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78kg級は選抜王者高山莉加が勝利、57kg級は金子瑛美が決勝で松本薫を下す・第48回全日本実業柔道個人選手権大会女子7階級レポート

(2018年9月13日)

※ eJudoメルマガ版9月13日掲載記事より転載・編集しています。
78kg級は選抜王者高山莉加が勝利、57kg級は金子瑛美が決勝で松本薫を下す
第48回全日本実業柔道個人選手権大会女子7階級レポート
取材・文:林さとる/eJudo編集部
撮影:坂口美貴

■ 48kg級・坂上綾が常見海琴との接戦を制す
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48kg級準決勝、坂上綾が坂口仁美を右背負投で攻める

(エントリー18名)

【決勝まで】

決勝に勝ち上がったのは常見海琴(コマツ)と坂上綾(三井住友海上)。

常見は2回戦から大会をスタート。厳しいブロックに配されたが、まず笠原歩美(日体柔友会)を肩固「一本」(GS3:06)で下すと、準々決勝では尾崎万琳(ヤックス)に「指導3」反則(GS1:31)で勝利。準決勝では森﨑由理江(宮崎大教)を背負投「一本」(0:31)に仕留めてみごと決勝進出を決める。

一方の坂上も2回戦からの登場。竹本薫(笠松刑務所)を崩上四方固「一本」(0:35)で一蹴し、準々決勝では髙﨑千賀(JR東日本)を支釣込足「一本」(GS1:14)で撃破。準決勝では坂口仁美(ヤックス)に「指導3」反則(GS2:09)で勝利して決勝へと駒を進めた。

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48kg級決勝、坂上が常見海琴から延長戦で右払巻込「技有」

【決勝】

坂上綾(三井住友海上)○GS技有・払巻込(GS2:09)△常見海琴(コマツ)

右相四つ。激しい組み手争いから試合が始まり、45秒、両者に「指導」。1分には常見が相手を引き落として「腹包み」から抑え込みを狙うが、ここは坂上が凌いで「待て」。序盤は常見が優位に試合を進め、左大腰を2度続けた1分58秒には坂上に消極的の「指導2」が追加される。このまま一気に押し切ってしまいたい常見であったが、後半は坂上が盛り返して反撃。右大外刈に右袖釣込腰、右一本背負投と不十分な形からでも技を続け、残り8秒で常見にも組み合わない咎の「指導2」が与えられる。スコアが両者「指導2」で並んだまま、試合はGS延長戦へ。

GS延長戦でも両者足を飛ばしながらの激しい組み手争い。しかし状況が動くような技、場面がないまま試合はGS1分30秒まで進む。GS1分40秒、坂上が釣り手を肩越しに差し入れたタイミングで常見が右大外刈。倒れ込むように刈り倒すが引き手が不十分、袖を持てずに切れてしまいあと一歩でポイントには至らず。さらに直後のGS1分48秒にも奥襟を得たところから組み手と反対方向に腰を切って左大腰を狙うが、これも決め切ることが出来ない。しかし、ここに来てどうやら常見が再び試合の主導権を握った感あり。一気に勝負を決めたい常見は2分3秒に奥襟を得て右大外刈に飛び込む。思い切りの良い技であったが、今度も引き手は背中を持っており不十分。坂上崩れながらも立ったまま受け切り、直後のもつれた形から右払巻込を放つ。常見反対に腰を切って堪えるも坂上の作用足ががっちりと膝に掛かっており逃れること叶わず。そのまま転がってしまいGS2分9秒「技有」。ケアシステムによる確認が行われるも判定は覆らず、坂上の優勝が決まった。

入賞者および優勝した坂上選手のコメント、準々決勝以降の結果は下記。

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48kg級優勝の坂上綾

【入賞者】

優 勝:坂上綾(三井住友海上)
準優勝:常見海琴(コマツ)
第三位:森﨑由理江(宮崎大教)、坂口仁美(ヤックス)

坂上綾選手のコメント
「常見(海琴)さんと戦うのは今日で4回目。ここで優勝するかしないかは大きいと思って試合に臨みました。相手は圧も凄くあるし技も持っている。それでも、気持ちでは負けていなかったと思います。今日は初戦から良い感じで試合に入ることが出来ました。近藤(亜美)さんや中村(美里)さんとは毎日一緒に練習をしていて、良い刺激になっています。技術をもっと磨いていきたいです。」

