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【バクー世界柔道選手権2018特集】朝比奈沙羅が昨年の経験生かして初優勝、決勝はここまで強豪と連戦のオルティスを破る・バクー世界柔道選手権2018女子78kg超級レポート

(2018年9月27日)

※ eJudoメルマガ版9月26日掲載記事より転載・編集しています。
【バクー世界柔道選手権2018特集】朝比奈沙羅が昨年の経験生かして初優勝、決勝はここまで強豪と連戦のオルティスを破る
バクー世界柔道選手権2018女子78kg超級レポート
→特設ページ・バクー世界選手権2018完全ガイド
文責:古田英毅/eJudo編集部
Text by Hideki Furuta

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初優勝を決めた朝比奈沙羅

アゼルバイジャンで開催されているバクー世界柔道選手権は26日、競技日程第7日の男子100kg超級、女子78kg超級の競技が行われ、78kg超級は朝比奈沙羅(パーク24)が優勝した。

朝比奈は銀メダルを獲得した昨年に続く2度目の世界選手権出場で、これが初優勝。決勝は2012年ロンドン五輪の金メダリストでリオデジャネイロ五輪でも銀メダルを獲得しているイダリス・オルティス(キューバ)を延長戦で破った。3位にはカイラ・サイート(トルコ)とラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)が入賞した。

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過酷な組み合わせを勝ち上がったイダリス・オルティス。写真は3回戦、中国の新一番手ワン・ヤンから袖釣込腰「技有」。

前述の通り、決勝進出者は朝比奈とオルティス。トーナメントはノーシードのオルティスの側に選手が集中、この選手が強敵を一手に引き受ける形で決勝までが進行した。

オルティスは、ある程度コンディションが整っていた8月のグランプリ・ブダペスト(優勝)に比べると一段劣る出来。しかし2回戦で第1シードのキム・ミンジョン(韓国)を「指導2」対「指導3」の反則で破り、3回戦では中国期待の新一番手ワン・ヤンを袖釣込腰と横四方固の合技「一本」と強豪を立て続けに撃破。一息つける準々決勝でイヴァナ・マラニッチ(クロアチア)を大腰「一本」で放ると、準決勝は積年のライバルであるマリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)からGS延長戦の末に袖釣込腰「技有」で勝利。しっかり決勝の畳まで辿り着いた。

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この日、朝比奈が決めたもっとも巧みな技。準決勝、絶好調のラリサ・セリッチから膝車「一本」。

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決勝、ともに「指導2」を失う厳しい展開の中、朝比奈が先んじて攻める。

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昨年度大会準優勝の朝比奈、悲願の金メダル獲得。

一方の朝比奈は第3シード、組み合わせに極端に恵まれ、かつ周囲の勝敗のめぐり合わせも良く、これぞという敵と戦わぬまま余裕を持って決勝進出。内容は2回戦でイヴァナ・スタロ(クロアチア)を支釣込足で崩しておいての横四方固「一本」、3回戦でハン・ミジン(韓国)を支釣込足と横四方固の合技「一本」、準々決勝はカイラ・サイート(トルコ)をこれも支釣込足と横四方固の合技「一本」、準決勝はラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の重心移動を良く見極めて膝車「一本」。4戦連続の一本勝ちで、昨年に続いて決勝まで勝ち残ることとなった。

