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斉藤立温存のまま国士舘が優勝、力みせるも決勝は大接戦・第32回國學院大學松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会レポート②準決勝~決勝

(2019年1月9日)

※ eJudoメルマガ版1月7日掲載記事より転載・編集しています。
斉藤立温存のまま国士舘が優勝、力みせるも決勝は大接戦
第32回國學院大學松尾三郎杯争奪全国選抜高等学校柔道大会レポート②準決勝~決勝
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山場の準決勝に臨む作陽の入場。この試合も迫力いっぱい。

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先鋒戦、作陽・丸鳩紹雲が藤原秀奨から払巻込「技有」

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次鋒戦、日体大荏原の木下颯王は隅落「技有」を失うもそのまま隅返で回し返し、横四方固へと繋ぐ。

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日体大荏原はグリーンカラニ海斗の送襟絞「一本」で2-1と勝ち越し。

文責:古田英毅
取材・撮影:eJudo編集部

→詳細レポート①1回戦~準々決勝
→当日速報記事



【準決勝】

日体大荏原高 - 作陽高
(先)藤原秀奨 - 丸鳩紹雲
(次)木下颯王 - 半田壮
(中)グリーンカラニ海斗 - ドルバックシェイ
(副)海堀陽弥 - 高橋翼
(大)平山才稀 - 嵐大地

日体大荏原は前戦から1人入れ替え、木下颯王を入れて布陣。一方作陽は疲労の目立った榎本開斗を下げ、ドルバックシェイを入れてこの試合に臨んだ。両軍の陣容を見ると作陽には半田壮とドルバックシェイという2つの凹みがあり、ここで作陽が踏ん張れるか、日体大荏原が確実に得点できるかどうかがもっとも大きなシナリオの分岐点。

先鋒戦は日体大荏原・藤原秀奨、作陽・丸鳩紹雲ともに右組みの相四つ。巧者藤原が大型の丸鳩をどう封じるかが見ものの試合であったが、丸鳩は1分18秒の払巻込でこれを強引に突破「技有」先制。

丸鳩はそのまま抑え込み、合技「一本」で先制点は作陽の手に落ちる。少々意外なほどの圧勝であった。丸鳩の成長が感じられた試合であり、組み勝つことを前提に柔道を組み立てる藤原の相四つ大型相手の意外な脆さが見えた一番であった。

次鋒戦は日体大荏原の木下颯王が殊勲の勝利。この試合はケンカ四つ、作陽・半田壮が背中を抱え合った状態から左浮腰を仕掛け、崩せた木下が膝を着くと突進して押し込み隅落「技有」獲得。しかし失点した木下は半田が突っ込んで来る勢いそのままに隅返の形でクルリと回し、腕を抱えたままあっという間に覆いかぶさる。胸を合わせて横四方固に抑え込むと半田もはや逃れられず「一本」。この逆転勝ちがこの準決勝第1試合の大きな分水嶺となった。

中堅戦はグリーンカラニ海斗がドルバックシェイをあっという間に「腰絞め」に捉えて僅か21秒で一本勝ち。主審の「一本」宣告後、作陽の選手たちから「落ちていない」との声が上がったがドルバックシェイは立ち上がり際にふらつきダメージは明らか、判定が覆ることはなかった。日体大荏原は得点すべき2ポジションでいずれも一本勝ち、スコア2-1とこの試合初めてリードを得る。

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作陽の副将髙橋翼が海堀陽弥から小外掛「一本」。

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大将戦、日体大荏原の平山才稀が嵐大地から小外掛「一本」

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大将平山の勝利で勝ち越した日体大荏原が決勝へ。

副将戦は作陽のエース髙橋翼が海堀陽弥を圧倒。得意のケンカ四つということもあり、大外刈をベースに攻め続け、42秒には海堀に「極端な防御姿勢」の咎で「指導」。1分40秒には髙橋の小外刈が決まって海堀背中から畳に落下「一本」。ここでスコアは2-2、両軍全得点が「一本」というタイスコアのまま勝負の行方は大将戦へと持ち越される。

