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【バクー世界柔道選手権2018特集】他を圧した2名が頂上対決、決勝はアグベニューが田代未来を退け連覇達成・バクー世界柔道選手権2018女子63kg級即日レポート

(2018年9月23日)

※ eJudoメルマガ版9月23日掲載記事より転載・編集しています。
【バクー世界柔道選手権2018特集】他を圧した強者2名が頂上対決、決勝はアグベニューが田代未来を退け連覇達成
バクー世界柔道選手権2018女子63kg級即日レポート
→特設ページ・バクー世界選手権2018完全ガイド

文責:古田英毅/eJudo編集部
Text by Hideki Furuta

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3度目の世界選手権制覇を果たしたクラリス・アグベニュー

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準々決勝、アグベニューはカタリナ・ヘッカーを移腰「一本」に仕留める

アゼルバイジャン・バクーで行われているバクー世界柔道選手権2018、大会4日目の23日は男子81kg級と女子63kg級の競技が行われ、63kg級はクラリス・アグベニュー(フランス)が優勝した。アグベニューは昨年に続く連覇、2014年チェリャビンスク大会とあわせて3度目の世界選手権制覇。決勝は日本代表の田代未来(コマツ)を破った。

この日、決勝まではアグベニューと田代の2名が他をまったく寄せ付けず。双方にとって唯一最大の山場である決勝対決に向けての「前段」と「本番」がはっきり分かれる、この上なく盛り上がる展開となった。

アグベニューは圧倒的な実力を背景に、序盤はむしろ鷹揚な勝ち上がり。2回戦はボルド・ガンハイチ(モンゴル)をほぼ本戦の時間いっぱい使って大外刈と隅落の合技「一本」、3回戦はブスラ・カチポグル(トルコ)を隅落と横四方固の合技「一本」。しかしギアを一段上げた準々決勝はカタリナ・ヘッカー(オーストラリア)を1分47秒に移腰の大技で豪快「一本」。そしてようやくメダリストレベルとの対戦となった準決勝でどうやら全開、マルティナ・トライドス(ドイツ)を僅か30秒の間に大内刈「技有」と大外巻込「技有」と2回投げて、当然のように決勝進出。

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準々決勝、田代未来がユール・フランセンから肩固「一本」

田代は「眦を決して」という形容がまさにふさわしい精悍な表情。終始集中力高く、勝ち上がりの凄まじさはアグベニューよりもむしろ上。2回戦は田代の圧力に耐え切れなくなったシウバ・スエレン(レバノン)が潰れるとそのまま2度と立たせず「足三角」にまとめて1分2秒縦四方固「一本」。3回戦は組み手で粘ろうとするステファニー・トレンブレイ(カナダ)を捕まえて左大内刈「技有」を奪うと、相手の左背負投の掛け潰れを許さずそのまま片手絞で絞め上げて1分43秒「一本」。準々決勝では実力者ユール・フランセン(オランダ)が田代の力の強さにまともに組んでいられない。田代の小外刈に崩されて倒れながら巻き込みを偽装するが田代そのまま立たせず肩固「一本」。圧巻は準決勝、リオデジャネイロ五輪金メダリストのティナ・トルステニャク(スロベニア)戦。パワー自慢のトルステニャクを上から目線の両襟柔道で圧倒、正面突破の内股「技有」で片づけて決勝へと駒を進めることとなった。田代は強敵トルステニャクを倒しても、これが当然とばかりに眉ひとつ動かさず。あくまで今日はアグベニューに勝つことが目標と、決意伝わる立ち振る舞い。

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決勝、GS延長戦の末にアグベニューが田代から払巻込「技有」

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アグベニューは田代を畳から引き揚げて、抱擁。

決勝は左相四つ。田代とアグベニューは引き手で襟、次いで袖、引き手で袖を許せばバーターで両袖、と息詰まる組み手の攻防を起点に攻め合い、相譲らず。技、組み手と動きのひとつひとつがこれまで畳に上がった63kg級の役者たちとはまったく違う速さ。潜在的な優位は自身が格上という構造を試合全体に染みさせるアグベニューの側にあり、具体的な得点のチャンス1つは最終盤に大内刈でアグベニューの顔を横に向かせて付させた田代が得て、試合はGS延長戦へ。延長50秒、田代は引き手で襟を持って左へ巻き込み。耐えられると見て戻ろうとすると、アグベニューはその動作に合わせて田代の左腕を深々抱え込み、左払巻込。これまでなかった「互いに深く組み合った状態」が疑似的に出来上がり、まともに食った田代たまらず転がり「技有」。これで熱戦決した。

