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国士舘が本命も「三冠」最大の混戦確実、中野寛太擁する天理が最大のライバル・第67回インターハイ柔道競技男子団体戦展望

(2018年8月6日)

※ eJudoメルマガ版8月6日掲載記事より転載・編集しています。
国士舘が本命も「三冠」最大の混戦確実、中野寛太擁する天理が最大のライバル
第67回インターハイ柔道競技男子団体戦展望
文責:古田英毅

■ 有力校
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優勝候補筆頭は今季既に二冠を獲得している国士館高

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エース斉藤立は今代最強の大駒

高校カテゴリの最高峰大会、第67回インターハイ柔道競技の開催がいよいよ目前に迫った。大会は8日に新設施設の「サオリーナ」(三重県津市)で開幕。まず最注目カテゴリである男子団体戦から競技が開始される。

優勝候補の筆頭はもちろん3月の全国高校選手権、そして7月の金鷲旗大会を制して今大会で高校「三冠」制覇に挑む国士舘高(東京)だ。

ただし今大会における国士館の優位は前2大会ほど圧倒的なものではない。抜き勝負で行われる高校選手権と金鷲旗ではエース斉藤立の絶対性がそのままチーム同士の力関係に反映されたが、いかに斉藤が強くとも点取り制で行われるインターハイでは「1点は1点」、当たり前だがその得点力の最大値は1試合につき1点まで、代表戦を含めても2点が限界だ。斉藤のあまりの強さが頭にあるゆえイメージ狂うかもしれないが、インターハイは団体戦必勝の要素である「絶対のエースの存在」と「戦力層の厚さ」のうち、後者が占める比重がもっとも大きい大会。繰り返すが、国士舘の優位決して絶対にはあらず。

国士舘の周辺戦力は優勝に値するだけの厚み十分だが、金鷲旗大会で見せつけてしまったのは攻撃力の高さに同居するこれら周辺戦力の意外な脆さ。この大会大車輪の活躍を見せた藤永龍太郎ですらトータル3敗、今大会レギュラー出場が見込まれる斉藤以外の5名で実に8敗を喫している。抜群の攻撃力を誇る安藤稀梧は投げの魅力のぶん一発への脆さがあり、重戦車の迫力を持つ長谷川碧も懐に潜られた際の「剛体」ぶり否めず。酒井陸には安定感があるが金鷲旗では負傷の影響か出場機会が少なく、同大会唯一無敗の道下新大も東京都予選ではパワー派への脆さを垣間見せている。大本命ながら、現在の国士舘は、少なくとも周囲に「やれる」との希望を与えてしまっている状況と分析して差し支えないだろう。印象でいえば、金鷲旗を「1勝4分け」の連続で斉藤を座らせたままロースコアで勝ち抜いたほうが、周囲に与えた脅威は高かったのではないかと思われるほど。

斉藤立の1点奪取は確実、代表戦での敗北ももちろん考えられない。となれば、もし国士舘を倒すものがあるとすれば、周辺戦力4ポジションの戦いで「2点」を獲得し得るチームということになる。

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高校選手権、金鷲旗大会と連続準優勝の天理高が国士舘の牙城に迫る

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中野寛太は昨年のインターハイ王者、今期は高校選手権無差別を制し全日本選手権にも出場した。

その筆頭はなんと言っても天理高(奈良)。高校選手権、金鷲旗大会ともに決勝で国士館の後塵を拝しているが、その理由は一に敵方のエース・斉藤立の存在に尽きる。両大会を観察する限り、天理のエース中野寛太は高校選手権時の「斉藤以外なら全員一本勝ちし得る」周囲との力関係を維持発展させており、国士舘の残り4枚であれば得点、それも「一本」を計算しておいて良いはず。オーダー発表前(正式発表は7日午後)であるが、事前情報によると国士舘は斉藤をスターティングに入れており、一方の天理は中野を補欠に取り置いて「場所を選べる」立場にあるとの可能性が濃厚とのこと。情報の誤りの可能性を覚悟しつつこれを前提に稿を進めさせて頂くが、となれば天理としては、国士舘戦だけを考えるなら中野を斉藤から「外す」ことは確実だ。天理の周辺戦力を眺めてみると、2年生巨漢の井上直弥こそタイプ的な相性に左右される割合が大きいが、植岡虎太郎、水上世嵐、池田凱翔、山中諒の4枚は全員戦い方がソリッドで一発の飛び道具も保有、国士舘との力比べに勝利する可能性は十分。「1点取り合って残る3枚の競り合い」というシナリオに持ち込めば、勝負は五分五分と言って良いのではないだろうか。2年生中心の国士舘が代表戦を意識して一歩引いた試合をしてしまうようであれば、五分どころか、もはや勝負はどうなるかまったくわからない。

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「賀持なし」で神奈川県予選を勝ち抜いた桐蔭学園高

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変則レギュレーションながら圧勝で関東大会を制し、金鷲旗もベスト8入賞の木更津総合高

