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3強揃って準決勝進出、白鴎大足利は名張との接戦勝ち抜き20年ぶりベスト4入り・第67回インターハイ柔道競技男子団体試合レポート③準々決勝

(2018年8月25日)

※ eJudoメルマガ版8月25日掲載記事より転載・編集しています。
3強揃って準決勝進出、白鴎大足利は名張との接戦勝ち抜き20年ぶりベスト4入り
第67回インターハイ柔道競技男子団体試合レポート③準々決勝
文責:古田英毅
取材・撮影:eJudo編集部

■ 準々決勝
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第2日、国士舘は中堅を長谷川碧から酒井陸にスイッチ。

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大一番に臨む作陽高。

国士舘高(東京) - 作陽高(岡山)
(先)藤永龍太郎 - 嵐大地
(次)安藤稀梧 - 田中幸郎
(中)酒井陸 - 加藤韻
(副)道下新大 - 高橋翼
(大)斉藤立 - 東久馬

大会2日目の初戦、ここで国士館高が動いた。手駒に取り置いていた貴重な右組みの大型の3年生・酒井陸を中堅に投入。金鷲旗大会から不調に陥り大会初日を連敗で終えている長谷川碧にこれ以上の仕事を要求することは酷と見たか、重量級の安定カードという同属性選手を「交換」した形で決勝ラウンドに臨むこととなった。次鋒には吶喊タイプの安藤稀梧が残留。斉藤立という得点確実の駒を持ち、点取り試合では攻撃よりも「失点を減らす」ことを重視すると予想された国士館これまでの作戦志向からは、やや意外な施策。

さて、迎えた準々決勝第1試合は圧倒的戦力の国士舘に、「ターゲット」を定めた際のジャンプ力比類なしの作陽がマッチアップするという好一番。作陽は御存じの通り金鷲旗大会でエース高橋翼が当代きっての大駒・村尾三四郎を大内返に捉えて合技の一本勝ちを果たすという大アップセットを演じ、連覇を狙う桐蔭学園を入賞なしの悪夢に叩きこんだばかり。勢いの良さは今大会中屈指だ。

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嵐大地は藤永龍太郎を相手に終盤まで粘りの柔道を展開。

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残り7秒、藤永が送足払で鮮やか「一本」

最大の山場は先鋒戦にあり。この試合は抜き役を担う国士館・藤永龍太郎が左、なんとしてもここを凌いで国士舘のリズムを狂わせたい作陽・嵐大地が右組みのケンカ四つ。嵐は藤永に作りの間を与えまいと右体落を連発して奮戦。藤永は職責的に得点必須だが、体格や体力で圧して「無理やり投げる」タイプではなく、引き分け前提の嵐の巧みな進退の前になかなかこれぞという場面を作れない。しかし残り1分を切ったところで後帯をガッチリ掴んで取り味のある左内股を2連発、プレッシャーを受けた嵐は徐々に攻防に余裕がなくなって来た印象。

国士館の焦りを引き出す以外に勝ちのシナリオがない作陽としてはなんとしてもここは引き分けで終わりたいところ。以降は獲りたい藤永、分けたい嵐という構図がより鮮明となり、畳上はヒートアップ。残り32秒、嵐は良いタイミングで右背負投を入れるが藤永動ぜず、続く攻防では組み付きながら素晴らしいタイミングの左出足払。今季藤永を、いや、国士舘を幾度も救って来た「終盤の藤永の足技一発」であるが、嵐なんとか伏せてノーポイント。残り22秒には嵐に「指導」ひとつが宣告されるがこれは勝敗には影響しない。今季これまでの藤永の勝利パターンをほぼ全て耐え切った嵐はあとわずかでミッション達成。

しかしあきらめない藤永、なんと残り7秒で再び得意の足払一閃。鮮やかな送足払で嵐の重心を完全に捕まえ、空中に払いあげる。ほぼ死に体のまま嵐の体がドウと畳に落ちて主審は「技有」を宣告、この準々決勝の行方をそのまま決するであろう決定的なポイント獲得に国士舘ベンチが沸き返り、作陽ベンチが落胆する中、さらに映像チェックの結果これは「一本」へと訂正される。作陽には二重のダメージ。

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安藤稀梧が手堅く「指導3」を奪取。

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酒井陸は加藤韻とがっちり組み合い、手堅く引き分けを確保。

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道下新大と高橋翼の副将対決

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作陽の得点ブロックが過ぎ去った大将戦、斉藤立が東久馬から体落「一本」

