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丸山城志郎が王者阿部一二三を破る、60kg級は永山竜樹が優勝・グランドスラム大阪2018第1日男子2階級レポート

(2018年11月30日)

※ eJudoメルマガ版11月30日掲載記事より転載・編集しています。
丸山城志郎が王者阿部一二三を破る、60kg級は永山竜樹が優勝
グランドスラム大阪2018第1日男子2階級レポート(60kg級、66kg級)
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→男子第1日速報ニュース

大会日時:2018年11月23日
於:丸善インテックアリーナ大阪(大阪市)

文責:古田英毅/林さとる
撮影:乾晋也/辺見真也

■ 60kg級・永山竜樹が大躍進の21歳アブラゼ破って優勝、強行出場の髙藤直寿は初戦でキムウォンジンに屈す
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60kg級上位入賞者。左から2位のアブラゼ、優勝の永山竜樹、3位のキム・ウォンジンと大島優磨。

(エントリー35名)

【入賞者】
1.NAGAYAMA, Ryuju (JPN)
2.ABULADZE, Yago (RUS)
3.KIM, Won Jin (KOR)
3.OSHIMA, Yuma (JPN)
5.TAKABATAKE, Eric (BRA)
5.SHISHIME, Toru (JPN)
7.PELIM, Phelipe (BRA)
7.SMETOV, Yeldos (KAZ)

【日本代表選手】
髙藤直寿(パーク24)、永山竜樹(東海大4年)、大島優磨(旭化成)、 志々目徹(了徳寺学園職)

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60kg級2回戦、髙藤直寿の左小内巻込をキム・ウォンジンが体を浴びせて迎え撃つ

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髙藤は「指導3」を失いまさかの初戦敗退

【決勝まで】

今大会の優勝に2019年世界選手権代表内定が掛かる今シーズンの世界チャンピオン髙藤直寿(パーク24)が初戦敗退という衝撃の幕開け。2回戦で早くも組まれたキム・ウォンジン(韓国)戦という大一番を乗り越えられず、GS延長戦「指導3」で敗れた。動きは決して悪くなかったが、髙藤の武器であるここぞで相手を置き去りにするギアの踏み込みが利かない印象。かねて苦にしなかったキムの長身と長いリーチを捌きかね、ともに「指導2」を失って迎えたGS3分9秒に力尽きて掛け潰れ、偽装攻撃の咎で「指導3」を貰ってしまった。髙藤は対キム戦6試合目にして、初めての敗北。

髙藤は9月のバクー世界選手権準決勝で膝を負傷、本格的な稽古を開始してからまだ1ヶ月経っていない中での強行出場。欠場を勧める意見もある中で「講道館杯を見て試合がしたくなった」という、いかにも柔道小僧・髙藤らしい選択の末の敗退であった。試合については「自分どうこうではなくキム・ウォンジンが強かった。練習不足で試合をするのは相手に失礼だった」と振り返り、しかし「こういう経験も良いのではないかと思う」と出場自体に後悔はない様子。世界選手権代表の内定こそ取れなかったが、精神的なダメージは少ないように見受けられた。欧州シリーズでの活躍に期待したい。

世界選手権で2度銅メダルを獲得しているキムはリオデジャネイロ五輪以来の国際大会出場。五輪後は66kgへの転向を模索したが国内でなかなか成績を残せず、階級を戻した今回は一挑戦者として韓国の国内予選を勝ち抜いての出場。長身を利して組み勝ち、窮した相手を待ち構えて後の先の技で獲り切るのがかつての必勝パターンであったが、今大会は袖釣込腰で見事な「一本」を奪うなど新境地。沈黙していた2年間でしっかり技術を上積みして来たことがよくわかる戦いぶりであった。この日の準々決勝ではアジア大会2位の志々目徹(了徳寺学園)をも「指導3」で撃破、ただでさえ役者多き60kg級の上位戦線にもう1枚、難敵が加わったことになる。

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60kg級3回戦、永山竜樹がオタル・ベスタエフから右背負投「一本」

激戦を勝ち抜いて決勝に進出したのは髙藤を追う日本の2番手・バクー世界選手権銅メダリストの永山竜樹(東海大4年)と、超ダークホースのヤゴ・アブラゼ(ロシア)。

第1シードの永山は2回戦で21歳の新鋭ヤン・ユンウェイ(台湾)と対戦。9月のグランプリ・タシケントで台湾勢男子久々のツアー表彰台を獲得しているこの選手を袖釣込腰「技有」で破ると、3回戦はオタル・ベスタエフ(キルギスタン)を2分55秒背負投「一本」に捉えて快勝。フェリペ・ペリム(ブラジル)との準々決勝は1分46秒に背負投「技有」、2分23秒に一本背負投「技有」と立て続けに投げて合技「一本」でこれも圧勝。大一番となった準決勝は今季選抜体重別と講道館杯を制している大島優磨(旭化成)から2分7秒隅返で「技有」を奪って優勢勝ち。一貫して動き良し、好調を保ったままで決勝進出を決めた。ここまでGS延長戦突入は1試合もなし、消耗必至と思われた大島戦も本戦4分で勝ち切って視界は良好である。実績と彼我の戦力差からすれば決勝の予想は圧勝、一方的な試合が考えられる。

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60kg級準々決勝、ヤゴ・アブラゼがイェルドス・スメトフから外巻込「技有」

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60kg級準決勝、ヤゴ・アブラゼがキム・ウォンジンから右小内刈「技有」

一方のアブラゼは21歳、2015年世界ジュニアでは55kg級で5位に入賞したものの、翌年の所謂「ロシアジュニア大会」では日本チームの古賀玄暉に出足払「一本」で敗れている。今季の欧州U-23大会で優勝を飾ってはいるが、この大会にはシニアの一線級の参加がないのが慣例で実力の指標にはならない。ワールドツアーの出場自体もこの大会が初めて、誰もが予想しなかった決勝進出だ。

