PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

【バクー世界柔道選手権2018特集】階級の構図動かす新たなトピックはなし、大野陽子と新井千鶴の優勝争いに注目・女子70kg級概況×有力選手紹介

(2018年9月18日)

※ eJudoメルマガ版9月18日掲載記事より転載・編集しています。
【バクー世界柔道選手権2018特集】階級の構図動かす新たなトピックはなし、大野陽子と新井千鶴の優勝争いに注目
女子70kg級概況×有力選手紹介
→特設ページ・バクー世界選手権2018完全ガイド

文責:林さとる/古田英毅

■ 階級概況
eJudo Photo
70kg級実力推測マップ。海外勢のレベルがそれほど高くなく、新井と大野の特徴と関係が優勝争いを揺らす最大の要素

ヨーロッパ選手権王者のキム・ポリング(オランダ)が欠場。階級のトップ選手1名を欠くこととなり、ただでさえ決して高くない本階級のレベルがさらに一段下がることとなった。

「有力な新人の登場」や「序列の再編」「世代間の勢力争い」「軸になる対立構造」「強国一国の勃興」などの階級を括る新しいトピックもない。欧州シリーズ2連勝の大野陽子1枚の登場はあるものの、ものすごく大雑把に言って、昨年と同じメンバーでシード編成とドローをもう1回やり直して戦う大会という印象。五輪に向けた直線的時間の流れでなく、円環的時間の中で競われる大会と言えそうだ。ファンとしては日本勢2名による「東京五輪の代表レースとしての優勝争い」以外に見どころを見出しにくい状況。

優勝争いに絡むだけの実力を持つのは、大野陽子(コマツ)と新井千鶴(三井住友海上)の日本勢2名に、ジュリ・アルベール(コロンビア)とマリア・ポーテラ(ブラジル)のパンナム勢2名を足した計4名まで。

その中で、日本勢2人の特徴と相性関係が優勝争いを揺らす最大の要素。その位置付けは、対海外勢では大野よりも安定した強さを持つ新井と、新井ほどの海外勢に対する強さはないが、新井に対してはめっぽう強い大野というものだ。新井は大野との対戦がなければそのまま優勝の可能性が高く、逆に大野が新井に勝利するようだとそれ以外の選手の勝利の可能性が揃って一律に増すこととなる。ただし、階級全体のレベルが高くないことも手伝って、大野もよほどのことがない限り海外勢に遅れを取ることはないはず。そのことを考えると最も優勝に近いのは大野だと言うことができるだろう。

■ 有力選手
eJudo Photo
日本の第一代表は大野陽子

大野陽子(コマツ)
ONO Yoko
28歳 1989/11/27
WR:12位 組み手:左組み
得意技:寝技、左内股
使用技:左小内刈、右一本背負投、右小外刈、出足払

28歳にして初めて世界選手権代表の座を射止めた苦労人。体の強さと組み力を生かした圧力柔道をベースに、足を飛ばしながら前に出続けることで試合の展開を作る。最大の武器は寝技。「腹包み」から相手の股を持って捲る形を得意としており、一本勝ちのほとんどはここから相手を抑え込んでのもの。スタイル的に「指導3」での勝利が多いが、4月の全日本選抜体重別選手権では決勝でライバルの新井千鶴(三井住友海上)から豪快な右一本背負投で「一本」を奪った。突進型であるが「目を瞑って出る」タイプではなく、試合の端々に、積んできた稽古と、投下した思考の「量」を感じさせる選手。

【おもな戦績】
2018年2月 グランドスラム・デュッセルドルフ優勝
2017年 グランドスラム東京 優勝
アジア選手権 優勝2回(2016年、2017年)

【最近の成績】
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 2位
2018年4月 全日本選抜体重別選手権 優勝

eJudo Photo
連覇を狙う新井千鶴

新井千鶴(三井住友海上)
ARAI Chizuru
24歳 1993/11/1
WR:6位 組み手:左組み
得意技:左内股、左大外刈
使用技:左大内刈、左小内刈、左小外刈、右袖釣込腰

