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第67回インターハイ柔道競技・女子個人試合7階級レポート

(2018年8月23日)

※ eJudoメルマガ版8月22日掲載記事より転載・編集しています。
第67回インターハイ柔道競技・女子個人試合7階級レポート
取材・文:林さとる/古田英毅
撮影:eJudo編集部

■ 48kg級・古賀若菜が2連覇達成、フィジカルで他の選手を圧倒
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48kg級準決勝、白石響が渡邉愛子から内股透「一本」

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48kg級準々決勝、渡邉が芳田真から谷落「技有」

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48kg級準々決勝、古賀若菜が山口弘衣から左大内刈「一本」

【決勝まで】

そもそものレベルの高さに加え、下部カテゴリの44kg級も吸収して実績のある有力選手がずらしと名を連ねた激戦階級。有力選手密集のABブロックを制したのは、まさかのダークホース白石響(熊本・熊本西高)、反対のCDブロックからは優勝候補筆頭の古賀若菜(福岡・南筑高)が順当に勝ち上がりを決めた。

白石は2回戦で須藤咲子(群馬・前橋東高)に合技「一本」(1:06)で勝利して大会をスタート。3回戦では渋谷舞(静岡・東海大静岡翔洋高)に合技「一本」(0:33)、準々決勝では外処茅優(山梨・富士学苑高)に大外刈「技有」と、強豪との連戦を勝ち抜いてベスト4進出を決める。準決勝の相手は2回戦で高校選手権2位の村川実葉瑠(兵庫・夙川学院高)を「指導3」反則(2:38)、そして3回戦で同大会王者の芳田真(滋賀・比叡山高)を谷落と袈裟固の合技「一本」(2:34)で下して勝ち上がった、この日絶好調の渡邉愛子(神奈川・横須賀学院高)。渡邉自身も全国大会上位常連の強豪だ。この試合、白石は低く食らいついてじっくりと攻め、2分57秒に華麗な内股透「一本」。狙いすました見事な一撃で勝利を収め、ノーマークから見事ファイナリストの栄誉を得る。

一方の古賀は全試合を早い時間の「一本」で終わらせる盤石の勝ち上がり。内容は2回戦で松原淳帆(島根・邇摩高)に合技「一本」(0:21)、3回戦で上倉舞知(石川・金沢学院高)に合技「一本」(1:17)、準々決勝で山口弘衣(岡山・創志学園高)に大内刈「一本」(0:26)、準決勝で荒川朋花(茨城・牛久高)に体落と袈裟固の合技「一本」(0:22)。4試合を合わせても僅か2分26秒と1試合分にも満たない圧勝で決勝の畳へと上がる。
  
全日本カデ王者の中馬梨歩(鹿児島・国分中央高)は、3回戦で芳田に袖釣込腰を返され隅落「技有」(GS3:04)で敗れた。

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48kg級決勝、古賀が得意の左大内刈で白石を攻める

【決勝】

古賀若菜〇優勢[僅差]△白石響

古賀が左、白石が右組みのケンカ四つ。古賀は相手を上下にあおり、右襟を両手で握っての左背負投、さらに左背負投、そして相手の右袖を両手で抱き込む「ケンカ四つクロス」の左内股で攻める。手数で後れを取った白石は右大腰と右体落で攻め返すが古賀を止め切れず、古賀が左体落、さらにそこから体を開いての左大内刈と攻めた1分41秒、白石に「指導」。以後も古賀はペースを落とさず作用足を突っ込んでは体を開いて大内刈、あるいは体を回して左内股と攻め続け、2分25秒には白石に2つ目の「指導」が加えられる。以後も古賀はケンケンの大内刈、肘を畳んで相手の釣り手を上から制しておいての左背負投とペースを落とさず快調。白石は残り30秒を切って古賀の左体落に右体落をかちあわせるが、チャンスらしいチャンスはこれのみ。そのまま試合終了、「指導2」差を得た古賀が僅差の優勢で勝利を決めた。

この日の古賀は組み合わせに恵まれた面はあるものの、これを割り引いても素晴らしい出来。まさに圧勝だった。トリッキーな技に頼らず足技と寝技で相手を仕留める技術面の練度の高さはもちろん、なにより身体能力で頭一つ抜けている感がある。金鷲旗大会では2階級以上上の選手、今回57kg級で優勝した岡田恵里佳(京都・立命館宇治高)らと戦っても、技術ではなくそもそも力で相手に勝っていた。このフィジカル面での優位が継続する限り、高校カテゴリにおける古賀の王座は揺るがないのではないだろうか。3連覇を狙う来年の大会まで、この階級は古賀を中心に回っていくことになりそうだ。

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48kg級優勝の古賀若菜

【入賞者】

優 勝:古賀若菜(福岡・南筑高)
準優勝:白石響(熊本・熊本西高)
第三位:渡邉愛子(神奈川・横須賀学院高)、荒川朋花(茨城・牛久高)
第五位:芳田真(滋賀・比叡山高)、外処茅優(山梨・富士学苑高)、山口弘衣(岡山・創志学園高)、髙森来春(大阪・星翔高)

古賀若菜選手のコメント
「2連覇、自信はありました。強い選手はたくさんいましたが、自分は中学3年のときにインターハイ3連覇という目標を立てて、これに向かってそれなりの稽古をしてきたつもり。素根輝先輩の背中を見て、追いつけ追い越せで頑張ってきました。やって来たことを信じていますし、なによりまだ目標の過程なのでプレッシャーも乗り越えられると思っていました。足で崩して寝技で抑えるのが自分の柔道。準決勝まではこれが出来たし、得意の足技で『一本』を取れて、それは嬉しい。性格は負けずぎらいで、相手が来れば来るほど力が出るタイプだと思っています。(―この先のレベルアップは?)自分はちょこちょこ動く相手が苦手なので、(―自分がそのタイプでは?)まあそうなんですけど(笑)、そういう相手を捕まえてきちんと『一本』獲れるようにしていきたい。将来はオリンピックで金メダルを取りたい。パリ大会が目標です。尊敬している選手は中村美里選手、あの決めの巧さを身に着けたいです。」

