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78kg級は梅木真美が全試合一本勝ちで優勝、70kg級は田中志歩が粘り勝ちでグランドスラム最後の枠を勝ち取る・平成30年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会第1日女子レポート

(2018年11月19日)

※ eJudoメルマガ版11月19日掲載記事より転載・編集しています。
78kg級は梅木真美が全試合一本勝ちで優勝、70kg級は田中志歩が粘り勝ちでグランドスラム最後の枠を勝ち取る
平成30年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会第1日女子3階級レポート(70kg級、78kg級、78kg超級)
大会日時:2018(平成30)年11月3日
於:千葉ポートアリーナ

取材・文:古田英毅/林さとる
撮影:辺見真也/eJudo編集部

→第1日女子プレビュー記事
→第1日女子3階級全試合結果

■ 70kg級・田中志歩が優勝、朝飛七海との技の打ち合いを延長で制す
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70kg級準決勝、田中志歩が嶺井美穂から右小外掛「一本」

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70kg級決勝、朝飛七海が田中の左大内刈を大内返で迎え撃つ

(エントリー30名)

【決勝まで】

第1シードの田中志歩(環太平洋大2年)と第2シードの朝飛七海(桐蔭横浜大1年)が順当に決勝進出を果たした。

昨年度大会2位の田中は初戦(2回戦)で西村満利江(帝京大2年)に送襟絞「一本」(1:49)で勝利すると、準々決勝では寺田宇多菜(桐蔭横浜大2年)に大内刈「技有」で優勢勝ち。準決勝では嶺井美穂(桐蔭横浜大3年)を試合時間8分56秒の消耗戦の末に小外掛「一本」で下して決勝進出。

一方の朝飛は昨年度3位、この日はまず初戦(2回戦)でヌンイラ華蓮(了徳寺学園職)に大外刈で一本勝ち(2:33)。準々決勝で榎谷有里(JR九州)を「指導3」の反則(2:19)で退けると、準決勝では青柳麗美(環太平洋大3年)をGS延長戦での大外刈「技有」(GS0:45)で破って決勝へと駒を進めた。

優勝候補の一角に挙げられていた西願寺里保(コマツ)は準々決勝で嶺井に敗れたが、敗者復活戦を勝ち上がり3位を獲得した。

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70kg級決勝はがっぷり奥襟を叩き合っての近距離戦、朝飛が大内刈で田中を攻める

【決勝】

田中志歩(環太平洋大2年)○GS大内返(GS5:56)△朝飛七海(桐蔭横浜大1年)

左相四つ。身長では田中が5センチ上回るが、朝飛臆せず思い切り奥襟を叩いて左大内刈。田中は引き手でいったん腰を突いて体勢を整え、双方が外側にずれた横変形のまま奥襟を抱えあったがっぷり四つとなる。朝飛はここから左大内刈で投げに掛かり、田中は支釣込足で蹴り崩すものの朝飛のあまりの強気にやや出遅れた感あり、序盤は朝飛のペース。地力に勝る田中は1分30秒をすぎたところで釣り手を上からクロスに入れて相手の頭を下げさせるが、あくまで釣り手で奥襟を抱いて退かない朝飛の前に具体的な技が出ず思わず一合ウオッチ。1分39秒、田中に片襟の咎で「指導」。

朝飛は引き手で脇下を突き、相手が応じて釣り手から組み手を開始すると一瞬引き寄せて奥襟を叩きながら強烈な左大内刈。田中は引き手で朝飛の腰を押さえて耐え、捩じってこの危機を脱出。しかしこの際下半身に触れたとみなされ、2分20秒「足取り」の咎で「指導2」。田中は試合時間1分40秒を残して早くも後がなくなる。

朝飛続く展開も思い切り釣り手で奥襟を叩くと、もはや行くしかない田中は引き手で背中を抱きながら思い切った左大内刈。ケンケンで追い込んで朝飛を仰け反らせるが、朝飛は一瞬で体勢を直して体を捩じり、大内返で迎え撃つ。双方が勢いよく畳に落ち主審は「技有」を宣告。いずれのポイントかが注目されたがスコアは朝飛へ。しかし映像チェックの結果、手を突いて耐えた田中とのけぞって落ちた朝飛の体勢に差がないとみなされた模様、これは取り消されていずれにもポイントは入らず。田中危うく危機を脱する。

