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【バクー世界柔道選手権2018特集】海外ファンから見た日本代表① バクー世界選手権、男子日本代表で金メダルを獲るのは誰?

(2018年9月17日)

※ eJudoメルマガ版9月17日掲載記事より転載・編集しています。
【バクー世界柔道選手権2018特集】海外ファンから見た日本代表① バクー世界選手権、男子日本代表で金メダルを獲るのは誰?
→特設ページ・バクー世界選手権2018完全ガイド

eJudoは、Judoinsideと並んでいまもっとも勢いのある海外柔道マニアサイトである「Judocrazy」(http://www.judocrazy.com/)と提携。今回の世界選手権では同サイトを主宰するOon Yeoh氏に「海外ファンから見た日本代表」というトピックで何本かコラムを書いてもらうこととなった。

氏はマレーシア在住、アメリカ留学中の1993年(ハミルトン大会)と1995年(幕張大会)には選手として世界選手権にも出場したことのある、競技者としてもかなりの実力者だ。Fighting Film社の佳作である「Ippon books」シリーズの編集にも携わり、今回は現地バクーに乗り込んでIJFの公式ライターも務めることとなっている。Facebook等でウォッチしているファンは御存じのことと思うが、その情報発信の頻度と深さ、全方位性はすさまじいものがあり、そのバイタリティ、まさに他の追随を許さない。果たして海外随一の柔道マニアは強国日本をどう見ているのだろうか?ぜひご一読願いたい。

eJudo編集部

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■ バクー世界選手権、男子日本代表で金メダルを獲るのは誰?
“Japan's gold medal prospects in Baku”
Oon Yeoh (Judocrazy.com)

日本は9つの枠すべてを使い切って代表チームを構成しました。注目の「2枠目」は60kg級と100kg超級に行使。まず、いま1度そのメンバーを確認してみるところから始めましょう。

60kg級:髙藤直寿、永山竜樹
66kg級:阿部一二三
73kg級:橋本壮市
81kg級:藤原崇太郎
90kg級:長澤憲大
100kg級:ウルフアロン
100kg超級:原沢久喜、小川雄勢

並べてみるとあらためて、日本の選手層の厚みは凄まじいものがあります。9人全ての選手が極めて現実的に金メダルを狙える位置につけていると言っていいでしょう。そしてそのうち幾人かはさらに一段上、より金メダルに近いレベルにある。我々は、60kg級、66kg級、73kg級と100kg級の4階級で日本が金メダルを獲れると見ています。控えめに言っても「非常に近い位置」とまでは言っていいはずです。


髙藤直寿・永山竜樹(60kg級)

この階級で金メダルの可能性がもっとも高い選手は、間違いなく髙藤直寿。皆さんよくご存知の通り、世界選手権で2度優勝しているトップ選手です。彼は今回第4シードですが、このシード順は彼の力を正確に反映していない。彼は2016年のグランドスラム東京決勝で同じ日本人の永山竜樹に敗れて以来、国際大会で負けなしです。力的には彼がナンバーワンだと思います。今回の第1シードは永山、彼はこの試合で髙藤に勝ったわけですが、直近の対戦である2017年グランドスラム東京では敗れ、そのまま髙藤が優勝しています。髙藤のほうが国際大会での経験値があるし、オーソドックスではない、独特の柔道スタイルで自分の特徴をより良く表現出来ていると思います。強いです。ただ、もし髙藤がつまずくシナリオがあるとしたらやはりその相手は永山になるでしょうね。いずれにしてもこの2人のどちらかが金メダルを日本に持ち帰ることになると思います。60kg級の金メダリストは日本人です。

阿部一二三(66kg級)
真剣に賭けをするのであれば、「鉄板」は阿部一二三。国際柔道界の絶対的なスターですね。彼の力と能力が相手に与える恐怖感は、いまや大野将平のそれに匹敵します。先日のグランプリ・ザグレブ大会ではドフトン・アルタンスフ(モンゴル)の横落に引っ掛かって負けてしまいましたが、あれはあくまで「まぐれ当たり」。もう起こることはないでしょう。なにより今大会のモンゴル代表はガンボルド・ヘルレンですから、ドフトンとの直接対決が組まれることもない。ただ、このアクシデントが起るまで阿部は勝ちに勝ちまくっていたわけですが、2015年夏のグランプリ・ウランバートル、最後に阿部に勝った選手も同じモンゴルのダヴァドルジ・ツムルフレグだったことは少々気になります。阿部はこの年2月のグランプリ・デュッセルドルフでもダバドルジに敗れていますので、彼はダバドルジのようなモンゴルスタイルの柔道がやや苦手なのかもしれませんね。ただ、さっき話したとおりモンゴル代表はガンボルド。まだ直接対決はありませんが、試合がどうなるかと中身を予想するとやっぱり阿部の勝利を推すしかない。ライバルになり得るのは第1シードのタル・フリッカー(イスラエル)と、第6シードのアン・バウル(韓国)。アンとの対戦は2014年の世界ジュニア選手権以来のはずで、これは楽しみな顔合わせです。ただ、のっけに話した通り、「賭けるなら阿部」。この予想は変わりません。

