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富士学苑高が2連覇達成、冬季シーズンを全勝で終える・第35回若潮杯争奪武道大会女子の部レポート

(2019年1月8日)

※ eJudoメルマガ版1月8日掲載記事より転載・編集しています。
富士学苑高が2連覇達成、冬季シーズンを全勝で終える
第35回若潮杯争奪武道大会女子の部レポート
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2連覇の富士学苑高

第35回若潮杯争奪武道大会が27日、国際武道大学第1体育館(千葉県勝浦市)で、全国から選抜された男女各16校が集って行われた。女子は富士学苑高(山梨)が2連覇を達成、16日の黒潮旗武道大会、前日26日の水田三喜男杯争奪選抜高等学校柔道大会に続くシーズン3勝目を飾った。

戦評と記録、富士学苑高・矢嵜雄大監督のコメントは下記。


取材・文:林さとる/eJudo編集部
撮影:eJudo編集部

■ 戦評
【決勝まで】

決勝へ勝ち上がったのは富士学苑高(山梨)と敬愛高(福岡)。

富士学苑高は予選リーグAブロックを圧倒的な強さで勝ち抜け。スコアは北海高(北海道)に2-0、大原高(千葉)に3-0、児玉高(埼玉)に3-0、と無失点、しかも8つの勝利全てが一本勝ちという抜群の内容である。準々決勝では藤村女子高(東京)を2-0で退け、準決勝では前日の水田杯で決勝を争ったばかりの難敵・藤枝順心高(静岡)を畳に迎えることとなった。

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準決勝、富士学苑高の中堅・黒田亜紀が藤枝順心高の山本杏から右内股「一本」

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準決勝、富士学苑高の大将・平野友萌が藤枝順心高の米川明穂を相手に自分の間合いを徹底、引き分けでチームの勝利を決める。

[準決勝]
富士学苑高 1-0 藤枝順心高
(先)瀬戸亜香音×引分×袴田佳名瑚
(中)黒田亜紀○内股(1:03)△山本杏
(大)平野友萌×引分×米川明穂

前日の対戦順から藤枝順心高の中堅と大将が入れ替わり、中堅戦で黒田亜紀と山本杏、大将戦で平野友萌と米川明穂がマッチアップ。先鋒瀬戸亜香音と黒田の前2枚で勝負を決めてしまいたい富士学苑高に対し、最低でも1敗で大将のエース米川に繋いでそこから捲りたい藤枝順心高という構図。

先鋒戦は瀬戸亜香音が右、袴田佳名瑚が左組みのケンカ四つ。双方が相手の足を乗り越えて腰を切り合う展開。地力で勝る瀬戸がやや優位に立つも、袴田が出足払で散らしながら凌ぎ切ってこの試合は引き分け。

中堅戦は黒田亜紀、山本杏ともに右組みの相四つ。黒田が引き手で袖、釣り手で奥襟を持って一方的に組むと、山本は突進して場外に押し出し一旦展開をリセット。以後も警戒緩めず組み手を進めるが、まもなく1分というところで黒田に十分な組み手を許してしまう。黒田は山本の対応が一瞬曖昧になったこの隙を見逃さず、引きずり出しながらの右内股に捉えて1分3秒「一本」。富士学苑高が一本勝ち1つをリード。

大将戦は平野が右、米川が左組みのケンカ四つ。平野は釣り手の肘を入れて間合いをしっかり管理。米川は先に足を引っ掛け入れておいての左内股、あるいは左大内刈を狙うことを続けるが、平野は過剰に反応しては付け入られると割り切り、敢えて動きを抑えて落ち着いて対処する。1点奪取必須の立場の米川は苦しい状況、右一本背負投に座り、足技を撒いてと手立てを変えながらチャンスを窺うが、明確な打開策を見出せぬまま刻々時間が過ぎる。2分2秒、米川ケンケンの左大内刈でひときわ激しく追うが平野余裕を持って場外まで付き合い「待て」。平野は腰を切っておいての右払腰や右大車を見せて展開に凹みを作らず、じっくりと時計の針を進める。米川は終盤「サリハニ」状態からの左内股、さらに釣り手を「ケンカ四つクロス」に差しての左内股と試みるが効なし。そのまま引き分けとなり、1-0で富士学苑高の決勝進出が決まった。

