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【バクー世界柔道選手権2018特集】優勝候補は今期絶好調のマロンガ、濵田尚里が寝技を武器にパワーファイター闊歩する「魔境」に挑む・女子78kg級概況×有力選手紹介

(2018年9月19日)

※ eJudoメルマガ版9月19日掲載記事より転載・編集しています。
【バクー世界柔道選手権2018特集】優勝候補は今期絶好調のマロンガ、濵田尚里が寝技を武器にパワーファイター闊歩する「魔境」に挑む
女子78kg級概況×有力選手紹介
→特設ページ・バクー世界選手権2018完全ガイド

文責:林さとる/eJudo編集部

■ 階級概況
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戦力推測マップ。三強は濱田、チュメオ、アギアールだが編集部は優勝候補筆頭に絶好調のマロンガを推す

男子の100kg級と同じく、パワーとスピードを兼ね備えたフィジカルエリートたちが集う本階級。この肉体的な優位性が招いた結果なのか、下記の有力選手をご覧いただけばわかる通り、現在はパワーファイターばかりが我が物顔で闊歩。力を力で制する「魔境」、どの階級ともまったく違う世界が出来上がっている。ロンドン‐リオ期にはケイラ・ハリソン(アメリカ)が寝技という論理的な「文明の利器」を持ち込んで一時代を築いたが、今回同じ武器を持ってここに挑むのは日本代表の濵田尚里(自衛隊体育学校)。濵田対パワーファイターというのがトーナメント全体を通じた大きな対立構図だ。

濵田の優勝争いのライバルはマイラ・アギアール(ブラジル)とオドレイ・チュメオ(フランス)。濱田にこの2名を加えた3名を現在の78kg級における三強と定義して差し支えないだろう。ただし、今大会ではこの優勝争いのメンバーに、4月以降負けなしの絶好調、直接対決で濵田やチュメオも破っているマドレーヌ・マロンガ(フランス)の名前を加えさせていただきたい。三強が揃って直近の大会で低パフォーマンスを見せてしまっていることを考えると、むしろ優勝候補の一番手はマロンガだと言うことも出来るのではないだろうか。果たしてマロンガがここまま一気にブレイクを果たすのか、それとも再び階級の序列のなかに沈むこととなるのか。濵田の勝ち上がりと合わせてこの選手の勝ち上がりに大いに注目したい。

■ 有力選手
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初の世界選手権に乗り込む濵田尚里

濵田尚里(自衛隊体育学校)
HAMADA Shori
27歳 1990/9/25
WR:10位 組み手:右組み
得意技:寝技、右内股
使用技:右小外刈、右大内刈、出足払、巴投

女子柔道屈指の寝業師。2017年シーズンは出場したすべての国際大会に、それも全試合一本勝ちで優勝、27歳にして初の世界選手権代表の座を掴んだ。前述の通り「女子最強」とも謳われる寝技のスペシャリストであり、寝姿勢になるなり腕緘から引き込んで関節を極めてしまう様は圧巻。あまりの威力とインパクトにフォロワー続出、現在の「腕緘返し」流行の発火点になった印象あり。実は投げ一発の威力も凄まじいものがあるが、相手の技を正面から受けてしまう受けの脆さがあり、ある程度立技も出来ることが逆説的に弱点になってしまっている。今大会ではどこまで寝勝負を徹底できるかがポイント。

【おもな戦績】
2017年 グランドスラム東京 優勝
2017年 グランプリ・ザグレブ 優勝
2017年 アジア選手権 優勝

【最近の成績】
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 5位
2018年2月 グランドスラム・パリ 3位

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ドレーヌ・マロンガ。先輩チュメオを抜きつつ感あり、編集部は優勝候補の筆頭に推す。

マドレーヌ・マロンガ(フランス)
MALONGA Madeleine
24歳 1993/12/25
WR:4位 組み手:右組み
得意技:右大内刈、右大外刈
使用技:右内股、右払腰、右大外巻込、右一本背負投、裏投

