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絶好調の2枚押し立て桐蔭学園が勝ち残り、天理は大成に快勝で準々決勝進出決める・第67回インターハイ柔道競技男子団体試合レポート②1回戦~3回戦(C・Dブロック)

(2018年8月19日)

※ eJudoメルマガ版8月19日掲載記事より転載・編集しています。
絶好調の2枚押し立て桐蔭学園が勝ち残り、天理は大成に快勝で準々決勝進出決める
第67回インターハイ柔道競技男子団体試合レポート②1回戦~3回戦(C・Dブロック)
■ Cブロック
有力校(上側):四日市中央工高(三重)、東海大甲府高(山梨)
有力校(下側):桐蔭学園高(神奈川)
ベスト8進出校:九州学院高(熊本)、桐蔭学園高(神奈川)

他3つに比べれば、強豪の密集度はかなり低いブロック。下側の山には昨年度の覇者・桐蔭学園高(神奈川)が配されてこの勝ち上がりが注目される。混戦となった上側の山は地元・三重の第2代表四日市中央工高のベスト8入りなるかがトーナメント観察の軸。

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1回戦、佐賀商高の先鋒田中龍馬が安藤健志から小内刈「技有」

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桐蔭学園は中堅高山康太が岩瀬勝斗から内股「一本」を得て追いつく

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副将千野根有我が岩本隼斗から払腰「一本」

桐蔭学園は1回戦から登場。スターティングは先鋒から安藤健志、奥田訓平、高山康太、千野根有我、村尾三四郎。マッチアップするは佐賀商高(佐賀)である。

このインターハイの初試合、先鋒戦は安藤健志が田中龍馬に小内刈「技有」優勢で敗れてビハインド。次鋒戦も奥田訓平が岩本敬太を相手に双方への消極「指導」のあと、試合時間1分11秒を残して背負投を掛け潰れ痛恨の「指導2」失陥。副将に千野根有我、大将に村尾三四郎という大駒2枚を配する桐蔭学園だが、配列上の悪夢は前衛3枚の連敗でこの2人の登場前に負けが決まってしまうこと。もしもう1つの「指導」失陥で2連敗となれば試合はどう転ぶかわからない。しかし陥落寸前の奥田、残り1分を切ったこの時点で威力ある体落を入れて1度岩本を伏せさせ、不利な展開を1度リセット。岩本が大腰を連発して奥田残り20秒から2度立て続けに腹ばいに伏せさせられてしまうが、あの体落一発の印象に助けられたかなんとか戦い切って引き分け。首の皮1枚残して帰陣を果たす。

ここから桐蔭学園は本領発揮。中堅高山康太はケンカ四つの岩瀬勝斗を左小内刈で追い込むと左内股一発。まず高空に持ち上げ、相手が外に流れるとみると体を捨てて追い掛ける迫力の一撃、わずか32秒で「一本」。これで内容差で逆転を果たすといよいよここからエース2枚が登場。

副将千野根有我は岩本隼斗に一切勝負をさせず。右足を引っ掛けると無造作に踏み込んで宙を舞わせ、24秒右払腰「一本」。大将村尾三四郎も板橋泰寿を26秒左内股「一本」に仕留めてあっという間に試合終了。フルタイム戦った2戦のあとは3戦合計僅か1分22秒という早業。桐蔭学園、スコア3-1で初戦勝ち抜け決定。

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2回戦、千野根が阿波高・木村雅人から内股「一本」

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大将村尾三四郎は福本凛から内股「一本」

2回戦は阿波高(徳島)と対戦。先鋒戦では安藤健志またしても我慢が利かず堀田孝起を相手に「指導2」を失った末、終盤縦四方固から袈裟固と繋がれて何もできぬまま一本負け。しかし次鋒戦は奥田訓平が意地を見せ、天羽翼から50秒袖釣込腰「技有」、さらに2分13秒には払腰「一本」を得て勝利。スコアはこの時点で1-1。

