PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

【バクー世界柔道選手権2018特集】「キレキレ」シェラザディシヴィリが初優勝、大躍進シウバモラレスが2位獲得・バクー世界柔道選手権2018男子90kg級レポート

(2018年9月24日)

※ eJudoメルマガ版9月24日掲載記事より転載・編集しています。
【バクー世界柔道選手権2018特集】「キレキレ」シェラザディシヴィリが初優勝、大躍進シウバモラレスが2位獲得
バクー世界柔道選手権2018男子90kg級レポート
→特設ページ・バクー世界選手権2018完全ガイド
文責:古田英毅/eJudo編集部
Text by Hideki Furuta

eJudo Photo
初優勝の22歳、ニコロス・シェラザディシヴィリ。

eJudo Photo
準々決勝、シェラザディシヴィリがアスレイ・ゴンザレスから一本勝ち。

eJudo Photo
準決勝はクリスティアン・トートを谷落「技有」で撃退。

アゼルバイジャンで開催されているバクー世界柔道選手権は24日、競技日程第5日の男子90kg級、女子70kg級の競技が行われ、男子90kg級はニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)が優勝した。シェラザディシヴィリは初優勝。日本代表の長澤憲大(パーク24)は3位だった。

決勝に進んだのはシェラザディシヴィリとイワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)、ともに22歳の2名。この大激戦かつ大混戦の階級にあって、いずれもファイナリストの栄を得るにふさわしい勝ち上がり。

第3シードで大会をスタートしたシェラザディシヴィリはこの人の特徴である技の切れ味を存分に見せつけての勝ち上がり。2回戦でエギル・ブロンダル(アイスランド)を内股「一本」で下すと、3回戦では大一番、優勝候補筆頭のミハイル・イゴルニコフ(ロシア)戦を迎える。いずれも技の切れ味を売りとしており激しい投げ合い必至、イゴルニコフにとっても決勝勝ち上がりに向けた最大の山場だ。

この試合はケンカ四つ、開始43秒、シェラザディシヴィリが緩やかな腰の入れ合いから一段加速して右内股一発、「技有」確保。イゴルニコフもはや「一本」しかないと 猛攻も、どちらかというと線が細く技の切れ味で勝負するタイプのこの選手が、同じく技が切れて体の力もあるシェラザディシヴィリを追いかける展開はかなり難易度高し。組み合えばチャンスがあるはずだが、体格的にも一段上のシェラザディシヴィリは巧みに間合いを取って相手に付き合わず、瞬間的な「センス比べ」が起るような危うい形を一切作らない。投げの効く間合いに入らず、敢えてリアクションを鈍くして試合の減速を図るシェラザディシヴィリのこの戦い方を前にしては、イゴルニコフ得意のフェイント足技もまったく効なし。この試合はそのまま終了、「技有」優勢でシェラザディシヴィリの勝ち上がりが決まった。

最大の難関を突破したシェラザディシヴィリは4回戦でミカイル・オゼルレル(トルコ・移籍して名前を変えたスロベニアのミハエル・ツガンクである)を1分51秒大内刈「一本」で一蹴。準々決勝はこの日粘戦タイプにスタイルを変えて突如復活、昨年度の覇者ネマニャ・マイドフ(セルビア)が消えた山から勝ち上がって来たもと世界王者アスレイ・ゴンザレス(キューバ)を袖釣込腰「一本」に沈めもはや風格さえ漂う戦いぶり。準決勝は自身とあわせてこの日唯二人ここまで生き残ったシード選手クリスティアン・トート(ハンガリー)からGS延長戦谷落「一本」で勝利。イゴルニコフ戦以外の全試合を「一本」というまさしく出色の出来、乗りに乗って決勝へと勝ち進んで来た。

eJudo Photo
準決勝、シウバ=モラレスがアクセル・クレルジェから小外刈「一本」

一方のシウバ=モラレスはノーシード。第1シードのアレクサンダー・クコル(セルビア)が鎮座するプールAからの勝ち上がり。パワーファイターの印象が強かった81kg級時代とは戦い方やや異なり、この日は巧みな足技を軸に粘りの戦い。2回戦でポール・キビカイ(ガボン)を1分48秒横四方固「一本」、3回戦でクエジョ・ナーバリ(ウクライナ)を3分23秒大内返「一本」、4回戦では初戦でクコルを破った「レバノンの怪人」ナシフ・エリアス(レバノン)からGS延長戦の末に外巻込「一本」、そして準々決勝では日本の長澤憲大をGS延長戦の末に「指導3」の反則で退け、準決勝はこの日ここまでガク・ドンハン(韓国)、フセン・ハルモルザエフ(ロシア)、コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)と凄まじい3連戦を勝ち抜いてきたアクセル・クレルジェ(フランス)を1分26秒小外刈「一本」に退けて決勝へと勝ち進んだ。