橋本壮市(73kg級)
日本の73kg級は実に人材豊富。いくつかの国は同じ時期、同じ階級に2人のトップ選手を抱えることがあり、たとえばこの73kg級でも今回アゼルバイジャンにルスタン・オルジョフとヒダヤット・ヘイダロフの2人がいますけど、日本は本物のトップ選手を3人揃え続けています。何年か前には大野将平、中矢力、秋本啓之とワールドチャンピオンを3人揃えてまさに至高、このクラスの頂点を極めていましたし、今も橋本壮市と大野将平に加え、66kg級から階級を上げた海老沼匡と世界王者3人を擁しています。大野はリオ五輪で金メダルを獲って以来さほど多くの大会に出ておらず、一方の橋本はその間国際的な実績において有利に立っています。よって我々は、日本が橋本と大野の2人を世界選手権に送り込んでくることが十分あり得ると踏んでいたのですが、実際には60kg級と100kg超級に2枠目を使って73kg級は1人代表に留めた。大野は代わりにアジア大会に派遣されて、結果的には金メダルを獲りましたが、この先も2人の争いからは目が離せません。
今回橋本の前に立ちはだかるのは、グランプリ・フフホトで彼に勝利したばかりのアン・チャンリン(韓国)と、昨年世界選手権決勝でタフな戦いを繰り広げたルスタン・オルジョフの2人。加えてダークホースとしてアキル・ヤコヴァ(コソボ)の名前を挙げておきたい。上り調子で、かつまだ橋本と戦ったことがない面白い存在です。ただ、それでも、投資するなら橋本一択。優勝候補の筆頭は間違いなく橋本壮市です。

注記:日本はたとえば100kg超級を犠牲にして73kg級に2枠を行使し、大野に今大会を戦わせるという選択も出来たわけですが、実際にはそうしなかった。この決断は2つのことを示していると考えます。1つ目は、日本は橋本が十分に優勝出来ると踏んでいるということ。2つ目は、日本が最重量級のタイトルをひどく欲しがっている、その獲得を熱望しているということです。テディ・リネール(フランス)が出場しない今大会はなるほどまたとない機会に映るだろうとは思います。ただし、原沢久喜と小川雄勢に日本代表2人にとってこのミッション達成は決して容易ではないはず。最重量級の選手のトレンドはより小さく、より敏捷に、より運動神経の発達したアスリートタイプに寄ってきています。たとえばグラム・ツシシヴィリ(ジョージア)、ルカシュ・クルパレク(チェコ)、ステファン・ヘギー(オーストリア)やツヴシンバヤル・ナイダン(モンゴル)などがその代表格ですが、これを攻略できるのか、どうか。なかなか難しいのではないでしょうか。

ウルフアロン(100kg級)
ウルフは昨年の世界選手権で金メダルを獲得して以降、怪我のためほとんど試合に出ていません。よって今回はノーシードからのスタートですが、復帰戦となったグランプリ・ブダペスト大会では優勝、この時の戦いを見る限りでは体勢既に整った感があります。「ウルフは戻って来た」と考えておくべきでしょうね。彼のライバルの一番手はヴァーラム・リパルテリアニ(ジョージア)。29歳になりましたがパフォーマンスも良し、2位ばかりでまだ世界の頂点に立っておらずモチベーションも非常に高いです。ウルフは決して勝ちぶりの派手な選手ではなく、また同じ日本のベイカー茉秋と同じく、特定の技が代名詞になるようなタイプ (たとえば内股の大野、片手袖釣込腰の橋本、双手背負投の阿部というような)ではありません。しかしこれもベイカーと同じく、非常にタフで、投げるのが難しく、貪欲で、頂点に辿り着くために必要な全てを持っている選手。おそらく彼はバクーでも、この特徴を発揮して頂点に立つまで戦い抜くのではないかと思います。


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※ eJudoメルマガ版9月17日掲載記事より転載・編集しています。

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