この試合唯一ポイントゲッター同士がマッチアップした大将戦は日体大荏原・平山才稀が左、作陽・嵐大地が右組みのケンカ四つ。背中を抱き合ったところから57秒に平山が得意の左小外掛、引き手で脇を差しての強引な一撃を疲労困憊の嵐は捌きかね、背中から落下「一本」。

日体大荏原高 3-2 作陽高
(先)藤原秀奨△合技〇丸鳩紹雲
(次)木下颯王〇横四方固△半田壮
(中)グリーンカラニ海斗〇送襟絞△ドルバックシェイ
(副)海堀陽弥△小外掛〇高橋翼
(大)平山才稀〇小外掛△嵐大地

結果、最終スコア3-2で日体大荏原が決勝進出を決めることとなった。グリーン、平山のポイントゲッター2人に加えて相手の凹みにかち合った5番手木下の3名が仕事を果たし、持てる力をしっかり出した試合であった。

一方の作陽。丸鳩が上位対戦レベルでも得点役を担い得ることが確認出来、髙橋、嵐、丸鳩と抜き役3人体制に目途が立ったことは収穫かと思われる。ただし残り2枚、特に5人目の凹みが気に掛かる。髙橋の取り味は今代では特筆もの、周辺戦力をどう定めていかに育てるかが本番のカギを握る。

中国ブロック大会を制している実績もあり、本戦でのシードピックアップは確実。あとは「四つ角」に入るかどうか。久々、勝負出来る年代である。

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先鋒戦、鈴木郷生と飯田恒星の試合は拮抗も、結果は鈴木の僅差優勢勝ち。

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次鋒戦、岡田陸が福本佑樹から縦四方固「一本」。国士舘は我慢のはずの前衛ブロックで2点をリード。

国士舘高 5-0 崇徳高
(先)鈴木郷生〇優勢[僅差]△飯田恒星
(次)岡田陸〇縦四方固△福本佑樹
(中)道下新大〇優勢[技有・体落]△徳持英隼
(副)長谷川碧〇内股△福永夏生
(大)藤永龍太郎〇縦四方固△毛利允弥

国士舘は準々決勝で定めなおした陣形を堅持、テスト中の鈴木郷生と岡田陸を前出しし、後衛に道下新大、長谷川碧、藤永龍太郎のポイントゲッター3枚をまとめた。

そしてレギュラー奪取に燃える鈴木と岡田の奮闘によってこの準決勝第2試合はワンサイドゲームの様相を呈する。先鋒戦、鈴木はケンカ四つの飯田恒星を引き手争いの中しぶとく攻める。飯田も左小外刈を中心に攻めて鈴木の陣地を下げ、様相は拮抗だったが、スコアとして残ったのは片手の咎による飯田の「指導2」失陥。この試合は僅差の優勢で鈴木が勝利することとなった。

次鋒戦は岡田、福本佑樹ともに右組みの相四つ。序盤組み合いを嫌った岡田に片襟の「指導」が与えられ、続いての岡田の巻き込み潰れは福本が抜け目なく隅落を狙ってやや優位。しかし以降は岡田が横変形の組み合いに応じ、相手の釣り手を絞り込んでは支釣込足の蹴り崩しを続けて徐々に陣地を取り返す。残り1分を過ぎるとここからのワンチャンスを生かし、寝勝負に持ち込んで縦四方固。福本逃れきれず3分22秒「一本」。

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中堅戦、道下新大が徳持英隼から体落「技有」

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副将戦、崇徳・福永夏生が長谷川碧の内股を捌き続ける

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福永の内股を切り返した長谷川の内股が「一本」。

中堅戦は道下新大が左、徳持英隼が右組みのケンカ四つ。道下が左体落、徳持が背負投様に腕をまとめた右内股で攻めるがじわじわと力の差が出始め、1分33秒には徳持に消極的との咎による「指導」。このまま残り1分まで試合が進んで引き分けの可能性が視界に入り始めるが、ここで道下的確に加速。残り45秒に相手の頭を抱え込みながらの左体落に打って出て、貫録の「技有」確保。そのまま横三角で攻めて「待て」が宣されたときには残り時間僅か22秒。このまま優勢勝ちで国士館が3点目を確保、中堅戦終了のこの時点で早くも決勝進出権を得る。