eJudo Photo
決勝、シウバ=モラレスが隅落「技有」先行

eJudo Photo
GS延長戦、シェラザディシヴィリが勝ち越しの内股「技有」。

決勝はケンカ四つ。シウバ=モラレスが上から背中を持ち、シェラザディシヴィリが横抱きで応じると意外にも優位はシウバ=モラレス。パワーがあり、腰の差し合いが得意なこの相手に後手を踏んで焦ったか、シェラザディシヴィリは無理やり得意の右内股に飛び込むも、体を捨てるのが早くひとりだけ畳に突っ込む形の悪手。シウバ=モラレス待ってましたと隅落でめくり返し決定的な「技有」。一発投げるしかないシェラザディシヴィリは最短ルートである背中を抱え合っての腰の差し合いに持ち込むが、シウバ=モラレスはやはりこの形が得意。下から持たれれば肩を包んで距離を殺し、上から来れば巧みな肘の操作で隙間を作ってと常に優位を作り出し、むしろシェラザディシヴィリにとって危険な時間帯が続く。しかしそれでもリスクを取らねば勝ちなしと差し合いを続けたシェラザディシヴィリの執念が奏功、残り43秒初めて良い形で背中を抱えると間を置かずに右小外掛。これで「技有」を得てスコアはタイ、試合はGS延長戦へ。

延長戦も脇の差し合い。シウバ=モラレス優位の形が続くとシェラザディシヴィリはいったん襟を持つ形に作戦変更してその勢いを押しとどめ、GS2分18秒に上から背中を掴んで右内股。相手の柔道衣が緩く拘束効かぬとみるやいったん後帯に持ちどころを変える冷静な作りが生きた一撃、この試合初めてまともにシェラザディシヴィリの力を受けたシウバ=モラレスはたまらず吹っ飛んで「技有」。合技「一本」で試合が決した。

eJudo Photo
ともに22歳の2人が繰り広げた熱戦は、90kg級の世代交代を強く印象付けるものだった。

シェラザディシヴィリは昨年躍進して2017年ワールドマスターズでは銅メダルを獲得、今年の欧州選手権でも3位に入賞を果たしていた。山場の3回戦を戦ったイゴルニコフには2015年世界ジュニアで勝利して以降3連敗、欧州選手権でも敗れたばかりだったが大舞台で見事リベンジを果たした。シウバ=モラレス戦は大苦戦であったが、最後は「優勝候補一番手を倒した選手」として正当な位置に立った形。世界王者にふさわしい実力と戦いぶりだった。

シウバ=モラレスは大躍進。階級を上げたという意識ゆえかこれまでさほど見せなかった足技を軸に据えたところ、持ち前の長いリーチを生かした間合いの出し入れ、そして81kg級時代のパワーファイトで培った「脇の差し合い」のノウハウの蓄積が噛み合い、面白いスタイルで成果を上げた。戦評を読んでいただければわかるとおり、決勝はこちらが勝ってもまったくおかしくなかった。先輩ゴンザレスのような勝負師としての厳しさはまだ見られずムラ気の予感も漂うが、今後もこれと肚を括った大会ではかなりのパフォーマンスを見せるのではないだろうか。上位に定着するかどうかはともかく、控えめに見積もって「大物食い」属性のほうはコンスタントに発揮されていくものと思われる。

2人の決勝への勝ち上がりを追う過程で書かせて頂いた通り、トーナメントは相当に荒れた。3位は長澤憲大にアクセル・クレルジェと「ありうる範囲」の範疇に辛うじて収まった(クレルジェがやや意外であった)が、トーナメントの様相はメダリストの勝ち上がりだけでは追いきれない。役者が多い階級ゆえやや煩雑かもしれないが、簡単にその様相を記してみたいてみたい。

eJudo Photo
アレクサンダー・クコルとナシフ・エリアスの2回戦。

第1シードのクコルは初戦で怪人ナシフ・エリアスとマッチアップ。1試合限定ならメダルクラスの力を誇るこの選手といきなり当たる引きの悪さを乗り越えられず、3分40秒小内刈「一本」で敗退。階級を上げたエリアスはその体を生かしてパワーを生み出す柔道特性から増量でむしろ力を増した感ありだったが、4回戦で「曲者」としては格上のシウバ=モラレスとマッチアップ。前述の通り外巻込「一本」で沈んだ。

