝で木更津総合高との戦いとなります。

いや、間違いなくそこは勝負なんですが、その前が大変ですよ。初戦は東海大高輪台高と加藤学園高の勝者と戦うわけですが、前評判の高い東海大高輪台はもちろん、加藤学園も相当手ごわい相手です。勝っても長崎南山高をはじめ、強豪いっぱいのブロックの勝者と戦わなければなりません。うちはどんなチームにもハイスコアで勝てるというような型ではまったくないので、とにかく1試合1試合一生懸命全力で戦わないと到底勝利が見えてこない。そして木更津総合高。あちらは本当に強豪で5枚の戦力ではかないませんが、つけいる隙はあるかなと思っています。最後の最後、互いが総力を振り絞り合うような展開になれば負けない自信はあります。ただ、うちは高校選手権のベスト4に進んだことがまだないチームなんですよ。相手の研究はもちろんしていますが、それよりも何よりも、まず自分たちの力を上げること、ですね。

―シード順通りに進めば準決勝は国士舘高との対戦が待ち受けます。

斉藤立選手の存在が圧倒的。そして他の4枚も実力だけでいえばあちらが間違いなく強い。斉藤選手に対し、高橋でひとつ勝負をしたいところですが、もちろん力的には相当の差があります。ただ、高橋は、周囲の頑張りでより力が出るタイプなんですね。

―と言いますと?

金鷲旗で桐蔭学園を倒したときも、千野根(有我)選手と村尾(三四郎)選手の2枚を高橋が相手にすると非常に厳しいと思っていたんですが、うちの加藤(韻)が千野根選手と引き分けてくれて、それでチームが一気に盛り上がった。その力を受けて、乗った高橋が大将同士の戦いで村尾選手に勝利したんですね。

―電流が通じるタイプ!

それですね。状況の熱さをちゃんと自分の戦いに反映させられる選手なんです。前が頑張って、相手が焦って、高橋が意気に感じる、そういうお膳立てをしたうえで、倍の力の高橋で斉藤選手に挑みたい。あとはとにかく相手を焦らせるべく、色々な方向から攻める。戦い方は十分研究していますよ。

―最後に、あらためてこの選手権に掛ける意気込みをお願いします。

試合に出る以上は、日本一。夏は大事ですが、1試合1試合しっかり戦って、この春から本気で日本一を狙います。


※インタビューは3月13日に行われました

※ eJudoメルマガ版3月12日掲載記事より転載・編集しています。

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