この日のアブラゼはまさに台風の目。長い手足と異常に強い体、そして変調のリズムを武器に一本勝ちを連発、犠牲者には錚々たるビッグネームが並ぶ。1回戦でユー・リアン(台湾)を大内刈「一本」であっさり仕留めると、2回戦では第3シードのグスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)を隅落と谷落の合技「一本」に仕留めて会場を驚かせ、続く3回戦はモリッツ・プラフキー(ドイツ)を釣腰で2回投げて合技「一本」。この時点ではまだ「面白い選手」という印象だったが、準々決勝のイェルドス・スメトフ(カザフスタン)に勝利するに至ってついにトーナメントのメインストリートに躍り出る。2015年の世界チャンピオンを相手にまず外巻込で「技有」を得ると、スメトフ得意の左体落の奇襲を待ち構え、技の起こりで止めるなり引き落として隅落「技有」。これで合技「一本」確定。そして準決勝では世界選手権で3度銅メダルを獲得している前述キム・ウォンジンとマッチアップ、なんと僅か58秒の間に隅落「技有」、小内刈「技有」と連取して圧勝。グランドスラム大阪というビッグゲームで、なんと全試合一本勝ちで決勝へと勝ち進むこととなった。

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決勝、永山がいきなりアブラゼを裏投で放るもノーポイント。

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永山が再度の裏投、一時は「一本」が宣告される強烈な一撃は「技有」

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永山再三背負投で獲りかかるが、アブラゼは長い手足を利して耐え続ける。

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永山攻めっぱなしのまま終戦、「技有」優勢で優勝を決めた。

【決勝】

永山とアブラゼの決勝は右相四つ。ここまで「これしか出来ない」とばかりに肩越しクロス組み手からの右払巻込を連発して来たアブラゼだが、永山はこの形がなによりの好物、相手に高い位置から組ませておいての裏投一発の威力は60kg級世界の誰もがよく知るところ。果たしてどのような引き出しを見せてくれるかが注目の的であったが、アブラゼはあくまで得意の形を貫徹。試合が始まるなり「目を瞑って」と言いたくなるほどの吶喊、クロス組み手から右払巻込一撃。しかし永山待ってましたと裏投で思いきり放り、アブラゼは吹っ飛ぶ。当然「一本」かと思われたが回り過ぎてノーポイント、ここまでが僅か11秒。続く攻防もまったく相似、22秒永山の裏投が炸裂してアブラゼ吹っ飛び「一本」。予想通りの「殺戮」で試合はあっという間に終了した。

と思われたが、これは「技有」に訂正されて試合継続。永山は以後も掛けまくり、投げまくりのやりたい放題。直後右一本背負投で高々放るとアブラゼは「ザンタライア受け」で自ら一回転して辛うじて回避、50秒には「韓国背負い」で放りかかり、続いて窮したアブラゼの払巻込を隅落で返し、1分半過ぎからは組み際の片襟背負投に左背負投と「一本」が想起される技を連発。あまりの懐の深さゆえ決め切れなかったが1分57秒アブラゼに「指導」、直後の2分7秒には再びクロスの払巻込を裏投で迎え撃ち決着の「技有」確保。

しかしこれが映像チェックの結果ノーポイントに訂正されると、少々様相が変わり始める。永山相変わらず左背負投に裏投とポイントが想起される大技を仕掛け続けていつ「一本」が生まれてもおかしくない状況だが、印象は「投げても投げても決め切れない」というアスペクトに変化。一計を案じた永山、残り40秒にアブラゼが肩越しクロスに釣り手を入れると反則を取っておこうと敢えて待ちに出るが、主審判断を誤り3分25秒永山の側に「極端な防御姿勢」による「指導」を付与。永山残り9秒には払巻込を返してポイント級の隅落を見せるが主審はスルー。残り4秒にはアブラゼの奥襟を左背負投に切り返し、さらに右背負投で投げ掛けて崩上四方固の形に被さったところでタイムアップ。アブラゼがついに4分間「持った」という体で試合終了、永山が優勢勝ちで優勝を決めた。

次々強者を撃破し、これ以上ないほど勢いに乗って来たアブラゼを問題にしなかった永山の強さは見事。永山自身は「相手の懐の深さに技が噛み合わなかった」と試合を振り返っていたが、常の相手との様相の違いに戸惑っていたのはおそらくアブラゼの側。最軽量級にあっても普段から「自分のほうが小さい」という関係性の中で戦って来た永山には、アブラゼ最大の長所である手足の長さが通用しなかったということになる。

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アブラゼは永山の裏投を怖れず最後まで自分の戦い方を貫いた。

しかしアブラゼの側も見事であった。「これしかできない」とばかりに肩越しクロス組み手からの払巻込を連発する不器用なスタイルなのだが、いちばん得意な技と形で挑み続けるのは、少なくとも自身が「挑戦」するステージの戦いにおいてはやはり王道の戦略。つきあわせることで無理やり相手を自分が一番得意な土俵に上げてしまい、経験や技術の差を無効化したということになる。その「土俵」がたまたま永山がもっとも得意とするステージであったゆえ敗北したが、果たして周囲からマークを受ける次戦以降どんな戦いを見せるのか。注目である。

日本人対決となった3位決定戦では大消耗戦の末に大島が志々目をGS延長戦「指導3」で下して表彰台を確保。もう1試合のブロンズマッチは、前戦(敗者復活戦)のブラジル対決を制して勝ち上がって来たエリック・タカバタケを、キム・ウォンジンが袖釣込腰「一本」で斬り落として3位入賞を果たした。

永山と髙藤のコメントと準々決勝以降の結果、決勝ラウンド全試合の戦評は下記。

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優勝の永山竜樹

【上位入賞者】
優 勝:永山竜樹(東海大4年)
準優勝:ヤゴ・アブラゼ(ロシア)
第三位:キム・ウォンジン(韓国)、大島優磨(旭化成)

