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【バクー世界柔道選手権2018特集】芳田司が初優勝、勝負どころの準決勝でV候補出口クリスタに完勝・バクー世界柔道選手権2018女子57kg級即日レポート

(2018年9月22日)

※ eJudoメルマガ版9月22日掲載記事より転載・編集しています。
【バクー世界柔道選手権2018特集】芳田司が初優勝、勝負どころの準決勝でV候補出口クリスタに完勝
バクー世界柔道選手権2018女子57kg級即日レポート
→特設ページ・バクー世界選手権2018完全ガイド

文責:古田英毅/eJudo編集部
Text by Hideki Furuta

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悲願の世界選手権制覇を果たした芳田司

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準決勝、ドルジスレン・スミヤはネコダ・スミス=デイヴィスの片手絞に捕まって一本負け。

アゼルバイジャン・バクーで行われている世界柔道選手権2018は22日、競技日程第3日の男子73kg級、女子57kg級の競技が行われ、57kg級は日本代表の芳田司(コマツ)が優勝した。昨年度大会2位の芳田は、これが初優勝。

大会「三強」と目されたのは昨年度の銀メダリスト芳田司、今季ワールドツアーで5連勝を果たした出口クリスタ(カナダ)、そして昨年度の覇者ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)。

全員がベスト4に勝ち進んだが、前年度の覇者ドルジスレンはアジア大会に続いて調子上がらず。平時の駆け引きとこれぞの技にスピードの落差がなく、戦いぶりは「大枠の優位は取れるが肝心の技が決まらない」というコンディション不良時における担ぎ技ファイターの典型。それでもヨワナ・ロギッチ(スロベニア)を時間いっぱい使い切っての合技「一本」、ジェシカ・クリムカイト(カナダ)を8分間戦った末の片手絞「一本」、エレン・ルスヴォ(フランス)をGS延長戦の片手絞「一本」(GS2:17)と強豪ばかりの山をしぶとく勝ち上がって準決勝進出を果たす。しかしこの試合で6分以上を戦ったところで力尽き、一瞬集中が切れたところをネコダ・スミス=デイヴィス(イングランド)の片手絞に捕まって万事休す。絞め落とされて一本負け、ここで本戦トーナメントから脱落した。

一方、芳田と出口は好調。トーナメント序盤から動きの速さと質の良さ、密度の高さで他選手を圧倒。明らかに一段違う光を放っていた。

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3回戦、芳田は強敵モンテイロをしつこい寝技で圧倒、最後は横四方固で一本勝ち。

芳田は丁寧な組み手から得意の小外刈に内股、新境地の担ぎ技や横落も駆使して動き良し、なにより目立っていたのは寝技の素早さとしつこさ。アメリー・シュトル(ドイツ)を内股と後袈裟固の合技「一本」に仕留めて迎えた3回戦のテルマ・モンテイロ(ポルトガル)戦では組み手争いにやや倦んだモンテイロが展開に楔を入れようとひとまず隅返。ところがこれを捌いた芳田は正面から膝を割って食いつくと2度と立たせず。モンテイロは足を絡んで「待て」を貰おうとするが、芳田はこのまま1分以上形を変えながら「脚抜き」を継続。それが地獄の入り口とも気付かずひとまず掛けてみた体のモンテイロはついにバンザイ、横四方固「一本」で試合終了。消耗戦必至と思われたクォン・ユジョン(韓国)との準々決勝もクォンが展開に楔を入れんと放った安易な背負投の掛け潰れを見逃さずにすぐさま寝技を展開、一瞬出遅れた相手を横四方固で12秒抑え「技有」を宣告。以後も相手が少しでも崩れるとすぐさま寝技で攻め続け、最後は気持ちが折れたクォンを足車で転がし2つ目の「技有」を確保。しっかり出口との対決まで歩を進めた。

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準々決勝、出口クリスタがノラ・ヤコヴァから袖釣込腰「技有」