田中は「ケンカ四つクロス」の形を試みるなど組み手の入り口を変えたが、双方が横変形でがっぷり持ち合って大内刈を狙い合うという大枠は変わらず。打ち続く超近距離戦、息詰まる展開。残り10秒、この形から朝飛が引っ張る形で時計回りの動きが生まれ、田中が大内刈を捩じ入た拮抗体勢のまま本戦4分間が終了。試合はGS延長戦へ。

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朝飛の仕掛けた左大内刈を田中が捻じ伏せるような大内返で切り替えして「一本」

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田中の大内返「一本」(別角度から)

ここまで朝飛の巧さに完封されている形の田中だが、延長に入ると最大の武器である体の力を前面に押し出して加速を期す。奥襟を叩くと引き手で背中を抱えて大内刈に打って出るが、朝飛はなんと受け止め、前に振り返して田中に畳を這わせる。朝飛、GS1分42秒には再び奥襟を叩きながらの左大内刈で投げ合いを演出して譲らず。しかし覚悟を決めた田中の圧力が徐々に効き始めており、この攻防の直後この試合初めて一方的に奥襟を掴む形を許してしまう。まともに田中の力を受けた朝飛は畳に潰れてしまい、GS1分59秒朝飛に偽装攻撃による「指導」。

以後も田中のパワーに対して朝飛が巧さと、それを飛び越える大胆さで拮抗する展開が続くが、GS延長戦5分を越えたところから互いが奥襟を抱えた横変形の超接近戦が再び現出。双方相手を引き寄せたまま時計回りに動いて左大内刈を差し込むこの攻防は田中の巻き込みで一旦リセットされたが、その直後横変形の組み合いで朝飛が大勝負。釣り手で奥襟、頭を下げて引き手で田中の釣り手を噛み殺した状態から乾坤一擲の左大内刈。しかし田中は一歩引いて迎え撃ち、朝飛がさらなる刈り込みを企図して踏み込みながら頭を上げた瞬間、フリーになった釣り手で朝飛の頭を抱えて大内返。引き手で背中をがっぷり抱えて放った高速の一撃、ケンケンでの推移が見込まれたその予測を遥かに超えるスピードと威力に朝飛はまっさかさまに畳に落ちて「一本」。総試合時間9分56秒、田中の講道館杯初優勝が決まった。

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70kg級上位入賞者。左から2位の朝飛七海、優勝の田中志歩、3位の西願寺里保と嶺井美穂。

【入賞者】
優 勝:田中志歩(環太平洋大2年)
準優勝:朝飛七海(桐蔭横浜大1年)
第三位:西願寺里保(コマツ)、嶺井美穂(桐蔭横浜大3年)

【グランドスラム大阪日本代表選手】
新井千鶴(三井住友海上)、大野陽子(コマツ)、新添左季(山梨学院大4年)、田中志歩(環太平洋大2年)

田中志歩選手のコメント
「『指導』を2つ先に取られてやばいと思いましたが、あきらめない気持ちで頑張りました。応援してくれる人たちがいたので頑張れました。上の人たちがまだいるので、追いつけるように頑張ります。グランドスラムで優勝して次に繋げたいと思います。」

【準々決勝】
田中志歩(環太平洋大2年)○優勢[技有・大内刈]△寺田宇多菜(桐蔭横浜大2年)
嶺井美穂(桐蔭横浜大3年)○合技[大内刈・小外掛](2:33)△西願寺里保(コマツ)
朝飛七海(桐蔭横浜大1年)○反則[指導3](2:19)△榎谷有里(JR九州)
青柳麗美(環太平洋大3年)○GS技有・内股返(1:22)△市川香代子(宮城県警察)

【敗者復活戦】
西願寺里保(コマツ)○反則[指導3](3:38)△寺田宇多菜(桐蔭横浜大2年)
榎谷有里(JR九州)○袈裟固(3:12)△市川香代子(宮城県警察)