前衛の奮闘を得た中堅高山康太はまたもや秒殺パフォーマンス、板東彪から「指導」1つをリードすると1分13秒左大内刈を決めて「一本」。副将千野根有我は木村雅人をまさしく斬り落とす右内股、37秒鮮やか「一本」。相手の両足が完全に天井を向く完璧な一撃だった。大将村尾三四郎も開始22秒の内股「一本」であっさり勝負を決め、桐蔭学園は前戦からスコアを1つ伸ばして4-1の快勝。金鷲旗大会でいまひとつの出来だった千野根と村尾は凄まじい仕上がり。単に勝つ、単に「秒殺」する、単に「一本」を取るという行為にではなく、「投げ自体」の凄まじい切れ味に、会場からは技が決まる都度どよめきが上がる。

この日のまとめの3回戦は、対戦相手のレベルが一段上がって神戸国際大附高(兵庫)との対戦。ここで次鋒を奥田から期待の1年生・中野智博に替えてマッチアップ。

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3回戦、神戸国際大附高の先鋒騰川雄一朗が桐蔭学園高・安藤健志から燕返「技有」

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次鋒に入った中野智博が島健輔から払腰「技有」

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千野根有我が西本翔の一本背負投を潰して抑え込む

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村尾三四郎が完璧な一撃、寺本靜矢から大外刈「一本」

[Cブロック3回戦]
桐蔭学園高(神奈川) 4-1 神戸国際大附高(兵庫)
(先)安藤健志△合技(2:17)〇騰川雄一朗
(次)中野智博〇優勢[技有]△島健輔
(中)高山康太〇大内返(2:50)△西本陽太
(副)千野根有我〇崩上四方固(0:52)△西本翔
(大)村尾三四郎〇大外刈(0:14)△寺本靜矢

安藤は1分21秒「技有」失陥、2分17秒には払腰を仕掛けたところを振り返され浮落「技有」も失い合わせて「一本」で敗退。この日は初戦から3連敗と非常に苦しい道程が続く。

これがインターハイ初試合の1年生次鋒・中野は硬さがなかなか取れない印象であったが、ケンカ四つの島健輔を相手に粘り強い戦い。1分5秒には相手の右払腰を左払腰に切り返して「技有」奪取、これを持ったまま試合を終えて見事優勢勝ち。

中堅高山は今大会明らかに好調。後輩の奮闘を受けた中堅戦は西本陽太の抱き勝負を正面から迎え撃ち、素早い判断で捩じり落として浮落「一本」。2-1とリードを作り出して後衛のポイントゲッター2枚に襷を渡す。

副将千野根有我はサイズとパワーのある西本翔を相手にじわりと距離を詰め、投げの機会をうかがう。西本が左一本背負投に潰れるとこれを見逃さずにすぐさま加速、襟を首に食い込ませ、絞めを利かせたまま捲り返して崩上四方固に繋ぐ。52秒「一本」が宣告され、ここで桐蔭学園の勝利が決定。

大会初日を締め括る大将戦は村尾三四郎が完璧な一発。身長181センチ、体重120キロの大型寺本靜矢を相手に両袖を纏めるなり左大外刈。予期せぬ間合いで、そして想像できない強さで一撃を浴びた寺本はあたかも投げ込みのように足裏を天井に向けて真っ逆さま。試合時間は僅か14秒、もちろん「一本」。

これで桐蔭学園はベスト8入り決定。先鋒安藤の3連敗はあったがこれは織り込み済み、組み合わせのめぐり合わせの良さは割り引かねばならないが、それにしても千野根と村尾の仕上がりは凄まじい。村尾は全試合を30秒以内、千野根は1分以内に片付けて余力十分。オーダー順は上位対戦志向とは言えないが、それでも翌日の戦いに十分期待を抱かせる内容だった。

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2回戦、四日市中央工高の副将萩大地が旭川龍谷高・余湖海斗から袖釣込腰「一本」