一方の出口はパワーのある相手ばかりと連戦も、丁寧な組み手と鋭い足技、タイミング的確な加速でこれを突破。2回戦のリ・ヒョスン(北朝鮮)はパワーがあって組み手に妥協しない面倒な敵だったが、ケンカ四つの相手を膝裏と踵への小外刈で崩し続けてアクセル踏む暇を与えず。終盤には出足払で背中を向かせた相手を追いかけて大外刈で思いきり投げつけ(終了ブザー後と判定されてノーポイント)、直後焦った相手を大内刈で崩して崩上四方固で抑えて一本勝ち。3回戦も体の力が強いコリナ・ステファン(ルーマニア)に大枠の優位を取られたが足技と組み手で決定的な加速を許さず。これならじゅうぶんやれるとばかりに相手が一瞬集中を切った2分15秒の組み際に一瞬引き手で袖を得ると次の瞬間には右大外刈で転がす早業「技有」。そのまま崩上四方固に抑えて合技「一本」。準々決勝もパワー自慢のノラ・ヤコヴァ(コソボ)を足技と後の先のプレッシャーで走らせず、残り30秒を切ったところで袖釣込腰「技有」。これで芳田との対決に辿り着くこととなった。

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準決勝、芳田司が出口クリスタから内股「技有」

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決勝、芳田はネコダ・スミス=デイヴィスからまず体落で「技有」

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出足払で2つ目の「技有」、芳田が初優勝を決めた。

事実上の決勝と目されたこの試合、序盤はやや出口優勢、続く時間帯の拮抗を経て、釣り手の手首を立てて内股を突っ込む芳田がじわじわ陣地を取り始める。中盤以降はあきらかに芳田が主導権を握り、試合はGS延長戦へ。芳田優位の流れはさらに加速、出口に偽装攻撃の「指導2」が溜まった直後の延長40秒、芳田組み付きながら左内股。腹に抱き込んだ引き手の牽引を利かせて投げ切り「技有」、これで芳田の勝利が決まった。展開を得て、技も決めてとこの試合は芳田の完勝であった。

大一番を乗り越えた芳田は決勝でダークホースのネコダ・スミス=デイヴィスと対戦。1分4秒に左内股から連絡した左体落で「技有」を得ると、直後相手の踏み出しを機敏に捉えて出足払。膝で相手の腿裏を蹴り上げる形で決まったこの技で2つ目の「技有」を得て、合技の一本勝ち。みごと世界の頂点を極めることとなった。

直接対決の帰趨はもちろん、全体を通じた出来からも芳田の優勝という結果は妥当。方法論の引き出し豊富で質非常に高し、コンディションも抜群。この日のベストファイターは間違いなく芳田であった。直前の公開合宿では元気のない様子であったが「あれは芳田なりの調整のやり方」という増地克之監督の評価を本番で裏付けた形となった。

ドルジスレンと芳田は3位を確保。

ドルジスレンは3位決定戦でクォン・ユジョン(韓国)とマッチアップ。延長2分を超える泥沼の消耗戦を裏投「一本」で勝ち切って銅メダルを得た。

一方続いて3位決定戦の畳に上がった出口は芳田戦のショックありあり。山場を作れぬまま残り20秒でテレザ・シュトル(ドイツ)に大内刈「技有」を奪われ万事休したかに思われたが、残り10秒となったところで右大内刈一撃。ビデオチェックを経ての「技有」奪還に成功して命びろい、延長戦では大内刈で崩した相手を崩上四方固で抑えて合技「一本」。ぶじ表彰台を確保した。

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1回戦、ラファエラ・シウバはジェシカ・クリムカイトの右背負投を捌き損ねて「技有」失陥。

「三強」に割って入る可能性があったムラ気の天才、リオ五輪の覇者ラファエラ・シウバ(ブラジル)は、出口の同僚ジェシカ・クリムカイト(カナダ)を相手に初戦敗退。終盤背負投で股中に潜り込まれると、決定的位置関係にも関わらず腕挫十字固に捉えんと腕をまたぐとうかなり無理のある選択。そのまま背中から落とされてしまい残り1秒で「技有」失陥。判定に不満を表明も取り合われるはずもなく、あっという間に大会から姿を消すこととなった。

入賞者、芳田司選手と出口クリスタ選手のコメント、全試合の結果、メダルマッチ3試合および日本代表選手全試合の戦評は下記。

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57kg級メダリスト。左からスミス=デイヴィス、芳田、出口、ドルジスレン。

【入賞者】
(エントリー52名)
1.YOSHIDA, Tsukasa (JPN)
2.SMYTHE-DAVIS, Nekoda (GBR)
3.DEGUCHI, Christa (CAN)
4.DORJSUREN, Sumiya (MGL)
5.STOLL, Theresa (GER)
6.KWON, Youjeong (KOR)
7.RECEVEAUX, Helene (FRA)
8.GJAKOVA, Nora (KOS)

