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角田夏実が全試合一本勝ちで日本勢初の金メダル、近藤亜美は宿敵ジョンにまたもや苦杯・アジア大会柔道競技2018第1日女子即日レポート

(2018年8月29日)

※ eJudoメルマガ版8月29日掲載記事より転載・編集しています。
角田夏実が全試合一本勝ちで日本勢初の金メダル、近藤亜美は宿敵ジョンにまたもや苦杯
アジア大会柔道競技2018第1日女子即日レポート(48kg級、52kg級)
■ 48kg級・ジョンボキョンが優勝、勝負師近藤は一瞬の隙に泣く
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48kg級準決勝、近藤亜美がガルバドラフ・オトゴンツェツェグから払腰で2つ目の「技有」

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決勝、延長戦で近藤が腕挫十字固。完全に極まったかに思われたがジョン・ボキョンは耐え切る。

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直後ジョンの背負投が炸裂「技有」

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敗北を悟った近藤はガックリ

(エントリー13名)

【入賞者】
1.JEONG, Bokyeong (KOR)
2.KONDO, Ami (JPN)
3.GALBADRAKH, Otgontsetseg (KAZ)
3.MUNKHBAT, Urantsetseg (MGL)
5.XIONG, Yao (CHN)
5.JON, Yu Sun (PRK)
7.GAO, Jun-Ying (TPE)
7.KELDIYOROVA, Diyora (UZB)

決勝に勝ち上がったのは近藤亜美(三井住友海上)とジョン・ボキョン(韓国)の優勝候補2名。

近藤は準々決勝から登場。ディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)を横四方固「一本」であっという間に片付けると、準決勝ではリオデジャネイロ五輪3位のガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)と対戦。裏投を狙って背中を抱えてくる相手に怖じず、まずその釣り手をガッチリ落としておいての右払腰「技有」、さらに残り時間僅かのところで食いついてきたガルバトラフの裏投に引かず、抱きつかせたまま再度の右払腰「技有」奪取で快勝。順当に決勝に駒を進める。

リオデジャネイロ五輪銀メダリストのジョン・ボキョン(韓国)は世界選手権にはエントリーせずこのアジア大会に一戦集中、一本勝ちを2つ並べて迎えた準決勝では宿敵ムンフバット・ウランツェツェグからGS延長戦で小内刈「技有」を得て快勝。近藤の待つ決勝への勝ち上がりを決めた。

決勝はケンカ四つ。ジョンに2連敗中の近藤はこの日も組み手が出来あがる前に左右の担ぎ技を連発する相手に苦しい戦いが続く。しかしGS延長戦のワンチャンスを生かし起死回生の腕挫十字固、完全にジョンの腕が伸び、ここで勝利を決めたかに思われた。しかしジョンは数十秒間にわたってこのまま凌ぎ続け、ついに主審が「待て」。そしてピンチの後にチャンスあり、直後ジョンは近藤の集中力が切れたこの時間帯のエアポケットを見逃さず、釣り手の襟を片襟側に押し込んでの左背負投。低く潜り込んだこの技で「技有」奪取、見事優勝を決めた。

近藤はチャンスを逃した直後に訪れる危険な時間帯に集中を欠くというミスを犯し、さらに負けが決まると畳を降りて号泣。勝負師として鳴らした近藤らしからぬ戦いぶり、そして意外な「引き上げ」であった。

近藤のコメント、準決勝と3位決定戦の結果、決勝と近藤全試合の結果と戦評は下記。

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48kg級メダリスト。左から近藤、ジョン、ムンフバット、ガルバトラフ。

近藤亜美選手のコメント
「まだ何も考えられない状態です。(ー相手は昨年グランドスラム・パリで敗れている選手でしたが?)過去のことは気にせず、今目の前にいる相手に勝とうと思っていました。(腕挫十字固は入りが浅かった?)わからないです。(ーあそこで取り切れずに気持ちが変わった?)変わっていません。自分にとっては勝つべきところだと思っていたので、すごく悔しいです。精一杯頑張っていきたいと思います。」

【準決勝】
ジョン・ボキョン(韓国)○GS技有・小内刈(GS2:39)△ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)
近藤亜美○合技[払腰・払腰](3:51)△ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)

【3位決定戦】
ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)〇合技[小外刈・小外刈](3:31)△ション・ヤオ(中国)
ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)○崩上四方固(3:09)△ジョン・ユスン(北朝鮮)

【決勝】
ジョン・ボキョン(韓国)○GS技有・背負投(GS1:23)△近藤亜美
近藤が右、ジョンが左組みのケンカ四つ。ジョンは右への横落、近藤はこれをかわしての右足車で攻め合う。30秒過ぎからジョンは片手の左背負投に右一本背負投と組み手が出来上がる前から技を打ち始め、近藤は徐々に後手。横落に右小外刈、右小内刈で展開をなんとか保つ。