上側の山の3回戦カードは四日市中央工高(三重)―九州学院高(熊本)。四日市中央工は1回戦で東北総体王者の田村高を相手に、中堅菅野浩輝が橋本健太から谷落「一本」、さらに1-1で迎えた代表戦で鈴木直登から「技有」優勢と獅子奮迅の働きでチームを勝利に導く。2回戦は旭川龍谷高(北海道)を4-1で下して順調にベスト16入り。

一方の九州学院はこの日素晴らしい出来。1回戦で近大附高(大阪)を一本勝ち4つの4-0で下すと、山場と目された東海大甲府高(山梨)戦もなんと4-1の圧勝。先鋒戦を落としたあとは全試合一本勝ち、これ以上ないほど勢いに乗って四日市中央工との大一番に臨む。

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3回戦、四日市中央工高の先鋒石川大夢が九州学院高・工藤樹希から肩車「技有」

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大将戦、勝ちさえすればチームの勝利が決まる山口隆乃は背負投を連発、先んじて「指導2」まで確保。

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終盤園田睦斗が前に出ると山口は失速、「指導」2つを失う。

[Cブロック3回戦]
九州学院高(熊本) ①-1 四日市中央工高(三重)
(先)工藤樹希△優勢[技有]〇石川大夢
(次)岩永洸輔〇合技(2:35)△井本龍星
(中)萩原麻陽×引分×菅野浩輝
(副)赤星遼太郎×引分×萩大地
(大)山口隆乃×引分×園田睦斗

先鋒戦は四日市中央工・石川大夢が残り31秒で工藤樹希から肩車「技有」獲得、次鋒戦で互いに得点、九州学院の内容差リードのまま試合は引き分けの連続。試合はあっという間に大将戦へ。勝利すれば地元開催インターハイベスト8の栄が手に入る四日市中央工・山口隆乃は園田睦斗を相手に背負投を連発、どうやら相性噛み合うようで先んじて2つの「指導」を得て、そのまま残り1分まで辿り着く。しかしここで園田が覚悟を決めて前に出始めると体力と気持ちの切れた山口は下がり始め、一気に掛け潰れが増える。あと1つの「指導」を得るのではなく逃げ切りに舵を切ってしまった格好、結果なんとここから2つの「指導」が積み重なってこの試合は引き分け。四日市中央工は惜しくも、名張と並んでの「地元2校同時入賞」の栄を逃した。全九州高校大会3位の九州学院は殊勲のベスト8進出。

[Cブロック1回戦]
四日市中央工高(三重) ①代-1 田村高(福島)
九州学院高(熊本) 4-0 近大附高(大阪)
桐蔭学園高(神奈川) 3-1 佐賀商高(佐賀)
開星高(島根) 3-1 東海大諏訪高(長野)
神戸国際大附高(兵庫) 2-1 加藤学園高(静岡)

[Cブロック2回戦]
四日市中央工高(三重) 4-1 旭川龍谷高(北海道)
九州学院高(熊本) 4-1 東海大甲府高(山梨)
桐蔭学園高(神奈川) 4-1 阿波高(徳島)
神戸国際大附高(兵庫) 2-1開星高(島根)

[Cブロック3回戦]
九州学院高 ①-1 四日市中央工高
桐蔭学園高4-1神戸国際大附高

■ Dブロック
有力校(上側):鹿児島情報高(鹿児島)
有力校(下側):天理高(奈良)、大成高(愛知)、足立学園高(東京)
ベスト8進出校:鹿児島情報高(鹿児島)、天理高(奈良)

前述の通り下側の山は大激戦区。まず東海総体王者の大成高(愛知)と、激戦区東京で金鷲旗大会ベスト4の日体大荏原高を下して代表の栄を得た足立学園高が1回戦で戦い、おそらくその勝者が3回戦で優勝候補・天理高(奈良)と相まみえることになる。周辺チームも新人戦東北王者で金鷲旗大会ではシード校の栄を得ている秋田工高(秋田)に、柳ヶ浦高(大分)とレベルなかなか高し。