今代の優勝候補筆頭との観測もあった藤枝順心高だが、2大会連続で肝心の大駒・米川が機能せず。黒田、平野と富士学苑高のタイプ異なる2選手にいずれも止められてしまい、意外な決定力不足を露呈してしまうこととなった。

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準決勝、敬愛高の先鋒、丸山みかのが夙川学院高の新名彩乃から左内股「技有」

一方の敬愛高はポイントゲッターの松澤佑栞を中心に重量級の1年生3枚を揃えた大型チーム。予選リーグDブロックを、帝京高に2-0、八千代高に3-0、松商学園高に3-0、8勝のうち一本勝ちが7つという充実の内容で勝ち上がる。準々決勝では北海高(北海道)を1-0で下して準決勝進出を決めた。大きな山場と目された準決勝の相手は夙川学院高(兵庫)である。

[準決勝]
敬愛高 ①-1 夙川学院高
(先)丸山みかの○優勢[技有・内股]△新名彩乃
(中)野地川友里△優勢[僅差]○畑田暁菜
(大)松澤佑栞×引分×桑形萌花

敬愛高はこの試合から、前日の水田三喜男杯では最後までベンチに取り置いた松澤佑栞を大将に起用。先鋒に丸山みかの、中堅に野地川友里と前述の1年生3枚を並べた本命オーダーで夙川学院高を迎え撃つ。一方の夙川学院高は先鋒に57kg級の新名彩乃、中堅に63kg級の畑田暁菜、大将にインターハイ70kg級王者の桑形萌花という高校選手権のレギュレーションを意識した布陣。最注目は両校のエースが対戦する大将戦である。

先鋒戦は丸山みかの、新名彩乃ともに左組みの相四つ。体格で劣る新名は機動力を生かしたヒットアンドアウェイ戦法を選択。組み止められまいと激しく動き回りながら、組み際に担ぎ技や低い大内刈など奇襲技を仕掛けて相手を揺さぶりにかかる。対する丸山は相手の攻撃後に背中を持って抱き止めてしまおうという作戦。序盤は新名の機動力の前に後手に回る展開が続くが、徐々に丸山の圧が効き始める。両者「指導1」で迎えた2分53秒、丸山は釣り手で奥襟を得ると左大内刈。新名これは凌ぐが懐深くまで侵入を許してしまい、丸山が腰を切って左内股に連絡すると足がついて行かず崩れ落ち「技有」。丸山が決定的なポイント獲得。丸山は3分19秒にも消極的の「指導2」を得るが、新名最後の「指導」だけは許さず試合終了を迎える。まずは敬愛高が「技有」1つ先制。

中堅戦は野地川友里が右、畑田暁菜が左組みのケンカ四つ。この試合も前戦と同じく体格差を理解した畑田が遠間から攻めては離れる形で試合を組み立てる。ケンカ四つの大型選手野地川に引き手を取らせず、左袖釣込腰に左「韓国背負い」と釣り手側のみで仕掛けられる技を連発。結果、1分33秒と3分4秒に消極的の「指導」2つを得て僅差の優勢勝ちを果たす。ほぼ一方的と言える序盤から中盤の試合展開的を考えればあと1つの「指導」を得て戦況をひっくり返したいところだったが、終盤に野地川がパワーを生かして技を打ち返したことで、そこまでは辿り着くことができなかった。

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準決勝、大将戦で敬愛高の松澤佑栞が夙川学院高・桑形萌花の右内股を押し込む

勝負は1-1、内容差での敬愛高リードで注目の大将戦へ。この試合は松澤佑栞、桑形萌花ともに右組みの相四つ。組み手争いからの19秒、まずは松澤に片襟の「指導」が与えられる。力自慢の桑形は取らねばならぬ状況とあって正面から奥を叩く強気の組み手、やや横にずれて相手の釣り手を噛み殺した状態から得意の右一本背負投を狙う。一方の松澤は自軍がリードしていることもあり、敢えて無理はせず待ちの構え。両者じっくり組み合ったまま、大きな動きなく時間は刻々過ぎてゆく。3分4秒、桑形の右内股の戻り際を松澤が押し込み際どい場面が出現。審判による確認が行われるが、ポイントは認められずスルー。直後の攻防で桑形に極端な防御姿勢の「指導」が与えられたのみで試合が終わり、この対戦は引き分けとなった。