戦力に大きく勝る国士舘が先制したこの時点で、早くも勝敗の行方は見えた感あり。次鋒戦は安藤稀梧がケンカ四つの田中幸郎を相手に巧みな試合運び。25秒、1分53秒と双方に片手の咎で「指導」2つが宣告されると途端にギアを明らかに上げ、飛び込みの左内股にフェイントの左小外掛と連発して猛攻。ここから1分余の間に内股を5発、それでも投げ切れるとなると両襟での組みつぶしに舵を切り、田中が畳を這う絵を作り続けてしっかり攻勢を演出。残り16秒、頭を下げた田中を安藤がはたき込みの形で前に送り潰すと、主審はここで試合を止めて「指導3」を宣告。これで安藤の勝利確定、スコアは早くも2-0となる。

中堅戦、酒井陸はどっしり構えて加藤韻に対峙。双方が「指導2」を失う形でこの試合は展開動かず引き分け。副将戦は作陽のエース高橋翼が出動するが、高橋の得点力もあくまで競り合う背景あってこそ。道下新大が得意なケンカ四つの対戦ということもあり、高橋はほぼノーチャンスのまま4分を凌がれ引き分け。この時点で国士館の勝利が決まった。

最終戦は斉藤立が左、東久馬が右組みのケンカ四つ。東は釣り手一本で体を開きなんとか時間の消費を図るが、斉藤は自身が引き手を欲しがる構図をはっきり絵として作りながら悠揚前進。32秒、1分1秒と東に片手の「指導」が2つ、あっという間に積み重なる。窮した東は背負投に打って出るが斉藤は鋭い出足払で迎え撃って動ぜず。2分44秒、ついに二本しっかり持って掴まえると左体落一撃「一本」。

これで全試合終了、スコア3-0で国士館の勝利が決まった。

国士舘高(東京) 3-0 作陽高(岡山)
(先)藤永龍太郎〇送足払(3:53)△嵐大地
(次)安藤稀梧〇反則[指導3](3:44)△田中幸郎
(中)酒井陸×引分×加藤韻
(副)道下新大×引分×高橋翼
(大)斉藤立〇体落(2:44)△東久馬

前述の通り、先鋒戦における藤永の勝利でチームの勝敗自体がほぼ決してしまった試合。作陽は藤永の粘りの前に、おそらく以降「競っている」ことを前提に用意していたであろう、国士舘の選手の精神を蝕むようなシナリオ全てを放棄せざるを得なかったのではないかと推察する。

国士舘、この試合の勝敗に関しては言うべきところはなし。ただし、天理よりも先に動いて決勝オーダーを確定したことで「狙われる」形になってしまったこと、残った安藤と入った酒井がいずれも「指導2」ずつを失って、「チーム力が上がった」というような勢いを得るには物足りない戦いぶりであったこと、この2つは気に掛かる。藤永の奮戦はあったが、斉藤が取ることを前提に最低限の収支を合わせたような前衛の戦いぶりには一抹の不安もあり。優勝にはもう一段の加速が必要と思わせられる試合であった。

作陽は健闘。本領発揮とはいかなかったがエース高橋翼を中心に2年生代が有望。毎年チームが仕上がるのに時間が掛かる傾向があるが、この代は早い時期からチームを作っていくことも可能なのではと思われる。金鷲旗大会で打倒桐蔭学園を果たして「やれる」記憶が体に刻まれた作陽チーム、来年度も大いに期待したい。

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山村陸斗が宇賀神圭太から「技有」、名張はリードを2点に広げる

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中堅戦、長谷川明伸が山登爽介から豪快な内股「一本」。これで流れは白鴎大足利へ。

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大将齋五澤航介の「一本」で白鴎大足利が逆転勝利

白鴎大足利高(栃木) ②-2 名張高(三重)
(先)溝口宗志△優勢[技有]〇増田良生
(次)宇賀神圭太△優勢[技有]〇山村陸斗
(中)長谷川明伸〇内股(0:26)△山登爽介
(副)杉之内暁×引分×藤井紀斗
(大)齋五澤航介〇小外掛(0:52)△中窪洸貴

大会最激戦ブロックを勝ち残り我こそはベスト4の権利ありと意気込む白鴎大足利、地元から45年ぶりのベスト8入りを果たし準決勝進出といういま一段の戦果の上積みを得んと意気揚がる名張。ともに千載一遇の機会を逃してはならじと、これ以上ないほど気合いの入った一番である。