【日本代表選手結果】
永山竜樹(東海大4年):優勝
大島優磨(旭化成):3位
志々目徹(了徳寺学園職):5位
髙藤直寿(パーク24):2回戦敗退

永山竜樹選手のコメント
「髙藤先輩と直接戦えなかったのは残念ですが、しっかり優勝出来たのでアピールは出来たかなと思います。自分の柔道が出来たかというと、半分くらい。決勝は『一本』取れなかったので悔しいです。(-ここまでロシア勢に全勝ですが、アブラゼには苦戦していたのでは?)決勝の相手は手足が長くて自分の技がフィットせず、なかなか投げるのが難しかった。まだ髙藤選手がいるし、今日は試合で戦っていないので一番になったとは思えない。次に戦うときには勝って、一番になりたい。(―次の試合は?)ワールドマスターズか、パリか、デユッセルフドルフか、そのどれかだと思います。」

髙藤直寿選手のコメント
「キム・ウォンジンはめちゃくちゃ強かった。自分どうこうではなく相手が強かったです。練習しなくては勝てないとあらためて思ったし、練習不足で戦うのは相手に失礼だった。あと一歩、前に出ることが出来ませんでした。ただ、こういう経験も良いのではないかと思う。オリンピックまで勝ち続けたかったですが、それはできなかったので、リセットして、またイチから頑張っていきたい。」

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2回戦、志々目徹がシティサーン・スックパサイから左内股「一本」

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3回戦、フェリペ・ペリムがヴァレンティン・アリピエフから小外掛「技有」

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準々決勝、大島優磨がエリック・タカバタケから左背負投「技有」

【1回戦】
リウ・ウェンジ(中国)○隅落(1:54)△ダヴィド・プルクラベク(チェコ)
アルテム・レシュク(ウクライナ)○優勢[技有・巴投]△ジョシュア・カッツ(オーストラリア)
ヤゴ・アブラゼ(ロシア)○大内刈(2:39)△ユー・リアン(台湾)

【2回戦】
永山竜樹○優勢[技有・袖釣込腰]△ヤン・ユンウェイ(台湾)
オタル・ベスタエフ(キルギスタン)○浮落(2:47)△ディルメール・カルレー(ペルー)
フェリペ・ペリム(ブラジル)○合技[肩車・肩車](3:32)△リウ・ウェンジ(中国)
ヴァレンティン・アリピエフ(ブルガリア)○不戦△ダレン・エルコック(ガイアナ)
エリック・タカバタケ(ブラジル)○GS技有・一本背負投(GS2:39)△トルニケ・ツヤカドエア(オランダ)
キム・ジェヒョン(韓国)○合技[大外返・隅返](2:17)△トム・パパス(オーストラリア)
ルカ・ムヘイゼ(フランス)○不戦△ルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)
大島優磨○合技[体落・崩上四方固](1:30)△バヤラー・アマーツヴシン(モンゴル)
キム・ウォンジン(韓国)○GS反則[指導3](GS3:09)△高藤直寿
レニン・プレシアド(エクアドル)○袖車絞(3:20)△アルテム・レシュク(ウクライナ)
志々目徹○内股(1:02)△シティサーン・スックパサイ(ラオス)
ロベルト・アルメナレス(キューバ)○GS技有・払巻込(GS0:19)△ウーゴ・ベラ(チリ)
ヤゴ・アブラゼ(ロシア)○合技[隅落・谷落](3:01)△グスマン・キルギズバエフ(カザフスタン)
モリッツ・プラフキー(ドイツ)○小内刈(0:49)△モニス・ハウサウィ(サウジアラビア)
イェルドス・スメトフ(カザフスタン)○腕挫十字固(1:03)△モハン・バム(ネパール)
マグサル・トグトフバヤル(モンゴル)○GS合技[小内巻込・肩車](GS2:40)△スウ・リロージ(中国)

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敗者復活戦、志々目徹がイェルドス・スメトフから隅落「技有」

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60kg級準決勝、ヤゴ・アブラゼがキム・ウォンジンから隅落「技有」

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準決勝、永山竜樹が大島優磨から隅返「技有」

【3回戦】
永山竜樹○背負投(2:32)△オタル・ベスタエフ(キルギスタン)
フェリペ・ペリム(ブラジル)○合技[小外掛・隅落](2:25)△ヴァレンティン・アリピエフ(ブルガリア)
エリック・タカバタケ(ブラジル)○GS合技[引込返・内股](GS0:23)△キム・ジェヒョン(韓国)
大島優磨○合技[背負投・崩上四方固](3:25)△ルカ・ムヘイゼ(フランス)
キム・ウォンジン(韓国)○反則[指導3](3:19)△レニン・プレシアド(エクアドル)
志々目徹○内股(2:35)△ロベルト・アルメナレス(キューバ)
ヤゴ・アブラゼ(ロシア)○合技[釣腰・釣腰](3:38)△モリッツ・プラフキー(ドイツ)
イェルドス・スメトフ(カザフスタン)○腕挫十字固(1:13)△マグサル・トグトフバヤル(モンゴル)

【準々決勝】
永山竜樹○合技[背負投・背負投](2:23)△フェリペ・ペリム(ブラジル)
大島優磨○合技[体落・背負投](3:15)△エリック・タカバタケ(ブラジル)
キム・ウォンジン(韓国)○GS反則[指導3](GS2:15)△志々目徹
ヤゴ・アブラゼ(ロシア)○合技[外巻込・隅落](3:50)△イェルドス・スメトフ(カザフスタン)

【敗者復活戦】
エリック・タカバタケ(ブラジル)○優勢[技有・小内刈]△フェリペ・ペリム(ブラジル)
志々目徹○GS技有・隅落(GS1:12)△イェルドス・スメトフ(カザフスタン)

