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【バクー世界柔道選手権2018特集】V候補筆頭は出口クリスタ、ドルジスレンと芳田司はコンディションが勝負の鍵・女子57kg級概況×有力選手紹介

(2018年9月18日)

※ eJudoメルマガ版9月18日掲載記事より転載・編集しています。
【バクー世界柔道選手権2018特集】V候補筆頭は出口クリスタ、ドルジスレンと芳田司はコンディションが勝負の鍵
女子57kg級概況×有力選手紹介
■ 階級概況
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戦力推測マップ。出口クリスタ、芳田司、ドジスレン・スミヤが階級三強。

ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)、出口クリスタ(カナダ)、芳田司(コマツ)の3名が現在の57kg級における三強。このなかで最も優勝に近いのは、今シーズン28勝1敗、勝利は全て一本勝ち(反則含む)ともっか絶好調の出口だ。本来であれば現役世界王者のドルジスレンを推すべきところだが、ドルジスレンは8月のアジア大会で格下に負けて3位と振るわず内容も悪し、芳田も公開練習の様子を見る限り好調とは言い難い。

出口の柔道スタイルは丁寧な組み手と足技を核としており安定感抜群、投げ一発の強さ以上にこれが出口を「推せる」なによりの根拠だ。最高到達点の高さではラファエラ・シウバ(ブラジル)もこの3名に割って入る力を持っているが、あまりに調子の波が大き過ぎるため、次戦予測の段階で推すことは難しい。上記3名(プラス1名)の力は近いレベルで競っており、コンディションの好不調で順位が入れ替わる可能性も十分に。まずは序盤戦、各選手の勝ち上がりに注目したい。

国内の57kg級は選抜体重別を制した玉置桃(三井住友海上)が勃興中、アジア大会に優勝してグランドスラム大阪の権利を得たことに加え、ドルジスレンに2連勝と世界大会のメインターゲットに対する相性の良さも示して大きく存在感を上げている。芳田は今回結果を出せなければ玉置に対して明確なアドバンテージがない状態でグランドスラム大阪での直接対決を迎えることとなり、52kg級の志々目愛(了徳寺学園職)らと同様実はここがキャリアの大きな分岐点になりえる状況。リオ後の日本の57kg級を背負って来た芳田がこのプレッシャーの中でどのような戦いを見せるのか、その真価が問われる大会だ。

表彰台争いについては上記3人で3枠までを占めるのはほぼ確実。下記で紹介する有力選手たちが残る表彰台の1枠を賭けて熾烈な争いを行うこととなる。誰が勝ってもおかしくない大混戦だが、可能性としてはクォン・ユジョン(韓国)、エレン・ルスヴォ(フランス)、ネコダ・スミス=デイヴィス(イギリス)らの名前を挙げておきたい。

ほか、この階級には今大会の最年長選手である38歳のザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)を筆頭に、36歳のミリアム・ローパー(パナマ)や32歳のテルマ・モンテイロ(ポルトガル)など一線級で活躍を続けるベテラン選手が多く参加している。優勝争いは別として、これらの選手の戦いぶりにも是非注目したいところ。

■ 有力選手
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日本代表は昨年の銀メダリスト芳田司

芳田司(コマツ)
YOSHIDA Tsukasa
22歳 1995/10/5
WR:2位 組み手:左組み
得意技:左内股、右一本背負投、左小外刈、寝技
使用技:右内巻込、左払腰、左大外刈、出足払、送足払、右袖釣込腰

ブダペスト世界選手権の準優勝者。昨年は世界選手権、ワールドマスターズといずれも決勝でドルジスレン・スミヤ(モンゴル)に敗れてタイトル獲得に失敗、キャリアハイの成績を残しながらも、同時に不完全燃焼の1年でもあった。得意技は切れ味抜群の左内股。しかし、近年は周囲の徹底警戒にあい、これを突破すべく逆技の右一本背負投など攻撃のバリエーションを増やしている。豪快な投げ技のイメージが強い芳田だが、足技と寝技も非常に得意、蹴り崩して寝技で仕留めるパターンでの勝利も多い。

