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第67回インターハイ柔道競技・男子個人試合7階級レポート

(2018年8月22日)

※ eJudoメルマガ版8月22日掲載記事より転載・編集しています。
第67回インターハイ柔道競技・男子個人試合7階級レポート
取材・文:林さとる/古田英毅
撮影:eJudo編集部

■ 60kg級・近藤隼斗が春夏連勝、「投げ」への意識の高さ光る
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60kg級準々決勝、近藤隼斗が椙本光真に裏投「一本」で逆転勝ち

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60kg級準決勝、鷲見仁義が甘田秀士郎を左内股「一本」で破る

【決勝まで】

高校選手権王者の近藤隼斗(佐賀・佐賀工高)と同大会3位の鷲見仁義(北海道・札幌山の手高)が決勝に進出。

近藤は1回戦で桃吉光矢(山形・山形工高)に肩車と体落の合技「一本」(1:33)、2回戦で山本拓澄(埼玉・立教新座高)に背負投「一本」(1:10)でそれぞれ勝利して勝ち上がると、3回戦では昨年の中学王者・辻岡慶次(愛知・大成高)の挑戦を「指導2」を得ての僅差優勢で退けてベスト8入り。準々決勝は椙本光真(神奈川・東海大相模高)に一本背負投「技有」をリードされる苦しい戦いとなるが、残り30秒に豪快な裏投「一本」(3:30)で逆転勝ち。続く準決勝では投げによるポイントこそなかったものの、古志侑樹(奈良・天理高)を「指導3」反則(1:31)で手堅く下して順当に決勝へと勝ち上がる。

一方の鷲見は2回戦からの登場。まず前戦で全日本カデ選手権55kg級王者の福田大晟(滋賀・比叡山高)を破って勝ち上がってきた渋谷魁(青森・青森山田高)を、GS延長戦での大内刈「技有」で下すと、3回戦では金井亮哉(栃木・白鴎大足利高)に合技「一本」(1:10)で勝利。準々決勝の相手は高校選手権で敗れた松田淳希(和歌山・初芝橋本高)。鷲見は勝負どころとなったこの試合を左小外刈「技有」による優勢で勝ち抜くと、続く準決勝では甘田秀士郎(茨城・つくば秀英高)から強烈な内股「一本」(3:02)。尻上がりに調子を上げて決勝の畳へとたどり着く。

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60kg級決勝、近藤がGS延長戦で鷲見から浮落「技有」

【決勝】

近藤隼斗〇GS技有・浮落(GS0:11)△鷲見仁義

左相四つ。まず鷲見が左背負投、さらに二本持ったままの「掛け倒す左小内刈」に飛び込んで先手を取るが、近藤は崩れず。以降は常に近藤が優勢、左大外刈、左背負投、左小内刈と取り味のある技を連発。いずれも明らかに投げ一発を狙う技ゆえ散発傾向、「指導」奪取にこそ至らないものの鷲見には徐々にプレッシャーが蓄積していく。鷲見は近藤の左大外刈の出籠手を一歩体を引きながらの膝車で抑えるなどセンスある攻撃を交えて展開を保つが、残り試合時間1分半を切ったあたりから近藤がギアを一段上げて猛攻。打点の高い袖釣込腰に背負投と威力ある技を連発、鷲見いずれも危うく逃れるが残り22秒で消極的の「指導」失陥。そのまま試合はGS延長戦へと突入する。

GS11秒、鷲見が横変形に組んだままこの試合で何度か見せている「掛け倒す左小内刈」に打って出る。しかし、近藤が一歩引いて体を捌くと体が伸び切ってしまい、機と見た近藤はそのままハンドル操作で切り返し、乗り上げるように投げ切って浮落「技有」。この瞬間、近藤のインターハイ制覇が決まった。

全ての選手に狙われながら春夏連勝を成し遂げた近藤は見事。軽量級選手にしては技の出が遅いきらいがあるが、これも単に掛けることではなく常に「投げること」を意識しているがゆえ。審判にもそれが伝わるのか、余計な「指導」を食うことなく最後まで戦い切った。手数志向の選手も多い軽量級にあって、ひときわ高い「投げ」への意識が印象的だった。

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60kg級優勝の近藤隼斗

【入賞者】

優 勝:近藤隼斗(佐賀・佐賀工高)
準優勝:鷲見仁義(北海道・札幌山の手高)
第三位:古志侑樹(奈良・天理高)、甘田秀士郎(茨城・つくば秀英高)
第五位:松澤伶哉(長崎・長崎南山高)、椙本光真(神奈川・東海大相模高)、関野進吾(山梨・東海大甲府高)、松田淳希(和歌山・初芝橋本高)

近藤隼斗選手のコメント
「優勝する自信はありました。春を獲って、自分の力と相手の力が十分わかっていたので、投げて勝てると思っていました。準決勝では相手の反則で勝って投げることが出来なくて、先生にも『お前は投げてナンボ』と励ましてもらって、決勝は気合いを入れ直しました。次は全日本ジュニアで勝って、世界ジュニアで勝って、シニアでも上位入賞を目指します。ゆくゆくは世界で活躍できる選手になりたい。自分の柔道はとにかく『投げ』。得意の担ぎ技、接近戦の投げを中心に、これからも技を磨いていきたいです。もっと強い選手とたくさん稽古して、体を作っていくことが次のステップになると考えています。」

【準々決勝】

古志侑樹○反則(3:02)△松澤伶哉
近藤隼斗○裏投(3:30)△椙本光真
甘田秀士郎○優勢△関野進吾
鷲見仁義○優勢[技有・小外刈]△松田淳希

【準決勝】

近藤隼斗〇反則[指導3](1:31)△古志侑樹
鷲見仁義〇内股(3:02)△甘田秀士郎

【決勝】

近藤隼斗〇GS技有・浮落(GS0:11)△鷲見仁義

■ 66kg級・投げ一発の威力押し立て桂嵐斗が優勝、春夏連勝狙った西願寺哲平は決勝で散る
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66kg級1回戦、桂嵐斗が松村士から右大外刈「一本」、高校選手権のリベンジを達成