決勝は朝比奈、オルティスともに右組みの相四つ。足元の蹴り合いから朝比奈が支釣込足、オルティスは左一本背負投で攻めるが、朝比奈の支えはオルティスを崩せず、一方のオルティスの一本背負投も侵入角が取れず浅い技に留まる。双方への「指導」のあと、オルティスがその浅い一本背負投で朝比奈を意外なほど大きく崩すが、これに感触を得た再度の一本背負投は完全な掛け潰れ。1分25秒早くもオルティスに2つ目の「指導」。朝比奈はあともう1つの「指導」獲得で勝利であるがここで加速し切れず、オルティスの担ぎ技に崩れてしまい自身も「指導2」失陥。試合は双方の技が決まる気配ないまま、GS延長戦へもつれ込むこととなる。
延長になるとオルティスは極端に疲労、今回の勝負技であるはずの担ぎに朝比奈を崩すだけの威力がまったくなくなる。中途で見せた左大腰には希望ありの印象も朝比奈はこれを察知して脇をしっかり管理、断続的に支釣込足で攻め、オルティスが「待て」の宣告にも容易に立ち上がれなくなると払腰を連発して波状攻撃。2分24秒に主審が試合を止め、もはや立っているだけのオルティスに3つ目の「指導」を宣告。これで朝比奈の優勝が決まった。

朝比奈は昨年大会の決勝で相手の先手掛け潰れを座視して「指導」を失った苦い経験を胸に、この試合は割り切って先手攻撃に終始。理想的な柔道とは評し難かったが、昨年の教訓を生かしてしっかり結果を手にした格好。国内においては素根輝に連敗中、実は結果を残し続けるしか生き残る方法がない自身の立場をしっかり踏まえて、金メダル獲得という誰の目にも明らかな結果を着実に得たという形だ。これしか許されないとただ一つの「合格ライン」突破である。

とはいえ、全戦通じて前技(あるいは大外刈など順方向の大技)によるポイントがゼロという内容は、朝比奈の力と、ひところ志していた本格派志向からすれば少々物足りない。水準以上の敵とのマッチアップは決勝の1試合のみで、対峙した唯一の強敵オルティスは全盛期とはほど遠い出来、昨年敗れたユー・ソンとマー・スースーの中国2トップはいずれも欠場という舞台装置を考えれば、既に結果の先、内容を求められるステージでもあったはずだ。自身の立場のベースとなるべき王者の称号を手にし、「国際大会で勝ち続ければOK」のスパイラルのとば口に立った朝比奈が今後どのような志向で柔道を組み立てるか、期待である。

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たびたび世界選手権の決勝を争ったアルセマンとオルティスによる準決勝。

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準々決勝、ラリサ・セリッチがイリーナ・キンゼルスカから外巻込「技有」

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敗者復活戦、カイラ・サイートがイリーナ・キンゼルスカから膝車「一本」

オルティスの勝ち上がりを見て頂ければわかる通り、トーナメントは焼け野原。キム・ミンジョンとワン・ヤンのメダル候補2人は早々にオルティスとかち合って予選ラウンド敗退、ニヘル・シェイキ=ロウホウ(チュニジア)は2回戦でマリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)に「指導3」の反則負けでまったく輝かず。階級変更で注目されたアナマリ・ヴェレンセク(スロベニア)も2回戦でラリサ・セリッチに「指導3」を奪われて早々に姿を消した。

結果、準々決勝でイリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)をも合技「一本」で破ったセリッチと、敗者復活戦でキンゼルスカ、3位決定戦でアルセマンを破ったカイラ・サイート、それぞれ大きな山場を乗り越えた2人が3位入賞を果たすこととなった。アルセマンはこの日好調であったが準決勝で宿敵オルティスに敗れると緊張の糸が切れたか、続く3位決定戦はサイートを相手に力を発揮できぬまま敗れた。

もともと人材決して豊かではないこの階級、日本勢(朝比奈と素根)にとって敵となり得る水準にあるのはオルティスとアルセマンのベテラン2人と、キム・ミンジョン、そして中国勢くらい。このうちオルティスとアルセマンはフォーカスする大会を数年スパンで極端に絞っており、機動力タイプのキムは日本人にとっては戦いやすく、中国勢は世代交代の真っただ中の空白期。これら水準以上の選手と周囲に差があるため日本勢はメダル以上が常にほぼ安泰、しかし最高到達点をなかなか出さない敵が多いことで勝ってもまったく油断出来ないというなかなか評価が難しい状況にある。ベテラン2人がまだまだ「作れる」気配を示した大会でもあり、日本勢には油断なく、これらライバルの最高到達点を想定した上での、具体的な技術、戦術の上積みを期待したい。