現役世界王者。昨年のブダペスト世界選手権では地力の高さをベースに他のライバルたちを圧倒、この選手の本来性である技の切れ味だけではなく、むしろ力押しで正面から世界の頂に登り切った。しかし、チャンピオンとして周囲にマークされるようになると組み手や作りの甘さゆえに勝ち切ることができなくなり、今大会にも第2代表としての出場となった。公開練習を見る限りでは、逆技の右袖釣込腰や釣り手を絞られたまま相手の腕をまとめて仕掛ける左内股など、技術的な引き出しを増やす方向に舵を切っている模様。今大会でどのような進化した姿を見せてくれるのかに期待したい。得意技は切れ味鋭い左内股。

【おもな戦績】
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝
2015年 アスタナ世界選手権 5位
グランドスラム東京 優勝2回(2013年、2015年)

【最近の成績】
2018年5月 グランプリ・フフホト 3位
2018年4月 全日本選抜体重別選手権 2位
2018年2月 グランドスラム・パリ 2位

eJudo Photo
ジュリ・アルベール

ジュリ・アルベール(コロンビア)
ALVEAR Yuri
32歳 1986/3/29
WR:15位 組み手:右組み
得意技:右大外刈、右小内刈
使用技:右払腰、右小外刈、右大腰

世界選手権で3回の優勝(2009年、2013年、2014年)を誇る、階級を代表する強豪。クロスグリップからの技を得意としており、試合でもこの形を選択することが多い。クロスグリップの弱点である裏投に対してもカウンターの右小内刈という具体的な対抗策を備えており。ガツガツ前に出る攻撃的なスタイルながら柔道の技術体系は非常に論理的。調子に波のある選手だが、フォーカスした大会では必ず好パフォーマンスを見せている。32歳となって衰えが見え始めている感もあるが、もともとこの人は世界大会以外では力を出し切らない選手。今大会の出来が衰えの有無、アルベールの2020年に向けたベクトルの判断材料になるはず。コーチを務めるのは明治大出身の早川憲幸氏。師匠と二人三脚で打倒日本を目指す。日本勢最大のライバル。

【おもな戦績】
2017年 ブダペスト世界選手権 3位
2016年 リオデジャネイロ五輪 2位
2015年 アスタナ世界選手権 3位
世界選手権 優勝3回(2009年、2013年、2014年)

【最近の成績】
2018年4月 パンナム選手権 優勝
2018年2月 グランドスラム・デュッセルドルフ 7位

eJudo Photo
マリア・ポーテラ

マリア・ポーテラ(ブラジル)
PORTELA Maria
30歳 1988/1/14
WR:1位 組み手:右組み
得意技:右背負投、左大内刈、出足払、払釣込足、裏投
使用技:左大腰、左浮腰、右袖釣込腰、隅落、浮落、谷落

昨年のワールドマスターズ王者。体格はひときわ小柄ながら、その体に大型選手に負けないパワーを備えている。低い重心が生み出す腰の重さが武器、得意技は右背負投。そしてこの技以外に用いるのはほとんどが組み手とは逆の左技である。釣り手のみを持った状態から一気に左に腰を切って仕掛ける左大腰や裏投はその腰の位置の低さゆえに相当な威力あり。足技の切れ味も特筆すべき特徴、出足払や払釣込足での勝利も多い。見た目の通り受けが強く、相手の技を一度受けてからのカウンターも得意。

【おもな戦績】
2017年 ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 優勝
2017年 ブダペスト世界選手権 7位
2013年 リオデジャネイロ世界選手権 7位

【最近の成績】
2018年5月 グランプリ・フフホト 5位
2018年3月 グランドスラム・エカテリンブルグ 優勝

eJudo Photo
サリー・コンウェイ

サリー・コンウェイ(イギリス)
CONWAY Sally
31歳 1987/2/1
WR:9位 組み手:右組み
得意技:右小内刈、寝技
使用技:隅返、巴投、右小外刈、右腰車、右内股