【準決勝】
永山竜樹○優勢[技有・隅返]△大島優磨
ヤゴ・アブラゼ(ロシア)○合技[隅落・小内刈](0:58)△キム・ウォンジン(韓国)

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3位決定戦、キム・ウォンジンがエリック・タカバタケから右袖釣込腰「一本」

【3位決定戦】
キム・ウォンジン(韓国)○GS袖釣込腰(GS3:08)△エリック・タカバタケ(ブラジル)

左相四つ。キムは長身と長い手足を利して、奥襟を叩いて相手の頭を下げさせては極端な横変形に組み、小内刈で蹴り崩しを続ける。これで「指導」を狙う、あるいは窮した相手の技に後の先の返し技を合わせるのが「ロンドン-リオ期」に上位に君臨したこの人の戦法。タカバタケは切り合いの中で蹴り崩されることが続き打開策が見いだせない。1分5秒双方に「指導」。続いてキムの横変形を嫌がって潰れたタカバタケに2分24秒偽装攻撃の「指導」。試合は完全にキムのペース。
以後もキムは引き手で袖を得ては、奥襟を狙いながらの蹴り崩しを執拗に続ける。打開策を探るタカバタケは残り40秒に奥襟襲来に合わせての密着大腰に打って出るが、待ち構えたキムが返し転がして「待て」。残り20秒、極端なキムの横変形を嫌ったタカバタケが身をよじって角度を変えようとするとキムは小外掛からの谷落に身を捨ててあわやポイント。ペースは完全にキム。GS延長戦に入るとキムは珍しい右の背負投も2度繰り出し、あと1つの「指導」狙ってペースアップ。
しかしタカバタケ、GS23秒に差し込みの左小内刈で大きく崩し、ついにキム攻略の手ごたえを得る。続いてGS1分8秒には突破口を見つけたとばかりに一段深く左小内巻込に飛び込んで投げ掛かり、こうなると決めるべき投げのないキムは俄然焦り始める。一転勝負はどうなるかわからなくなったが、3分8秒キムが突如右袖釣込腰。休養前も、今大会もこれまで見せていなかった奇襲技。虚を突かれたタカバタケ深々侵入を許し、キム背中で押し付けるところまで回転して「一本」。長く国際大会に現れなかったキムが、その間しっかり技術の幅を広げて来たことがよくわかる試合だった。

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3位決定戦、大島優磨が志々目徹を攻める。

大島優磨○GS反則[指導3](GS2:05)△志々目徹
左相四つ。横変形で相手の釣り手を噛み殺しながら担ぎ技を狙う大島に、釣り手を絞られたまま左内股を仕掛けることで展開の打開を図る志々目という構図。2分23秒、「サリハニ」の形で膠着を作った志々目に「指導」。2分53秒、大島は右背負投で志々目を大きく崩すと寝技を展開、40秒近く攻め続けるもここは志々目が凌ぎ切り「待て」。本戦では決着がつかず、試合はGS延長戦へ。GS15秒、不用意に巴投を仕掛けた志々目に偽装攻撃で「指導2」が追加される。GS2分間際、大島が引き手で釣り手側の袖を持って右背負投。この技は不発に終わるが、ここで得た袖口を絞ったまま前に出ると志々目あっさりと畳を割りGS2分5秒、痛恨の場外「指導」失陥。「指導3」の反則で大島の勝利が決まった。

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決勝、永山がアブラゼから裏投「技有」(別角度)

【決勝】
永山竜樹○優勢[技有・裏投]△ヤゴ・アブラゼ(ロシア)

永山、アブラゼともに右組みの相四つ。長身のアブラゼ、始まるなり釣り手を肩越しのクロスに入れて唯一の武器である右払巻込に打って出るが永山これを待っていたとばかりに抱き抱えて裏投一発。ここまで僅か11秒、「技有」あったかと思われたが主審はスルーして試合継続。続く展開もまったく同じ展開。アブラゼがクロスに叩くと永山迎え撃って裏投一発、主審は「一本」を宣告。僅か22秒で試合終了と思われたが、ビデオチェックの結果この技の効果は「技有」に訂正されて試合継続。永山続いて右一本背負投に飛び込むが、宙を舞ったアブラゼ所謂「ザンタライア受け」のごとく中空で一回転して膝から落ち「待て」。

以後も永山は右内巻込、組み際に片襟を差した左背負投、内巻込様に首を突っ込んだ左背負投と攻めまくり、やりたい放題。しかしアブラゼはその驚異的な懐の深さで全て耐え切る。1分57秒、アブラゼに「指導」。直後の組み際、アブラゼが釣り手をクロスに入れながらまたもや払巻込に打って出ると永山攻防一致で迎え撃ちこちらもまたもや裏投一撃、2分7秒「技有」。今度こそ勝負あったかと思われたが、映像チェックの結果相手の体が永山の頭の上に落ちていたと判断されたか、これも取り消しとなって試合は継続される。

以降もクロス組み手でアブラゼが背を叩き、永山が担ぎ技と裏投で攻めまくる展開が続く。入った瞬間は「一本」級と思われる投げが幾度もあったがアブラゼ転がりかかりながらも懐の深さを生かして耐え続ける。苦しい立場のアブラゼが、残り40秒を切ったところで釣り手を肩越しクロスに入れると永山はいなしながら敢えてウォッチ。当然アブラゼに肩越しの「指導」が与えられるはずだが主審はなぜか永山に防御姿勢の「指導」。

様相は以後も変わらず。残り20秒を切ったところではアブラゼの払巻込を永山が返してこれもポイントがあってもおかしくなかったが主審はスルー。永山が担ぎ技で攻めまくり、上四方固の形で被ったところで終了ブザーとなる。永山、投げに投げまくったが一本勝ちは逃した。しかし値千金のタイトル獲得。