【準決勝】
田中志歩(環太平洋大2年)○GS小外掛(GS4:56)△嶺井美穂(桐蔭横浜大3年)
朝飛七海(桐蔭横浜大1年)○GS技有・大外刈(GS0:45)△青柳麗美(環太平洋大3年)

【3位決定戦】
西願寺里保(コマツ)○合技[小外刈・上四方固](2:57)△青柳麗美(環太平洋大3年)
嶺井美穂(桐蔭横浜大3年)○優勢[技有・大外刈]△榎谷有里(JR九州)

【決勝】
田中志歩(環太平洋大2年)○GS大内返(GS5:56)△朝飛七海(桐蔭横浜大1年)

■ 78kg級・梅木真美が4年ぶりの優勝、選抜体重別王者の髙山莉加は3位に終わる
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78kg級準決勝、泉真生が髙山莉加から大外刈「一本」

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78kg級2回戦、梅木真美が山内真子から左払腰「一本」

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78kg級2回戦、和田梨乃子が緒方亜香里から右小外掛「技有」

(エントリー26名)

【決勝まで】

決勝に勝ち上がったのは泉真生(山梨学院大4年)と梅木真美(ALSOK)。

泉は2週間前の学生体重別団体における低調が嘘のような、出色の出来。初戦(2回戦)で松延祐里(JR東日本)を「指導3」の反則(1:54)で下すと、準々決勝では梅津志悠(三井住友海上)に払巻込「一本」(GS1:25)で勝利。山場となった準決勝では優勝候補筆頭の髙山莉加(三井住友海上)と対戦し、この強敵を奥襟を得て相手が下がったタイミングでの大外刈「一本」(1:05)で撃破。あまりに鋭く強い、完璧な一撃に4面同時進行中にも関わらず会場は大きなどよめきに包まれる。泉は勢いに乗ったまま、みごと決勝進出決定。

一方の梅木もこの日は集中力極めて高く、実力を遺憾なく発揮。初戦(2回戦)で山内真子(東京学芸大3年)に払腰「一本」(2:43)で勝利して大会をスタート。準々決勝で鈴木伊織(環太平洋大3年)に大外刈と払腰の合技「一本」(3:00)で勝利すると、準決勝では世界ジュニアで優勝したばかりの和田梨乃子(三井住友海上)を「指導3」の反則(3:17)で退けてぶじ決勝進出を果たした。

復活を期して臨んだもと日本代表・緒方亜香里(了徳寺学園職)は2回戦で和田梨乃子に小外掛と崩袈裟固の合技「一本」で敗退。入賞に絡むことは出来なかった。インターハイ王者の長谷川瑞紀(夙川学院高3年)は2回戦で山中満紀(警視庁)にGS延長戦の末大内返「一本」で敗れた。

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78kg級決勝、梅木が先んじて寝技で攻め、主導権を確保。

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梅木が泉を左小外掛で押し倒し「技有」。

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そのまま横四方固で抑え込んだところで前段の技に「一本」が宣告されて試合終了。

【決勝】

梅木真美(ALSOK)○小外掛(2:44)△泉真生(山梨学院大4年)

泉が右、梅木が左組みのケンカ四つ。梅木いきなり奥襟を叩くと泉下がって膝を屈する。梅木すかさず得意の横三角、泉はズボンを持って脚の侵入を防ぐとそのまま立ち上がろうとするが梅木許さず中途で潰しなおし、帯を持って引きはがし再び横三角。徐々に突っ込んだ脚が深く入るが、主審動きが止まったと見て「待て」。経過時間は36秒。

打開を期した泉は奥襟を叩いて内股のモーションを見せるが、梅木は小外刈で迎え撃って譲らず。泉が引き手で襟、釣り手で奥襟と良い形で再び内股を放ち、両者ともに歩く形で場外に出て「待て」。続く展開、梅木がお返しとばかりに両襟を引っ掴むと泉の頭が下がり、梅木は引きずりながら泉をはたき込むようにして場外へ。しかし形上梅木が先に出た形となってしまい、1分17秒梅木に場外の「指導」。さらに攻防の中で泉が上から背中を叩くと梅木が潰れ、1分45秒梅木に首抜きの咎で「指導2」。試合は梅木有利で推移しているにも関わらずスコアとしては泉が大幅リード、梅木は後がなくなってしまう。