もと世界王者、3週間前のアジア大会でも優勝を飾っているガク・ドンハンは散々な出来。初戦は無名のルイス・クリーバー=ギャニオン(カナダ)から「指導」3つを奪って勝利も動き悪し、続く3回戦では相性的にはむしろ「おいしい」はずのアクセル・クレルジェ(フランス・実際にここまでガクが2連勝中である)に一本背負投「一本」を食ってあっという間に大会から姿を消した。この日は先手攻撃と背負投という代名詞的なスタイルを封印、ひたすら上から持って内股という少々不可解な戦い方を選択した。新しいスタイルを模索していた可能性もあるが、大局的に見ればアジア大会で為すべきことを為し、既にモチベーションが切れていたという印象。

eJudo Photo
マイドフは大熱戦の末敗退。戦後、ショックで立てないマイドフにオーレリアン・ディエスが駆け寄るさまかららは、逆説的にマイドフが世界王者として、また階級の強豪として欧州で十分な尊敬を受けていることが察せられた。

eJudo Photo
エドゥアルド・トリッペルの活躍が目を引いた。2回戦ではベカ・グヴィニアシヴィリから一本勝ち。

eJudo Photo
敗者復活戦を戦う長澤憲大

昨年驚きの優勝を成し遂げたネマニャ・マイドフは初戦で、まだシニアでは実績のない2017年度欧州ジュニア王者オーレリアン・ディエス(フランス)と泥沼の大消耗戦。総試合時間9分11秒を戦った末に「指導2」対「指導3」で敗れた。ディエスは次戦で敗れ、その実力は測り切れず。

エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)の活躍が目を引いた。2回戦で優勝候補の一角ベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョージア)を隅落「一本」で食い、4回戦ではノエル・ファンテンド(オランダ)も大内刈「一本で倒してベスト8入り。準々決勝ではクリスティアン・トート(ハンガリー)の手数攻撃の前にGS延長戦「指導3」で敗れ、3位決定戦でクレルジェに逆転負けを喫して5位に終わったが、その成長は著しい。ワールドツアーのデビュー戦であった2017年グランプリ・デュッセルドルフで西山大希から3つの「技有」を奪って競り勝ったときにはまだまだ変調の曲者という印象だったが、正面から強豪と戦えるところまで地力を伸ばし、良い方向に進化している模様。

クリスチャン・トートは5位。昨年度大会で投げ合いを繰り返した末に一発に沈み、どうしても欲しい地元大会でメダルを逃した経験ゆえか、今大会は手数での先制攻撃を志向して少々これまでとは違うスタイルでの戦い。イスラム・ボズバエフ(カザフスタン)、ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)、そしてトリッペルと強豪を下してベスト4まで進んだが、ここからシウバ=モラレスと長澤に連敗して5位。結局昨年とまったく同じルートをたどり、2年連続の5位に終わった。

膝の負傷以来なかなか成績を残せなかったキューバの英雄アスレイ・ゴンザレスが久々存在感を発揮した。代名詞の背負投一発に頼るのではなく、先手攻撃を軸に粘り強く戦う方向にシフトしてベスト8入り。ここでシェラザディシヴィリに敗れると以降の試合を棄権して最終成績は7位だったが、近年の沈黙ぶりを考えれば大健闘であった。爆発力を取り戻す方向性ではないこと、また後輩シウバ=モラレスが躍進したことなどあって今後の戦いぶり読めない状況であるが、健在をアピールした大会であった。

と書き連ねて来たが。前日81kg級に比べると率直にいってこの日の様相は物足りず。強者が素晴らしい出来で試合に臨むもマッチアップする相手はそれ以上、という熱戦が続いた81kg級に比べるとこれぞという役者の出来がいまひとつだった。強者の自滅と退潮というアスペクトが混戦を後押しした感が強く、大会随一の熱戦が期待された90kg級としては少々盛り上がりに欠けた。