【準々決勝】

渡邉愛子○合技[谷落・袈裟固](2:34)△芳田真
白石響○優勢[技有・大外刈]△外処茅優
古賀若菜○大内刈(0:26)△山口弘衣
荒川朋花○反則[指導3](2:31)△髙森来春

【準決勝】

白石響〇内股透(2:57)△渡邉愛子
古賀若菜〇合技[体落・袈裟固](0:22)△荒川朋花

【決勝】

古賀若菜〇優勢[僅差]△白石響

■ 52kg級・ノーマークの藤本彩月が戴冠、決勝で對馬みなみとの投げ合いを制す
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52kg級準決勝、對馬みなみが大森生純から裏投「技有」

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52kg級準決勝、藤本彩月が北岡央を左袖釣込腰「一本」に仕留める

【決勝まで】

決勝進出者は高校選手権2位の對馬みなみ(宮城・東北高)とノーマークから勝ち上がった藤本彩月(福岡・敬愛高)。

對馬、序盤戦の勝ち上がりは1回戦で赤石萌夏(群馬・前橋育英高)に横四方固「一本」(GS2:26)、2回戦で長野友香(北海道・北海高)に「技有」優勢、3回戦で今井夏奈子(新潟・新発田農高)に裏投「一本」(0:31)、準々決勝で小林桃果(石川・金沢学院高)に送襟絞「一本」(2:44)。持ち前の力強い柔道で順当にベスト4入りを決め、準決勝で高校選手権王者・大森生純(東京・帝京高)との大一番を迎える。高校選手権決勝の再現となったこの試合は右相四つ。両者一歩も退かず、「指導1」ずつを取り合って残り1分まで試合が進む。残り44秒、大森が右大内刈で追い込むと對馬これを抱き止めて裏投。「フロントスープレックス」のごとく相手もろとも後方宙返りを打つ荒業。着地はほとんど同体だったが、審判団は合議の末に對馬の「技有」を宣告する。このポイントを以て對馬が優勢勝ち。高校選手権に続いての決勝進出を決めた。

対する藤本は2回戦で川西陽菜(岡山・創志学園高)に合技「一本」(1:19)、3回戦で中村愛香莉(静岡・藤枝順心高)にGS延長戦での「指導1」(GS3:32)、準々決勝で櫻庭愛花(大阪・東大阪大敬愛高)に袖釣込腰「一本」(0:11)でそれぞれ勝利してベスト4に進出。準決勝では北岡央(兵庫・夙川学院高)を強烈な袖釣込腰「一本」(1:54)で畳に沈めて決勝へと駒を進める。

優勝候補の一人であった藤城心(山梨・富士学苑高)は、1回戦で北岡に腕緘「一本」(0:29)で敗れて早々に畳を去った。

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52kg級決勝、藤本が對馬から右大外落「技有」

【決勝】

藤本彩月〇GS合技[大腰・大外落](GS2:15)△對馬みなみ

右相四つ。對馬が釣り手を持とうとすると藤本すばやく袖を捕まえて絞り、序盤は両袖の攻防が続く。絞られて窮屈そうな對馬は技が止まり、一方の藤本は左小内刈に組み際の左背負投と効く技を連発、1分5秒、對馬に「指導」。奮起した對馬は組み際に思い切った左一本背負投を見せるが、懐に入れないまま空転して「待て」。

明らかに藤本が優位の展開だが、1分50秒、またもや両袖を絞り込んだ藤本に袖口絞り込みの「指導」。この反則を受けて藤本が次の戦術を探ったエアポケットを對馬巧みに突き、直後の2分5秒、組み際の左小内刈に飛び込む。掛けると同時に体を浴びせた一撃に藤本耐える間なくもろとも倒れ對馬の「技有」。

以降對馬は左一本背負投を中心に相手の前進圧力を剥がし続けるが、2分41秒藤本が強烈な左大腰。對馬なんとか身を捩じるが、高空から凄まじい速度で叩きつけたこの一撃に屈し「技有」。畳と体の激突の衝撃の印象強い、強烈な一撃。立ち上がろうとした對馬は体を突き抜けた衝撃の余波か、あるいは消耗ゆえか、一瞬よろける。

以降はじわじわと藤本が優勢。奥襟を叩いての左小内刈、左一本背負投、一本背負投様に腕を固めた大内刈に左内股と攻め続け、對馬は散発の一本背負投で展開を散らしながら必死に刃の入れどころを探す。3分48秒、對馬に2つ目の「指導」が与えられ、試合はそのままGS延長戦へ。

延長戦では藤本が戦局を支配、對馬が陣地を少しづつ譲りながらも一発を狙うというこの構図は、GS延長戦2分15秒ついに決壊。藤本が釣り手を相手の頭越しに潜らせ、ほとんど左肩裏という深さで握って無理やり固定、對馬の頭を下げさせたまま右大外刈を引っ掛ける。両足を踏ん張って大外落に連絡すると身を捩じって回避する對馬の体を制し切って「技有」。大消耗戦ここに決着、藤本のインターハイ初制覇が決まった。