【おもな戦績】
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝
2017年 アジア選手権 優勝
グランドスラム東京 優勝3回(2015年、2016年、2017年)

【最近の成績】
2018年2月 グランドスラム・パリ 2位
2017年 ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 2位
2017年 グランドスラム・東京 優勝

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出口クリスタが優勝候補の筆頭

クリスタ・デグチ(カナダ)
DEGUCHI Christa
22歳 1995/10/29
WR:6位 組み手:右組み
得意技:右大外刈、右大外落、右大内刈
使用技:右小外刈、右背負投、右払腰

カナダ人の父と日本人の母の間に生まれ、昨年カナダ国籍を取得。今年に入ってからは国際大会で28勝1敗、さらに勝利は全て一本勝ち(反則含む)とまさしく絶好調であり、優勝候補という立場で初の世界選手権に臨む。得意技は低く潜り込むように仕掛ける右大外刈。右大内刈も高い取り味を誇り、低く刈り倒す、あるいはクロスグリップで浴びせ倒すなど決めのパターンも豊富。丁寧な組み手と足技を基本としたスタイルのために失点も少なく、寝技も高水準。攻守に隙がなく、全てのパラメータが高いレベルでバランスしている。世界チャンピオンの資格、既に十分である。美人柔道家としても有名。

【おもな戦績】
2018年4月 パンナム選手権 優勝
2018年2月 グランドスラム・パリ 優勝

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 3位
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 優勝
2018年5月 グランプリ・ザグレブ 優勝

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連覇を狙うドルジスレン・スミヤ

ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)
DORJSUREN Sumiya
27歳 1991/3/11
WR:1位 組み手:左組み
得意技:左背負投、左背負投(韓国背負い)、左膝車
使用技:左釣込腰、左内巻込、浮落、左小外刈

現役世界王者。体の強さとスタミナをベースに担ぎ技を連発、まず手数で圧倒することを基本戦術としている。以前は「指導」逃げ切りスタイルの選手だったが、近年は投げの威力が飛躍的にアップ。担ぎ技による「一本」獲得が増えてきている。得意技の左背負投は片手、「韓国背負い」とバリエーション豊富。ここぞという場面で使用する逆技の右腰車にも注意が必要だ。先月末のアジア大会ではモンゴル勢がいったいに不調、ドルジスレンもまったく元気なく3位に終わった。あれからわずか3週間、どのような状態で畳に現れるのか、まずは序盤戦に注目。

【おもな戦績】
2017年 ブダペスト世界選手権 優勝
2016年 リオデジャネイロ五輪 2位
ワールドマスターズ 優勝4回(2013年、2015年、2016年、2017年)

【最近の成績】
2018年8月 アジア大会 3位
2018年7月 アジアオープン台北 優勝
2018年3月 グランドスラム・エカテリンブルク 3位

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ラファエラ・シウバ

ラファエラ・シウバ(ブラジル)
SILVA Rafaela
25歳 1992/4/24
WR:9位 組み手:左組み
得意技:出足払、左小外刈、寝技
使用技:左払腰、左内股、左小外掛、隅返、肩車

ムラ気の天才。ファベーラと呼ばれる貧民街からブラジリアン柔術を通じて見出され、地元開催のリオデジャネイロ五輪ではみごと金メダルを獲得した。調子の波が大きく、強豪をまったく寄せ付けずに圧勝することもあれば、無名選手にあっさりと負けることもある。最大の武器は柔術ベースの寝技、切れ味鋭い足技も得意。立ち姿勢からの関節技が禁止されたことで得意の「跳び十字」は使用できなくなったが、立技から寝技への際の上手さは健在であり、さほど大きなマイナスにはなっていないと見る。とにかく試合が始まってみるまで全てが読めない。この選手も序盤戦に注目。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 優勝
2013年 リオデジャネイロ世界選手権 優勝
2011年 パリ世界選手権 2位

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 優勝
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 5位
2018年5月 グランプリ・フフホト 2回戦敗退

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クォン・ユジョン

クォン・ユジョン(韓国)
KWON Youjeong
23歳 1995/6/17
WR:12位 組み手:左組み
得意技:左背負投、右袖釣込腰、左体落
使用技:右一本背負投、左小外刈、左小内刈