上側の山は率直に言って強豪の影が薄い。鹿児島情報高(鹿児島)とこれも金鷲旗のシードチーム福井工大福井高(福井)のマッチレースが予想される。

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大成高の先鋒大竹龍之介が右大外刈を連発、川田武史が大外返で応じる攻防が続く

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川田の大外返が決まって「一本」

[Dブロック1回戦]
大成高(愛知) 2-1 足立学園高(東京)
(先)大竹龍之介△大外返(2:12)〇川田武史
(次)大西陸斗〇内股(1:08)△押領司龍星
(中)三輪魁星×引分×松村士
(副)藤鷹裕大〇反則[指導3](2:49)△樋口誠二朗
(大)田中翔大×引分×吉井拓実

いきなり迎えた大一番。これが1回戦のカードなのだからインターハイはまことに恐ろしい。
先鋒戦は大成・大竹龍之介、足立学園・川田武史ともに右組みの相四つ。やや体格に勝る大竹は作りを飛ばして両襟の右大外刈で強引に攻めこみ、川田がこれに大外返に背負投、さらに「やぐら投げ」で対抗し、小兵同士の対戦にも関わらず様相は完全なる「大技の打ち合い」。足立学園はこの川田に押領司龍星と主力を前衛に注ぎ込んでおり、後ろのシナリオがどうあれここでの2点獲得以外に生き残りの道はなし。双方がもともと極端な攻撃型であることと川田が抱えるこのバックグランドにより撃ち合いは加速、開始2分が経過しても止む気配まったくなし。このさなか、大竹が釣り手で片襟を差した状態で遠間から右大外刈。しかし相手を拘束せぬまま性急に投げんとして自身の上体のみが前屈、下半身が後に残る。背筋を伸ばして受けた川田素早く反応、脚を高く揚げて刈り返すと膝裏を固定された大竹真裏に吹っ飛んで大外返「一本」。試合時間2分12秒、先制点は足立学園の手に落ちる。

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次鋒戦のポイントゲッター対決は大西陸斗が押領司龍星から内股「一本」で勝利。

エース同士がマッチアップした次鋒戦は大成・大西陸斗が右、足立学園・押領司龍星が左組みのケンカ四つ。押領司は肘抜きの左背負投を2連発、威力十分、かつ初見の相手には受けがたい独特の間合いを持った技だが、大西は立ってしっかり止め、足を飛ばしながら前進。
1分半が近くなるところで、大西は釣り手で奥襟、引き手で袖口をガッチリ握り込む完璧な組み手を作り出す。背筋を伸ばして一瞬間合いを整えると引き出しの右小内刈、縦に鋭く刈ったこの技で一旦大きく崩すと必殺の右内股一撃。押領司足を高く揚げ、股中で捌いて外側に逃れようとするが大西の追い足止まらず、腰をぶつけるように突進。握り込んだ引き手の制動が極めて良く効き、押領司は縦に宙返り。背中から落ちて文句なしの「一本」。これでスコアは1-1となる。

大成・三輪魁星と足立学園・松村士がマッチアップした中堅戦はケンカ四つ、この試合は三輪が巧みな組み手と足技で松村を封じ、ほとんど有効打を打たせない。30秒には松村に場外の「指導」、以降も三輪は「ケンカ四つクロス」を交えながら巧みに進退、要所で足技を入れながらリスク少なく試合を進める。松村は1分4秒に放った小内刈と背負投の連続技がほぼ唯一のポイントが想起される技、この試合はそのまま引き分けに終わる。

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大成の副将藤鷹裕大が足立学園・樋口誠二朗から大外刈「技有」

副将戦は大成が100kg級のポイントゲッター藤鷹裕大、足立学園は60kg級の個人戦東京都代表樋口誠二朗が出動。凄まじい体格差、それも体格差が反映されやすい相四つということもあり樋口は組み手巧みに、左、右と持つ腕を交換しながら藤鷹の回りを巡回。しかし42秒、藤鷹が組み際に左大外刈に飛び込んで樋口の駆け引きを無力化、「技有」。以降は焦る材料のなくなった藤鷹が悠揚前進、1分34秒場外で「指導1」、2分11秒偽装攻撃で「指導2」、2分49秒偽装攻撃で「指導3」と樋口に次々反則ポイントが累積、藤鷹の勝利が決定。