【準々決勝】
常見海琴(コマツ)○GS反則[指導3](GS1:31)△尾崎万琳(ヤックス)
森﨑由理江(宮崎大教)○合技(2:05)△蓬田智佳(JR東日本)
坂口仁美(ヤックス)○優勢[技有・背負投](4:00)△濵田早萌(ベネシード)
坂上綾(三井住友海上)○GS支釣込足(GS1:14)△髙﨑千賀(JR東日本)

【準決勝】
常見海琴○背負投(0:31)△森﨑由理江
坂上綾○GS反則[指導3](GS3:55)△坂口仁美

【決勝】
坂上綾○GS技有・払巻込(GS2:09)△常見海琴

■ 52kg級・ダークホースの甫木実咲が優勝、復帰戦の中村美里は2回戦敗退に終わる
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52kg級2回戦、五味奈津実が中村美里から延長戦で隅落「技有」

【決勝まで】

今大会がリオデジャネイロ五輪以来の52kg級への復帰戦(※今年3月に皇后盃東京予選に出場)となった中村美里(三井住友海上)に注目が集まった。中村は1回戦で杉本祐海(JR九州)にGS延長戦での支釣込足「技有」(GS0:44)で勝利したものの、続く2回戦で五味奈津実(JR東日本)にGS延長戦での隅落「技有」(GS2:28)で敗れた。本人の言葉を聞く限りでは52kg級で代表を目指すというわけではない様子。今後は57kg級枠での国体出場や皇后盃予選への出場を予定しているとのこと。

決勝に進出したのは内尾真子(自衛隊体育学校)、そして伏兵の甫木実咲(JR東日本)。

内尾は1回戦で田中佐和(米田柔整専門学校)に内股「一本」(0:53)、2回戦で川久保七彩(広島大学柔道クラブ)に縦四方固「一本」(1:21)でそれぞれ勝利してベスト4入り。準々決勝で長野七海(ヤックス)を合技「一本」(3:27)で下すと、準決勝では中村美里を破って勝ち上がって来た五味奈津美を小外掛「技有」で破って決勝進出を決める。

一方の甫木は1回戦で空閑麻友香(佐々木冷菓)に合技「一本」(2:10)、2回戦で古城輝海(KJC)に大外刈「一本」(0:18)、3回戦で渡邊真珠美(東京納品代行)に「指導3」の反則(GS2:41)という勝ち上がり。勝負どころと目された準決勝では前田千島(三井住友海上)をGS延長戦での出足払「技有」(GS0:30)で下して決勝へと駒を進めることとなった。

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52kg級決勝、甫木実咲が内尾真子から袖釣込腰「一本」

【決勝】

甫木実咲(JR東日本)○GS体落(GS0:28)△内尾真子(自衛隊体育学校)

右相四つ。激しい組み手争いから試合がスタート。まずは内尾が主導権を握り、立っては奥襟を得て激しく煽り、寝てはローリングから肩固を狙って、と激しく攻める。続いて内尾が右内股を仕掛けた2分4秒、甫木に消極的の「指導」。どうやら地力では内尾に分がある様子。しかし、2分30秒を過ぎた辺りから甫木が背負投に巴投と組み際の技を用いて盛り返し始め、これ以降は両者の手数と組み手が拮抗する。結局、これ以上ポイントの追加がないまま本戦が終わり、試合はGS延長戦へ。

延長戦開始直後のGS11秒、内尾が奥を叩いて煽ると甫木あっさりと潰れてしまい偽装攻撃の「指導2」。いきなり後がない状況へと追い込まれてしまう。しかしこのことで却って肚が決まったか、GS28秒、甫木が思い切りの良い両袖の右袖釣込腰。入りの形こそ浅かったものの相手の両手をまとめるようにして押し込むと内尾勢い良く転がり「一本」。甫木が逆転勝利で優勝を果たした。