今年のヨーロッパ選手権王者。典型的なフランス型のパワーファイターであり、引き手から持ち奥を叩きながらガツガツと前に出る。クロスグリップや背中深くを持って抱え込む形が基本。最大の武器は肩越しに釣り手を差し入れて仕掛ける右大内刈。巻き込み技のような理合で強引に投げ切ってしまう。組み際の奇襲技として右一本背負投も持っており、こちらにも注意が必要。以前はあくまで有力選手の一人という位置付けであったが、どうやら力が一定の水準に達したらしく、昨年後半から大きく成績を伸ばしている。今年無敗、階級のトップ選手全員に直近の戦いで勝利しているという点を評価して、今大会は優勝候補筆頭にピックアップ。先輩オドレイ・チュメオ越えまであと少し。

【おもな戦績】
2018年4月 ヨーロッパ選手権 優勝
2017年 ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 2位
2017年 グランプリ・デュッセルドルフ 2位

【最近の成績】
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 優勝
2018年3月 グランプリ・トビリシ 3位

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マイラ・アギアール

マイラ・アギアール(ブラジル)
AGUIAR Mayra
27歳 1991/8/3
WR:5位 組み手:左組み
得意技:左内股、左体落
使用技:左小内刈、右小内刈、支釣込足、左小外刈

現役世界王者。世界大会の表彰台の常連選手であり、階級を代表する強豪。長い手足を生かして遠間から組む形を基本としている。威力抜群の左内股と低く鋭く潜り込む左体落が得意技。出足払や支釣込足など足技も相当に取り味があり、前述の得意技2つよりもこちらの方が驚異レベルは高い。ここのところあまり冴えた戦いを見せておらず、昨年来金星の配給元となってしまっている印象。今大会にどのようなコンディションで臨んでくるかは未知数。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 3位
2012年 ロンドン五輪 3位
世界選手権 3位以内5回(2010年2位、2011年3位、2013年3位、2014年優勝、2017年優勝) ※2016年は負傷により欠場

【最近の成績】
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 7位
2018年5月 グランプリ・フフホト 2位
2018年3月 グランドスラム・エカテリンブルグ 3位

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オドレイ・チュメオ

オドレイ・チュメオ(フランス)
TCHEUMEO Audrey
28歳 1990/4/20
WR:3位 組み手:右組み
得意技:右大外刈
使用技:右体落、右大内刈、右内股

2011年パリ世界選手権金メダリスト。引き手で袖を持つところから組み手の手順をスタートする、これも典型的なフランス型のパワーファイター。スピードとパワーを高いレベルで兼ね備えており、相手の腕を畳み込んでから開いて仕掛ける右大外刈が最大の武器。メンタル面にムラがあり、乗らないときにはあからさまにやる気のない様子で早期敗退することもある。勝利した際の恒例となっているダンスや派手なジェスチャーを交えた応援など、畳の外でもひときわ目立つ存在だ。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 2位
2012年 ロンドン五輪 3位
2011年 パリ世界選手権 優勝

【最近の成績】
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 3位
2018年4月 ヨーロッパ選手権 2位
2018年3月 グランプリ・トビリシ 優勝

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フッシェ・ステインハウス

フッシェ・ステインハウス(オランダ)
STEENHUIS Guusje
25歳 1992/10/27
WR:1位 組み手:左組み
得意技:左大内刈、左内股
使用技:左大外刈、左小内刈、左足車

オランダのツートップの一人。力自慢が多い78kg級でも頭一つ抜けた怪力を誇る。力の伝わりやすい両襟の状態から、得意技の左大内刈や左内股を仕掛けて相手をねじ伏せる。ハンドル操作による相手の重心のコントロールが非常に上手く、足を引っ掛けたところから強引に投げ切ってしまう。立技から寝技への移行が意外に早く、伏せ際の絞技には注意が必要。パワーに頼りすぎる柔道スタイルゆえか、実力十分ながらいまだに世界大会での表彰台はない。

【おもな戦績】
2016年 グランドスラム・アブダビ 優勝
2016年 ワールドマスターズ・グアダラハラ 3位
グランドスラム・バクー 優勝3回(2015年、2016年、2017年)

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 3位
2018年2月 グランドスラム・パリ 2位
2017年 ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 3位

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マルヒンデ・フェルケルク

マルヒンデ・フェルケルク(オランダ)
VERKERK Marhinde
32歳 1985/11/21
WR:7位 組み手:左組み
得意技:右一本背負投、右背負投
使用技:出足払、右大外刈、右小内刈