藤本はダークホースながら、準決勝、決勝と有力選手を相手に投げ勝っての戴冠。高校日本一の称号を得るにふさわしい、堂々たる戦いぶりだった。

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52kg級優勝の藤本彩月

【入賞者】

優 勝:藤本彩月(福岡・敬愛高)
準優勝:對馬みなみ(宮城・東北高)
第三位:大森生純(東京・帝京高)、北岡央(兵庫・夙川学院高)
第五位:小林桃果(石川・金沢学院高)、古里幸永羽(長崎・長崎明誠高)、櫻庭愛花(大阪・東大阪大敬愛高)、藤田真由(鹿児島・国分中央高)

藤本彩月選手のコメント
「うれしいです。午前中の団体戦でチームが準優勝、決勝で負けた結果は悔しいけど、内容は凄く頑張ってくれて。後輩たちに負けないようにしなきゃ、とひときわ気合いが入りました。今日は試合開始前に今井優子コーチとアップを物凄くしっかりやって、ここまで息を上げておけばもう大丈夫と自信になりました。3回戦の中村愛香莉選手との試合が山場だと思っていたのですが、延長戦で勝てて、気持ちで負けていない、今日はいけるぞと思いました。(―自分の柔道の特徴は?)袖釣込腰が得意ですが、あんまり緊張しないタイプなのが良いところかなと。試合もあまりあれこれ考えず、稽古を一生懸命やって、あとは思い切りよく、という感じです。敬愛は仲間が強いし、ここまで稽古したらそうそう負けません。次は全日本ジュニアがありますが、ここでも『思い切りいく』自分の戦いを貫きたいです。というより、まわりが大学生の強い先輩方ばかりなので、そうするしかないです(笑)。」

【準々決勝】

對馬みなみ○送襟絞(2:44)△小林桃果
大森生純○合技[](2:24)△古里幸永羽
藤本彩月○袖釣込腰(0:11)△櫻庭愛花
北岡央○合技[小外掛・縦四方固](2:26)△藤田真由

【準決勝】

對馬みなみ〇優勢[技有・裏投]△大森生純
藤本彩月〇袖釣込腰(1:54)△北岡央

【決勝】

藤本彩月〇GS合技[大腰・大外落](GS2:15)△對馬みなみ

■ 57kg級・岡田恵里佳が金知秀を破り優勝、地元三重の堂﨑月華が2位入賞果たす
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57kg級準決勝、堂﨑月華が新井風花から左小外刈「一本」

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57kg級準決勝、岡田恵里佳が金知秀から左大外落「技有」

【決勝まで】

決勝に勝ち上がったのは昨年3位、地元三重の代表堂﨑月華(三重・名張高)と全日本カデ選手権王者の岡田恵里佳(京都・立命館宇治高)。

堂崎は2回戦で中村苑美(長野・松商学園高)を袈裟固「一本」(GS3:24)で下すと、3回戦では昨年の全日本カデ選手権王者・中矢遙香(愛媛・新田高)を小外刈「一本」(2:29)で撃破。以降、準々決勝は塚本円香(大阪・東大阪大敬愛高)に相手の反則(GS2:38)、準決勝では新井風花(千葉・八千代高)に小外刈「一本」(GS1:04)でそれぞれ勝利して、全試合一本勝ち(反則含む)で決勝進出を決める。

一方の岡田は2回戦で首藤夏実(山梨・富士学苑高)に合技「一本」(4:01)、3回戦で宮里心菜(沖縄・沖縄尚学高)に合技「一本」(2:17)と順調な滑り出し。しかし、準々決勝では渕田萌生(石川・津幡高)を相手に試合時間9分を越える大消耗戦を演じてしまい、「指導2」(GS5:07)で勝利こそ得たものの、体力を大きく消耗してしまう。準決勝の相手は優勝争いの大本命、バクー世界選手権の韓国代表も務める金知秀(兵庫・夙川学院高) 。この試合は左相四つ。前戦の疲れが残る岡田は早期決着を意図して腹を括り、試合の序盤から積極的な攻勢に出る。45秒には左の「一本大外」を引っ掛けて投げ切り大外落「技有」。まさかの失点に金は気色ばんで激しく攻めるも、徹底して守る岡田を攻略できずにタイムアップ。岡田、大本命を倒してこれで決勝進出決定。

上位進出が期待された古賀ひより(岡山・創志学園高)は午前中に行われた団体戦で肩を負傷して欠場。関東王者の五十嵐日菜(東京・国士舘高)も金鷲旗で負った怪我が癒えず出場を見送った。

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57kg級決勝、岡田が堂﨑から左袖釣込腰「技有」

【決勝】

岡田恵里佳〇合技[袖釣込腰・横四方固](0:50)△堂﨑月華

右組相四つ。堂崎が先んじて引き手で袖、釣り手で奥襟を掴む良い形を作るが、岡田は左腕の肘を上げて片手の左背負投。ここから「韓国背負い」よろしく時計回りに回転して右大外落に連絡するが、拘束の材料足りず堂崎が一歩横に離れて捌くとぶら下がる形で潰れ「待て」。

しかしこの一撃で手ごたえを得た岡田、続く展開では先んじて引き手の袖を一方的に掴み、釣り手は低いながらも襟をしっかり掴むほぼ最高の形。一呼吸間合いを整えるとここから左袖釣込腰、打点高く、相手と自分の体側のラインを合わせたまま体を折ると縦に回転するしかなくなった堂崎激しく畳に落ちて「技有」。岡田はそのまま横四方固に連絡「一本」。僅か50秒で決勝を制し、インターハイ初優勝を成し遂げた。