スコアはこれで2-1。大将戦は吉井拓実と田中翔太激しく攻め合うも、1分半を過ぎたあたりから田中じっくり構えるようになり、試合は減速。残り31秒で双方に「取り組まない」咎で「指導」、残り2秒でクロージングを意識した田中に場外の「指導2」が与えられるが、このまま引き分けで試合終了。

大西、藤鷹と取るべき人がきっちり取った大成が2-1で勝利決定。次鋒戦のエース対決の帰趨がそのまま勝敗を決めた形となった。

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2回戦、秋田工高の先鋒籾山航大が大成高・大竹龍之介から肩車「一本」

続く2回戦、大成は秋田工高(秋田)とマッチアップ。先鋒戦では大竹龍之介が籾山航大の肩車で完璧に懐に潜られ、僅か58秒「一本」で敗戦という意外な出だし。しかし次鋒大西陸斗が石井耀から大外刈「一本」(2:33)、中堅三輪魁星が「技有」優勢の勝利で事態を収拾。副将戦は藤鷹裕大が体重135キロの森合凱我を相手に無理をせず引き分け、大将田中翔太も手堅く試合をまとめて金勇斗と引き分け。スコア2-1で3回戦進出の権利を得た。

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天理高のオープニングゲーム、先鋒池田凱翔が柳ヶ浦高・竹根主倭から内股「一本」

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中堅戦、柳ヶ浦高の服部竜也が井上直弥を背負投で攻め込み「指導」2つを得る

[Dブロック2回戦]
天理高(奈良) 3-1 柳ヶ浦高(大分)
(先)池田凱翔〇内股(2:30)△竹根主倭
(次)植岡虎太郎×引分×土谷颯太
(中)井上直弥△優勢[僅差]〇服部竜也
(副)中野寛太〇反則[指導3](1:20)△平山竜博
(大)水上世嵐〇反則[指導3](1:19)△山口良太

優勝候補の一角、天理高の出だしの一番。先鋒池田凱翔は自身の役割を心得て締まった試合を披露、ケンカ四つの竹根主倭を相手に45秒隅落で「技有」を得ると2分30秒には引き手の牽引極めて良く効いた左内股一撃、相手をグルリと回して文句なしの「一本」。

次鋒戦は植岡虎太郎が土谷颯太を相手に背負投で攻めこむも、意外なほどに見るべき場面ないまま引き分け。金鷲旗で見せた「誰にでも最大値の力が出るわけではない」植岡の特徴が出てしまった試合であるが、帰陣した植岡を迎える齋藤涼監督は表情を変えず「別にこれでいい」と近寄った植岡を目で制して押し下げる。

中堅戦は巨漢・井上直弥が服部竜也に背負投の連続攻撃を許す。当初背筋を伸ばして取り合わなかった井上だが、服部が徐々に手ごたえを得て振り被りを大きくしたことと自身の消耗がクロス、受け切れずに崩れる場面が増えて2分1秒には早くも2つ目の「指導」失陥。以降も服部が一方的に攻める。この第4試合場は「指導」裁定が非常に的確だったが、なぜかこの試合に関してはなぜか3つ目の「指導」宣告に踏み切れず。しかし井上も攻め返し切れず、この試合は「指導2」の僅差優勢で服部の勝利に終わった。スコアは1-1、内容差で天理のリード自体は継続。

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中野寛太はあっという間に「指導」3つを確保

副将戦は天理の大黒柱・中野寛太に平山竜博がマッチアップ。中野は前進、平山はその組み手の起こりの脅威レベルの高さとプレッシャーだけで下がってしまい、外から見れば中野が「組んでいるだけ」で次々平山に反則が累積。54秒場外の「指導」、1分12秒場外で「指導2」、直後の1分20秒平山が組み付き損ねて崩れたところに偽装攻撃の「指導3」と立て続けに反則宣告があり、あっさり中野の勝利で試合終了。この時点でスコアは2-1、天理が勝ち越し。