入賞者および優勝した甫木選手のコメント、準々決勝以降の結果は下記。

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52kg級優勝の甫木実咲

【入賞者】
優 勝:甫木実咲(JR東日本)
準優勝:内尾真子(自衛隊体育学校)
第三位:五味奈津実(JR東日本)、前田千島(三井住友海上)

甫木実咲選手のコメント
「課題の寝技を中心に稽古に取り組んできました。今大会は寝技がしっかり出来たとは言えないですが、自分から技を掛けることを心がけて頑張りました。スタミナにはあまり自信がないのですが、きょうは延長戦が多かった。気持ちのスタミナで戦い抜きました。決勝は『指導2』まで取られてしまいましたが、そこから『指導』を取り返しにいくのではなく、投げにいこうと心掛けました。4回か5回目の挑戦で初めて内尾選手に勝てた。ようやく壁を超えられたと思います。」

【準々決勝】
内尾真子(自衛隊体育学校)○合技(3:27)△長野七海(ヤックス)
五味奈津実(JR東日本)○反則(GS0:37)△飯塚貴恵(北関東綜合警備保障)
前田千島(三井住友海上)○合技(1:53)△堀川奈津美(つくばユナイテッド柔道)
甫木実咲(JR東日本)○反則[指導3](GS2:41)△渡邊真珠美(東京納品代行)

【準決勝】
内尾真子○優勢[技有・小外掛]△五味奈津実
甫木実咲○GS技有・出足払(GS0:30)△前田千島

【決勝】

■ 57kg級・金子瑛美が優勝、松本薫は決勝で敗れ2位
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57kg級準決勝、金子瑛美が鶴岡来雪から右小外刈「一本」

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57kg級準決勝、松本薫が石川慈から右小内巻込「技有」

(エントリー31名)

【決勝まで】

決勝へと勝ち上がったのは金子瑛美(自衛隊体育学校)と松本薫(ベネシード)。松本は今大会が2016年のリオデジャネイロ五輪以来約2年ぶりとなる個人戦(57kg級)参戦。

金子は2回戦で藤本みどり(まるや接骨院)を大内刈「一本」(0:45)で破ると、準々決勝では小野彰子(ベネシード)に合技「一本」(1:00)で勝利。準決勝でも鶴岡来雪(コマツ)を小外刈「一本」(2:45)に仕留め、3試合連続の一本勝ちで決勝への勝ち上がりを決める。

一方の松本は1回戦で髙橋乃愛(セコム上信越)を腕挫十字固「一本」(0:31)、2回戦で佐々木愛(東京消防庁)を「ホイジンガロール」からの後袈裟固「一本」(1:00)と序盤戦は寝技での勝ち上がり。帝京大の後輩との連戦となったベスト4以降は、準決勝で安田梨乃(VILLAGE)に小内刈「一本」(2:12)、準決勝で石川慈(コマツ)に小内巻込「技有」と組み際の技でポイントを奪ってこれを退け、決勝の畳へと辿り着く。

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57kg級決勝、金子が首を抱いて右内股

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相手を乗り越えるようにして投げ切り「技有」

【決勝】

金子瑛美(自衛隊体育学校)○優勢[技有・内股]△松本薫(ベネシード)

右相四つ。まずは激しい組み手争い、両者叩き合うようにして掴んでは切ってを繰り返す。この膠着状態から先に抜け出したのは金子。奥襟を得ての右大内刈を放つと、続く展開でも右内巻込で強引に巻き込み松本を畳に這わせる。金子の右一本背負投を松本が抱き止めて潰した1分51秒、松本に消極的の「指導」。ここからも金子が組み勝って優位な場面が続く。2分48秒、金子が引き手で釣り手を持った状態から一気に松本の首を抱えて腰車様の右内股。松本が腰に食らいつくようにして耐え一度は潰れるが、そのまま走るようにして回し切って「技有」。さらに間を置かずに袈裟固で抑え込むも、これは松本がすぐに逃れて「待て」となる。リードを許した松本はここから猛攻。勝負を楽しむかのように時折笑顔を見せながら、左右の区別がないような独特の組み手で前に出続ける。金子は中盤までとは一転して守勢に回ることとなるが、右大外刈を出すなど攻め返すことでこれを凌ぎ切り、試合終了を迎える。結果「技有」優勢で金子の優勝が決まった。

