PAGE TOP ↑
eJudo

「全員柔道で連覇を目指す、斉藤立に頼らない責任感がカギ」 第41回全国高等学校柔道選手権男子有力校インタビュー①国士舘高・岩渕公一監督

(2019年3月11日)

※ eJudoメルマガ版3月11日掲載記事より転載・編集しています。
「全員柔道で連覇を目指す、斉藤立に頼らない責任感がカギ」
第41回全国高等学校柔道選手権男子有力校インタビュー①国士舘高・岩渕公一監督
高校三大タイトル最初の大会、全国高等学校柔道選手権(3月20日~21日、日本武道館)の開幕がいよいよ来週に迫った。eJudoでは今年も展望記事に先立って団体戦有力校の監督インタビューをお届けし、単なる戦力分析に留まらない現場の皮膚感を伝えんと試みる。

第1回は国士舘高(東京)の岩渕公一監督に話をお聞きした。同校は昨年全国大会2冠を獲得したチームからレギュラー4人が残り、絶対のエース斉藤立を押し立てる今季の目玉チーム。もちろん第1シード、優勝候補の最右翼である。

聞き手:古田英毅

eJudo Photo
国士舘高・岩渕公一監督

―いよいよ本番が近づいて来ました。チームについてお聞きするにあたり、どうしてもまず斉藤立選手について伺わないといけません。一昨日には全日本柔道選手権最年少出場を決めましたが、直前に手首と肘を負傷していてギリギリの状態での出場でした。

試合には出すつもりでいますが、やっぱりまずちょっと休まないといけません。試合後にMRI検査を受けたのですが、これまでのレントゲンと一緒。骨と骨がぶつかって内出血しているから、これは「痛い」んですよ。ある程度は休まないと。

―東京都予選以後の、チームのここまでを教えてください。

あの試合の後に話した通り、以降は組み手を重視。徹底してこれをやろうという期間でしたね。ただ、いつもなら大学生ががっちり来てくれるところが、彼らの寮の場所が変わったりして回数が減ったことや、高校生のほうも試験があったりで、満足いくまでやり込めたかというとなかなかそうではない。その分がっちりトレーニングをやっていたのですが、そういう(消耗した)中でたまに大学生と稽古するとなかなか思うようにいかないので、へこんだり、へばったりしていましたね。先週試験が終わって今からペースを上げるところなので、そこで、2月にやったことの成果がどういう形で現れるかですね。

―これから本番までの稽古スケジュールは?

今日は大学生が5人くらい来ているのでガッチリ稽古、明日も大学に出稽古、あさっても大学に行きます。私は校務で大学のほうには行けない日もあるのですが、コーチが一緒に行ってガッチリ見てくれます。定期試験が終わって、しっかり稽古する時間と体がようやく整って、本当に、ここからが大事なところです。

―いつもこのインタビューでは「キーマン」候補をお聞きしています。今年その予感が漂う選手は?

毎回、「この選手がやりそうだ」「雰囲気があるな」という話をしているわけですが、まさにそういうものが見えてくる、予感を感じさせるのが、きょうこれから、そして明日、明後日の稽古だと思っていますよ。

―斉藤選手以外のポイントゲッターというと、まず藤永龍太郎選手が思い浮かびます。

藤永も腰を怪我して、2月はその斉藤立と藤永の2枚が休んでいた月でした。だいぶ戻って来たなと思いますが、そうなると(藤永の)課題はスタミナだと思っています。あとは相四つ相手にしっかり取れるかどうか。夏は良かったのですが、怪我をして冬はこの課題がまた出て来ていたので、そこをしっかりやっています。これもここ数日どういう稽古をするかでだいぶ違ってきますね。

―道下新大選手、長谷川碧選手についてはいかがですか?

道下は階級を下げてから圧が少し弱まった気はしますが、やはり能力が高い。東京都予選で負けてしまった(※団体戦準決勝で日体大荏原・グリーンカラニ海斗選手に一本負け)試合があるのですが、本来あのレベルで取られるような選手ではない。組み方に原因があったのですが、もっと活躍出来るし、してもらわなければならない選手です。彼も2月の疲れが取れて、これからの稽古で体の力を一段増して本番に臨めると思っています。長谷川は東京都の個人戦で負けて気持ちが落ち込んでいたんですが、乗ってしまえばどこまでもいける選手なんですよ。

―若潮杯の時は、「長谷川の弱気が治るか、俺が根負けするかの勝負だ」と仰っていましたね。

それですね(笑)。間違いなく力はあるので、なんとかそこを一生懸命やっているところです。

―5番手は、これまで岡田陸選手と鈴木郷生選手を入れ替えて起用してきました。

岡田は1年生なので、まだ技術的に未熟なところはあります。ただ稽古はしっかり積んでいる。技も力もまだまだなので、崩して寝技という昔の国士舘のイメージでしっかり仕事をして欲しいと思っています。鈴木は体重が80kg台で、まっすぐで良い柔道をするぶん大型の選手にはパワーをまともに受けてしまうことがある。小細工が出来るしぶとさが欲しい、とこれもしっかり稽古を積んでいますよ。

―チームの雰囲気はいかがですか?また勝ち上がりのポイントは?

雰囲気は良いですよ。ポイントは斉藤立に頼るのではなく、また、チームメイトの誰に頼るのでもなく、1人1人が自分の責任と心得てしぶとい柔道をまっとうすること。抜き試合は1回2回勝っても最後に負けて襷を渡すようでは意味がない。しっかり分けて繋ぐこと、また、例えば3人やったら、ヘバっても、負けたとしてもフルタイム戦い切って次に繋ぐことですね。高校生の試合では、ポンポンと簡単に勝ってくると、力が抜けて実力以上のものを出すということがままあります。これを相手に決してさせず、自分たちの流れに持ち込むことです。しっかり引き分けて終わるのは、単にスコアだけの問題ではないんですね。相手に仕事をさせず、良い流れを渡さず、自分たちが1回1回しっかり仕事をすることで試合を作ること。高校生はこういうことを経験して勝負を覚えていかないといけません。

―シード順通りに試合が進むと、準決勝では作陽高校、決勝では大牟田高校との対戦が予想されます。それぞれのチームについて一言お願いします。

作陽高校は、高橋(翼)選手が強いですね。彼を、斉藤立以外の誰が止めるかということがポイントになってくると思っています。とにかく馬力がある。あなどれません。大牟田高校は、しぶとい、組み手を徹底しているチームだと感じます。森(健心)選手と竹市(大祐)選手も、何より絞りが強い。うちと同じく左組みが多いので、例えば相四つで釣り手を絞り落とされるような展開には気を付けたい。斉藤立にとっては相四つは望むところですが、まだまだ他の選手は組み手が上手くない。この、相四つで組み手をどう進めるかがひとつ大事なところになると感じます。斉藤立以外の誰かが1人取ってリードしてくれるという展開に持ち込めるかどうかですね。

―第1シードで迎える今大会、最後に意気込みをお願いします

今年ももちろん狙いますよ。全員柔道で、まずはこの高校選手権の連覇を目指します。

※インタビューは3月12日に行われました

※ eJudoメルマガ版3月11日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る