芳田司選手のコメント
「嬉しい気持ちもありますが、ホッとした気持ちが一杯で、何も浮かばないのが正直なところです。(―昨年とは違いますか?)金と銀では全然違うと思いました。(―今後の目標を教えてください)来年の世界選手権に出場して優勝することです。オリンピックに繋げることが目標です。」

出口クリスタ選手のコメント
「金メダルを狙っていたのですが、銅メダルでした。次は頑張りたいです。(3位決定戦は相手にポイントをリードされました)残り時間が20秒しかなかったので、もう、相手の命を奪うつもりで勝負に出ました (笑)」

【1回戦】
ヨワナ・ロギッチ(セルビア)○優勢[技有・外巻込]△ハイオーネ・エキソアイン(スペイン)
ジェシカ・クリムカイト(カナダ)○優勢[技有・背負投](0:01)△ラファエラ・シウバ(ブラジル)
ドゥーウィー・カラサウス(オランダ)○縦四方固(0:58)△マニタ・シェレスタ=プラダーン(ネパール)
キム・チス(韓国)○GS隅返(GS3:36)△ルゥ・トーンジュエン(中国)
イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)○外巻込(2:16)△セヴァラ・ニシャンバエワ(カザフスタン)
ウィズネイビー・マチャド(ベネズエラ)○GS「技有」・大外巻込(GS2:08)△レウン・ポサム(香港)
キム・ジンア(北朝鮮)○合技[内股・内股](3:13)△ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)
ミリアム・ローパー(パナマ)○小外刈(1:03)△ヴィクトリア・マヨロソワ(スロバキア)
カヤ・カチェラ(スロベニア)○GS反則[指導3](GS0:53)△ユリア・コヴァルツィク(ポーランド)
レン・チェンリン(台湾)○合技[大内刈・上四方固](2:26)△アメリア・フルゲンテス(アメリカ)
アメリー・シュトル(ドイツ)○合技[隅落・大内刈](1:44)△イチンホルロー・ムンフツェデフ(アゼルバイジャン)
ジャーン・ウェン(中国)○GS技有・谷落(GS0:21)△マルフリート・ベルフストラ(オランダ)
テルマ・モンテイロ(ポルトガル)○一本背負投(1:35)△ハディール・エラルミ(ヨルダン)
アンナ・ボロフスカ(ポーランド)○腕挫十字固(2:54)△エンジャイ=オウミー・カマハ(セネガル)
クォン・ユジョン(韓国)○崩上四方固(2:19)△アミナ・マメドワ(ウズベキスタン)
ソウミヤ・イラウイ(モロッコ)○背負投(2:38)△ゾウレイハ=アブゼッタ・ダボンネ(コートジボワール)
ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)○裏固(1:22)△マリア・スコラ(ウクライナ)
プリシラ・ネト(フランス)○腕挫十字固(2:47)△レイラニ・アキヤマ(アメリカ)
リ・ヒョスン(北朝鮮)○背負投(0:09)△ブレンダ・アンドリアティアナ(マダガスカル)
コリナ・ステファン(ルーマニア)○移腰(0:42)△アナスタシア・コンキナ(ロシア)

【2回戦】
ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)○合技[袖釣込腰・崩上四方固](4:00)△ヨワナ・ロギッチ(セルビア)
ジェシカ・クリムカイト(カナダ)○袖釣込腰(0:49)△サンドラ・ボルヘス(カーボベルデ)
エレン・ルスヴォ(フランス)○GS内股(GS0:40)△ドゥーウィー・カラサウス(オランダ)
イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)○腕挫十字固(2:52)△キム・チス(韓国)
テレザ・シュトル(ドイツ)○横四方固(2:12)△ウィズネイビー・マチャド(ベネズエラ)
ミリアム・ローパー(パナマ)○優勢[技有・谷落]△キム・ジンア(北朝鮮)
ネコダ・スミス=デイヴィス(イングランド)○一本背負投(3:29)△カヤ・カチェラ(スロベニア)
レン・チェンリン(台湾)○GS崩上四方固(GS1:36)△ミナ・リベール(ベルギー)
芳田司○合技[内股・後袈裟固](2:10)△アメリー・シュトル(ドイツ)
テルマ・モンテイロ(ポルトガル)○優勢[技有・大外刈]△ジャーン・ウェン(中国)
ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)○GS技有・小外掛(GS0:38)△アンナ・ボロフスカ(ポーランド)
クォン・ユジョン(韓国)○優勢[技有・体落]△ルハグヴァトゴー・エンフリーレン(モンゴル)
ノラ・ヤコヴァ(コソボ)○反則[指導3](3:04)△ソウミヤ・イラウイ(モロッコ)
プリシラ・ネト(フランス)○小内刈(0:24)△ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)
クリスタ・デグチ(カナダ)○GS崩上四方固(GS1:01)△リ・ヒョスン(北朝鮮)
コリナ・ステファン(ルーマニア)○内股透(0:43)△アナイリス・ドロビグニー(キューバ)