岡田最大の山場はやはり準決勝の金知秀戦、試合後に「準々決勝で物凄く長い延長戦を戦って本当にしんどかったので、準決勝からは逆に先に行こう、早くポイントを取ろうと肚を括って試合をしました」と語った通り、試合の巧い金のフィールドである戦術比べではなく、直線的に投げを狙ったことが結果につながった形だ。岡田は金とは同ブロックの選手、夙川学院出世期のスタイルの典型の1つである金の柔道に対し対策が立てやすかったということもあるだろう。ともあれ、金に勝利したこと、さらにここで気持ちを切らずに最後まで勝ちきったことは見事。岡田はまだ2年生、今後の成長にも期待したい。

一方敗れた金はやはり勝って当たり前という立場のプレッシャーがあったものと思われる。挑む立場で臨むバクー世界選手権では、今大会での鬱憤を晴らすような大暴れに期待したい。

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57kg級優勝の岡田恵里佳

【入賞者】

優 勝:岡田恵里佳(京都・立命館宇治高)
準優勝:堂﨑月華(三重・名張高)
第三位:新井風花(千葉・八千代高)、金知秀(兵庫・夙川学院高)
第五位:塚本円香(大阪・東大阪大敬愛高)、西尾果連(福岡・敬愛高)、石嶋青空(栃木・國學院大栃木高)、渕田萌生(石川・津幡高)

岡田恵里佳選手のコメント
「全国中学大会も2番で、カデの優勝はありますが、これぞという全国大会の優勝は初めて。決勝はここをしっかりやり切るんだと自分に言い聞かせて試合をしました。準々決勝で物凄く長い延長戦を戦って本当にしんどかったので、準決勝からは逆に先に行こう、早くポイントを取ろうと肚を括って試合をしました。今日の試合は課題だらけ。疲れて『決め切れない』のは稽古で全力を出し切れないところがそのまま試合に出たと思います。序盤の試合で背負投で高く放ったのですが、手を離してしまった。試合はその投げで決まったけど、なぜその時に抑えにいかなかったのか、なぜそもそも手を離したのか。まだまだ甘いなと思いました。理想は投げて、抑えてと両方出来る柔道。次はまず、しっかりひとつひとつの試合を、それも自分がやりたいことをやって勝ち切ること。これを目標にします。」

【準々決勝】

堂﨑月華○GS反則(GS2:38)△塚本円香
新井風花○GS技有・背負投(GS4:12)△西尾果連
金知秀○払巻込(0:11)△石嶋青空
岡田恵里佳○GS僅差(GS5:07)△渕田萌生

【準決勝】

堂﨑月華〇GS小外掛(GS1:04)△新井風花
岡田恵里佳〇優勢[技有・大外落]△金知秀

【決勝】

岡田恵里佳〇合技[袖釣込腰・横四方固](0:50)△堂﨑月華

■ 63kg級・伏兵の檀野芽紅が優勝、準決勝で優勝候補の浦明澄を破る
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63kg級準決勝、檀野芽紅が浦明澄を左小内刈で攻める

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63kg級2回戦、勝部桃が岡村美瑛から右内股「一本」

【決勝まで】

昨年の世界カデ選手権王者・結城彩乃(山梨・富士学苑高)が金鷲旗で肩を負傷して欠場。これにより高校選手権王者・浦明澄(岡山・創志学園高)の独擅場となると思われた本階級だが、その浦も準決勝で苦杯を喫して決勝には残れなかった。

決勝に勝ち上がったのは準決勝で浦から殊勲の勝ち星を上げた伏兵・檀野芽紅(大阪・星翔高)と、今年の全日本カデ選手権王者の勝部桃(京都・京都学園高)。

檀野は1回戦で尾崎慶奈(香川・高松中央高)に合技「一本」(2:14)、2回戦で三浦芽瑠(島根・明誠高)に袖釣込腰「一本」(1:34)、3回戦で谷岡成美(東京・渋谷教育学園渋谷)に相手の反則(3:50)でそれぞれ勝利してベスト8進出。準々決勝では結城の代替選手として入った小齊穂奈美(山梨・富士学苑高)を「技有」優勢で下し、準決勝ではいよいよ浦と相まみえる。

この試合は左相四つ。檀野は袖を絞って、横変形にずれてと浦の攻撃をかわし続け、両者「指導2」を失ったところで試合終盤を迎える。そして3分38秒、檀野の意外な粘りに焦ったか、浦が片襟から頭をくぐらせて奥襟を持ちに行くミスを犯す。形の完成までに時間の掛かったこの動作に対して主審は片襟の「指導3」を宣告。浦はまさかといった表情で納得できない様子であったが、この判定はルール通り、今大会の審判傾向に照らしてもブレのない、妥当なもの。檀野が粘り強い戦いで王者浦のミスを誘った形、大番狂わせを演じて決勝進出。

一方の勝部は有力選手が集まったCブロックからの勝ち上がり。1回戦で菊地陽真(宮城・小牛田農林高)に合技「一本」(1:59)、2回戦で岡村美瑛(長崎・五島高)に内股「一本」(1:32)で勝利すると、3回戦では溝口愛歌(埼玉・埼玉栄)との6分間に及ぶ消耗戦を小外掛「技有」(GS2:00)で制してベスト8入り。準々決勝の相手は全日本カデ選手権で決勝を争った立川桃(愛媛・新田高)。前回の対戦ではGS延長戦での「指導3」反則で勝部が勝利しているカードだが、今回は相手が伏せたところを下に潜り込みながら脇を掬ってめくり返し肩固「一本」(2:03)で完勝。準決勝では足達実佳(滋賀・比叡山高)を縦回転の豪快な内股「一本」(2:35)に仕留め、決勝の畳へと歩を進める。

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63kg級決勝、檀野が勝部の右小外掛を左内股で切り返して「一本」