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66kg級2回戦、西願寺哲平が池田健哉からGS延長戦で隅落「技有」

【決勝まで】

決勝に勝ち上がったのはともに優勝候補の桂嵐斗(長崎・長崎日大高)と西願寺哲平(埼玉・埼玉栄高)。

桂は初戦にまず大きな山場があり、高校選手権でも1回戦で対戦して敗れている同大会2位の松村士(東京・足立学園高)とマッチアップ。この強敵に大外刈「一本」(2:07)でリベンジを果たして大会を滑り出す。2回戦では松川龍二(滋賀・比叡山高)に内股「技有」で危なげなく勝利するも、3回戦では平野達也(岡山・倉敷工高)に終盤に払巻込「技有」を奪われ思わぬ大苦戦。ブザーと同時の右払腰「技有」で追いつき、GS延長戦で「指導3」の反則(GS2:59)を得てこの試合を勝ち抜く。準々決勝では髙橋慧(福岡・大牟田高)を肩車「一本」(0:18)で秒殺、準決勝でも竹内龍生(兵庫・相生産高)を浮落「技有」を得たうえでの隅落「一本」(1:53)で下して決勝進出を決める。

対する西願寺は安定感抜群、危ない場面がほとんどないままの勝ち上がり。1回戦で清積虎太朗(香川・尽誠学園高)に小内刈「技有」、2回戦で池田健哉(静岡・東海大静岡翔洋高)にGS延長戦での隅落「技有」、3回戦で佐久原義斗(沖縄・沖縄尚学高)に合技「一本」(3:19)、準々決勝で富原銀士(京都・京都学園高)に「韓国背負い」による「技有」でそれぞれ勝利してベスト4入りを決めると、準決勝では邊川湧大(奈良・天理高)を豪快な裏投「一本」(0:54)で一蹴。頭一つ抜けた強さを見せて決勝へと駒を進めて来た。

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66kg級決勝、桂が西願寺の左内股を捲り返して隅落「技有」

【決勝】

桂嵐斗〇優勢[技有・隅落]△西願寺哲平

桂が右、西願寺が左組みのケンカ四つ。激しい引き手争いが続き、40秒、双方に片手の「指導」。西願寺は膝車、さらに自ら走って相手を引きずり出しての隅返と面白い技を見せるが、投げのある桂に引き手を持たせることを忌避しており、間合いを詰めきれず不十分。しかし一方の桂も形を作れず、1分36秒、双方に再び片手の「指導2」が与えられる。この「指導」を受けて奮起した西願寺は抱き勝負に出て再度隅返を放つが、これは桂が被り潰してポイントなし。桂も組み付きながら初めて得意の左内股を見せるが、一瞬浮いた西願寺は足から着地してこれを凌ぐ。ここからは西願寺が出足払、桂が内股とそれぞれ片手ながら良い技で相手を崩し合い、試合は加速。

残り時間30秒過ぎ、桂が体を寄せて乾坤一擲の抱き勝負。「やぐら投げ」様に腹を出して西願寺を抱え上げる。西願寺降りて逃れるもこれで距離が詰まり、桂に良い間合いで組まれてしまうピンチ。危機を感じた西願寺は作りのないまま左内股を放つが、相手が良く見えている桂は横抱きに食いついて隅落。腹這いになろうとする西願寺と一瞬の拮抗があったが、捲り回してこれは「技有」。ケアシステムによる確認が行われるも判定は覆らず、この時点で残り時間は僅か19秒。西願寺が隅返で引き込んだところで試合が終わり、桂の優勝が決まった。

今大会の桂はケンカ四つの相手と連戦。誰もがその投げの威力を知るがゆえ、警戒されてなかなか引き手が持てない苦しい展開が続いた。しかし焦って無理やり取りに行くようなことはせず、寄せて、一時的に袖口を持ってと具体的な技術で丁寧にこれを打開。片手状態から用いる肩車も含め、技術的な引き出しを増やしたことがしっかり結果に結びついたという印象だ。「投げの威力」という何より得難いベースがある以上、このアプローチは妥当。この先も非常に楽しみだ。

また、決勝の「投げ」による決着については審判団の好ジャッジをその因として挙げておきたい。早い段階で的確に「指導」2つを宣告したことで以降は両者の投げて決めんとの意志が加速、結果魅力的な投げ合いが生まれることとなった。

今回、高体連は国際大会基準に沿って「1審制」(副審は畳外)を採用。ケアシステムの巧みな運用もあって試合進行は格段にスピードアップ、誤審も大幅に減った。大会2日目終盤、インターハイの審判が「上手く行っている」という手ごたえが会場に漂う中、ひときわこの良い流れを加速させた一番であった。

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66kg級優勝の桂嵐斗

【入賞者】

優 勝:桂嵐斗(長崎・長崎日大高)
準優勝:西願寺哲平(埼玉・埼玉栄高)
第三位:竹内龍生(兵庫・相生産高)、邊川湧大(奈良・天理高)
第五位:唯野己哲(千葉・木更津総合高)、髙橋慧(福岡・大牟田高)、小野瀬風起(茨城・水戸啓明高)、富原銀士(京都・京都学園高)