【3回戦】
ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)○GS片手絞(GS3:03)△ジェシカ・クリムカイト(カナダ)
エレン・ルスヴォ(フランス)○優勢[技有・背負投]△イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)
テレザ・シュトル(ドイツ)○小外掛(0:22)△ミリアム・ローパー(パナマ)
ネコダ・スミス=デイヴィス(イングランド)○GS反則[指導3](GS2:45)△レン・チェンリン(台湾)
芳田司○横四方固(2:10)△テルマ・モンテイロ(ポルトガル)
クォン・ユジョン(韓国)○合技[小外刈・浮落](3:09)△ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)
ノラ・ヤコヴァ(コソボ)○小外掛(3:09)△プリシラ・ネト(フランス)
クリスタ・デグチ(カナダ)○合技[大外刈・崩上四方固](2:27)△コリナ・ステファン(ルーマニア)

【準々決勝】
ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)○GS技有・袖釣込腰(2:15)△エレン・ルスヴォ(フランス)
ネコダ・スミス=デイヴィス(イングランド)○大外刈(1:57)△テレザ・シュトル(ドイツ)
芳田司○合技[横四方固・足車](2:53)△クォン・ユジョン(韓国)
クリスタ・デグチ(カナダ)○優勢[技有・袖釣込腰]△ノラ・ヤコヴァ(コソボ)

【敗者復活戦】
テレザ・シュトル(ドイツ)○小外掛(2:38)△エレン・ルスヴォ(フランス)
クォン・ユジョン(韓国)○優勢[技有・一本背負投]△ノラ・ヤコヴァ(コソボ)

【準決勝】
ネコダ・スミス=デイヴィス(イングランド)○GS片手絞(GS2:17)△ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)
芳田司○GS技有・内股(GS0:40)△クリスタ・デグチ(カナダ)

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3位決定戦、出口は残り10秒の大内刈「技有」でタイスコアに追いつく。

【3位決定戦】
クリスタ・デグチ(カナダ)○GS合技[大内刈・横四方固](GS1:38)△テレザ・シュトル(ドイツ)
右相四つ。両者が引き手で襟を突き合う形から、シュトルが釣り手で奥襟を叩きながら前に出ようと試みる。しかし十分心得た出口はしっかりシュトルの釣り手を両手で捕まえ、引き手で袖、釣り手で前襟の組み手を完成。そのまま右の「小内払い」で蹴り崩してすかさず「ボーアンドロ―チョーク」を試みる。これは決め切れなかったが、直後の1分5秒、具体的な技が出ないシュトルに消極的との咎で「指導」。以後も試合は出口のペースで進むが、軸に据えた右大外刈の入りがことごとく浅く、決定機を得られないまま試合は終盤へ。ここでシュトルが組み際、出口の引き手の絞りが利く前に片袖の右大外刈に飛び込むと、不意を突かれた出口は横倒しに倒れ「技有」失陥。この時点で残り時間は僅か20秒、もはや勝負は決したかと思われたが、残り10秒、出口が奥襟を叩いての右大内刈でシュトルを刈り倒すと、審議の末「技有」が宣告される。出口は命拾い、試合はGS延長戦へと持ち込まれる。

GS延長戦に入ると、出口は右大外刈、左袖釣込腰と積極的に攻め、延長44秒に2つ目の「指導」を確保。延長1分20秒、出口は釣り手を背中に回して右大内刈でシュトルを横這いに伏せさせるとすかさず横四方固。チャンス逃さず抑え切り2つ目の「技有」を獲得。合技の一本勝ちで、3位入賞を決めた。