リオデジャネイロ五輪銅メダリスト。階級屈指の寝業師であり、今年2月のグランドスラム・パリでは世界王者の新井千鶴(三井住友海上)を相手に、投げられたところから反対に横四方固で抑え込んで勝利している。右小内刈で伏せさせる、隅返、巴投で引き込むなどして得意の寝勝負へと持ち込み、腕挫腕型や腕挫十字固で相手を仕留めるのが必勝パターン。といっても立技が出来ないというわけではなく、相手の背中深くを持って仕掛ける右内股には警戒が必要。

【おもな戦績】
2018年2月 グランドスラム・パリ 優勝
2016年 リオデジャネイロ五輪 3位
2009年 ロッテルダム世界選手権 5位

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 3位
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 3位
2018年4月 ヨーロッパ選手権 2位

eJudo Photo
マリー=イヴ・ガイ

マリー=イヴ・ガイ(フランス)
GAHIE Marie Eve
21歳 1996/11/27
WR:2位 組み手:右組み
得意技:右釣込腰、右払腰、右払巻込
使用技:右小外掛、右大外刈、裏投

フランスの若きパワーファイター。パワーは階級屈指、これをベースにガツガツと貪欲に攻め続ける。横変形やクロスグリップといった相手の腕を抱き込む形が得意で、ここから強引に腰を差し入れて腰技を仕掛けるのが必殺の形。一度耐えられたところからでも巻き込みに変化して投げきってしまうだけの馬力があるので対応には注意したいところ。腰技をフェイントに用いた右小外掛や谷落なども備えており、相手が警戒して腰を引いた場合にはこちらでの得点が多い。

【おもな戦績】
2017年 ブダペスト世界選手権 5位
2017年 ヨーロッパ選手権 3位
2016年 グランドスラム・アブダビ 優勝

【最近の成績】
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 優勝
2018年4月 ヨーロッパ選手権 2回戦敗退
2018年3月 グランプリ・トビリシ 優勝

eJudo Photo
アンナ・ベルンホルム

アンナ・ベルンホルム(スウェーデン)
BERNHOLM Anna
27歳 1991/3/5
WR:3位 組み手:左組み
得意技:隅返、引込返、左内股
使用技:左大内刈、左小内刈、 釣込腰、釣腰

昨年のワールドマスターズ銅メダリスト。懐の深さを生かして相手を抱き込む形が基本。釣り手で背中深くを持って相手を引き寄せ、両襟での密着勝負に持ち込む。技の精度は総じて低く、ポイント獲得の場面はほとんどもつれ合った状態から力任せに相手をねじ伏せたもの。釣込腰や釣腰も用いるが、こちらでの得点はほとんどない。隅返や引込返で引き込んで寝勝負を挑むことが多く、伏せ際の攻防には一定の警戒が必要。

【おもな戦績】
2017年 ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 3位
2017年 グランドスラム・アブダビ 優勝
2018年4月 グランプリ・アンタルヤ 優勝

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 5位
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 7位
2018年5月 グランプリ・フフホト 5位

eJudo Photo
サンネ・ファンダイ

サンネ・ファンダイク(オランダ)
VAN DIJKE Sanne
23歳 1995/7/21
WR:4位 組み手:右組み
得意技:右釣込腰、右払腰、右内股
使用技:右小外掛、谷落、右袖釣込腰

昨年のヨーロッパ選手権王者。横変形で相手の腕を抱え込む形を基本形としており、ここからの腰技が最大の武器。釣り手の位置を低く構えることが多く、ここから大腰のような理合で相手を吊り上げるようにして技を仕掛ける。右釣込腰、右払腰、右内股など種々を用いるが、理合はすべてこれ。前技フェイントからの谷落も得意としており、こちらもなかなかの取り味を誇っている。

【おもな戦績】
2018年5月 グランプリ・フフホト 優勝
2017年 ヨーロッパ選手権 優勝
2017年 グランドスラム・エカテリンブルク 優勝

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 2位
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 5位

eJudo Photo
マリア・ペレス

マリア・ペレス(プエルトリコ)
PEREZ Maria
29歳 1989/2/1
WR:13位 組み手:左組み
得意技:左大腰(変形)、右一本背負投、左一本背負投
使用技:左小外刈、出足払、右大外刈(一本大外)、左大内刈、隅返