アグベニューは強かった。が、今回の大会を切るべきもう1つのトピックは、田代の成長ぶりであった。昨年12月のワールドマスターズでアグベニューに「勝ってしまった」田代は続く欧州シリーズの対戦ではリベンジに燃えるアグベニューに一蹴され、今回も「秒殺」されてもまったくおかしくないと分析される力関係であったかと思われる。それがこの健闘。対アグベニュー戦はもちろんだが、3位入賞したフランセンが数秒と「組んでいられない」、トルステニャクを上から目線の正面突破で投げてしまうその地力の高さは特筆もの。研究、対策することで結果を引きあげるのではなく、有無を言わさぬ「強さ」自体の向上を感じさせられた。確かに「アグベニューのほうが田代より強い」が。しかし「アグベニューと田代だけが他を引き離して圧倒的に強い」という構図を作った大会でもあった。敗れて畳に沈む田代を、アグベニューが歩み寄って引き上げ抱擁した最後の絵は、アグベニューがそれを認めつつあるということではないだろうか。田代の今後に、大いに期待したい。

入賞者と全試合の結果、メダルマッチ3試合および日本代表選手全試合の戦評は下記。

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3位決定戦、トルステニャクがマイリン・デルトロ=カルバハルから横四方固「一本」

【入賞者】
(エントリー44名)
1.AGBEGNENOU, Clarisse (FRA)
2.TASHIRO, Miku (JPN)
3.TRSTENJAK, Tina (SLO)
3.FRANSSEN, Juul (NED)
5.DEL TORO CARVAJAL, Maylin (CUB)
5.TRAJDOS, Martyna (GER)
7.HAECKER, Katharina (AUS)
7.UNTERWURZACHER, Kathrin (AUT)

【1回戦】
ボルド・ガンハイチ(モンゴル)○裏投(0:46)△ヤン・ジュインシア(中国)
ブスラ・カチポグル(トルコ)○反則[指導3](3:58)△エミリア・カネルヴァ(フィンランド)
サンネ・フェルメール(オランダ)○横四方固(4:00)△キャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)
ケトレン・クアドロス(ブラジル)○袈裟固(2:31)△ハンナ・マーティン(アメリカ)
アリス・シュレシンジャー(イングランド)○大腰(0:55)△マグダレナ・クルサコワ(オーストリア)
ダリア・ダヴィドワ(ロシア)○内股(0:47)△プリスカ・アヴィチ=アルカラス(メキシコ)
エイミー・リヴェシー(イングランド)○片手絞(2:53)△メリエム・ビジャウイ(チュニジア)
キヨミ・ワタナベ(フィリピン)○腕挫十字固(1:26)△キム・ジジョン(韓国)
アガタ・オズドバ=ブラフ(ポーランド)○腕挫十字固(0:49)△ソフィア・ベラッター(モロッコ)
ステファニー・トレンブレイ(カナダ)○横四方固(1:33)△デミーラ・ノメンジャナハリー(マダガスカル)
バルドルジ・ムングンチメグ(モンゴル)○優勢[技有・大外落]△エドウィッジ・グウェン(イタリア)
エカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)○GS反則[指導3](GS2:18)△ナジャ・バジンスキー(ドイツ)

