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泉真生圧勝で78kg級連覇、70kg級は階級上げた嶺井美穂が復活V・平成30年度全日本学生柔道体重別選手権大会第1日女子4階級レポート

(2018年10月9日)

※ eJudoメルマガ版10月3日掲載記事より転載・編集しています。
泉真生圧勝で78kg級連覇、70kg級は階級上げた嶺井美穂が復活V
平成30年度全日本学生柔道体重別選手権大会第1日女子4階級レポート(63kg級、70kg級、78kg級、78kg超級)
於:日本武道館 日時:2018年9月29日
取材・文:古田英毅/林さとる
撮影:辺見真也

■ 63kg級・佐藤史織悲願の初優勝、持ち前の粘り存分に披露
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63kg級準決勝、佐藤史織が岡田萌から横四方固「一本」

(エントリー34名)

【決勝まで】

フィリピン代表として出場したバクー世界選手権を終えたばかり、試合から移動日含めて中5日で強行出場した2015年大会の王者・渡邊聖未(早稲田大)は初戦(2回戦)で三浦裕香理(環太平洋大)を上四方固「一本」(GS3:19)で破るも、次戦で瀬戸口栞南(山梨学院大)に小外掛「一本」(1:54)で敗退。上位進出が有力視されていた村井惟衣(龍谷大)も初戦(2回戦)で大石野乃(桐蔭横浜大)に内股「一本」(1:02)でまさかの敗戦を喫した。

決勝に勝ち上がったのは佐藤史織(山梨学院大)と幸田奈々(帝京科学大)。

昨年度準優勝者の佐藤は初戦(2回戦)で巣山栞里(仙台大)に「指導3」の反則(GS2:53)で勝利。3回戦で齋藤百湖(国士舘大)を背負投「技有」で破ると、準々決勝では橋本悠樹(金沢学院大)を合技「一本」(3:31)で下す。準決勝では岡田萌(山梨学院大)を横四方固「一本」(3:31)で撃破して決勝進出。

一方の幸田は初戦(2回戦)で小柳穂乃果(龍谷大)を上四方固「一本」(1:31)で破ると、以降は3回戦で飯野鈴々(鹿屋体育大)に合技「一本」(3:21)、準々決勝で瀬戸口栞南に合技「一本」(0:34)でそれぞれ勝利してベスト4入り。準決勝では米澤夏帆(龍谷大)を「指導3」の反則(GS0:49)で下して決勝の畳に辿り着く。

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63kg級決勝、佐藤史織が幸田奈々を背負投で攻める

【決勝】

佐藤史織(山梨学院大)○GS反則[指導3](GS2:34)△幸田奈々(帝京科学大)
佐藤、幸田ともに右組みの相四つ。泥臭い試合が身上の佐藤は前傾して構え、体全体をゆすって相手の釣り手を絞り落としては右背負投に入り込む。右襟を両手で握ってコンパクトにまず体を回してしまう、予備動作小さい技。作りがないため威力はいまひとつだが仕掛けのハードルは低い、この技で手数を積みに掛かる。一方の幸田は引き手で襟を掴むと佐藤に絞られた釣り手を高く揚げて構え、ここから右内股に右大内刈と飛び込みの技一発で対抗。体の強さと手数で戦う短駆の担ぎ技ファイター佐藤、線は細いが長身を生かした技一発で対抗する内股系幸田というこの構図で、序盤は試合拮抗。しかしどちらかというと、手数という「面」で押す佐藤よりもスポット的に「点」で良い技を出す幸田のほうが優位の印象。佐藤は打開せんと2分すぎから前述の小さい回転で入り込む右背負投の数をまとめて優位を取らんとするが、直後幸田に奥襟を叩かれると2度立て続けに首を抜いて防御。主審2度目を見逃さず、2分39秒佐藤に首抜きの「指導」。

しかしこのあたりから幸田疲労しはじめ、佐藤が片襟の右背負投にまず小さく入り込んだ後、前に走って投げ切ろうというシーンが目立ち始める。技が明らかに減じた幸田は残り30秒を過ぎたところからケンケンの右大内刈で回しこむ場面を2度作るもののいずれも投げ切れず。残り3秒で幸田に消極的との咎で「指導」が与えられ、試合はGS延長戦へ。