名張は先鋒増田良生と次鋒山村陸斗がともに「技有」優勢で勝利して、なんと次鋒戦終了時点で2-0までスコアを開く。しかし白鴎大足利はエース長谷川明伸が僅か26秒、豪快な内股「一本」で山登爽介を下して反撃の狼煙。副将戦は引き分けに終わったが、ここで白鴎大足利が試合巧者のポイントゲッター・齋五澤航介を大将に配置していたオーダー順が、前日に引き続いてまたもや生きる。状況に応じた的確なギアの上げ下げがこの選手の長所。相手が81kg級の中窪洸貴と体格が近いことも幸い、もっとも得手とする吶喊攻撃に打って出、51秒には一か八かの強引な小外掛に嵌めて劇的「一本」。

これで大逆転、2-2の内容差で白鴎大足利の勝利が決まった。白鴎大足利は平成10年の第47回大会以来、20年ぶりのインターハイ準決勝進出。

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初日全敗の安藤健志が健闘、工藤樹希から引き分けをもぎ取る。

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中堅戦、萩原麻陽が高山康太から肩車「技有」

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千野根有我が吉村卓也から大外刈でまず「技有」

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村尾三四郎は僅か26秒、内股「一本」で園田陸斗を屠る。

桐蔭学園高(神奈川) 2-1 九州学院高(熊本)
(先)安藤健志×引分×工藤樹希
(次)中野智博×引分×岩永洸輔
(中)高山康太△合技(2:21)〇萩原麻陽
(副)千野根有我〇合技(1:52)△吉村卓也
(大)村尾三四郎〇内股(0:26)△園田陸斗

先鋒戦は安藤健志が右、工藤樹希が左組みのケンカ四つ。安藤押し込まれる場面が目立つも場外際では右内股、肩車と技を仕掛けて抵抗。1分44秒に片手の「指導1」を失うが、両者決定打なくそのまま試合は終了となる。安藤は今大会初めて黒星を免れ、引き分けで仕事を果たして帰陣。

次鋒戦は上背で勝る九州学院・岩永洸輔が奥襟を得て組み手上は優位も、桐蔭学園の1年生レギュラー中野智博が腰を抱いて、懐に潜りこんでと巧みな組み手で圧を反らし続けて試合を膠着に持ち込む。この試合も引き分けに終わり、前衛2戦を消化してスコアは0-0。後衛の布陣を考えれば前半での3点奪取が必須と思われた九州学院は苦しいところ、一方桐蔭学園はこの2引き分けで勝利のラインを死守した形。

しかし中堅戦は九州学院のポイントゲッター萩原麻陽が高山康太を相手に開始25秒肩車で「技有」奪取。初日は全勝の高山これで動揺したか、2分21秒にはさらに「技有」を失い、合わせ技の一本勝ちでこの試合は萩原に軍配。先制点は九州学院、3戦消化でスコアは1-0である。

しかしここからは桐蔭学園の得点ブロック。副将戦は千野根有我が右相四つの吉村卓也を相手ににじり寄るように前進、組み合うことを嫌う吉村に開始1分半で早くも「指導」2つが累積する。後のなくなった吉村が脇を差して勝負に出ると、千野根は待ってましたとばかりにこれを抱き止めて引き手を確保、片襟の右大外刈で刈り倒して決定的な「技有」奪取。直後の1分52秒、千野根は引き手で袖を得ると釣り手で相手の右上腕を持ち、乗り上げるような右大外刈。窮した吉村が背中を抱いてきたところで一段深く刈り込み「技有」追加。結果合わせて「一本」で千野根の勝利が確定。ここでスコアは1-1のタイ。

大将戦は僅か26秒で決着。村尾三四郎は左相四つの園田陸斗と組み合うなり引き手で襟を持って左大外刈、これは決まらなかったが、間を置かずに今度は引き手で袖口を持っての左大内刈で勝負に出る。作用足を引っかけて追い込むと、園田の体勢の詰まりを見届け左内股に連絡して完璧な「一本」。上体を固められた園田はほとんど何も出来ないまま宙を舞った。

これで桐蔭学園は勝ち越し。またもや一本勝ちの千野根、村尾の得点力をテコにこの試合も2-1で勝ち抜け、全国高校選手権に続くベスト4ステージへの進出を決めた。

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池田凱翔と田中航太による先鋒戦。

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次鋒植岡虎太郎攻めるも、坂本拳斗捌き続けて動ぜず。

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中堅戦、天理・井上直弥が岩坪龍輝から大外落「一本」

天理高(奈良) 2-1 鹿児島情報高(鹿児島)
(先)池田凱翔×引分×田中航太
(次)植岡虎太郎×引分×坂本拳斗
(中)井上直弥〇大外落(2:31)△岩坪龍輝
(副)中野寛太〇大外刈(0:29)△松本司
(大)水上世嵐△大外刈(3:07)〇小原健誠