副将戦のポイントゲッター対決は長谷川碧が左、福永夏生が右組みのケンカ四つ。長谷川左内股を連発して迫るが威力十分も崩しが足りず、福永徐々に慣れて1分7秒には内股から潰れた長谷川をそのまま引きずって攻勢をアピール、その攻防には余裕あり。続いて福永自分の番とばかりにフェイントの右小外掛、しかし長谷川左内股に切り返し攻撃意欲は衰えず。

長谷川は左小外掛から、あるいは出足払から繋いであくまで左内股の矛を収めない。いずれも潰れてしまうがその貪欲な攻めの前に当初余裕のあった福永は手が詰まって来た印象。防御に難はないものの、具体的にどう得点するかが見えない。

残り26秒、これまでになく良い組み手を得た福永がここぞとばかりに右内股。しかし長谷川これを透かすなり攻防一致の左内股一撃。福永これは避け切れずそのまま宙を舞い、長谷川深く握り込んだ引き手の牽引を効かせたまま乗り込んで「一本」。あくまで内股にこだわった長谷川の貪欲さが福永の巧さを上回った試合だった。これでスコアはなんと4-0。

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大将藤永龍太郎の縦四方固「一本」でこの試合は5-0決着となる

大将戦は藤永龍太郎、毛利允弥ともに左組みの相四つ。横変形で蹴り崩しを続ける藤永に対し、毛利は左一本背負投と肩車で攻め返すが藤永ことごとく潰して寝技に持ち込む。2分過ぎにはこの展開から背中について横に転がし、手前に引っ張り出して巧みに縦四方固まで歩を進める。毛利動けず「一本」。

最終スコアは5-0、圧勝で国士館が決勝進出を決めた。実力差以上に得点差が開いた一番、国士舘は良い流れのまま最終戦に臨む。

陣容からすれば本戦のシードピックアップはもちろん、展開次第で「四つ角」すらありえるかというメンバーを揃えた崇徳であったが、少々意外な大敗。攻撃力はともかく、主戦の福永をはじめ、崇徳らしからぬ不安定さは頂けない。上位対戦を勝ち抜くにはもう一段、二段の錬磨が必要だ。

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決勝が開始される

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帰国まもない斉藤立は最後まで畳に上がらず

【決勝】

日体大荏原高 - 国士舘高
(先)山城和也 - 鈴木郷生
(次)藤原秀奨 - 岡田陸
(中)平山才稀 - 道下新大
(副)グリーンカラニ海斗 - 長谷川碧
(大)海堀陽弥 - 藤永龍太郎

国士舘はオーダー順を動かさず。
日体大荏原サイドから見るとポイントゲッターの平山才稀とグリーンカラニ海斗がいずれも相手方の抜き役とかち合ってしまっており、ここでの得点を事前に織り込むのは難しい。なんとしても前衛、特に藤原秀奨が点を挙げる以外に勝利の道はない。

一方の国士舘としては後衛に並べたポイントゲッター3枚が後に仕事を流さず、どこまで緊張感と責任感を持って仕事を果たすかがポイント。斉藤立を取り置く中、東京都予選最大の敵である日体大荏原に、勝利はもちろんどれだけ怖さを植え付けられるかがこの試合の目当てだ。前衛が我慢し、出来得れば得点して相手が出てくる状況を作り、後ろ3枚が突き放すというのが理想のシナリオ。