【決勝】

檀野芽紅○内股(3:57)△勝部桃

檀野が左、勝部が右組みのケンカ四つ。開始10秒、檀野が引き手争いから片手の袖釣り込みを放って勝部を大きく崩すが、ポイント獲得には至らず。勝部は組み止めての内股を狙うが、檀野が時計回りに回りながら片手、あるいは両袖で担ぎ技を放つため、なかなか十分な間合いを作ることができない。勝部は2分半頃から釣り手のみの右内股を連発、ひとまず展開上の優位を確保しにかかる。しかし手数勝負は檀野のフィールド。片手技で状況を積むそばから相手に技を上書きされてしまい、「指導」を得るところまで差を作ることができない。

3分10秒、勝部が組み手を妥協して引き手で襟を掴むと、檀野は引き手で肘付近を深く握ってこれに応じる。直後、勝部が前技フェイントの右小外掛。檀野が左内股で応じると引き手で組み負けている勝部は大きく浮くが、着地した左足で踏ん張り辛うじて失点を回避する。3分16秒、勝部に消極的の「指導」。残り15秒、勝部この試合で初めて釣り手と袖を得て万全の形を作り、右内股。さらに檀野が腰を切って凌ぐとすかさず右小外掛に連絡する。しかし壇野はかえってチャンスとばかりに勢い良く腰を切って左内股。引き手が切れてしまうも釣り手と体でコントロールし切り、縦回転で背中を着かせ「一本」。残り時間3秒の劇的決着。ダークホース檀野が見事全国の頂点に立ってみせた。

檀野は優勝候補の結城が欠場したブロックを勝ち上がった選手。眼の前に訪れたチャンスを取りこぼさず、見事モノにした格好だ。準決勝で王者浦を相手に見せたしぶとさに、決勝で勝部を投げ飛ばした豪快な内股「一本」と、持てる力全てを出し切っての日本一獲得だった。

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63kg級優勝の檀野芽紅

【入賞者】

優 勝:檀野芽紅(大阪・星翔高)
準優勝:勝部桃(京都・京都学園高)
第三位:浦明澄(岡山・創志学園高)、足達実佳(滋賀・比叡山高)
第五位:西田朱里(長野・松商学園高)、小齊穂奈美(山梨・富士学苑高)、立川桃(愛媛・新田高)、山口葵良梨(福岡・大牟田高)

檀野芽紅選手のコメント
「まさか優勝するとは思っていませんでした。ノーマークのはずです(笑)。ただ一戦一戦、目の前に集中して戦ったことが結果に繋がったと思います。後の先の技は決して得意ではないですが、あの時はうまく嵌りました。(―柔道は好き?)5歳の時からやっていますが、辞めたいと思ったことはないです(笑)。柔道は投げたり投げられたりすること自体が好き、投げるときの快感が好きです。ただ、まだまだ『一本』を取れる技がないので、これを磨いて世界で活躍できる選手になりたいです。こつこつ努力出来るのが長所だと思っているので、これを生かしてしっかり技を習得したい。大学に進んで、もっと高いレベルで戦えるようになりたいです。」

【準々決勝】

浦明澄○横四方固(1:33)△西田朱里
檀野芽紅○優勢[技有]△小齊穂奈美
勝部桃○肩固(2:03)△立川桃
足達実佳○優勢[技有](4:00)△山口葵良梨

【準決勝】

檀野芽紅○反則[指導3](3:38)△浦明澄
勝部桃○内股(2:35)△足達実佳

【決勝】

檀野芽紅○内股(3:57)△勝部桃

■ 70kg級・内股冴えた桑形萌花が優勝、1年生で高校日本一に輝く
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70kg級3回戦、桑形萌花が長谷川睦から右内股「技有」

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70kg級準々決勝、佐藤星麗七が田嶋海佳から右大外刈「一本」

【決勝まで】

桑形萌花(兵庫・夙川学院高)と佐藤星麗七(埼玉・埼玉栄高)が決勝に進出。

この日の桑形は絶好調。得意とする、近い足に作用足を掛けて引っこ抜く足車風の内股が冴え渡り、2回戦で阪本和香奈(宮崎・宮崎日大高)に内股「一本」(1:14)、3回戦で長谷川睦(新潟・日本文理高)に内股と裏固の合技「一本」(1:57)、準々決勝で小鮒未来(群馬・前橋育英高)に内股「一本」(0:34)と3試合連続でこの技を決めてベスト4へと勝ち上がる。準決勝の相手は敬愛高のエース、前戦で全日本カデ王者の朝飛真実(神奈川・桐蔭学園高)を試合終了間際の内股「一本」(3:59)で破っている多田純菜(福岡・敬愛高)。桑形はこの大一番を「指導2」の僅差優勢で突破して決勝へと駒を進める。

一方の佐藤は1回戦で村山はるか(岐阜・鶯谷高)に合技「一本」(1:47)、2回戦で清水菜々子(鳥取・倉吉農高)に払腰「一本」(0:46)、3回戦で藤本愛花(熊本・専大玉名高)に相手の反則(3:02)、田嶋海佳(東京・帝京高)に大外刈「一本」(0:57)と準々決勝までオール「一本」(反則含む)の素晴らしい出来。準決勝では対戦相手の瀬戸亜香音(山梨・富士学苑高)が前戦で負傷したために棄権、体力を温存して決勝に臨む。