桂嵐斗選手のコメント
「久々優勝することが出来ました。高校選手権では1回戦負けで悔しい思いをしましたが、今回もその松村(士・足立学園高)選手と戦うことになっていたので、リベンジしたいという強い思いでやってきました。勝ったことで逆に気持ちが切れてしまったのですが、先生に励まして頂いて、準決勝からは全てを出し切って悔いのないように戦おうと、切り替えて臨むことが出来ました。ここで一本勝ちして波に乗ることが出来たと思います。(―決勝の西願寺選手は過去何度も戦った相手ですね?)ライバルとして意識していて、『こいつにだけは負けたくない』と思っています。ワンチャンスを生かすしかないと思っていたので、それをモノに出来たのは良かった。(―中学時代から技の切れ味抜群ですが、警戒されてなかなか結果が出ない時期がありました。どう突破したのですか?)今回も相手が突っ張ってくるのはわかっていたので、逃げる相手や粘る相手を取る練習をしてきました。少しは出来たと思います。(―技の威力の秘密は?素質?)監督を信じて、教えて頂いたことをしっかりやっているからだと思います。優勝はうれしいですがまだ試合は続くので、切り替えて、1試合1試合しっかり戦っていきたい。まずジュニアで力を出し切ることを考えます。将来はオリンピックで金メダルを取りたいです。(―尊敬する選手は?)永瀬貴規選手と、田川兼三選手です。」

【準々決勝】

竹内龍生○合技(2:00)△唯野己哲
桂嵐斗○肩車(0:17)△髙橋慧
邊川湧大○移腰(2:34)△小野瀬風起
西願寺哲平○優勢[技有・背負投]△富原銀士

【準決勝】

桂嵐斗〇隅落(1:53)△竹内龍生
西願寺哲平〇裏投(0:54)△邊川湧大

【決勝】

桂嵐斗〇優勢[技有・隅落]△西願寺哲平

■ 73kg級・激戦区配置も全試合「一本」、内村秀資が念願の高校日本一達成
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73kg級準々決勝、内村秀資が田中裕大から巴投「技有」

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73kg級準決勝、古田直也が佐藤凜太郎から右小内巻込「技有」

【決勝まで】

決勝進出者は優勝候補筆頭格の内村秀資(大阪・東海大大阪仰星高)と、伏兵の古田直也(岐阜・中京学院大中京高)。

内村は強豪密集の激戦区となったBブロックからトーナメントをスタート。1回戦で大野龍(熊本・鎮西高)を内股「一本」(0:12)で「秒殺」、以降は2回戦で有馬雄生(神奈川・東海大相模高)に小外掛「一本」(2:11)、3回戦で白石諄(静岡・加藤学園高)に巴投「技有」からの腕挫十字固「一本」(1:47)で勝利してベスト8入り決定。準々決勝では前戦で高校選手権王者・中村洸登(奈良・天理高)をGS延長戦での「指導3」反則(GS0:39)で破って勝ち上がってきた田中裕大(福岡・大牟田高)と対戦、この試合も巴投「技有」からの腕挫十字固「一本」(1:21)で制すと、準決勝では上村駿太(北海道・札幌山の手高)を巴投と小外刈の合技「一本」(2:42)で破って決勝進出を決める。

一方、このBブロックへの有力選手密集を受けて薄くなった反対側の山を勝ち上がったのが古田。1回戦で鈴村亜矢瀬(東京・岩倉高)に合技「一本」(3:20)、2回戦で工藤優斗(青森・青森山田高)に背負投「一本」(1:21)、3回戦で柞木速斗(鹿児島・鹿児島商業高)に大腰「一本」(0:09)とその勝ち上がりは極めて順調。唯一最大の勝負どころと目された平野龍也(千葉・習志野高)との準々決勝を合技「一本」(1:48)で勝ち抜くと、伏兵対決となった準決勝は佐藤凜太郎(山形・羽黒高)から小内巻込で「技有」を得て優勢勝ち。見事決勝進出を果たす。

上位進出が期待された齋五澤航介(栃木・白鴎大足利高)は激戦Bブロックに配され、1回戦で中川雄心(高知・高知工高)に「技有」を先行したが隅落と袈裟固の合技「一本」で逆転負け。これも有力視された同じBブロックの籾山航大(秋田・秋田工高)は2回戦で中村洸登に大外刈「技有」で敗れ、こちらも上位進出はならなかった。

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73kg級決勝、内村が古田から谷落「一本」。クラシカルな技術を現行ルールに合わせて改造した独特の一撃だった。

【決勝】

内村秀資〇谷落(1:20)△古田直也

右相四つ。攻撃意欲十分の両者は余計な組み手争いを忌避、奥襟を叩き合って試合を開始。古田が出足払を仕掛ける、内村はその戻り際に得意の巴投を打って対抗する。続く展開も両者がっぷり四つで組み合うと、内村が「やぐら投げ」よろしく抱き勝負。古田反転しながら浮落で振り飛ばしてこれを引き剥がす。ここまで試合開始から約30秒。

直後、古田が奥襟を叩くと内村が体を屈し、機と見た古田は背を抱えて隅返。入りからはポイント獲得も想起される深い技だったが、内村回避するなり被って腕挫十字固を狙う。ここは古田が潰して耐えて「待て」。古田、続いて試合が再開されるなり一気に間合いを詰めて右大内刈に飛び込むが、内村は鋭く反応して振り返し、反対にあわやポイントという惜しい場面を作り出す。好機をあっという間にピンチに変えられることが続いた古田、内村のテンポの速さに少々戸惑う印象。

続く攻防、内村は左引き手で対角にある相手の左袖を抑えると、これを手繰って相手の左側に進出、そのまま一気に懐に潜り込んで谷落。かつてなら足を腕で抱えたクラシカルな技、内村は相手の腕を脇下に挟んで上体を固定すると、背中で相手を押し上げ反り投げる。古田対応出来ずにひっくり返り1分20秒「一本」。内村が全試合一本勝ちという抜群の内容でインターハイ制覇を果たした。