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3位決定戦、ドルジスレンが裏投「技有」

ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)○GS技有・裏投(GS2:28)△クォン・ユジョン(韓国)
左相四つ。開始早々にクォンが奥を叩くとドルジスレン鋭く反応して左方向への支釣込足。相手が伏せるなり「横三角」で捲り、崩上四方固を狙う。一度は抑え掛けるも、ここはクォンが凌ぎ切り「待て」。試合時間は45秒。以降は両者相手の様子を窺いながらやや慎重な攻防が続き、1分28秒にクォンに取り組まない「指導」。ここからはクォンが袖釣込腰を仕掛けるとドルジスレンが左背負投を返すという形での攻防が続き、両者ポイントの気配ないまま試合は終盤へ。本戦終了間際にはドルジスレンが左背負投で相手の股中深くまで潜り込んで頭から叩き落とし、股を持って捲り返しての抑え込みを狙う場面があったが、決め切れない。勝負はGS延長戦へ。

延長戦に入るとドルジスレンが一段加速。GS17秒には左一本背負投から内巻込に繋いで相手を畳に這わせる。GS46秒には反対にクォンが右袖釣込腰でドルジスレンを伏せさせて腕緘を狙うが、ここはドルジスレンが耐えて「待て」。一度ずつ山場を作ったここで双方僅かながら膠着して一息、GS1分21秒に両者に組み合わない咎の「指導」。GS2分間際、クォンの右袖釣込腰を起点にドルジスレンが「腹包み」から相手を乗り越えての「舟久保固め」を狙うが、これもクォンが相手の足を掴んで耐えて「待て」。なかなか決定打が生まれない。GS2分29秒、クォンが組み手争いから急加速して奥襟を叩きながらの左大外刈。斜めに襲って来たこの技をドルジスレン抱き止めると、裏投一発。膝を揃える形で踏ん張り、一瞬で叩き落として「一本」。

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芳田が左体落で「技有」確保

【決勝】
芳田司○合技[体落・出足払](1:20)△ネコダ・スミス=デイヴィス(イングランド)
芳田が左、スミス=デイヴィスが右組みのケンカ四つ。序盤は組み手争いが続き、30秒過ぎにここから抜け出そうとスミス=デイヴィスが釣り手で横抱きに背中を叩く。しかし芳田は前襟を掴んであっさり外し、続く43秒にはスミス=デイヴィスが前技に入ろうとした瞬間に左小外刈を合わせてたたらを踏ませる。このあたりから実力差がじわじわ展開に反映され始めた印象。

続く展開の1分4秒、芳田が釣り手の肘を入れ、手首を立てて左内股。スミス=デイヴィスが回避すると左体落に連絡し、作用足を膝から足元に滑り落として大きく崩す。落ちた相手を体ごと乗り越えることで回し切り、これは「技有」。

再開直後、スミス=デイヴィスが前技に入らんと足を踏み出すと、瞬間芳田は呼び込んで出足払。相手の重心移動に合わせた見事なタイミング、膝で相手の腿ごと蹴り上げる形になったこの強烈な一撃にスミス=デイヴィスガクリと崩落。2つ目の「技有」で芳田の世界選手権初優勝が決まった。

【日本代表選手勝ち上がり】

芳田司(コマツ)
成績:優勝


[2回戦]
芳田司○合技[内股・後袈裟固](2:10)△アメリー・シュトル(ドイツ)
芳田が左、シュトルが右組みのケンカ四つ。芳田は丁寧に組み手を進め、常に中途半端な形を強いられるシュトルは場外に押し出され、形に窮して潰れとほとんどまったく手を出せない。芳田は小外刈から左足車の連携を2度見せ、これで潰れた相手を横三角に捉え掛かるが「待て」。直後の1分38秒シュトルに「指導」。
芳田右一本背負投で相手の意識を散らすと、続いて引き手で袖、釣り手で襟を持つ万全の組み手。一度左払腰のフェイントで作用足を伸ばして腰を切り、相手の意識を外側に向けさせてから左内股に飛び込む。一瞬払腰を待つことで体を固めていたシュトルたまらず吹っ飛び「技有」。芳田はそのまま後袈裟固で抑えて合技「一本」。上々の立ち上がり。