大将戦は水上世嵐が山口良太と対峙。27秒双方に「指導」、しかし直後山口に首抜きの「指導2」が与えられると巧者水上巧みに戦い方をシフト。両者が指を握り合わせて拮抗した1分19秒双方に「指導」が宣告されてあっさり試合終了。スコア3-1で天理の勝ち抜けが決まった。

勝ちぶりに派手さはないが、もともと1回戦から決勝まですべての試合を爆勝、というような全方位性チームではないのでこれはありうべき範囲。むしろ必要なものに必要なだけ手を突っ込めばそれでいい、という今代天理らしい大人の試合ではあった。

ただし井上直弥の元気のなさだけは頂けない。その突進力と怖いもの知らずの積極性で全てを塗りつぶしていた3月までとは明らかに異なる試合運び。「これさえやっていれば」と一種思考停止して疑いなく自分の長所だけを出さんとすることが相手にとっての扱いにくさを生み、粗削りであることすらアドバンテージに変換出来ていたのだが、全国の戦いの厳しさを、そして何より自身が怪我のため源泉である体の力が減じていることを「知って」しまったがために、自ら必要以上にパフォーマンスを落としているように見受けられた。

問題はこの井上の出来が、手駒に取り置いた切り札・山中瞭の投入位置を左右してしまうこと。現状を整理すれば、天理の純戦闘力をもっとも上げるのはおそらく山中の中堅投入、しかし「的」である対国士舘戦だけを考えれば、たとえ総体の戦闘力が減じても先鋒に入れたほうが戦える可能性が上がるというなかなかに悩ましい事態。しかも井上、この試合では技術面の粗さゆえ担ぎ技系の手数に屈したが、払腰・大外刈系の巨漢タイプには地力と体格による耐性の高さじゅうぶんあり。表情を一切変えず、ほとんど体を動かすことすらなく戦況を見つめる、齋藤監督の現状分析が続く。

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3回戦、先鋒戦で大竹龍之介が池田凱翔を攻め、僅差の優勢で大成高が先制点を得る

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次鋒戦、大成高・大西陸斗が天理・植岡虎太郎から隅落「技有」先制。

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直後植岡が右背負投、大西から逆転の「一本」

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[Dブロック3回戦]
天理高(奈良) 3-1 大成高(愛知)
(先)池田凱翔△優勢[僅差]〇大竹龍之介
(次)植岡虎太郎〇背負投(2:03)△大西陸斗
(中)井上直弥×引分×三輪魁星
(副)中野寛太〇浮落(2:55)△藤鷹裕大
(大)水上世嵐〇内股透(2:40)△田中翔太

準々決勝進出を掛けた大一番。
先鋒戦は天理・池田凱翔、大成・大竹龍之介ともに右組みの相四つ。池田が袖釣込腰に小内刈で先制攻撃を見せるが、ここまで2敗の大竹は大一番での活躍を期して気合十分。柔道を変えるのではなく大技を次々打ち込む自身のスタイルを貫いて大外刈を連発、「指導1」を確保。残り1分を過ぎると完全にペースを掴んで加速、右大外刈に右小外刈と放つとその圧力に屈した池田が痛恨の掛け潰れ。残り28秒で偽装攻撃の「指導2」。このまま試合は終了となり、大成が先制に成功。

ポイントゲッター同士がかちあった次鋒戦は天理・植岡虎太郎、大成・大西陸斗ともに右組みの相四つ。大西鋭い右小内刈を連発、タイミング巧みに強烈な出足払も見舞って植岡の足元を揺らがせ続ける。耐えかねた植岡が右払腰から前に体を倒して回避を図ると、大西待ち構えて隅落で捲り返す。事態の深刻さに気付いた植岡必死に耐えるが形があまりに悪すぎ、肩を着けられて「技有」失陥。

