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髙藤直寿と阿部一二三、橋本壮市ら世界王者の再始動に注目・グランドスラムパリ2019・第1日男子プレビュー

(2019年2月8日)

※ eJudoメルマガ版2月8日掲載記事より転載・編集しています。
髙藤直寿と阿部一二三、橋本壮市ら世界王者の再始動に注目
グランドスラムパリ2019・第1日男子プレビュー(60kg級、66kg級、73kg級)
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昨年度大会、満員の観衆で埋まった会場のエコーホテルズアリーナ。

Photo by IJF

[参考記事]
【解説】冬季欧州シリーズ派遣リスト発表、各階級代表レースの状況鮮明 (2018年12月7日)
→第1日男子全試合結果
→第1日男子速報
→第1日男子詳細レポート
→【eJudo’s EYE】ワールドツアー欧州シリーズ男子日本代表20人「採点表」

IJFワールドツアー欧州シリーズきってのビッグイベント・グランドスラムパリ大会がいよいよきょう開幕。初日は男子3階級、女子4階級の競技が行われる。

今年もスターが多数参戦。まことに豪華なトーナメントであるが、エントリーリストを見る限り、今大会の軸は間違いなく日本勢。

言うまでもないことだが、この欧州シリーズは東京世界選手権(8月25日~9月1日)の日本代表第3次選考を兼ねており、本命とされる選手はこのパリ大会と再来週のデュッセルドルフ大会に分けて派遣されている。この2大会で代表争いの行方はほぼ見えると言って良い。

つまりは現状の最強国日本が全階級にあまねく一線級を送り込んでいるわけだから、この2大会の「主役」と規定されるのは当然と言えば当然だ。

階級によって事情は異なるが、日本選手にとっては大雑把に言って「勝っても代表が決まるわけではないが、負ければ『自力』で代表を決める権利がほぼ潰える」というまことに過酷なシリーズ。眦決して臨む日本勢の活躍とそれに挑む海外の強豪たち、という観点でぜひこの贅沢な2日間を堪能してもらいたい。
会場のエコーホテルズアリーナ(旧ベルシー体育館)の観客席はまるでコンサート、選手の国籍に関わらず良い技には拍手、盛り上がればスタンドを揺るがすウェーブ。試合ももちろんだが、この豊かな観戦文化もぜひ感じてもらいたい。

■ 60kg級・今大会が出直しの髙藤直寿が登場、ライバルはダシュダヴァーとスメトフ
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バクー世界選手権金メダリスト・髙藤直寿

(エントリー36名)

世界選手権2連覇中の現世界王者、髙藤直寿(パーク24)が出直しの戦いに挑む。髙藤は昨年9月のバクー世界選手権で左膝を負傷、十分に稽古を積めないまま出場した11月のグランドスラム大阪では、初戦(2回戦)でキム・ウォンジン(韓国)を相手に「指導3」を失ってまさかの1敗を喫している。同大会ではライバルの永山竜樹(東海大4年)が優勝を飾っており、世界王者としてのアドバンテージを維持するためにも、今回は絶対に負けられない戦いだ。

髙藤の配置は第1シード。プールAにはこれといった強豪は居らず、ベスト4進出まではまず確実と考えてよいだろう。決勝まで勝ち進んだ場合の相手は恐らくダシュダヴァー・アマルツヴシン(モンゴル)かイェルドス・スメトフ(カザフスタン)。近頃のスメトフの停滞ぶりを考慮すればダシュダヴァーが勝ち上がってくると思われるが、いずれにしても復帰戦の相手としては十分以上、かつ髙藤本来の力をもってすれば、勝利自体は堅いと観測しておいて然るべきだろう。永山にプレッシャーを与えるためにも、内容の伴った良い形での勝利を目指したい。

【プールA】
第1シード:髙藤直寿(パーク24)
第8シード:アドニス・ディアス(アメリカ)
有力選手:イ・ハリン(韓国)、トルニケ・ツヤカドエア(オランダ)

【プールB】
第4シード:フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)
第5シード:グスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)
有力選手:ヴァンサン・リマール(フランス)

【プールC】
第2シード:ダシュダヴァー・アマルツヴシン(モンゴル)
第7シード:アシュリー・マッケンジー(イギリス)
有力選手:ヨーレ・フェルストラーテン(ベルギー)

【プールD】
第3シード:イェルドス・スメトフ(カザフスタン)
第6シード:イスラム・ヤシュエフ(ロシア)
有力選手:ジャバ・パピナシヴィリ(ジョージア)、ルカ・ムヘイゼ(フランス)、モリッツ・プラフキー(ドイツ)、ダヴィド・プルクラベク(チェコ)

■ 66kg級・ついにライバル得た阿部一二三の戦いぶりに注目
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世界選手権2連覇中の阿部一二三

(エントリー49名)

世界選手権2連覇中の絶対王者・阿部一二三(日本体育大3年)が、2020年に向けて再スタートを切る大会。東京五輪のホープと目され多方面から注目を浴びる阿部、昨年は世界選手権で2連覇達成も、前年度の圧倒的な出来に比べれば実は「減速した」と総括さるるべき1年だった。徹底して研究されたゆえか持ち味である投げの豪快さに陰りが出始め、11月のグランドスラム大阪では丸山城志郎(ミキハウス)に巴投「技有」を奪われて敗退。この一撃で東京世界選手権の内定獲得も逃し、かつ丸山に「阿部一二三のライバル」という権利を与えることにもなってしまった。丸山は翌月のワールドマスターズを全試合一本勝ちで優勝しており、振り向けば顔が見えるところまで迫ってきている。