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70kg級決勝、桑形が佐藤から右内股「技有」

【決勝】

桑形萌花○優勢[技有・内股]△佐藤星麗七

右相四つ。序盤戦は双方が横変形に構えて足を飛ばしながらの圧の掛け合い、押し合い。1分間際に桑形が相手の腕を一本背負投の形に抱えての右小内刈で「技有」を得るが、これはケアシステムによる確認の結果取り消しとなる。これ以降も横にずれての力比べが続くが、1分31秒、桑形が一瞬腰を落として相手と正対、間髪入れずに得意の右内股に飛び込む。距離がやや離れてしまっていたものの、相手を体に巻き付けるようにして最後まで回し投げ決定的な「技有」。そのまま足を抜いて抑え込みを狙うが、佐藤許さずがっちり足を絡んで凌ぎ切る。リードを奪われた佐藤は逆転のきっかけを得ようと激しく前に出続けるが、どっしりと構える桑形を投げる具体的な手段はなく、反対に右内股でポイントを失いかけて攻略のきっかけを掴めない。結局そのまま4分が経過して試合終了。1年生の桑形が見事インターハイ優勝を決めた。

桑形の柔道は小柄な体には似合わない非常にパワフルなもの。今大会では内腿に足車を仕掛けるかのような理合の、相手を引っこ抜くような内股でポイントを量産した。残りの2年間でどこまで成長するのか、今後が非常に楽しみになる逞しい戦いぶりだった。

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70kg級優勝の桑形萌花

【入賞者】

優 勝:桑形萌花(兵庫・夙川学院高)
準優勝:佐藤星麗七(埼玉・埼玉栄高)
第三位:多田純菜(福岡・敬愛高)、瀬戸亜香音(山梨・富士学苑高)
第五位:朝飛真実(神奈川・桐蔭学園高)、小鮒未来(群馬・前橋育英高)、嶋田沙緒里(鹿児島・国分中央高)、田嶋海佳(東京・帝京高)

桑形萌花選手のコメント
「全国大会の優勝は初めてで、すごく嬉しいです。優勝は十分出来ると思っていましたが、自分としては挑戦者のつもりで戦いました。(―試合を振り返って?)得意の内股で取れたことは良かったです。今日は準決勝と決勝で危ないところがあったので、今後は抜群の強さで勝ちたいです。(―普段の稽古で考えていることは?)70kg級の選手としては背が低いほうなので、釣り手を上手く使いながら攻めることを考えています。夙川学院はチーム内の争いが激しくてライバルが一杯、恵まれています。(―柔道以外の余暇はどんなことを?)習字をしたり、エレクトーンを弾いたりしています。他人からはやさしいと言われます(笑)。(―柔道のどんなところが好き?)誰が勝つかわからないところですね。(―将来の目標は?)オリンピックに出ること。パリ五輪で金メダルを獲りたいです」

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70kg級準々決勝、多田純菜が朝飛真実から右内股「一本」

【準々決勝】

多田純菜○内股(3:59)△朝飛真実
桑形萌花○内股(0:34)△小鮒未来
瀬戸亜香音○内股(0:15)△嶋田沙緒里
佐藤星麗七○大外刈(0:57)△田嶋海佳

【準決勝】

桑形萌花○優勢[僅差]△多田純菜
佐藤星麗○不戦△瀬戸亜香音

【決勝】

桑形萌花○優勢[技有・内股]△佐藤星麗七

■ 78kg級・今季急成長の長谷川瑞紀が優勝、旺盛な攻撃意欲でライバル圧倒
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78kg級2回戦、野澤知莉が吉田恵から右大内刈「技有」

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78kg級準々決勝、長谷川瑞紀が吉田智美に右大外刈「一本」で逆転勝ち

【決勝まで】

野澤知莉(神奈川・桐蔭学園高)と長谷川瑞紀(兵庫・夙川学院高)、ともに優勝候補と見られていた二人が順当に決勝に進出。

野澤は1回戦で木内幸妃(滋賀・綾羽高)に横四方固「一本」(1:35)、2回戦で吉田恵(徳島・徳島北高)に大内刈「技有」優勢、3回戦で上野紗依(島根・明誠高)に合技「一本」(1:07)、準々決勝では橋本美咲(富山・富山商高)に「指導2」の僅差優勢で勝利してベスト4入り。準決勝ではAブロックを勝ち上がってきた大型新人・丸山みかの(福岡・敬愛高)をGS延長戦の末に大内刈「技有」(GS0:58)で下して決勝進出を決める。

一方の長谷川はここまで全試合一本勝ちの圧倒的な内容。1回戦で西村東姫(高知・宿毛工高)を僅か20秒の払巻込「一本」、2回戦では山本楓花(長崎・長崎明誠高)を大内刈で2度投げつけての合技「一本」(1:41)、3回戦では黒田亜紀(山梨・富士学苑高)を小外刈「一本」(1:05)で下してまずベスト8入り。準々決勝の吉田智美(広島・広陵高)戦では開始早々に右小外掛を被り返され隅落「技有」を失ったものの、あっと言う間に片襟の右大外刈で「一本」(1:26)を取り返して逆転勝ち。準決勝では宮橋光(三重・名張高)を腰車と袈裟固の合技「一本」(0:24)で「秒殺」して決勝へと駒を進めることとなった。

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【決勝】

長谷川瑞紀○優勢[技有・大外落]△野澤知莉

右相四つ。長谷川は左引き手で相手の釣り手を落とすと、一度自身の右釣り手に持ち替えてから再度左引き手に持ち替え、万全の位置を確保。釣り手を肩越しに叩き入れて相手を潰し、腕緘様に固めて引き込んでの抑え込みを狙う。この攻防は野澤が耐え切り「待て」。この時点で経過時間は26秒、一合目の手合わせを見る限り、パワー、組み手技術ともに長谷川に分がある模様。長谷川が再度同様の手順で奥襟を得ると野澤はこれを嫌って潰れてしまい、46秒、偽装攻撃の「指導」。ここまでは一方的な長谷川のペース。しかし、続く展開ではこれを打開せんとした野澤が組み際に飛びついて奥を叩き、これをきっかけに双方が横変形にずれての膠着状態が生まれる。1分26秒、両者に消極的の「指導」。野澤は累計「指導2」で後がなくなってしまうが、奥を持つことと横変形にずれることに活路を見出し、以降はこの手立てで長谷川の圧に対抗するようになる。