内村は密着攻撃と巴投を軸とする難剣使い。団体戦で見せたような一発屋につきものの「自爆」も度々起こす危うさのある選手でもあるが、この日は持ち味である技の選択の早さ、そして反応の早さを前面に押し出しながらあくまで頭は冷静。抱きついて、引き込んで、関節技を狙ってとめまぐるしく形を変えながらも闇雲な吶喊行動は自重し、危ない場面はほとんど見られなかった。高校選手権決勝での思わぬ敗北、前述団体戦での「自爆」など、苦い経験がしっかり試合に生きている。決勝で見せた独特の谷落など、技術習得にも非常に貪欲。今後の成長が非常に楽しみだ。

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73kg級優勝の内村秀資

【入賞者】

優 勝:内村秀資(大阪・東海大大阪仰星高)
準優勝:古田直也(岐阜・中京学院大中京高)
第三位:上村駿太(北海道・札幌山の手高)、佐藤凜太郎(山形・羽黒高)
第五位:伊藤栄都(三重・四日市中央工高)、田中裕大(福岡・大牟田高)、平野龍也(千葉・習志野高)、當間龍輝(沖縄・沖縄尚学高)

内村秀資選手のコメント
「高校選手権の決勝で負けてしまって、それが起爆剤になりました。あの悔しさがあったから優勝出来た大会だと思います。ウエイトトレーニングを積んだり、自分より力が強い大学生と稽古をしたりして、体力強化を図ってきました。(―決勝の谷落は自分で工夫した技?他にも独特の技を使いますね?)谷落は父に教えてもらった技を今のルールに合わせて工夫しました。他は、先生やコーチ、父親に教えてもらったり、動画を見たりして常に考えています。(―得意技は大技ばかり、イチかバチかという印象がありますが、自分ではどう考えていますか?)よく言われるんですけど、自分ではよくわからない。性格かなと思います(笑)。乱取りが好きで、投げることが好きです。自分は大雑把なので、この先に行くためにはここを直して丁寧さを身に着けることが課題。将来は日の丸をつけて戦いたいです。」

【準々決勝】

上村駿太○優勢△伊藤栄都
内村秀資○腕挫十字固(1:21)△田中裕大
古田直也○合技(1:48)△平野龍也
佐藤凜太郎○腰車(0:17)△當間龍輝

【準決勝】

内村秀資〇合技[巴投・小外刈](2:42)△上村駿太
古田直也〇優勢[技有・小内巻込]△佐藤凜太郎

【決勝】

内村秀資〇谷落(1:20)△古田直也

■ 81kg級・板東虎之輔がオール一本勝ちで戴冠、決勝は押領司龍星の一発を完封
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81kg級準決勝、押領司龍星が奥村弥百希から左背負投「一本」

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81kg級準決勝、板東虎之輔が杉村晃希を右背負投で抜き落として「一本」

【決勝まで】

序盤に行われた注目対決、全日本カデ選手権王者の菅原幸大(宮城・柴田高)と高校選手権の覇者・竹市大祐(福岡・大牟田高)による2回戦は、大内返「一本」(1:34)で竹市が勝利。

決勝に進んだのは関東地区の強豪2人、板東虎之輔(千葉・木更津総合高)と押領司龍星(東京・足立学園高)。

押領司は1回戦でまず増尾純大(徳島・鳴門渦潮高)を相手の「指導3」による反則(2:42)、2回戦では喜成健斗(石川・鶴来高)に背負投「技有」、3回戦では山本肇二朗(長崎・五島高)にGS延長戦での小内刈「技有」(GS0:14)でそれぞれ勝利。高校選手権王者の竹市大祐(福岡・大牟田高)と対戦した山場の準々決勝は大内刈「技有」を得て優勢勝ち、続く準決勝では奥村弥百希(兵庫・育英高)を背負投「一本」(2:23)で下して決勝進出を決める。

一方の板東は1回戦で山口良太(大分・柳ヶ浦高)に大内刈と背負投の合技「一本」(2:48)、2回戦で東久馬(岡山・作陽高)に合技「一本」(2:49)、3回戦で日野山剛(滋賀・比叡山高)に袖釣込腰「一本」(0:33)、準々決勝で國武陸(栃木・國學院大栃木高)に背負投「一本」(0:30)と極めて順調な勝ち上がり。最大の山場と目された準決勝でも杉村晃希(大阪・大阪星光学院高)を豪快な背負投(1:45)で下し、全試合一本勝ちで決勝へと勝ち上がってきた。

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81kg級決勝、板東が押領司から豪快な浮落「一本」

【決勝】

板東虎之輔〇浮落(3:16)△押領司龍星

板東が右、押領司が左組みのケンカ四つ。まず押領司が高低差を利かせた左背負投、続いて板東が後帯を握っての右浮腰を見せてそれぞれ相手を大きく崩すが、この一合交わした互いの技が威力あるものであったゆえか、以後は両者やや慎重。51秒、双方に片手の咎で「指導」。

1分32秒、組み手の駆け引きを縫って板東が両袖の右袖釣込腰。深く入り込んで逆側から相手を抜き落とすと主審は映像チェックを要求。結果「技有」が宣告される。押領司は肘抜きの右背負投を放って逆転を狙うが、技の威力の一方で作りに時間が掛かるこの選手の傾向が仇、両襟で低く構える板東にこの隙を突かれ横落、背負投、組み際の右体落と攻めを許してあっという間に時間が過ぎ去る。

残り時間50秒過ぎ、一発逆転を期した押領司は組み際に抱きつき勝負を敢行。しかし、これは板東得意の形。腰を沈めて正面から受け止めると時計回りに捩じって浮落。押領司自らが飛び込んだ勢いのまま吹っ飛び「一本」。試合時間3分16秒、板東が念願の全国優勝を果たした。