昨年の世界選手権準優勝者。同大会ではノーマークから変則の左大腰を決めまくり決勝に進出、強烈なインパクトを残した。ペレスの代名詞ともなっているこの技は腕挫脇固の形から腰を差し入れ縦回転で投げる、一歩間違えれば相手の肘を破壊しかねない荒業。事実これが反則とみなされ敗れたこともある。組み技に担ぎ技を仕掛ける形を基本スタイルとしており、左右の一本背負投が主な武器。足技もなかなか上手く、左小外刈や出足払による得点も多い。

【おもな戦績】
2017年 ブダペスト世界選手権 2位
2017年 グランドスラム東京

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 7位
2018年5月 グランプリ・フフホト 2回戦敗退
2018年4月 パンナム選手権 5位

eJudo Photo
マリア・ベルナベウ

マリア・ベルナベウ(スペイン)
BERNABEU Maria
30歳 1988/2/15
WR:27位 組み手:右組み
得意技:寝技、右払腰
使用技:右大内刈、右内股、左一本背負投

2015年アスタナ世界選手権銀メダリスト。それまではほとんど無名の選手であったが、同大会での活躍以降は階級のトップ層に居座り一定の成績を残している。柔道のベースは階級随一のパワーと長い手足。強引に上から奥を叩き、得意の右払腰を仕掛ける。圧を掛けながらの足技で相手を畳に伏せさせ「横三角」からの崩上四方固で抑え込むのが鉄板パターン。落差のある左一本背負投も用いる。

【おもな戦績】
2017年 ブダペスト世界選手権 3位
2016年 リオデジャネイロ五輪 5位
2015年 アスタナ世界選手権 2位

【最近の成績】
2018年6月 ヨーロッパオープン・マドリード 5位
2018年4月 ヨーロッパ選手権 5位
2018年4月 グランプリ・アンタルヤ 7位

eJudo Photo
ケリタ・ズパンシック

ケリタ・ズパンシック(カナダ)
ZUPANCIC Kelita
28歳 1990/5/9
WR:10位 組み手:左組み
得意技:左大外刈、左小内刈、寝技
使用技:左払腰、左大内刈、浮技

階級上位に長く居続ける強豪。爆発力はないが抜群の安定感を誇り、多くの試合で表彰台に上がっている。パワーファイターの多い本階級にあってはそれほど力が強いわけではなく、横変形の形を基本としてこれに対応している。得意技は遠間から足を引っ掛けての左大外刈や左小内刈。寝技も得意としており、相手を足技で伏せさせて「横三角」から崩上四方固で抑え込む形での勝利が多い。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 7位
2014年 チェリャビンスク世界選手権 7位
2013年 ワールドマスターズ・チュメニ 2位

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 3位
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 2回戦敗退
2018年5月 グランプリ・フフホト 2位

その他有力選手

・アッスマ・ニアン(モロッコ)
・ジョン・ヘジン(韓国)
・エルビスマール・ロドリゲス(ベネズエラ)
・ジェンマ・ハウエル(イギリス)
・ジョヴァンナ・スコッチマッロ(ドイツ)
・ツェンドアユシュ・ナランジャルガル(モンゴル)
・サビナ・ゲルチャク(ハンガリー)
・ミヘイラ・ポレレス(オーストリア)

■ シード予想
eJudo Photo

【プールA】
第1シード:マリア・ポーテラ(ブラジル)
第8シード:ケリタ・ズパンシック(カナダ)

【プールB】
第4シード:サンネ・ファンダイク(オランダ)
第5シード:新井千鶴(三井住友海上)

【プールC】
第2シード:マリー=イヴ・ガイ(フランス)
第7シード:サリー・コンウェイ(イギリス)

【プールD】
第3シード:アンナ・ベルンホルム(スウェーデン)
第6シード:アッスマ・ニアン(モロッコ)

※ eJudoメルマガ版9月18日掲載記事より転載・編集しています。

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る
→「書評・DVD評」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.