序盤とは様相が明らかに変わり、体力差が出た延長戦は完全に佐藤のペース。右小内刈に座り込みの右背負投と攻め続けてGS31秒には幸田に「指導2」。幸田は相手の担ぎ際を狙った右大内刈に、一本背負投の形に腕を抱えた右大内刈で対抗するが、タイミングは良しももはやこの技に佐藤を崩すだけの体力的裏付けがない。佐藤は引き手を織り込んでは低い担ぎ技と大内刈を撃ち込み続け、佐藤が袖釣込腰に掛け潰れた延長2分34秒、ついに主審が合議を招集。幸田に3つ目の「指導」を与えて試合が決した。

佐藤は初優勝。決勝は持ち前の体の強さをベースに、磨き上げた「負けない」技術と先手を取るための方法論を生かして「指導3」寄り切り。高校時代からこれまで数々のスター候補を苦しめて来た泥臭い戦いぶりの、集大成というべき一番だった。

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63kg級入賞者。左から佐藤史織、幸田奈々、岡田萌、米澤夏帆

【入賞者】
優 勝:佐藤史織(山梨学院大)
準優勝:幸田奈々(帝京科学大)
第三位:岡田萌(山梨学院大)、米澤夏帆(龍谷大)

佐藤史織選手のコメント
「去年2位で悔しかったので、今年は絶対優勝したいと思っていました。幸田選手は強い相手でしたが、研究してきたのできちんと防ぐことが出来ました。怪我続きで、全然結果も出なくて、でもその時家族や先生がたが支えてくれたことが、きょうの優勝に繋がったと思います。」

【準々決勝】
佐藤史織(山梨学院大)○合技(3:31)△橋本悠樹(金沢学院大)
岡田萌(山梨学院大)○大腰(1:21)△高橋仁美(仙台大)
米澤夏帆(龍谷大)○腕挫十字固(1:00)△德田藍李(日本体育大)
幸田奈々(帝京科学大)○合技(0:34)△瀬戸口栞南(山梨学院大)

【準決勝】
佐藤史織○横四方固(3:34)△岡田萌
幸田奈々○GS反則[指導3](GS0:49)△米澤夏帆

【決勝】
佐藤史織○GS反則[指導3](GS2:34)△幸田奈々

■ 70kg級・嶺井美穂階級上げて復活の狼煙、有望選手目白押しの激戦70kg級を制す
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70kg級準決勝、嶺井美穂が杉山歌嶺から大外返「技有」

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70kg級準決勝、朝飛七海が青柳麗美から大外刈「一本」

【決勝まで】

決勝進出者は階級を上げて再出発を図る嶺井美穂(桐蔭横浜大)と第2シードでその後輩の全日本B強化選手・朝飛七海(桐蔭横浜大学)。

嶺井は1回戦で横山愛海(日本大)を大外刈「一本」で破ると、以降は2回戦で小林幸奈(龍谷大)に大内刈「一本」(2:45)、準決勝で西村満利江(帝京大)に体落「技有」でそれぞれ勝利してベスト4入り。準決勝では大学の同期杉山歌嶺(桐蔭横浜大)を大外返「技有」で下して決勝へと駒を進める。

一方の朝飛は初戦(2回戦)からいきなり池絵梨菜(国士舘大)と対戦する過酷な組み合わせ。この大一番を合技「一本」(1:35)で突破すると、準々決勝では牧田朱加(鹿屋体育大)に隅返「技有」(GS3:01)で勝利。準決勝では青柳麗美(環太平洋大)を大外刈「一本」(GS0:58)で破り決勝進出を果たす。

第1シード配置となっていたアジア大会団体戦代表・田中志歩(環太平洋大)はエントリーを取り消し出場しなかった。

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70kg級決勝、朝飛七海が嶺井美穂から小外掛「技有」

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嶺井が大内返「技有」を取り返す

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嶺井が小外掛「技有」を追加して勝利

【決勝】

嶺井美穂(桐蔭横浜大)○GS合技[大内返・小外掛](GS1:04)△朝飛七海(桐蔭横浜大)

嶺井が右、朝飛が左組みのケンカ四つ。開始早々、嶺井が釣り手で思いきり奥襟を叩くと朝飛はここにタイミングを合わせ、引き手で脇を差して相手の懐に完全密着。同時に左大内刈の形で脚を置いて一歩下がらせるなり、拘束緩めずに右小外刈。ほとんど両足を刈られる形になった嶺井仰け反って吹っ飛び、25秒「技有」。「一本」を回避できたことが不思議なほどの強力な一撃だった。

