PAGE TOP ↑
eJudo

佐々木健志がツアー3連勝に挑戦、100kg級の本命ウルフアロンは組み合わせに恵まれる・グランドスラムパリ2019最終日男子プレビュー

(2019年2月10日)

※ eJudoメルマガ版2月9日掲載記事より転載・編集しています。
佐々木健志がツアー3連勝に挑戦、100kg級の本命ウルフアロンは組み合わせに恵まれる
グランドスラムパリ2019最終日男子プレビュー(81kg級、90kg級、100kg級、100kg超級)
→最終日男子全試合結果
→最終日男子速報
→最終日男子詳細レポート
→【eJudo’s EYE】ワールドツアー欧州シリーズ男子日本代表20人「採点表」

文責:小林大悟/eJudo編集部

■ 81kg級・トップ選手勢揃いの超ハイレベルトーナメント、日本勢2名は配置の明暗分かれる
eJudo Photo
ツアー3連勝を目指す佐々木健志

(エントリー63名)

間違いなく今大会の目玉となる階級。サイード・モラエイ(イラン)、アレクサンダー・ヴィーチェルツァク(ドイツ)、ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)ら世界王者3名を筆頭に各地の名だたる強豪がパリに集い、大げさでなく世界選手権と比べても遜色のない、非常に豪華なトーナメントが出来上がった。
現在の81kg級は史上稀に見る戦国時代。トップ選手約20名がギリギリの鍔迫り合いを続けており、組み合わせやコンディション、相性の噛み合わせで表彰台の顔ぶれが毎回大きく変わることが数年スパンで続いている。勝敗の予想は極めて困難だ。

この過酷なトーナメントに挑む日本勢は、佐々木健志(筑波大4年)と小原拳哉(パーク24)の2名。

佐々木は11月のグランドスラム大阪、12月のワールドマスターズとビッグタイトルに連勝して目下絶好調。夏季シーズンに見られたような、攻撃衝動を抑え切れずに自らピンチを招く場面も少なく、セルフコントロールを利かせた大人の強さを見せている。今大会は比較的戦いやすいプールCに配されており、運にも味方された。月末のグランドスラム・デュッセルドルフに出場するライバル藤原崇太郎(日本体育大2年)にプレッシャーを掛けるためにも、ここでもう1つ実績を上積みしておきたい。ここでハイレベル大会3連勝となれば、ロンドン-リオ期の永瀬貴規以来、ひさびさ81kg級に「本命」の誕生である。

一方の小原も、昨年はグランプリ・ブダペスト2位、講道館杯優勝、グランドスラム大阪2位と成績が残るようになって来た。どうやら選手としての充実期に入ってきている様子であり、ここでブレイクのきっかけをつかみたいところ。組み合わせは、2回戦で現世界王者のサイード・モラエイ(イラン)、3回戦で前世界王者のアレクサンダー・ヴィーチェルツァク(ドイツ)という過酷なものだが、現在の実力ならば勝ち上がることも十分可能。逆にチャンスと捉えて戦いたい。

【プールA】
第1シード:サイード・モラエイ(イラン)
第8シード:アンリ・エグティゼ(ポルトガル)
有力選手:アレクサンダー・ヴィーチェルツァク(ドイツ)、エマニュエル・ルセンティ(アルゼンチン)、オトゴンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)
日本代表選手:小原拳哉(パーク24)

【プールB】
第4シード:マティアス・カッス(ベルギー)
第5シード:サギ・ムキ(イスラエル)
有力選手:イ・センス(韓国)、マッテオ・マルコンチーニ(イタリア)

【プールC】
第2シード:佐々木健志(筑波大4年)
第7シード:ドミニク・レッセル(ドイツ)
有力選手:アントニオ・エスポージト(イタリア)、ニャムスレン・ダグヴァスレン(モンゴル)、エティエンヌ・ブリオン(カナダ)

【プールD】
第3シード:アラン・フベトソフ(ロシア)
第6シード:ハサン・ハルモルザエフ(ロシア)
有力選手:ディダル・ハムザ(カザフスタン)、アッティラ・ウングヴァリ(ハンガリー)、モハメド・アブデラル(エジプト)、サミ・シュシ(ベルギー)

■ 90kg級・向翔一郎に試練の配置、最注目は2年ぶりに出場のチェン・シュンジャオ
eJudo Photo
グランドスラム大阪を制した向翔一朗

(エントリー55名)