■ ついに国内からライバル現わる、丸山城志郎が世界選手権2連覇中の阿部一二三下して初優勝
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66kg級上位入賞者。左から2位の阿部一二三、優勝の丸山城志郎、3位のグリゴリアンとヨンドンペレンレイ・バスフー。

(エントリー37名)

【入賞者】
1.ABE, Hifumi (JPN)
2.MARUYAMA, Joshiro (JPN)
3.GRIGORYAN, Aram (RUS)
3.YONDONPERENLEI, Baskhuu (MGL)
5.FUJISAKA, Taroh (JPN)
5.KHAMETOV, Islam (RUS)
7.SERIKZHANOV, Yerlan (KAZ)
7.MARGVELASHVILI, Vazha (GEO)

【日本代表選手】
阿部一二三(日本体育大3年)、丸山城志郎(ミキハウス)、藤阪太郎(大阪府警察)、田川兼三(筑波大4年):2回戦敗退

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66kg級準々決勝、阿部一二三がアラム・グリゴリアンから右背負投「一本」

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66kg級準決勝、阿部一二三がヨンドンペレンレイ・バスフーから右背負投「一本」

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66kg級2回戦、丸山城志郎がシン・ホから左内股「一本」

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66kg級準々決勝、丸山城志郎がイスラム・ハメトフから内股透「技有」

【決勝まで】

当初エントリーに名を連ねていた2015年アスタナ世界選手権の覇者アン・バウル(韓国)が兵役免除に関わる不祥事発覚で出場取り消し、かつて阿部一二三に2度土をつけた来歴のあるダバドルジ・ツムルクフレグ(モンゴル)も直前で出場を回避し、これぞという海外の強豪の参加は第2シードのヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)と、世界選手権で驚きの決勝進出を果たして今回が実力の追認試験となるイェルラン・セリクジャノフ(カザフスタン)くらい。ドローの段階でトーナメントの興味は日本人対決、もっと言えば世界選手権連覇者・阿部一二三(日本体育大3年)の勝ちぶりに絞られた感あり。

セリクジャノフは一定水準以上の強さを見せて準々決勝まで進んだが、この日2回戦で第4シードのイェルドス・ジューマカノフ(カザフスタン)を倒して勢いに乗るヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)に隅落「一本」で敗退。同じくマルグヴェラシヴィリも準々決勝でこの日奮闘の藤阪太郎(大阪府警察)に合技「一本」で敗れて本戦から脱落し、トーナメントにおける「阿部の勝ちぶり」「日本人対決」への重心傾斜はさらに強まっていく。

その中を決勝に進んだのは阿部と、丸山城志郎(ミキハウス)の2名。

第1シードの阿部の勝ち上がりは凄まじい。初戦(2回戦)はネイソン・バーンス(アイルランド)から開始10秒背負投「技有」、1分52秒大外落「技有」と連取してあっという間の合技「一本」。3回戦はルーカス・キエルバシンスキ(ポーランド)からまず袖釣込腰「技有」、次いで釣り手を巧みに操作し、相手を一瞬時計回りに動かす作りを利かせた右小内刈「技有」と立て続けに奪って2分40秒これも合技「一本」。相手の良いところを消すことに長けて全日本学生体重別団体でも阿部と引き分けを演じている田川兼三(筑波大4年)との対戦が予想されていた準々決勝では、2回戦で田川を破ったアラム・グリゴリアン(ロシア)と対戦、開始29秒背負投で叩き落として鮮やか「一本」。続く準決勝も前述ヨンドンペレンレイ・バスフーを2分24秒背負投「一本」に斬って落とし、みごと全試合一本勝ちで決勝進出を決めた。この日阿部兄妹を見るために詰めかけた大阪のファンは大喜び。圧勝続きゆえ彼らへの「顔見世」の時間が短いことが唯一の不満、とさえ感じられるほどの一方的な勝ちぶりである。やりたいようにやる良い意味での我儘さに加え、世界選手権で見せた作りの粗さにもやや改善あり。強敵との対戦こそ1試合もなかったが、ここまでの戦いぶりはまさに満点である。

一方今年の選抜体重別の覇者・丸山は第6シードからのスタート、こちらの出来も素晴らしい。2回戦はシン・ホ(韓国)を1分42秒内股「一本」、3回戦はワンダー・マテオ(ドミニカ共和国)を2分43秒内股「一本」、対戦相手のレベルがようやくツアー水準レベルに上がった準々決勝も、ここまで第3シードのガンボルド・ヘルレン(モンゴル)とマー・ドゥアンビン(中国)を倒して来たイスラム・ハメトフ(ロシア)を僅か1分52秒、内股2発の合技「一本」で一蹴。準決勝は粘りに粘る講道館杯王者藤阪太郎をGS延長戦の末「指導3」で振り切り、ついに阿部の待つ決勝へと辿り着いた。アジア大会で優勝を逃し、講道館杯を欠場して背水の陣で迎える大会だが、ここまでまずは順調。時を「最強の挑戦者」の資格を得つつあった4月の選抜体重別終了時点にひとまず巻き戻すことには成功したと言っていいだろう。全試合一本勝ちで臨むは決勝、ついに待ち焦がれた王者・阿部一二三戦の実現である。

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決勝、引き手で裾を持っての阿部の右背負投は切られてしまい釣り手一本の片手技になる。