入賞者、朝比奈沙羅選手のコメントと全試合の結果、メダルマッチ3試合および日本代表選手全試合の戦評は下記。

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78kg超級メダリスト。左からオルティス、朝比奈、セリッチ、サイート。

【入賞者】
(エントリー33名)
1.ASAHINA, Sarah (JPN)
2.ORTIZ, Idalys (CUB)
3.CERIC, Larisa (BIH)
3.SAYIT, Kayra (TUR)
5.ADLINGTON, Sarah (GBR)
5.ALTHEMAN, Maria Suelen (BRA)
7.MARANIC, Ivana (CRO)
7.KINDZERSKA, Iryna (AZE)

朝比奈沙羅選手のコメント
「ブダペスト世界選手権は銀メダル。あれから390日が過ぎました。金メダルを獲ることが出来て嬉しいです。また、赤ゼッケンをつけることが出来ることも嬉しく思います。日本は柔道の国ですから、ほかの国の規範になるべきだと考えています。明日は団体戦でチームメイトと喜びを分かち合いたいです。」

【1回戦】
ニヘル・シェイキ=ロウホウ(チュニジア)○大外巻込(0:19)△ニナ・クトロ=ケリー(アメリカ)

【2回戦】
イダリス・オルティス(キューバ)○反則[指導3](3:41)△キム・ミンジョン(韓国)
ワン・ヤン(中国)○縦四方固(1:43)△アディサンジェラ・モニス(カーボベルデ)
エリザヴェータ・カラニナ(ウクライナ)○合技[谷落・縦四方固](1:13)△カミラ・ベルリカシュ(カザフスタン)
イヴァナ・マラニッチ(クロアチア)○小内刈(2:55)△モニカ・サグナ(セネガル)
マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)○大内刈(2:36)△アン=ファトウメタ・ムバイロ(フランス)
カロリン・ヴァイス(ドイツ)○横四方固(2:34)△バトトルガ・ムンフツヤ(モンゴル)
マリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)○反則[指導3](3:48)△ニヘル・シェイキ=ロウホウ(チュニジア)
サラ・アドリントン(イギリス)○払腰(0:54)△ターミナ=アクタル・ロパ(バングラデシュ)
ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)○反則[指導3](3:41)△アナマリ・ヴェレンセク(スロベニア)
ガリーナ・タラソワ(ウクライナ)○優勢[技有・一本背負投](3:47)△ホーテンス ヴァネッサ・ムバラ アタンガ(カメルーン)
イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)○片手絞(3:58)△サンドラ・ヤブロンスキーテ(リトアニア)
メリッサ・モヒカ(プエルトリコ)○上四方固(0:51)△グルジャン・イッサノワ(カザフスタン)
朝比奈沙羅○横四方固(0:45)△イヴァナ・スタロ(クロアチア)
ハン・ミジン(韓国)○合技[払巻込・横四方固](1:26)△クリスティン・ブエッゾウ(ドイツ)
ベアトリス・ソウザ(ブラジル)○合技[隅落・縦四方固](1:22)△メルセデス・シゲトヴァリ(ハンガリー)
カイラ・サイート(トルコ)○小外掛(2:14)△スー・シン(中国)