板東は組み手や圧の掛け方、担ぎ技と抱き勝負を両立させたスタイルなど技術的な練度が非常に高い選手であるが、今大会はこういった技術以前にフィジカルで相手を圧倒していた印象。春に比べると体つきが一回り逞しくなり、ほとんどの試合で技術以前にまず体力で大勢が決してしまっていた。団体戦の経験ゆえか春に見せていた精神面の脆さも克服。その試合ぶりまことに危なげなく、もはや同階級の相手に負ける絵は想像できなかった。勝つべくして勝った大会と評して差し支えないだろう。

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81kg級優勝の板東虎之輔

【入賞者】

優 勝:板東虎之輔(千葉・木更津総合高)
準優勝:押領司龍星(東京・足立学園高)
第三位:奥村弥百希(兵庫・育英高)、杉村晃希(大阪・大阪星光学院高)
第五位:竹市大祐(福岡・大牟田高)、髙橋大翔(秋田・本荘高)、国武陸(栃木・國學院大栃木高)、村瀬賢心(岐阜・中京学院大中京高)

板東虎之輔選手のコメント
「全国大会の優勝は初めて。今はホッとしていますが、やっぱりすごく嬉しいです(笑)。春に負けてから食事や身の回りのことなど生活面に気を付けたことが、一番自分の中では大きいと感じています。ウエイトトレーニングをきちんとやって力が付き、自信も付いてきました。優勝出来て思うのは、小学生の頃から支えてくれた人たちにやっと恩返しが出来たなということ。この先は組み手、投げ技、得意の足技と戦い方のバリエーションをもっと増やしていきたいです。講道館杯の切符を手にしたので、上位に入ってグランドスラム東京にも出たいし、ヨーロッパ派遣も狙いたい。2024年、パリ五輪で日の丸を背負って金メダルを取るのが目標です。」

【準々決勝】

押領司龍星○優勢[技有・大内刈]△竹市大祐
奥村弥百希○GS反則[指導3](GS1:25)△髙橋大翔
板東虎之輔○背負投(0:30)△国武陸
杉村晃希○GS内股(GS1:07)△村瀬賢心

【準決勝】

押領司龍星〇背負投(2:23)△奥村弥百希
板東虎之輔〇背負投(1:45)△杉村晃希

【決勝】

板東虎之輔〇浮落(3:16)△押領司龍星

■ 90kg級・村尾三四郎が2連覇達成、「高校カテゴリ」に有終の美
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90kg級準決勝、長嶋勇斗が岡田一真を左大外刈で攻める

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90kg級準々決勝、村尾三四郎が三浦竹太郎から左大外刈「一本」

【決勝まで】

ABブロックからはダークホースの長嶋勇斗(山梨・東海大甲府高)が、逆側のCDブロックからは優勝候補の大本命、2連覇を狙う村尾三四郎(神奈川・桐蔭学園高)が決勝へと勝ち上がった。

長嶋は1回戦で本原颯人(大阪・東海大仰星高)にGS延長戦での「技有」(GS3:20)で競り勝つと、以降は2回戦で田邉夢叶(福島・田村高)に支釣込足「一本」(2:39)、3回戦で新井翔(長野・佐久長聖高)に「技有」優勢、準々決勝で田中航太(鹿児島・鹿児島情報高)に「技有」優勢でそれぞれ勝利してベスト4進出。勝負どころとなった岡田一真(兵庫・育英高)との準決勝は合計時間9分を越える大消耗戦、GS5分15秒に「指導1」をもぎ取って決勝進出を決める。

対する村尾は圧勝続き。1回戦で竹嶌真慧(京都・京都学園高)を内股「一本」(1:40)、2回戦は髙橋寛人(青森・木造高)に大外刈「一本」(0:41)、3回戦で服部竜也(柳ヶ浦高)に内股「一本」(0:31)、準々決勝で三浦竹太郎(長崎・長崎日大高)に大外刈「一本」(1:19)と4試合続けて、それも全て早い時間の一本勝ち。九州地区の強豪、安部光太(福岡・西日本短大附高)を畳に迎えた準決勝も相手にまったく柔道をさせぬまま「指導3」の反則(2:05)で勝利し、2年連続となる決勝の畳へと上がる。

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90kg級決勝、村尾が三浦を送襟絞で絞め上げ「一本」

【決勝】

村尾三四郎〇送襟絞(0:26)△長嶋勇斗

左相四つ。村尾は無駄な組み手争いをする気一切なし、右引き手で左襟、左釣り手で右奥襟を掴んであっという間に長嶋を捕まえる。引き手で襟を掴み返した長嶋、次いでこちらも釣り手で奥襟を叩こうと手を伸ばすが、村尾に左襟を突かれて距離を作られたことで、届かず。持ちどころがない長嶋の釣り手は、村尾の腕を肘で落とすか、それともまず奥襟の釣り手を切り離すべきか、一瞬探って片手状態。村尾この隙を見逃さず釣り手の肘をこじ上げ、捩じ込むような両襟の左内股。受けた瞬間は体勢に余裕のあった長嶋だが、ケンケンで押し込まれると重心が浮き、片足で跳ねて外側に逃げることを強いられる。その着地の瞬間を狙った村尾返す刀で左小内刈。高く襟を持った両手のコントロールも良く効き、長嶋堪らず一瞬両足が宙に浮く勢いで落下。投げの効果を減じようと身を捩じるも果たせず「技有」。

村尾、落下の瞬間には既に長嶋の首に襟を握った手を掛けており、伏せて逃れようとする相手の体を両足で挟むなり電光石火の送襟絞。あまりにも完璧な体勢に長嶋逃れようなく「参った」。ここまでなんと僅か26秒。村尾が圧勝で大会2連覇を決めた。