しかし泉、あるいは両者への「指導」付与による勝利を意識したかここで減速。ケンカ四つの「腰の差し合い」の形で腰を切ったまま体勢を直さず膠着を企図、乗り越えた梅木が奥襟を叩いて払腰に潰れて「待て」。泉再び腰を切ったままの止め合いを挑むが、梅木は泉に横腰を向かせたまま今度は後方に進出。そのまま場外に送り出すと、当然ながら主審は泉に場外の「指導」を付与。経過時間は2分20秒。

しかし泉は戦い方をあらためず、再び釣り手で背中を叩くと腰を切って相手とのやりとりを拒否。作用足を突っ込んで「サリハニ」の形から攻防を開始する。しかし梅木は釣り手を巻き返して上から泉の左腕を抱いて制すると、奥足めがけて左小外掛。泉は前技の攻防を意識していたかついていけず崩落。釣り手を巻き返されて肩が挙げられない状態では耐えることかなわず、背中の全面を畳に押し付けられ「技有」。梅木そのまま横四方固、そして数秒経過したところで前段の小外刈の効果が「一本」に修正されて試合終了。梅木4年ぶりの講道館杯制覇が決まった。

決勝は梅木の気迫勝ち。スロースターターの梅木がいきなり相手を潰し、秒殺を企図した横三角を突っ込んだ時点で試合の趨勢決した感あり。圧勝続きの泉を潰したパワーも、あらためてさすがであった。一方絶好調の泉であったが「指導2」を先行したことで勢いを自ら殺したという印象。準決勝までの気迫と覚悟を以て最後まで戦う姿を見たかった。

グランドスラム大阪代表には世界選手権を制した濵田尚里、アジア大会優勝者の佐藤瑠香の既に決定していた2人に加え、この大会を優勝した梅木と、3位の髙山が選ばれた。髙山は4月の選抜体重別を素晴らしい出来で制し、10月のグランプリ・カンクンにもただ1人派遣されるなど強化サイドからかなりの評価を受けていた(選抜体重別の結果と内容からすれば当然である)模様であるが、この日はその期待に応えられず。失点の場面は、なぜ下がって受けたのか、普段の髙山の戦いぶりからすればやや不可解。パワーと反射能力がある一方、「理」が足りないのがこの階級の強豪たちの世界的な傾向であり、日本選手にも共通する特徴。今季上半期の凄まじい戦いぶりからあるいは最強と目された髙山にもこの気配あり、と感じさせられた内容だった。

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78kg級上位入賞者。左から2位の泉真生、優勝の梅木真美、3位の梅津志悠と髙山莉加

【入賞者】
優 勝:梅木真美(ALSOK)
準優勝:泉真生(山梨学院大4年)
第三位:梅津志悠(三井住友海上)、髙山莉加(三井住友海上)

【グランドスラム大阪日本代表選手】
濵田尚里(自衛隊体育学校)、佐藤瑠香(コマツ)、梅木真美(ALSOK)、髙山莉加(三井住友海上)

梅木真美選手のコメント
「優勝出来てうれしいです。リオの負けが本当に悔しくて、絶対その借りを返したいという思いをずっと持ち続けています。この講道館杯は絶対に優勝したいと思って頑張って来たのでうれしい。『指導』2つ先にとられてやばいと思ったんですけど、焦らずしっかり攻めようと思って頑張りました。2020年の東京オリンピックを目指しているので、そこに繋がるようにまずはひとつひとつ試合をこなしていきたいと思います。」

【準々決勝】
髙山莉加(三井住友海上)○縦四方固(2:14)△山中満紀(警視庁)
泉真生(山梨学院大4年)○GS払巻込(GS1:25)△梅津志悠(三井住友海上)
梅木真美(ALSOK)○合技[大外刈・払腰](3:00)△鈴木伊織(環太平洋大3年)
和田梨乃子(三井住友海上)○合技[支釣込足・横四方固](2:20)△髙橋ルイ(ヤックス)