日本の長澤は準々決勝でシウバ=モラレス(キューバ)に敗れて3位。3回戦でシード選手ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)を袖釣込腰「一本」を倒し、この後もウシャンギ・マルギアニ(ジョージア)、コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)に3位決定戦のクリスティアン・トート(ハンガリー)と強豪を倒したが、手堅い戦いで表彰台を確保したというその戦いぶりそのまま、インパクトはいまひとつ。3位決定戦は眦を決した感あったが、長澤が「技有」2つ、トートが1つと投げ合った3つの技はいずれもトートの仕掛けに長澤が応じたもので、全戦通じて自ら試合を作って投げ切る絶対値の高さに欠けた。世代交代を高らかに宣言したシェラザディシヴィリ(スペイン)やシウバ=モラレスの華々しい柔道の影にあって、世界に爪痕を残したとまではいえない戦いだった。

入賞者と全試合の結果、メダルマッチ3試合および日本代表選手全試合の戦評は下記。

eJudo Photo
90kg級メダリスト。左からシウバ=モラレス、シェラザディシヴィリ、長澤、クレルジェ。

【入賞者】
(エントリー75名)
1.SHERAZADISHVILI, Nikoloz (ESP)
2.SILVA MORALES, Ivan Felipe (CUB)
3.NAGASAWA, Kenta (JPN)
3.CLERGET, Axel (FRA)
5.TOTH, Krisztian (HUN)
5.TRIPPEL, Eduard (GER)
7.USTOPIRIYON, Komronshokh (TJK)
7.GONZALEZ, Asley (CUB)

【1回戦】
コルトン・ブラウン(アメリカ)○合技[隅落・浮技](3:41)△ヤッコ・アリ(フィンランド)
ピオトル・クチェラ(ポーランド)○優勢[技有・内股]△リー・コツマン(イスラエル)
ブー・ヘビリゲ(中国)○優勢[技有・浮落]△アドリアン・ナシミエント=ロレンソ(スペイン)
ヤホル・ヴァラパエウ(ベラルーシ)○内股(0:59)△イニキ・ウエラ(ナウル)
ユウタ・ガラレタ=ビラール(ペルー)○大外刈(2:42)△エヤレ・ル=ブー(コンゴ民主共和国)
ロバート・フロレンティーノ(ドミニカ共和国)○合技[大内返・後袈裟固](4:00)△イェスパー・シュミンク(オランダ)
ノエル・ファンテンド(オランダ)○袖釣込腰(3:39)△アリ・ハゼム(エジプト)
ジリ・ペトル(チェコ)○内股(1:08)△ロカス・ネナルタヴィチウス(リトアニア)
エギル・ブロンダル(アイスランド)○腕挫十字固(1:47)△ケイサル・カン(パキスタン)
ミカイル・オゼルレル(トルコ)○大内刈(1:11)△アブドゥライェ・ミリモノ(ギニア)
オーレリアン・ディエス(フランス)○大外刈(1:13)△ザッカリー・バート(カナダ)