しかし嶺井も黙ってはいない。40秒、朝飛が左大内刈を見せるとその起こりに身を切って大内返。速過ぎる初動にさしもの朝飛も一瞬置き去り、綺麗に弧を描いて宙を舞い、40秒嶺井の「技有」。以後は嶺井が釣り手を下から、朝飛が上から入れる形を基点にした引き手争い。この駆け引きの中で1分39秒嶺井に片手の咎で「指導」が与えられると、朝飛一計を案じ、次のシークエンスは下から釣り手を入れて、体ごと、両足を畳に刷り込むように前へ。トントンと階段を降りるように陣地を下げられた嶺井の位置は気が付けば場外。1分59秒嶺井に場外の「指導2」。

以後は引き手争いと腰の入れ合いをベースに据えた攻め合い。朝飛は左大内刈と小外刈、嶺井は股中に落とす「崩し技」の右体落と膝を狙った右大外刈を繰り出す。地力は朝飛が上、嶺井が陣地を譲るまいと少々無理をして技を返すという印象。試合はこのままGS延長戦へ。

延長も優位は常に朝飛、しかし嶺井はあきらめず粘戦。延長49秒、嶺井が右大外刈を空振ったそのまま内腿を蹴ると、この右大内刈で崩された朝飛が伏せて「待て」。消耗した嶺井、瞬間的な力はいまだ健在も、もはやスピードが出ない。

しかしこれが伏線となった形、嶺井は続く展開の組み際に急加速。奥襟を叩きながら右小外掛を叩き入れると、これまでと打って変わって突然テンポを上げたスピードの落差に朝飛一瞬対応が遅れる。この一撃見事決まって「技有」。合技の一本勝ちで嶺井の初優勝が決まった。

嶺井は高校2年時の2015年に世界ジュニア63kg級を制し、3年時にはグランドスラム東京で2位に入賞して早くもシニアの全日本強化選手に名を連ねていた大物。昨年4月の全日本選抜体重別選手権を計量超過により失格、規定により強化指定を外されたが、1年半を経てついに復活を果たした大会となった。

力でまず勝つことが前提であった63kg級時代の嶺井を見慣れた目からは、ここでまず遅れをとる70kg級の戦いは少々意外なものであった。しかし、組み負け、展開を失ってなおそれでも勝とうと畳に齧り付くさまには、復活に掛ける強い意志とこの期間の労苦、葛藤の重さが伺われた。注目すべきは、不利をかこった決勝、それでも勝つための道筋として嶺井が選んだのが手数攻撃や組み手の支配といった正面突破を避けて結果を拾いに行く安易な戦術ではなく「投げる」ことであったこと。嶺井完全復活と素直に捉えられるような内容では決してなかったが、嶺井がかつて自身を強者たらしめた「投げ」にこだわった様には今後に向けて一抹光が見えたと評したい。

力でまず勝って右の大技で投げつけるという嶺井の柔道がこの先も通用するかどうか、どちらの方向に幹を伸ばしていくかという課題は、実は力自慢のシニア海外選手との戦い方を模索していた63kg級時代終盤と変わらぬもの。厳しい戦いが待っていることは間違いないが、長い時間を掛けて考えたであろう嶺井の解の方向に、今後も注目したい。

そして何よりまずは、学生王座獲得というはっきり目に見える形で復活の狼煙を上げた嶺井の奮闘を称えたい。素直に、よく戻って来たと声を掛けてあげたい執念の戦いであった。

入賞した4人はいずれも身体能力高く、技に威力のある有望選手。シニアのトップ選手に脅威を抱かせるだけの資質十分、講道館杯の活躍に大いに期待したい。

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70kg級入賞者。左から嶺井美穂、朝飛七海、杉山歌嶺、青柳麗美。

【入賞者】
優 勝:嶺井美穂(桐蔭横浜大)
準優勝:朝飛七海(桐蔭横浜大)
第三位:杉山歌嶺(桐蔭横浜大)、青柳麗美(環太平洋大)

嶺井美穂選手のコメント
「(決勝で対戦した朝飛は)打ち込みパートナーで、いつも稽古をしているので強さもよくわかっているし、厳しい戦いになるとは思っていたのですが、ここはなんとしても勝つぞと思って戦いました。勝てて良かったです。きょうは、誰と戦っても絶対に負けないぞという強い気持ちで試合をしました。」