【3回戦】
イダリス・オルティス(キューバ)○合技[袖釣込腰・横四方固](2:46)△ワン・ヤン(中国)
イヴァナ・マラニッチ(クロアチア)○GS反則[指導3](GS1:14)△エリザヴェータ・カラニナ(ウクライナ)
マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)○合技[隅落・横四方固](2:02)△カロリン・ヴァイス(ドイツ)
サラ・アドリントン(イギリス)○隅落(1:15)△マリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)
ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)○崩袈裟固(3:13)△ガリーナ・タラソワ(ウクライナ)
イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)○GS反則[指導3](GS4:50)△メリッサ・モヒカ(プエルトリコ)
朝比奈沙羅○合技[支釣込足・横四方固](2:40)△ハン・ミジン(韓国)
カイラ・サイート(トルコ)○優勢[技有・払巻込]△ベアトリス・ソウザ(ブラジル)

【準々決勝】
イダリス・オルティス(キューバ)○大腰(1:42)△イヴァナ・マラニッチ(クロアチア)
マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)○反則[指導3](4:00)△サラ・アドリントン(イギリス)
ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)○合技[外巻込・崩袈裟固](1:22)△イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)
朝比奈沙羅○合技[支釣込足・横四方固](3:22)△カイラ・サイート(トルコ)

【敗者復活戦】
サラ・アドリントン(イギリス)○優勢[技有・隅落]△イヴァナ・マラニッチ(クロアチア)
カイラ・サイート(トルコ)○GS膝車(GS0:23)△イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)

【準決勝】
イダリス・オルティス(キューバ)○GS技有・袖釣込腰(GS1:57)△マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)
朝比奈沙羅○膝車(2:15)△ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)

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3位決定戦、セリッチがサラ・アドリントンから外巻込「技有」

【3位決定戦】
ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)○GS技有・外巻込(GS0:38)△サラ・アドリントン(イギリス)
アドリントンが左組み、両組みのセリッチは「待て」の度に組み手の左右をスイッチしながら試合を進める。まずは右に組んでケンカ四つで対峙、30秒には左組みに持ち替えて横変形で相手の釣り手を抱き込む。この形のまま試合が膠着し、48秒、両者に消極的の「指導」。ここからはセリッチが組み手の左右を巧みに入れ替えながらあるいはいなして、巻き込んでと一方的に攻める展開が続く。セリッチが右袖釣込腰を仕掛けた2分36分、アドリントンに消極的との咎で「指導2」。これ以降もセリッチの組み手の入れ替えに翻弄されるアドリントンは攻めのきっかけを作れず、しかしながらセリッチの側も決定的な場面を作れないまま試合が進行、ポイントの変動がないまま本戦の4分間が過ぎ去る。GS33秒、場外際でセリッチが右外巻込。アドリントン一瞬これを受け止めるがそのまま崩落。転がり落ちて「技有」。セリッチが3位を獲得した。

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3位決定戦、カイラ・サイートがマリア=スエレン・アルセマンから小外掛「技有」

カイラ・サイート(トルコ)○優勢[技有・小外掛]△マリア=スエレン・アルセマン(ブラジル)
サイートが右、アルセマンが左組みのケンカ四つ。最初にいい形を作ったのはサイート、釣り手を下から襟に入れ、引き手で袖を得ると、数回前技のフェイントを入れてから右小外掛に切り返して開始33秒早くも「技有」を奪う。その後、アルセマンは釣り手で背中を深く抱き込む組み手でサイートに圧を掛けて左内股、さらに左小外掛を狙うが、既に逃げ切り態勢に入ったサイートに対してポイントの気配は薄いまま、刻々時間が過ぎ去る。残り18秒からのシークエンスではサイートが引き手で襟を握り、釣り手でアルセマンの釣り手の袖を織り込んで完全に動きをロック、アルセマンがアクセルを踏み込みたいはずの時間帯をこの形でやり過ごして試合は終了。サイートがこの日好調のアルセマンを完封して3位入賞を決めた。