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先鋒戦、鈴木郷生の大外刈を山城和也が隅落で返しに掛かる

先鋒戦は日体大荏原の山城和也が左、国士舘・鈴木郷生が右組みのケンカ四つ。気合十分の山城前へ前へと体を運び、45秒鈴木に場外の「指導」。奮起した鈴木と依然前に出ようとする山城が押し合う形での拮抗が始まり、山城は左大外刈と体落、鈴木が大内刈に支釣込足、さらに肩車を繰り出して攻め合う。2分9秒に鈴木が思い切った右大外刈を見せるが角度が取れず、山城が外側に回し返して効なし。残り36秒には再び勇を鼓した鈴木が組み際に右大外刈で襲い掛かるが山城が隅落で返し掛けてあわや失点の危機。鈴木畳に着いた手を送って走り、なんとか逃れて「待て」。結果、残り16秒で双方に片手の咎で「指導」が追加されて試合終了。この試合は引き分けに終わった。

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岡田陸と藤原秀奨の次鋒戦は拮抗のまま終了。

次鋒戦は藤原秀奨、岡田陸ともに右組みの相四つ。藤原が大外刈に内股、岡田が内股で攻め合うが比較的静かな展開。打開を図った藤原が横変形から一本背負投崩れの右大外刈を見せ、岡田が抱きついて返しを狙うという攻防があったがこれはそのまま「待て」。双方の攻防落ち着いた1分56秒には双方に「指導」が与えられる。

以後藤原が大外刈、岡田が大内刈と良い技を見せあったがともに一発を狙い過ぎる印象で得点の気配はなく、試合は終盤再び停滞。藤原が右大外刈に右釣込腰と大技を連発した直後の残り12秒、岡田に2つ目の「指導」が与えられたものの大勢に影響はなく、このまま4分間が終了することとなる。試合は引き分け、スコア0-0のまま試合は双方のポイントゲッターが控える中盤戦へと引き継がれる。

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平山才稀と道下新大のポイントゲッター対決も勝負つかず

中堅戦は平山才稀と道下新大ともに左組みの相四つ。道下は引き手を絞って丁寧に組み手を作りに掛かり、体を捨てる形で体落を仕掛けるが平山は揺るがず。組み手を得るなり左払腰を繰り出すが道下が早々に潰れて「待て」。1分33秒今度は道下が左大外刈に打って出るが釣り手が不十分で決まらず、以降は双方少々様子見となって1分50秒道下に偽装攻撃の「指導」。

2分19秒、道下の左大内刈を平山が浮落で切り返し、道下がさらに払巻込を重ね塗りする段重ねの攻防があったが双方崩れて「待て」。2分41秒平山の支釣込足に道下が足元を蹴られて崩れ「待て」。3分には道下が腕を抱え込んでの左大外刈、続く攻防では平山が左大外刈と大技を繰り出すがいずれも散発、相手のディフェンスを乗り越えることができない。

最終盤、平山が左内股を放ち、潰した道下が絞めを利かせた体勢のまま終了ブザーが鳴り響く。この試合も引き分けに終わり、3戦を消化していまだスコアに差がつかない。

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長谷川碧が腕を抱え込んでの内股も、グリーンカラニ海斗は揺るがず

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グリーンは釣り手を抱きこまれた体勢から、強引に左大外刈

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これを長谷川が左払巻込に切り返し「技有」

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藤永龍太郎は海堀陽弥を攻めきれず

副将戦はグリーンカラニ海斗、長谷川碧ともに左組みの相四つ。グリーンが釣り手を片襟に入れての左小内刈で攻め、長谷川は巴投に潰れて展開を切るやや意外な行動。グリーンは気合十分に前進、長谷川は内股に潰れ、1分過ぎに組み勝ったグリーンが大外刈を放つと長谷川下がって畳を割り「待て」。続いてグリーンが釣り手を奥襟、肩越しと変えながら圧を掛けると長谷川は頭が下がってしまい、少々先行き不安。早い段階での巴投掛け潰れに作りの薄い内股潰れ、頭を下げての後退と、夏に精神的に閉じて自滅した長谷川の暗黒面が顔を出しつつあるとの観測も可能な戦況。