終盤に差し掛かるところでジョンの横落を近藤が浮落で捩じり返してポイントかとも思われたが主審はスルー。直後の2分58秒、近藤に「指導」。なかなか組めない近藤、強引に両襟で突進するがジョンが内股に切り返してあわや失点の危機。ジョンが肩車気味に入った左背負投で近藤を大きく崩し、優位を加速させたところで4分間が終了。試合はGS延長戦へ。

開始早々に近藤が組み付くとジョンが右小内刈、しかし近藤はここから崩れたジョンの背から絞めを狙い、次いで腕挫十字固。拘束巧みにジョンを仰向け回して腕を伸ばし、これで勝負あったかと思われたが、数十秒間にわたってジョンが耐え抜き「待て」。直後、ジョンは釣り手で握った襟を片襟側に押し込み、左背負投。深く入り込んだこの一撃に近藤抗せず落下「技有」。

試合は一貫してジョンが優位。展開を得、一発逆転を期した相手の腕挫十字固を耐え抜き、チャンスを逃した直後のエアポケットに嵌った敵を一発投げて試合終了。完勝であった。

【日本代表選手勝ち上がり】

近藤亜美(三井住友海上)
成績:2位


[準々決勝]
近藤亜美〇横四方固(1:50)△ディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)
相手の掛け潰れを見逃さず腹を抱えてめくり、崩袈裟固。足を絡まれると縦四方固、上四方固と連絡、最後は横四方固で「一本」

[準決勝]
近藤亜美○合技[払腰・払腰](3:51)△ガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)
近藤は右組み、ガルバトラフは左構えで試合をスタート。裏投狙いのガルバトラフは釣り手で背を抱いてくるが、近藤は肩の下あたり、上腕を押さえてこれを下げさせて巧みな進退。この形から場外際で右払腰一発「技有」。試合時間は39秒。
ガルバトラフは裏投で近藤を放り掛けるが、直後近藤はまたしても密着させておいて相手を逆に固定、場外際の右内股で投げ掛かるなど攻勢継続。ガルバトラフの奥襟狙いの釣り手が顔に当たって伏せてしまった1分59秒に「指導」を失うが大枠順調な試合運び。
後のなくなったガルバトラフは奥襟を叩いておいての横落、さらに次なる裏投一発を狙って密着技が増えてくる。残り1分、ガルバトラフが抱き勝負に出て左小外掛で寄せると近藤は右内股、ガルバトラフ待ってましたとばかりに思い切り裏投を放つ。しかし近藤吹っ飛びながら腹ばいに体勢を直して着地「待て」。
残り10秒、ガルバトラフが裏投狙いのしゃにむな密着。しかし近藤は退かず、数合の駆け引きの末に右払腰一撃。ガルバトラフ抱いたまま体に巻き付くように回転、そのまま落ちて「技有」。近藤は合わせて「一本」で勝利決定。ガルバトラフの裏投にあくまで退かず、投げを狙い続けたことで成果を得た、近藤らしい一番であった。

[決勝]
近藤亜美△GS技有・背負投(GS1:23)○ジョン・ボキョン(韓国)
※前述のため戦評省略。

■ 52kg級・角田夏実が圧勝、日本に今大会初の金メダルをもたらす
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準々決勝、角田夏実がチェン・チンインから袖釣込腰「技有」。

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準決勝、イム・ソンシムから巴投「技有」。

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決勝、パク・ダソルから腕挫十字固「一本」。

(エントリー17名)

【入賞者】
1.TSUNODA, Natsumi (JPN)
2.PARK, Da Sol (KOR)
3.WARASIHA, Kachakorn (THA)
3.RIM, Song Sim (PRK)
5.GANBOLD, Gantsetseg (MGL)
5.ZIYAEVA, Gulnoza (UZB)
7.CHEN, Chin-Ying (TPE)
7.BABAMURATOVA, Gulbadam (TKM)

絶対の本命と目されていた日本代表角田夏実(了徳寺学園職)が全試合一本勝ちの圧勝、柔道競技日本代表に今大会初の金メダルをもたらした。

今大会の出場選手に角田を脅かすレベルの選手はなし。角田の得意が「巴投と腕挫十字固」と誰もが良く知り、誰もが警戒する中でそれでもこの技をしっかり決めて見せた。

加えてこの日は冷静さが際立った。2回戦は相手が組み合うことを嫌って切ってくるとみるや敢えて切らせてあっという間の「指導3」奪取、準々決勝は袖を絞ってくる相手にこれを与えたまま袖釣込腰「技有」、再度同じ形から今度は大内刈に連絡して2つ目の「技有」。準決勝からは自身の得意技を生かす方向に加速、まずイム・ソンシム(北朝鮮)を両足の巴投「一本」、決勝はパク・ダソル(韓国)から巴投「技有」に腕挫十字固「一本」と立て続けに奪うという完勝だった。