以降のチームの戦力は少々この2チームとは差がある。

前代「三冠」制覇の桐蔭学園高(神奈川)は、高校選手権で3位入賞を果たしたものの賀持喜道を錬成大会における相手の反則攻撃で負った怪我で欠き、金鷲旗では6回戦敗退。本来計算できる枚数の多さで勝負するチームのはずであったが、「村尾三四郎、千野根有我、賀持喜道」という3枚が揃ってこそ力が発揮できるチームであることをあらためて見せつけてしまった感がある。とはいえ村尾の攻撃力は当代随一、千野根も勝負してくる相手には今シーズン無類の強さを発揮しており、「点取り」レギュレーションでは前2大会を上回る力を発揮する可能性も十分。新加入の1年生中野智博の出来と、大どんでん返しの「賀持が間に合う」事態の有無が勝敗を分ける。

点取りという総体戦力の高さが求められるレギュレーション下で、ひときわ推せるチームは木更津総合高(千葉)。ポイントゲッターの絶対値の高さでは前述3校に劣るが、選手の練度の高さは比類なし。坂東虎之輔が一段上の活躍を見せることが出来れば、2強を凌ぐ可能性すら十分。

ほか、金鷲旗大会で桐蔭学園打倒を果たした作陽高(岡山)、激戦区東京からみごと第2代表の座を射止めた足立学園高(東京)、エース中西一生の成長著しい福岡大大濠高(福岡)、総体戦力の駒がようやく揃いつつある大成高(愛知)、崇徳高(広島)の名前を、この時点では挙げておきたい。

続いて下記、トーナメントをA~Dの4つに割って、簡単に展望を試みたい。

■ 組み合わせ
第67回インターハイ柔道競技組み合わせ(PDFファイル、公式サイト内)

【Aブロック】
有力チーム(上側):国士館高(東京)、沖縄尚学高(沖縄)、東海大仰星高(大阪)、東海大札幌高(北海道)
有力チーム(下側):作陽高(岡山)

国士舘高(東京)の山。第1シード扱いで本来アドバンテージを受ける立場であることを考えれば道のり決して平坦ではない組み合わせ。

1回戦では81kg級全日本カデ王者菅原幸大を擁する柴田高(宮城)と対戦するが、ここは総体の勝ち負け自体は揺るがないはず。2回戦の沖縄尚学高(沖縄)は金鷲旗大会では木更津総合高(千葉)と熱戦を演じた強豪、高校選手権でも早い段階で国士館と戦ったゆえ成績は残らなかったが総体戦力の骨太さは全国ベスト8に手が届くレベルにあり、まずここをしっかり勝ち抜きたい。3回戦は73kg級の強者内村秀資を擁する東海大仰星高(大阪)と東海大札幌高(北海道)の勝者とこれまたタフな対戦だが、勝敗を揺るがすところまでには至らないと見る。

問題は準々決勝。金鷲旗大会でエース高橋翼が村尾三四郎打倒を果たし桐蔭学園を倒した作陽高(岡山)とマッチアップする可能性がある。前評判からすれば国士舘の圧勝という印象であるが、ご存知の通り作陽がターゲットを定めたときの強さは比類なし。対「攻撃目標」戦の強さがそのまま発揮されるわけではないゆえ、ここに至るまでの京都学園高(京都)戦、延岡学園高(宮崎)戦を勝ち抜かねばならぬという課題はあるが、金鷲旗大会を観察する限り今代の作陽には、あの「三銃士」世代の国士舘を打倒して準優勝した2013年インターハイを彷彿とさせる勢いと団結、そして良い意味での「思い込む力」がある。2年生中心でメンタルと防御力に波のある国士舘の周辺戦力がこの、リミッターを簡単に外してくる「軍隊」作陽をどう退けるか。実現すれば非常に楽しみな一番である。

国士舘の勝ち上がり自体はまずまず既定路線。斉藤以外の出来、今代にいまのところ欠けている、本来の国士舘らしい「締まり」の発現あるかどうかに注目したい。

【Bブロック】

有力チーム(上側):木更津総合高(千葉)、福岡大大濠高(福岡)、崇徳高(広島)、白鴎大足利高(栃木)
有力チーム(下側):名張高(三重)、新田高(愛媛)、埼玉栄高(埼玉)

上側の山が大激戦区。木更津総合高(千葉)に加え、福岡大大濠高(福岡)、崇徳高(広島)とベスト8以上の力があると目されるチームが3チーム、これに準ずる力があると目される白鴎大足利高(栃木)、さらに小杉高(富山)まで配された今大会もっとも過酷なブロックだ。これを勝ち抜いてようやくベスト16、各校の気合いの入りようは相当なものと推察される。

対戦順次第では白鴎大足利までの4チームにチャンスが巡る力関係と思われるが、まず木更津総合と福岡大大濠が1回戦で戦い、勝者が2回戦で崇徳、3回戦で小杉と白鴎大足利の勝者とぶつかる、という配置を考えれば、総合力が高くもっとも穴の少ない木更津総合の勝利を推すべきかと考える。

下側の山は地元・名張高(三重)を中心に、新田高(愛媛)、埼玉栄高(埼玉)らが絡む中型ブロック。高校選手権、金鷲旗ともに国士舘と対戦して得点を挙げている盛岡南高(岩手)がダークホース。埼玉栄がベスト16入りの最有力校と読むが、ベスト8勝ち抜けは上側のブロックの勝者、具体的には木更津総合となる可能性がもっとも高い。