しかし続く展開、横変形での組み合いは引き手でグリーンの腕を抱き込み、釣り手で横襟をしっかり掴んだ長谷川がやや優位。しかし前段の攻防に手ごたえがあったかグリーンは釣り手を低く抱かれたまま左大外刈。軸足遠く、釣り手の低いこの強引な技を長谷川大外返で迎え撃ち、グリーンが脚を抜いて回避すると見るや思い切りよく左払巻込に切り返す。相手の釣り手を抱え込み続けていた引き手がこの段に至って良く効き、グリーンひっくり返って状況一変、決定的な「技有」。

深追いしてしまったグリーンが、長谷川の望む、そして長谷川本人だけはなかなか作り出せない近い間合いでの力比べを挑んでしまった形。長谷川はそのまま崩袈裟固に抑え込んで2分33秒合技「一本」。国士舘は4戦目にして貴重な先制点獲得、スコア1-0でこの時点で負けがなくなる。

大将戦は海堀陽弥、藤永龍太郎ともに左組みの相四つ。29秒、袖口を絞り込んだ咎で海堀に「指導」。以降は横変形での攻防が続く。海堀が左大内刈を放つと藤永払巻込に切り返して凌ごうとするがこれはやや安易、海堀が隅落で返しに掛かると藤永慌てて回避して「待て」。

実績からすれば藤永の勝利が想起されてしかるべきカードだが、かねて不得手の相四つゆえか、それとも自軍リードの状況を考えてリスクを避けたか藤永はアクセルを踏み込まず。2分1秒には「指導」を貰ってしまいスコアはタイとなる。

以降も試合は動かず、2分37秒には双方に消極的との咎で「指導2」。この後も横変形の蹴り崩し合いから攻防のステージが上がることはなく、大将戦は引き分けに終わって全5試合が終了した。

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攻め切れぬままの接戦に、岩渕公一監督の訓示も厳しめ

国士舘高 1-0 日体大荏原高
(先)鈴木郷生×引分×山城和也
(次)岡田陸×引分×藤原秀奨
(中)道下新大×引分×平山才稀
(副)長谷川碧〇合技△グリーンカラニ海斗
(大)藤永龍太郎×引分×海堀陽弥

予想外のロースコアゲーム。国士舘の目当てが「斉藤なしの状態で完勝して力の差を見せつけること」、日体大荏原のそれが「接戦を演じて以後の戦いに道筋をつけること」であった(と筆者は想像する)ことを考えれば、試合に勝ったのは国士舘だが得るもの多かったのは日体大荏原の方であったのではないか。自軍の応援を受けて少々気合いが入り過ぎたグリーンの「勇み足」がなければもう一段粘ってさらに嫌なイメージを与えることが出来たであろうが、大枠として上出来の試合ではなかっただろうか。

一方の国士舘は反省一杯の試合であったはず。林の負傷で急遽出場となった鈴木がめざましい働きを見せたことは紛うことなき好材料であるが、弱点である線の細さをむしろ一段進めたような道下のもどかしい試合ぶり、夏に解法見えたかに思われた相四つ相手の取り味に再び不安を見せた藤永、力は見せたがプロセスの確かさに難ありの長谷川と、前代主軸を担った3人の戦いぶりは決して冴えたものではなかった。決勝直後に行われた岩渕公一監督の訓示も当然ながら厳しめ。写真撮影の際に恐る恐る笑顔をお願いすると「笑顔ねえ?」と渋面を作って見せてくれたのだが、このサービス、本音に近いものと推察する。

前代二冠獲得の主軸から4人が残って巨大戦力と評される国士舘であるが、斉藤以外の3枚の強さは決して絶対的なものではない。大会の総括としては、最注目チーム・国士舘に与えるこの評が適切なものではないだろうか。