【2回戦】
クラリス・アグベニュー(フランス)○合技[大外刈・隅落](3:59)△ボルド・ガンハイチ(モンゴル)
ブスラ・カチポグル(トルコ)○優勢[技有・釣腰]△ラーケ・オルセン(デンマーク)
カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)○優勢[技有・小外掛]△サンネ・フェルメール(オランダ)
エステファニア・ガルシア(エクアドル)○優勢[技有・横車]△カロリナ・タラク(ポーランド)
アンドレヤ・レスキ(スロベニア)○優勢[技有・内股返]△ケトレン・クアドロス(ブラジル)
マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)○合技[隅落・隅落](3:52)△イレーネ・ウェゼウ=ドンベウ(カメルーン)
マルティナ・トライドス(ドイツ)○GS技有・大内刈(GS0:44)△アリス・シュレシンジャー(イングランド)
ダリア・ダヴィドワ(ロシア)○合技[内股・隅落](1:15)△ププ=ラムー・カトリ(ネパール)
ティナ・トルステニャク(スロベニア)○優勢[技有・一本背負投]△エイミー・リヴェシー(イングランド)
イザベル・プチェ(スペイン)○合技[体落・袈裟固](2:30)△キヨミ・ワタナベ(フィリピン)
カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)○反則[指導3](3:17)△アガタ・オズドバ=ブラフ(ポーランド)
ギリ・シャリル(イスラエル)○合技[背負投・背負投](3:21)△アリーシャ・ガレス(アメリカ)
田代未来○縦四方固(1:02)△シウバ・スエレン(レバノン)
ステファニー・トレンブレイ(カナダ)○合技[小外掛・横四方固](2:40)△ステファニア=アデリナ・ドブレ(ルーマニア)
ユール・フランセン(オランダ)○合技[袖釣込腰・大外刈](2:54)△バルドルジ・ムングンチメグ(モンゴル)
エカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)○片十字絞(2:34)△アクニエト・ツルダン(カザフスタン)

【3回戦】
クラリス・アグベニュー(フランス)○合技[隅落・横四方固](2:49)△ブスラ・カチポグル(トルコ)
カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)○GS合技[小内刈・大外返](GS0:55)△エステファニア・ガルシア(エクアドル)
マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)○GS技有・大腰(GS1:30)△アンドレヤ・レスキ(スロベニア)
マルティナ・トライドス(ドイツ)○袈裟固(3:46)△ダリア・ダヴィドワ(ロシア)
ティナ・トルステニャク(スロベニア)○反則[指導3](2:33)△イザベル・プチェ(スペイン)
カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)○反則[指導3](3:34)△ギリ・シャリル(イスラエル)
田代未来○片手絞(1:43)△ステファニー・トレンブレイ(カナダ)
ユール・フランセン(オランダ)○優勢[技有・背負投]△エカテリーナ・ヴァルコワ(ロシア)

【準々決勝】
クラリス・アグベニュー(フランス)○移腰(1:47)△カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)
マルティナ・トライドス(ドイツ)○合技[大外巻込・崩袈裟固](2:53)△マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)
ティナ・トルステニャク(スロベニア)○横四方固(3:24)△カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)
田代未来○肩固(0:55)△ユール・フランセン(オランダ)

【敗者復活戦】
マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)○GS技有・大腰(GS0:34)△カタリナ・ヘッカー(オーストラリア)
ユール・フランセン(オランダ)○優勢[技有・体落]△カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)

【準決勝】
クラリス・アグベニュー(フランス)○合技[大内刈・大外巻込](0:31)△マルティナ・トライドス(ドイツ)
田代未来○優勢[技有・内股]△ティナ・トルステニャク(スロベニア)

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【3位決定戦】
ティナ・トルステニャク(スロベニア)○横四方固(3:41)△マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)
デルトロ=カルバハルは右組み、両組みのトルステニャクはまず右で構える。トルステニャクは右釣り手を先に襟に入れるといきなり最大の武器である左一本背負投で先制攻撃。さらに続く展開でも、トルステニャクが左一本背負投、さらに左引き手で袖を捕らえながらの左袖釣込腰と攻めまくる。対するデルトロ=カルバハルは1分31秒、釣り手で奥襟を叩きながら前に出て右大外刈を放ち展開を打破しようと試みる。しかしこれもトルステニャクが厳しく袖の絞りを利かせて相手の動きを封じ、自身の左一本背負投に吸収して大局には変化なし。残り2分でデルトロ=カルバハルに1つ目の「指導」が与えられると、直後またしてもトルステニャクの左一本背負投で展開が切れ、あっという間にデルトロ=カルバハルに2つ目の「指導」。残り1分、もはや攻めるしかないデルトロ=カルバハルが釣り手を振りかざして突進し右内股を仕掛けるもトルステニャクは落ち着いて潰し寝技に移行。横四方固でガッチリ抑え込んで一本勝ち。大局からディティールの隅々までトルステニャクが圧倒。格の違いをはっきりと見せつける形での3位入賞となった。

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ユール・フランセンがトライドスの大内刈を振り返して「技有」