【準々決勝】
杉山歌嶺(桐蔭横浜大)○大外刈(1:06)△筒井志保(仙台大)
嶺井美穂(桐蔭横浜大)○優勢[技有・体落]△西村満利江(帝京大)
朝飛七海(桐蔭横浜大)○GS技有・隅返(GS3:01)△牧田朱加(鹿屋体育大)
青柳麗美(環太平洋大)○GS反則[指導3](GS7:54)△小野華菜恵(早稲田大)

【準決勝】
嶺井美穂○優勢[技有・大外返]△杉山歌嶺
朝飛七海○GS大外刈(GS0:58)△青柳麗美

【決勝】
嶺井美穂○GS合技[大内返・小外掛](GS1:04)△朝飛七海

■ 78kg級・泉真生圧勝、他を寄せ付けず2連覇達成
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78kg級準決勝、泉真生が松田なみきから払腰「技有」

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78kg級準々決勝、鈴木伊織が山内真子から横四方固「一本」

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78kg級決勝、泉真生が鈴木伊織から小外掛「技有」

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横四方固で抑え込み合技「一本」

(エントリー27名)

【決勝まで】

決勝進出者は2連覇を狙う泉真生(山梨学院大)と鈴木伊織(環太平洋大)、それぞれ第1シードと第2シードに配された強豪2名が順当にトーナメントを勝ち上がった。

泉は初戦(2回戦)で楢原咲桜(福岡工業大)に合技「一本」(1:17)で勝利すると、準々決勝では黒坂麻樹(金沢学院大)を大外刈「一本」(1:17)で一蹴。準決勝では松田なみき(金沢学院大)を払腰「技有」で破って決勝へと辿り着く。

一方の鈴木は初戦(2回戦)で鳥居美咲(山梨学院大)を合技(2:10)で下してトーナメントをスタート。準々決勝で山内真子(東京学芸大)を横四方固「一本」(2:25)で破ると、準決勝では清水美緒(金沢学院大)に体落と横四方固の合技「一本」(2:50)で勝利。これで決勝へ駒を進めることとなった。

ともに全試合を一本勝ち、他とは一段も二段も違う力を見せつけての決勝進出である。

【決勝】

泉真生(山梨学院大)○合技[小外掛・横四方固](2:15)△鈴木伊織(環太平洋大)

ともに右組みの相四つ。泉が奥襟を叩くと圧を受けた鈴木は前傾、なんとか体を起こすが続いて泉が大内刈を放つと耐え切れず、左一本背負投の形で身を切って潰れてしまう。

以後も引き手で袖、釣り手で奥襟を叩く泉が一貫して優勢。鈴木は圧を縫って右一本背負投、さらに同じ形に腕を固めての右大内刈を見せるがいずれも崩せず、一方的に潰れてしまう。鈴木の立ち上がりを待ち受けた泉の腕に、鈴木が立ち上がった右半身が触れる。鈴木がその位置をめがけて飛び込んで来た形の不可抗力だったが、主審ほとんど間をおかず泉に片襟の咎で「指導」。しかし直後、泉が奥襟を叩くと嫌った鈴木が首を抜き、鈴木にも「指導」。

泉は釣り手で肩口を持って前へ。鈴木止められず下がり、勇を鼓したクロス組み手からの払巻込で場外に掛け潰れるが、主審はこれを見逃さず的確な判断、1分16秒鈴木に場外の「指導2」。鈴木腕を抱えておいての袖釣込腰で抗するが大枠で押しこまれているためまったく効かず。鈴木もはや組まれては希望なしと、泉が引き手で持って来た襟を切り離し、必死に打開策を探す。

2分1秒、鈴木一発逆転を狙うしかなしと、泉が奥襟を叩きながら前に出てくる瞬間、釣り手をクロスに入れながらカウンターの右大内刈に抱きつく。しかし泉はまるで壁、まったく揺るがず。引き出す形で刈った鈴木は抱きとめられたまま今度はケンケンで押し倒そうと前に出るが、泉が一瞬体を一歩引いて左小外掛に呼び込み、押し返すとその体は畳めがけて吹っ飛び「技有」。まさに「衝突」、大型車輛にぶつかったかのような強烈な一撃だった。泉はそのまま横四方固に抑え込み、鈴木の左を腕緘に極めながら合技の「一本」の宣告を聞く。試合時間は2分15秒、これで泉の勝利が決まった。