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試合終了、健闘をたたえ合う朝比奈とオルティス

【決勝】
朝比奈沙羅○GS反則[指導3](GS2:24)△イダリス・オルティス(キューバ)
朝比奈、オルティスともに右組みの相四つ。朝比奈は両襟。応じたオルティスは引き手で袖を深く握って対峙。足元の蹴り合いが続き、朝比奈は一段動きを大きくして相手を引き出しながらの支釣込足も見せるがオルティスまったく動ぜず。1分0秒双方に「指導」。オルティス組み際に左一本背負投、入りの角度がなくそのまま潰れたが朝比奈意外に大きく崩れ「待て」。オルティスはこれに手ごたえを得たか再び左一本背負投、しかしこの二の矢は完全な失敗、一人で潰れてしまい1分25秒偽装攻撃の「指導2」失陥。
あと1つの「指導」で勝利となる朝比奈加速を期するが、続いて仕掛けた大外刈はまっすぐ畳に向かって掛け潰れてしまい、「ヤー」から二段で続くはずの気合いの声も中途でフェードアウト「待て」。朝比奈は変わらず両襟、オルティスは引き手を浅く持ち今大会度々見せている左袖釣込腰、さらに左一本背負投と仕掛ける。入りの浅さにも関わらず朝比奈この技に意外に大きく崩れ、続いて2分54秒に放たれた左一本背負投には腹ばいに落ちてしまい、朝比奈にも消極的との咎で2つ目の「指導」。スコアはタイとなってしまう。奮起した朝比奈払巻込に出、これは掛け潰れたが残り29秒では両襟の支釣込足でオルティスを畳に這わせ、いったん戦いの体勢を立て直す。
残り時間僅か、オルティスが前に出ると朝比奈やや対応が遅れ、場外際に詰まる。出れば「場外」、戻れば担ぎ技を許しかねない非常にまずい状況であったが、ここで本戦終了のブザー。朝比奈難を逃れ、試合はGS延長戦へ。
延長、オルティスは左一本背負投を2連発。いずれも侵入角が取れず掛け潰れると、29秒には釣り手を腰に回して左大腰。両者がともに場外まで出て「待て」。担ぎ技の威力のなさを見切られたオルティス、この腰技には希望が持てそうな気配であるが朝比奈は以後右腕をやや閉めてガード、オルティスはこれと朝比奈の腰の太さに阻まれて、後腰に深くアプローチすることができない。朝比奈は断続的に支釣込足で攻め、オルティスは膝を着いての左一本背負投を見せるが延長46秒にこの技を仕掛けると疲労してもはや容易に立てず。
オルティス両袖を絞ると朝比奈早々に巻き込み潰れ、技は攻勢演出の域を出ぬまま「待て」。朝比奈は右払腰を見せ、もはや疲労のため袖釣込腰の作りの手順を踏めなくなったオルティスは左一本背負投に潰れることを続ける。延長1分45秒過ぎから朝比奈一段攻勢を強め、両襟から払腰を連発。右払腰、そして振った足が内股の形でオルティスの内腿に当たって大きく崩した直後の延長2分24秒、ついに主審が試合を止める。オルティスに3つ目の「指導」が与えられて試合決着。朝比奈の勝利が決まった。

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3回戦、朝比奈がハン・ミジンを抑え込む

【日本代表選手勝ち上がり】

朝比奈沙羅(パーク24)
成績:優勝


[2回戦]
朝比奈沙羅○横四方固(0:45)△イヴァナ・スタロ(クロアチア)
右相四つ。朝比奈が支釣込足を放つとスタロは伏せ、朝比奈すかさず「腰絞め」の形で絞め上げる。これは決め切れなかったが、絞めを利かせたまま頭側に回り込んで圧を掛けるとスタロ逆らえず顔、胴体、足と順に転がり仰向け。朝比奈首の拘束緩めず抑え込み「一本」。