復帰戦の松本は決勝こそ敗れたものの、この日は全盛期と遜色のない柔道を披露。組み手や寝技などはむしろ進化している感すらあり、松本薫という選手の非凡さを改めて実感させられた。試合後にも自身の試合を的確な言葉で冷静に振り返り、どうやら代表争いへの本格復帰の準備は出来ている様子。次戦以降の戦いにも期待したい。

入賞者および優勝した金子選手のコメント、準々決勝以降の結果は下記。

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57kg級優勝の金子瑛美

【入賞者】
優 勝:金子瑛美(自衛隊体育学校)
準優勝:松本薫(ベネシード)
第三位:鶴岡来雪(コマツ)、石川慈(コマツ)

金子瑛美選手のコメント
「優勝出来てホッとしています。最後に技に入ったときは掛け切ろうと思いました。今日は良い動きが出来たと思います。練習してきたことが出せました。特に立技から寝技の移行が上手く出来た。良いところを持たせてもらえないときの技出しをもっと早く、組み手ももっと早く出来るように強化したいです。」

【準々決勝】
金子瑛美(自衛隊体育学校)○合技(1:00)△小野彰子(ベネシード)
鶴岡来雪(コマツ)○GS反則[指導3](GS3:31)△鈴木真佑(瀬田柔道会)
石川慈(コマツ)○横四方固(0:56)△柳樂祐里(JR東日本)
松本薫(ベネシード)○小内刈(2:12)△安田梨乃(VILLAGE)

【準決勝】
金子瑛美○小外刈(2:45)△鶴岡来雪
松本薫○優勢[技有・小内刈]△石川慈

【決勝】
金子瑛美○優勢[技有・内股]△松本薫

■ 63kg級・得意の寝技存分に披露、土井雅子が全試合一本勝ちで優勝飾る
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63kg級準決勝、土井雅子が佐藤みずほから横四方固「一本」

(エントリー25名)

【決勝まで】

決勝進出者は土井雅子(JR東日本)と太田晴奈(自衛隊体育学校)。

土井は2回戦で名村友薫(JR九州)に横四方固「一本」(4:00)で勝利すると、準々決勝では今大会から階級を上げた山本杏(パーク24)を上四方固「一本」(2:18)で一蹴。準決勝も佐藤みずほ(三井住友海上)を横四方固「一本」(GS3:17)で下して決勝へと駒を進める。

対する太田は2回戦で工藤千佳(JR東日本)を合技「一本」(3:23)で下して大会を開始。準々決勝で田坂冴(ヤックス)を内股「技有」で破ると、準決勝では長内香月(JR東日本)を合技「一本」(2:08)で退けて決勝進出を果たした。

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63kg級決勝、土井が得意の「横三角」で太田晴奈を引き込む

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そのまま崩上四方固で抑え込み「一本」

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63kg級優勝の土井雅子

【決勝】

土井雅子(JR東日本)○崩上四方固(1:24)△太田晴奈(自衛隊体育学校)

右相四つ。組み合うなり太田が右内股。土井はこれを立ったままで受け切り、「横三角」から抑え込みを試みる。ここは太田が凌いで「待て」。組み手争いが続いての50秒、土井は片襟の右「小内払い」で相手を伏せさせ再び得意の「横三角」。今度は相手を最後まで捲り返して足を抱え、崩上四方固の形を完成させる。足で完璧に上体を固められた太田は動くことが出来ず、そのまま20秒が経過。「一本」を告げるブザーが鳴って、土井の優勝が決まった。

入賞者および優勝した土井選手のコメント、準々決勝以降の結果は下記。

【入賞者】
優 勝:土井雅子(JR東日本)
準優勝:太田晴奈(自衛隊体育学校)
第三位:佐藤みずほ(三井住友海上)、長内香月(JR東日本)

土井雅子選手のコメント
「講道館杯に繋がるように頑張りました。(―寝技は狙っていた?)狙っていました。でも、もっと立ち技でも決めることが出来るようにしたいです。チャンスはあったはず。立技から寝技への移行をもっと早く出来るようにしたいです。」