昨年のグランドスラム・パリで芳田司(コマツ)、ラファエラ・シウバ(ブラジル)ら階級の上位陣を立て続けに破って優勝。一気にトップグループの仲間入りを果たした。典型的な韓国型担ぎ技選手であり、担ぎ技を連発して攻撃のリズムを作る。「韓国背負い」はほとんど用いず、その代わりに右袖釣込腰の割合が高め。低く潜り込むような左体落を得意としており、この技にも注意が必要だ。

【おもな戦績】
2017年 ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 3位
2017年 ブダペスト世界選手権 7位
2017年 グランドスラム・パリ 優勝

【最近の成績】
2018年5月 グランプリ・フフホト 3位
2018年2月 グランドスラム・パリ 2回戦敗退
2018年1月 グランプリ・チュニス 2位

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エレン・ルスヴォ

エレン・ルスヴォ(フランス)
RECEVEAUX Helene
27歳 1991/2/28
WR:8位 組み手:右組み
得意技:右内股、右大内刈、寝技
使用技:左小外刈、右払腰、右一本背負投

ブダペスト世界選手権の銅メダリスト。正統派パワーファイターであり、奥襟を持って右内股や右払腰を仕掛ける。相手に耐えられても強引に投げ切ってしまう場面が多く、その馬力と泥臭さがこの選手の特徴。組み際に急加速して仕掛ける脇を差しての右大内刈は要注意。寝技も得意としており、パワーで相手をねじ伏せ、寝技で仕留めるという試合も多い。

【おもな戦績】
2017年 ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 3位
2017年 ブダペスト世界選手権 3位
2016年 グランドスラム・アブダビ 優勝

【最近の成績】
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 3回戦敗退
2018年4月 ヨーロッパ選手権 2回戦敗退
2018年3月 グランプリ・トビリシ 2位

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コダ・スミス=デイヴィス

ネコダ・スミス=デイヴィス(イギリス)
SMYTHE-DAVIS Nekoda
25歳 1993/4/22
WR:5位 組み手:右組み
得意技:右払腰、右大腰
使用技:右内股、右大内刈、左袖釣込腰、右一本背負投

昨年の世界選手権銅メダリスト。階級を代表するパワーファイターであり、得意技は奥襟や背中を持っての右払腰。組み際に引き手で脇を差して仕掛ける右大内刈も高い威力を誇っている。使用頻度は低いが左袖釣込腰や右一本背負投も用いるなど、イメージに反して実は攻撃手段は多彩だ。アフリカ系ヨーロッパ選手の例に漏れず基本に忠実な組み手を徹底しており、引き手を先に持ってから自分の形を組み立てる。

【おもな戦績】
2018年2月 グランドスラム・デュッセルドルフ 優勝
2017年 ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 5位
2017年 ブダペスト世界選手権 3位

【最近の成績】
2018年7月 グランプリ・ザグレブ 2回戦敗退
2018年4月 ヨーロッパ選手権 2回戦敗退

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テルマ・モンテイロ

テルマ・モンテイロ(ポルトガル)
MONTEIRO Telma
32歳 1985/12/27
WR:35位 組み手:右組み
得意技:巴投、出足払、寝技
使用技:右一本背負投、右袖釣込腰、右背負投、右小外刈、隅返、右釣込腰

代表的なシルバーコレクター。2007年リオデジャネイロ大会(52kg級)、2009年ロッテルダム大会、2010年東京大会、そして2014年チェリャビンスク大会と世界選手権で計4度銀メダルを獲得している。32歳のベテランながら現在も階級のトップグループに位置。かつては左構えから右の担ぎ技を仕掛ける柔道スタイルだったが、現在は巴投や足技で寝技に持ち込み、腕挫十字固で仕留めるパターンを得意としている。美人柔道家としても有名。

【おもな戦績】
2016年 リオデジャネイロ五輪 3位
世界選手権 2位4回(2007年 ※52kg級、2009年、2010年、2014年)
ヨーロッパ選手権 優勝5回(2006年、2007年、2009年、2012年、2015年)