【決勝】

決勝は阿部が右、丸山が左組みのケンカ四つ。阿部はこれまでの我儘な試合ぶりとは一転、丸山得意の内股と巴投を警戒してか腰を引き気味に慎重に組み手を争う。形と立場をめまぐるしく変えながらの組み手争いが続くが一貫して長く組み合うことを嫌うのは阿部の側で、全体的な主導権は丸山にある印象。巴投で投げ掛かる場面が2度あって会場は大いに沸いたが、試合展開に楔を打ち込んだのはむしろ左内股の仕掛け。前述巴投2発のように具体的に阿部を浮かせたわけではなかったが、釣り手を阿部の防壁の内側に侵入させて、ハッとさせられるような鋭いステップの寄せが2度。五分で組めばこの内股が飛んでくると阿部は警戒、組み際の技で投げに掛かり、あるいは腰を抱いての勝負を期してとタイの組み合い以外の状態からの技で勝負を決せんと試みるが、前者はしっかり防がれ、後者は抱きが浅い段階で丸山に釣り手の肘を入れられて無力化されてしまう。しかもこの時、このままでは内股を食うと前線から一歩引くのはおおむね阿部の側。阿部はそれでも覇気十分、この戦闘意欲の高さゆえ見た目は一進一退の攻防が成立しているのだが、じわじわと試合の流れは丸山へ。ともに「指導」1つを失った状態で試合はGS延長戦へと突入する。

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延長戦、丸山がまず左内股。

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立ち戻るなり巴投に滑り込んで「技有」獲得。

延長戦が始まって最初の一合、丸山が一瞬で引き手で袖、釣り手で横襟を掴む完璧な形を作り上げると阿部が思わず下がり、丸山は後退した阿部を滑るように追いかけて飛び込みの左内股一発。思わず観客席からおうと声が上がるタイミングの良い一撃、阿部が腰を引いたまま耐えて技自体は収束したが、ここに至って「見た目」的にもハッキリ丸山が主導権を握った印象。状況の不利を悟った阿部は引き手で裾を掴んでの右大外刈で攻め返して陣地を復せんとするが、丸山は表情を変えずに捌きながら場外に出でて「待て」。

そしてGS1分を過ぎたところで丸山が再び飛び込みの左内股。一瞬浮きあがった阿部前段と同じように脚を踏ん張って畳に降りるが、瞬間前傾して剛体となってしまう。丸山内股から立ち戻るなり、動きを止めずに巴投。2015年講道館杯準々決勝、阿部からリオ五輪出場の夢を奪ったあの時の技を彷彿とさせる一発に大きく浮いた阿部は体側から畳に落ちて「技有」。

試合時間は5分15秒。丸山のグランドスラム初制覇が決まった。阿部は2019年世界選手権日本代表の内定ならず。

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礼を終えた丸山は思わず拳を握りしめる

大会直前のコラム「阿部一二三のライバル不在を危惧する」でも書かせて頂いた通り、日本の66kg級最大の泣き所は阿部のライバル不在であった。追いつき、追い越されるという健全な切磋琢磨が消えかけてもはや阿部の五輪代表選出は既定路線。阿部は自らとのみ戦うという難しい成長プロセスを経て五輪金メダルを目指さねばならないところだった。

しかし丸山の勝利、それも試合を支配した上で投げで決めるというこの「完勝」により状況は一変。久々阿部に「成長なくば勝利なし」との課題、そしてリベンジの対象となる明確なターゲット選手が与えられることになった。阿部の掲げる目標は五輪四連覇であるが、いまや「再び丸山に負けることがあれば東京五輪出場すらなくなりかねない」「リオ、東京と立て続けに五輪を逃してしまうかもしれない」と、このレベルの恐怖が芽生えていてもおかしくない。そのくらい脅威レベルの高い試合内容であった。

後世から見て、この2018年11月23日が五輪代表争いの潮目が変わった歴史的一日になるか、それとも阿部がさらに一段階段を上るきっかけとなった日として記憶されるか、いずれも両者このあとの戦いに掛かっている。あるべき切磋琢磨、高いレベルでの代表争いが復活しそうな気配の日本の66kg級、ひとまずは2月の欧州シリーズが非常に楽しみである。

表彰台残り2枠には、3位決定戦で藤阪太郎を倒したアラム・グリゴリアン(ロシア)と、この日の海外選手でもっとも目立っていたヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)が入賞した。

→[参考] 2015年講道館杯全日本柔道体重別選手権大会・第1日男子4階級展望
→[参考] 2015年講道館杯全日本柔道体重別選手権大会・第1日男子4階級即日レポート(60kg級、66kg級、73kg級、81kg級)

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優勝の丸山城志郎

【上位入賞者】
優 勝:丸山城志郎(ミキハウス)
準優勝:阿部一二三(日本体育大3年)
第三位:アラム・グリゴリアン(ロシア)、ヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)

【日本代表選手結果】
丸山城志郎(ミキハウス):優勝
阿部一二三(日本体育大3年):2位
藤阪太郎(大阪府警察):5位
田川兼三(筑波大4年):2回戦敗退

丸山城志郎選手のコメント
「自分を信じてやってきたことが結果に出てうれしい。2年後に五輪という大きなイベントが迫っていますが、これからも自分を信じて頑張りたいと思います。(―決勝を振り返って頂けますか?)意地を出しました。それだけです。『指導』で勝つのは自分の中でつまらない。なんとしても投げて勝ちたかった。巴投で勝とうとは思っていなくて、内股と大外刈で組み立てていたところ、結果としてとっさに出た巴投で決まった。相手が内股と大外刈を物凄く警戒していたので、それで利いたのだと思います。(-パターンとして持っている技ではあるんですよね?)たぶん、そうです。内股から腰を切っての巴投というのは稽古でもやっています。相手が内股を怖がっているのがわかっていたので、咄嗟にこの技が出たということです。(―アジア大会では決勝で敗れました)本当に凄く悔しい思いをして、講道館杯も膝を怪我して欠場し、思うように稽古が詰めなかった。苦しい期間でした。(―率直に、阿部選手と組み合って感じる強さは、どのくらいですか?)実績では先を行かれていますが、組んだ感触では、自分が負ける相手ではないなと思っています。(―来年の世界選手権に向けて一言お願いします)これがスタート、勝ったここからがスタートです。これから先を勝ち抜いてこそ意味があると思います。」