ユール・フランセン(オランダ)○GS技有・隅落(GS1:49)△マルティナ・トライドス(ドイツ)
左相四つ。ともに相手を懐に抱き込んで組み合う形を基本とするドイツ勢同士の対決。どちらも組み勝つことを前提に試合を進める選手のため、それぞれが形を作るべく激しい組み手の争いが繰り広げられる。フランセンが組み際の右袖釣込腰で攻める場面が続き、2分1秒、トライドスに消極的の「指導」。以降、トライドスは何度か良い形を作って得意の左大内刈を仕掛けるが、バランスの良いフランセンは揺るがない。3分27秒、クロスグリップを持ち続けたフランセンに片襟の「指導」。しかし、本戦でこれ以上のポイント変動はなく、勝負はGS延長戦へともつれ込む。
延長戦の開始直後、トライドスが奥を得て前に出るとフランセン堪らず首を抜いてしまい、GS12秒、首抜きによる「指導2」。勢いを得たトライドス、続いての展開では相手を潰して「横三角」から寝技で攻める。足さえ抜ければ抑え込みという段階まで手順を進めるが、ここはフランセンが凌ぎ切って「待て」。再び両者組み合って足を飛ばし合う膠着状態が続く。GS1分49秒、トライドスがもつれ合った状態から密着しての左大内刈。強引に投げを狙うが、相手を崩し切ることが出来ずに自分だけが体を捨てたような形になってしまう。フランセンこのチャンスを逃さずハンドル操作を効かせながら被さるように捲って隅落「技有」。トライドスは勝機に詰め切れず、その罰を食う形で自滅。フランセンが3位を獲得した。

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アグベニューの払巻込「技有」

【決勝】
クラリス・アグベニュー(フランス)○GS払巻込(GS0:50)△田代未来
左相四つ。田代両襟を持つなり左大内刈、アグベニュー耐えて引き手で袖を織り込むと外巻込、田代が耐えて「待て」。直前まで行われていた3位決定戦とはまったく違うレベル、双方動き極めて鋭く、早い。
田代は引き手を襟から開始、これを袖に持ち替えるとアグベニューも引き手で袖を掴む、という「直しあい」の中、攻め合いが続く。アグベニューの左小内刈を田代が左大外刈で切り返し、田代は「やれている」手ごたえからか攻防を経るたび集中力が増す印象。1分30秒、アグベニューがクロス組み手から巻き潰れ、田代は背中に食いついて寝技に展開せんとするが「待て」。この際まだアグベニューが伏せ切っていないと判断された模様、主審は田代の「足取り」とみて「指導」を宣告。
横変形、両襟、奥襟、両袖と双方が形の収まりどころを探りつつ攻防。田代は左釣込腰、アグベニューは大内刈で攻める。2分15秒、田代は両袖で相手に釣り手を絞らせたまま、左一本背負投様に腕を抱えて支釣込足。奇襲技だが、アグベニューは小外刈に切り返して崩す反応の良さを見せて動ぜず。

この攻防で田代は組み手に手ごたえを得た模様。双方が引き手で袖を得た結果として出来上がりやすい両袖の形から、釣り手を左一本背負投様に流して攻防することを見出す。このベースを得た田代はあくまで落ち着いた表情、残り20秒には釣り手で襟、引き手で横襟を掴んで左大内刈一撃。アグベニュー顔を横向きに膝を着いて崩れ、田代は釣り手で持った襟を首に引っ掛けて押し込みあわやポイント。しかし獲り切れず、試合はこのままGS延長戦へ。

延長戦も様相変わらず。双方引き手で襟を持つ形から両袖へと移り、これを捌き合いながら攻め合う。50秒、田代が引き手で襟を持って左へ巻き込み。耐えられると見て戻ろうとすると、アグベニューはその動作に合わせて田代の左腕を深々抱え込み、左払巻込。
これまでなかった「互いに深く組み合った状態」に近い間合いからの一撃。田代たまらず引ずりこまれ、もろとも転がり「技有」。

大熱戦ついに決着。しばし立てない田代にアグベニューが歩み寄り、引き起こして抱擁。あるいは「二強」時代到来かと予感させる素晴らしいこの絵で、トーナメントは幕。

【日本代表選手勝ち上がり】

田代未来(コマツ)
成績:2位


[2回戦]
田代未来○縦四方固(1:02)△シウバ・スエレン(レバノン)
左相四つ。田代試合が始まるなり引き手で襟、釣り手で奥を叩いてケンケンの左大内刈。これは決まらなかったが、プレッシャーを受けた相手が巻き込みに潰れるとすかさず背について寝技を展開。相手の両脚をまとめて脚で挟む「足三角」に捉えて転がしに掛かる。シウバ・スエレンが頭を抱えられることを怖れて両手でディフェンスするとその袖を押さえて体を伸ばし「抑え込み」の宣告を引き出す。ついで、腕を相手の後ろ頭越しに回し、襟を握って拘束を強め縦四方固「一本」。隙のない立ち上がり。