バクー世界選手権銀メダリストのイワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)ら、階級の上位に座る強豪が多数参戦。現世界王者のニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)が直前で出場を回避したが、その影響を感じさせぬほど十分に魅力的なトーナメントが組まれた。

もっとも注目すべきは今大会が約2年ぶりの国際大会出場となる、2016年リオデジャネイロ五輪銅メダリストのチェン・シュンジャオ(中国)だろう。同選手は2017年2月のグランドスラム・パリを豪快な担ぎ技による「一本」連発で制した後、突如2年間にわたって国際シーンから姿を消した。あの爆発力は健在なのか、まずは1回戦でどの程度まで動けるのかをチェックしたい。

日本代表選手は、向翔一郎(ALSOK)と長澤憲大(パーク24)の2名。向はグランドスラム大阪を制して勢いに乗っており、昨年優勝して出世のきっかけを作ったこの大会で2連覇を飾ってライバルたちに差をつけてしまいたいところ。組み合わせは2回戦でいきなり優勝候補のシウバ=モラレスと当たる厳しいものだが、長身のシウバ=モラレスには向の担ぎ技が有効なはず。安易に抱き勝負を挑むことなく、じっくりと戦いたい。大舞台でこそ発揮される、向の勝負強さに期待だ。

一方の長澤はまさに背水の陣。バクー世界選手権では3位に滑り込むも、グランドスラム大阪を怪我のために欠場。復帰戦となった12月のワールドマスターズは、2回戦でダヴィド・クラメルト(チェコ)に支釣込足「一本」で敗れるという厳しい結果に終わっている。

90kg級の代表争いは男子7階級中もっとも先が見えない大混戦。向と村尾三四郎(桐蔭学園高3年)の台頭、ベイカー茉秋(日本中央競馬会)の復活という状況にあって、これ以上の停滞はもはや致命傷。長澤にとっては、ここがキャリアのターニングポイントだ。覚悟ある戦いに期待したい。

【プールA】
第1シード:クリスティアン・トート(ハンガリー)
第8シード:長澤憲大(パーク24)
有力選手:ニコラス・ムンガイ(イタリア)、ザッカリー・バート(カナダ)、オーレリアン・ディエス(フランス)、ノエル・ファンテンド(オランダ)

【プールB】
第4シード:ガク・ドンハン(韓国)
第5シード:アクセル・クレルジェ(フランス)
有力選手:ダヴィド・クラメルト(チェコ)、ツラル・サフグリエフ(アゼルバイジャン)

【プールC】
第2シード:イワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)
第7シード:イスラム・ボズバエフ(カザフスタン)
有力選手:イェスパー・シュミンク(オランダ)、チェン・シュンジャオ(中国)、ヨアキム・ボットー(ベルギー)、エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)、マックス・スチュアート(イギリス)
日本代表選手:向翔一郎(ALSOK)

【プールD】
第3シード:コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)
第6シード:ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)
有力選手:フセン・ハルモルザエフ(ロシア)、クエジョウ・ナーバリ(ウクライナ)、エリアス・ナシフ(レバノン)

■ 100kg級・優勝候補はウルフアロン、注目選手はカナダの新星エルナハス
eJudo Photo
今大会の大本命はウルフアロン

(エントリー44名)

今大会も強豪多数、人材豊富なこの階級にふさわしいハイレベルトーナメントが組まれた。

優勝候補は日本代表のウルフアロン(了徳寺学園職)。昨シーズン前半は怪我に泣かされたが、11月のグランドスラム大阪では得意技の内股で「一本」連発の快勝。今大会でワールドツアー2連勝を飾って完全復活を印象づけたいところだ。組み合わせにも恵まれており、ベスト8までは強豪との対戦はなし。この序盤戦を良い形で勝ち上がり、勢いに乗って上位戦に臨みたい。

海外勢で注目したいのはグランドスラム大阪で飯田健太郎(国士舘大2年)を破って決勝進出を果たした、カナダの新星シャディー・エルナハス(カナダ)。3回戦では現世界王者のチョ・グハン(韓国)との対戦が予定されており、これが大きな山場になるはず。チョはこれまで有望な本格派の若手を何度も弾き返しているこの階級の「門番」、エルナハスの力を図る物差しとしてはまさに適任である。是非ともウォッチしておきたい好カードだ。