阿部一二三選手のコメント
「決めるチャンスが何回があったのですが、そこを決め切れない。それがダメなところであり、課題です。巴投は意識していたんですが、そのことで自分の柔道が出来なくなったら本末転倒なので、あまり考えすぎないようにして戦っていました。2回同じ形で負けてしまったということは、重く受け止めています。(―丸山選手について一言?)66kg級の、国内では一番のライバルだと思っています。しっかり勝ち切りたかった。(-手首を痛めていたのでは?)試合の少し前に怪我をして、あまり稽古が詰めなかった。言い訳になるので言いたくなかったですし、試合への影響はありませんでした。(―短いスパンで大きな大会が続き、調整が難しかったのでは?)気持ちのコントロールなど去年に比べると難しい部分はありましたが、この大会に向けてはしっかり用意出来ていたと思っています。(―内定について?)決め切りたかったですね。またイチから頑張っていきます。」

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2回戦、この日大躍進を遂げることになるヨンドンペレンレイ・バスフーがイェルドス・ジューマカノフと対戦。

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3回戦、阿部一二三がルーカス・キエルバシンスキから右袖釣込腰「技有」。

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敗者復活戦、アラム・グリゴリアンがイェルラン・セリクジャノフから背負投「技有」

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敗者復活戦、イスラム・ハメトフがヴァジャ・マルグヴェラシヴィリから腕挫十字固「一本」

【1回戦】
アラム・グリゴリアン(ロシア)○袖釣込腰(2:09)△ラン・サンチョ=チンチラ(コスタリカ)
ヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)○GS反則[指導3](GS1:14)△コール・チャンドラー(アメリカ)
フアン・ポスティーゴス(ペルー)○袈裟固(0:28)△スラサク・プンタナム(タイ)
藤阪太郎○反則[指導3](2:51)△ミヒャエル・アダム(ドイツ)
イスラム・ハメトフ(ロシア)○GS合技[谷落・大内刈](GS0:29)△ジョアオ・クリソストモ(ポルトガル)

【2回戦】
阿部一二三○合技[背負投・大外落](1:52)△ネイソン・バーンス(アイルランド)
ルーカス・キエルバシンスキ(ポーランド)○裏投(2:32)△キム・リマン(韓国)
アラム・グリゴリアン(ロシア)○GS反則[指導3](GS5:50)△田川兼三
ネイサン・カッツ(オーストラリア)○足車(1:40)△アブドゥラー・アルファライディ(サウジアラビア)
ヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)○GS隅落(GS0:18)△イェルドス・ジューマカノフ(カザフスタン)
アルマズ・アルティンベク=ウウル(キルギスタン)○合技[内股・横四方固](2:05)△シュウゲン・ナカノ(フィリピン)
イェルラン・セリクジャノフ(カザフスタン)○合技[背負投・隅落](3:59)△ホワン・シュヨンティン(台湾)
マニュエル・シャイベル(ドイツ)○優勢[技有・大内刈]△ジャコ・ヴァロア(カナダ)
ヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)○足車(1:14)△フアン・ポスティーゴス(ペルー)
アラ・エル=イドリッシ(アメリカ)○反則[指導3](3:40)△レン・チュンテ(台湾)
パトリック・ヴァヴルズィチェク(ポーランド)○不戦△オスニエル・ソリス(キューバ)
藤阪太郎○内股(4:00)△ボグダン・イアドフ(ウクライナ)
イスラム・ハメトフ(ロシア)○優勢[技有・体落]△ガンボルド・ヘルレン(モンゴル)
マー・ドゥアンビン(中国)○合技[袖釣込腰・崩袈裟固](2:03)△ノーム・ティダール(オーストラリア)
丸山城志郎○内股(1:42)△シン・ホ(韓国)
ワンダー・マテオ(ドミニカ共和国)○GS反則[指導3](GS3:22)△アルチュール・テ(キルギスタン)

【3回戦】
阿部一二三○合技[袖釣込腰・小内刈](2:40)△ルーカス・キエルバシンスキ(ポーランド)
アラム・グリゴリアン(ロシア)○合技[袖釣込腰・袖釣込腰](2:55)△ネイサン・カッツ(オーストラリア)
ヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)○優勢[技有・隅落]△アルマズ・アルティンベク=ウウル(キルギスタン)
イェルラン・セリクジャノフ(カザフスタン)○横四方固(3:40)△マニュエル・シャイベル(ドイツ)
ヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)○優勢[技有・体落]△アラ・エル=イドリッシ(アメリカ)
藤阪太郎○崩上四方固(2:23)△パトリック・ヴァヴルズィチェク(ポーランド)
イスラム・ハメトフ(ロシア)○合技[払巻込・抱分](1:37)△マー・ドゥアンビン(中国)
丸山城志郎○内股(2:43)△ワンダー・マテオ(ドミニカ共和国)

【準々決勝】
阿部一二三○背負投(0:29)△アラム・グリゴリアン(ロシア)
ヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)○隅落(3:29)△イェルラン・セリクジャノフ(カザフスタン)
藤阪太郎○合技[大内刈・崩上四方固](3:09)△ヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)
丸山城志郎○合技[内股・内股](1:52)△イスラム・ハメトフ(ロシア)

【敗者復活戦】
アラム・グリゴリアン(ロシア)○隅返(2:57)△イェルラン・セリクジャノフ(カザフスタン)
イスラム・ハメトフ(ロシア)○腕挫十字固(2:03)△ヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)

【準決勝】
阿部一二三○背負投(2:24)△ヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)
丸山城志郎○GS反則[指導3](GS1:55)△藤阪太郎

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3位決定戦、グリゴリアンが袖釣込腰から押し込んで「一本」に繋ぐ。