前日の団体戦に続き、村尾はまさしく出色の出来。仕上がった状態での村尾がいかなるものか、久々その力を遺憾なく見せつけた大会であった。その勝ちぶりの凄まじさ、試合というよりもはや「狩り」。集中力極めて高く、常に相手をどう斬りつけるか探りながら、一瞬の隙も見逃さなかった。決勝は投げに拘っても十分勝利できる力関係であったが、寄り道など一切なし。最初のチャンスで送襟絞を決めて直線的に「結果」を獲りに行った。ただでさえ強い村尾にここまで隙なく事を運ばれては、高校生では到底抗うことは不可能。全日本ジュニア、講道館杯ではどのような戦いを見せてくれるのか、期待せずにはいられない。

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90kg級優勝の村尾三四郎

【入賞者】

優 勝:村尾三四郎(神奈川・桐蔭学園高)
準優勝:長嶋勇斗(山梨・東海大甲府高)
第三位:岡田一真(兵庫・育英高)、安部光太(福島・西日本短大附高)
第五位:石川大夢(三重・四日市中央工高)、田中航太(鹿児島・鹿児島情報高)、安藤稀梧(東京・国士舘高)、三浦竹太郎(長崎・長崎日大高)

村尾三四郎選手のコメント
「ホッとしています。高校選手権で負け、全日本選手権で勝てず、ロシアジュニアでも負け、金鷲旗でも負け、今年なかなか勝ち切れず悔しかった。それがあっての優勝だったと思います。勝つ自信はありました。不安はありませんでしたが、心折れることはありませんでした。6月の全日本合宿で肋軟骨を痛めて稽古を詰めておらず、金鷲旗では先に心が折れてしまった。その後は攻める稽古、先手を打つ稽古、息があがっても攻め抜く稽古を積んできました。正直楽に勝ててしまう試合もありますが、自分とレベルの近い選手と戦って競った時、うまくいかないときに勝ち切ることが大事と言い聞かせてきました。今日は様子を見過ぎず、自分の柔道で先に攻めることを意識して、最初の組み手からしっかり集中出来ていました。全日本ジュニアと講道館杯で、今年負けたここまでのリベンジを果たします。」

【準々決勝】

岡田一真○内股(2:42)△石川大夢
長嶋勇斗○優勢△田中航太
安部光太○GS技有・内股返(GS0:37)△安藤稀梧
村尾三四郎○大外刈(1:19)△三浦竹太郎

【準決勝】

長嶋勇斗〇GS僅差(GS5:15)△岡田一真
村尾三四郎〇反則[指導3](2:05)△安部光太

【決勝】

村尾三四郎〇送襟絞(0:26)△長嶋勇斗

■ 100kg級・強豪連破で皆川大記が優勝、「両組み」生かしたクレバーさ光る
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100kg級準決勝、八木郁実が植岡虎太郎からGS延長戦で右一本背負投「技有」

【決勝まで】

決勝に勝ち上がったのは八木郁実(広島・崇徳高)と皆川大記(千葉・千葉経大附高)の2名。

八木は1回戦で髙橋怜夢(秋田・能代高)をあっと言う間の袖釣込腰「一本」(0:27)で下し、順調に大会を滑り出す。2回戦でも1分掛からず谷田部竜司(群馬・常磐高)を袖釣込腰「一本」(0:57)に仕留めると、以降は3回戦で中西隆翔(宮崎・延岡学園高)に合技「一本」(2:48)、準々決勝で鈴木直登(田村高)に「やぐら投げ」による内股「一本」(2:20)と一本勝ちを積み重ねてベスト4に勝ち上がる。
準決勝の相手は前日の団体戦で大活躍をした植岡虎太郎(奈良・天理高)、こちらもここまでオール一本勝ちでの勝ち上がり。この試合は両者一歩も退かずにGS延長戦までもつれ込むが、GS1分23秒に八木が一本背負投「技有」を奪って勝利。大一番を制して決勝に臨むこととなる。

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100kg級準々決勝、皆川大記が中西一生から隅落で2つ目の「技有」

対する皆川は激戦ブロックからの勝ち上がり、有力選手を次々破っての決勝進出。1回戦で室木修幸(石川・津幡高)を「指導2」による僅差で下すと、2回戦で忍川尚汰(香川・高松商高)に相手の反則(3:28)、3回戦で下石悠生(大分・国東高)に「技有」でそれぞれ勝利。ここからは山場の連続、まず準々決勝では優勝候補の中西一生(福岡・福岡大大濠高)と対戦し、この強敵を内股透と隅落による合技「一本」(2:57)で破る。準決勝では2週間前の金鷲旗で内股「一本」で敗れている藤鷹裕大(愛知・大成高)とマッチアップ。この日もここまで内股「一本」を3つ重ねて勝ち上がっているこの強敵を相手に、皆川は組み手の左右が利く自分の特性を存分に発揮。ケンカ四つに構えて手数を積むことで相手の攻撃を徹底封殺、「指導2」の僅差で競り勝って決勝進出を決めた。

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100kg級決勝、皆川が八木を右「一本大外」で刈り倒して「技有」

【決勝】

皆川大記〇優勢[技有・大外刈]△八木郁実

八木は右組み。一方組み手の左右の利く皆川はまず左に構え、ケンカ四つの形で試合をスタート。釣り手一本を握って上下に煽る作りを双方が交互に繰り返し、皆川は背負投、八木は袖釣込腰とともに片手の技で攻め合う。41秒、片手の咎で両者に「指導」。以降も組み手の形を変えながら攻防が続くが、地力はやや皆川が優位の模様。2分過ぎには八木の頭を下げ、「はたき込み」の要領で畳に伏せさせる。

2分19秒、皆川は組み手争いで左右のスタンスを交互に見せた後、身を閃かせて右の「一本大外」に飛び込む。腕をガッチリ固めたこの技に八木は膝裏からガクリと崩れ落ち「技有」。八木は取り返さんとギアを上げるが試合巧者の皆川は取り合わず、背負投で押し返し、残り40秒の八木の抱きつき攻撃もあっさりといなす。残り30秒を過ぎてから八木はさらに加速、抱きつきの密着に右小内刈と猛攻を見せるが、展開をしっかり踏まえた皆川は敢えて過剰反応せず防御に専心。残り11秒には皆川に「指導」1つが宣告されるが、八木の反撃もここまで。クレバーな戦いを貫いた皆川が見事インターハイ制覇を果たした。