阿部としては結果を出すことはもちろんのこと、緩やかに下降気味のこの状況を打破する起爆剤がほしいところ。今大会の顔ぶれはヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)、タル・フリッカー(イスラエル)ら世界大会表彰台クラスの強豪が揃う豪華なものだが、阿部の実力であれば順行運転でも十分に優勝可能。このことを考えれば勝利自体はプラス要素になり難く、試合内容、具体的には昨年の停滞の原因となった技術的閉塞、より踏み込めば「片手状態で組み合ってくれない相手」への明確な対応策を示すことができるかどうかが、最重要ポイントになるだろう。これまで壁にぶつかる度に成長を遂げてきた阿部一二三が、前述の停滞のなかでどのような進化を遂げるのか。

丸山の存在云々を越えて柔道の「幅」を広げることは五輪金メダルを目指す阿部の必須条件である。その戦いぶりに注目だ。

【プールA】
第1シード:阿部一二三(日本体育大3年)
第8シード:デニス・ヴィエル(モルドバ)
有力選手:オルハン・サファロフ(アゼルバイジャン)、オスニエル・ソリス(キューバ)、キム・リマン(韓国)

【プールB】
第4シード:タル・フリッカー(イスラエル)
第5シード:ゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)
有力選手:アラム・グリゴリアン(ロシア)

【プールC】
第2シード:ヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)
第7シード:ガンボルド・ヘルレン(モンゴル)
有力選手:マッテオ・メドヴェス(イタリア)、セバスティアン・ザイドル(ドイツ)

【プールD】
第3シード:バルチ・シュマイロフ(イスラエル)
第6シード:イェルラン・セリクジャノフ(カザフスタン)
有力選手:アブドゥラ・アブドゥルジャリロフ(ロシア)、ニジャット・シハリザダ(アゼルバイジャン)、ロイク・コーヴァル(フランス)

■ 73kg級・強豪多数の過密トーナメント、復活期す橋本壮市とブレイク目指す立川新がこれに挑む
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バクー世界選手権の銀メダリスト橋本壮市

(エントリー58名)

大会第1日男子の最激戦階級。スーパートップの出場こそ少ないものの、それに次ぐ層にひしめく強豪たちが大挙して参戦。なかなかに密度の高い、骨の太いトーナメントが組まれた。

日本がここに送り込むのは、橋本壮市(パーク24)と立川新(東海大3年)の2名。

橋本は昨年9月のバクー世界選手権でアン・チャンリン(韓国)に敗れて2位、さらに同大会で負った怪我のためにグランドスラム大阪も欠場している。12月のワールドマスターズには出場したものの、ここでも2度敗れて7位と不完全燃焼。この間ライバルの大野将平(旭化成)はアジア大会でアンを破って優勝したばかりか、グランドスラム大阪も圧勝で制してもはや代表争いの大本命。橋本としてはこれ以上の失敗は許されない状況だ。4月の選抜体重別に望みを繋ぐためにも、ここで確実に結果を出しておきたい。

一方の立川も確実に実力を上げているものの、グランドスラム大阪では大野に直接対決で敗れて3位。依然としてキャリアに蓋をされた形となっている。世代の旗手としての立ち位置は変わらないが、2017年のグランドスラム東京で優勝してから1年以上この座に留まり続けているということでもあり、先行者たちの壁にぶつかっている感が否めない。このあたりで海外の実績でも橋本や大野と肩を並べておきたいところだ。今大会の組み合わせは、2回戦でヨーロッパ王者のフェルディナンド・カラペティアン(アルメニア)、3回戦では昨年グランプリ・ブダペストで敗れたアルチュール・マルジェリドン(カナダ)、準々決勝で階級屈指のパワーファイターのアキル・ヤコヴァ(コソボ)と、予選ラウンドから強豪と連戦せねばならない過酷なもの。また、カラペティアンとヤコヴァは立川が苦手としている密着タイプであり、立川の順行運転モードである「組み手圧殺」だけで勝つことは少々難しいと思われる。もう1つの軸である足技がどの程度出せるかが、ポイントになってくるだろう。

【プールA】
第1シード:ラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)
第8シード:トハル・ブトブル(イスラエル)
有力選手:ヴィクター・スクヴォトフ(UAE)、ツェンドオチル・ツォグトバータル(モンゴル)

【プールB】
第4シード:アキル・ヤコヴァ(コソボ)
第5シード:アルチュール・マルジェリドン(カナダ)
有力選手:イゴール・ヴァンドケ(ドイツ)、ベンジャマン・アクスス(フランス)、フェルディナンド・カラペティアン(アルメニア)
日本代表選手:立川新(東海大3年)

【プールC】
第2シード:橋本壮市(パーク24)
第7シード:ジャンサイ・スマグロフ(カザフスタン)
有力選手:ニコラス・デルポポロ(アメリカ)、アントワーヌ・ブシャー(ブランス)、ギオーム・シェヌ(フランス)、サイインジリガラ(中国)

【プールD】
第3シード:トミー・マシアス(スウェーデン)
第6シード:ヒダヤット・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)
有力選手:モハマド・モハマディ(イラン)、ファビオ・バジーレ(イタリア)、アンソニー・ツィング(ドイツ)、アルテム・ホムラ(ウクライナ)

※ eJudoメルマガ版2月8日掲載記事より転載・編集しています。

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