【3位決定戦】
アラム・グリゴリアン(ロシア)○袖釣込腰(3:21)△藤阪太郎
右相四つ。グリゴリアンが二段の右背負投を見せた41秒、主審早くも動いて藤阪に消極的との咎で「指導」。グリゴリアンは続いて鋭い巴投も見せるが藤阪は奥襟を叩いて、または腰を抱いて、あるいは両襟でじわじわ接近して優位を取り戻す。1分43秒、奥襟を掴んだ藤阪の圧力に我慢が出来なくなったグリゴリアンに、首抜きの「指導」。
グリゴリアンまたもや二段の背負投で低く潜り込んで迫力の攻めを見せるが、藤阪はこれを防いで捲り返さんと試み、にじるような前進を決して緩めず。グリゴリアンは次第に消耗、嫌って下がった2分42秒には「取り組まない」咎で2つ目の「指導」が与えられる。試合は藤阪ペース、勝利まであと一歩。続く展開も藤阪が引き手で襟を持っての右内股、グリゴリアンは耐えたまま場外に逃れて「待て」
藤阪一機に勝負を決めんと引き手で襟、釣り手で奥襟を叩くとグリゴリアン露骨に嫌うが、体をずらして圧を抜けると変形の袖釣込腰。髙藤直寿がかつてこの大会で見せた「ハバレリ」様に逆側から体を預けると崩れた藤阪をまたいで捲る。藤阪背中を着かされてしまい「一本」。一発で状況逆転、表彰台にはグリゴリアンが辿り着くこととなった。

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3位決定戦、ヨンドンペレンレイ・バスフーが「やぐら投げ」で「技有」。

ヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)○合技[内股・大外落](3:21)△イスラム・ハメトフ(ロシア)
右相四つだが、両者ともに左構えから組み手を開始。1分3秒、お互いに脇を差し合っての「相撲」状態からヨンドンペレンレイが左方向への「やぐら投げ」。強引に釣り上げ、乗り上げるように投げ切って「技有」。2分30秒過ぎには反撃を期したハメトフがクロスグリップから右大外刈、次いで右外巻込と技を繋ぐが、ヨンドンペレンレイは危うく巻き込まれかけながらも紙一重で踏みとどまって失点は回避。3分21秒、双方が横変形気味に組み合う形が出来上がるとヨンドンペレンレイが浅く刈り足を当てるようにして右大外落。乗り越えられて距離が空きかかったが、ヨンドンペインレイは引き手で前帯を握り込んでおり、尻餅をついた相手を拘束したまま逃がさず。そのまま浴びせ倒して「技有」を追加、合技「一本」で勝利決定。

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決勝、丸山城志郎が阿部一二三から巴投「技有」(別角度)

【決勝】

阿部一二三○GS技有・巴投(GS1:03)△ 丸山城志郎

阿部が右、丸山が左組みのケンカ四つ。引き手争いが続いて双方これという形を作れない。阿部が24秒に釣り手のみの右背負投、丸山が片手の左内股を見せるが、雰囲気の緊迫に比して試合自体はなかなか動かず。この片手内股の直後の1分9秒、丸山が阿部を呼び込んで巴投一発。あの2015年講道館杯、阿部からリオ五輪の夢を奪った一撃を彷彿とさせる軌道で阿部大きく浮くが、なんとかポイントは回避して「待て」。めまぐるしく陣地が入れ替わる組み手争いの中、阿部は右大外刈で打開を図るが丸山崩れ切らず、1分51秒には再び良いタイミングで両足の巴投。阿部の体は勢いよく跳ね上がるがなんとかポイント失陥は回避「待て」。

丸山は「はじめ」が宣せられると視線を阿部から外さぬまま、両手を下げてゆらりと前へ。一合のにらみ合いの後引き手争いから腰の入れ合いになり、丸山は左内股を連発して阿部に腰を下げさせる。20秒ほどのこの攻防が終息し、両者が離れて再びのにらみ合いとなったところで主審的確に試合に介入し、2分46秒双方に「取り組まない」咎の「指導」。

直後の3分2秒に阿部一計を案じ、背中を抱えて右大腰、抱きながら体を預けに掛かる。これは丸山が防いだが、これに感触を得たか阿部は続いて腰の入れ合いから回転小さく右浮腰を放つ。相手と体側を付けあうとそのまま体を預けて転がしに掛かる野心的な「押しつぶし」、ポイントに発展してもおかしくない技であったが丸山が耐えてこの攻撃は終息。終盤、腰の入れ合いから丸山が迫力ある左内股を見せ、さらに阿部の右大内刈の潰れに左内股を合わせて優位を取り掛けたところで本戦4分が終了。試合はGS延長戦へ。

延長が始まるなり丸山は加速、阿部の下がり際に飛び込みの左内股を一撃呉れると、続いて右襟を両手で握った左体落で阿部を大きく崩し伏せさせる。阿部はここで陣地を譲っては全てを失うとばかりに打開を企図、片手の右背負投に引き手で裾を握った右大外刈で丸山を場外へと追いやるがいずれも刹那的、大枠の主導権は丸山が握った印象。

そしてGS1分を過ぎんとするところで、引き手で袖を得た丸山が釣り手で袖を掴みながら飛び込みの左内股一発。阿部がこれを防いで腰を引くと見るや、戻って腰を切り返すなり「横巴」に体を滑り込ませる。阿部の体は両足を天井に向けて激しく回転、なんとか伏せようと身を切るが丸山巧みに腕の操作を利かせて上体をコントロール。阿部が体側から畳に落ちてこれは「技有」。

これで丸山の勝利が決定。内股の威力を晒して阿部に腰を引かせ続けた本戦からペースを取り続け、最後はその内股から連携しての技で決定点獲得。ワンチャンスを生かしたというよりも、終始主導権を取り続けた、その内容が最終的には得点に結実したという形。丸山の完勝であった。

※ eJudoメルマガ版11月30日掲載記事より転載・編集しています。

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