【Cブロック】
有力チーム(上側):四日市中央工高(三重)、東海大甲府高(山梨)
有力チーム(下側):桐蔭学園高(神奈川)

上側の山は地元・四日市中央工(三重)を東北総体王者の田村高(福島)、金鷲旗大会で活躍した東海大甲府高(山梨)が囲むマッチレース。ベスト16勝ち上がりは予断を許さず。

桐蔭学園は優勝を狙うクラスタのチームの中では間違いなくもっとも組み合わせに恵まれた。初戦は佐賀商高(佐賀)、2回戦は阿波高(徳島)と対戦、3回戦は神戸国際大附高(兵庫)と加藤学園高(静岡)の勝者との戦いが待ち受けるが、準々決勝も含めて致命的なミスなく戦えばベスト4勝ち上がりは十分に現実的。焦点は計算が立つ村尾や千野根の出来ではなく、まず1年生レギュラー中野智博の出来、そしてまさしく高山康太や安藤健志が「ミスなく」手堅く、かつ思い切った試合が出来るかどうかにある。中野と高山、そして安藤がこの段階で乗って来れるかどうか、力以上のものを発揮する準備整うかどうかが以降の戦いを大きく左右する。

【Dブロック】

有力チーム(上側):鹿児島情報高(鹿児島)
有力チーム(下側):天理高(奈良)、大成高(愛知)、足立学園高(東京)

そして桐蔭学園と対照的に、非常に厳しい配置を引いたのが天理高(奈良)。2回戦でおそらく柳ヶ浦高(大分)と戦った後は、足立学園高(東京)あるいは大成高(愛知)との対戦が見込まれる。

この足立学園と大成の対戦は、Bブロックの木更津総合-福岡大大濠と並ぶ1回戦最大の注目カード。東海総体王者の大成は90kg級の巧者大西陸斗に大型の瀬戸裕太朗、今期急成長の田中翔太に藤鷹裕大とキャラクター豊か、この1年の中ではいまが上げ潮と観察される。しかしどちらかというと今代は大型相手の真っ向勝負で力を発揮する型の選手が揃っており、「小さくて体が強く」「組み手が練れていて一発勝負が利く」足立学園には相性が噛み合わない可能性がある。逆に足立学園は大型で組み手が鷹揚な強者は得手、接戦確実もここは足立学園の勝ち上がりとなるのではないか。

天理と足立学園は金鷲旗の5回戦で対戦歴があり、大将同士の対決で中野寛太が川田武史を破って天理が勝利している。が、それまでの戦いは2勝2敗2分けでまったくの五分。足立学園の抜き役・押領司龍星の位置次第では勝負はどうなるかわからない。天理にとっては下手をすると決勝までの道程でもっとも厳しい試合が、この2回戦となる可能性十分あり。見逃せない一番。

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今季2度実現した斉藤-中野の直接対決はいずれも斉藤が一本勝ちを果たしている。写真は金鷲旗大会決勝、大将同士の戦い。

【準決勝~決勝】

ベスト4の顔合わせは、

国士舘高(東京) - 木更津総合高(千葉)
桐蔭学園高(神奈川) - 天理高(奈良)

を予想する。

国士舘にとってはここからが現実的に「勝ちと負けの間」を伝い歩く本番ステージ。斉藤以外の4枚で失点を抑えることが具体的な策だが、「2点以上の得点必須」と目の色を変えてくる木更津総合の勢いに引いてしまうようだと試合は相当に揉めるはず。前衛で木更津総合の勢い自体を沈黙させるような重量感ある戦いが出来るかどうかが勝敗を分ける。

桐蔭学園と天理。総体戦力は天理が上、大駒の絶対値比べでも中野寛太の保有により天理に軍配が上がる。桐蔭学園勝利の数少ないシナリオとしては村尾と千野根が中野とずれて、この2人の得点確保による2-1勝利がもっとも現実的。となると「中野以外からは誰でも取れる」はずの村尾の配置が問題であるが、桐蔭学園の現状戦力を考えると「前出し」は考え難い。大将、ぎりぎり譲って副将までが限界ではないかと思われるが、もし情報通りに中野が補欠取り置きの遊軍登録であり、村尾を狙って当てて来た場合桐蔭学園勝利の確率は壊滅的に減じる。天理が桐蔭学園の実力をどう見積もり、対国士舘戦とのバランスをどう取るか、つまりは中野寛太をどこに入れて大会をスタートするかが、実はこのゲームを決める最大の要素だ。勝利に繋がるシナリオ数の多さで、ここは天理の勝ち上がりを推しておきたい。

以降は、プログラム配布によるオーダー開示を待たねば予想は困難。国士舘が斉藤立1枚の保有を根拠に大枠有利、冒頭掲げた「斉藤と中野の位置がずれ、双方1点取り合っての残る3枚勝負」が天理勝利最大の近道、というところまで展望して、いったん筆を置きたい。

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