結果、最終スコア1-1の内容差で敬愛高が勝利。メンバー全員が1年生ながらインターハイで見せた活躍とサイズにより今代有望視されていた敬愛が、前評判に違わぬ強さを見せた形だ。同じく1年生で揃えた夙川学院高は惜しくも敗れたが、機動力と取り味のある前衛2枚、最重量級とも真っ向勝負のできるエース桑形とポテンシャルの高さを見せつけての3位入賞となった。

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決勝、富士学苑高の先鋒・瀬戸亜香音の右大内刈に対して敬愛高の有瀬心里が足を掴んでしまう。有瀬はこれで「指導」3つを失陥。

【決勝】

富士学苑高 2-1 敬愛高
(先)瀬戸亜香音○反則[指導3](2:27)△有瀬心里
(中)黒田亜紀○優勢[僅差]△丸山みかの
(大)平野友萌△小外掛(0:31)○松澤佑栞

富士学苑高は前日の決勝、この日準決勝と変わらぬ配置の決戦オーダー。一方の敬愛高は前戦で動きの重かった野地川友里を下げて丸山みかのを中堅に、空いた先鋒には2年生の有瀬心里を置いた。

先鋒戦は瀬戸亜香音、有瀬心里ともに右組みの相四つ。瀬戸は試合が始まるなり釣り手で背中を叩いて密着、相手を抱き込む一方的な形を作り上げる。有瀬なんとか逃れようと脇を突くが瀬戸は動ぜず、どうやら力関係は明らか。55秒に瀬戸が右大内刈を仕掛けると有瀬は堪らえようと足を掴んでしまい、足取りによる「指導」を失う。さらに1分48秒にも同様の形で2つめの「指導」失陥。後のなくなった有瀬だが、2分27秒に再び瀬戸が右大内刈を仕掛けるとまたしても足を掴んでしまい、まったく同じ形で「指導3」献上。相手の反則による勝利で富士学苑高が一本勝ち相当の1勝をリード。

中堅戦は黒田亜紀が右、丸山みかのが左組みのケンカ四つ。双方が腰を差し合いながら内股を狙う展開も、地力は黒田に分がある模様。黒田が右内股を中心にじっくりと圧を掛けながら攻め、丸山は「消極的」、さらに偽装攻撃で2つの「指導」を失う。勝利に必要な「指導2」を得た黒田は無理をせずに組み勝った状態を維持し続けタイムアップ。この試合は黒田の僅差優勢による勝利に終わり、富士学苑高が大将戦を前に早くも勝負を決めてしまった。

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決勝、敬愛高の大将・松澤佑栞が富士学苑高の平野友萌から左小外掛「一本」

大将戦は平野友萌、松澤佑栞ともに右組みの相四つ。この試合は意外なほどあっさりと決着。ともに横にずれあった組み手から平野が探るように仕掛けた右大外刈に、松澤が左小外掛を合わせて浴びせ倒し31秒「一本」。敬愛が一矢報いる形で最終スコアは2-1となった。

富士学苑高は16日の黒潮旗武道大会、前日の水田三喜男杯争奪選抜高等学校柔道大会に続く今シーズン3勝目。年末の招待試合シリーズを全勝で終えることとなった。この年末シリーズでの同校のオーダーは体重無差別のインターハイ型のものだが、52kg級には藤城心が控えており、さらに瀬戸のエントリー体重が67kgと高校選手権までに63kg級枠への減量が十分可能な範囲内。3大会の出場チームの顔ぶれを見る限りでも、富士学苑高が高校選手権の優勝候補筆頭と考えてよいだろう。残りの2ヶ月間、本シリーズの結果を受けて各校がどのような強化を行うのか、その成果を楽しみに待ちたい。

入賞者と予選リーグ全試合の結果、準々決勝以降の対戦詳細は下記。

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全勝でシリーズを終え、初の全国制覇目指して意気揚がる富士学苑高

【入賞者】
(エントリー16チーム)

優 勝:富士学苑高(山梨)
準優勝:敬愛高(福岡)
第三位:夙川学院高(兵庫)、藤枝順心高(静岡)