【2回戦】
ナシフ・エリアス(レバノン)○小内刈(3:40)△アレクサンダー・クコル(セルビア)
コルトン・ブラウン(アメリカ)○合技[小外掛・横四方固](2:41)△ダヴィド・クコヴィッツァ(スロベニア)
クエジョ・ナーバリ(ウクライナ)○内股(0:22)△ムドゥ=アブル=カラム・アジャド(バングラデシュ)
イワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)○横四方固(1:48)△ポール・キビカイ(ガボン)
ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)○GS技有・小内刈(GS2:33)△ピオトル・クチェラ(ポーランド)
長澤憲大○合技[隅落・崩上四方固](1:16)△ノトゥナイナ・フィネス(セーシェル)
ウシャンギ・マルギアニ(ジョージア)○合技[小内刈・隅落](1:58)△ブー・ヘビリゲ(中国)
セオドロス・ツェリディス(ギリシャ)○優勢[技有・隅落]△ラファエル・マセド(ブラジル)
ガク・ドンハン(韓国)○反則[指導3](3:11)△ルイス・クリーバー=ギャニオン(カナダ)
アクセル・クレルジェ(フランス)○巴投(2:37)△ヤホル・ヴァラパエウ(ベラルーシ)
フセン・ハルモルザエフ(ロシア)○帯取返(1:45)△ジョアオ・マルチノ(ポルトガル)
ファルク・ブレクロフ(キルギスタン)○横車(3:53)△ミハイル・マーチタン(アラブ首長国連邦)
コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)○内股(3:06)△ユウタ・ガラレタ=ビラール(ペルー)
シリル・グロスクラウス(スイス)○GS内股(GS3:00)△デュドンヌ・ドラッセム(カメルーン)
ロバート・フロレンティーノ(ドミニカ共和国)○内股(1:33)△ダヴィド・クラメルト(チェコ)
ペテル・ジルカ(スロバキア)○腕挫十字固(0:38)△ラヴィン・シェレスタ(ネパール)
エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)○隅落(1:18)△ベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョージア)
ハリソン・キャッサー(オーストラリア)○裏投(2:07)△マシュー・コック(アメリカ)
チアゴ・ロドリゲス(ポルトガル)○大外巻込(0:45)△オヴィニ・ウエラ(ナウル)
ノエル・ファンテンド(オランダ)○GS袖車絞(GS2:18)△ダフラト・ボボノフ(ウズベキスタン)
クリスティアン・トート(ハンガリー)○GS反則[指導3](GS1:50)△イスラム・ボズバエフ(カザフスタン)
ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)○GS技有・体落(GS1:25)△ヴィクタル・クリアヴサウ(ベラルーシ)
ラファル・コズロフスキ(ポーランド)○合技[背負投・内股](0:45)△ジリ・ペトル(チェコ)
アーツ・ラーマネン(フィンランド)○反則[指導3](3:19)△シハブ・アルクライシ(イラク)
ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)○内股(1::22)△エギル・ブロンダル(アイスランド)
ミハイル・イゴルニコフ(ロシア)○合技[内股・出足払](1:00)△フランシスコ・バランタ(コロンビア)
マックス・スチュワート(イングランド)○反則[指導3](1:41)△ヴィクター・アヒアヴォール(ガーナ)
ミカイル・オゼルレル(トルコ)○GS技有・裏投(GS1:14)△クレン=クリストフェル・カリウライド(エストニア)
オーレリアン・ディエス(フランス)○GS反則[指導3](GS5:11)△ネマニャ・マイドフ(セルビア)
アスレイ・ゴンザレス(キューバ)○優勢[技有・大内刈]△ワン・シウエン(中国)
ミラン・ランドル(スロバキア)○小外刈(2:23)△デイヴィス・デュダ(ラトビア)
ニコラス・ムンガイ(イタリア)○三角絞(1:06)△セルタス=ウィリアムス=アビオラ・ドッソウ=ヨヴォ(ベナン)

【3回戦】
ナシフ・エリアス(レバノン)○背負投(2:05)△コルトン・ブラウン(アメリカ)
イワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)○大内返(3:23)△クエジョ・ナーバリ(ウクライナ)
長澤憲大○袖釣込腰(0:23)△ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)
ウシャンギ・マルギアニ(ジョージア)○優勢[技有・大内刈]△セオドロス・ツェリディス(ギリシャ)
アクセル・クレルジェ(フランス)○一本背負投(3:48)△ガク・ドンハン(韓国)
フセン・ハルモルザエフ(ロシア)○優勢[技有・隅落]△ファルク・ブレクロフ(キルギスタン)
コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)○優勢[技有・袖釣込腰]△シリル・グロスクラウス(スイス)
ペテル・ジルカ(スロバキア)○大腰(2:37)△ロバート・フロレンティーノ(ドミニカ共和国)
エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)○合技[腰車・浮落](1:20)△ハリソン・キャッサー(オーストラリア)
ノエル・ファンテンド(オランダ)○一本背負投(0:44)△チアゴ・ロドリゲス(ポルトガル)
クリスティアン・トート(ハンガリー)○GS技有・裏投(GS0:15)△ママダリ・メディエフ(アゼルバイジャン)
ラファル・コズロフスキ(ポーランド)○優勢[技有・背負投]△アーツ・ラーマネン(フィンランド)
ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)○優勢[技有・内股]△ミハイル・イゴルニコフ(ロシア)
ミカイル・オゼルレル(トルコ)○優勢[技有・一本背負投]△マックス・スチュワート(イングランド)
アスレイ・ゴンザレス(キューバ)○GS技有・小外掛(GS1:29)△オーレリアン・ディエス(フランス)
ニコラス・ムンガイ(イタリア)○優勢[技有・巴投]△ミラン・ランドル(スロバキア)

【4回戦】
イワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)○GS外巻込(GS1:39)△ナシフ・エリアス(レバノン)
長澤憲大○GS反則[指導3](GS2:26)△ウシャンギ・マルギアニ(ジョージア)
アクセル・クレルジェ(フランス)○優勢[技有・小内巻込]△フセン・ハルモルザエフ(ロシア)
コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)○優勢[技有・隅落]△ペテル・ジルカ(スロバキア)
エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)○大内刈(1:20)△ノエル・ファンテンド(オランダ)
クリスティアン・トート(ハンガリー)○GS反則[指導3](GS0:43)△ラファル・コズロフスキ(ポーランド)
ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)○大内刈(1:51)△ミカイル・オゼルレル(トルコ)
アスレイ・ゴンザレス(キューバ)○GS技有・体落(GS1:07)△ニコラス・ムンガイ(イタリア)