優勝以外にありえぬ立場、そして周囲のメンバーのレベルと相当に圧が掛かる状況であったはずだが、これを乗り越えてグランドスラム大阪進出権を確保。世界選手権に出場するライバルの志々目愛(了徳寺学園職)と阿部詩(夙川学院高3年)にもしっかりプレッシャーを与えることに成功し、文句なしの大会となった。

角田のコメント、準決勝と3位決定戦の結果、決勝と角田全試合の結果および戦評は下記。

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52kg級メダリスト。左からパク、イム、ワラシハ。

角田夏実選手のコメント
「今回まだ腕挫十字固を取っていなかったので、決勝で決まって良かったです。巴投と十字だけの選手と思われているので、他の技もいっぱい練習してきました。それがこの大会で出せたので相手を混乱させられたと思います。(―決勝は巴投と腕挫十字固でしたね?)そこは外さないようにしました(笑)。楽しんでやることしか考えていませんでした。勝った直後はあまり実感がなくて終わった…という感じだったのですが、畳を降りておめでとうと言われてちょっと実感が湧きました。(―体調は?)今年はあまり大きな怪我はしていなかったのですが、直前にぎっくり腰になってしまって腰が痛くて。周りがサポートしてくれたので思うように柔道が出来ました。おばあちゃんみたいな、杖が欲しい状態です。今年は世界選手権の代表を逃してしまったので、アジア大会に勝って自分の存在をアピールしたいと考えていました。もっと立技も磨いて、巴投げと十字以外の技も磨いていきたいです。」

【準決勝】
角田夏実○巴投(0:58)△イム・ソンシム(北朝鮮)
パク・ダソル(韓国)○一本(2:00)△ガンボルド・ガンツェツェグ(モンゴル)

【3位決定戦】
カッチャコーン・ワラシハ(タイ)○GS技有・大外刈(GS0:09)△ガンボルド・ガンツェツェグ(モンゴル)
イム・ソンシム(北朝鮮)○優勢[技有・小内刈]△グルノザ・ジヤエワ(ウズベキスタン)

【決勝】
角田夏実〇腕挫十字固(2:17)△パク・ダソル(韓国)
角田が左、パクが右組みのケンカ四つ。開始30秒、角田は両袖を絞った状態から引き手を手繰って深く持ち直すと得意の巴投。両足のコントロールを効かせて相手を横に落として「技有」。そのまま腕挫十字固を狙うが、ここはパクが腕を抜いて立ち上がり「待て」。1分15秒、お互い釣り手のみを持っての攻防からパクが左一本背負投で掛け潰れる。角田このチャンスを見逃さず手前に引き落として「ボーアンドアローチョーク」、次いで腕挫十字固と狙うが、今度も決め切れず。ここまでパクは「一本」こそ免れているもののまったくく攻めることが出来ておらず、決着は時間の問題といった様子。2分5秒、角田は組み手二本を得ると左小外刈。パクを崩して伏せさせ再度「ボーアンドアローチョーク」を狙う。首を絞めたまま相手の上に登ると主審は「抑え込み」を宣告、これに反応した相手が向き直ると腕を取りながら畳を転がって腕挫十字固に連絡する。完全に腕が伸び切ったパクは2分17秒「参った」。角田が今大会日本柔道第1号となる金メダルを獲得した。

【日本代表選手勝ち上がり】

角田夏実(了徳寺学園職)
成績:優勝


[2回戦]
角田夏実○反則[指導3](1:22)△デヴィカ・カドカ(ネパール)
カドカに「取り組まない」咎で19秒「指導1」、さらに20秒には双方に「指導」。角田、相手がルールに鈍感とみたか袖を先に持ち、敢えて3回連続で切らせる。主審的確に判断、3度目を視認するなり試合を止めて「指導3」付与。

[準々決勝]
角田夏実○合技[袖釣込腰・大内刈](1:24)△チェン・チンイン(台湾)
角田、相手が袖を絞ってくるとみるや、43秒に絞らせておいたまま打点の高い左袖釣込腰「技有」。さらに1分21秒には再びの左袖釣込腰でいったん粘らせ、左大内刈に連絡して「技有」。盤石の勝利。

[準決勝]
角田夏実○巴投(0:58)△イム・ソンシム(北朝鮮)
角田は両袖の左小外刈で崩して主導権確保。41秒には得意の巴投、両足でコントロールして背中を着かせ「技有」。以後試合が続くがビデオチェックが行われていた模様、58秒主審が試合を止めて「一本」への修正を宣告。

[決勝]
角田夏実〇腕挫十字固(2:17)△パク・ダソル(韓国)
※前述のため戦評省略


文責:古田英毅/eJudo編集部

※ eJudoメルマガ版8月29日掲載記事より転載・編集しています。

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