【準々決勝】
佐藤みずほ(三井住友海上)○優勢[技有・大外刈]△向井あすか(日本エースサポート)
土井雅子(JR東日本)○上四方固(2:18)△山本杏(パーク24)
長内香月(JR東日本)○GS反則[指導3](GS5:29)△森田朝子(日本エースサポート)
太田晴奈(自衛隊体育学校)○優勢[技有・内股]△田坂冴(ヤックス)

【準決勝】
土井雅子○横四方固(GS3:17)△佐藤みずほ
太田晴奈○合技(2:08)△長内香月

【決勝】
土井雅子○崩上四方固(1:24)△太田晴奈

■ 70kg級・西願寺里保が劇的「秒殺」、ヌンイラ華蓮を破って初優勝飾る
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70kg級決勝、西願寺里保がヌンイラ華蓮から右大外刈「一本」

【決勝まで】

決勝に進んだのはヌンイラ華蓮(了徳寺学園職)と西願寺里保(コマツ)の2人。

ヌンイラは2回戦で山田あかり(センコー)を合技「一本」(3:47)で下して大会を滑り出す。準々決勝で昨年の優勝者安松春香(ALSOK)を小外刈「一本」(1:59)で破ると、準決勝では強敵新森涼(コマツ)を袈裟固「一本」(1:07)で撃破。3試合一本勝ちを続けてみごと決勝へと勝ち上がる。

一方の西岸寺も持ち味を存分に発揮、万全と評して良い勝ち上がり。2回戦で伊藤さくら(新日鐵住金大分)に上四方固「一本」(0:50)で勝利すると、以降は長い手足を生かした組み手で相手を完封。準々決勝で宮坂千優(つくばユナイテッド柔道)に「指導3の」反則(2:22)、準決勝で榎谷有里(JR九州)にこれも「指導3」の反則(2:32)と、危なげなく決勝進出を決める。

【決勝】

西願寺里保(コマツ)○大外刈(0:25)△ヌンイラ華蓮(了徳寺学園職)

右相四つ。西願寺は試合が始まるなり引き手で袖口、釣り手で奥襟を得、相手を懐に抱き込んで右大外刈。これはヌンイラが大外返を狙いながら腹這いで伏せてポイントなし、西願寺が「横三角」を狙ったところで15秒「待て」となる。直後、西願寺今度は引き手を得るなり釣り手を相手の肘に当て片襟の右大外刈に飛び込む。西願寺の長い足が両足を刈る形となりヌンイラは畳にめり込む勢いで背中からほとんど垂直に地面に落下。主審が「一本」を告げ、この試合は僅か25秒で終了。西願寺が優勝を決めることとなった。

入賞者および優勝した西願寺選手のコメント、準々決勝以降の結果は下記。

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70kg級優勝の西願寺里保

【入賞者】
優 勝:西願寺里保(コマツ)
準優勝:ヌンイラ華蓮(了徳寺学園職)
第三位:新森涼(コマツ)、榎谷有里(JR九州)

西願寺里保選手のコメント
「試合が楽しかったです。開始線に立つときにニコニコしてしまいました(笑)。全国での優勝は初めてなので嬉しい。次は全日本ジュニアで優勝したいです。『指導3』もありましたが、今日はオール一本勝ち、これは自信になりました。最後は投げて勝つことが出来て良かった。この大会で優勝してシニアに入りますが、力だけでなく技も磨いていきたいです。」

【準々決勝】
ヌンイラ華蓮(了徳寺学園職)○小外刈(1:59)△安松春香(ALSOK)
新森涼(コマツ)○GS反則[指導3](GS1:04)△柿澤史歩(三井住友海上)
榎谷有里(JR九州)○腕挫十字固(GS0:17)△豊﨑倫代(松前柔道クラブ)
西願寺里保(コマツ)○反則[指導3](2:22)△宮坂千優(つくばユナイテッド柔道)

【準決勝】
ヌンイラ華蓮○袈裟固(1:07)△新森涼
西願寺里保○反則[指導3](2:32)△榎谷有里

【決勝】
西願寺里保○大外刈(0:25)△ヌンイラ華蓮

■ 78kg級・髙山莉加が優勝、決勝で梅木真美を破ってGPブダペスト大会の借りを返す
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78kg級準決勝、髙山莉加が梅津志悠から横四方固「一本」