[3回戦]
芳田司○横四方固(2:10)△テルマ・モンテイロ(ポルトガル)
芳田が左、モンテイロが右組みのケンカ四つ。1分近くの組み手争いを経て、釣り手で外から肩を握ったモンテイロが隅返。芳田潰すと正対、胴を挟んで来たモンテイロの脚の中に膝を突っ込んでパスを図る。すばやく身体を抜いて上体にアプローチ、しかしモンテイロも足を絡みつけて粘る。芳田はここから脚を与えたままあるいは浮固様に、次いで縦四方固様に、さらに横四方固様にと渡り歩いて「待て」を貰わぬように動きを作りながら極めてしつこく、しぶとく抜きに掛かる。おそらく1分近くにわたってこの形で寝勝負継続。モンテイロついに根負け、芳田に崩上四方固を許すと最後はほとんどバンザイ「一本」。安易に仕掛けた隅返は、二度と抜けられない寝技地獄への入り口であった。

[準々決勝]
芳田司○合技[横四方固・足車](2:53)△クォン・ユジョン(韓国)
芳田、クォンともに左組みの相四つ。芳田は鋭い動きで右内股、右袖釣込腰と仕掛けて試合を引っ張る。40秒、クォンが両手で右襟を握って右背負投に座り込むと芳田潰して素早く寝技を展開。まず横三角、相手が平目の形で足を伸ばして踏ん張ると引込返に切り替えてめくるなり横四方固。展開についていけず置き去りにされたクォン慌てて体いっぱい使って身をよじり、脚を絡んで「解けた」を引き出すが既に12秒が経過しており、1分33秒「技有」。芳田はここからさらに15秒近くを寝勝負に使い、「待て」。

以降も芳田の優位は変わらず、クォンは右背負投に右体落と見せるが少しでも崩れると素早く寝勝負に来る芳田をやや持て余す感あり。寝勝負で芳田が「腹包み」、果たせぬと見るや「腕緘返し」に切り替えてクォンが立って逃げた直後の組み際、芳田が釣り手を左片襟に差して大外刈。寝勝負で消耗していたクォンはこの侵入を捌けず、芳田は巻き込む形で投げ切り2つ目の「技有」獲得。

[準決勝]
芳田司○GS技有・内股(GS0:40)△クリスタ・デグチ(カナダ)
大一番は芳田が左、出口が右組みのケンカ四つ。序盤は引き手争いのさなか、出口がこの日効果的に用いている出足払に右小外刈で崩しに掛かり、良いスタートを切る。35秒には組み際に自分ごと跳ぶような捨て身の送足払を放つが、芳田はここから横三角、引込返、腕挫十字固としつこく寝勝負を展開。存分に出口にプレッシャーが掛かったところで「待て」。この時点で経過時間は1分6秒。

出口は出足払フェイントの右内股で芳田を伏せさせ、芳田は右一本背負投に右への横落を放って対抗。続く1分は互角の展開となる。出口再び体を捨てながらの出足払を呉れるが、今度は心得た芳田が備えよく潰して上から首を抱え込み「待て」。

中盤、芳田が釣り手の手首を立てて固め、「サリハニ」様に先んじて作用足を突っ込んで内股の圧を掛け始めたあたりからじわじわと展開は芳田の側へ。出口は片手の袖釣込腰に両足の巴投とスポット的に良い技は見せるものの、大枠としては芳田の圧力に手が詰まりつつある印象。芳田がまたもや内股の前段として作用足を股中に突っ込むと出口過敏に反応して潰れ、3分4秒偽装攻撃の「指導」失陥。芳田は再びこの形からの左内股、右襟を握っての片手左背負投と加速。そのまま4分間が終了し、終盤は芳田が展開を得た形で本戦が終わる。もはや、もし「旗判定」があれば3本が芳田に揃うであろうと思われる情勢。

芳田は釣り手を体落様に固めておいての左内股で迫る。出口は腰の入れ合いで圧を散らし、ついで座り込みの右小外刈に打って出るが芳田瞬間的に肩を外して出口の技は空転。一人で畳に落ちた出口に対し、32秒偽装攻撃の「指導2」。

直後焦った出口が前に出た瞬間、芳田組み付きながら思い切り左内股。入りが深く、出口は高く上がった作用足の裏で腰に体が載ってしまう。芳田の釣り手は切れたものの腹に抱き込んだ引き手の牽引がしっかりきき、出口肩から落ちて「技有」。熱戦ここに決着。好試合であった。

[決勝]
芳田司○合技[体落・出足払](1:20)△ネコダ・スミス=デイヴィス(イングランド)
※前述のため省略

※写真は権利者の許諾を得て掲載しています

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