もしこのまま試合が終わればスコアは2-0で大成の大幅リードとなる。この試合もっとも大成勝利にシナリオが寄った時間帯であったが、この危機が前戦から動きの硬かった植岡を覚醒させる。2分9秒に突如加速し、軸足から鋭く回転を起こし、体全体を大きく振って右背負投。あまりの入りの深さに大西ほとんど植岡の肩をまたぐ形で馬乗り。植岡が膝を伸ばして決めに掛かるともはや受け身以外に残された選択はなく、背中から畳に沈んで「一本」。戦況あっという間に激変、スコア1-1、内容差で天理がリード。

中堅戦は天理・井上直弥の突進を、三輪魁斗が組み手巧みに耐える。しかし三輪に具体的な投げの手が薄く井上は加速、残り52秒には三輪に場外の咎で2つ目の「指導」が宣告されることとなる。井上このままあと一歩で僅差の優勢勝ちというところまで歩を進めるが最終盤に失速、三輪の巧みな膝車に崩された残り6秒に「指導」ひとつを失ってしまい、勝ちがなくなる。結果この試合は引き分け、スコアは1-1で変わらず。

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中野寛太が「やぐら投げ」、藤鷹裕大は奥襟を叩き返して防ぐ

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藤鷹の左内股に中野が反時計回りの浮落を合わせて、投げ合い。

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落ちた形は微妙も、映像チェックの結果中野の「一本」が宣告される。

副将戦は天理のエース中野寛太に、大成のポイントゲッター、東海ジュニア100kg級王者の藤鷹裕大がマッチアップ。この試合は左相四つ。互いに袖の確保を狙うところから試合がスタート、藤鷹は身長186センチの上背を生かし、距離を取るのではなくがっぷり奥襟を叩くことで中野に対峙。中野は支釣込足でいなし、必殺の「やぐら投げ」も見せるが待ち構えた藤鷹かえって奥襟の拘束を深めて正面から対峙、退かずに弾き返して攻防継続。組み手のやりとりのさなか、1分36秒藤鷹にのみやや性急な「取り組まない」反則1つが宣告されるが様相は変わらず。中野は支釣込足で蹴り崩すも、藤鷹の側も支釣込足で中野を大きく崩すなど展開を譲らず。

そして2分50秒を過ぎたところで試合が激しく動く。藤鷹が中野の奥襟奪取のタイミングに合わせて奥襟をがっぷり掴んで寄せると、中野は引き手の掌で胴を突いて防御の構え。機と見た藤鷹は支釣込足で呼び込むなり得意の左内股一撃。頭を振られて大きく崩れた中野もここに左足での支釣込足をかち合わせ、藤鷹の左内股に右の内股の形で足を揚げて対応する素晴らしいリアクション、投げ合いとなる。

双方の頭が低く、脚が高く上がっての投げ合い。両者がぐしゃりと頭から畳に落ちて、次いでともに落下。中野は引き手で藤鷹の釣り手を抱えたまま宙返りの形で背中から畳に落ち、藤鷹は両足で中野の体のコントロールを企図したまま肩から落下、ついで足が中野の腹の上に落ちる。早く落ちたのは僅かに藤鷹、しかし動作終了で相手の体の下にあるのは完全に背中を着いた中野。

難しすぎる判定に、主審がケアシステムによる映像確認を要求し、1審制採用によって合議の時間極めて短くなった今大会には珍しいほど長きに渡って試合は中断。

先に肩を着いたのは藤鷹ゆえにルール上は中野の得点、しかし投げの動作を起こしてコントロールしているのは藤鷹ゆえ得点はこちらが妥当、中野の投げを採るのであれば「頭突っ込み」による中野の反則負け、と翌朝まで高体連内でも厚い議論を巻き起こした攻防であったが、この時点での裁定は中野の「一本」。これでスコアは2-1、内容差から天理の勝利が決定。4月から団体、個人合わせてあらゆる大会に無敗の藤鷹はこれが今シーズン初黒星。