先鋒戦は天理・池田凱翔が右、鹿児島情報の田中航太が左組みのケンカ四つ。池田は下から釣り手を持って右内股に右背負投と技を積むが、田中は動ぜず威力のある左内股を返して展開は拮抗。1分58秒には両者に取り組まない咎による「指導」が与えられる。残り10秒、池田が左「一本大外」で深く刈り込んで惜しい場面を作るも、田中バランスよく腹這いで着地して得点はならず。そのまま試合が終わり、緒戦は引き分け。

次鋒戦は右相四つ。序盤は天理・植岡虎太郎が試合を支配、組み手争いから低い右背負投、高い片襟の右背負投と得意の担ぎ技を連発するが、しかし坂本拳斗は意外なほどに焦らずこれを冷静に捌き続ける。2分間際には植岡が背負投フェイントからの右小内刈で坂本を大きく崩すが、腹這いで落ちてポイント獲得には至らない。2分45秒に坂本に消極的の「指導1」が与えられるも終盤は坂本が盛り返し、疲れの見え始めた植岡を寝技や肩車で攻めたまま試合終了。この試合も引き分けに終わり、スコアは0-0で動かず。

中堅戦は右相四つ。天理・井上直弥は奥を叩いて圧を掛けながら前進、引き手で脇を突いて耐える相手を無理やり引きつけ、威力のある右大外刈を仕掛け続ける。前日先輩の得点力に助けられた形の2年生井上はひときわ気合いの入った試合ぶり、後手を踏んだ岩坪龍輝に「指導」。
苦しい状況の岩坪は首を抜いて、引き手を切って、さらに幾度も訪れた大外刈による危機をなんとか腹這いに逃れることで決着を先送りするが、2分31秒ついに陥落。井上が釣り手の固定を利かせた右大外落で浴びせ倒して「一本」。天理はここで先制に成功、スコアは1-0。

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副将中野寛太が大外落「一本」、これで天理の勝ち抜けは決定。

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大将戦、水上世嵐が背負投で「技有」先行。

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小原健誠から水上を大外刈「一本」、逆転勝ちで鹿児島情報は一矢を報いる

エース同士の対決となった副将戦は天理の中野寛太に鹿児島情報の松本司ともに左組みの相四つ。組み合うなり中野が強引な左袖釣込腰を見舞うが、これは松本が腹這いで落ちて決まらず「待て」。続く展開、中野は相手の釣り手を手繰ってまず引き手で袖口を確保、次いで釣り手を片襟の位置に差し入れながら左大外刈に飛び込み、引き落とすように刈り投げて「一本」。僅か29秒で試合決着、これでスコアは2-0となり天理の準決勝進出が決定。

大将戦は天理・水上世嵐が右、鹿児島情報・小原健誠が左組みのケンカ四つ。水上が下から釣り手を持って右背負投を仕掛け、小原がそれを抱き止めてカウンターを狙うという形で試合が進む。2分過ぎ、水上が場外際で右背負投。相手の懐深くまで侵入して投げ切り「技有」を得る。チームの勝敗が決しているという背景からも、これまでの展開からもこのまま試合は水上勝利に終わるかと思われたが、3分7秒、小原が相手の下がり際をとらえて左大外刈。これが鮮やかに決まって「一本」。鹿児島情報が意地を見せて最終スコアは2-1となった。

天理は戦いぶりやや硬かった印象。初日レポートで既述の通りどのチームにもその得点力が十分発揮されるような全方位型のチームではないが、きょうこのあと控える決戦2試合のカギになるはずの前衛2枚が引き分け、次戦に向けて試合を締めるはずの水上が逆転負けと決して良い卦ばかりが出た試合ではなかった。展開上は危なげなかった試合だが、万全とは言い難い一番。

前日脆さを見せてしまっていた井上が素晴らしい働きを見せたことは好材料だが、果たして齋藤涼監督が打つ次の手やいかに。手元に取り置く山中瞭をいつ、どこに投入するのか。分析の材料はどうやら出揃った感あり、次戦以降の采配に注目である。

結果決まった準決勝カードは、

国士舘高(東京) ― 白鴎大足利高(栃木)
桐蔭学園高(神奈川) ― 天理高(奈良)

となった。

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