泉はまさしく完勝、他を寄せ付けず2連覇を決めた。シニアのトップクラスと学生カテゴリにかなり力の差がある階級であるが、講道館杯、グランドスラム大阪と続くシニア大会で泉がどれほどの働きをするか、非常に楽しみである。

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78kg級入賞者。左から泉真生、鈴木伊織、松田なみき、清水美緒。

【入賞者】
優 勝:泉真生(山梨学院大)
準優勝:鈴木伊織(環太平洋大)
第三位:松田なみき(金沢学院大)、清水美緒(金沢学院大)

泉真生選手のコメント
「素直にうれしい、それだけです。2連覇とかは考えず、一戦一戦しっかり戦おうと思っていました。決勝の相手の鈴木選手は何度も戦っていて、強いことはよくわかっていた。気持ちで負けないようにと試合に臨みました。今日の出来は、決勝は良かったんですけど、それまでがいまひとつだったので80点。気持ちで引く場面がありました。次は、まず尼崎の体重別団体で2連覇、これをしっかり決めて講道館杯、グランドスラムに繋げていきたいと思います。」

【準々決勝】
泉真生(山梨学院大)○大外刈(1:17)△黒坂麻樹(金沢学院大)
松田なみき(金沢学院大)○優勢[技有・背負投]()△吉田菜美(山梨学院大)
鈴木伊織(環太平洋大)○横四方固(2:25)△山内真子(東京学芸大)
清水美緒(金沢学院大)○大内刈(3:01)△堤下真里安(立命館大)

【準決勝】
泉真生○優勢[技有・払腰]△松田なみき
鈴木伊織○合技[体落・横四方固](2:53)△清水美緒

【決勝】
泉真生○合技[小外掛・横四方固](2:15)△鈴木伊織

■ 78kg超級・秋場麻優が4試合を「指導3」で勝ち抜き優勝、決勝は井上あかりとの同門対決を制す
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準決勝を戦う秋場麻優

(エントリー20名)

【決勝まで】

秋場麻優(環太平洋大)と2連覇を狙う井上あかり(環太平洋大)、ともに環太平洋大の両名が決勝進出。

秋場は1回戦で廣谷姫奈(仙台大)を払腰「一本」(2:56)で下すと、それ以降は2回戦で桑原佑佳(鹿屋体育大)に「指導3」の反則(GS0:59)、準々決勝で井上舞子(淑徳大)に「指導3」反則(GS2:58)、準決勝で岡田実咲(山梨学院大)に「指導3」の反則(2:50)と相手の反則負けによる勝利を3つ重ねて決勝進出。

一方の井上は初戦(2回戦)で粂田晴乃(筑波大)を「指導3」反則(GS1:19)で破ると、準々決勝では奥本華月(帝京大)に横四方固「一本」(2:50)で勝利。準決勝では大学の後輩・浜未悠(環太平洋大)を「指導3」の反則(GS2:51)で下して決勝へと辿り着く。

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78kg超級決勝、秋場麻優が井上あかりを攻める

【決勝】
秋場麻優(環太平洋大)○GS反則[指導3](GS3:28)△井上あかり(環太平洋大)

秋場が左、井上が右組みのケンカ四つ。引き手争いと腰の入れ合いが続き、58秒双方に「指導」。以後もディティールのわずかな揺れこそあれ、様相自体はまったく変わらない。秋場は斜めからの左大内刈、井上は釣り手を伏せての右内股に右大内刈と一応技は見せるがいずれも浅く、決まる気配はなし。主審は早々に2つ目の「指導」を与えるべき、特に試合の停滞を両者が無意識的に合意した本戦3分からGS延長戦1分までの間に反則を与えて技での決着を強く促すべきであったが、ここを丁寧に見過ぎたことで機会を完全に逸する。両試合者ともこの膠着を打開する技術と気力に決定的に欠け、以後も試合はまったく動かず、組み手争いと浅い技による目先の攻撃意欲の演出のみで無為に時間が進む。互いが引き手の指を握り合わせたGS1分54秒ようやく両者に消極の「指導2」。直後秋場が背中を叩いて試合は加速したかに思われたが、井上があっさり潰れ、続く寝技の攻防が終息したGS2分13秒からはまたもや浅い腰の入れ合いが延々続く。GS3分28秒、秋場が「サリハニ」状態で相手を止めてから内股を見せると、井上が潰れる。主審ここで試合を止めて井上に「指導3」を宣告。ようやく試合が終わった。