[3回戦]
田代未来○片手絞(1:43)△ステファニー・トレンブレイ(カナダ)
左相四つ。田代が引き手で袖を掴むと、トレンブレイは嫌気。釣り手だけは持たせまいと、横襟を握った自身の釣り手を張って距離を取ろうとする。田代一瞬これを争う気配を見せるが、これをフェイントに下から回して背中を抱く左大内刈。ケンケンで投げ切り「技有」。
以後も力、組み手の方法論と田代がまったく相手を寄せ付けず。田代が釣り手で横襟を掴んで前に出ると、窮したトレンブレイは堪らず左背負投に座り込む。一瞬戻ろうと角度を変えたところに田代食いついて「腰絞め」。体を体側から入れてまず絞め上げ、効きが浅いと見て相手の背を乗り越えんと体を起こすと、トレンブレイ機と見て立って逃げようとする。これが致命傷、田代首の拘束を強めて食いつき、潰しながら脚で相手を乗り越えて絞め上げ「一本」。

[準々決勝]
田代未来○肩固(0:55)△ユール・フランセン(オランダ)
田代が引き手で袖を掴んで織り込むと、横を向かされたフランセンは背を見せて逃げる。田代が場外まで押し出して「待て」。直後田代引き手で袖を掴むなり左小外刈。一瞬浮いたフランセン、崩れながら巻き込みの形でお茶を濁そうとするが田代はこれを許さない。すかさず食いついて潰し、腹下に潜り込んで横に捲り返す。フランセン必死に脚を絡むが、田代は「袈裟抜き」の形で引き抜き、肩固に連絡する。盤石の「一本」。

[準決勝]
田代未来○優勢[技有・内股]△ティナ・トルステニャク(スロベニア)
大一番。田代が左、両組みのトルステニャクは右構えで試合をスタート。田代は極めて強気、左を高く、右を低く両襟を掴んでこの強敵に対峙。ここから正面突破で左大内刈をねじ込むとトルステニャク一気に後方に崩れ、辛うじて振り向き伏せて「待て」。この攻防から見る限り、もはや田代のほうがだいぶ地力が上の印象。トルステニャク今度は左に組んでおいての左背負投に潰れ、さらに右で組んで釣り手で横から背を抱きに出るも、田代は待ってましたとばかりに左内股。これは投げ切れず、しかしトルステニャクも止めるのみで次の手を打つまでの余裕はなく「待て」。
続く展開の組み際にトルステニャクはもっとも得意とする左一本背負投。これを連発することがおそらくは田代攻略にもっとも効果的な作戦だが、心得切った田代はこれを空転させるなり片手絞。絞め上げられたトルステニャク苦悶の表情で「顎」を主審にアピール、「待て」。
トルステニャクはそれでも左一本背負投攻撃を続けるのが上策ではないかと思われるが、この展開に懲りたか続いて打った手は、右の巻き込み動作による田代の組み手の切り離しという消極的なもの。田代はもはや自信満々、両襟を掴む上から目線で迫り、2分13秒には斜めから左大内刈を捩じ入れて左内股に連絡。釣り手操作巧みに投げ切り「技有」。
以降も田代の両襟による強気の柔道は変わらず。トルステニャクは打開せんと1分1秒には組み付きながら右内股の奇襲を見せるが田代まったく揺るがず。続いてトルステニャクは横落、しかしまだ不慣れか間合いが遠いうえに準備動作が大きすぎ、田代なんなく捌いて潰す。
田代は以降も両襟で前に出、トルステニャクは下がりながら散発的に技を繰り出すのみ。中途で首抜きの「指導」1つは貰ったがそのままタイムアップ。田代の決勝進出が決まった。

隙を見つけてポイントをかすめ取るのではなく、正面突破。地力で勝って技でも勝った田代のまさしく完勝、田代の強さばかりが印象に残る試合だった。

[決勝]
田代未来○GS払巻込(GS0:50)△クラリス・アグベニュー(フランス)
※前述のため省略


※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

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