[3回戦]
朝比奈沙羅○合技[支釣込足・横四方固](2:40)△ハン・ミジン(韓国)
朝比奈が右、ハンが左組みのケンカ四つ。引き手争いが続き、次いで手先を絡めてなかなか組み合うに至らず。朝比奈足を出し続けてチャンスをうかがうが組めず、34秒双方に「取り組まない」咎による「指導」。ハンはヒットアンドアウェイ、良い左小内刈を打つと離れ、奥襟を叩いて一瞬形を作っては自ら離れ、朝比奈と間合いを詰めることを嫌いつつ、時折優位を演出して試合が壊れることを防ぐ。朝比奈は1分40秒に大外刈、2分3秒に内股と見せるがほぼまっすぐ畳に落ちる形で潰れる技、取り味は感じられず。しかし残り2分20秒を過ぎたところでハンが釣り手を振り立て、朝比奈が右払腰で応じたところから試合が動く。この技の戻りに食いついたハンだが、朝比奈は奥襟を抱き、この試合初めてしっかり間合いを詰める。窮したハンは釣り手を巻き返そうとするが、この色気が仇となる。朝比奈にガードされて果たせず、持ちどころを探ってようやく前襟を高く掴むが朝比奈はこの間出来た隙を見逃さず支釣込足。距離近く、組み手に慌てて棒立ちになっていたハン足元からドウと崩れ「技有」。そのまま朝比奈横四方固、離さず「一本」。

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準々決勝、朝比奈がカイラ・サイートから支釣込足「技有」

[準々決勝]
朝比奈沙羅○合技[支釣込足・横四方固](3:22)△カイラ・サイート(トルコ)
右相四つ。互いに技が出ず38秒双方に消極的との咎で「指導」。朝比奈引き手で襟、釣り手で奥襟を叩いて支釣込足、サイートたたらを踏むが耐え切り、攻防継続。ここからサイートは二本組み、横襟を持った釣り手の肘を高く揚げて朝比奈に対峙。横変形にずれて朝比奈の釣り手を下げると一定の効果あり、朝比奈と足元を蹴り合って形上互角に試合を進める。1分27秒、双方に再び消極的との咎で「指導2」。
朝比奈引きずり出すような支釣込足でサイートを潰すが、続く組み際の右払腰はあっさり掛け潰れてしまい展開に差をつけるのは至らず。サイートはまたもや両襟から釣り手の肘をあげ、足元を蹴り続けてなかなか手ごたえを感じている模様。朝比奈払巻込に打って出るが、上げた気合いの声を中途で止めてしまう明らかな掛け潰れ。
残り1分を過ぎると、サイートの肘を上げさせたまま朝比奈が間合いを詰めるようになり、支釣込足が効き始める。残り41秒、朝比奈奥襟ごと相手の肩まで抱え込んで間合いを詰め、サイート密着したまま腰が引けてしまう。朝比奈過たず支釣込足を叩きこみ「技有」。そのまま抑え込んで合技「一本」。

[準決勝]
朝比奈沙羅○膝車(2:15)△ラリサ・セリッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
朝比奈が右、両組みのセリッチは右構えで試合をスタート。手先の組み手争いを経て、セリッチが得意の右外巻込。釣り手を大きく振りかぶった一撃は完全に空回りと思われたが朝比奈意外にも崩れ、「待て」。朝比奈引き手の袖を織り込んで前進、左に組み手を変えて凌がんとしたセリッチ、組み合うことを嫌い、58秒「取り組まない」咎で「指導」。

セリッチ再び予備動作大きく右外巻込。またもや朝比奈体が引っ張られて崩れ、直後の1分48秒朝比奈に消極的との咎で「指導」。続く展開、朝比奈は両襟を、それも釣り手を下から高く組む良い組み手を作り上げる。嫌ったセリッチが左足を踏み出さんとした瞬間、その出籠手に合わせて膝車。重心移動の際に膝を抑えられてセリッチまったく逆らえず一回転「一本」。

[決勝]
朝比奈沙羅○GS反則[指導3](GS2:24)△イダリス・オルティス(キューバ)
※前述のため省略

※ eJudoメルマガ版9月26日掲載記事より転載・編集しています。

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