(エントリー15名)

【決勝まで】

決勝に勝ち上がったのは髙山莉加(三井住友海上)と梅木真美(ALSOK)。

髙山は準々決勝からの登場。松延祐里(JR東日本)を背負投「一本」(1:11)で下すと、準決勝では梅津志悠(三井住友海上)との同門対決を横四方固「一本」(2:50)で制して決勝への勝ち上がりを決める。

一方の梅木は1回戦で川本真緒(セントラル警備保障)を合技「一本」(1:25)で下して大会をスタート。準々決勝では大住有加(JR東日本)に「指導3」反則(GS0:58)で競り勝ち、準決勝では和田梨乃子(三井住友海上)を抱分「技有」で破って決勝進出。

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78kg級決勝、髙山が梅木真美に右内股

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内股巻込に変化して「技有」

【決勝】

髙山莉加(三井住友海上)○優勢[技有・内股巻込]△梅木真美(ALSOK)

髙山が右、梅木が左組みのケンカ四つ。引き手争いから梅木が上、髙山が下から脇を差しての攻防に発展、梅木の左内股に髙山が裏投を狙う形でもつれ合いながら場外に出て「待て」。1分4秒には同様の形から髙山が右浮腰で相手を伏せさせ、「腕緘返し」からの抑え込みを狙う。素早い寝技への移行で相手を一瞬置き去り、引き込むことに成功するも、この攻防は手順進行の真っただ中における早めの「待て」という意外な形で終了。髙山は決定的なチャンスを一つ逃してしまう。しかし直後の1分10秒、髙山は上から奥襟を持ち右内股。ここから一度右小内刈を打ってから場外で内股巻込に変化すると梅木転がり「技有」。高山そのまま崩袈裟固で抑え込んで試合終了かと思われたが、これはすぐに解けて「待て」となる。

ポイントを失った梅木はここから猛追。奥を叩きながら前に出て2分2秒、相手の偽装攻撃による「指導1」を引き出す。さらに圧殺から得意の「横三角」で攻める展開を2度続け、3分14秒には消極的の咎で髙山に「指導2」。ポイント上リードしているのは髙山だが、試合の流れは完全に梅木に渡ることとなる。しかし、髙山もあくまで譲らず右浮腰を放って応戦。この技で梅木が大きく崩れたことにより、消極的による「指導3」失陥というシナリオはどうやら回避。両者もつれ合い、伏せたところで試合は終了。髙山が2週間前のグランプリ・ブダペスト大会のリベンジを果たす形で優勝を決めた。

入賞者および優勝した髙山選手のコメント、準々決勝以降の結果は下記。

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【入賞者】
優 勝:髙山莉加(三井住友海上)
準優勝:梅木真美(ALSOK)
第三位:梅津志悠(三井住友海上)、和田梨乃子(三井住友海上)

髙山莉加選手のコメント
「ブダペストで梅木(真美)さんとやったときには技を返されて負けてしまい、きょうは技に入るとき少し不安になりました。それでも、技に入った瞬間にいけると思った。意外と引き出せていて、相手を崩せていました。ポイントを取ってから相手のペースになってしまったのが反省点です。会社でも『私が一番強いことを証明してきます!』と宣言して尼崎に来たので、宣言通りになってよかったです。強い気持ちでは負けてなかったと思います。」

【準々決勝】
髙山莉加(三井住友海上)○背負投(1:11)△松延祐里(JR東日本)
梅津志悠(三井住友海上)○合技(2:18)△髙橋ルイ(ヤックス)
梅木真美(ALSOK)○反則[指導3](GS0:58)△大住有加(JR東日本)
和田梨乃子(三井住友海上)○[]()△江口高千穂(日本生命)

【準決勝】
髙山莉加○横四方固(2:50)△梅津志悠
梅木真美○優勢[技名・抱分]△和田梨乃子

【決勝】
髙山莉加○優勢[技有・内股巻込]△梅木真美

■ 78kg超級・今季好調の冨田若春が優勝、決勝で復帰戦の山部佳苗を破る
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78kg超級1回戦、田知本愛が緒方亜香里から左大外刈「一本」