国士舘が勝利も、林を失うという大事故があり、充実が伝えられた主軸3枚の強さは「一代上の主役級」としてのアドバンテージを平行移動して今代に持ち込むまでの絶対性はなく、三冠への道のり決して平坦ならず。力を見せたのは日体大荏原に作陽、崇徳に田村。佐賀商と東海大高輪台の活躍が大会を大いに盛り上げた。

以上の総評を以て松尾杯レポートを締めさせて頂く。招待試合サーキットのメインイベントにふさわしい、みどころ一杯の大会であった。シリーズは中2日を空けて西の横綱・大牟田の出場に沸く水田三喜男杯争奪選抜高等学校柔道大会へと引き継がれていく。

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優勝の国士舘高

【入賞者】
(エントリー68校)
優 勝:国士舘高(東京)
準優勝:日体大荏原高(東京)
第三位:崇徳高(広島)、作陽高(岡山)
※ベスト8:佐賀商高(佐賀)、田村高(福島)、埼玉栄高(埼玉)、木更津総合高(千葉)

優秀選手:長谷川碧、藤永龍太郎(国士舘高)、平山才稀(日体大荏原高)、福永夏生(崇徳高)、髙橋翼(作陽高)

国士舘高・岩渕公一監督のコメント
「林の負傷は非常に痛い。鈴木が頑張ったのは収穫ですが、きょうは林(が怪我をした大会)の印象が強いです。(―決勝は接戦でした)全体的に、斉藤立を抜いたらまだまだ五分五分ということでしょう。そもそも組み手で力負けしたりしていて、そういうところを直さなければいけない。これからどれくらい追い込めるかです。道下も稽古をしっかりやったら痩せて1階級落としましたし、全体的にもっと『力』が必要です。若潮杯でもうひと頑張りしておかないといけませんね。まずはそこまでを、しっかり戦い切ります。」

【一回戦】

佐賀商高(佐賀) 3-1 國學院大栃木高(栃木)
初芝橋本高(和歌山) 2-1 足立学園高(東京)
常盤高(群馬) 3-1 関西高(岡山)
小杉高(富山) 3-1 文星芸大附高(栃木)

【二回戦】

桐蔭学園高(神奈川) 2-0 工学院大高(東京)
成田高(千葉) 3-0 佐久長聖高(長野)
東海大甲府高(山梨) 4-0 和歌山北高(和歌山)
佐賀商高(佐賀) 2-0 中京大中京高(岐阜)
日体大荏原高(東京) 4-1 前橋商高(群馬)
新庄東高(山形) 3-1 東海大翔洋高(静岡)
四日市中央工高(三重) 4-0 水戸啓明高(茨城)
習志野高(千葉) 3-0 相洋高(神奈川)

作陽高(岡山) 5-0 日本学園高(東京)
つくば秀英高(茨城) 3-0 清風高(大阪)
東海大札幌高(北海道) 3-1 千葉商大高(千葉)
羽黒高(山形) 3-1 初芝橋本高(和歌山)
東海大浦安高(千葉) 4-0 大宮工高(埼玉)
田村高(福島) 5-0 武相高(神奈川)
白鴎大足利高(栃木) ①-1 安田学園高(東京)
長崎日大高(長崎) 1-0 近大福山高(広島)

国士舘高(東京) 5-0 市立船橋高(千葉)
加藤学園高(静岡) 3-1 開志国際高(新潟)
東海大相模高(神奈川) 5-0 創学館高(山形)
盛岡大附高(岩手) ①-1 常盤高(群馬)
埼玉栄高(埼玉) 3-0 箕島高(和歌山)
北海高(北海道) 5-0 東京学館高(千葉)
東海大高輪台高(東京) 3-2 津幡高(石川)
横浜高(神奈川) ①代-1 長崎南山高(長崎)

崇徳高(広島) 4-1 立花学園高(神奈川)
京都共栄学園高(京都) 4-0 大原高(千葉)
修徳高(東京) 4-0 山形工高(山形)
小杉高(富山) 5-0 本荘高(秋田)
木更津総合高(千葉) 5-0 八王子学園高(東京)
育英高(兵庫) 4-0 水戸葵陵高(栃木)
東海大仰星高(大阪) 4-0 前橋育英高(群馬)
慶應義塾高(神奈川) 2-1 松本第一高(長野)