優勝した皆川は中学時代には千葉県73kg級でベスト8、全国大会を踏むことが出来なかった選手。伸びしろのある選手が成長期に体格と力を得、一気の出世を果たすというこのところの現象の典型というべき出世劇となった。
今大会は両組みという自身の強みを最大限に生かして強敵を連破。その分析能力と作戦立案能力の高さ、まことに見事。少年期から上位にあり続けるだけでは得難い、「苦労人」ならではのクレバーさと力強い技は、周囲にキャリアの多様性の大切さをあらためて知らしめたのではないだろうか。

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100kg級優勝の皆川大記

【入賞者】

優 勝:皆川大記(千葉・千葉経大附高)
準優勝:八木郁実(広島・崇徳高)
第三位:植岡虎太郎(奈良・天理高)、藤鷹裕大(愛知・大成高)
第五位:鈴木直登(福島・田村高)、堀田孝起(徳島・阿波高)、熊坂光貴(愛媛・新田高)、中西一生(福岡・福岡大大濠高)

皆川大記選手のコメント
「初めて出た全国大会で優勝出来て、今は最高の気分です。(―急に結果が出るようになりましたが、自分ではいつぐらいから強くなったと思えましたか?)この春です。新人戦にインターハイ予選と県大会で全て勝てたことが自信になって、関東ジュニアも獲ることが出来ました。(―どんな柔道だと自己分析していますか?)自分は左右両方出来るので、相手によって組み手が変えられるのが一番の強み。高校に入ってから『両方の担ぎ技をやりなさい』と先生にアドバイス頂いて、それをやるうちに組み手も両方やるようになりました。きょうはひとつひとつの試合でタイプが違う選手と戦うことになって、それぞれ違う作戦を考えるのが一番大変でした。準決勝の相手には金鷲旗で「やぐら投げ」にいったところを押し返されて内股で投げられたので、やぐら投げだけはいかないように、くっつかないようにと考えて戦いました。全日本ジュニアで良い結果を残すのが次の目標。将来は柔道選手になって、日の丸を背負って金メダルを獲りたいです。」

【準々決勝】

八木郁実○内股(2:20)△鈴木直登
植岡虎太郎○合技[背負投・背負投](3:23)△堀田孝起
藤鷹裕大○内股(1:11)△熊坂光貴
皆川大記○合技[内股透・隅落](2:57)△中西一生

【準決勝】

八木郁実〇GS技有・背負投(GS1:23)△植岡虎太郎
皆川大記〇優勢[僅差]△藤鷹裕大

【決勝】

皆川大記〇優勢[技有・大外刈]△八木郁実

■ 100kg超級・大器斉藤立がインターハイ初制覇、前日敗れた中野寛太に「一本」でリベンジ
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100kg超級3回戦、斉藤立が中野寛太から左体落「一本」。早くも前日の借りを返す。

【決勝まで】

男子個人試合の掉尾を飾る最重量級、決勝に勝ち上がったのは優勝候補の斉藤立(東京・国士舘高)と松岡大輝(広島・崇徳高)。

斉藤は1回戦で下田雄太(島根・開星高)を大外刈「一本」(0:14)で一蹴、2回戦では北信越王者の布目王雅(石川・津幡高)を体落「一本」(0:49)で退け、ベスト16で早くも中野寛太(奈良・天理高)との対決を迎える。

もちろんこの試合が事実上の決勝、両者は前日の団体試合決勝でも対戦しており、その際は中野が支釣込足「技有」で勝利している。中野も斉藤と同じく1回戦で実錬真(鹿児島・鹿児島実業高)に合技「一本」(0:53)、2回戦で荒木稔喜(山形・鶴岡工高)に大外刈「一本」(0:08)と抜群の勝ち上がり。

この試合は左相四つ。中野は前日と同様足技を軸に斉藤の下半身を攻めるが、この日の斉藤はしっかりと釣り手を締め、体重を残して立っており容易には崩れない。時間の経過とともに少しずつ斉藤の圧が中野の体力を奪ってゆき、2分27秒、斉藤が一度あおってから左体落を放つと中野の巨体は地響きを立てて畳に沈み豪快「一本」。前日から、いや、3月の高校選手権から続いた主役2人のドラマの劇的な決着に場内はこれが3回戦とは信じられぬほどのどよめき。

敗れた中野はすぐに立ち上がって開始線に戻り、意外にもさっぱりした表情。まだまだこれから何度も戦う相手だと自分に言い聞かせるかのような、そして追うものから追われるものへと立場を変えたこの日の戦いと力関係を外から俯瞰するかのような、落ち着いた態度で一礼して畳を後にした。これからも続くであろうスター2人の対決、この日に関しては斉藤の完勝。

唯一最大の山場を越えた斉藤、以降は準々決勝で寺本靜矢(兵庫・神戸国際大附高)に内股「一本」(1:13)、準決勝で大石由(愛知・桜丘高)に払腰「一本」(0:32)と一方的な試合を続けて無事決勝に進出。

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100kg超級3回戦、松岡大輝が萩原麻陽を蹴り崩す

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100kg超級準々決勝、高橋翼が千野根有我を後袈裟固で抑え込む