富士学苑高・矢嵜雄大監督のコメント
「(―3連勝ですね?)3大会、平野、黒田、瀬戸と主戦の3人が順番に頑張って、お互いをカバーすることで勝ち抜くことが出来ました。昨日は5人、今日は序盤に頑張った小齋(穂奈美)と合わせて4人、全員で勝ち取った勝利です。去年は『日本一を獲りに行く』と言いながら悔しい思いをしましたが、この高いレベルの大会3ちを全て勝ち抜くことが出来たのだから、うちが日本一に一番近いチームだと言えると思います。今年こそ日本一を狙います。」

■ 記録
【予選リーグAブロック】
①富士学苑高(山梨) 3勝0敗 一本勝ち8
②北海高(北海道) 2勝1敗 一本勝ち5
③児玉高(埼玉) 1勝2敗 一本勝ち4
④大原高(千葉) 0勝3敗 一本勝ち0

富士学苑高 2-0 北海高
児玉高 3-0 大原高
富士学苑高 3-0 大原高
北海高 2-1 児玉高
富士学苑高 3-0 児玉高
北海高 3-0 大原高

【予選リーグBブロック】
①夙川学院高(兵庫) 3勝0敗 一本勝ち7
②藤村女子高(東京) 2勝1敗 一本勝ち3
③水戸葵陵高(茨城) 1勝2敗 一本勝ち1
④東海大翔洋高(静岡) 0勝3敗 一本勝ち1

夙川学院高 ①-1 藤村女子高
水戸葵陵高 2-1 東海大翔洋高
藤村女子高 2-0 水戸葵陵高
夙川学院高 3-0 東海大翔洋高
藤村女子高 ①-1 東海大翔洋高
夙川学院高 3-0 水戸葵陵高

【予選リーグCブロック】
①藤枝順心高(静岡) 3勝0敗 一本勝ち7
②埼玉栄高(埼玉) 2勝1敗 一本勝ち4
③横須賀学院高(神奈川) 1勝2敗 一本勝ち3
④開志国際高(新潟) 0勝3敗 一本勝ち0

埼玉栄高 2-0 横須賀学院高
藤枝順心高 3-0 開志国際高
埼玉栄高 3-0 開志国際高
藤枝順心高 3-0 横須賀学院高
藤枝順心高 1-0 埼玉栄高
横須賀学院高 3-0 開志国際高

【予選リーグDブロック】
①敬愛高(福岡) 3勝0敗 一本勝ち7
②帝京高(東京) 2勝1敗 一本勝ち4
③松商学園高(長野) 1勝2敗 一本勝ち2
④八千代高(千葉) 0勝3敗 一本勝ち1

敬愛高 2-0 帝京高
松商学園高 2-1 八千代高
帝京高 2-0 松商学園高
敬愛高 3-0 八千代高
帝京高 2-0 八千代高
敬愛高 3-0 松商学園高

【準々決勝】

富士学苑高 2-0 藤村女子高
(先)小齊穂奈美×引分×塚田芙姫
(中)瀬戸亜香音○優勢[僅差]△池田紅
(大)黒田亜紀○上四方固△池田萌

藤枝順心高 1-0 帝京高
(先)袴田佳名瑚×引分×池田海実
(中)山本杏×引分×三谷桜
(大)米川明穂○合技[内股・隅落]△田嶋海佳

敬愛高 1-0 北海高
(先)有瀬心里×引分×佐々木南
(中)丸山みかの○反則△中倉由恵
(大)野地川友里×引分×川原凜

夙川学院高 1-0 埼玉栄高
(先)新名彩乃×引分×渋谷萌々音
(中)畑田暁菜×引分×佐藤星麗七
(大)桑形萌花○反則△比嘉萌

【準決勝】

富士学苑高 1-0 藤枝順心高
(先)瀬戸亜香音×引分×袴田佳名瑚
(中)黒田亜紀○内股(1:03)△山本杏
(大)平野友萌×引分×米川明穂

敬愛高 ①-1 夙川学院高
(先)丸山みかの○優勢[技有・内股]△新名彩乃
(中)野地川友里△優勢[僅差]○畑田暁菜
(大)松澤佑栞×引分×桑形萌花

【決勝】

富士学苑高 2-1 敬愛高
(先)瀬戸亜香音○反則[指導3](2:27)△有瀬心里
(中)黒田亜紀○優勢[僅差]△丸山みかの
(大)平野友萌△小外掛(0:31)○松澤佑栞

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