2分40秒、主審の「始め」の声と同時に両者勢い良く開始線を飛び出し、組み付きながらの右大外刈。双方の技がかち合う形となったこの攻防は、相手よりも一段深く、刈り足が開いての両足が掛かるところまで踏み込んだ長谷川に軍配。片襟の大外落で掛け倒して「技有」。具体的なポイントを得た長谷川は以降、持ち前の圧力と組み手の上手さで野澤を完封し、そのまま試合終了を迎える。長谷川がインターハイ制覇、そして団体と合わせて今大会ただ1人の「二冠」を達成した。

今年度の高校二冠チーム夙川学院において、3年間で最も伸びたのは間違いなく長谷川。今大会は他を圧するパワーと旺盛な攻撃意欲、そしてこれを支える緻密な組み手技術によって、対戦相手を次々「一本」で葬り去った。今季は団体戦で主役級の戦いを続けて来たが、高校カテゴリ最後の個人戦でついにその活躍に相応しい勲章を手に入れた格好だ。

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78kg級優勝の長谷川瑞紀

【入賞者】

優 勝:長谷川瑞紀(兵庫・夙川学院高)
準優勝:野澤知莉(神奈川・桐蔭学園高)
第三位:丸山みかの(福岡・敬愛高)、宮橋光(三重・名張高)
第五位:佐藤亜美花(新潟・新潟第一高)、橋本美咲(富山・富山商高)、吉田智美(広島・広陵高)、山本杏(静岡・藤枝順心高)

長谷川瑞紀選手のコメント
「素直に嬉しいです(笑)。団体戦と個人戦の二冠は、たとえ強いチームにいたとしても全員が経験出来ることじゃない。もう一生ないかもしれない。最高の気分です。団体戦が終わって、あらためて課題を考え直しました。自分はこれまでも取ってから逆転されてしまうことが多かったのですが、先生方が『それではダメ。常に冷静であることが勝利に繋がる』と話してくださって、これが優勝に繋がったと思います。(―自分のいいところは?)乗るか反るかで取りに行けること、攻め続けるところ。返し技は怖いけど、自分のいいところを出すためには思い切って掛けるしかありません。3年生になってからはどんなにしんどくとも一番になるんだと言い聞かせて、攻める稽古をしてきました。(―強い選手が同期にいることは、刺激になりますか?)(阿部)詩、(金)知秀とすごい選手が同級生にいて、1年生の頃から『負けられない』と思って稽古をしてきました。まだまだ全然追いついていないですが、きょう、スタートラインにようやく立てた気がします。(―次の目標は?)まず全日本ジュニアがあるので、そこで表彰台に立つことです。将来は世界で活躍出来て、綺麗な技で勝てる選手になりたいです。」

【準々決勝】

丸山みかの○大外刈(1:31)△佐藤亜美花
野澤知莉○優勢[僅差]△橋本美咲
長谷川瑞紀○大外刈(1:26)△吉田智美
宮橋光○合技[袖釣込腰・崩袈裟固](1:46)△山本杏

【準決勝】

野澤知莉○GS技有・大内刈(GS0:58)△丸山みかの
長谷川瑞紀○合技[腰車・袈裟固](0:24)△宮橋光

【決勝】

長谷川瑞紀○優勢[技有・大外落]△野澤知莉

■ 78kg超級・髙橋瑠璃が春夏連勝、「組み続けて」ライバルとの連戦勝ち切る
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78kg超級1回戦、米川明穂が山岸莉那花から左内股「技有

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78kg超級2回戦、髙橋瑠璃が佐藤陽子から左払巻込「技有」

【決勝まで】

米川明穂(静岡・藤枝順心高)と髙橋瑠璃(東京・帝京高)が決勝進出、全日程の最後を飾る一番は高校選手権決勝と同じ顔合わせとなった。

米川は比較的戦いやすい組み合わせを引き、ここまで全試合一本勝ち。まず1回戦で山岸莉那花(千葉・木更津総合高)に内股と袈裟固の合技「一本」(1:44)、2回戦で大森実乗(岡山・岡山理大附高)に内股と袈裟固の合技「一本」(2:07)、3回戦で藤猪千夏(奈良・天理)に横四方固「一本」(0:50)、準々決勝で毛利かえで(愛媛・新田高)に内股と崩袈裟固の合技「一本」(1:41)で勝利。迎えた準決勝では大会前から実力者との声が高かった藪内美咲(北海道・北海高)を払巻込と崩袈裟固の合技「一本」(2:09)で一蹴、圧勝続きで決勝へと勝ち上がる。

対する髙橋は名のある選手と連戦する非常に厳しい組み合わせ。それでもいきなりの山場とばった2回戦で佐藤陽子(愛知・大成高)を払巻込「技有」優勢で下すと、以降は3回戦で横山陽華(宮崎・日章学園高)に浮落と横四方固の合技「一本」(0:20)、準々決勝で八巻衣音(広島・広陵高)に合技「一本」(2:21)と順当にベスト4入りを決める。

準決勝の相手は宿敵、吉峰芙母絵(兵庫・夙川学院高)。両者の組み手は左相四つ。髙橋は先に「指導2」を奪うもGS延長戦で追いつかれてしまう傍目には苦しい展開。しかし、ここで集中力を切らすことなく組み合い続けて圧を掛けると、GS1分37秒、勝ち急いだか吉峰が釣り手を絞られたまま左大外刈。髙橋これを受け止めると片襟を差して巻き込み様に切り返し、大外返に「技有」。ライバルとの接戦を制して決勝進出を決めた。