【準々決勝】
イワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)○GS反則[指導3](GS3:36)△長澤憲大
アクセル・クレルジェ(フランス)○合技[払巻込・裏固](2:28)△コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)
クリスティアン・トート(ハンガリー)○GS反則[指導3](GS3:47)△エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)
ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)○袖釣込腰(2:26)△アスレイ・ゴンザレス(キューバ)

【敗者復活戦】
長澤憲大○優勢[技有・釣込腰]△コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)
エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)○不戦△アスレイ・ゴンザレス(キューバ)

【準決勝】
イワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)○小外刈(1:26)△アクセル・クレルジェ(フランス)
ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)○GS谷落(GS2:17)△クリスティアン・トート(ハンガリー)

eJudo Photo
長澤がトートから内股「技有」先行。

eJudo Photo
トートが小外掛で「技有」奪還

eJudo Photo
長澤は隅落「技有」で勝ち越し、3位を確保。

【3位決定戦】
長澤憲大○GS合技[内股・隅落](GS3:43)△クリスティアン・トート(ハンガリー)
長澤が左、トートが右組みのケンカ四つ。トート28秒に釣り手で脇を差して背中を抱え、長澤と横並びの平行位置まで歩を進める。長澤は素早く反応、釣り手で後帯を握って相手の頭を畳に突っ込ませながら作用足を蹴り上げ、左内股に打って出る。体を捨てて投げ切るとトート縦回転でひっくり返り「技有」。

以後は今大会手数志向にスタイルチェンジしたトートが一本背負投と左背負投、機を見ての脇を差して接近しての圧力行動で追いかけ、1分48秒長澤に消極的との咎で「指導1」。トートの手立てはどれも投げの決まる予感のないものであったが、長澤これに油断したかオートマティズムの対応に身をゆだねてやや集中が切れる。ここでトート、釣り手の襟を得るなりいったん長澤を前に崩し、戻しながら引き手で脇を差して飛び込み右小外掛。一瞬で腹を合わせるところまで飛び込み、長澤は吹っ飛んで3分13秒「技有」。これでスコアはタイとなり、試合はそのままGS延長戦へ。延長戦、トートは左一本背負投を中心に攻め、長澤は小外刈に触っておいての足車、相手の内股をまたいでの隅落と取り味のある技で攻める。延長2分半を超えたところでトートが大内刈、さらに両袖から「やぐら投げ」紛いの密着を試みるが、さすがにこれは無謀。潰れてしまい偽装攻撃で「指導」失陥。奮起したトートはケンカ四つクロスからの釣込腰、さらに浅く袖を持ったままながらも左一本背負投で手数を積むと、延長3分18秒、長澤に2つ目の「指導」。

あと1つ「指導」を奪えば勝利となるトート、またもや浅く袖を握ると、これを抱え込んで外巻込。しかし腕を浅く抱えた巻込技は後の先の好餌、自分のみが体を回してしまったところを長澤余裕を持ってめくり返し「技有」。

長澤が「技有」2つ、トートが1つ得たこの試合だったが、3つの投げは全てトートの側から動きを起こしたもの。チャンスを見る目の確かさが長澤を救った試合だった。

eJudo Photo
クレルジェが大逆転、トリッペルから突込絞「一本」

アクセル・クレルジェ(フランス)○突込絞(1:57)△エドゥアルド・トリッペル(ドイツ)
右相四つ。まずは袖の絞り合い、25秒に奥襟を得たクレルジェが右大内刈を仕掛けるが、トリッペルの体幹の強さの前にこれは崩すのみに留まる。続く展開、トリッペルが引き手を得て相手を懐に抱き込もうとすると、これに先んじてクレルジェが右大外巻込。しかし、相手を十分に崩すことが出来ずぶら下がるような形になってしまい、トリッペルが隅落で捲り返して1分3秒「技有」、貴重な先制点を得ることとなる。1分30秒過ぎ、トリッペルがクロスグリップから右外巻込。クレルジェ危うく巻かれ掛かるが相手の引き手が離れたことで失点を回避。そのまま頭側に回り込んで「横三角」から抑え込みを狙う。これが決まらないと判断すると、クレルジェ今度は右手で相手の腹を包み、左手で後ろ襟を持って引き込む形で変形の突込絞。左足で相手の右肩を押してフォローすると1分57秒、トリッペルたまらず「参った」を表明する。クレルジェが素晴らしい寝技技術を披露、見事3位を獲得した。