【最近の成績】
2018年8月 グランプリ・ブダペスト 2回戦敗退
2018年4月 ヨーロッパ選手権 3位
2018年3月 グランドスラム・エカテリンブルク 優勝

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レン・チェンリン

レン・チェンリン(台湾)
LIEN Chen-Ling
30歳 1988/1/31
WR:14位 組み手:左組み
得意技:左内股、寝技
使用技:左大内刈、出足払

実業団のコマツ所属。山梨学院大の留学生として来日して以来、日本で柔道を続けている。柔道スタイルは姿勢良く構えて二本持った状態から左内股や左大内刈を狙うオーソドックスなもの。得意技は後ろ回りさばきで相手を引き出し、作用足を捩じ込むように仕掛ける左内股。「横三角」からの崩上四方固も得意としており、獲得ポイントのほとんどはこのどちらかの技によるもの。日本柔道に精通しているほか、芳田司(コマツ)にとっては所属の先輩。ブダペスト世界選手権では実力差以上に苦しめられた。

【おもな戦績】
2017年 ブダペスト世界選手権 7位
2016年 リオデジャネイロ五輪 5位
2009年 ロッテルダム世界選手権 7位

【最近の成績】
2018年8月 アジア大会 3位
2018年5月 グランプリ・フフホト 2回戦敗退
2018年3月 グランドスラム・エカテリンブルク 2位

その他有力選手

・テレザ・シュトル(ドイツ)
・ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)
・ノラ・ヤコヴァ(コソボ)
・ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)
・ジェシカ・クリムカイト(カナダ)
・アナスタシア・コンキナ(ロシア)
・ミリアム・ローパー(パナマ)
・ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)
・アメリー・シュトル(ドイツ)
・ヨワナ・ロギッチ(セルビア)
・プリシラ・ネト(フランス)
・キム・チス(韓国)

■ シード予想
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シード予想。三強は山が分かれた。

【プールA】
第1シード:ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)
第8シード:エレン・ルスヴォ(フランス)

【プールB】
第4シード:テレザ・シュトル(ドイツ)
第5シード:ネコダ・スミス=デイヴィス(イギリス)

【プールC】
第2シード:芳田司(コマツ)
第7シード:ティムナ・ネルソン=レヴィー(イスラエル)

【プールD】
第3シード:ノラ・ヤコヴァ(コソボ)
第6シード:クリスタ・デグチ(カナダ)

三強はきれいにプールが分かれ、ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)がプールA、芳田司(コマツ)がプールB、出口クリスタ(カナダ)がプールDにそれぞれ振り分けられた。まず芳田と出口が準決勝を争い、この勝者が決勝でドルジスレンと覇を競うことになる。芳田と出口は同学年であり、高校時代にはインターハイの決勝を争った間柄。直近の戦いである2月のグランドスラム・パリ大会ではで出口が内股透と右大外刈の合技「一本」で勝利しているが、この試合では芳田も一本背負投「技有」を奪っており、出口の「技有」は2つともぎりぎり「有効」レベルの微妙なもの。ここでは最近の調子の差で出口勝利と予想するが、純戦力は全くの五分と考えて良いだろう。

出口とドルジスレンは昨年グランドスラム・アブダビで対戦歴があり、この際はGS延長戦の左背負投「技有」でドルジスレンが勝利している。しかし、これは出口が先に「指導2」まで積んでからの逆転勝利であり、内容ではむしろ出口の側が押していた。ドルジスレンのアジア大会での冴えない戦いぶりに鑑みる限り、出口勝利と考えて良いだろう。それどころか、ドルジスレンが不調を脱しないまま今大会を迎えた場合には、準々決勝でエレン・ルスヴォ(フランス)に敗れる可能性も十分に考えられる。

シードから漏れた有力選手でトーナメントのバランスに影響を与えうるのは、ラファエラ・シウバ(ブラジル)とクォン・ユジョン(韓国)の2名。芳田限定では、ここに所属の先輩レン・チェンリン(台湾)が加わることになる。芳田は昨年大会の準々決勝でレンに粘られ大きく消耗する目にあっている。この3名がどこに置かれるのか、まずはドロー結果に注目したい。

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