【敗者復活戦】
梅津志悠(三井住友海上)○合技[払巻込・後袈裟固](1:14)△山中満紀(警視庁)
鈴木伊織(環太平洋大3年)○棄権(3:57)△髙橋ルイ(ヤックス)

【準決勝】
泉真生(山梨学院大4年)○大外刈(1:05)△髙山莉加(三井住友海上)
梅木真美(ALSOK)○反則[指導3](3:17)△和田梨乃子(三井住友海上)

【3位決定戦】
梅津志悠(三井住友海上)○不戦△和田梨乃子(三井住友海上)
髙山莉加(三井住友海上)○優勢[技有・袖釣込腰]△鈴木伊織(環太平洋大3年)

【決勝】
梅木真美(ALSOK)○小外掛(2:44)△泉真生(山梨学院大4年)

■ 78kg超級・学生体重別に続き秋場麻優が優勝、井上あかりとの同門対決を制す
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78kg超級準々決勝、秋場麻優が月波光貴穂から左小内刈「一本」

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78kg超級準決勝、秋場が児玉ひかるを攻める

(エントリー29名)

【決勝まで】

9月末の全日本学生体重別選手権で決勝を争った井上あかり(環太平洋大4年)と秋場麻優(環太平洋大3年)が決勝に進出。

昨年度大会の覇者・井上は初戦(2回戦)で斉藤芽生(国士舘大4年)をGS延長戦での大内刈「技有」(GS1:27)で下すと、準々決勝ではリオデジャネイロ五輪日本代表の山部佳苗(ミキハウス)に「指導3」の反則(3:32)で勝利。準決勝では粂田晴乃(筑波大2年)を「指導3」の反則(3:46)で破って決勝進出を決めた。

一方、今期の学生王者である秋場は1回戦で難敵・藤原恵美(大阪府警察)に「指導3」(3:39)で勝利して大会を滑り出す。2回戦で町純香(光仁会病院)を内股「一本」(3:31)で下すと、準々決勝では月波光貴穂(大阪拘置所)を小内刈「一本」(GS1:42)で退けてベスト4入り。準決勝では優勝候補の児玉ひかる(敬愛クラブ)を試合時間9分16秒の消耗戦の末に「指導3」の反則で破って決勝へと駒を進めることとなった。

敗者復活戦を勝ち上がった山部と準決勝で敗れた児玉は3位決定戦で対戦、内股「一本」(0:27)で勝利した山部が表彰台に上がった。田知本愛(ALSOK)は大会を欠場した。

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78kg超級決勝、秋場麻優が左内股で井上あかりを畳に這わせる

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井上に3つ目の「指導」が与えられて決着

【決勝】

秋場麻優(環太平洋大3年)○GS反則[指導3](GS1:55)△井上あかり(環太平洋大4年)

学生体重別決勝と同じ顔合わせとなったこの一番は井上が右、秋場が左組みのケンカ四つ。最初は秋場が、次のターンでは井上が、という具合に交互に釣り手を突いて前へ出、引き手を争い続ける。学生体重別における消極試合の記憶が新しいこのカードだが、この試合はIJF基準に則って主審が的確に動き、35秒双方に片手の「指導」。しかし以後も互いに攻勢を掛けることはなく組み手の攻防が打ち続く。股中に「崩し技」の左体落を見せ、中途で膝裏への小外刈を見せた秋場が前に出ることが多くやや攻勢。主審が早めにスコアに差をつけるべくこれも的確に動き、1分17秒井上に消極的との咎で「指導2」。

井上は早くも後がなくなったわけだが、それでも試合は動かない。さすがに「指導2」失陥の直後は井上が釣込腰に払腰と瞬間的に加速を見せたものの、以後は再び引き手争いをベースとした様子見が続く。井上に後がなく、秋場はあと1つの「指導」を取れば勝利という煮えた状況にも関わらず両者が無意識下に同意しての組み手の「リセット」、さらにいったん相手から大きく離れて互いに周回するという現行ルールではちょっと信じがたい場面まで現出。互いに牽制の技を繰り出すのみで、試合はGS延長戦へ。