eJudo Photo
シェラザディシヴィリが勝負を決める内股「技有」

【決勝】
ニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)○GS合技[小外掛・内股](GS2:18)△イワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)
ニコロス・シェラザディシヴィリが右、シウバ=モラレスが左組みのケンカ四つ。シウバ=モラレスが釣り手で上から背中を叩くと、技の切れ味抜群のシェラザディシヴィリ得たりと横から背中を抱き返す。しかしパワーに勝るのはシウバ=モラレスの側の模様、まず飛び込んでの左内股、さらに立ち戻って圧を掛けると捌きかねたシェラザディシヴィリが膝を屈して潰れ、シウバ=モラレスはここに左内股を突っ込んで投げに掛かる。28秒「待て」。シウバ=モラレスの力に、安易に横抱きで応じたシェラザディシヴィリが少々驚いたという印象の序盤の攻防。

シウバ=モラレスは背を抱く密着攻防のリテラシーがかなり高い模様。引き手を腹に抱き込み、腰を切ってプレッシャーを掛けると細かい駆け引きでシェラザディシヴィリはことごとく後手を踏む。1分33秒、引き手で袖を確保したシェラザディシヴィリが脇を差しながら右内股。しかしここまでの展開に焦ったか体を捨てるのが早すぎ、シウバ=モラレスしっかりまたいでめくり返し決定的な隅落「技有」奪取。「一本」に近い一撃だった。

もはや投げるしかないシェラザディシヴィリはスクランブルを掛けて背中を抱えるが、シウバ=モラレスは上から持たれれば肘を操作して隙間を作り、下から来れば肩を包んで殺してと、シェラザディシヴィリにとってはかなり危険な形が続く。差し合いは常にシウバ=モラレスが優位、しかし残り43秒、ついに脇下から良い形で背中を抱えたシェラザディシヴィリが右小外掛。シウバ=モラレス頭を突っ込んで身を縮めたまま横から畳に落ち、「技有」。実質「有効」に近い技だが、とにもかくにもシェラザディシヴィリはこれで追いつくことに成功。以後ポイントの変動なく試合はGS延長戦へ。

延長戦も脇の差し合いは常にシウバ=モラレス優位。仕掛けるたびに返さ掛れかり、度々取り味のある内股を突っ込まれるシェラザディシヴィリはいったん襟を持つ形に作戦変更。延長1分30秒には釣り手で横襟を内側から高く、引き手で袖を握り込む最高の形を作るが、幾度も返されかかったトラウマかおそらくこの形なら効くであろう必殺の内股には飛び込めず、背負投でこのチャンスを潰してしまい「待て」。

しかしこの直後、背中を上から抱いたシェラザディシヴィリは相手の柔道衣がはだけて拘束が利かないとみるや、柔道衣ごと後帯を引っ掴んで相手を固定。ここで引き手で袖を掴み、この試合初めてもっとも得意な形を作り上げる。内股に飛び込むとこれまで崩れる気配のなかったシウバ=モラレス吹っ飛んで背中から落ち「技有」。熱戦ここに決着、シェラザディシヴィリの世界選手権初優勝が決まった。

eJudo Photo
敗者復活戦、長澤がコムロンショフ・ウストピリヨンから釣込腰「技有」

【日本代表選手勝ち上がり】

長澤憲大(パーク24)
成績:3位


[2回戦]
長澤憲大○合技[隅落・崩上四方固](1:16)△ノトゥナイナ・フィネス(セーシェル)
長澤が左、フィネスが右組みのケンカ四つ。フィネスが組むことを怖がるが長澤落ち着いて前進。40秒過ぎに釣り手で奥襟、引き手で袖を掴んで左内股のフェイント動作をすると、フィネス慌てて自ら四つん這いに潰れてしまう。長澤その体の上に乗り込んで回し「技有」、相手を制したまま抑え込みに繋いで1分16秒「一本」。力の差がありすぎ、長澤のコンディションはまだ測れず。

[3回戦]
長澤憲大○袖釣込腰(0:23)△ガンツルガ・アルタンバガナ(モンゴル)
左相四つ。長澤引き手で袖を得ると一瞬呼吸を整えて右袖釣込腰。みごと決まって「一本」。シード選手ガンツルガを一蹴。