オランダのツートップの一人。32歳のベテランながら昨年のワールドマスターズで優勝を飾るなど、いまだ階級上位に座り続けている。左組みだが、仕掛ける技は専ら右一本背負投。下がりながら激しく相手を煽り、一気に腰を切って立ち姿勢のまま仕掛ける。それ以外の技も右一本背負投フェイントからの右大外刈や右小内刈など、右技ばかりだ。

【おもな戦績】
ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 優勝
2012年 ロンドン五輪 5位
世界選手権 5位以内5回(2009年優勝、2011年5位、2013年2位、2015年3位、2017年5位)

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 7位

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ナタリー・パウエル

ナタリー・パウエル(イギリス)
POWELL Natalie
27歳 1990/10/16
WR:2位 組み手:左組み
得意技:左内股、左払腰
使用技:左大内刈、横車、裏投、谷落

昨年の世界選手権銅メダリスト。背中を抱いて、脇を差してといった密着が基本形。引き手を引いて相手を抱き込んだ形から腰を切って相手の懐に侵入、内へ外へと威力のある技を放つ。捨身技も得意としており、背中を抱いた状態から横車、裏投、谷落と状況に応じて複数の技を使い分ける。密着を生命線とするスタイルながら以前は線が細く、それゆえ勝ち切れないことが多かった。しかし近年体の力が増してきており、それに比例して成績も向上しているという印象。

【おもな戦績】
2017年 ブダペスト世界選手権 3位
2016年 リオデジャネイロ五輪 7位
2015年 ワールドマスターズ・ラバト 2位

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 3位
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 2回戦敗退
2018年4月 ヨーロッパ選手権 3位

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カリエマ・アントマルチ

カリエマ・アントマルチ(キューバ)
ANTOMARCHI Kaliema
30歳 1988/4/25
WR:12位 組み手:左組み
得意技:左大内刈、送足払
使用技:左内股、左大外刈、左小内刈、裏投、谷落、隅返

昨年の世界選手権銅メダリスト。昨年以来好調を維持している30歳のベテラン選手。今年は2009年以来となるパンナム王者の座も手に入れた。柔道のベースは組み手争いから放つ足技。一気に間合いを詰めてもたれ掛かるような左大内刈や、相手に腰を切ることを強いて払い上げる送足払が得意。密着しての攻防も得意としており、相手の技を裏投や谷落で返しての得点も多い。

【おもな戦績】
2018年4月 パンナム選手権 優勝
2017年 ブダペスト世界選手権 3位
2013年 リオデジャネイロ世界選手権 5位

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 5位
2018年2月 グランドスラム・デュッセルドルフ 7位

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ルイーズ・マルツァーン

ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)
MALZAHN Luise
28歳 1990/6/9
WR:16位 組み手:右組み
得意技:右大外刈、右大腰
使用技:左小外掛、引込返、隅返、左袖釣込腰

2015年アスタナ世界選手権銅メダリスト。相手を懐に抱き込む横変形の形が基本。最大の武器は右大外刈、この技は片襟やクロスグリップなど様々な形から仕掛けてくる。脇を差した状態からは右大腰を得意としており、この大技一撃による得点も多い。袖の絞り合いからの左袖釣込腰や相手を懐に抱き込んでの隅返など、攻撃のバリエーションは意外に豊富。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 5位
2015年 アスタナ世界選手権 3位
2015年 ワールドマスターズ・ラバト 5位

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 2回戦敗退
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 5位
2018年3月 グランドスラム・エカテリンブルグ 2位

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アナ=マリア・ヴァグナー

アナ=マリア・ヴァグナー(ドイツ)
WAGNER Anna Maria
22歳 1996/5/17
WR:16位 組み手:両組み
得意技:右払腰、右内股
使用技:右大外刈、右大内刈、左払腰、左内股、隅落

ドイツの若手パワーファイター。組み手の左右が利く器用な選手で、払腰、内股といずれも左右に仕掛けることが出来る。ベースは右組みであり、技の威力もこちらのほうが強力。際の勝負を得意としており、技を浅く打って相手の返し技を誘い、もつれながら相手の上に着地するパターンでの得点も多い。

【おもな戦績】
2018年3月 グランドスラム・エカテリンブルグ 2位
2016年 グランドスラム・アブダビ 2位
2015年 世界ジュニア選手権 3位

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 2回戦敗退
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 5位
2018年4月 ヨーロッパ選手権 3位