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78kg超級準々決勝、場外に出た田知本に場外の咎で「指導3」

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78kg超級準決勝、冨田若春が町純香から左内股「技有」

(エントリー18名)

【決勝まで】

決勝に進出したのは冨田若春(コマツ)と山部佳苗(ミキハウス)。山部は昨年4月の皇后盃以来となる実戦。

山部は「準・皇后盃」とでも呼ぶべき豪華陣容となったトーナメント上側の山を勝ち上がっての決勝進出。2回戦の後藤美和(日光警備)戦を相手の欠場による不戦で勝ち上がると、3回戦では1回戦で緒方亜香里(了徳寺学園職)を大外刈「一本」(GS0:08)で破って勝ち上がってきたライバルの田知本愛(ALSOK)と対戦。この試合をGS延長戦での「指導3」による反則(GS1:30)で勝利すると、準決勝では対戦相手の橋本朱未(コマツ)が試合前に棄権。結果、僅か1試合を戦ったのみで決勝へと辿り着く。

一方の冨田は2回戦で深谷由美(センコー)を大外刈「一本」(0:41)で下すと、準決勝では井上愛美(JR九州)に「指導3」の反則(GS3:30)で勝利。準決勝では町純香(光仁会病院)を合技「一本」(2:28)で退けて決勝進出を果たす。

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78kg超級決勝、冨田が山部の谷落を透かして隅落

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そのまま押し込み「技有」

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78kg超級優勝の冨田若春

【決勝】

冨田若春(コマツ)○優勢[技有・隅落]△山部佳苗(ミキハウス)

右相四つ。開始直後の24秒、山部に袖口を握った咎で「指導」。これ以降は組み手争いから得意の片襟の右大外刈を仕掛ける冨田、二本持って右払腰を狙う山部という構図で試合が進む。1分36秒には押し込まれて畳を割った冨田に場外の「指導」。直後の2分54秒、冨田が強引な片襟の右大外刈を仕掛けると山部これに反応して谷落を狙う。しかし、冨田落ち着いて相手の作用足を跨ぎ、そのまま向き直って隅落。ぶら下がるような形で死に体となった相手に乗り上げながら投げ切り決定的な「技有」獲得。さらにそのまま横四方固を狙うが、それは山部が伏せて「待て」となる。リードを得た冨田はここからがっちりと組み手を固めて守りの体勢。山部が十分の形になると片襟の技でこれを引き剥がし、相手に攻めの機会を与えない。2分59秒には膠着状態に陥った両者に消極的の「指導2」が追加されるが、これ以上大きな動きはなく試合終了。今季好調の冨田が見事優勝を飾った。

入賞者および優勝した冨田選手のコメント、準々決勝以降の結果は下記。

【入賞者】
優 勝:冨田若春(コマツ)
準優勝:山部佳苗(ミキハウス)
第三位:橋本朱未(コマツ)、町純香(光仁会病院)

冨田若春選手のコメント
「コマツに入ってから3年目で初優勝。決勝も動けていました。いつも練習で決めを意識していたので、その成果が出たと思います。最後まで気持ちを切らず、心をコントロール出来たのも勝因の一つです。一試合一試合集中して戦うことが出来ました。手術、リハビリと怪我で練習することが出来ない年が多かったのですが、今年は怪我なく柔道に集中出来ています。講道館杯に優勝して、グランドスラムでも活躍したいです。」

【準々決勝】
橋本朱未(コマツ)○GS技有・大外刈(GS0:57)△月波光貴穂(大阪拘置所)
山部佳苗(ミキハウス)○GS反則[指導3](GS1:30)△田知本愛(ALSOK)
町純香(光仁会病院)○反則[指導3](3:03)△佐藤糸織(金沢学院クラブ)
冨田若春(コマツ)○GS反則[指導3](GS1:14)△井上愛美(JR九州)

【準決勝】
山部佳苗○不戦△橋本朱未
冨田若春○合技(2:28)△町純香

【決勝】
冨田若春○優勢[技有・隅落]△山部佳苗

※ eJudoメルマガ版9月13日掲載記事より転載・編集しています。

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