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78kg超級決勝、髙橋が米川から大外返「技有」

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勝利した髙橋は堪え切れず感涙

【決勝】

髙橋瑠璃○GS技有・大外返(GS5:37)△米川明穂

左相四つ。組み合っては分が悪い米川は組み際に攻撃を仕掛けることでまず展開を作りにかかる。最初の攻防は奥襟を持った髙橋が払腰を狙って掛け潰れたところで「待て」。ここからお互いに様子を窺って組み合わない時間が続き、47秒、両者に取り組まない「指導」。以降は米川が組み際に技を仕掛け、髙橋がこれを組み止めて投げを狙い、圧を嫌った米川が掛け潰れるという流れが繰り返される。本戦では決着がつかず勝負はGS延長戦へ。

これまでは組み手の圧力を上手く試合に反映できないことが多かった髙橋だが、この試合では一度持った手を簡単には離さず、かつ大外刈を中心とした積極的な組み立てを見せる。リスクは少ないが掛け潰れで展開を切ってしまう可能性が高い払腰や内股ではなく、返される危険性も高いが相手に与えるプレッシャーが高く連続攻撃の可能な大外刈を軸に据えたことで、自ら流れを切ってしまうことが減り、結果、米川は高橋のプレッシャーを浴び続けることとなる。

GS1分37秒、がっぷり四つの形ができると堪え切れなくなった米川が左大外刈。そのまま前方に倒れて逃れようとするが、髙橋これを許さず引っ張り上げ、肘を畳みながら浴びせ倒す。一瞬の間があって主審が「技有」を宣告。緊張の糸が切れたか髙橋は立ち上がりながら感涙。髙橋、春夏連勝という最高の形で高校カテゴリのキャリアに有終の美を飾った。

高橋、かねてより地力は十分だったが、相手の組み手争いにつきあって自らいったん釣り手を離す「やり直し」の多さと、先手を取らんとの掛け潰れの多さから展開を失うことが多かった。高校選手権無差別タイトル獲得後は周囲の期待感が一段上がったこともあり、実績に比してその評価決して芳しいものではなかったと言える。しかしこの日はまさにこの課題をしっかりクリア。見る側からも「今日の高橋は切らないな」「潰れないな」と、なにがしかを期して戦い方を変えていることがよくわかる、筋目の良い戦いぶりだった。コメントを聞く限り、技術面でも、周囲の視線を踏まえた自分の立ち位置という面でもしっかり自分を客観視することが出来ていた模様。同学年に素根輝というスーパースターがいるゆえ自身の柔道と立ち位置を考える機会と時間が増えたということもあろうが、この感性と思考力があればいま一段の飛躍が期待できるかもしれない。以後のさらなる成長に期待したい。

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78kg超級優勝の髙橋瑠璃

【入賞者】

優 勝:髙橋瑠璃(東京・帝京高)
準優勝:米川明穂(静岡・藤枝順心高)
第三位:藪内美咲(北海道・北海高)、吉峰芙母絵(兵庫・夙川学院高)
第五位:江口輝(福島・喜多方桐桜高)、毛利かえで(愛媛・新田高)、八巻衣音(広島・広陵高)、野地川友里(福岡・敬愛高)

髙橋瑠璃選手のコメント
「(―素根輝選手が不在の中、プレッシャーはありませんでしたか?)春獲ったから今回も勝って当たり前とか、素根選手がいないから勝たなければとか、そういうプレッシャーはなく、いつもの練習通り自分から攻める柔道をしっかりやろうと思っていました。というよりも、春の団体戦を獲れず、金鷲旗で負けて、昨日の団体戦でも負けて、私は回りにはチャンピオンというより『最後の最後でやり切れない選手』と思われているので、そもそも重圧自体がないです。本当は昨日の団体戦で勝ちたかったのですが、不完全燃焼で先生に申し訳なかった。せめて個人戦は絶対に勝とうと思っていました。今日はGS延長戦になってもなぜか心の中に余裕があって、入ったら投げ切ろう、手を離さずにやり切ろうと思い続けられました。(―米川選手とは団体戦の再戦、吉峰選手とも高校選手権で戦っていますが少々戦い方が変わったのでは?)昨日のうちにやり方を考え直した部分はありますが、いちばん大きいのは組み手を変えたこと。いままでの試合では、持ちに行っているのは自分で相手が逃げたり切ったりしているのに、結果として自分と両方に『指導』が来てしまっていた。自分は組みたいのにこれはおかしい、やり方を変えなければと考えました。手を離さず、持ち続けて、持ったまま投げにいきました。組み合わせも厳しくて決勝は自分のほうが消耗しているはずだったのですが、心に余裕を持てたのはそうやって考えて、戦い方に確信があったからだと思います。(―素根選手の存在について?)自分は相手にされていないと思うので、近づくためにはひとつひとつタイトルを積み重ねていって、視野に入っていくしかない。将来日本を背負って世界に出ていけるよう、しっかり戦っていきます。」

【準々決勝】

藪内美咲○合技[内股・袈裟固](3:36)△江口輝
米川明穂○合技[内股・崩袈裟固](1:41)△毛利かえで
髙橋瑠璃○合技(2:21)△八巻衣音
吉峰芙母絵○上四方固(2:05)△野地川友里

【準決勝】

米川明穂○合技[払巻込・崩袈裟固](2:09)△藪内美咲
髙橋瑠璃○GS技有・大外返(5:37)△吉峰芙母絵

【決勝】

髙橋瑠璃○GS技有・大外返(GS5:37)△米川明穂

※ eJudoメルマガ版8月22日掲載記事より転載・編集しています。

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