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クララ・アポテカー。身長なんと187センチ。

クララ・アポテカー(スロベニア)
APOTEKAR Klara
21歳 1997/8/2
WR:14位 組み手:右組み
得意技:隅返、横掛、寝技
使用技:右大内刈、右払腰、右内股、隅落

捨身技中心の変則ファイター。階級屈指の長身(手元の資料では187センチ)からリーチの長さを生かして相手を抱き込み、隅返や倒れ込んでおいてからもう一段刈り上げる変形の横掛を仕掛ける。自ら引き込んで寝技に持ち込むことが多いが、こちらは詰めが甘く、それほど取り味があるわけではない。最近は懐の深さを生かして相手を捲る隅落や、圧殺により「指導3」を得ての勝利が多い。

【おもな戦績】
2017年 グランプリ・デュッセルドルフ 3位
2016年 グランドスラム・チュメニ 2位
2015年 世界ジュニア選手権 2位

【最近の成績】
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 2位
2018年4月 ヨーロッパ選手権 1回戦敗退
2018年2月 グランドスラム・デュッセルドルフ 3位

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ベルナデッテ・グラフ

ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)
GRAF Bernadette
26歳 1992/6/25
WR:35位 組み手:左組み
得意技:裏投、左大腰、左浮腰
使用技:谷落、移腰

昨年70kg級から階級を変更。昨年の世界選手権前にはオドレイ・チュメオ(フランス)や佐藤瑠香(コマツ)を破るなどして注目を集めた。基本形は釣り手で腰を抱いての密着。階級内では小柄な体格を生かして相手の腰の下から腰を入れ、裏投や大腰といった大技を仕掛ける。今年はまだ主要大会には姿を見せておらず、この1年間でどこまで階級に適応出来ているかが第一の注目ポイント。

【おもな戦績】
2017年 グランプリ・フフホト 優勝
2016年 リオデジャネイロ五輪 5位 ※70kg級
2016年 ワールドマスターズ・グアダラハラ 2位 ※70kg級

【最近の成績】
2017年 グランプリ・タシケント 5位
2017年 世界選手権 2回戦敗退

その他有力選手

・ヤヒマ・ラミレス(ポルトガル)
・マー・ジェンジャオ(中国)
・ロリアナ・クカ(コソボ)

■ シード予想
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三強は綺麗に山が分かれた

三強はきれいにプールが分かれて配置され、マイラ・アギアール(ブラジル)がプールB、濵田尚里(自衛隊体育学校)がプールC、オドレイ・チュメオ(フランス)がプールDに割り振られた。アギアールは準々決勝で今期絶好調、優勝候補のマドレーヌ・マロンガ(フランス)と対戦予定。各選手の調子次第ではここが事実上の決勝となる可能性も高く、決して見逃せない予選ラウンドの最注目対決だ。

一方、濵田とチュメオは準決勝で決勝進出を賭けて対戦予定。それぞれプール内に濵田がナタリー・パウエル(イギリス)、チュメオがマルヒンデ・フェルケルク(オランダ)を抱えているものの、平常運行であればここで敗れることはないだろう。濵田とチュメオのこれまで対戦成績は2勝2敗と五分。チュメオのメンタルコンディション、そして濵田がどこまで寝技を徹底できるかが勝負を分けるポイントだ。

ノーシードの有力選手で気になるのはベルナデッテ・グラフ(オーストリア)の配置。この選手は今年は一度も主要大会に現れておらず、現在どの程度の力を持っていうのかは完全に未知数。三強とマロンガ相手にアップセットを演じるほどの強さはないと思われるが、可能であれば対戦を避けたい不気味な存在だ。

【プールA】
第1シード:フッシェ・ステインハウス(オランダ)
第8シード:カリエマ・アントマルチ(キューバ)

【プールB】
第4シード:マドレーヌ・マロンガ(フランス)
第5シード:マイラ・アギアール(ブラジル)

【プールC】
第2シード:ナタリー・パウエル(イギリス)
第7シード:濵田尚里(自衛隊体育学校)

【プールD】
第3シード:オドレイ・チュメオ(フランス)
第6シード:マルヒンデ・フェルケルク(オランダ)

※ eJudoメルマガ版9月19日掲載記事より転載・編集しています。

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