延長でも様相動かず、引き手争いに決定打の気配薄い腰の入れ合い、組み手のリセットが続く。秋場はリスクの少ない「崩し技」と前進行動、井上は寝技のチャンスを待ってのリアクションに終始。双方相手の技にはしっかり反応、時折連続攻撃も見せるが深く刃を入れるリスクまでは冒さず。結果組み手の攻防が続いて試合が動く気配がない。悠揚手先で組み手を争う絵が続く中、主審さすがにやや怒気を発してGS1分55秒双方に消極的との咎で「指導」。結果、井上が「指導3」、秋場が「指導2」となり、井上の反則負けで試合が決した。

互いの攻撃ではなく「消極性」の差で形上の勝ち負けが決まったという試合。IJF主催大会であれば両者反則負けが妥当、役員席で批判渦巻くであろうこと必定の低調ゲームであった。スコアが煮詰まっているにも関わらずいったん離れて周回するなど、ワールドツアーであればすぐさま試合する権利を失いかねない。同じルールで行われる講道館杯でこれを採る理由が理解しかねる。普段国内で試合をしている空気感からの行動であろうが、であれば日本もルールのメインストリームから外れた「ローカル」、あのアジア大会と同じ「アジアの混沌」の中にあると示した試合にほかならない。主審の抑制した態度からそれでも感じられた怒気がむしろ救いという試合であり、ここまでの両者の堂々たる勝ち上がりを大いに傷つけた、勝っても負けても評価が上がることのない一番であった。

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78kg超級上位入賞者。左から2位の井上あかり、優勝の秋場麻優、3位の山部佳苗と粂田晴乃。

【入賞者】
優 勝:秋場麻優(環太平洋大3年)
準優勝:井上あかり(環太平洋大4年)
第三位:山部佳苗(ミキハウス)、粂田晴乃(筑波大2年)

【グランドスラム大阪日本代表選手】
朝比奈沙羅(パーク24)、素根輝(南筑高3年)、秋場麻優(環太平洋大3年)、稲森奈見(三井住友海上)

秋場麻優選手のコメント
「凄く嬉しいです。(―普段稽古をしている相手と戦うに当たり、どんなことがポイントになると思っていましたか?)1か月前の全学でも決勝で戦ったばかり、本当は投げて勝ちたかったんですけど、相手も凄く強くて、自分がどれだけ攻められるかを考えてどんどん攻めていきました。気持ちを強く持って戦いました。(―この階級では軽い方ですが、一番の強みはどんなところですか?)去年は78kg級で出て、階級を上げて、少しはパワーと体力で戦えるようになったと思います。まだまだ強い選手がいっぱいいるので、自分もそこに追いつけたらいいなと思っています。」

【準々決勝】
粂田晴乃(筑波大2年)○GS反則[指導3](GS6:06)△稲森奈見(三井住友海上)
井上あかり(環太平洋大4年)○反則[指導3](3:32)△山部佳苗(ミキハウス)
秋場麻優(環太平洋大3年)○GS小内刈(GS1:42)△月波光貴穂(大阪拘置所)
児玉ひかる(敬愛クラブ)○GS反則[指導3](GS0:54)△井上愛美(JR九州)

【敗者復活戦】
山部佳苗(ミキハウス)○払腰(0:59)△稲森奈見(三井住友海上)
井上愛美(JR九州)○合技[内股・袈裟固](0:58)△月波光貴穂(大阪拘置所)

【準決勝】
井上あかり(環太平洋大4年)○反則[指導3](3:46)△粂田晴乃(筑波大2年)
秋場麻優(環太平洋大3年)○GS反則[指導3](GS5:16)△児玉ひかる(敬愛クラブ)

【3位決定戦】
山部佳苗(ミキハウス)○内股(0:27)△児玉ひかる(敬愛クラブ)
粂田晴乃(筑波大2年)○GS反則[指導3](GS3:34)△井上愛美(JR九州)

【決勝】
秋場麻優(環太平洋大3年)○GS反則[指導3](GS1:55)△井上あかり(環太平洋大4年)

※ eJudoメルマガ版11月19日掲載記事より転載・編集しています。

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