【三回戦】

桐蔭学園高 3-1 成田高
佐賀商高 2-1 東海大甲府高
日体大荏原高 5-0 新庄東高
四日市中央工高 3-1 習志野高

作陽高 ②代-2 つくば秀英高
羽黒高 3-2 東海大札幌高
田村高 2-1 東海大浦安高
白鴎大足利高 ①-1 長崎日大高

国士舘高 4-1 加藤学園高
東海大相模高 5-0 盛岡大附高
埼玉栄高 ①代-1 北海高
東海大高輪台高 3-2横浜高

崇徳高 3-1 京都共栄学園高
修徳高 2-0 小杉高
木更津総合高 5-0 育英高
東海大仰星高 4-0 慶應義塾高

【四回戦】

佐賀商高(佐賀) ①代-1 桐蔭学園高(神奈川)
日体大荏原高(東京) 4-1 四日市中央工高(三重)
作陽高(岡山) 2-0 羽黒高(山形)
田村高(福島) 4-0 白鴎大足利高(栃木)
国士舘高(東京) 3-0 東海大相模高(神奈川)
埼玉栄高(埼玉) 2-1 東海大高輪台高(東京)
崇徳高(広島) 1-0 修徳高(東京)
木更津総合高(千葉) 3-1 東海大仰星高(大阪)

【準々決勝】

日体大荏原高 4-1 佐賀商高
(先)島本真司郎△一本背負投〇田中龍馬
(次)藤原秀奨〇優勢[技有・肩固]△小畑大樹
(中)海堀陽弥〇大内刈△寺戸将太
(副)グリーンカラニ海斗〇小外刈△岩本敬太
(大)平山才稀〇内股△岩瀬勝斗

作陽高 ②-2 田村高
(先)半田壮×引分×片山雄心
(次)榎本開斗△反則[指導3]〇橋本健太
(中)丸鳩紹雲〇大外巻込△田邉夢叶
(副)高橋翼〇合技△佐井川陽舜
(大)嵐大地△優勢[技有・小内巻込]〇鈴木直登

国士舘高 4-1 埼玉栄高
(先)鈴木郷生〇大外刈△西山真心
(次)岡田陸△横四方固〇桝井秀翔
(中)道下新大〇棄権△松本弾
(副)長谷川碧〇内股△山野井爽
(大)藤永龍太郎〇内股△田川聖

崇徳高 3-1 木更津総合高
(先)飯田恒星〇優勢[技有・払腰]△唯野己哲
(次)福本佑樹×引分×飯田空翔
(中)徳持英隼△優勢[僅差]〇稲邊嵩斗
(副)福永夏生〇合技△金澤聡瑠
(大)毛利允弥〇優勢[技有・払巻込]△北條嘉人

【準決勝】

日体大荏原高 3-2 作陽高
(先)藤原秀奨△合技〇丸鳩紹雲
(次)木下颯王〇合技△半田壮
(中)グリーンカラニ海斗〇送襟絞△ドルバックシェイ
(副)海堀陽弥△小外掛〇高橋翼
(大)平山才稀〇小外掛△嵐大地

国士舘高 5-0 崇徳高
(先)鈴木郷生〇優勢[僅差]△飯田恒星
(次)岡田陸〇縦四方固△福本佑樹
(中)道下新大〇優勢[技有・体落]△徳持英隼
(副)長谷川碧〇内股△福永夏生
(大)藤永龍太郎〇縦四方固△毛利允弥

【決勝】

国士舘高 1-0 日体大荏原高
(先)鈴木郷生×引分×山城和也
(次)岡田陸×引分×藤原秀奨
(中)道下新大×引分×平山才稀
(副)長谷川碧〇合技△グリーンカラニ海斗
(大)藤永龍太郎×引分×海堀陽弥

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