[4回戦]
長澤憲大○GS反則[指導3](GS2:26)△ウシャンギ・マルギアニ(ジョージア)
長澤が左、マルギアニが右組みのケンカ四つ。長澤は引き手で袖、釣り手で奥を叩いて肘を入れ、相手を窮屈にさせて足車を狙う。40秒過ぎに見せたこの形が戦略的にはもっとも「やりたい形」と思わるが、マルギアニあるいは後帯を掴んで腰を入れ、あるいは長澤の内股を股中で透かしてとパワーと捌きの柔らかさを利かせて、ぬめりと試合を動的膠着に持ち込む。長澤は足車で膝を着かせ、ベアハグで抱いてきた相手を内股で伏せさせ、と惜しい場面を作るものの投げ切るには至らず。マルギアニも機を見ての密着技で勝負に掛かるも長澤に背中を着かせることまでは出来ず、3分39秒にマルギアニに「指導」1つが宣せられたのみで試合はGS延長戦へ。

延長31秒、片襟を握っての体落で潰れた長澤に偽装攻撃で「指導」。長澤が左大腰と内股で攻めた直後の延長1分49秒、マルギアニに消極の「指導2」。マルギアニ、ここで突如スピードアップして両手で長澤の背を抱く少々不可解な行動に出る。主審当然ながら試合を止め、ベアハグの咎で「指導3」付与。先の見えない消耗戦は意外な結末で、長澤の勝利に終わった。

[準々決勝]
長澤憲大△GS反則[指導3](GS3:36)○イワン=フェリペ・シウバ=モラレス(キューバ)
左相四つ、泥沼の消耗戦。57秒長澤に与えられた偽装攻撃の「指導」をきっかけに先の見えない組み手の駆け引きと、攻め合いが続く。81kg級時代とスタイルを変えて足技重視のシウバ=モラレスは動き回り続けては足元を蹴り崩すことを続け、ここから時折釣り手をクロスに入れては大外刈で攻める。2分7秒、シウバ=モラレスに首抜きの「指導」。得点の気配ないまま試合はGS延長戦へ。シウバ=モラレスがクロス組み手からの隅返、さらに大外刈と技を積んだ延長2分16秒長澤に消極的との咎で「指導2」。長澤奮起して前に出、延長2分36秒シウバ=モラレスに「指導2」。しかし消耗し切った長澤、シウバ=モラレスに引き手で袖を持たれ、奥襟を叩かれると窮して右袖釣込腰で掛け潰れる決定的ミス。シウバ=モラレスが背筋を伸ばすと1人のみで畳に落ちてしまい、偽装攻撃で「指導3」失陥。

[敗者復活戦]
長澤憲大○優勢[技有・釣込腰]△コムロンショフ・ウストピリヨン(タジキスタン)
長澤が左、ウストピリヨンが右組みのケンカ四つ。ウストピリヨン開始早々に右体落、送足払、横落、さらに立ちあがって右体落に隅返と連続で技を5つ積む。39秒「待て」が掛かってあるいは長澤に反則かと思われるが、主審ここはスルー。以降は引き手争いをベースに形の作り合いとなり拮抗するが、2分近くになったところでウストピリヨンが作用足を相手の脚に絡ませて右内股、長澤が脚を下げて立ち戻るのに合わせると重心を戻して絡みつく。長澤嫌気して自ら後に倒れ「待て」。この攻防でウストピリヨンやや勢いづき、続く展開では肘を入れての右内股に小内刈をフェイントにした横落と再び浅いながらも連続で技を継ぐ。結果3分13秒長澤に「指導」。GS延長戦を目前にビハインドを放置することを危険と見た長澤、いったん引き手で袖を押し込んで前に出、相手を後に下げる挙に出る。ウストピリヨン場外まで追い出され、3分35秒ウストピリヨンに場外の「指導」。

残り8秒になったところで長澤は引き手で袖を一方的に握って腹につけ、釣り手で上から背中を叩く最高の形を作る。自分だけが攻められるはずのこの形に長澤肚を括り、左釣込腰。頭を畳につけて相手を上げ、引き手を腹に固定して回旋を強いる。ウストピリヨン転がって「技有」、これで試合が決した。

[3位決定戦]
長澤憲大○GS合技[内股・隅落](GS3:43)△クリスティアン・トート(ハンガリー)
※前述のため省略

※ eJudoメルマガ版9月24日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.