ほか、ついにノーシード位置まで順位を落としてしまったシリル・マレ(フランス)の戦いぶりも要チェック。マレは2016年まで同大会で3連覇を果たすなど、地元開催のこの大会を非常に得意としている。国内のライバル、アレクサンドル・イディー(フランス)が1月のグランプリ・テルアビブで優勝を飾るなど力をつけてきている現状にあって、再び上がり目を掴むにはここしかないはず。かつて恐れられた「パリ大会のマレ」の復活なるかに注目だ。

【プールA】
第1シード:ヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)
第8シード:エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)
有力選手:アレクサンドル・イディー(フランス)、キリル・デニソフ(ロシア)

【プールB】
第4シード:チョ・グハン(韓国)
第5シード:ジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)
有力選手:シャディー・エルナハス(カナダ)、ベンジャミン・フレッチャー(イギリス)、イワン・レマレンコ(UAE)、シリル・マレ(フランス)

【プールC】
第2シード:マイケル・コレル(オランダ)
第7シード:ウルフアロン(了徳寺学園職)
有力選手:ゼリム・コツォイエフ(アゼルバイジャン)・アーロン・ファラ(オーストリア)

【プールD】
第3シード:ペテル・パルチク(イスラエル)
第6シード:ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)
有力選手:ホセ・アルメンテロス(キューバ)、レイズ・ボウヤコウブ(アルジェリア)、グリゴリ・ミナシキン(エストニア)、ニイアズ・ビラロフ(ロシア)、ヨアキム・ドファービー(スウェーデン)

■ 100kg超級・リネール欠場、「序列再編成」の気配漂う混戦
eJudo Photo
グランドスラム大阪で日本勢から唯一表彰台の上がった影浦心

eJudo Photo
原沢久喜は再上昇のきっかけをつかみたい

(エントリー31名)

地元の英雄テディ・リネール(フランス)は今回も欠場。トップ選手の出場も少なく、やや落ち着いた陣容のトーナメントとなった。

日本から参加するのは影浦心(日本中央競馬会)と原沢久喜(フリー)の2名。影浦は12月のワールドマスターズで同タイプのタメルラン・バシャエフ(ロシア)に敗れ、「動ける担ぎ技系」というアイデンティティの危機を迎えている。年明けの代表合宿では担ぎ技以外の腰技や足技を積極的に使っていくと語っていたが、果たして今大会でどのような試合をみせてくれるのか。まずは準々決勝、同じく担ぎ技タイプのオール・サッソン(イスラエル)との試合に注目だ。

一方の原沢も、グランドスラム大阪では2回戦でナイダン・ツヴシンバヤル(モンゴル)に敗れ上位戦に進めないまま試合を終えるなど、いまだに不調から抜け出せずにいる。国内のライバルたちも同じく足踏み状態にあるため差はついていないが、このあたりで明確な結果を出しておきたいところだ。組み合わせは1回戦から苦手としている担ぎ技系のバシャエフと対戦せねばならないという厄介なものだが、順当に力を発揮できれば遅れを取ることはないはず。最近の原沢の試合はやや淡白な印象が目立っており、これがなにより心配。昨年の全日本選手権決勝で見せたような、闘志を前面に押し出した戦いぶりに期待したい。

【プールA】
第1シード:影浦心(日本中央競馬会)
第8シード:オール・サッソン(イスラエル)
有力選手:ファイセル・ヤバラー(チュニジア)、ヴラダト・シミオネスク(ルーマニア)

【プールB】
第4シード:キム・スンミン(韓国)
第5シード:ステファン・ヘギー(オーストリア)
有力選手:バトトルガ・テムーレン(モンゴル)、ヨハネス・フレイ(ドイツ)、ヤキフ・ハモー(ウクライナ)

【プールC】
第2シード:タメルラン・バシャエフ(ロシア)
第7シード:ウシャンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)
有力選手:ダニエル・アレルストルフェル(オーストリア)、オドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル)
日本代表選手:原沢久喜(フリー)

【プールD】
第3シード:ヘンク・フロル(オランダ)
第6シード:ロイ・メイヤー(オランダ)
有力選手:アンディー・グランダ(キューバ)、スヴェン・ハインル(ドイツ)

※ eJudoメルマガ版2月9日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る