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【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第69回

(2019年1月13日)

※ eJudoメルマガ版1月14日掲載記事より転載・編集しています。
【隔週刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第69回
健康法の第一は平時の摂生である
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嘉納治五郎師範

資料提供 公益財団法人講道館
copyright:Kodokan Judo Institute

※写真の無断転載および転用を厳に禁じます

出典:「大志を懐く者の健康法」
柔道1巻2号 大正4年2月 (『嘉納治五郎大系』4巻181頁)

新しい年を迎えると、気持ちも新たになり、色々なことに積極的に取り組もうという気になるものです。今の気持ちを忘れずに、この1年を過ごしたいものですが、そのために「健康」は欠かすことが出来ないものでしょう。
師範の健康についての「ひとこと」は、第58回(http://www.ejudo.info/newstopics/003602.html)で一度紹介していますが、年頭にあたり、改めて別の「ひとこと」を紹介したいと思います。

<普段、戸締まりをおろそかにしておきながら、泥棒に入られると、大騒ぎし、あわてて、戸締まりを厳重にすることが多い>。引用元の書き出しです。一体健康とどんな関係があるのでしょうか。師範はこの様な人が世間には多く、健康についても同様の傾向があると言います。

健康が大事なことは、誰もが認めることです。師範は<活動の根源>と言っています。
ところが、多くの人が健康が大事だと分かっていながら、普段はそのための方法を考えることや、実践をせずに、病気になってから、あわてて騒ぐと師範は言います。健康のありがたみは健康でなくなってはじめて分かる等と言うこともありますが、それではダメだということです。

大切だとわかっていても、対策を十分に行わず、事が起こってから、大騒ぎして対応しようとする人が多い。師範の言う、健康と防犯の共通点です。

そのため、健康を守るための第1の方法が「平時の摂生」ということになるわけです。具体的な内容は<飲食物を適度にとる><休みをしっかりとる><清潔につとめること>など。何も特別なことはありません。師範も消極的な方法だと述べていますが、第1の方法としてあげていることは、それだけ重要なことなのでしょう。

先日、大河ドラマ「いだてん」が始まりました。第1回目は役所広司さん演じる嘉納治五郎師範が主役といっても過言ではない内容でしたが、その中で、サラッと師範が糖尿病だったという史実が紹介されました。

実は師範は大食漢だったようで、本人は書き残していませんが、関係者の発言が資料として残されています。東京高等師範学校の校長を務めていたときに自宅から運ばれてくるお弁当は物見遊山のようなお重だったとか。また、「いだてん」の冒頭に登場し、昭和39年のオリンピック東京大会の誘致に尽力した平沢和重氏は氷川丸船中で師範が朝からビフテキを食し、食事の量も平沢氏の倍くらいだったと証言しています。もちろん、体調が悪くなる前の話です。

身体的な要因でいじめを受けたことが、柔術修行の動機となり、その成果が丈夫な身体と講道館柔道の創始になるわけですが、こういった病気を抱え続けた師範にとって、健康は生涯の課題の1つであったことが容易に想像出来ます。
自身がそのような課題を持ち続けていたことが、健康に対しての考えを深め、ひいては柔道の体育法や国民体育といったものに繋がっていたのではないでしょうか。

お気づきになった方もいらっしゃると思いますが、今回の「ひとこと」は健康法の<第一>です。以降、「第四」まで続きますが、具体的な内容は別の機会にゆずり、今回は項目の紹介にとどめ、本稿を終わりたいと思います。
②積極的に心身を鍛練して抵抗力を増大する
③常に精神を爽快にする
④精力の利用

※読みやすさを考慮して引用は『嘉納治五郎大系』から行っています。

著者:元 敏季(ハジメ・トシキ)
1975年生まれ。柔道は中学校から始め、大学までは競技を中心に行うが、卒業論文を機に柔道の文化的側面に関心を持ち、大学院へ進学。凡そ10年、大学院・研究機関に所属するも、研究とは異なる分野の仕事に就き現在に至る。ライフワークとして嘉納治五郎に関する史料を蒐集・研究し、その成果を柔道振興のため発信しようとしている。

※ eJudoメルマガ版1月14日掲載記事より転載・編集しています。

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