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大将戦は水上世嵐得意の内股透炸裂、田中翔大は縦回転で吹っ飛び「一本」

大将戦は天理・水上世嵐が右、大成・田中翔太が左組みのケンカ四つ。田中素晴らしいタイミングで送足払を見せるが水上体捌きよく燕返で払い返し、田中は却って窮地。
水上の反射神経と体捌きの良さに危険を感じた田中、組み合いから作用足をまず差し込んでおいて左内股。万が一にも内股透を食わぬよう、ガッチリ相手の股中に脚を接触させて手ごたえを確認すると、軸足を送り込んで力を込める。しかしこれぞ水上の術中。瞬間高く揚げた田中の作用足は外されて空を切り、水上は同時に背負投様に両手をまとめて田中の頭を畳すれすれまで大きく下げる。絶対に返されないと確信していたはずの田中はみずから飛び込み前転をする形で一回転、これぞ水上の得意技、鮮やか過ぎる内股透「一本」。

最終スコアは3-1。前戦少々鷹揚な試合を見せた天理であるが、リードを許したことでチーム全体が覚醒した感あり。快勝で決戦待ち受ける2日目への進出を決めた。

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3回戦、鹿児島情報高はエースの中堅松本司が福井工大福井高・橋本光正から払腰「技有」

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大将戦、鹿児島情報は大将小原健誠が森浩介から殊勲の小外刈「一本」。これでベスト8進出決定。

上側の山のベスト16カードは鹿児島情報高(鹿児島)対福井工大福井高(福井)。ともに登場は2回戦から、鹿児島情報はつくば秀英高(茨城)とマッチアップ、副将戦のエース対決で松本司が多田昌人と引き分け、0-0で迎えた大将戦で小原健誠が窪田魅空斗から小外刈「一本」で勝利し1-0で勝ち抜け。

一方の福井工大福井は比叡山高(滋賀)に2-1で勝利、次鋒山口統也と酒井晃輝がともに「指導3」の反則で勝利、リードを守り切っての3回戦進出。

[Dブロック3回戦]
鹿児島情報高(鹿児島) 2-1 福井工大福井高(福井)
(先)田中航太×引分×井上翔汰朗
(次)坂本拳斗×引分×山口統也
(中)岩坪龍輝△反則[指導3]〇酒井晃輝
(副)松本司〇合技(1:53)△橋本光正
(大)小原健誠〇小外刈(2:23)△森浩介

比叡山の中堅酒井晃輝が「指導3」の反則、鹿児島情報の副将松本司が合技「一本」と双方のポイントゲッターがしっかり仕事を果たして迎えた大将戦、鹿児島情報の小原健誠が値千金の小外刈「一本」。「功名地獄」とでも言うべき大混戦ブロックからは、鹿児島情報高がインターハイベスト8の栄冠に辿り着いた。

結果決まった、平成30年度インターハイ柔道競技準々決勝のカードは以下の通り。

国士舘高(東京) - 作陽高(岡山)
白鴎大足利高(栃木) - 名張高(三重)
九州学院高(熊本) - 桐蔭学園高(神奈川)
鹿児島情報高(鹿児島) - 天理高(奈良)

[Dブロック1回戦]
つくば秀英高(茨城) 4-0 岡豊高(高知)
比叡山高(滋賀) 4-1 木造高(青森)
大成高(愛知) 2-1 足立学園高(東京)
柳ヶ浦高(大分) 3-1 鳥取東高(鳥取)

[Dブロック2回戦]
鹿児島情報高(鹿児島) 1-0 つくば秀英高(茨城)
福井工大福井高(福井) 2-1 比叡山高(滋賀)
大成高(愛知) 2-1 秋田工高(秋田)
天理高(奈良) 3-1 柳ヶ浦高(大分)

[Dブロック3回戦]
鹿児島情報高 2-1 福井工大福井高
天理高 3-1 大成高

※ eJudoメルマガ版8月19日掲載記事より転載・編集しています。

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