一方の松岡は初戦で全日本カデ選手権90kg超級2位の相馬勇紀(青森・青森北高)と対戦する厳しい配置から大会をスタート。しかし、この試合を「技有」優勢で勝ち抜いて以降は対戦が予想された強豪が次々と敗れ、比較的戦い易い相手との対戦が続く。2回戦で古場幸能(福井・福井工大福井高)に合技「一本」(1:29)、3回戦で萩原麻陽(熊本・九州学院高)にGS延長戦での「指導1」、準々決勝で平山隆博(大分・柳ヶ浦高)に浮落「一本」(2:37)と勝ちを重ねてベスト4入りを果たす。
松岡への挑戦権を争う準々決勝では高橋翼((岡山・作陽高)が3年生代の全国中学校柔道大会覇者・千野根有我(神奈川・桐蔭学園高)を破るアップセット。千野根はこの日も団体戦に引き続き絶好調、1回戦は進洸希(岐阜・中京学院大中京高)を払腰「一本」(0:42)、2回戦は有馬知秀(香川・高松商高)を「指導3」(1:54)の反則、3回戦は駒走翔太郎(北海道・北海高)を払巻込「一本」(3:09)で下して決勝進出は既定路線かと思われたが、金鷲旗で同僚・村尾三四郎を下したこの相手に払巻込と後袈裟固の合技「一本」で屈した。

準決勝は序盤に高橋が松岡を横四方固で抑え込んでそのまま試合終了かと思われたが、松岡はこれを「技有」で逃れると、相手が奥を叩いて来たところを抱き返しての小外掛に捉えて「一本」(1:21)。劇的な逆転勝利で斉藤の待つ決勝への勝ち上がりを決めた。

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100kg超級決勝、斉藤が松岡から左内股「一本」

【決勝】

斉藤立〇内股(0:40)△松岡大輝

斉藤が左、松岡が右組みのケンカ四つ。松岡は下から襟を握った釣り手を突いて距離を取らんとするが、斉藤は引き手でこの袖を捕まえて拳を内側にずらし無力化、さらに釣り手の手首をしっかり立てて間合いを詰める。引き手で袖を得てほぼ完ぺきな形が完成、嫌った松岡が左大内刈に左小内刈と技を繋いで状況の打開を図るも、斉藤は一切揺るがず。斉藤はそのまま前進して相手を場外際に追い詰めると、頃合いよしと左内股。まず作用足を差し入れ、次いで軸足を踏み込んで高く跳ね上げる二段式の着実かつ豪快な大技、最後は背中を着いた相手の上を転がって威力を増し「一本」。この間僅か40秒。6試合オール一本勝ち、斉藤が圧勝でインターハイ初制覇を決めた。

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1回戦、下田雄太から大外刈「一本」

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2回戦、布目王雅から体落「一本」

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準決勝、大石由から払腰「一本」

斉藤は3回戦で前日に敗れた中野にリベンジ。この試合以外は当たり前のように全て投技「一本」であっという間に試合を終わらせており、もはや試合というよりは、斉藤の強さを示さんがために用意された「五人掛け」の様相であった(蛇足ながら、決まり技が4種類に亘ったあたりも「掛け試合」的だ)。1学年上ながら、中野寛太という超高校級のライバルの存在があったことでこの強ささらに際立った感がある。常であればあまりに別格ゆえにかえって測りがたい斉藤の強さが、昨年の王者であり全日本選手権出場者の中野という「モノサシ」を得たことで、いかに飛び抜けたものであるかがわかりやすく示されたと言えるだろう。

地力の高さはもちろん、特筆すべきは斉藤の学習能力と実行能力。前日の団体戦で敗れた際に、岩渕公一監督は「釣り手を締める」「下半身から出る」などいくつかの改善点を挙げていたが、これをあっという間に修正。チェックポイントをことごとく塗りつぶし、前日敗れたばかりの強敵中野を当たり前のように型に嵌め、そして投げ飛ばす様には舌を巻いた。単に強いだけではない。いまさらながらこの選手、まだまだ伸びる素材である。

千野根を破った髙橋についても一言触れておきたい。ターゲットと定めた強者千野根を一点突破で倒した集中力と作戦遂行力は見事。準決勝ではあっさり伏兵松岡に敗れてしまったが、ゆえに、というべきか、むしろ一種の大物感、バケツの底に穴が開いたような底知れなさを感じた。まだ2年生のこの選手を、育成力を以て鳴る強豪・作陽がどのように育てていくのか。非常に楽しみである。

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100kg超級優勝の斉藤立

【入賞者】

優 勝:斉藤立(東京・国士舘高)
準優勝:松岡大輝(広島・崇徳高)
第三位:大石由(愛知・桜丘高)、高橋翼(岡山・作陽高)
第五位:中村雄太(大阪・東海大大阪仰星高)、寺本靜矢(兵庫・神戸国際大附高)、千野根有我(神奈川・桐蔭学園高)、平山隆博(大分・柳ヶ浦高)

斉藤立選手のコメント
「昨日の負けから、気持ちの面ではしっかり考えること、技術的な面では課題を修正することを考えて中野選手との試合に臨みました。団体戦では釣り手が下がって、力だけが入って脇が開いてしまっていた。釣り手をしっかり立てて絞って、脇を締めて戦いました。昨日は気持ちでも引いてしまい、プレッシャーに負けてしまった。(―すぐにリベンジ出来て、自信になりましたか?)少しは自信を取り戻せましたが、昨日の悔しさは忘れません。オリンピックに向けて、これからは誰にも負けたくない。目標を2年後としっかり心の中に刻んで、頑張ります。」

【準々決勝】

大石由○小外掛(3:53)△中村雄太
斉藤立○内股(1:13)△寺本靜矢
高橋翼○合技[払巻込・後袈裟固](1:29)△千野根有我
松岡大輝○浮落(2:37)△平山隆博

【準決勝】
斉藤立〇払腰(0:32)△大石由
松岡大輝〇小外掛(1:21)△高橋翼

【決勝】
斉藤立〇内股(0:40)△松岡大輝

※ eJudoメルマガ版8月22日掲載記事より転載・編集しています。

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