78kg級から階級を上げた秋場は、これがキャリア初めての全国制覇。5戦中4戦で「指導3」を奪っての粘戦で射止めた初タイトルを心から祝福したい。

ただし。決勝は栄誉ある学生王者を決める場に見合った内容とは評し難い試合。凡戦との評免れぬ、勝負を決せんとの気力に欠けた一番であった。

審判団は学生カテゴリ最高峰大会の決勝ということで、この試合を正味の内容以上に高く見積もり過ぎたのではないだろうか。納得感ある結末への誘導機会を逸した責任はそれなりに大きい。同門相手に試合を動かすことを怖がる両者の背中を押して勝負を促すべきだったし、もしそれに応じずば現行IJFルールのポリシーに則って早々に両者反則負けを宣告して2人とも畳から降ろすべきだった。的確な「指導」付与によって投げ合い返し合いで試合が決まる可能性も十分あったし、少なくとも早い段階で誰の目にも明らかな「指導3」決着があり得た。観客のほとんどはこの2日前まで世界選手権の戦いを視聴して標準的なIJFのジャッジに目が慣れていたはずで、この内容で7分半にわたる試合の継続が許されたことにはかなりの違和感を感じたのではないだろうか。

とはいえ最大の因は審判団にあらず。なにより選手2人の気力と技術の欠如が最大の因。同門対決だからこそ、思い切った攻め合いを見せて欲しかった。同門ゆえコーチボックスには常なら決着を促す檄を飛ばすであろう指導者が不在。彼らもさぞ歯痒い思いで見守った試合だったであろう。

審判に関してもう1つ。学生カテゴリの試合ではいまだIJFルールの変則運用である三審制が採用され続けているが、これもこの、中身の薄い長時間試合(正当な因と中身があっての長時間試合というものもあるが、この試合はそうではなかった)の現出に一役買ったと考える。今夏のインターハイでは高体連が一審制を導入したが、5日間大会を観察してみて、一審制最大の利点は実は「審判同士の意思疎通が図りやすい」(≒「大会の時間が短縮される」)ことではないかと感じた。副審2人が畳外にあって映像チェックをしながら常に話し合いをしているため意思疎通が図りやすく、主審が試合を止めて合議を要求した時点で既にほぼ結論が出てしまっていることがほとんど。合議のために歩み寄り、そこから話し合い、さらにケアシステムの確認にやってくるという手間を踏む必要がない。今回は、離れた位置で衆目に晒される審判3人同士が意思疎通を図れず、ゆえに互いが互いの意志を忖度しあって試合を放置したという面も大きいのではないか。

なにより、世界選手権に繋がる予選試合(今大会は世界選手権の1次選考会である講道館杯の予選を兼ねる)は、本番(少なくとも最終選考会)と同じルール、同じ環境で裁かれるべきだ。かつてはシステム上の懸念が三審制継続の理由とされていたかに思うが、ケアシステムというインフラが既に整っている以上、ここに躊躇することは正当ではないと考える。変則運用ではない統一された制度での予選試合実施を、この場を借りて強く訴えておきたい。

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78kg超級入賞者。左から秋場麻優、井上あかり、岡田実咲、浜未悠。

【入賞者】
優 勝:秋場麻優(環太平洋大)
準優勝:井上あかり(環太平洋大)
第三位:岡田実咲(山梨学院大)、浜未悠(環太平洋大)

秋場麻優選手のコメント
「去年は78kg級で出て2回戦負け、階級を上げて勝負していくことになったんですけど、人生の中で初めて、きょう日本一という経験が出来て本当にうれしい。普段稽古をガツガツやっていますが、井上先輩は憧れの人でもあり、うれしいです。次は講道館杯。シニアの強化選手を目指して、階段を上がれるように頑張ります。」

【準々決勝】
秋場麻優(環太平洋大)○GS反則[指導3](GS2:58)△井上舞子(淑徳大)
岡田実咲(山梨学院大)○優勢[技有・内股]△斎藤芽生(国士舘大)
井上あかり(環太平洋大)○横四方固(2:50)△奥本華月(帝京大)
浜未悠(環太平洋大)○合技(0:57)△児島有紀(龍谷大)

【準決勝】
秋場麻優○反則[指導3](2:50)△岡田実咲
井上あかり○GS反則[指導3](GS2:50)△浜未悠

【決勝】
秋場麻優○GS反則[指導3](GS3:28)△井上あかり

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